(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162413
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】弾性波デバイスおよびその弾性波デバイスを備えるモジュール
(51)【国際特許分類】
H03H 9/145 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
H03H9/145 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023144024
(22)【出願日】2023-09-05
(62)【分割の表示】P 2022014182の分割
【原出願日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】518453730
【氏名又は名称】三安ジャパンテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100171077
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 健
(72)【発明者】
【氏名】熊 四輩
(57)【要約】
【課題】耐電力が向上した弾性波デバイスおよびその弾性波デバイスを備えるモジュールを提供する。
【解決手段】圧電基板と、前記圧電基板上に形成されたIDT電極とを備え、前記IDT電極は、濃度が99重量%以上である第1金属からなる第1金属層と、濃度が95重量%以上99重量%未満である前記第1金属と第2金属の合金からなる第2金属層を含み、前記第1金属層と前記第2金属層は、それぞれ3層以上形成され、前記第1金属層と前記第2金属層は、交互に積層されており、前記第2金属層の合計の厚みは、前記第1金属層の合計の厚みよりも厚い弾性波デバイス。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電基板と、
前記圧電基板上に形成されたIDT電極と
を備え、
前記IDT電極は、
濃度が99重量%以上である第1金属からなる第1金属層と、
濃度が95重量%以上99重量%未満である前記第1金属と第2金属の合金からなる第2金属層を含み、
前記第1金属層と前記第2金属層は、それぞれ3層以上形成され、
前記第1金属層と前記第2金属層は、交互に積層されており、
前記第2金属層の合計の厚みは、前記第1金属層の合計の厚みよりも厚い弾性波デバイス。
【請求項2】
前記第1金属は、前記第2金属よりも電気抵抗率が高い請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項3】
前記第1金属と前記第2金属よりも電気抵抗率が高い第3金属からなるボトム層を含む請求項1または2に記載の弾性波デバイス。
【請求項4】
前記第1金属層と前記第2金属層の合計の厚みは、前記IDT電極の厚みの半分以上4分の3以下である請求項1から3のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
【請求項5】
前記第1金属は、アルミニウム、モリブデン、イリジウム、タングステン、コバルト、ニッケルまたはルテニウムからなる請求項1から4のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
【請求項6】
前記第3金属は、クロム、ストロンチウムまたはチタンからなる請求項3に記載の弾性波デバイス。
【請求項7】
前記第2金属層は、前記第1金属の濃度が95重量%以上97.5重量%以下である請求項1から6のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
【請求項8】
前記第2金属層は、前記第1金属がアルミニウムであり、前記第2金属が銅である請求項1から7のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
【請求項9】
前記圧電基板は、ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムの単結晶からなる基板である請求項1から8のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
【請求項10】
前記圧電基板の前記IDT電極が形成された主面とは反対の主面に支持基板を備え、前記支持基板は、サファイア、シリコン、アルミナ、スピネル、水晶またはガラスからなる基板である請求項1から9のいずれか一項に記載の弾性波デバイス。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の弾性波デバイスを備えるモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、弾性波デバイスおよびその弾性波デバイスを備えるモジュールに関する。詳しくはSH波を用いる弾性表面波デバイス、例えば、フィルタ、デュプレクサまたはマルチプレクサに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンを代表とする移動通信端末の高周波通信用システムにおいて、通信に使用する周波数帯以外の不要な信号を除去するために、高周波フィルタ等が用いられている。
【0003】
高周波フィルタ等には、弾性表面波(SAW:Surface acoustic wave)素子等を有する弾性波デバイスが用いられている。SAW素子は、圧電基板上に一対の櫛型電極を有するIDT(Interdigital Transducer)を形成した素子である。
【0004】
特許文献1は、弾性表面波デバイスおよびその製造方法を開示する。デバイスの小型化および高周波化したときの耐電力性を向上することができるSAWデバイスおよびその製造方法を提供し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示のSAWデバイスにおいては、近年のさらなる高周波化、小型化の要請に対応したIDT電極の耐電力を確保できない。
【0007】
このため、十分な耐電力を有する弾性波デバイスを提供することができない。
【0008】
本開示は、上述の課題を解決するためになされた。本開示の目的は、耐電力が向上した弾性波デバイスおよびその弾性波デバイスを備えるモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示にかかる弾性波デバイスは、
圧電基板と、
前記圧電基板上に形成されたIDT電極と
を備え、
前記IDT電極は、
濃度が99重量%以上である第1金属からなる第1金属層と、
濃度が95重量%以上99重量%未満である前記第1金属と第2金属の合金からなる第2金属層を含み、
前記第1金属層と前記第2金属層は、それぞれ3層以上形成され、
前記第1金属層と前記第2金属層は、交互に積層されており、
前記第2金属層の合計の厚みは、前記第1金属層の合計の厚みよりも厚い弾性波デバイスとした。
【0010】
前記第1金属は、前記第2金属よりも電気抵抗率が高いことが、本開示の一形態とされる。
【0011】
前記第1金属と前記第2金属よりも電気抵抗率が高い第3金属からなるボトム層を含むことが、本開示の一形態とされる。
【0012】
前記第1金属層と前記第2金属層の合計の厚みは、前記IDT電極の厚みの半分以上4分の3以下であることが、本発明の一形態とされる。
【0013】
前記第1金属は、アルミニウム、モリブデン、イリジウム、タングステン、コバルト、ニッケルまたはルテニウムからなることが、本発明の一形態とされる。
【0014】
前記第3金属は、クロム、ストロンチウムまたはチタンからなることが、本開示の一形態とされる。
【0015】
前記第2金属層は、前記第1金属の濃度が95重量%以上97.5重量%以下であることが、本開示の一形態とされる。
【0016】
前記第2金属層は、前記第1金属がアルミニウムであり、前記第2金属が銅であることが、本開示の一形態とされる。
【0017】
前記圧電基板は、ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムの単結晶からなる基板であることが、本開示の一形態とされる。
【0018】
前記圧電基板の前記IDT電極が形成された主面とは反対の主面に支持基板を備え、前記支持基板は、サファイア、シリコン、アルミナ、スピネル、水晶またはガラスからなる基板であることが、本開示の一形態とされる。
【0019】
前記弾性波デバイスを備えるモジュールが、本発明の一形態とされる。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、機械的強度が向上した弾性波デバイスおよびその弾性波デバイスを備えるモジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施の形態1における弾性波デバイスの縦断面図である。
【
図2】実施の形態1における弾性波デバイスの弾性波素子の例を示す図である。
【
図3】実施の形態1における試作内容を模式的に示す図である
【
図4】実施の形態1の弾性波デバイス1の試作1から試作4の条件を示す図である。
【
図5】試作1から試作4および比較例のフューズテストの結果である。
【
図6】試作4と比較例のストレスライフテストの結果を示す図である。
【
図7】実施の形態2の弾性波デバイスが適用されるモジュールの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施の形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
【0023】
実施の形態1.
図1は実施の形態1における弾性波デバイスの縦断面図である。
【0024】
図1に示すように、弾性波デバイス1は、配線基板3、外部接続端子31、デバイスチップ5、電極パッド9、バンプ15および封止部17を備える。
【0025】
例えば、配線基板3は、樹脂からなる多層基板である。例えば、配線基板3は、複数の誘電体層からなる低温同時焼成セラミックス(Low Temperature Co-fired Ceramics:LTCC)多層基板である。
【0026】
外部接続端子31は、配線基板3の下面に複数形成される。
【0027】
電極パッド9は、配線基板3の主面に複数形成される。例えば、電極パッド9は、銅または銅を含む合金で形成される。例えば、電極パッド9の厚みは、10μmから20μmである。
【0028】
バンプ15は、電極パッド9のそれぞれの上面に形成される。例えば、バンプ15は、金バンプである。例えば、バンプ15の高さは、10μmから50μmである。
【0029】
配線基板3とデバイスチップ5の間は、空隙16が形成されている。
【0030】
デバイスチップ5は、バンプ15を介して、配線基板3にフリップチップボンディングにより実装される。デバイスチップ5は、複数のバンプ15を介して複数の電極パッド9と電気的に接続される。
【0031】
デバイスチップ5は、弾性波素子52が形成される基板である。例えば、デバイスチップ5の主面において、複数の弾性波素子52を含む、送信用フィルタと受信用フィルタとが形成される。
【0032】
送信用フィルタは、所望の周波数帯域の電気信号が通過し得るように形成される。例えば、送信用フィルタは、複数の直列共振器と複数の並列共振器からなるラダー型フィルタである。
【0033】
受信用フィルタは、所望の周波数帯域の電気信号が通過し得るように形成される。例えば、受信用フィルタは、ラダー型フィルタである。
【0034】
デバイスチップ5は、圧電基板11を備える。また、デバイスチップ5は、支持基板21を備えてもよい。
【0035】
圧電基板11は、例えば、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムまたは水晶などの圧電単結晶で形成された基板である。別の例では、圧電基板11は、圧電セラミックスで形成された基板である。
【0036】
圧電基板11の主面上には、弾性波素子52が形成されている。弾性波素子52は、例えば、IDT電極を含む共振器である。
【0037】
圧電基板11の他の主面に、支持基板21が接合している。支持基板21は、例えば、ファンデルワールス力により接合している。また、接着層(図示しない)を介して接合されてもよい。
【0038】
支持基板21は、例えば、サファイア、シリコン、アルミナ、スピネル、水晶またはガラスで形成された基板である。
【0039】
封止部17は、デバイスチップ5を覆うように形成される。例えば、封止部17は、合成樹脂等の絶縁体により形成される。例えば、封止部17は、金属で形成される。
【0040】
封止部17が合成樹脂で形成される場合、当該合成樹脂は、エポキシ樹脂、ポリイミドなどである。好ましくは、封止部17は、エポキシ樹脂を用い、低温硬化プロセスを用いてエポキシ樹脂で形成される。
【0041】
次に、
図2を用いて、デバイスチップ5上に形成された弾性波素子52の例を説明する。
図2は実施の形態1における弾性波デバイスの弾性波素子の例を示す図である。
【0042】
図2に示されるように、IDT(Interdigital Transducer)52aと一対の反射器52bとは、デバイスチップ5の主面に形成される。IDT52aと一対の反射器52bは、弾性波(主にSH波)を励振し得るように設けられる。
【0043】
例えば、IDT52aと一対の反射器52bとは、アルミニウムと銅の合金で形成される。例えば、IDT52aと一対の反射器52bとは、アルミニウム、モリブデン、イリジウム、タングステン、コバルト、ニッケル、ルテニウム、クロム、ストロンチウム、チタン、パラジウム、銀などの適宜の金属もしくはこれらの合金で形成される。
【0044】
例えば、IDT52aと一対の反射器52bとは、複数の金属層が積層した積層金属膜により形成される。例えば、IDT52aと一対の反射器52bとの厚みは、150nmから450nmである。
【0045】
IDT52aは、一対の櫛形電極52cを備える。一対の櫛形電極52cは、互いに対向する。櫛形電極52cは、複数の電極指52dとバスバー52eとを備える。
【0046】
複数の電極指52dは、長手方向を合わせて配置される。バスバー52eは、複数の電極指52dを接続する。
【0047】
一対の反射器52bの一方は、IDT52aの一側に隣接する。一対の反射器52bの他方は、IDT52aの他側に隣接する。
【0048】
次に、本実施の形態における弾性波デバイス1についての試作および短電力の測定結果を説明する。発明者らは、以下の条件で、本実施の形態における弾性波デバイス1のIDT52aの耐電力の測定を行った。
【0049】
図3は、実施の形態1における試作内容を模式的に示す図である。
図3は、IDT52aの電極指52dの断面の模式図である。
【0050】
図3に示すように、圧電基板11上に、IDTを構成する第1層から第11層までの金属層が積層されている。
【0051】
図3に示すように、第1層としてボトムチタン層1BTiが形成されている。第2層としてアルミニウム層2Alが形成されている。第3層としてアルミニウム銅層3AlCuが形成されている。第4層としてアルミニウム層4Alが形成されている。第5層としてアルミニウム銅層5AlCuが形成されている。第6層としてアルミニウム層6Alが形成されている。第7層としてアルミニウム銅層7AlCuが形成されている。第8層としてアルミニウム層8Alが形成されている。第9層としてアルミニウム銅層9AlCuが形成されている。第10層としてアルミニウム層10Alが形成されている。また、第11層としてトップチタン層11TTiが形成されている。
【0052】
ここで、第2層、第4層、第6層、第8層および第10層のアルミニウム層は、アルミニウムの濃度が99重量%以上である。
【0053】
第3層、第5層、第7層および第9層のアルミニウム銅層は、アルミニウムの濃度が95重量%以上である。また、第3層、第5層、第7層および第9層のアルミニウム銅層は、銅の濃度が例えば1重量%以上とすることができる。また、第3層、第5層、第7層および第9層のアルミニウム銅層は、銅の濃度が例えば1.5重量%以上、2.0重量%以上、または、2.5重量%以上、5.0重量%未満とすることができる。
【0054】
図4は、実施の形態1の弾性波デバイス1の試作1から試作4の条件を示す図である。
【0055】
図4に示すように、試作1から試作4のいずれにおいても、第1層のボトムチタンを101nmの厚み、第11層のトップチタンを15nmの厚みとした。また、試作1から試作4のいずれにおいても、第2層から第10層までの合計の厚みは、301nmとなるようにした。
【0056】
図4に示すように、試作1は、第2層、第4層、第6層、第8層および第10層のアルミニウム層は、厚みがそれぞれ48nm、48nm、48nm、48nmおよび49nmである。また試作1の第3層、第5層、第7層および第9層のアルミニウム銅層は、厚みがいずれも15nmである。
【0057】
試作1は、第2層、第4層、第6層、第8層および第10層のアルミニウム層の合計の厚みは、241nmである。また試作1の第3層、第5層、第7層および第9層のアルミニウム銅層の合計の厚みは60nmである。
【0058】
図4に示すように、試作2は、第2層、第4層、第6層、第8層および第10層のアルミニウム層は、厚みがそれぞれ44nm、44nm、44nm、44nmおよび45nmである。また試作2の第3層、第5層、第7層および第9層のアルミニウム銅層は、厚みがいずれも20nmである。
【0059】
試作2は、第2層、第4層、第6層、第8層および第10層のアルミニウム層の合計の厚みは、221nmである。また試作2の第3層、第5層、第7層および第9層のアルミニウム銅層の合計の厚みは80nmである。
【0060】
図4に示すように、試作3は、第2層、第4層、第6層、第8層および第10層のアルミニウム層は、厚みがそれぞれ36nm、36nm、36nm、36nmおよび37nmである。また試作3の第3層、第5層、第7層および第9層のアルミニウム銅層は、厚みがいずれも30nmである。
【0061】
試作3は、第2層、第4層、第6層、第8層および第10層のアルミニウム層の合計の厚みは、181nmである。また試作3の第3層、第5層、第7層および第9層のアルミニウム銅層の合計の厚みは120nmである。すなわち、第2層、第4層、第6層、第8層および第10層のアルミニウム層の合計の厚みと第3層、第5層、第7層および第9層のアルミニウム銅層の合計の厚みの比率は、3:2以上である。
【0062】
図4に示すように、試作4は、第2層、第4層、第6層、第8層および第10層のアルミニウム層は、厚みがそれぞれ28nm、28nm、28nm、28nmおよび29nmである。また試作4の第3層、第5層、第7層および第9層のアルミニウム銅層は、厚みがいずれも40nmである。
【0063】
試作4は、第2層、第4層、第6層、第8層および第10層のアルミニウム層の合計の厚みは、141nmである。また試作2の第3層、第5層、第7層および第9層のアルミニウム銅層の合計の厚みは160nmである。すなわち、第2層、第4層、第6層、第8層および第10層のアルミニウム層の合計の厚みと第3層、第5層、第7層および第9層のアルミニウム銅層の合計の厚みの比率は、29:32以下である。
【0064】
図5は、試作1から試作4および比較例のフューズテストの結果である。試作および比較例は、いずれもBand-5デュプレクサを製作した。また、比較例は、実施の形態1における第2層から第10層まで金属層の代わりに、その合計の厚みと同じ301nmの厚みのアルミニウムの濃度98.5重量%、銅の濃度1.5重量%であるアルミニウム銅の合金の単層を用いた。その他の条件は、実施の形態1と同様である。
【0065】
図5に示すように、試作時におけるBand-5デュプレクサの要求仕様は、30DBであるところ、いずれの試作および比較例も、フューズテストをクリアしている。ここで、IDTにおける銅の含有量は、多いほど耐電力が向上するが、挿入損失が増大する。挿入損失の増大は、高周波化するほど顕著になる。
【0066】
試作1および試作2は、比較例ほどの耐電力を得ることはできなかったが、比較例よりも銅の含有量が少ないため、挿入損失が小さく、かつ、要求仕様を満たす耐電力を得ることができた。
【0067】
試作3は、比較例に近い耐電力を得ることができ、また、比較例よりも銅の含有量が少ないため、挿入損失が小さく、かつ、要求仕様を満たす耐電力を得ることができた。
【0068】
試作4は、比較例よりも高い耐電力を得ることができ、また、比較例よりも銅の含有量が少ないため、挿入損失が小さく、かつ、要求仕様を満たす耐電力を得ることができた。
【0069】
図6は、実施の形態1における試作4と比較例のストレスライフテストの結果を示す図である。
【0070】
図6に示すように、試作4と比較例のいずれも、要求仕様specを満たす耐電力が得られた。また、試作4は、印加電力が32dBm付近において、比較例の約10倍も長いライフを実現できた。
【0071】
以上で説明された実施の形態1によれば、耐電力が向上した弾性波デバイスを提供することができる。
【0072】
実施の形態2.
図7は、実施の形態2の弾性波デバイスが適用されるモジュールの縦断面図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0073】
図7において、モジュール100は、配線基板130と複数の外部接続端子131と集積回路部品ICと弾性波デバイス1とインダクタ111と封止部117とを備える。
【0074】
複数の外部接続端子31は、配線基板130の下面に形成される。複数の外部接続端子131は、予め設定された移動通信端末のマザーボードに実装される。
【0075】
例えば、集積回路部品ICは、配線基板130の内部に実装される。集積回路部品ICは、スイッチング回路とローノイズアンプとを含む。
【0076】
弾性波デバイス1は、配線基板130の主面に実装される。
【0077】
インダクタ111は、配線基板130の主面に実装される。インダクタ111は、インピーダンスマッチングのために実装される。例えば、インダクタ111は、Integrated Passive Device(IPD)である。
【0078】
封止部117は、弾性波デバイス1を含む複数の電子部品を封止する。
【0079】
以上で説明された実施の形態2によれば、モジュール100は、弾性波デバイス1を備える。このため、耐電力が向上した弾性波デバイスを備えるモジュールを提供できる。
【0080】
少なくとも一つの実施形態のいくつかの側面が説明されたが、様々な改変、修正および改善が当業者にとって容易に想起されることを理解されたい。かかる改変、修正および改善は、本開示の一部となることが意図され、かつ、本開示の範囲内にあることが意図される。
【0081】
理解するべきことだが、ここで述べられた方法および装置の実施形態は、上記説明に記載され又は添付図面に例示された構成要素の構造および配列の詳細への適用に限られない。方法および装置は、他の実施形態で実装し、様々な態様で実施又は実行することができる。
【0082】
特定の実装例は、例示のみを目的としてここに与えられ、限定されることを意図しない。
【0083】
本開示で使用される表現および用語は、説明目的であって、限定としてみなすべきではない。ここでの「含む」、「備える」、「有する」、「包含する」およびこれらの変形の使用は、以降に列挙される項目およびその均等物並びに付加項目の包括を意味する。
【0084】
「又は(若しくは)」の言及は、「又は(若しくは)」を使用して記載される任意の用語が、当該記載の用語の一つの、一つを超える、およびすべてのものを示すように解釈され得る。
【0085】
前後左右、頂底上下、横縦、表裏への言及は、いずれも、記載の便宜を意図する。当該言及は、本開示の構成要素がいずれか一つの位置的又は空間的配向に限られるものではない。したがって、上記説明および図面は、例示にすぎない。
【符号の説明】
【0086】
1 弾性波デバイス
3 配線基板
5 デバイスチップ、
11 圧電基板
21 支持基板
9 電極パッド
15 バンプ
16 空隙
17 封止部
31 外部接続端子
52 弾性波素子、 52a IDT、 52b 反射器、 52c 櫛形電極、 52d 電極指
100 モジュール、 111 インダクタ、 117 封止部、 130 配線基板、 131 外部接続端子、 IC 集積回路部品