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特開2023-162408情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162408
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20231031BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
G08G1/09 H
G08G1/16 A
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023143822
(22)【出願日】2023-09-05
(62)【分割の表示】P 2021532531の分割
【原出願日】2019-07-12
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】中村 光範
(57)【要約】
【課題】運転者や自動運転システムにとって有益な情報を効率的に取得できる情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置(1)、情報処理方法及び情報処理プログラムは、道路上のオブジェクトを検知した検知結果に基づき、オブジェクトを検知できないエリアのうち優先すべき所定のエリアを優先エリアとして設定し、前記優先エリアに含まれるオブジェクト情報を要求する要求データを要求先車両へ送信し、前記要求先車両からの前記優先エリアにおける前記オブジェクト情報を受信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上のオブジェクトを検知した検知結果に基づき、オブジェクトを検知できないエリアのうち優先すべき所定のエリアを優先エリアとして設定する設定部と、
前記優先エリアに含まれるオブジェクト情報を要求する要求データを要求先車両へ送信し、前記要求先車両からの前記優先エリアにおける前記オブジェクト情報を受信する通信部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記オブジェクト情報を要求する要求元車両の将来の位置情報を取得し、前記将来の位置情報と前記検知結果とに基づき、将来において前記要求元車両がオブジェクトを検知できないエリアを前記優先エリアとして設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
地図情報を記憶した記憶部を備え、
前記設定部は、前記地図情報を用いて地図上の車線リンクIDに基づき前記優先エリアを設定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記優先エリアは、少なくとも所定のタイミングにおいて、前記要求先車両により検知される所定対象物に基づく境界を基準としたエリアである
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記所定対象物は、道路上の白線又は車両である
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記設定部は、前記検知結果に基づき、第1視点でオブジェクトを検知できなかったエリアであって、かつ、前記第1視点と時刻の異なる第2視点でオブジェクトを検知可能となった一時遮蔽エリアを設定し、
前記通信部は、前記一時遮蔽エリアを、前記要求先車両、前記要求先車両以外の車両、サーバのうちいずれかへ送信する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記要求データは、前記優先エリアに関する情報に加えて、前記オブジェクト情報を要求する要求元車両の位置及び走行予定経路に関する情報を含む
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記設定部は、所定の道路形状を有するエリアを前記優先エリアとして設定する
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記所定の道路形状は、交差点、カーブ、カーブ勾配変曲点のうちいずれかである
ことを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記オブジェクト情報は、前記要求先車両が前記優先エリアで検知したオブジェクト情報に加えて、前記優先エリアと異なるエリアで検知したオブジェクト情報、又は前記優先エリアと異なるエリアで将来検知可能なオブジェクト情報を含む
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記オブジェクト情報は、前記要求先車両により検知された道路上の車両情報又は障害物の位置情報を含む
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記要求先車両は、道路側方を監視するセンサを備え、道路境界線又は背景物体を検知し、道路上物体を検知して、検知した対象物と見切り線との交点を求めることにより、車両又は障害物を検知する
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記情報処理装置は、車両に具備されている
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項14】
要求先車両が検知した道路上のオブジェクト情報のうち、要求元車両が道路上のオブジェクトを検知した検知結果に基づき設定した優先エリアであって、オブジェクトを検知できないエリアのうち優先すべき所定のエリアである優先エリアに含まれるオブジェクト情報を選択する選択部と、
前記優先エリアに含まれるオブジェクト情報を要求する要求データを前記要求元車両から受信し、前記選択部により選択された前記優先エリアに含まれるオブジェクト情報を前記要求元車両へ送信する通信部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項15】
前記選択部は、前記要求先車両が前記優先エリアを走行できない場合、前記優先エリアに隣接するエリアを拡張エリアとして選択し、
前記通信部は、前記優先エリアに含まれるオブジェクト情報に加えて、前記拡張エリアで検知したオブジェクト情報を前記要求元車両へ送信する
ことを特徴とする請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項16】
情報処理装置で行う情報処理方法において、
道路上のオブジェクトを検知した検知結果に基づき、オブジェクトを検知できないエリアのうち優先すべき所定のエリアを優先エリアとして設定するステップと、
前記優先エリアに含まれるオブジェクト情報を要求する要求データを要求先車両へ送信するステップと、
前記要求先車両からの前記優先エリアにおける前記オブジェクト情報を受信するステップと、
を行うことを特徴とする情報処理方法。
【請求項17】
情報処理装置で行う情報処理方法において、
要求元車両が道路上のオブジェクトを検知した検知結果に基づき設定した優先エリアであって、オブジェクトを検知できないエリアのうち優先すべき所定のエリアである優先エリアに含まれるオブジェクト情報を要求する要求データを前記要求元車両から受信するステップと、
要求先車両が検知した道路上のオブジェクト情報のうち前記優先エリアに含まれるオブジェクト情報を選択するステップと、
前記優先エリアに含まれるオブジェクト情報を前記要求元車両へ送信するステップと、
を行うことを特徴とする情報処理方法。
【請求項18】
情報処理装置に、
道路上のオブジェクトを検知した検知結果に基づき、オブジェクトを検知できないエリアのうち優先すべき所定のエリアを優先エリアとして設定する手順と、
前記優先エリアに含まれるオブジェクト情報を要求する要求データを要求先車両へ送信する手順と、
前記要求先車両からの前記優先エリアにおける前記オブジェクト情報を受信する手順と、
を実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項19】
情報処理装置に、
要求元車両が道路上のオブジェクトを検知した検知結果に基づき設定した優先エリアであって、オブジェクトを検知できないエリアのうち優先すべき所定のエリアである優先エリアに含まれるオブジェクト情報を要求する要求データを前記要求元車両から受信する手順と、
要求先車両が検知した道路上のオブジェクト情報のうち前記優先エリアに含まれるオブジェクト情報を選択する手順と、
前記優先エリアに含まれるオブジェクト情報を前記要求元車両へ送信する手順と、
を実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項20】
前記通信部は、
前記優先エリアに隣接する前記優先エリアの拡張エリアよりも前記優先エリアを優先する配信順序が設定された配信順序情報を前記要求先車両から予め受信し、
前記配信順序情報に設定された配信順序で、前記優先エリアに含まれるオブジェクト情報と、前記拡張エリアに含まれるオブジェクト情報と、を前記要求先車両から受信する
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項21】
前記通信部は、
前記優先エリアに隣接する前記優先エリアの拡張エリアよりも前記優先エリアを優先する配信順序が設定された配信順序情報を前記要求元車両へ予め送信し、
前記配信順序情報に設定された配信順序で、前記優先エリアに含まれるオブジェクト情報と、前記拡張エリアに含まれるオブジェクト情報と、を前記要求元車両へ送信する
ことを特徴とする請求項14又は15に記載の情報処理装置。
【請求項22】
前記受信するステップでは、
前記優先エリアに隣接する前記優先エリアの拡張エリアよりも前記優先エリアを優先する配信順序が設定された配信順序情報を前記要求先車両から予め受信し、
前記配信順序情報に設定された配信順序で、前記優先エリアに含まれるオブジェクト情報と、前記拡張エリアに含まれるオブジェクト情報と、を前記要求先車両から受信する
ことを特徴とする請求項16に記載の情報処理方法。
【請求項23】
前記送信するステップでは、
前記優先エリアに隣接する前記優先エリアの拡張エリアよりも前記優先エリアを優先する配信順序が設定された配信順序情報を前記要求元車両へ予め送信し、
前記配信順序情報に設定された配信順序で、前記優先エリアに含まれるオブジェクト情報と、前記拡張エリアに含まれるオブジェクト情報と、を前記要求元車両へ送信する
ことを特徴とする請求項17に記載の情報処理方法。
【請求項24】
前記受信する手順では、
前記優先エリアに隣接する前記優先エリアの拡張エリアよりも前記優先エリアを優先する配信順序が設定された配信順序情報を前記要求先車両から予め受信し、
前記配信順序情報に設定された配信順序で、前記優先エリアに含まれるオブジェクト情報と、前記拡張エリアに含まれるオブジェクト情報と、を前記要求先車両から受信する
ことを特徴とする請求項18に記載の情報処理プログラム。
【請求項25】
前記送信する手順では、
前記優先エリアに隣接する前記優先エリアの拡張エリアよりも前記優先エリアを優先する配信順序が設定された配信順序情報を前記要求元車両へ予め送信し、
前記配信順序情報に設定された配信順序で、前記優先エリアに含まれるオブジェクト情報と、前記拡張エリアに含まれるオブジェクト情報と、を前記要求元車両へ送信する
ことを特徴とする請求項19に記載の情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理技術に関する。特に、車両においてセンシングを行うエリアを設定し、当該エリアのオブジェクト情報を配信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、自車にとって死角となる死角範囲に関する情報を他車に要求し、当該死角範囲に対応する画像情報を他車から受信する方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-299676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、他車に対して死角範囲の情報を無作為に要求し、当該死角範囲に対応する画像情報を無分別に受信するため、自車の運転者や自動運転システムにとって有益な死角情報であるか否かを全ての画像情報を受信するまで判定できない。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、運転者や自動運転システムにとって有益な情報を効率的に取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムは、道路上のオブジェクトを検知した検知結果に基づき、オブジェクトを検知できないエリアのうち優先すべき所定のエリアを優先エリアとして設定し、前記優先エリアに含まれるオブジェクト情報を要求する要求データを要求先車両へ送信し、前記要求先車両からの前記優先エリアにおける前記オブジェクト情報を受信する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転者や自動運転システムにとって有益な情報を効率的に取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る車両Xの構成を示す図である。
図2図2は、図1に示した各構成部のハードウェア構成を示す図である。
図3図3は、情報処理方法の処理手順を示すフローチャートである。
図4図4は、図3に示した処理説明時の補足図である。
図5図5は、情報の送受信処理を示すシーケンスである。
図6図6は、第2実施形態に係る車両A,Bの構成を示す図である。
図7A図7Aは、情報処理方法の処理手順を示すフローチャートである。
図7B図7Bは、情報処理方法の処理手順を示すフローチャートである。
図8図8は、図7A及び図7Bに示した処理説明時の補足図である。
図9図9は、エリア設定方法(バリエーション1)の説明時の補足図である。
図10図10は、エリア設定方法(バリエーション2)の説明時の補足図である。
図11図11は、エリア設定方法(バリエーション3)の説明時の補足図である。
図12図12は、エリア設定方法(バリエーション4)の説明時の補足図である。
図13図13は、第3実施形態に係る車両A,B,Dの構成を示す図である。
図14図14は、情報処理方法の処理手順を示すフローチャートである。
図15図15は、図14に示した処理説明時の補足図である。
図16図16は、図14に示した処理説明時の補足図である。
図17図17は、図14に示した処理説明時の補足図である。
図18図18は、図14に示した処理説明時の補足図である。
図19図19は、図14に示した処理説明時の補足図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(概要)
まず、道路走行中の車両が、オブジェクト検知処理を実行し、オブジェクトを検知できない死角エリアのうち所定の死角エリアを優先エリアとして設定する。例えば、上記車両は、先行車両により遮蔽された、走行予定経路上の車線及び道路と、当該走行予定経路と交錯する車線と、をそれぞれ優先エリアとする。その後、上記車両は、当該2つの優先エリアに含まれるオブジェクト情報を要求するため、近隣の車両に対して、既存のV2X(Vehicle to Everything)通信を用いて要求データを送信する。
【0010】
優先エリア内にV2X通信可能な他車両が存在する場合、当該他車両は、要求データを受信後、自車でオブジェクト検知可能な全エリアのうち上記優先エリアに含まれるオブジェクトを優先検知する。また、上記他車両は、当該優先エリア以外であっても、駐車車両等で自車両の走行予定経路が走行不能になる可能性がある場合、要求元の車両も近い将来において走行予定経路を変更する可能性があるので、上記全エリアのうち変更後の経路に係る非優先エリアの優先度を高めて更なる優先エリア(拡張エリア)とし、当該更なる優先エリアに含まれるオブジェクトも優先検知する。例えば、上記他車両は、要求対象の優先エリアに対応する走行車線に加え、当該走行車線に隣接する隣接車線を更なる優先エリアとして追加する。
【0011】
そして、上記他車両は、要求対象の優先エリアと追加した更なる優先エリア(拡張エリア)とでそれぞれ検知したオブジェクト情報を優先送信するため、当該各優先エリアにそれぞれ対応する各車線リンクIDを1番目、2番目とし、当該各優先エリア以外の非優先エリアに対応する車線リンクIDを3番目以降に設定した配信順序情報を要求元の車両へ送信する。その後、上記他車両は、当該配信順序情報の配信順序で各優先エリア及び非優先エリアのオブジェクト情報をそれぞれ要求元の車両へ送信する。
【0012】
これにより、運転者や自動運転システムにとって有益な情報を効率的に取得する。
【0013】
(第1実施形態)
本発明を適用した第1実施形態を説明する。
【0014】
(車両及び情報処理装置の構成)
図1は、第1実施形態に係る車両Xの構成を示す図である。車両Xは、主として、センサ101と、位置計測部102と、第1視点オブジェクト検知部103と、第2視点オブジェクト検知部104と、オブジェクト情報収集部105と、エリア設定部106と、オブジェクト選択部107と、オブジェクト通信部116と、を備えて構成される。
【0015】
情報処理装置1は、図1に示すように、主として、第1視点オブジェクト検知部103と、第2視点オブジェクト検知部104と、オブジェクト情報収集部105と、エリア設定部106と、オブジェクト選択部107と、オブジェクト通信部116と、を構成する。
【0016】
センサ101は、車両Xの内部、外部、上部、側部等に搭載され、車両Xの周囲に存在するオブジェクトまでの距離、オブジェクトの方向等を測定する機能を備える。また、センサ101は、測定したオブジェクトの距離、方向等を、位置計測部102から送信された現在時刻に関連付けて出力する機能を備える。
【0017】
例えば、センサ101は、レーザレンジファインダ、可視光カメラである。レーザレンジファインダは、360度方位の範囲内で約150m先に位置する道路周辺のオブジェクトに近赤外光を照射し、応答波を受信するまでの応答時間等より、応答波の強度、オブジェクトまでの距離、オブジェクトの方向を測定する。そして、レーザレンジファインダは、例えば0.25度方位を単位ポイントとして180度方位分を纏めたポイントクラウド形式の生データ(強度、距離、方向)を出力する。可視光カメラは、道路周囲を撮影して画像データを出力する。レーザレンジファインダは位置測定精度が高い特徴があり、可視光カメラは機械学習等の認識処理を組み合わせることで、オブジェクトの位置に加え、道路上の図形、文字、色等も認識可能な特徴がある。
【0018】
位置計測部102は、車両Xの現在位置を計測し、現在時刻に関連付けて出力する機能を備える。例えば、位置計測部102は、位置計測装置、3次元位置計測システムである。
【0019】
第1視点オブジェクト検知部103は、車両Xの第1視点において、センサ101が測定した測定データ(オブジェクトの距離、方向等)を用いて、車両Xから見たオブジェクトの相対的位置を算出し、位置計測部102が計測した計測データ(車両Xの位置情報)を用いて、地図上におけるオブジェクトの絶対的位置を算出する機能を備える。絶対的位置の座標系は、世界測地系等、高精度地図上交差点等に所在する所定基準点からの道のり距離等で表現する。
【0020】
これにより、第1視点オブジェクト検知部103は、現在時刻において道路上に存在するオブジェクトを検知する。そして、第1視点オブジェクト検知部103は、オブジェクトの検知結果をオブジェクト情報収集部105及びエリア設定部106に出力する。尚、第1視点オブジェクト検知部103は、センサ101がオブジェクトの種類、速度等も測定していた場合、それらの情報も併せて出力する。
【0021】
第2視点オブジェクト検知部104は、車両Xの第2視点において、第1視点オブジェクト検知部103と同様に、現在時刻において道路上に存在するオブジェクトを検知し、オブジェクトの検知結果をオブジェクト情報収集部105及びオブジェクト選択部107に出力する。このとき、第2視点オブジェクト検知部104は、第1視点とは異なる視点を用いるため、例えば、センサ101と異なる位置のセンサで測定された測定データ、センサ101と異なるセンサ主軸方向のセンサで測定された測定データ、同じセンサ101を用いる場合には測定時刻の異なる測定データを用いる。
【0022】
オブジェクト情報収集部105は、第1視点オブジェクト検知部103と第2視点オブジェクト検知部104とでそれぞれ検知されたオブジェクトの検知結果を検知時刻に関連付けて収集して記憶する機能を備える。
【0023】
オブジェクト通信部116は、所定の通信ネットワークを介して、車両や各種サーバとデータを送受信する機能を備える。例えば、オブジェクト通信部116は、オブジェクト情報収集部105に記憶されたオブジェクトの検知結果等を他車両や各種サーバに送信する。また、オブジェクト通信部116は、他車両や各種サーバから送信されたオブジェクトの検知結果等を受信してオブジェクト情報収集部105に送信する。
【0024】
所定の通信ネットワークとは、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11pに準拠したDSRC(Dedicated Short Range Communications)方式に基づく通信ネットワーク、3GPP(Release 14)に準拠したLTE(Long Term Evolution)セルラV2X方式に基づく無線通信ネットワークである。特定方式の通信ネットワークに限らず、既存の通信ネットワーク、将来利用可能な任意の通信ネットワーク(例えば、5G等の次世代モバイル通信網等)も利用可能である。また、種類の異なる通信ネットワークが接続された複数の通信ネットワークでもよいし、無線でもよいし、有線でもよい。
【0025】
エリア設定部106は、第1視点オブジェクト検知部103において、センサ101のセンサ視野角内で検知できなかったエリアを他の視点情報で補うため、所定のエリアを設定する機能を備える。具体的には、エリア設定部106は、第1視点オブジェクト検知部103におけるオブジェクト検知結果に基づき、オブジェクトを検知できないエリアのうち所定のエリアを優先エリアとして設定する機能を備える。
【0026】
例えば、エリア設定部106は、車両Xの手前のオブジェクトにより遮蔽された複数の死角エリアのうち、車両Xの運転者や自動運転システムにとって有益な死角エリアを優先エリアに設定する。優先エリアとしては、例えば、先行車両により遮蔽された、前方の走行エリア、前方の交差点エリアである。一方、後方車両により遮蔽された後方エリアは、優先エリアとして設定しない。
【0027】
オブジェクト選択部107は、エリア設定部106が設定した優先エリアに対し、第2視点オブジェクト検知部104のオブジェクト検知結果を用いて、第2視点で新たに検知できるようになったエリアのオブジェクトを選択し、選択したオブジェクト情報を優先してオブジェクト情報収集部105に出力する機能を備える。
【0028】
オブジェクト情報とは、所定エリアのオブジェクト検知処理を行った結果として検知されたデータであって、予め設定された所定の物体(例えば、人、車両(普通車、大型車、二輪車等)、自転車、道路構造物、路上障害物等)、所定以上の大きさを有する物体に関する、次のデータである。
【0029】
例えば、オブジェクト情報とは、検知された物体の地理的位置を示すデータである。具体的には、緯度経度により特定される位置、道路地図に存在する所定パラメータ(ノード、リンク等)により特定される位置、オブジェクトを検知したセンサ等からの相対的な位置等である。
【0030】
また、オブジェクト情報とは、検知された物体の種別を示すデータである。例えば、人、車両(普通車、大型車、二輪車等)、自転車、道路構造物、路上障害物等といった種別情報である。また、オブジェクト情報とは、検知された物体の大きさを示すデータ(長さ、幅、高さ等)である。また、オブジェクト情報とは、検知された物体が含まれる静止画データ、動画データ、ポイントクラウドデータである。更に、オブジェクト情報として、検知された物体の速度、検知時刻、観測時刻等を含めてもよい。
【0031】
その他、情報処理装置1は、道路側方を監視する監視センサ(不図示)と、道路境界線検出手段(不図示)と、静止オブジェクトエリア推定手段(不図示)と、を更に備える。静止オブジェクトエリア推定手段は、道路境界線又は背景オブジェクトを検知し、道路上オブジェクトを検知して、「道路境界線又は背景オブジェクトの検知結果」及び「道路上オブジェクトの検知結果」に基づき、検知したオブジェクトと見切り線との交点を求め、静止オブジェクトエリアを推定計算することにより、車両又は障害物を検知する機能を備える。
【0032】
車両又は障害物を検知した場合、情報処理装置1は、車両Xの運転支援システム又は自動運転システムに静止オブジェクトエリアを領域情報で表示し、静止オブジェクトの存在を音声で通知する。尚、領域情報とは、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)緯度経度座標と接続情報、高精度マップのレーンIDと道のり距離による区間情報、車線リンクIDと座標情報等である。
【0033】
(車両及び情報処理装置のハードウェア構成)
図2は、図1に示した各構成部のハードウェア構成を示す図である。各構成部は、例えば、センサデバイスH101と、位置計測装置H102と、通信機H103と、演算処理装置H104と、で構成される。
【0034】
センサデバイスH101は、図1に示したセンサ101であり、前方センサH101aと、後方センサH101bと、右側センサH101cと、左側センサH101dと、で構成される。
【0035】
前方センサH101aは、車両Xの前方の可視画像を撮像するため、画角90度の4K解像度カメラ及びレンズを搭載する。前方センサH101aは、車両Xの進行方向に向けてカメラの中央が設置され、道路境界線検出手段(不図示)での道路境界線の検出結果に応じて画像データを出力する。
【0036】
後方センサH101bは、前方センサH101aと同じカメラ及びレンズを搭載する。後方センサH101bは、車両Xの進行方向に対して180度後方の方向に向けてカメラの中央が設置され、道路境界線検出手段(不図示)での道路境界線の検出結果に応じて、前方センサH101aの撮像タイミングに最も近いタイミングで撮影した画像データを出力する。
【0037】
右側センサH101cは、車両Xの右側の可視画像を撮像するため、画角180度の4K解像度カメラ及びレンズを搭載する。右側センサH101cは、車両Xの進行方向に対して90度右方向に向けてカメラの中央が設置され、道路境界線検出手段(不図示)の出力に応じて、前方センサH101aの撮像タイミングに最も近いタイミングで撮影した画像データを出力する。
【0038】
左側センサH101dは、右側センサH101cと同じカメラ及びレンズを搭載する。左側センサH101dは、車両Xの進行方向に対して90度左方向に向けてカメラの中央が設置され、道路境界線検出手段(不図示)の出力に応じて、前方センサH101aの撮像タイミングに最も近いタイミングで撮影した画像データを出力する。
【0039】
位置計測装置H102は、図1に示した位置計測部102であり、車両Xの内部に搭載され、他装置からGNSS信号を受信し、現在時刻における車両Xの位置、車両Xの進行方向を算出する。
【0040】
通信機H103は、第1通信機H103aと、第2通信機H103bと、第3通信機H103cと、で構成される。第1通信機H103aと第2通信機H103bは、図1に示したセンサ101及び位置計測部102が車両Xに搭載され、かつ、情報処理装置1が車両X以外に搭載される場合に用いられる。第3通信機H103cは、情報処理装置1が他車両や各種サーバとの間で通信する際に用いられる。尚、第2通信機H103b及び第3通信機H103cは、1つの無線通信回路で構成してもよい。
【0041】
第1通信機H103aは、センサ101及び位置計測部102が情報処理装置1との間で送受信するデータを通信制御する。具体的には、第1通信機H103aは、位置計測装置H102の現在時刻をセンサデバイスH101に配信すると共に、第2通信機H103bを介して、第1演算処理装置H104aと、第2演算処理装置H104bと、第3演算処理装置H104cと、の間でデータ送受信を行う。
【0042】
第2通信機H103bは、情報処理装置1がセンサ101及び位置計測部102との間で送受信するデータを通信制御する。具体的には、第2通信機H103bは、第1通信機H103aを介して、センサ101と、位置計測部102と、の間でデータ送受信を行う。
【0043】
第3通信機H103cは、情報処理装置1が他車両や各種サーバとの間で送受信するデータを通信制御する。具体的には、第3通信機H103cは、オブジェクト通信部116を備え、所定の通信ネットワークを介して、他車両や各種サーバとの間でデータ送受信を行う。
【0044】
演算処理装置H104は、第1演算処理装置H104aと、第2演算処理装置H104bと、第3演算処理装置H104cと、で構成される。
【0045】
第1演算処理装置H104aは、センサデバイスH101及び位置計測装置H102から出力されたデータをもとに、第1視点オブジェクト検知部103とエリア設定部106の各処理を実行する。また、第1演算処理装置H104aは、第1視点オブジェクト検知部103のオブジェクト検知結果を第3演算処理装置H104cに送信し、エリア設定部106のエリア設定情報を第2演算処理装置H104bに送信する。
【0046】
第2演算処理装置H104bは、センサデバイスH101、位置計測装置H102、第1演算処理装置104aから出力されたデータをもとに、第2視点オブジェクト検知部104とオブジェクト選択部107の各処理を実行する。また、第2演算処理装置H104bは、第2視点オブジェクト検知部104のオブジェクト検知結果と、オブジェクト選択部107のオブジェクト情報とを、第3演算処理装置H104cに送信する。
【0047】
第3演算処理装置H104cは、第1演算処理装置H104a及び第2演算処理装置H104bから出力されたデータをもとに、オブジェクト情報収集部105の処理を実行する。また、第3演算処理装置H104cは、オブジェクト情報収集部105が収集したデータを、オブジェクト通信部116を備えた第3通信機H103cを通じて、他車両や各種サーバへ送信する。また、第3演算処理装置H104cは、第3通信機H103cのオブジェクト通信部116に対して他車両や各種サーバから送信されたオブジェクトの検知結果等を受信し、オブジェクト情報収集部105に出力する。
【0048】
尚、演算処理装置H104は、CPU、メモリ、ハードディスク、入出力インタフェース等を備えるコンピュータで実現可能である。また、演算処理装置H104は、車両、携帯電話端末、移動体通信網上のモバイルエッジコンピュータ、路側に設置された道路交通設備サーバ、インターネット上のクラウドサーバ等に搭載可能である。
【0049】
(情報処理方法)
次に、情報処理装置1で行う情報処理方法について説明する。図3は、情報処理方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0050】
最初に、図4を用いて前提条件を説明する。車両Xは、図4の上側に示す第1視点では、前方に遮蔽物O1が存在し、車速20km/hで接近している。遮蔽物O1は、不動であり車両Xの走行道路の一部を占有している。
【0051】
ステップS101;
まず、第1視点オブジェクト検知部103は、図4の上側に示す第1視点において、オブジェクト検知を行う。その後、第1視点オブジェクト検知部103は、オブジェクト検知結果をオブジェクト情報収集部105に格納し、エリア設定部106に送信する。第1視点ではオブジェクトとして遮蔽物O1を検出する。
【0052】
ステップS102;
次に、エリア設定部106は、遮蔽物O1によりオブジェクトを検知できなかった死角エリアのうち所定の死角エリアを優先エリアに設定し、オブジェクト選択部107に送信する。ここでは、エリア設定部106は、遮蔽物等の存在により、自車両のセンサにより所定エリアのオブジェクト情報が得られないエリアを優先エリアとして設定する。例えば、エリア設定部106は、図4の上側に示すように、遮蔽物O1と見切り線L1,L2との交点を求め、遮蔽物O1の後側エリアであり、かつ、見切り線L1,L2より遮蔽物O1側のエリアS1を優先エリアS1として設定する。
【0053】
ステップS103;
次に、第2視点オブジェクト検知部104は、車両Xが移動した図4の下側に示す第2視点において、オブジェクト検知を行う。その後、第2視点オブジェクト検知部104は、オブジェクトの検知結果をオブジェクト情報収集部105に送信し、オブジェクト選択部107に送信する。第2視点ではオブジェクトとして三角コーンO2を検出する。
【0054】
ステップS104;
最後に、オブジェクト選択部107は、遮蔽物O1に接する見切り線L1と右側の車線とで囲まれる道路を見通す範囲内のエリアS2を、優先送信する新たに検知できるようになったエリアであって第1視点で一時遮蔽されていた一時遮蔽エリアS2として定める。そして、オブジェクト選択部107は、第1視点でオブジェクトを検出できなかった優先エリアS1において、第2視点で新たに検知できるようになった一時遮蔽エリアS2の三角コーンO2を選択し、優先的にオブジェクト情報収集部105に送信する。例えば、オブジェクト選択部107は、三角コーンO2のオブジェクト情報を先に送信し、遮蔽物O1のオブジェクト情報を次に送信する。
【0055】
また、オブジェクト選択部107は、三角コーンO2のオブジェクト情報を送信すると共に、第1視点ではオブジェクトを検知できず第2視点で新たにオブジェクトを検知できるようになった一時遮蔽エリアS2を示す情報をオブジェクト情報収集部105に送信する。つまり、オブジェクト選択部107は、一時遮蔽エリアS2に含まれるオブジェクト情報に加え、一時遮蔽エリアS2のエリア情報も併せて送信する。例えば、オブジェクト選択部107は、一時遮蔽エリアS2の地理的位置を示す情報、一時遮蔽エリアS2を検知可能となった第2視点の地理的位置を示す情報を送信する。
【0056】
尚、三角コーンO2のオブジェクト情報とは、手前の遮蔽物O1の存在により、第1視点の第1位置では検知できず、第1視点よりも三角コーンO2のオブジェクトに対して更に接近した第2視点でないと検知できないオブジェクト情報(一時遮蔽オブジェクト情報)である。
【0057】
(ステップS104のバリエーション1)
オブジェクト選択部107が一時遮蔽オブジェクト情報を車両Xのオブジェクト情報収集部105に送信した後、オブジェクト情報収集部105は、オブジェクト通信部116を介して、当該一時遮蔽オブジェクト情報を車両Xから他車両や各種サーバに優先して送信することも可能である。
【0058】
これにより、三角コーンO2に接近していない他車両であっても、車両Xから送信された当該一時遮蔽オブジェクト情報に基づき、事前に当該一時遮蔽オブジェクト情報のオブジェクトを検知可能となる。
【0059】
(ステップS104のバリエーション2)
また、オブジェクト情報収集部105は、一時遮蔽オブジェクト情報を他車両や各種サーバに送信すると共に、一時遮蔽エリアS2を示す情報(エリア情報)を他車両や各種サーバに送信してもよい。一時遮蔽エリアS2を示す情報とは、上述したように、第1視点ではオブジェクトを検知できなかったエリアであって、第1視点とは異なる第2視点で新たにオブジェクトを検知できるようになったエリアに関する情報である。例えば、オブジェクト情報収集部105は、一時遮蔽エリアS2の地理的位置又は範囲を示す情報、一時遮蔽エリアS2を検知可能となった第2視点での車両Xの地理的位置を示す情報を送信する。
【0060】
このように、一時遮蔽エリアS2を示す情報を車両Xから他車両に送信することにより、他車両は、当該一時遮蔽エリアS2を、走行時に自車両のセンサによりオブジェクト検知が可能なエリアであることを記憶し認識可能となる。他車両は、当該一時遮蔽エリアS2を示す情報を受信することで、第1視点ではセンサによるオブジェクト検知できないものの、第1視点を通過した後の第2視点においては、一時遮蔽エリアS2のオブジェクト検知が可能になることを判断できる。それ故、例えば、他車両は、第2視点において自車両のセンサによるオブジェクト検知を前提とした車両制御を行うような走行計画を事前に計画可能となる。
【0061】
(ステップS104のバリエーション3)
更に、オブジェクト情報収集部105は、第1視点ではオブジェクトを検出できず、更に第2視点でもオブジェクトが検知できないエリア(非検知エリア)を示す情報(非検知エリア情報)を、オブジェクト通信部116を介して、車両Xから他車両や各種サーバに送信してもよい。非検知エリアを示す情報とは、例えば、優先エリアS1のうち一時遮蔽エリアS2を含まないエリアの地理的位置又は範囲を示す情報、及び第2視点の地理的位置を示す情報である。
【0062】
このように、第2視点でもオブジェクトが検知できない非検知エリアを車両Xから他車両や各種サーバに送信することにより、他車両は、当該非検知エリアを、道路走行によっても自車両のセンサによりオブジェクト検知できない要注意エリアとして記憶し認識可能となる。それ故、例えば、他車両は、道路走行時に速度を減速する等、当該非検知エリアを車両走行の制御に反映可能となる。
【0063】
ステップS104の後、車両Xにおいて、オブジェクト情報収集部105に格納されたオブジェクト情報は、オブジェクトの存在エリアを回避するための走行経路を生成するための情報元として活用される。
【0064】
また、車両Xにおいて、オブジェクト情報収集部105に格納されたオブジェクト情報は、オブジェクト通信部116を介して他車両や各種サーバに送信され、他車両や各種サーバにおいて利用される。他車両や各種サーバに送信されるオブジェクト情報については、後述する表1に例示する。
【0065】
(情報の送受信処理シーケンス)
次に、各機能部間で行う情報の送受信処理について説明する。図5は、情報処理装置1で行う情報の送受信処理の処理手順を示すシーケンスである。
【0066】
時刻t0;
まず、センサ101において、可視光カメラが車両Xの周囲を撮影し、レーザレンジファインダが車両Xの周囲に存在するオブジェクトの距離、方向等を測定する。その後、センサ101は、撮影した画像データ及び測定データを第1視点オブジェクト検知部103に配信する。同時に、位置計測部102は、車両Xの現在位置を測定し、現在時刻と共に第1視点オブジェクト検知部103に配信する。
【0067】
時刻t1;
次に、第1視点オブジェクト検知部103は、第1視点において、道路上又は周辺のオブジェクトの位置を算出することでオブジェクト検知を行い、オブジェクト検知結果をエリア設定部106及びオブジェクト情報収集部105に配信する。
【0068】
時刻t2;
次に、エリア設定部106は、車両Xの手前に存在するオブジェクトにより、センサ101のセンサ視野角範囲内で検知できなかった複数の死角エリアのうち、車両Xの運転者や自動運転システムにとって有益な死角エリアを優先エリアS1に設定する。その後、エリア設定部106は、当該優先エリアS1のエリア特定情報をオブジェクト選択部107に配信する。
【0069】
時刻t3;
次に、オブジェクト選択部107は、上記優先エリアS1のエリア特定情報を受信する。
【0070】
時刻t4;
次に、センサ101において、可視光カメラが車両Xの周囲を撮影し、レーザレンジファインダが車両Xの周囲に存在するオブジェクトの距離、方向等を測定する。その後、センサ101は、撮影した画像データ及び測定データを第2視点オブジェクト検知部104に配信する。同時に、位置計測部102は、車両Xの現在位置を測定し、現在時刻と共に第2視点オブジェクト検知部104に配信する。
【0071】
時刻t5;
次に、第2視点オブジェクト検知部104は、第2視点において、道路上のオブジェクトの位置を算出することでオブジェクト検知を行い、オブジェクト検知結果をオブジェクト選択部107及びオブジェクト情報収集部105に配信する。
【0072】
時刻t6;
次に、オブジェクト選択部107は、上記優先エリアS1のエリア特定情報及び第2視点のオブジェクト情報を用いて、第2視点で新たに検知できるようになったエリアであって第1視点で一時遮蔽されていた一時遮蔽エリアS2に含まれる一時遮蔽オブジェクト情報を優先してオブジェクト情報収集部105に配信する。
【0073】
時刻t7;
最後に、オブジェクト情報収集部105は、オブジェクト選択部107から受信したオブジェクト情報を既存のオブジェクト情報に統合する。
【0074】
(第1実施形態の効果)
本実施形態によれば、情報処理装置1において、第1視点オブジェクト検知部103が、第1視点においてオブジェクト検知を行い、エリア設定部106が、当該オブジェクト検知結果に基づき、オブジェクトを検知できない死角エリアのうち所定の死角エリアを優先エリアS1として設定する。
【0075】
また、第2視点オブジェクト検知部104が、第2視点においてオブジェクト検知を行い、オブジェクト選択部107が、第1視点でオブジェクトを検出できなかった優先エリアS1のうち、第2視点で新たに検知できるようになった一時遮蔽エリアS2からオブジェクトを選択する。
【0076】
これにより、車両Xの運転者や自動運転システムは、オブジェクトの存在可能性を予め把握でき、余裕をもって道路上の静止オブジェクトを回避する走行経路を計画できる。その結果、運転者や自動運転システムにとって有益な情報を効率的に取得できる。
【0077】
(第2実施形態)
本発明を適用した第2実施形態を説明する。
【0078】
(車両及び情報処理装置の構成)
図6は、第2実施形態に係る車両A,Bの構成を示す図である。車両Aは車両Bの構成を更に備えてもよいし、車両Bも車両Aの構成を更に備えてもよい。すなわち、車両Aと車両Bは、いずれも、一の車両で図6に示した全ての機能部を備えるように構成してもよい。
【0079】
(車両Aの構成)
車両Aは、センサ101Aと、位置計測部102Aと、第2視点オブジェクト検知部104Aと、オブジェクト選択部107Aと、地図情報記憶部111Aと、オブジェクト選択エリア補正部112Aと、通信部113Aと、を搭載する。車両Aは、車両Bが備える全ての機能部を更に搭載してもよい。
【0080】
センサ101Aは、車両Aの周囲に存在するオブジェクトまでの距離、方向等を測定する機能を備える。
【0081】
位置計測部102Aは、車両Aの現在位置を計測する機能を備える。
【0082】
第2視点オブジェクト検知部104Aは、センサ101Aの測定データ及び位置計測部102Aの計測データを用いて、車両Aの視点において道路上に存在するオブジェクトを検知する機能を備える。例えば、第2視点オブジェクト検知部104Aは、車両Aの360度方位エリアに存在する車両、障害物等の位置情報を検知する。
【0083】
オブジェクト選択部107Aは、後述する車両Bのエリア設定部106Bが設定した優先エリアに対し、第2視点オブジェクト検知部104Aのオブジェクト検知結果を用いて、車両Aの視点で検知した当該優先エリアのオブジェクトを選択し、選択したオブジェクト情報を優先して通信部113Aに出力する機能を備える。
【0084】
また、オブジェクト選択部107Aは、オブジェクト選択エリア補正部112Aにより、車両Bが設定した優先エリアが拡張(追加)されている場合、当該拡張された優先エリア(拡張エリア)のオブジェクトも選択し、車両Bのエリア設定部106Bが設定した優先エリアと同じ優先度で、当該選択したオブジェクト情報も優先して通信部113Aに出力する機能を備える。
【0085】
さらに、オブジェクト選択部107Aは、検知した全てのエリアの中で上記優先エリア(拡張エリアを含む)以外の非優先エリアからもオブジェクトを選択し、選択したオブジェクト情報を次の優先度で通信部113Aに出力する機能を備える。
【0086】
地図情報記憶部111Aは、道路情報、車線情報、信号機情報、建物情報等を含む地図情報を記憶し、車両Aの位置する周辺の地図情報をオブジェクト選択エリア補正部112Aに出力する機能を備える。
【0087】
オブジェクト選択エリア補正部112Aは、地図情報記憶部111Aから出力された地図の車線情報と、第2視点オブジェクト検知部104Aのオブジェクト検知結果と、車両Aの位置情報とに基づき、第2視点オブジェクト検知部104Aが検知したオブジェクトによる影響(例えば、車線封鎖等)により車線変更の必要性を判定する機能を備える。
【0088】
車線変更の必要性を判定する機能とは、自車両の前方にある走行予定車線内に、例えば、路上障害物や停車車両等の静止オブジェクトがあることを検知し、静止オブジェクトを検知した場合には、隣接する車線の走行可否を判定し、走行が可能な場合には、車線変更が必要であることを判定する機能である。
【0089】
また、オブジェクト選択エリア補正部112Aは、車両Aにおいて車線変更等が必要な場合、道路境界線検出手段(不図示)で検出した道路境界線情報に基づき、車両Bが設定していた優先エリアを拡張(追加)する機能を備える。
【0090】
例えば、オブジェクト選択エリア補正部112Aは、車両Bが設定していた優先エリアを、車両Aの走行車線(=当該優先エリア)と当該走行車線の隣接車線(=当該優先エリアに追加する拡張エリア)とを含む道路幅全体に拡張する。対向車線を拡張エリアにする場合、オブジェクト選択エリア補正部112Aは、車両Aの道のり方向で15秒分遠方のエリアを追加する。また、オブジェクト選択エリア補正部112Aは、地図情報記憶部111Aに車線情報が掲載されていない場合、上記優先エリアが道路上の道路境界線の内側になるように補正(拡張)する。道路境界線としては、例えば、道路上の白線、縁石と道路の境界線、街路樹低木等の道路構造物と道路の境界線、建物と道路の境界線、車両等を用いる。
【0091】
通信部113Aは、車両Bから、車両Bが設定した優先エリアに含まれるオブジェクト情報を要求するための要求データを受信する機能を備える。車両Bから車両Aに送信される要求データには、例えば、要求元の車両を識別するためのデータ(車両Bの識別符号等)、オブジェクト情報を要求する優先度を示すフラグ(優先度が高い旨のフラグ等)、オブジェクトを検知する探索エリア(優先エリアの地理的範囲を示すデータ等)、オブジェクト情報を要求する有効期限(当該オブジェクト情報の送信日時の期限等)が含まれる。尚、地理的範囲を示すデータとは、緯度経度により表現されるデータであってもよいし、道路地図に含まれるノードやリンクを示すデータによって表現されてもよい。
【0092】
また、通信部113Aは、車両Bが設定した優先エリアのオブジェクト情報を優先して車両Bに送信する機能を備える。また、通信部113Aは、オブジェクト選択エリア補正部112Aにより当該優先エリアが拡張されている場合、拡張された将来検知可能な優先エリアのオブジェクト情報を同じ優先度で車両Bに送信する機能を備える。さらに、通信部113Aは、非優先エリアのオブジェクト情報を次の優先度で車両Bに送信する機能を備える。オブジェクト情報とは、第1実施形態で説明した通り、道路上に存在する車両、障害物等の位置情報等である。
【0093】
例えば、通信部113Aは、要求対象の優先エリアと拡張した優先エリアとでそれぞれ検知したオブジェクト情報を優先送信するため、当該各優先エリアにそれぞれ対応する各車線リンクIDを1番目、2番目とし、優先エリア以外の非優先エリアに対応する各車線リンクIDを3番目以降に設定した配信順序情報を予め要求元車両へ送信する。その後、通信部113Aは、当該配信順序情報の配信順序で各優先エリア及び各非優先エリアのオブジェクト情報をそれぞれ車両Bへ送信する。
【0094】
尚、通信部113Aは、第1実施形態で説明した通り、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11pに準拠したDSRC(Dedicated Short Range Communications)方式、又は3GPP(Release 14)に準拠したLTE(Long Term Evolution)セルラV2X方式に基づき、車両間の直接通信でデータを送受信する。後述する通信部110Bも同様である。
【0095】
(通信部113Aのバリエーション1)
通信部113Aは、上記優先エリア(拡張エリアを含めてもよい)のオブジェクト情報と共に、当該優先エリアのうち、車両Aのセンサ101Aによりオブジェクト検知が行われた検知エリアであって一時遮蔽されていたエリア(第1実施形態でいう一時遮蔽エリア)を示す情報を更に送信するようにしてもよい。一時遮蔽エリアを示す情報とは、一時遮蔽エリアの地理的位置又は範囲を示す情報、当該一時遮蔽エリアを検知した際の車両Aの地理的位置を示す情報である。
【0096】
このように、一時遮蔽エリアを示す情報を車両Aから車両Bへ送信することにより、車両Bは、当該一時遮蔽エリアを、走行時に自車両のセンサによりオブジェクト検知が可能なエリアであることを記憶し認識可能となる。車両Bは、当該一時遮蔽エリアを示す情報を受信することで、一時遮蔽エリアを検知した際の車両Aの位置において、一時遮蔽エリア内のオブジェクト検知が可能になることを判断できる。それ故、例えば、車両Bは、一時遮蔽エリアを検知した際の車両Aの位置において、自車両のセンサによるオブジェクト検知を前提とした車両制御を行うような走行計画を事前に計画可能となる。
【0097】
(通信部113Aのバリエーション2)
通信部113Aは、車両Aが、車両Bから受信した優先エリアの周囲を走行した際に、車両Aではオブジェクト検知ができなかったエリア(第1実施形態でいう非検知エリア)を示す情報を併せて送信してもよい。非検知エリアを示す情報とは、例えば、非検知エリアの地理的位置又は範囲を示す情報、及び車両Aによりオブジェクト検知ができなかった際の車両Aの地理的位置を示す情報(車両Aの走行済ルート情報等)である。
【0098】
このように、車両Aの走行によってもオブジェクトが検知できない非検知エリアを車両Aから車両Bに送信することにより、車両Bは、当該非検知エリアを、道路走行によっても自車両のセンサによりオブジェクト検知できない要注意エリアとして記憶し認識可能となる。それ故、車両Bは、道路走行時に速度を減速する等、当該非検知エリアを車両走行の制御に反映可能となる。
【0099】
(通信部113Aのバリエーション1,2の共通事項)
通信部113Aのバリエーション1,2で説明した一時遮蔽エリア及び非検知エリアは、車両Bが設定した拡張前の優先エリアのみに限らず、車両Aが拡張した拡張後の優先エリアにも適用可能である。つまり、車両Aは、車両Bに対して、自車両で拡張した優先エリアのうち車両Aのセンサによりオブジェクト検知がなされた一時遮蔽エリアを示す情報、及び拡張した優先エリアの周囲を走行した際に車両Aではオブジェクト検知ができなかった非検知エリアを示す情報を送信することができる。
【0100】
ここで、一時遮蔽エリア、優先エリア、拡張エリアについて、改めて説明する。
【0101】
一時遮蔽エリアとは、所定の車両において、走行車線上の前方等に位置する遮蔽物の影響により遮蔽されていたエリアであって、かつ、当該遮蔽物を避けるために一時的に移動して移動時にオブジェクト検知可能となったエリアである。例えば、停止中の先行車両を避けた際に検知可能となったエリアであって、もともとの走行車線と当該走行車線の隣接車線との両方を対象エリアにしたオブジェクト検知のためのエリアである。
【0102】
一方、優先エリアとは、他車両がオブジェクト情報を取得するために設定したエリアであって、上記例の場合、もともとの走行車線のエリアを指す。また、拡張エリアとは、優先エリアを拡張したエリアであって、上記例の場合、優先エリアに隣接するエリアであって、上記走行車線に隣接する車線のエリアを指す。
【0103】
(車両Aから車両Bへ送信されるオブジェクト情報)
車両Aから車両Bへ送信されるオブジェクト情報の例を表1に示す。当該オブジェクト情報は、車両Bからの要求に基づき、車両Aがセンシングを行った結果であるオブジェクト情報及びエリア情報であり、車両Aが車両Bに応答する回答コンテンツデータのデータ構造の一例である。
【0104】
【表1】
【0105】
(車両Bの構成)
引き続き、車両Bについて説明する。
【0106】
車両Bは、センサ101Bと、位置計測部102Bと、第1視点オブジェクト検知部103Bと、オブジェクト情報収集部105Bと、エリア設定部106Bと、地図・走行予定経路情報記憶部108Bと、エリア補正部109Bと、通信部110Bと、を搭載する。車両Bは、車両Aが備える全ての機能部を更に搭載してもよい。
【0107】
センサ101Bは、車両Bの周囲に存在するオブジェクトまでの距離、方向等を測定する機能を備える。
【0108】
位置計測部102Bは、車両Bの現在位置を計測する機能を備える。
【0109】
第1視点オブジェクト検知部103Bは、センサ101Bの測定データ及び位置計測部102Bの計測データを用いて、車両Bの視点において道路上に存在するオブジェクトを検知する機能を備える。例えば、第1視点オブジェクト検知部103Bは、車両Bの360度方位エリアに存在する車両、障害物等の位置情報を検知する。
【0110】
オブジェクト情報収集部105Bと、第1視点オブジェクト検知部103Bと車両Aの第2視点オブジェクト検知部104Aとでそれぞれ検知されたオブジェクトの検知結果を検知時刻に関連付けて収集して記憶する機能を備える。
【0111】
エリア設定部106Bは、第1視点オブジェクト検知部103Bにおいて、センサ101Bのセンサ視野角内で検知できなかった死角エリアを他の視点情報で補うため、検知できなかった又は検知困難であった複数の死角エリアのうち所定の死角エリアであり、かつ、エリア補正部109Bが決定した監視エリアを優先エリアとして設定する機能を備える。優先エリアとは、少なくとも所定のタイミングにおいて、車両Bにより検知された所定対象物(例えば、道路上の白線、道路上の車両)に基づく境界を基準としたエリアである。
【0112】
また、エリア設定部106Bは、道路上のオブジェクトを検知した検知結果に基づき、第1視点でオブジェクトを検知できなかったエリアであって、かつ、当該第1視点と時刻の異なる第2視点でオブジェクトを検知可能となった一時遮蔽エリアを設定する機能を備える。この場合、車両Bは、車両Aの構成(第2視点オブジェクト検知部104A等)を更に備えている。
【0113】
地図・走行予定経路情報記憶部108Bは、道路情報、車線情報、信号機情報、建物情報等を含む地図情報を記憶し、車両Bの運転者や自動運転システムが指定したルートプランに基づく車両Bの将来の走行予定経路及び速度計画の情報を記憶する機能を備える。
【0114】
エリア補正部109Bは、車両Bの将来の走行予定経路及び速度計画を取得し、当該走行予定経路及び速度計画に基づき、エリア設定部106Bで設定された優先エリアのうち、車両Bの運転者や自動運転システムにとって将来において優先的に設定すべき監視エリアを決定する機能を備える。
【0115】
例えば、エリア補正部109Bは、走行予定経路に沿って15秒程度先までの道路エリアを監視エリアとして決定する。その他、走行予定経路に交差点、合流点等の分岐点がある場合、エリア補正部109Bは、当該分岐点に流入する対向車線の道路についても監視エリアとして決定する。具体的には、エリア補正部109Bは、例えば、車両Bから分岐点までの距離と同じ距離、又は車両Bが分岐点に到達する走行時間と同じ時間分の距離に対応する流入側の道路を監視エリアとする。
【0116】
尚、エリア設定部106B及びエリア補正部109Bは、死角エリア、優先エリア、監視エリアを設定又は決定する場合、地図・走行予定経路情報記憶部108Bに格納された地図情報を用いて地図上の車線リンクID等に基づき設定する。
【0117】
通信部110Bは、エリア設定部106Bで設定された優先エリアに含まれるオブジェクト情報を要求するための要求データを近隣の車両へ送信する機能を備える。要求データには、例えば、優先エリアに関する情報、オブジェクト情報を要求する車両Bの位置及び走行予定経路に関する情報等が含まれる。また、通信部110Bは、一時遮蔽エリアを車両B等の車両A、車両A以外の車両、又は各種サーバへ送信する機能を備える。また、通信部110Bは、車両Bの近隣において、電波到達範囲内にV2X通信可能な車両が複数ある場合、当該複数の車両のうちいずれか一以上の車両を選択する機能を備える。さらに、通信部110Bは、当該要求データを送信した要求先の車両(車両A)から送信されたオブジェクト情報を受信する機能を備える。
【0118】
(車両Bから車両Aへ送信される要求データ)
車両Bから車両Aへ送信される要求データの例を表2に示す。当該要求データは、優先エリアにおけるオブジェクト情報を要求するためのデータ構造の一例である。
【0119】
【表2】
【0120】
(情報処理方法)
次に、情報処理装置1で行う情報処理方法について説明する。図7A及び図7Bは、情報処理方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0121】
最初に、図8を用いて前提条件を説明する。車両Bは、信号のない交差点で左折する走行予定経路を持ち、最大40km/hで走行する走行計画を持つ。車両Bは、交差点の手前50mの位置を通過中である。車両Bの前方には、V2X通信できない先行中の車両C1が存在する。車両Bの走行予定経路内にある交差点を左折した所定位置には、駐車中の車両C2が存在している。そして、車両Aは、車両Bの走行予定経路内において、当該駐車中の車両C2を追い越すタイミングにいる。車両Aは、車両Bにとって15秒先に存在する可能性のある位置に存在しており、130m先の位置にいる。
【0122】
ステップS201;
まず、車両Bにおいて、第1視点オブジェクト検知部103Bは、車両Bの360度方位エリアについてオブジェクト検知を行う。その後、第1視点オブジェクト検知部103Bは、オブジェクト検知結果をオブジェクト情報収集部105Bに格納し、エリア設定部106Bに送信する。ここでは、オブジェクトとして、前方エリアで先行中の車両C1を検出する。
【0123】
ステップS202;
次に、エリア設定部106Bは、オブジェクトを検知できなかった死角エリアのうち先行中の車両C1によりオブジェクトを検知できなかった死角エリアを優先エリアに設定する。例えば、エリア設定部106は、図8に示すように、車両C1と見切り線L1,L2との交点を求め、車両C1の後側のエリアであり、かつ、見切り線L1,L2より車両C1側のエリアを優先エリアとして設定する。
【0124】
ステップS203;
次に、エリア補正部109Bは、当該優先エリアにおいて、地図・走行予定経路情報記憶部108Bから取得した車両Bの走行予定経路及び速度情報を用いて、監視対象距離を設定する。走行予定経路に沿って15秒程度先までの道路エリアを監視エリアとする場合、最大車両速度が40km/hであることから、エリア補正部109Bは、走行予定経路に沿って現在の位置から162m先までを監視対象距離とする。
【0125】
ステップS204;
次に、エリア補正部109Bは、走行予定経路に沿って車両Bの走行中の道路区間50m及び交差点左折後112mの車線及び道路を監視エリアS1と設定する。尚、エリアの指定方法は、地図上の車線リンクIDと交差点からの道のり距離とする。高精度マップを道路インフラ網内又は車載上に備えている場合、車線リンクIDのみでもよい。尚、補完又は代替して、道路・車線境界の位置座標を4点以上設定してもよい。
【0126】
ステップS205;
また、エリア補正部109Bは、走行予定経路に沿って、交差点に進入する対向車線の道路についても、車両Bにとっては死角エリアであることから、交差点から先50m区間の車線及び道路を監視エリアS2と設定する。
【0127】
ステップS206;
次に、エリア設定部106Bは、ステップS202で設定していた優先エリアにおいて、ステップS204及びステップS205でエリア補正部109Bが設定した監視エリアS1,S2を車両Bの優先エリアS1,S2として決定する。
【0128】
尚、ステップS205、S206において、エリア設定部106Bは、第1視点でオブジェクトを検知できなかったエリアであって、かつ、当該第1視点と時刻の異なる第2視点でオブジェクトを検知可能となった一時遮蔽エリアを設定してもよい。
【0129】
ステップS207;
その後、通信部110Bは、決定した車両Bの優先エリアS1,S2に含まれるオブジェクト情報を要求するため、近隣で通信可能な複数の車両のうちいずれか一の車両を選択し、当該一の車両(車両A)へ要求データを送信する。通信部110Bは、一時遮蔽エリアが設定されている場合、当該一時遮蔽エリアを更に送信する。このとき、通信部110Bは、当該一時遮蔽エリアに含まれるオブジェクト情報を要求するようにしてもよい。尚、車両Bから車両Aへ送信される要求データ(パケットのデータ構造)は、上述した表2の通りである。
【0130】
ステップS208;
次に、車両Aにおいて、通信部113Aは、車両Bから上記要求データを受信する。要求データには、優先エリアS1,S2に関する情報、オブジェクト情報を要求する車両Bの位置及び走行予定経路に関する情報等が含まれている。
【0131】
ステップS209;
次に、第2視点オブジェクト検知部104Aは、車両Aの360度方位エリアについてオブジェクト検知を行う。その後、第2視点オブジェクト検知部104Aは、オブジェクトの検知結果をエリア設定部106B及びオブジェクト選択エリア補正部112Aに送信する。ここでは、オブジェクトとして、前方エリアで駐車中の車両C2を検出する。
【0132】
ステップS210;
次に、オブジェクト選択エリア補正部112Aは、地図情報記憶部111Aから取得した地図の車線情報と、第2視点オブジェクト検知部104Aのオブジェクト検知結果とに基づき、監視車線の状況を観測する。
【0133】
ステップS211;
次に、オブジェクト選択エリア補正部112Aは、車両Aの位置情報及び速度情報を更に用いて、第2視点オブジェクト検知部104Aが検知したオブジェクトによる車線封鎖により車線変更の必要性を判定する。例えば、オブジェクト選択エリア補正部112Aは、地図上に検知オブジェクトをマッピングした際、当該検知オブジェクトの移動速度がないこと等に基づき、駐車車両、工事、落下物等で一時的に車線封鎖されていることを判定する。車線変更が必要である場合、ステップS212へ遷移し、車線変更が必要でない場合、ステップS213へ遷移する。
【0134】
ステップS212;
車線変更が必要である場合、オブジェクト選択エリア補正部112Aは、隣接車線の非優先エリアの優先度を高めて優先エリアS3(拡張エリア)として追加する。優先エリアS3の優先度は、優先エリアS1,S2と同一又は同一以上とする。例えば、車両Aが13秒-25秒(上限値)後に封鎖エリアに到着すると想定し、かつ、追加したエリアは対向車線であることから、移動速度0km/h-50km/h(制限速度)で13-25秒(上限値)後までのエリアを優先エリアS3とし、車線封鎖点を基準に337mまでの範囲とする。
【0135】
ステップS213;
次に、オブジェクト選択部107Aは、車両Bが設定していた優先エリアS1,S2のオブジェクトを選択すると共に、オブジェクト選択エリア補正部112Aが追加した優先エリアS3のオブジェクトも選択する。非優先エリアにオブジェクトがあれば、オブジェクト選択部107Aは、当該非優先エリアのオブジェクトも選択する。優先エリアS3については、車線封鎖レーン上のオブジェクトが選択されていても、車両Aが通過する道路が適切に選択されていないので、補正により追加されたエリアと言える。
【0136】
ステップS214;
最後に、通信部113Aは、各優先エリアS1~S3に対応する各車線リンクID(始点である交差点からの道のり距離に対応する終点を含めてもよい)をそれぞれ1番目~3番目とし、優先エリア以外の非優先エリアに対応する各車線リンクIDを4番目以降に設定した配信順序情報をパケットのヘッダ部に設定する。また、通信部113Aは、当該配信順序で各優先エリアS1~S3及び各非優先エリアのオブジェクト情報を当該パケットのデータ部に設定する。その後、通信部113Aは、当該パケットを車両Bへ送信する。このとき、車両Aは、優先エリアS3の優先度を優先エリアS1,S2よりも高くしてもよい。車両Aから車両Bへ送信されるオブジェクト情報(パケットのデータ構造)は、上述した表1の通りである。
【0137】
(エリア補正部109Bにおける優先エリア設定方法のバリエーション)
次に、車両Bが所定の道路形状を有するエリアを走行中の場合における、優先エリアの設定方法について説明する。所定の道路形状とは、例えば、交差点、カーブ、S字カーブ、カーブ勾配変曲点等である。
【0138】
(バリエーション1)
図9に示すように、車両Bの進行方向の交差点に信号機Zがある場合について説明する。信号機がある場合、当該信号機による車両Bの一時停車により、将来において走行予定経路の状況が変動する可能性が高い。そこで、エリア設定部106Bは、交通設備サーバ等より受信する信号パタン情報より、走行予定経路上の信号機が赤で継続する場合、車両Bから信号機手前の停止線迄のエリアS1’を監視エリアS1’として設定する。ただし、上記交差点に流入する流入側の対向エリアについては、走行予定経路に対して右折侵入し交錯可能性ある車両を監視する必要があるため、エリア設定部106Bは、信号機の現示パタンにかかわらず監視エリアS2として保持する。
【0139】
(バリエーション2)
図10に示すように、車両Bの進行方向に右カーブがあり山林部Mにより見通しが悪い場合について説明する。見通し外のカーブの場合、エリア設定部106Bは、地図上に表示され又は車両Bで検知した山林部Mと車両Bの現在位置とに基づき、監視エリアを設定する。例えば、エリア設定部106Bは、山林部Mに接するように見切り線Lを設定し、当該見切り線Lが道路幅の二等分線(道路幅の中間線)を通る交点O’を求める。そして、エリア設定部106Bは、車両Bの現在位置に近い交差点を基準点Oとして、基準点Oから交点O’までの道のり距離よりも遠方のエリアSを車両Bの遮蔽エリアとし、監視エリアSとして設定する。
【0140】
(バリエーション3)
図11に示すように、車両Bの進行方向に上り勾配がある場合について説明する。エリア設定部106Bは、上り勾配のある湾曲路面を走行中、当該湾曲路面に接するように見切り線Lを設定し、車両Bの基準高さ面よりもセンサ101のセンサ搭載角度拡がり(-10度)以下のエリアSを車両Bの遮蔽エリアとし、監視エリアSとして設定する。
【0141】
[バリエーション4]
図12に示すように、車両Bの進行途中で道路勾配が下り方向に変化する場合について説明する。エリア設定部106Bは、走行中の平坦路面に接する見切り線Lを道路基準面Lとし、地図上の道のり経路上で道路勾配が変化する変化点Pを観測する。そして、エリア設定部106Bは、当該道路基準面Lよりも高度が低い地点にあるエリアSを車両Bの遮蔽エリアとし、監視エリアSとして設定する。
【0142】
(第2実施形態の効果)
本実施形態によれば、車両Bにおいて、エリア設定部106Bが、センサ101Bで検知できなかった複数の死角エリアのうち所定の死角エリアであり、かつ、車両Bの将来の走行予定経路及び速度計画に基づき車両Bの運転者や自動運転システムにとって将来において優先的に設定すべき監視エリアS1,S2を優先エリアS1,S2として決定する。
【0143】
また、車両Aにおいて、オブジェクト選択エリア補正部112Aが、走行車線の隣接車線を優先エリアS3として追加し、オブジェクト選択部107Aが、車両Bが決定した優先エリアS1,S2からオブジェクトを選択すると共に、追加した優先エリアS3からもオブジェクトを選択する。そして、通信部113Aは、優先エリアS1,S2,S3におけるオブジェクト情報を優先的に車両Aに送信する。
【0144】
これにより、車両Bは、優先エリアのオブジェクト情報が先に配信されることを把握でき、優先エリアのオブジェクト情報を優先して受信できる。全ての死角エリアに関するオブジェクト情報の受信完了まで待つ必要がなくなり、運転者や自動運転システムにとって有益な情報を効率的に取得できる。
【0145】
また、本実施形態によれば、エリア設定部106Bは、オブジェクト情報を要求する車両Bの将来の位置情報を取得し、当該将来の位置情報とオブジェクト検知結果とに基づき、車両Bの将来においてオブジェクトを検知できない監視エリアを優先エリアS1,S2として設定するので、運転者や自動運転システムにとって有益な情報を取得できる。
【0146】
また、本実施形態によれば、地図情報を記憶した地図・走行予定経路情報記憶部108Bを備え、地図・走行予定経路情報記憶部108Bは、当該地図情報を用いて地図上の車線リンクIDに基づき優先エリアを設定するので、優先エリアを確実に特定できる。
【0147】
また、本実施形態によれば、優先エリアは、少なくとも所定のタイミングにおいて、車両Bにより検知される所定対象物に基づく境界を基準としたエリアであるので、優先エリアを確実に特定できる。
【0148】
また、本実施形態によれば、当該所定対象物は、道路上の白線又は車両であるので、優先エリアを確実に特定できる。
【0149】
また、本実施形態によれば、通信部110Bは、通信可能な複数の車両のうちいずれか一の車両を選択し、当該一の車両へ当該要求データを送信するので、V2X通信ネットワークのデータ量の増大を抑制し、運転者や自動運転システムにとって有益な情報をより効率的に取得できる。
【0150】
また、本実施形態によれば、要求データは、優先エリアに関する情報に加えて、オブジェクト情報を要求する車両Bの位置及び走行予定経路に関する情報を含むので、要求を受けた車両Aは車両Bの位置及び走行予定経路を確実に把握でき、要求されたエリアを明確に特定できる。
【0151】
また、本実施形態によれば、エリア設定部106Bは、所定の道路形状を有するエリアを優先エリアとして設定するので、様々な道路形状のエリアに含まれるオブジェクト情報を取得できる。
【0152】
また、本実施形態によれば、所定の道路形状は、交差点、カーブ、カーブ勾配変曲点のうちいずれかであるので、交差点、カーブ、カーブ勾配変曲点のあるエリアに含まれるオブジェクト情報を取得できる。
【0153】
また、本実施形態によれば、オブジェクト情報は、車両Bが優先エリアで検知したオブジェクト情報に加えて、当該優先エリアと異なるエリアで検知したオブジェクト情報、又は優先エリアと異なるエリアで将来検知可能なオブジェクト情報を含むので、車両Bの運転者や自動運転システムにとってより有益な情報を取得できる。
【0154】
また、本実施形態によれば、オブジェクト情報は、車両Bにより検知された道路上の車両情報又は障害物の位置情報を含むので、車両Bの運転者や自動運転システムはオブジェクト情報を確実に把握できる。
【0155】
また、本実施形態によれば、車両Bは、道路側方を監視する監視センサを備え、道路境界線又は背景物体を検知し、道路上物体を検知して、検知した対象物と見切り線との交点を求めることにより、車両又は障害物を検知するので、静止オブジェクトを確実に特定できる。
【0156】
また、本実施形態によれば、情報処理装置1は、車両A,Bに具備されているので、車両内の内部通信可能となり、処理速度を向上できる。
【0157】
(第3実施形態)
本発明を適用した第3実施形態を説明する。第3実施形態では、複数の車両が同時に同じエリアを観測した場合、次回以降、同じオブジェクト情報の重複受信を排除する方法について説明する。
【0158】
(情報処理装置の構成)
図13は、第3実施形態に係る車両A,B,Dの構成を示す図である。
【0159】
車両Aは、第2視点オブジェクト検知部104Aと、オブジェクト選択部107Aと、を搭載する。尚、車両Aは、図6に示した他の機能部も搭載している。
【0160】
第2視点オブジェクト検知部104Aは、車両Aの視点において道路上に存在するオブジェクトを検知する機能を備える。
【0161】
オブジェクト選択部107Aは、車両Bが設定した優先エリアに対し、車両Aの視点で検知した当該優先エリアのオブジェクトを選択し、選択したオブジェクト情報を車両Bに送信する機能を備える。また、オブジェクト選択部107Aは、車両Aが優先エリアを拡張(追加)した場合、当該拡張した優先エリアのオブジェクト情報も車両Bに送信する機能を備える。
【0162】
車両Dは、第3視点オブジェクト検知部114Dと、オブジェクト選択部107Dと、を搭載する。尚、車両Dは、図6に示した車両Aと同様の機能部を搭載している。
【0163】
第3視点オブジェクト検知部114Dは、車両Dの視点において道路上に存在するオブジェクトを検知する機能を備える。
【0164】
オブジェクト選択部107Dは、車両Bが設定した優先エリアに対し、車両Dの視点で検知した当該優先エリアのオブジェクトを選択し、選択したオブジェクト情報を車両Bに送信する機能を備える。また、オブジェクト選択部107Dは、車両Dが優先エリアを拡張(追加)した場合、当該拡張した優先エリアのオブジェクト情報も車両Bに送信する機能を備える。
【0165】
車両Bは、エリア設定部106Bと、重複エリア調整部115Bと、を搭載する。尚、車両Bは、図6に示した他の機能部も搭載している。
【0166】
エリア設定部106Bは、車両Bのセンサ視野角内で検知できなかった死角エリアを他の視点情報で補うため、複数の死角エリアのうち所定の死角エリアであり、かつ、エリア補正部109B(不図示)が設定した監視エリアを優先エリアとして設定する機能を備える。但し、優先エリアの設定は、要求先の車両毎に監視すべき指定エリアを設定したエリア指定情報に基づき行われる。
【0167】
重複エリア調整部115Bは、エリア設定部106Bとオブジェクト選択部107A,107Dとに接続され、オブジェクト選択部107A,107Dから送信されたオブジェクト情報を比較し、オブジェクト情報の同一性、オブジェクト情報のエリアの同一性を判定する機能を備える。
【0168】
また、重複エリア調整部115Bは、互いのオブジェクト情報(エリア)が重複した場合、重複エリアの重心点を求め、車両A,Dの位置からの各距離より、距離が短い方の車両は上記エリア指定情報のエリア指定を維持し、距離が長い方の車両はエリア指定を一時解除する機能を備える。また、重複エリア調整部115Bは、重複エリアにおいてオブジェクト情報の重複の有無を継続監視し、重複エリアでオブジェクト情報がなくなった場合、エリア指定情報のエリア指定を初期値に戻す機能を備える。
【0169】
(情報処理方法)
次に、情報処理装置1で行う情報処理方法について説明する。図14は、情報処理方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0170】
最初に、図15を用いて前提条件を説明する。オブジェクト情報を受ける車両Bと、オブジェクト情報を同時に送信する車両A,Dが存在する。第2実施形態に基づき、3つの監視エリアS1-S3が設定されている。
【0171】
ステップS301;
まず、車両Bにおいて、重複エリア調整部115Bが、車両Aのオブジェクト選択部107Aから送信されたオブジェクト情報と、車両Dのオブジェクト選択部107Dから送信されたオブジェクト情報と、を受信する。
【0172】
ステップS302;
次に、重複エリア調整部115Bは、オブジェクト選択部107Aからのオブジェクト情報に係るエリアと、オブジェクト選択部107Dからのオブジェクト情報に係るエリアと、の位置、大きさ等を比較する。車両Aによる初回設定エリアSAが図16のように設定され、車両Dによる初回設定エリアSDが図17のように設定されている場合、エリアSAとエリアSDとを重複させた重複エリアSXは、図18に示す通りとなる。エリアを比較した結果、重複エリアがある場合、ステップS303へ遷移し、重複エリアがない場合、ステップS307へ遷移する。
【0173】
ステップS303;
重複エリアがある場合、重複エリア調整部115Bは、重複エリアSXの重心点を求め、各車両A,Dから当該重心点までの距離をそれぞれ算出する。そして、重複エリア調整部115Bは、距離の遠い方の車両を次回送信時のエリア指定から排除する。
【0174】
例えば、図19に示すように、車両Aの側方に重複エリアSX1がある場合、重複エリア調整部115Bは、重複エリアSX1の重心点Oを求め、車両Aと重心点Oとの間の距離OAと、車両Dと重心点Oとの間の距離ODと、を算出する。そして、重複エリア調整部115Bは、距離OA<距離ODの関係より、重複エリアSX1については車両Aの方が認識しやすいと判定し、車両Dに対する指定エリアの指定範囲から一時的に除外する。
【0175】
重複エリアSX2については、各車両A,Dから等距離にあるので、重複エリア調整部115Bは、自車(車両B)との間で距離がより近くて安定通信可能な車両Dに対するエリア指定を維持し、車両Aに対する指定エリアを解除する。重複エリアSX3については、重複エリアSX3の重心点により近い車両Dに対する指定エリアを維持し、車両Aに対する指定エリアを解除する。
【0176】
ステップS304;
次に、エリア設定部106Bは、重複エリア調整部115Bによる新たな指定エリアに基づき、要求データに含める監視エリアのエリア指定を適用する。例えば、重複エリア調整部115Bは、車両Aに要求する監視エリアについては、重複エリアSX1を含め、車両Dに要求する監視エリアについては、重複エリアSX1を含めないように、エリア指定情報を変更する。
【0177】
そして、エリア設定部106Bは、変更後のエリア指定情報に基づき、例えば重複エリアSX1については、次回以降、車両Aに対してのみ要求する。これにより、車両Dは、車両Bから重複エリアSX1のオブジェクト情報の要求を受けなくなるので、重複エリアSX1のオブジェクト情報を送信することはない。
【0178】
ステップS305;
その後、重複エリア調整部115Bは、車両A,Dからそれぞれ送信されるオブジェクト情報を受信し、重複エリアにおけるオブジェクト情報の有無を継続監視する。そして、エリア設定部106Bは、重複エリアでオブジェクト情報を取得できなくなった場合、ステップS306へ遷移し、重複エリアでオブジェクト情報を引き続き取得できる場合(つまり、重複エリアにオブジェクトが引き続き存在する場合)、ステップS307へ遷移する。
【0179】
ステップS306;
重複エリアでオブジェクト情報がなくなった場合、重複エリア調整部115Bは、車両A,Dの両方からのオブジェクト情報の送信を再開するため、エリア指定情報のエリア指定を元に戻す。
【0180】
ステップS307;
最後に、車両Bは、車両Aが重複エリアを通過したか否かを判定し、重複エリアを通過していない場合、ステップS301へ遷移し、重複エリアを通過した場合、処理を終了する。
【0181】
(第3実施形態の効果)
本実施形態によれば、重複エリア調整部115Bが、車両A,Dで要求された各エリアが重複する場合、重複エリアに近い方の車両のエリア指定を維持し、遠い方の車両のエリア指定を解除するので、車両Bの運転者や自動運転システムにとって有益なオブジェクト情報をより正確な状態で取得できる。また、車両間の通信量を削減可能となる。
【0182】
(第2実施形態で示したオブジェクト情報及び要求データの別例)
(車両Bから車両Aへ送信される要求データの別例)
第2実施形態の表2に示した車両Bから車両Aへ送信される要求データについては、例えば、下記表3に示すデータ構造で実現することも可能である。
【0183】
【表3】
【0184】
(車両Aから車両Bへ送信されるオブジェクト情報の別例)
第2実施形態の表1に示した車両Aから車両Bへ送信されるオブジェクト情報については、例えば、下記表4に示すデータ構造で実現することも可能である。
【0185】
【表4】
【符号の説明】
【0186】
1 情報処理装置
101 センサ
102 位置計測部
103 第1視点オブジェクト検知部
104 第2視点オブジェクト検知部
105 オブジェクト情報収集部
106 エリア設定部
107 オブジェクト選択部
108 地図・走行予定経路情報記憶部
109 エリア補正部
110 通信部
111 地図情報記憶部
112 オブジェクト選択エリア補正部
113 通信部
114 第3視点オブジェクト検知部
115 重複エリア調整部
116 オブジェクト通信部
H101 センサデバイス
H102 位置計測装置
H103 通信機
H104 演算処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2023-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムは、遮蔽物によりオブジェクトが検知できないエリアのうち前記遮蔽物により遮蔽された走行予定経路と前記走行予定経路と交錯又は隣接する経路との少なくとも一つを含む所定エリアのデータを受信し、第1の移動体に設置されたセンサによるオブジェクト検知結果に基づき、前記所定エリアのうち前記オブジェクトが検知された検知エリアを設定し、前記所定エリアのうち前記検知エリアを除いた非検知エリアのデータを前記第1の移動体と異なる第2の移動体又はサーバへ送信する
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽物によりオブジェクトが検知できないエリアのうち前記遮蔽物により遮蔽された走行予定経路と前記走行予定経路と交錯又は隣接する経路との少なくとも一つを含む所定エリアのデータを受信する通信部と、
第1の移動体に設置されたセンサによるオブジェクト検知結果に基づき、前記所定エリアのうち前記オブジェクトが検知された検知エリアを設定する設定部と、
を備え、
前記通信部は、前記所定エリアのうち前記検知エリアを除いた非検知エリアのデータを前記第1の移動体と異なる第2の移動体又はサーバへ送信する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記通信部は、前記検知エリアのデータを前記第2の移動体又は前記サーバへ送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記所定エリアは、前記第2の移動体に設置されたセンサにより前記オブジェクトを検知できなかったエリアであり、
前記通信部は、前記所定エリアのデータを前記第2の移動体から受信し、前記非検知エリアのデータを前記第2の移動体へ送信する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記所定エリアは、第1視点で検知されたエリアであり、
前記検知エリアは、前記第1視点と時刻の異なる第2視点で前記オブジェクトを検知可能となったエリアである
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
情報処理装置で行う情報処理方法において、
遮蔽物によりオブジェクトが検知できないエリアのうち前記遮蔽物により遮蔽された走行予定経路と前記走行予定経路と交錯又は隣接する経路との少なくとも一つを含む所定エリアのデータを受信する第1のステップと、
第1の移動体に設置されたセンサによるオブジェクト検知結果に基づき、前記所定エリアのうち前記オブジェクトが検知された検知エリアを設定する第2のステップと、
前記所定エリアのうち前記検知エリアを除いた非検知エリアのデータを前記第1の移動体と異なる第2の移動体又はサーバへ送信する第3のステップと、
を行うことを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
前記第3のステップでは、前記検知エリアのデータを前記第2の移動体又は前記サーバへ送信する
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記所定エリアは、前記第2の移動体に設置されたセンサにより前記オブジェクトを検知できなかったエリアであり、
前記第3のステップでは、前記所定エリアのデータを前記第2の移動体から受信し、前記非検知エリアのデータを前記第2の移動体へ送信する
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記所定エリアは、第1視点で検知されたエリアであり、
前記検知エリアは、前記第1視点と時刻の異なる第2視点で前記オブジェクトを検知可能となったエリアである
ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項9】
情報処理装置に、
遮蔽物によりオブジェクトが検知できないエリアのうち前記遮蔽物により遮蔽された走行予定経路と前記走行予定経路と交錯又は隣接する経路との少なくとも一つを含む所定エリアのデータを受信する第1の手順と、
第1の移動体に設置されたセンサによるオブジェクト検知結果に基づき、前記所定エリアのうち前記オブジェクトが検知された検知エリアを設定する第2の手順と、
前記所定エリアのうち前記検知エリアを除いた非検知エリアのデータを前記第1の移動体と異なる第2の移動体又はサーバへ送信する第3の手順と、
を実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項10】
前記第3の手順では、前記検知エリアのデータを前記第2の移動体又は前記サーバへ送信する
ことを特徴とする請求項9に記載の情報処理プログラム。
【請求項11】
前記所定エリアは、前記第2の移動体に設置されたセンサにより前記オブジェクトを検知できなかったエリアであり、
前記第3の手順では、前記所定エリアのデータを前記第2の移動体から受信し、前記非検知エリアのデータを前記第2の移動体へ送信する
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の情報処理プログラム。
【請求項12】
前記所定エリアは、第1視点で検知されたエリアであり、
前記検知エリアは、前記第1視点と時刻の異なる第2視点で前記オブジェクトを検知可能となったエリアである
ことを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の情報処理プログラム。