(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016244
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】スポンジおよび洗浄用具
(51)【国際特許分類】
A47L 17/00 20060101AFI20230126BHJP
B08B 1/00 20060101ALI20230126BHJP
B08B 9/087 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
A47L17/00 Z
B08B1/00
B08B9/087
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120435
(22)【出願日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391007758
【氏名又は名称】キクロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】中島 健
(72)【発明者】
【氏名】中川 真吾
【テーマコード(参考)】
3B116
【Fターム(参考)】
3B116AA23
3B116AB52
3B116BA08
3B116BA24
(57)【要約】
【課題】飲料容器の内面および栓を、効率的に洗浄することができるスポンジおよび洗浄用具を提供する。
【解決手段】このスポンジ10は、長手方向に延びる胴体部13と、胴体部13から突出する突起部14とを有し、長手方向および幅方向に対して直交する厚み方向における突起部14の厚みは、厚み方向における胴体部13の厚みよりも薄い。また、この洗浄用具は、スポンジ10と、棒状の柄とを有する。このため、スポンジ10およびスポンジ10を有する洗浄用具は、胴体部13よりも厚みが薄い突起部14を使って、飲料容器の栓の溝を洗浄することができる。したがって、飲料容器の内面および栓を、効率的に洗浄することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器を洗浄する洗浄用具に使用されるスポンジであって、
長手方向に延びる胴体部と、
前記胴体部から突出する突起部と、
を有し、
前記長手方向および幅方向に対して直交する厚み方向における前記突起部の厚みは、前記厚み方向における前記胴体部の厚みよりも薄い、
スポンジ。
【請求項2】
請求項1に記載のスポンジであって、
前記突起部は、前記胴体部よりも剛性が高い補強部を有する、スポンジ。
【請求項3】
請求項2に記載のスポンジであって、
前記スポンジは、互いに重なり合った2枚のスポンジシートを有し、
前記補強部は、前記2枚のスポンジシート同士が溶着した溶着部である、スポンジ。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のスポンジであって、
前記補強部は、前記胴体部から、前記突起部の先端へ向かう方向に線状に延びる、スポンジ。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のスポンジであって、
前記突起部は、前記胴体部の幅方向に突出し、更に、凹状に湾曲した湾曲部を有する、スポンジ。
【請求項6】
飲料容器を洗浄する洗浄用具であって、
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のスポンジと、
前記長手方向に延びる棒状の柄と、
を有し、
前記スポンジは、
前記長手方向に沿って形成された挿入孔
を有し、
前記柄は、
前記挿入孔に挿入される挿入部
を有する、
洗浄用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料容器を洗浄する洗浄用具および当該洗浄用具に使用されるスポンジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水筒等の飲料を貯留する容器を洗浄するための洗浄用具が知られている。従来の洗浄用具については、例えば、特許文献1,2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-220724
【特許文献2】特開2019-10422
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の洗浄用具は、外周全面にネットを被覆固着した長方形状のスポンジにより飲料容器の内面を洗浄する(特許文献1の段落0007参照)。また、特許文献2の洗浄用具は、屈曲した筒状または袋状の洗浄体により飲料容器の内面を洗浄する(特許文献2の段落0009参照)。しかしながら、特許文献1,2の洗浄用具では、水筒やステンレスボトル等の栓付きの飲料容器を洗浄する場合、スポンジの厚みが飲料容器の栓の溝の幅よりも大きいため、溝の奥までスポンジが入り難い。そのため、特許文献1,2の洗浄用具では、飲料容器の栓を効率的に洗浄することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、飲料容器の内面および栓を、効率的に洗浄することができるスポンジおよび洗浄用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスポンジは、長手方向に延びる胴体部と、前記胴体部から突出する突起部と、を有し、前記長手方向に対して直交する厚み方向における前記突起部の厚みは、前記厚み方向における前記胴体部の厚みよりも薄い。
【0007】
本発明によれば、胴体部よりも厚みが薄い突起部を使って、飲料容器の栓の溝を洗浄することができる。したがって、飲料容器の内面および栓を、効率的に洗浄することができる。
【0008】
また、前記突起部は、前記胴体部よりも剛性が高い補強部を有することが好ましい。これにより、飲料容器の栓の溝へ突起部を差し込む場合に、突起部が折れ曲がることを抑制することができる。
【0009】
また、前記スポンジは、互いに重なり合った2枚のスポンジシートを有し、前記補強部は、前記2枚のスポンジシート同士が溶着した溶着部であることが好ましい。これにより、補強部の部品点数を削減することができる。
【0010】
また、前記補強部は、前記胴体部から、前記突起部の先端へ向かう方向に線状に延びることが好ましい。これにより、洗浄用具を、飲料容器の栓の溝に、突起部の先端へ向かう方向へ差し込む場合に、突起部が折れ曲がることを抑制することができる。
【0011】
また、前記突起部は、前記胴体部の幅方向に突出し、更に、凹状に湾曲した湾曲部を有することが好ましい。これにより、湾曲部を飲料容器における首部の内面に対して容易に接触させることができる。したがって、飲料容器の内面を、より効率的に洗浄することができる。
【0012】
また、本発明の洗浄用具は、上記のスポンジと、前記長手方向に延びる棒状の柄と、を有し、前記スポンジは、前記長手方向に沿って形成された挿入孔を有し、前記柄は、前記挿入孔に挿入される挿入部を有する。
【0013】
この洗浄用具では、飲料容器の内面および栓を、効率的に洗浄することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、胴体部よりも厚みが薄い突起部を使って、飲料容器の栓の溝を洗浄することができる。したがって、飲料容器の内面および栓を、効率的に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】洗浄用具の柄をスポンジに挿入した状態を示した図である。
【
図5】洗浄用具により飲料容器の栓を洗浄する様子を示した図である。
【
図6】洗浄用具により飲料容器の本体部を洗浄する様子を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
<1.洗浄用具の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る洗浄用具1の正面図である。この洗浄用具1は、水筒等の飲料を貯留する容器(以下「飲料容器」と称する)を洗浄するための、柄付きスポンジである。
図1に示すように、洗浄用具1は、スポンジ10と、長手方向に延びる棒状の柄20とを有する。洗浄用具1のユーザは、柄20を持ち、有底筒状の飲料容器の内側にスポンジ10を挿入して、飲料容器の内面を洗浄する。
【0018】
図2は、柄20をスポンジ10に挿入した状態を示した図である。柄20は、長手方向に延びる棒状体である。柄20の材料には、例えば、ポリプロピレン樹脂が用いられる。柄20は、把持部21と、挿入部22とを有する。
図2では、挿入部22を、破線で示している。把持部21は、ユーザにより把持される部分である。把持部21は、挿入部22側へ向かうにつれて幅方向の寸法が小さくなる。
【0019】
挿入部22は、スポンジ10に挿入することで柄20とスポンジ10とを接続する部分である。
図2に示す通り、挿入部22は、中間部222の外周が、先端部221Aおよび基端部221Bの外周よりも小さくなるように形成されている。これにより、挿入部22をスポンジ10に挿入すると、先端部221Aおよび基端部221Bがスポンジ10の内面に圧接することで、強固にスポンジ10を固定することができる。また、柄20がポリプロピレン樹脂等の可撓性素材である場合、中間部222の可撓性により洗浄性を向上させることができる。
【0020】
<2.スポンジの構成>
図3は、本発明の一実施形態に係るスポンジ10の正面図である。
図4は、スポンジ10を先端側から見た図(
図3の白抜き矢印の方向に見た図)である。
図3に示すように、スポンジ10は、胴体部13と、突起部14と、溶着部15と、挿入孔16とを有する。上述の通り、スポンジ10は、洗浄用具1の柄20に装着された状態で使用される。
【0021】
図4に示すように、スポンジ10は、1枚の無膜スポンジシート11と、1枚の有膜スポンジシート12とから形成される。無膜スポンジシート11は、スポンジの気泡を構成する膜を取り除く処理を施したスポンジシートである。そのため、無膜スポンジシート11は、通気性や通水性に優れており、水切れがよく衛生性に優れる。一方、有膜スポンジシート12は、上述の処理を施していないスポンジシートである。有膜スポンジシート12は、スポンジの気泡を構成する膜が残存しているため、洗剤や水を保持しやすく、洗浄時の泡持ちに優れる。
【0022】
さらに、
図4に示すように、有膜スポンジシート12は、略全面が凹凸を有する波形状である。これにより、飲料容器の細かい凹凸部分を洗浄する場合、有膜スポンジシート12と飲料容器の凹凸部分との接触面積を増大させることができる。したがって、飲料容器の凹凸部分における洗い易さおよび泡立ちを向上させることができる。
【0023】
スポンジ10の製造時には、無膜スポンジシート11と有膜スポンジシート12とを重ね合わせ、その長手方向の一端のみが開口状態となるように、両スポンジシートにおける胴体部13および突起部14の周縁同士を高周波溶着する。そうすると、両スポンジシートの溶着部分である溶着部15を介して、両スポンジシートが一体となる。これにより、袋状体のスポンジ10が形成される。スポンジ10の開口部分は、洗浄用具1の柄20が挿入される挿入孔16となる。
【0024】
ただし、スポンジ10の材料は、有膜スポンジシートおよび無膜スポンジシートに限られず、伸縮可能な多孔質材料であればよい。また、スポンジ10は、2枚のスポンジシートにより構成されるものに限らず、単一のスポンジシートに挿入孔16を形成したものであってもよい。スポンジ10の材料には、例えばポリウレタンが用いられる。
【0025】
胴体部13は、長手方向に沿って延びる略円筒状の外形を有する。これにより、飲料容器の曲面部分を洗浄する場合、胴体部13と飲料容器の曲面部分とを容易に接触させることができる。したがって、飲料容器をより効率的に洗浄することができる。また、胴体部13の先端は、角のない曲面形状となっている。
【0026】
挿入孔16は、洗浄用具1の柄20が挿入される孔である。挿入孔16は、胴体部13において上述した溶着部15の内側に形成される。また、挿入孔16は、柄20の長手方向に沿って形成される。挿入孔16は、スポンジ10の長手方向の両端のうち、突起部14を備えない一端のみに開口する。
【0027】
突起部14は、胴体部13の先端から、胴体部13の幅方向へ突出する。飲料容器の洗浄時には、突起部14を利用して、飲料容器の本体部の内面を洗浄することができる。また、突起部14は、飲料容器の栓8を洗浄するときに、特に有用である。
図5は、洗浄用具1により栓8を洗浄するときの様子を示した図である。
図5においては、栓8が断面で示されている。栓8は、円筒状のカバー部81と、カバー部81の内側に位置する凸部82とを有する。また、栓8は、カバー部81と凸部82との間に、幅の狭い円環状の溝83を有する。突起部14は、長手方向および幅方向に対して直交する厚み方向における厚みが、厚み方向における胴体部13の厚みよりも薄い。そのため、
図5で示す通り、スポンジ10のユーザは、突起部14を溝83に容易に差し込むことができる。したがって、溝83に差し込んだ突起部14を摺動させることで、溝83を効率的に洗浄することができる。
【0028】
突起部14の先端は、略矩形状である。これにより、突起部14が円弧状である場合と比較して、突起部14の先端が溝83の奥へ届きやすくなる。したがって、より効率的に溝83の洗浄を行うことができる。
【0029】
ただし、突起部14が突出する位置は、胴体部13の先端に限られず、例えば、胴体部13の基端または中央から突出していてもよい。また、突起部14は、胴体部13の先端から突出する場合、胴体部13の長手方向へ突出していてもよい。
【0030】
図3に示すように、本実施形態の突起部14は、3本の補強部141を有する。補強部141は、突起部14を構成するスポンジシートのうち、胴体部13から、突起部14の先端へ向かう方向に線状に延びる部分を高周波溶着することにより形成される。ここで、スポンジシートは、高周波溶着されることにより剛性が向上する。そのため、補強部141は、胴体部13よりも剛性が高い。これにより、補強部141は、突起部14を溝83に差し込む場合に、突起部14が折れ曲がることを抑制することができる。したがって、補強部141を設けることで、突起部14を溝83に差し込みやすくなり、より効率的に溝83を洗浄することができる。また、線状の補強部141は、溝83に突起部14を挿入するときの、挿入方向を示す目印にもなる。
【0031】
図3の例では、突起部14は、第1補強部141Aと、第2補強部141Bと、第3補強部141Cとからなる3本の補強部141を有する。3本の補強部141は、突起部14を構成するスポンジシートのうち、胴体部13から、突起部14の先端に向かう方向に線状に延びる部分を高周波溶着することにより形成される。具体的には、第1補強部141Aは、突起部14の端縁部のうち胴体部13の先端に最も近い端縁部から、突起部14の先端まで、胴体部13の幅方向に延びる。第2補強部141Bは、突起部14の底部中央から、突起部14の先端まで、胴体部13の略法線方向に延びる。第3補強部141Cは、突起部14の端縁部のうち把持部21に最も近い端縁部から、突起部14の先端まで、突起部14の輪郭に沿って延びる。第1補強部141Aと、第2補強部141Bと、第3補強部141Cとは、それぞれの先端で互いに繋がる。特に、第1補強部141Aと第3補強部141Cとは、それぞれの先端で略垂直に繋がる。
【0032】
ただし、突起部14に設けられる補強部141の数は、1~2本であってもよく、あるいは、4本以上であってもよい。また、補強部141は、スポンジシートを高周波溶着することにより形成されたものに限られず、プラスチック樹脂や、針金から形成されていてもよい。ただし、上記のように、補強部を2枚のスポンジシート同士が溶着した溶着部とすれば、補強部に別部品を使用する場合よりも、洗浄用具1の部品点数を削減することができる。
【0033】
また、
図3に示すように、本実施形態の突起部14は、湾曲部142を有する。湾曲部142は、突起部14の把持部21に最も近い端縁部が凹状に湾曲した部分である。胴体部13の側縁部と、突起部14の先端とは、湾曲部142を介して繋がっている。
【0034】
図6は、飲料容器の本体部9を洗浄するときの様子を示した図である。
図6においては、飲料容器の本体部9が、断面で示されている。飲料容器の本体部9は、有底円筒状の外形を有する。また、
図6に示すように、本体部9は、上端に、縮径された首部90を有する。
【0035】
図6に示す通り、飲料容器の内面を洗浄する場合、スポンジ10は、本体部9の上部の開口から、本体部9の内側へ挿入される。そして、本体部9の内面に対して、スポンジ10を摺動させることにより、本体部9の内面が洗浄される。その際、湾曲部142は、首部90の内面に対して容易に接触することができる。そのため、首部90の内面に付着した汚れを容易に掻き出すことができ、飲料容器の内面を効率的に洗浄することができる。
【0036】
すなわち、洗浄用具1は、飲料容器の容器内面、円筒外装部はもとより、栓8の隙間や飲料容器の首部90の内面に至るまで、これひとつで飲料容器のあらゆる部位を隅々まで洗浄することが可能であり、優れた洗浄機能を発揮するものである。
【0037】
<3.変形例>
上記の実施形態では、突起部14は、胴体部13の先端に設けられていた。しかしながら、突起部14は、必ずしも胴体部13の先端に設けられていなくてもよい。
【0038】
上記の実施形態では、突起部14は、3本の補強部141を有していた。しかしながら、突起部14は、必ずしも補強部141を有さなくてもよい。
【0039】
上記の実施形態では、補強部141は、突起部14の先端へ向かう方向に線状に延びるように形成されていた。しかしながら、補強部141は先端とは異なる方向に延びるものであってもよい。また、補強部141の形状は、線状でなくてもよい。
【0040】
上記の実施形態では、突起部14は、湾曲部142を有していた。しかしながら、突起部14は、必ずしも湾曲部142を有さなくてもよい。
【0041】
スポンジおよび洗浄用具の細部の形状については、本願の各図と相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 洗浄用具
8 栓
9 本体部
10 スポンジ
11 無膜スポンジシート
12 有膜スポンジシート
13 胴体部
14 突起部
15 溶着部
16 挿入孔
20 柄
21 把持部
22 挿入部
81 カバー部
82 凸部
83 溝
90 首部
141 補強部
141A 第1補強部
141B 第2補強部
141C 第3補強部
142 湾曲部
221A 先端部
221B 基端部
222 中間部