(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162407
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】部分的に事前充填されたシリンジ用のブレークルーズ汚染を防止するための保持要素
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
A61M5/315 500
A61M5/315 510
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023143625
(22)【出願日】2023-09-05
(62)【分割の表示】P 2021560261の分割
【原出願日】2020-06-24
(31)【優先権主張番号】62/868,193
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/909,328
(32)【優先日】2020-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポール ピー.マリシ
(72)【発明者】
【氏名】シャオユー サン
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン マレク ザロ
(72)【発明者】
【氏名】ユースティーナ マッタ
(57)【要約】
【課題】部分的に事前に充填されたシリンジに対して、プランジャロッドが偶発的に引き戻されたときに、溶液がシリンジの非滅菌領域に入るのを防止できるシリンジアセンブリを提供する。
【解決手段】シリンジアセンブリは、部分的に事前充填されたシリンジバレルと、プランジャロッドが引き戻されたときに溶液がシリンジの非滅菌領域に入るのを防止するための、プランジャロッド上に1つまたは複数の保持要素を組み込んだプランジャロッドを含む。保持要素は、プランジャロッドとシリンジバレルとの間に増大した機械的干渉を提供する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジアセンブリであって、
事前充填された流体の所定量を保持するためのチャンバを画定する内面を有する側壁を含むバレルであって、前記事前充填された流体の前記所定量は、実質的に前記バレルの総容量以下である、前記バレルと、
開いた近位端、および、先端を備えた遠位壁を含む遠位端であって、前記先端は、前記遠位壁から遠位に延び、前記先端は、それを通って前記チャンバと流体連絡する通路を有する、前記遠位端と、
前記バレル内に配置されたプランジャロッドであって、前記プランジャロッドは、遠位面を有するストッパを含む遠位端と、近位端を含み、プランジャロッド本体は、前記近位端から前記遠位端まで延び、前記プランジャロッド本体は、交差する2つの垂直に交差するビームによって形成されて、前記バレルの内面に面し、前記プランジャロッドの前記近位端から前記遠位端までの軸方向長さに沿って延在する、4つの四分部分の輪郭を描く外面を形成する、前記プランジャロッドと、
前記プランジャロッドの前記遠位端からの長さで前記プランジャロッド上に配置され、近位方向に力が加えられたときに、前記プランジャロッドと前記バレルとの間に増大した機械的干渉を提供して、前記事前充填された流体が、前記シリンジアセンブリの非滅菌領域に入るのを防止する、1つ以上の保持要素であって、前記1つ以上の保持要素は、交互に配置されたクロスバー上に配置され、一体化された、第1の構成要素および第2の構成要素を含み、前記保持要素の前記第1の構成要素は、涙滴形状であり、前記クロスバーの湾曲した壁に一体化されて、第1の傾斜面を含み、前記第1の傾斜面は、前記プランジャロッド本体の前記遠位端に向かって外向きにテーパを付けられ、前記保持要素の前記第2の構成要素は、交互のクロスバーの湾曲壁に一体化されて、第2の傾斜面を含み、前記第2の構成要素の第2の傾斜面は、前記プランジャロッド本体の前記遠位端に向かって外向きにテーパを付けられた、前記1つ以上の保持要素と、
を含むことを特徴とするシリンジアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のシリンジアセンブリであって、前記傾斜面は、保持リングと摩擦係合し、前記プランジャロッドが、末端使用者によって引き戻されたときに、前記事前充填された流体が、シリンジの非滅菌領域に入るのを防止することを特徴とするシリンジアセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載のシリンジアセンブリであって、前記第1の構成要素は、前記4つの四分部分の外面から半径方向に突出することを特徴とするシリンジアセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載のシリンジアセンブリであって、前記第1の構成要素は、前記4つの四分部分の厚さと等しいか又はそれより僅かに小さい厚さを有することを特徴とするシリンジアセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載のシリンジアセンブリであって、前記第1の構成要素は、前記4つの四分部分から接線方向に突出しない形状であることを特徴とするシリンジアセンブリ。
【請求項6】
請求項1に記載のシリンジアセンブリであって、前記第2の構成要素は、さらに、前記クロスバー内に内側に延びる側壁を含むことを特徴とするシリンジアセンブリ。
【請求項7】
請求項1に記載のシリンジアセンブリであって、前記第2の構成要素は、前記湾曲した壁に対して接線方向に突出することを特徴とするシリンジアセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載のシリンジアセンブリであって、前記第2の構成要素は、前記第2の構成要素が位置するクロスバーの一部に接触し、これを包み込むことを特徴とするシリンジアセンブリ。
【請求項9】
請求項1に記載のシリンジアセンブリであって、前記クロスバーのうちの2つが、第1の構成要素を有し、2つの交互のクロスバーが、前記第2の構成要素を有することを特徴とするシリンジアセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載のシリンジアセンブリであって、前記総容量は、充填容量の約3.33倍であることを特徴とするシリンジアセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載のシリンジアセンブリであって、前記総容量は、約10mlであり、前記充填容量は、3mlであることを特徴とするシリンジアセンブリ。
【請求項12】
請求項1に記載のシリンジアセンブリであって、前記総容量は、充填容量の約2倍であることを特徴とするシリンジアセンブリ。
【請求項13】
請求項12に記載のシリンジアセンブリであって、前記総容量は、約10mlであり、前記充填容量は、5mlであることを特徴とするシリンジアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シリンジアセンブリ、特に、部分的に事前充填されたシリンジに対して、プランジャロッドが引き戻されたときに、溶液がシリンジの非滅菌領域に入るのを防止する保持要素を備えた、プランジャロッドを有するシリンジアセンブリに関する。本開示は、また、滅菌され、部分的に充填された、事前充填シリンジアセンブリを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在入手可能な、特定の10mLシリンジは、ストッパと液体が、非滅菌領域へと後方に移動するのを防止するために、プランジャロッドとバレルの両方に、保持リングを含み得る。しかし、プランジャロッドとバレルの両方に保持リングを有する、現在入手可能な10mLシリンジは、プランジャロッドとバレルの保持リング間の距離のため、0mLを超え10mL未満の範囲、例えば、3mLまたは5mLの事前充填容量を有する、部分充填シリンジを生成するのに効果的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
また、部分的に事前に充填されたシリンジに対して、プランジャロッドが偶発的に引き戻されたときに、溶液がシリンジの非滅菌領域に入るのを防止するために導入される、保持要素を備えたプランジャロッドを有する、シリンジアセンブリに対する要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
部分的に事前充填されたシリンジに対してプランジャロッド引き戻されたときに、溶液がシリンジの非滅菌領域に入るのを防止する、保持要素を備えたプランジャロッドを含むシリンジアセンブリ、および、シリンジアセンブリを製造する方法が記載される。
【0005】
本開示の一態様は、バレル、開いた近位端と遠位端、バレル内に配置されたプランジャロッド本体、および、プランジャロッド上に配置された1つまたは複数の保持要素を含む、シリンジアセンブリに関する。バレルは、所定量の事前に充填された流体を保持するためのチャンバを画定する内面を有する、側壁を含み得る。遠位端は、先端を有する遠位壁を含み、先端は、遠位壁から遠位に延び、先端は、それを通り、チャンバと流体連通する流路を有する。プランジャロッド本体は、バレル内に配置される。プランジャロッドは、遠位面および近位端を有するストッパを含む遠位端を含み得る。1つまたは複数の保持要素が、プランジャロッドの遠位端からのある距離において、プランジャロッド上に配置され、力が、近位方向に加えられたときに、プランジャロッドとバレルとの間に増大された機械的干渉を提供し、事前充填された液体が、シリンジアセンブリの非滅菌領域に入るのを防止するように構成される。
【0006】
1つまたは複数の実施形態では、1つまたは複数の保持要素は、プランジャロッドの外面に配置された複数の不連続部を含む。
【0007】
1つまたは複数の実施形態では、1つまたは複数の保持要素は、バレルの内面に向かって半径方向外向きに延びる。
【0008】
1つまたは複数の実施形態では、所定量の事前に充填された流体は、0mLから10mLの範囲、好ましくは1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9ml、および、10mLである。1つまたは複数の実施形態では、所定量の事前に充填された流体は、3mLである。1つまたは複数の実施形態では、所定量の事前に充填された流体は、5mLである。
【0009】
1つまたは複数の実施形態では、1つまたは複数の保持要素は、さらに、プランジャロッドの外面に配置された、少なくとも1つの不連続部であって、バレルの内面に向かって半径方向外向きに延びる不連続部と、バレルの内面に配置された少なくとも1つの保持リングであって、プランジャロッドの外面に向かって半径方向内向きに延びる保持リングを含む。1つまたは複数の実施形態では、少なくとも1つの不連続部は、少なくとも1つの保持リングと協働して、プランジャロッドとバレルとの間の干渉を増加させ、増加した機械力を必要として、プランジャロッドが近位方向に前進するのを阻止する。
【0010】
1つまたは複数の実施形態では、近位方向へのプランジャロッドの動きは、バレルの内面に配置された保持リングと、プランジャの1つまたは複数の保持要素との間に干渉を生じさせる。
【0011】
1つまたは複数の実施形態では、プランジャロッドの外面の一部は、保持要素を含まない。
【0012】
1つまたは複数の代替の実施形態では、1つまたは複数の保持要素は、クロスバーの真っ直ぐな壁と同じ水準の2つの側壁と、1%~100%の範囲の勾配を有する傾斜した上面と、長手方向軸に平行に配向された、1つまたは複数の平坦な部分と、長手方向軸に垂直に配向された、平らな端部を形成する、傾斜した上面のレッジ、を含む。
【0013】
1つまたは複数の代替の実施形態では、1つまたは複数の保持要素は、さらに、真っ直ぐな壁から、真っ直ぐな壁の外側縁に対して半径方向に突出する、テーパを付けられたくさび形状を有する、第2の構成要素を含む。
【0014】
1つまたは複数の代替の実施形態では、1つまたは複数の保持要素は、さらに、遠位端から近位端にテーパを付けられ、クロスバーの湾曲した壁から延びる、長方形の突起を有する第2の構成要素を含む。
【0015】
1つまたは複数の代替の実施形態では、1つまたは複数の保持要素は、さらに、プランジャロッドに沿って保持要素の背後に位置的に整列させられた、クロスバーの側壁内のスロット穴を有する、第2の構成要素を含む。
【0016】
1つまたは代替の実施形態では、事前に充填された流体は、生理食塩水、ヘパリン、クエン酸塩、医薬品あるいは他の薬物、または、それらの組み合わせを含む溶液である。
【0017】
1つまたは複数の代替の実施形態では、事前に充填された流体は薬剤である。1つまたは複数の代替の実施形態では、事前に充填された流体は、フラッシュ溶液である。
【0018】
1つまたは複数の実施形態では、シリンジアセンブリは、最終的に滅菌されるか、または、流体経路での滅菌主張を伴う。
【0019】
本開示の別の態様は、滅菌され、部分的に充填された、事前充填シリンジアセンブリの製造方法に関する。事前に充填される所定量の流体を保持するための総容量を有するチャンバを画定する内面を有する側壁と、保持突起を有する開放近位端と、先端を備えた遠位壁を含む遠位端であって、前記先端は、遠位壁から遠位に延び、前記先端は、それを通ってチャンバと流体連通する通路を有する、前記遠位端を含む、バレルが提供される。充填容量は事前に選択され、充填容量は、実質的に、総容量以下である。本開示に記載される1つまたは複数の実施形態のプランジャロッドが提供される。プランジャロッドは、本開示に記載されるように、プランジャロッドの遠位端からのある距離において、プランジャロッド上に配置された、1つまたは複数の保持要素を含み、距離は、充填容量に相関する。プランジャロッドは、保持要素が保持突起に対して遠位位置にあるまで、バレルに挿入される。バレルは、充填容量まで、所定量の事前充填される流体で満たされ、充填容量は、実質的に、総容量以下である。バレル先端は、密封構成要素で密封される。1つまたは複数の実施形態では、密封要素は、先端キャップである。事前充填シリンジアセンブリは、滅菌される。1つまたは複数の実施形態では、事前充填されたシリンジは、事前に充填された液体の滅菌経路を生成する製造プラントで、オートクレーブまたは放射線滅菌のいずれかを介して、最終滅菌プロセスを受ける。
【0020】
1つまたは複数の実施形態では、総容量は、充填容量の約3.33倍である。特定の実施形態では、総容量は、約10mlであり、充填容量は、3mlである。
【0021】
1つまたは複数の代替の実施形態では、総容量は、充填容量の約2倍である。特定の実施形態では、総容量は、約10mlであり、充填容量は、5mlである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本開示の1つまたは複数の実施形態による、バレルおよびプランジャロッドを有するシリンジアセンブリの透視上面図である。
【
図2】
図1に示されるシリンジアセンブリの、プランジャロッドとバレルの相互作用を示す部分透視上面図である。
【
図3】本開示の1つまたは複数の実施形態によるプランジャロッドの側面図である。
【
図4】
図3に示されるプランジャロッドの実施形態の部分底面斜視図である。
【
図5】
図3に示されるプランジャロッドの代替の実施形態の部分底面斜視図である。
【
図6】
図3に示されるプランジャロッドの代替の実施形態の部分底面斜視図である。
【
図7】
図3に示されるプランジャロッドの代替の実施形態の部分底面斜視図である。
【
図8】
図3に示されるプランジャロッドの代替の実施形態の部分上面斜視図である。
【
図9】
図3に示されるプランジャロッドの代替の実施形態の部分斜視図である。
【
図10】滅菌され、部分的に充填された、事前充填シリンジアセンブリを製造する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
本開示のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明に記載される構成またはプロセス工程の詳細に限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で、実施され、または、実行され得る。
【0024】
本開示のシリンジアセンブリは、部分的に事前充填されたシリンジに対して、プランジャが偶発的に引き戻されるときに、溶液がシリンジの非滅菌領域に入るのを防止する、1つまたは複数の保持要素を備えたプランジャロッドを含む。本開示のシリンジアセンブリは、部分的に事前充填されたシリンジのブレークルーズ汚染を防止するための、1つまたは複数の保持要素を含む。
【0025】
第1の態様によるシリンジアセンブリは、シリンジバレルと、シリンジバレル上の保持リングとの相互作用のためにプランジャロッド上に配置された保持要素または構成を組み込む、プランジャロッドを含む。1つまたは複数の実施形態では、保持リングは、バレルの内面に配置され、バレルのチャンバ内に内方に延びる。保持リングにおけるシリンジバレルの内面の断面幅は、シリンジバレルの残りの部分における内面の断面幅よりも小さい。1つまたは複数の実施形態では、保持構造は、機械的止め部の形態である。
図2~
図9に個別に示される、シリンジバレルと共に使用されるプランジャロッドの代替の実施形態を備えた、組み立てられたシリンジの一実施形態が、
図1に示される。
図1~9を参照すると、一実施形態によるシリンジアセンブリは、流体を保持するためのチャンバ16を画定する内面14を有する側壁12と、開いた近位端11と、先端15を備えた遠位壁を含む遠位端19であって、先端15は、遠位壁から遠位に延びる、遠位端19を含む、バレル10を含む。先端15は、そこを通ってチャンバ16と流体連通する通路13を含む。
図1に示されるように、開いた近位端11は、フィンガーフランジ20を含む。バレルの側壁12は、円筒形であり得、また、別の形状を有し得る。
【0026】
図1に示されるように、バレルの先端15は、先端15を同心円状に囲むロッキングルアータイプのカラー(
図1に示される)、または、ルアースリップ接続(不図示)を含み得る。1つまたは複数の実施形態では、バレルは、ニードルレスコネクタを含み得る。1つまたは複数の実施形態では、バレルは、従来の医療用コネクタを含み得る。カラー18は、その上に少なくとも1つのネジ山を有する内面を含み得る。近位端、遠位端、および、それを通る管腔を有するカニューレを含む、ニードルアセンブリ(不図示)が、また、任意選択で設けられ得る。空洞を含む開いた近位端および遠位端を有するハブ(不図示)が、カニューレの近位端に取り付けられ得、管腔は、ハブの空洞と流体連通する。ニードルアセンブリ(不図示)は、先端をハブの空洞に係合させることによって、バレルの先端に取り外し可能に取り付けられ、その結果、管腔は、バレルのチャンバと流体連通する。
【0027】
図1および
図3に示されるように、プランジャロッド30が提供され、近位端31および遠位端39を有する、プランジャロッド本体32を含む。プランジャロッド30は、流体をチャンバ16から流出させるために、バレル10のチャンバ16内でスライド可能である。プランジャロッドのプランジャロッド本体32は、バレルの開いた近位端11から外方に延び、チャンバ16内に配置され得る。プランジャロッド30は、近位端31にサムプレス29を含み、遠位端39にストッパ40を含む。ストッパ40は、バレルの内面14との密封を形成する、シールエッジ42を含む。プランジャロッドの形状は、異なる形状の側壁を備えたバレル内に適合するように変更され得る。
【0028】
プランジャロッドのプランジャロッド本体32は、プランジャロッド本体32の周りに周辺を形成する外面34と、近位端31から遠位端39まで延びる軸方向の長さを含む。プランジャロッド本体32は、円筒形または他の形状を有し得る、単一のビームまたは構造を含み得る。
図1~9に示されるように、本体部分32は、2つの垂直に交差するビーム37によって形成され得る。ビームは長方形の断面を有し得る。示される実施形態では、2つの交差するビーム37は、交差して、バレルの内面14に面し、軸方向の長さに沿ってプランジャロッドの近位端31から遠位端39まで延びる、4つの四分部分51、52、53、54(
図3により明確に示される)の輪郭を描く外面を形成する。
【0029】
好ましい実施形態では、
図3に示されるように、プランジャロッド本体は、交差して、十字形の4つの四分部分の輪郭を描く外面を有する垂直クロスバー44を形成する、2つの交差するビーム37を含む。説明のために、4つの四分部分のうちの3つの四分部分51、52、53が示される。垂直クロスバー44は、サムプレス29およびストッパ係合部分28と長手方向に一体化される。プランジャロッドの本体は十字形であることに限定されず、クロスバー44は必ずしも垂直または対称である必要はない。プランジャロッド本体32は、シリンジバレル10のチャンバ16内に内接され得る、別の幾何学的形状を含み得る。例えば、プランジャロッドの本体は、三角形または長方形であり得る。
【0030】
ストッパを固定するために、ねじ領域を有するストッパ係合部分28が、遠位端39に隣接して配置される。1つまたは複数の実施形態では、ストッパ係合部分28のねじ領域は、ストッパの対応するねじ山を受け入れるように構成される。特定の実施形態では、プランジャロッドおよびストッパは、一体的に形成されるか、または恒久的に取り付けられ得る。本開示の1つまたは複数の実施形態では、ストッパ係合部分28は、ストッパのストッパキャビティ内に適合し、プランジャロッドの遠位端にストッパを保持するように形作られる。
【0031】
プランジャロッド本体は、ねじ領域に隣接している。プランジャロッド本体は、チャンバ16内に配置され、シリンジバレル10に対して、チャンバ16内で近位および遠位方向に移動可能である。
【0032】
プランジャロッド本体および保持要素は、硬質プラスチックまたは他の材料で作成され得る。そのような材料の例は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、および、それらの組み合わせを含む。
【0033】
1つまたは複数の実施形態のストッパ40は、プランジャロッドの遠位端39に一体的に形成され得るか、または、プランジャロッドの遠位端39に接続される別個の構成要素を形成し得る。プランジャロッドの遠位端39は、一体的に形成されたストッパを含み得る。
図1に示されるように、ストッパ40は、円錐形の遠位面を含み得、バレルは、その遠位壁に円錐形の内面を含み得る。ストッパ40は、流体をチャンバ内に引き込み、チャンバから流体を流出させるために、バレルの内面14と流体密に係合して、スライド可能に配置される。
【0034】
ストッパ40は、バレルの内面14との密封を提供するのに適した任意の材料で作成され得る。例えば、ストッパ40は、熱可塑性エラストマー、天然ゴム、合成ゴム、または、熱可塑性材料、および、それらの組み合わせで作成され得る。ストッパ40は、一体的に形成されるか、または、一緒に接合された同じまたは異なる材料の別個の構成要素から構成され得る。プランジャロッド30は、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの、ストッパよりも剛性の高い材料で作成され得る。材料は、使用される手順と相容れるように選択されるべきである。
【0035】
図1~9に示される実施形態では、1つまたは複数の保持要素36が、プランジャロッドの本体部分32の外面に配置される。より具体的には、1つまたは複数の保持要素は、4つの四分部分(51、52、53)の外面に配置される。保持要素36は、一体的に形成されるか、または、プランジャロッドに追加され得る、別個の構成要素として提供され得る。
【0036】
保持要素36が別個の構成要素として提供される1つまたは複数の実施形態では、プランジャロッド30またはバレル10は、さらに、別個の保持要素36を取り付けるための構造を含み得る。1つまたは複数の実施形態では、バレルのチャンバは、10mLの流体を収容し得る。1つまたは複数の実施形態では、事前に充填される流体は、生理食塩水、ヘパリンまたはクエン酸塩、または、他の薬物または薬剤を含む溶液である。1つまたは複数の実施形態では、事前に充填される流体は、フラッシュ溶液または薬剤である。バレルの10mLチャンバ16は、0mLから10mLの範囲、好ましくは1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL、10mLの所定量の溶液で事前に充填され得、本開示のプランジャロッド上に配置された保持要素は、プランジャロッドが末端使用者によって偶発的に引き戻された場合、バレルの内面の保持リングと相互作用して、事前充填された溶液がシリンジの非滅菌領域に入るのを防止する。1つまたは複数の実施形態では、バレルのチャンバ16は、3mLの溶液で事前に充填される。1つまたは複数の代替の実施形態では、バレルのチャンバ16は、5mLの溶液で事前に充填される。1つまたは複数の実施形態では、保持リングは、バレルの近位端で、バレルの内面に配置される。1つまたは複数の実施形態では、保持リングがバレルの内面に配置され、プランジャロッドの保持要素と相互作用して、バレルのチャンバに事前充填される、所定量の流体が、0mLから10mLの範囲、例えば、3mLまたは5mLであることを可能にし、プランジャロッドが末端使用者によって偶発的に引き戻された場合に、事前充填された溶液が、シリンジの非滅菌領域に入るのを防止する。
【0037】
図1に示されるように、本開示の一実施形態は、そのチャンバが0mLから10mLの範囲の、例えば、3mLまたは5mLの所定量の流体で事前に充填され得るバレルを有する、シリンジアセンブリ6に関し、シリンジアセンブリ6は、プランジャロッド本体32の長さに沿って固定位置に配置され、プランジャロッドが末端使用者によって偶発的に非滅菌領域に引き戻された場合、事前に充填された溶液が、滅菌領域「A」を出て、保持要素を超えて配置される非滅菌領域「B」に入るのを防止する、保持要素36を有する。
【0038】
1つまたは複数の実施形態では、プランジャロッド30は、プランジャロッド本体32の長さに沿って一体の保持要素36を含み、プランジャロッド30がシリンジアセンブリの近位端11から近位に延び得る、最大相対位置を制御する。保持要素36が、シリンジバレル10のチャンバ16内の保持リングに当接するとき、プランジャロッドの保持要素36は、プランジャロッドがシリンジ6の近位端11から所望の点を超えてさらに延びるのを防止し、部分的に事前に充填されたシリンジに対して、プランジャロッドが偶発的に引き戻されるときに、事前に充填された溶液がシリンジの非滅菌領域に入るのを防止する。プランジャロッド本体32上の保持要素36の位置は、シリンジバレル10に事前に充填される流体の量によって決定され、保持要素36は、プランジャロッドが末端使用者によって偶発的に引き戻された場合、事前充填された溶液がシリンジの非滅菌領域に入るのを防止する。
【0039】
本開示では、内側方向は、長手方向軸5に垂直に向かう方向であり、外側方向は、長手方向軸5から垂直に離れる方向であるという慣例に従う。
【0040】
図2に示されるように、シリンジバレル10は、チャンバ16を含む。1つまたは複数の実施形態では、チャンバの最大容量は10mLである。本開示の1つまたは複数の実施形態では、チャンバ16内の事前充填された流体の容量は、0mLから10mLの範囲、好ましくは1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9ml、および10mLであり得る。チャンバ16内には、シリンジバレル10の近位端11に近接して隣接する、保持リングまたは保持リング21が存在する。保持リング21は、シリンジバレル10のチャンバ16内に内側に延びる。保持リング21は、保持要素36が保持リング21に接近または当接すると、保持要素36が近位方向に並進するのを防止し、プランジャロッドが偶発的に引き戻されたときに、事前充填された溶液が、シリンジの非滅菌領域に入るのを防止する。
【0041】
図2および3に示されるように、プランジャロッド30の代替の実施形態は、クロスバー44の長さに沿って配置された1つまたは複数の保持要素36を含み、プランジャロッドが10mLシリンジバレルに配置されると、プランジャロッドは、シリンジチャンバ16内の事前に充填された容量を、0mLから10mLの範囲に、例えば、3mLまたは5mLに制限し、プランジャロッドが末端使用者によって偶発的に引き戻された場合に、事前に充填された溶液がシリンジの非滅菌領域に入るのを防止するであろう。より具体的には、1つまたは複数の保持要素は、4つの四分部分(51、52、53)の外面に配置される。保持要素は、クロスバー44の最も遠い外側端で、プランジャロッド本体に沿って配置される。1つまたは複数の保持要素は、プランジャロッド本体32の長さ区間で、プランジャロッド本体に沿って配置され、保持要素がプランジャロッドに沿って配置される場所に応じて、使用者が、0mLから10mLの範囲の、例えば、3mLまたは5mLの所望の量のフラッシュ溶液または薬剤を投与することを可能にする。1つまたは複数の実施形態では、プランジャロッドの保持要素は、シリンジバレル10のチャンバ16の内面に配置され、チャンバ、および/または、プランジャロッドに向かって半径方向内方に延びる、保持リングまたは保持リング21と相互作用する。保持リング21は、プランジャロッド30に配置された保持要素36と相互作用して、プランジャロッドが末端使用者によって偶発的に引き戻された場合に、事前に充填された溶液がシリンジの非滅菌領域に入るのを防止する。そのような実施形態では、保持リング21は、バレルの内面14によって形成される断面幅と比較して、狭い断面幅を形成する。バレルの内面14は、保持リング21において、より小さな断面幅を有する。
【0042】
図4に示されるように、1つまたは複数の特定の実施形態に対して、プランジャロッドの機械的止め部が、1つ以上の真っ直ぐな壁41および湾曲した壁43を含む、クロスバー44に配置される。
【0043】
図4に示されるように、保持要素100は、「フカヒレ」の形状である。保持要素100は、湾曲した壁43上の、プランジャロッド本体32の長さに沿った不連続部である。保持要素100は、傾斜面102を含む。傾斜面102は、プランジャロッド本体32の近位端31に向かって外向きにテーパを付けられる。保持要素100の側壁104は、クロスバー44の真っ直ぐな壁41と同じ水準である。保持要素100は、また、長手方向軸5に平行に走る、1つまたは複数の平坦な部分106を有し得る。傾斜面には、保持要素100の平坦な端部108を形成する、ドロップオフ、または、レッジが存在する。平坦な端部108は、長手方向軸5に垂直である。
【0044】
1つまたは複数の実施形態では、「フカヒレ」の形態の保持要素100は、4つの四分部分(51、52、53)の外面から放射方向に突出する。1つまたは複数の実施形態では、「フカヒレ」の形態の保持要素100は、4つの四分部分(51、52、53)の厚さと等しいか、または、少し小さい厚さを有する。1つまたは複数の実施形態では、「フカヒレ」の形態の保持要素100は、4つの四分部分(51、52、53)から接線方向に突出しない。
【0045】
図5および6に示されるように、プランジャロッドの代替の実施形態は、交互のクロスバー44の壁43に配置および一体化された、2つの構成要素を有する保持要素200を含む。保持要素200は、湾曲した壁43上に配置された、プランジャロッド本体32の長さに沿った不連続部である。保持要素の第1の構成要素210は、「フカヒレ」の形態であり、クロスバー44の湾曲した壁43に一体化され、傾斜面202を含む。傾斜面202は、プランジャロッド本体32の近位端31に向かって外向きにテーパを付けられる。保持要素200の側壁204は、クロスバー44の真っ直ぐな壁41と同じ水準である。保持要素200は、また、長手方向軸5に平行に走る、1つまたは複数の平坦な部分206を有し得る。傾斜面には、保持要素200の平坦な端部208を形成する、ドロップオフまたはレッジが存在する。平坦な端部108は、長手方向軸5に垂直である。
【0046】
保持要素200の第2の構成要素220は、交互のクロスバー44の湾曲した壁43に一体化された不連続部であり、クロスバー44の2つは、「フカヒレ」の形態の第1の構成要素210を有し、クロスバーの交互の2つは、第2の構成要素220を有する。第2の構成要素220は、テーパを付けられた、くさび形状であり、クロスバー44の湾曲した壁43に一体化される。第2の構成要素220は、プランジャロッド本体32の近位端31に向かって外向きにテーパを付けられた傾斜面222を含む。保持要素200は、また、長手方向軸5に平行に走る、1つまたは複数の平坦な部分226を有し得る。第2の構成要素220の側壁224は、クロスバー44の真っ直ぐな壁41から外向きに突出し、クロスバー44の真っ直ぐな壁41上で、内側に延びて、プランジャロッド本体32のクロスバー44を「包む」。傾斜面222と同様に、第2の構成要素220の側壁224は、プランジャロッド本体32の近位端31に向かって外向きにテーパを付けられる。保持要素200の第2の構成要素220の平坦な端部228を形成する、傾斜面222および側壁224からのドロップオフが存在する。
【0047】
プランジャロッドの本体には、プランジャロッド本体32の全体にわたって使用される、保持要素100および200の、単一の実施形態のみ、または、実施形態の組み合わせが存在し得る。
【0048】
図7に示されるように、プランジャロッドの代替の実施形態は、交互のクロスバーに配置および一体化された、2つの構成要素を有する保持要素300を含む。保持要素300は、湾曲した壁43上の、プランジャロッド本体32の長さに沿った不連続部である。保持要素の第1の構成要素310は、「フカヒレ」の形態であり、クロスバー44の湾曲した壁43に一体化され、傾斜面302を含む。傾斜面302は、プランジャロッド本体32の近位端31に向かって外向きにテーパを付けられる。第1の構成要素310の側壁304は、クロスバー44の真っ直ぐな壁41と同じ水準である。第1の構成要素310は、また、長手方向軸5に平行に走る、1つまたは複数の平坦な部分306を有し得る。第1の構成要素310の平坦な端部308を形成する、ドロップオフまたはレッジが、傾斜面に存在する。平坦な端部108は、長手方向軸5に垂直である。
【0049】
保持要素の第2の構成要素320は、「サメの尾」の形態であり、交互のクロスバー44の湾曲した壁43に一体化される。第2の構成要素320は、傾斜面322を含む。傾斜面322は、プランジャロッド本体32の近位端31に向かって外向きにテーパを付けられる。第2の構成要素320の側壁329は、クロスバー44から外向きに突出し、傾斜面322と整列させられて、プランジャロッド本体32の近位端31に向かって外向きにテーパを付けられる。保持要素300は、また、長手方向軸5に平行に走る、1つまたは複数の平坦な部分306を有し得る。傾斜面322および側壁329に、第2の構成要素320の平坦な端部328を形成するドロップオフが存在する。平坦な端部328は、長手方向軸5に垂直である。
【0050】
図8に示されるように、プランジャロッドの代替の実施形態は、交互のクロスバーに配置および一体化された、2つの構成要素を有する保持要素400を含む。保持要素400は、湾曲した壁43上の、プランジャロッド本体32の長さに沿った不連続部である。保持要素の第1の構成要素410は、「涙滴」の形態であり、クロスバー44の湾曲した壁43に一体化され、傾斜面402を含む。傾斜面402は、プランジャロッド本体32の遠位端39に向かって外向きにテーパを付けられる。反対のテーパ付けの設計は、傾斜面402が保持リング21と摩擦的に係合するときに傾斜面402に抵抗力を提供し、プランジャロッドが引き戻されるときに、事前充填された溶液がシリンジの非滅菌領域に入るのを防止する。これは、シリンジバレル10に対するプランジャロッド30の近位移動の停止をもたらす。保持要素400の側壁404は、クロスバー44の真っ直ぐな壁41と同じ水準である。
【0051】
1つまたは複数の実施形態では、第1の構成要素410は、4つの四分部分(51、52、53)の外面から半径方向に突出する。1つまたは複数の実施形態では、第1の構成要素410は、4つの四分部分(51、52,53)の厚さと同じか、または、少し小さい厚さを有する。1つまたは複数の実施形態では、上記形態の第1の構成要素410は、4つの四分部分(51、52、53)から接線方向に突出しない。
【0052】
保持要素400の第2の構成要素420は、「潜水艦」の形態であり、交互のクロスバー44の湾曲した壁43に一体化され、傾斜面422を含む。第2の構成要素420の傾斜面422は、プランジャロッド本体の遠位端39に向かって外向きにテーパを付けられる。傾斜面422は、プランジャロッド本体32の遠位端39に向かって外向きにテーパを付けられる。第2の構成要素420の傾斜面422は、外向きにテーパを付けられ、プランジャロッドが末端使用者によって偶発的に引き戻されたときに、傾斜面422が保持リング21と摩擦的に係合して、傾斜面422に抵抗力を提供する。これは、シリンジバレル10に対するプランジャロッド30の近位方向の移動の停止をもたらす。第2の構成要素420は、また、クロスバー44内に内側に延びる側壁428を含む。1つまたは複数の実施形態では、第2の構成要素420は、湾曲した壁43に対して接線方向に突出する。1つまたは複数の実施形態では、第2の構成要素420は、また、それらが配置されるクロスバー44の一部に接触し、クロスバー44の一部を包み込む。
【0053】
1つまたは複数の実施形態では、保持要素の第1の構成要素410および保持要素の第2の構成要素420は、交互のクロスバー44上に配置され、クロスバー44の2つは、第1の構成要素410を有し、クロスバーの交互の2つは、第2の構成要素420を有する。
【0054】
1つまたは複数の実施形態では、プランジャロッド30は、クロスバーの真っ直ぐな壁と同じ水準の壁を備えた、または備えない、保持要素の組み合わせを含み得る。
【0055】
保持要素400を有するプランジャロッドの1つまたは複数の実施形態は、抵抗力が増大するにつれて、末端使用者に引き戻し動作を停止するための、長引いた期間を提供する。
【0056】
プランジャロッドの代替実施形態が、
図9に示される。
図9に示されるように、保持要素500は、「フカヒレ」の形態である。保持要素500は、湾曲した壁43上の、プランジャロッド本体32の長さに沿った不連続部である。保持要素500は、傾斜面502を含む。傾斜面502は、プランジャロッド本体32の近位端31に向かって外向きにテーパを付けられる。保持要素500の側壁504は、クロスバー44の真っ直ぐな壁41と同じ水準である。保持要素500は、また、長手方向軸5に平行に走る、1つまたは複数の平坦な部分506を有し得る。傾斜面には、保持要素500の平坦な端部508を形成する、ドロップオフまたはレッジが存在する。平坦な端部508は、長手方向軸5に垂直である。1つまたは複数の実施形態では、保持要素500は、さらに、傾斜面502上に配置された複数の接線リブ503を含む。
【0057】
複数のクロスバー44上の保持要素500の内側には、
図9に示されるように、プランジャロッド30に沿ったスロット穴60が存在する。スロット穴は、保持要素500が内側および外側方向に偏向することを可能にする。スロット穴60は、保持要素500およびそれが組み込まれた表面の屈曲を可能にする。この追加された柔軟性は、プランジャロッド30が、シリンジバレル10内に組み立てられることを可能にする。医療用シリンジ6を組み立てるために、プランジャロッド30の遠位端は、シリンジバレル10の近位端11に挿入される。プランジャロッドがシリンジバレルに入ると、シリンジバレル10のチャンバ16内の保持リング21は、保持要素500の傾斜面502に力を及ぼす。クロスバー44の真っ直ぐな壁41のスロット穴60は、保持要素500が内側方向に偏向することを可能にする。保持要素500の平らな端部508が、シリンジバレル10の保持リング21を通過すると、保持要素500は、その偏向位置からスナップバックし、医療用シリンジ6の組み立てが完了すると、可聴の「クリック音」を生成する。
【0058】
1つまたは複数の実施形態では、本明細書に記載された保持要素のいずれかの組み合わせを有するプランジャロッドは、また、複数のクロスバー44に、スロット穴60を含み得る。
【0059】
図1~
図9に示されるように、複数の保持要素は、プランジャロッドの軸方向長さに沿って配置され得、軸方向長さに沿って、事前に画定された間隔で配置され得る。特定の実施形態では、事前に画定された間隔は、等しく間隔を保たせられる。複数の保持要素は、0mLから10mLの範囲の、例えば、3mLまたは5mLの、事前に充填される溶液の量によって決定されるプランジャロッドの軸方向長さに沿って配置され得、ストッパは、事前に充填された溶液が、ストッパリブの背面の元の位置の背後の非滅菌領域に入り得るポイントに引き戻されることを防止される。
【0060】
1つまたは複数の実施形態では、1つまたは複数の保持要素36は、プランジャロッドの外面の一セグメントに沿って周辺に形成され得、一方、外面の残りのセグメントは、いかなる保持要素も含まない。
【0061】
プランジャロッド本体32の1つまたは複数の保持要素36は、末端使用者による偶発的な引き戻しによって引き起こされる力が、近位方向に、プランジャロッドに加えられると、シリンジバレルの保持リング21と相互作用する。
【0062】
動作中、本明細書に記載のプランジャロッドと共に使用される場合、シリンジアセンブリは、既知の方法を使用してフラッシュ溶液または薬剤で事前に充填される。事前に充填されたシリンジは、事前に充填された液体の滅菌経路を生成するための製造プラントで、オートクレーブまたは放射線滅菌のいずれかによって、最終滅菌プロセスを受ける。1つまたは複数の実施形態では、フラッシュ溶液は、血管アクセスデバイス(VADs)を洗浄、または、その性能を維持することを意図された任意の溶液であり得る。例示的なフラッシュ溶液は、生理食塩水フラッシュ溶液および/またはヘパリンロックフラッシュ溶液を含む。これらの溶液は、当技術分野で知られており、容易に入手可能である。生理食塩水フラッシュ溶液の例は、注射用の0.9%塩化ナトリウムUSPである。ヘパリンロックフラッシュ溶液の例は、1mlあたり100USP単位のヘパリンナトリウムまたは1mlあたり10USP単位のヘパリンナトリウムを含む、0.9%塩化ナトリウムである。組み立てられると、シリンジアセンブリは、末端使用者により、遠位力を提供することによって、事前に充填された薬剤を投与するため、また、I.V.セットのカテーテルなどのVADを洗い流すために使用され得る。偶発的な引き戻しから保護するために、本開示に記載される保持構成は、溶液がストッパリブの裏面の元の位置の背後の非滅菌領域に入り得る点までストッパが引き戻されるのを防止する。
【0063】
1つまたは複数の実施形態によれば、プランジャロッド上に配置された1つまたは複数の保持要素36は、プランジャロッドの近位方向への移動中に、シリンジバレルと干渉するか、または増強された機械的干渉を形成するように形作られる。プランジャロッドとバレルの間の機械的力の変化は、使用者がプランジャロッドに近位方向に偶発的な力を加える場合に、プランジャロッドの動きを、妨げ、遅くし、停止させる。
【0064】
本開示の別の態様は、滅菌され、部分的に充填された事前充填シリンジアセンブリを製造する方法に関する。例示的な製造方法600が、
図10に示される。以下のさまざまな要素を説明するために使用される参照番号は、
図1~9に示されている要素と一致する。
図10のステップ610に示されるように、
図1に示されるバレル10は、所定量の事前充填される流体を保持するための総容量を有する、チャンバ16を画定する内面14を有する側壁12と、保持突起を有する開放近位端11と、先端を備えた遠位壁17を含む遠位端19であって、先端は遠位壁から遠位に延び、先端は、それを通ってチャンバと流体連絡する通路を有する、遠位端19を含んで提供される。
図10のステップ620に示されるように、充填容量が事前に選択され、充填容量は、総容量よりも実質的に少ない。
図10のステップ630に示されるように、本開示に記載され、
図1~9に示される、1つまたは複数の実施形態のプランジャロッド30が提供される。プランジャロッド30は、遠位端、ストッパ、および、近位端を含む。プランジャロッドは、本開示に記載されるように、プランジャロッドの遠位端からある距離でプランジャロッド上に配置された、1つまたは複数の保持要素を含み、前記距離は、充填容量に相関する。1つまたは複数の保持要素36は、プランジャロッド30とバレル10の保持突起との間の増大した機械的干渉を提供するように構成される。
図10のステップ640に示されるように、プランジャロッドは、保持要素が保持突起に対して遠位位置にあるまで、バレル10に挿入される。
図10のステップ650に示されるように、バレル10は、所定量の事前充填される流体で、充填容量に満たされ、充填容量は、総容量よりも実質的に少ない。
図10のステップ660に示されるように、バレル先端は、密封構成要素で密封される。1つまたは複数の実施形態では、密封要素は先端キャップである。
図10のステップ670に示されるように、事前充填されたシリンジアセンブリは滅菌される。1つまたは複数の実施形態では、事前充填されたシリンジは、事前に充填された液体の滅菌経路を生成する製造プラントで、オートクレーブまたは放射線滅菌のいずれかによる最終滅菌プロセスを受ける。1つまたは複数の実施形態では、事前充填されたシリンジアセンブリを滅菌するステップは、保持要素が保持突起に対して遠位位置にあるまで、プランジャロッドをバレルに挿入する前に生じる。
【0065】
1つまたは複数の代替の実施形態では、総容量は、充填容量の約3.33倍である。特定の実施形態では、総容量は約10mlであり、充填容量は3mlである。
【0066】
1つまたは複数の代替の実施形態では、総容量は、充填容量の約2倍である。特定の実施形態では、総容量は約10mlであり、充填容量は5mlである。
【0067】
1つまたは複数の実施形態では、1つまたは複数の保持要素は、
図3および
図4に示されるように、クロスバーの真っ直ぐな壁と同じ水準にある2つの側壁と、1%~100%の範囲の勾配を有する傾斜した上面と、長手方向軸に平行に配向された、1つまたは複数の平らな部分と、長手方向軸に垂直に配向された、平らな端部を形成する、傾斜した上面におけるレッジを有する、第1の構成要素を含む。
【0068】
1つまたは複数の代替の実施形態では、1つまたは複数の保持要素は、さらに、
図5~
図7に示されるように、真っ直ぐな壁から、真っ直ぐな壁41の外側端に対して半径方向に突出する、テーパの付けられたくさび形状を有する、第2の構成要素を含む。
【0069】
さらに別の代替の実施形態では、1つまたは複数の保持要素は、さらに、
図8に示されるように、遠位端から近位端に向かってテーパを付けられ、クロスバーの湾曲した壁から延びる、長方形の突起を有する第2の構成要素を含む。
【0070】
さらに別の代替の実施形態では、1つまたは複数の保持要素は、さらに、
図9に示されるように、プランジャロッドに沿って保持要素の背後に位置的に整列させられた、クロスバーの側壁内のスロット穴を有する、第2の構成要素を含む。
【0071】
1つまたは複数の代替の実施形態では、保持突起は、ディスク、ガスケット、または、Oリングである。
【0072】
本明細書全体を通して「一実施形態」、「ある実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の要素、構造、材料、または、特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して、様々な場所での「1つまたは複数の実施形態では」、「ある実施形態では」、「一実施形態では」または「実施形態では」などの句の出現は、必ずしも、本開示の同じ実施形態への言及とは限らない。さらに、特定の要素、構造、材料、または、特性は、1つまたは複数の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わせられ得る。
【0073】
本明細書における開示は、特定の実施形態を参照して説明されてきたが、これらの実施形態は、本開示の原理および適用の単なる例示であることが理解されるべきである。本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本開示の方法および装置に、様々な修正および変形が行われ得ることが、当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内である、修正および変形を含むことが意図される。