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  • 特開-固形燃料の燃焼装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162444
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】固形燃料の燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23B 40/04 20060101AFI20231031BHJP
   F23J 1/02 20060101ALI20231031BHJP
   F23K 3/14 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
F23B40/04
F23J1/02 Z
F23K3/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023146575
(22)【出願日】2023-09-08
(62)【分割の表示】P 2023525470の分割
【原出願日】2022-12-13
(31)【優先権主張番号】P 2021202805
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】508115897
【氏名又は名称】株式会社湘南貿易
(71)【出願人】
【識別番号】521547448
【氏名又は名称】谷村 祐司
(74)【代理人】
【識別番号】100142550
【弁理士】
【氏名又は名称】重泉 達志
(72)【発明者】
【氏名】橋本 則夫
(72)【発明者】
【氏名】谷村 祐司
(57)【要約】
【課題】取り扱う固形燃料が変更されても、燃焼炉の燃焼能力に応じた適切な固形燃料の供給状態とすることのできる固形燃料の燃焼装置を提供する。
【解決手段】上下方向へ延びる円筒状の燃焼炉10と、固形燃料を燃焼炉10内へ供給する燃料供給部20と、を備えた固形燃料の燃焼装置1において、燃焼炉10内の下端側に配置された逆円錐状の本体51を有し、本体51の下端開口から固形燃料が供給され燃焼時の固形燃料を支持する燃料受容体50と、燃焼炉10に配置され、燃料受容体50の下端開口から下方へ延び、下端に燃料供給口18が形成される燃料供給路16と、燃焼供給路16の燃料供給口18に接続され、固形燃料を燃焼炉10内へ供給する燃料供給部20と、を備え、燃料供給部20は、燃焼炉10に対して着脱自在に構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向へ延びる円筒状の燃焼炉と、
前記燃焼炉内の下端側に配置され、上方へ向かって拡開し上端及び下端が開放され逆円錐状の本体を有し、前記本体の下端開口から固形燃料が供給され、燃焼時の固形燃料を支持する燃料受容体と、
前記燃焼炉に配置され、前記燃料受容体の下端開口から下方へ延び、下端に燃料供給口が形成される燃料供給路と、
前記燃焼供給路の燃料供給口に接続され、固形燃料を前記燃焼炉内へ供給する燃料供給部と、を備え、
前記燃料供給部は、前記燃焼炉に対して着脱自在に構成される固形燃料の燃焼装置。
【請求項2】
仕様の異なる複数の前記燃料供給部を備え、
前記各燃料供給部の1つが選択的に前記燃焼炉に取り付けられる請求項1に記載の固形燃料の燃焼装置。
【請求項3】
前記燃料受容体は、前記燃焼炉に対して回転自在に構成され、内周面に形成され前記固形燃料を上方へ移動させる羽根部を有する請求項1または2に記載の固形燃料の燃焼装置。
【請求項4】
前記燃料受容体は、前記本体の上端から径方向外側へ延びるテーブル部と、前記テーブル部に形成され灰を排出するための排出孔と、を有する請求項3に記載の固形燃料の燃焼装置。
【請求項5】
前記燃焼炉側に固定され、前記テーブル部の上方まで延び、前記テーブル部の上面に堆積した灰を掻き取るスクレーパを備えた請求項4に記載の固形燃料の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形燃料を燃焼させて高温の燃焼ガスを生成する燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の燃焼装置として、円筒状の外装筒体の内部に、外装筒体よりも径および高さが共に小さい円筒状の燃焼筒体が同心状に配置されて、外装筒体の下部内周面と燃焼筒体の外周面との間に環状の灰排出路が設けられ、燃焼筒体の下端部に、固形燃料の燃料供給管が連通して連結されたものが知られている(特許文献1参照)。特許文献1では、燃料供給管の内部にスクリューが配置され、固形燃料はスクリューの回転により搬送・供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4794018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の燃焼装置では、固形燃料を送出する燃料供給管及びスクリューが固定的に設けられているため、燃料供給管及びスクリューの仕様を変更することはできない。これにより、取り扱う固形燃料が変更され、固形燃料の密度、形状等が想定されたものと大きく異なると、燃焼炉の燃焼能力に応じた適切な供給状態とならない場合がある。従って、燃焼装置ごとに取り扱い可能な固形燃料の種類が制限されてしまう。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、取り扱う固形燃料が変更されても、燃焼炉の燃焼能力に応じた適切な固形燃料の供給状態とすることのできる固形燃料の燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明では、
上下方向へ延びる円筒状の燃焼炉と、
前記燃焼炉内の下端側に配置され、上方へ向かって拡開し上端及び下端が開放され逆円錐状の本体を有し、前記本体の下端開口から固形燃料が供給され、燃焼時の固形燃料を支持する燃料受容体と、
前記燃焼炉に配置され、前記燃料受容体の下端開口から下方へ延び、下端に燃料供給口が形成される燃料供給路と、
前記燃焼供給路の燃料供給口に接続され、固形燃料を前記燃焼炉内へ供給する燃料供給部と、を備え、
前記燃料供給部は、前記燃焼炉に対して着脱自在に構成される固形燃料の燃焼装置が提供される。
【0007】
また、上記固形燃料の燃焼装置において、
前記燃料供給部は、
前記固形燃料を前記燃焼炉側へ送出する燃料送出部と、
前記燃料送出部と前記燃焼炉の間に介在し前記固形燃料が挿通する燃料供給孔が形成された供給量調整部材と、を有することが好ましい。
【0008】
また、上記固形燃料の燃焼装置において、
仕様の異なる複数の前記燃料供給部を備え、
前記各燃料供給部の1つが選択的に前記燃焼炉に取り付けられることが好ましい。
【0009】
また、上記固形燃料の燃焼装置において、
前記燃料受容体は、前記燃焼炉に対して回転自在に構成され、内周面に形成され前記固形燃料を上方へ移動させる羽根部を有することが好ましい。
【0010】
また、上記固形燃料の燃焼装置において、
前記燃料受容体は、前記本体の上端から径方向外側へ延びるテーブル部と、前記テーブル部に形成され灰を排出するための排出孔と、を有することが好ましい。
【0011】
また、上記固形燃料の燃焼装置において、
前記燃焼炉側に固定され、前記テーブル部の上方まで延び、前記テーブル部の上面に堆積した灰を掻き取るスクレーパを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の固形燃料の燃焼装置によれば、取り扱う固形燃料が変更されても、燃焼炉の燃焼能力に応じた適切な固形燃料の供給状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態を示し、供給される空気の流通経路を示す固形燃料の燃焼装置の縦断面図である。
図2】燃料供給部を燃焼炉から外した状態を示す燃焼装置の縦断面図である。
図3】燃料受容体の平面図である。
図4】固形燃料の移動経路、灰の移動経路及び燃焼ガスの流通経路を示す固形燃料の燃焼装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1から図4は本発明の一実施形態を示し、図1は供給される空気の流通経路を示す固形燃料の燃焼装置の縦断面図、図2は燃料供給部を燃焼炉から外した状態を示す燃焼装置の縦断面図、図3は燃料受容体の平面図、図4は固形燃料の移動経路、灰の移動経路及び燃焼ガスの流通経路を示す固形燃料の燃焼装置の縦断面図である。
【0015】
図1に示すように、この固形燃料の燃焼装置1は、上下方向へ延びる筒状の燃焼炉10と、燃焼炉10へ固形燃料Fを供給する燃料供給部20と、を備えている。燃焼炉10は、複数の円筒状の筒体を有し、主として径方向内側に配置される筒体により、上下へ延びる燃焼室11を形成している。燃焼炉10は、燃焼室11の径方向外側に形成された空気導入路12,13,14,15を有し、空気導入路12,13,14,15を通じて燃焼室11へ空気Aが導入される。また、燃焼炉10は、燃焼室11の下側に形成され上下へ延びる燃料供給路16を有し、燃料供給路16を通じて燃焼室11へ固形燃料Fが導入される。
【0016】
空気導入路12,13,14,15は、主として、内側に配置される筒体と、外側に配置される筒体とにより形成される。本実施形態においては、燃焼炉10は、燃焼室11への空気Aの吐出高さが異なる4つの空気導入路12,13,14,15を有し、燃焼室11へ導入される空気Aの温度は、吐出高さが高い空気導入路12,13,14,15ほど高くなるよう調整されている。本実施形態においては、各空気導入路12,13,14,15は、径方向内側から外側へ向かって吐出高さが高い順に配置され、それぞれ燃焼室11の周方向へ向かって空気Aを吐出するよう構成される。
【0017】
燃料供給路16は、径方向中央に形成され、燃焼炉10の下端をなす筒体により形成される。燃料供給路16の下端開口は燃料供給口18をなし、燃料供給路16の上端開口は供給接続口17をなし、燃料供給路16の下端には水平方向へ延びるフランジ19が形成される。
【0018】
燃料供給部20は、燃焼炉10の下端に接続され、燃焼炉10の燃料供給口18を通じて、燃焼炉10内へ固形燃料Fを供給する。燃料供給部20は、固形燃料Fを燃焼炉10側へ送出する燃料送出部30と、燃料送出部30と燃焼炉10の間に介在し固形燃料Fが挿通する燃料供給孔41が形成された供給量調整部材40と、を有している。図2に示すように、燃料供給部20は、燃焼炉10に対して着脱自在となっている。
【0019】
本実施形態においては、燃料送出部30は、水平方向へ延びる送出管31と、送出管31内に配置されるスクリュー32と、送出菅31の所定位置から上方へ延びる接続管33と、を有する。スクリュー32は、回転可能な軸部34と、軸部34から径方向外側へ延びる螺旋状の羽根35と、を有する。スクリュー32は、所定方向への回転で送出管31内の固形燃料Fを接続管33側へ送出する。接続管33の上端は送出口36をなし、接続管33の上端には水平方向外側へ延びるフランジ37が形成される。本実施形態においては、仕様の異なる複数の燃料送出部30が備えられ、燃焼対象となる固形燃料Fに応じて、適切な燃料送出部30が選択される。例えば、燃焼炉10の下方にレールを敷いておき、各燃料送出部30をレール上に移動自在に設置することにより、選択した一の燃料送出部30が燃焼炉10に接続されるようにすることができる。燃料送出部30の仕様は、例えば、スクリュー32の羽根35の高さ、スクリュー32の羽根35のピッチ、送出管31の内周面と羽根35の間隙距離等を異なるものとして変更される。
【0020】
供給量調整部材40は、平板状に形成され、燃焼炉10のフランジ19と燃料送出部30のフランジ37の間に挟み込まれる。供給量調整部材40は、平面視中央に形成され固形燃料Fが挿通する燃料供給孔41が形成される。本実施形態においては、仕様の異なる複数の供給量調整部材40が備えられ、燃焼対象となる固形燃料Fに応じて、適切な供給量調整部材40が選択される。供給量調整部材40の仕様は、例えば、燃料供給孔41の大きさを異なるものとして変更される。
【0021】
図1に示すように、固形燃料の燃焼装置1は、燃焼炉10内の下端側に配置される燃料受容体50を有する。燃料受容体50は、燃焼炉10に対して回転自在に構成され、上方へ向かって拡開し上端及び下端が開放された逆円錐状の本体51と、本体51の内周面に形成され固形燃料Fを上方へ移動させる羽根部52と、本体51の上端から径方向外側へ延びるテーブル部53と、テーブル部53に形成され灰を排出するための排出孔54(図3参照)と、を有する。本体51の下端開口55(図3参照)は、燃料供給路16の供給接続口18よりも大きく形成され、側面視にて本体51の下端側と燃料供給路16の上端側が重なるよう構成される。すなわち、燃料供給路16は、燃料受容体50の下端開口55から下方へ延びている。燃焼受容体50は、燃焼炉10の各筒体と同心に配置され、上下方向を中心軸として回転する。
【0022】
図3に示すように、羽根部52は、周方向に間隔をおいて複数設けられる。燃焼受容体50が所定方向に回転すると、各羽根部52により本体51上の固形燃料Fが攪拌されつつ上方へ移動させられる。
【0023】
テーブル部53は、平面視でドーナツ状に形成され、径方向へ延びる排出孔54が周方向に等間隔で形成される。テーブル部53の上方には、テーブル部53の上面と所定の間隔をおいて、テーブル部53の上面に堆積した灰を掻き取る複数のスクレーパ56が配置される。各スクレーパ56は、径方向へ延び、周方向に等間隔に配置され、燃焼炉10側に固定される。本実施形態においては、スクレーパ56は、2つ設けられている。
【0024】
図1に示すように、本実施形態においては、スクレーパ56は、最も下側の空気導入路15をなす筒体に固定される。具体的に、最も下側の空気導入路15は、燃焼炉10の外殻をなす外側筒体15aと、外側筒体15aの径方向内側に配置される中央側筒体15bと、中央側筒体15bの径方向内側に配置され燃焼室11の一部を画成する内側筒体15cと、外側筒体15aの上端から径方向内側へ延び内側筒体15cに接続される水平壁15dと、を有している。中央側筒体15bは、外側筒体15aよりも上端が低く形成され、空気Aが水平壁15dに沿って径方向へ移動可能となっている。内側筒体15cは、平面視で、燃焼受容体50のテーブル部53と重なるよう配置される。内側筒体15cの下端は、テーブル部53の上方に位置している。図1に示すように、空気Aは、外側筒体15aと中央側筒体15bにより形成された空間を上方へ移動し、外側筒体15a及び中央側筒体15bの上端で水平壁15dに沿って径方向内側へ移動した後、中央側筒体15b及び内側筒体15cにより形成された空間を旋回しながら下方へ移動する。
【0025】
また、内側筒体15cの下端側には、円形の孔部15eが複数形成されている。本実施形態においては、各孔部15eは、パンチングにより形成され、中央側筒体15bの上端より低位置に配置される。尚、内側筒体15cの上部は、下から2番目及び3番目の空気導入路16,17の径方向外側の筒体をなしている。
【0026】
以上のように構成された固形燃料の燃焼装置1では、固形燃料Fの燃焼に際し、燃料供給部20のスクリュー32及び燃料受容体50を駆動させて固形燃料Fを燃焼炉10へ供給しつつ、各空気導入路12,13,14,15から空気Aを燃焼炉10内へ導入する。図4に示すように、燃料供給部20の送出口36から送出された固形燃料Fは、供給量調整部材40の燃料供給孔41及び燃料供給路16を通じて、燃料受容体50の本体51内へ移動する。燃料受容体50の本体51内へ移動した固形燃料Fは、本体51の羽根部52により上方へ移動されつつ燃焼する。
【0027】
このとき、本体51の羽根部52により固形燃料Fは攪拌され、固形燃料Fが滞留して本体51に付着することはない。また、燃料受容体50の本体51は、上方へ向かって拡開する逆円錐状に形成されているので、スムースに火柱が形成される。さらに、本体51が上方へ向かって拡開しているので、下端開口55から供給される固形燃料Fの搬送時の負荷を小さくすることができる。
【0028】
本実施形態においては、図1に示すように、各空気導入路12,13,14,15から吐出された空気Aは、燃焼室11の内周面に沿って旋回しながら下降し、燃料受容体50付近に到達すると、高温の燃焼ガスGに吸引されて、旋回を維持しながら固形燃料Fの燃焼領域に取り込まれる。図4に示すように、固形燃料Fの燃焼によって生じた燃焼ガスGは、渦巻き状で逆トルネード状に立ち昇る。本実施形態においては、固形燃料Fの燃焼時の炎の輻射熱により、旋回しながら下降する空気Aが予熱されることで、燃焼速度の向上に寄与している。また、旋回しながら下降する空気Aは、燃焼室11を構成する筒体の冷却にも寄与している。
【0029】
図4に示すように、固形燃料Fの燃焼に際して生じた灰Bは、燃焼ガスGの気流の遠心力により燃料受容体50の本体51の上端開口から噴き出された直後に径方向外側へ吹き飛ばされ、内側筒体15cの内周面と接触する。内側筒体15cと接触した灰Bのうち、各孔部15eを挿通したものは、中央側筒体15bと接触して、空気導入路15の空気Aの流れに乗ること及び自重により落下する。また、各孔部15eを挿通しなかった灰Bは、燃焼室11内の空気Aの旋回流及び自重により落下する。落下した灰Bは、燃料受容体50のテーブル部53上に堆積する。
【0030】
テーブル部53上に堆積した灰Bのうち、各排出孔54を挿通したものは、燃焼炉10の下方から排出される。尚、各図には図示していないが、燃焼装置1は、テーブル部53の下方に灰Bを外部へ排出する排出機構を有している。本実施形態においては、燃料受容体50が回転すると、テーブル部53に対してスクレーパ56が相対的に移動し、スクレーパ56により掻き取られたテーブル部53上の灰Bが、各排出孔54を通じて下方へ排出される。このとき、各排出孔54より排出されない大型の灰Bは、テーブル部53上に残り、燃焼室11内で完全に燃焼させられる。
【0031】
本実施形態のように、スクレーパ56を設けることにより、テーブル部53上への灰Bの固着を防止することができる。例えば、固形燃料Fとして木質チップを取り扱う場合に、木質チップに含まれるミネラル成分がテーブル部53上で固着することや、固形燃料Fとして廃プラスチックを取り扱う場合に、プラスチック成分がテーブル部53上で固着することを防止することができる。すなわち、テーブル部53、排出孔54及びスクレーパ56は、灰Bが所定箇所へ固着することにより燃焼装置の安定的な運転が阻害されるという従来の燃焼装置の課題を解決した構成といえる。
【0032】
また、本実施形態においては、各排出孔54及び各スクレーパ56が径方向へ延びて形成されているので、掻き取られる灰Bが所定方向へ延びるものであった場合に、掻き取られた灰Bは各スクレーパ56により長手方向が径方向となるよう姿勢が整えられ、各排出孔54からスムースに排出される。
【0033】
以上のように構成された固形燃料の燃焼装置1によれば、固形燃料Fの種類に応じ、適切な燃焼状態となる燃料供給部20を選択することができる。取り扱われる固形燃料Fが変更される場合に、燃料供給部20の仕様が変更後の固形燃料Fに適していないと、例えば、固形燃料Fが過度に圧縮されてしまって適切に固形燃料Fを送出できない、或いは、固形燃料Fの圧縮量が不足し燃焼室11で固形燃料Fが空気Aの流れで吹き飛ばされてしまう、といった不具合が生じる場合がある。本実施形態においては、取り扱う固形燃料Fが変更されても、変更後の固形燃料Fに対して適切な送出状態となる燃料送出部30と、燃料供給孔41が適切な絞り量となる供給量調整部材40と、を選択することができ、燃焼炉10の燃焼能力に応じた適切な固形燃料Fの供給状態を実現することができる。
【0034】
具体的には、フラフ燃料のように、比較的密度が低い固形燃料Fの場合は、燃料供給孔41が比較的小さい供給量調整部材40を選択して、供給量調整部材40における固形燃料Fの絞り量を大きくすると、固形燃料Fの圧縮量が大きくなり、適切な燃焼状態を実現しやすくなる。また、スクリュー32の羽根35の高さが比較的小さな燃料送出部30や、送出管31の内周面と羽根35の隙間が比較的狭い燃料送出部30を選択することによっても、固形燃料Fの圧縮量を大きくすることができる。
【0035】
一方、RPFのように、比較的密度が高い固形燃料Fの場合は、燃料供給孔41が比較的小さな供給量調整部材40を選択したり、スクリュー32の羽根35の高さが比較的大きな燃料送出部30や、送出管31の内周面と羽根35の隙間が比較的広い燃料送出部30を選択することが好ましい。さらに、固形燃料Fの密度だけでなく、形状、摩擦係数等に応じて、適切な燃焼状態となる燃料供給部20を選択することができる。そして、燃焼炉10内へ供給される固形燃料Fの単位時間あたりの発熱量が、適切な燃焼状態が実現される範囲内となるようにする。
【0036】
尚、前記実施形態においては、燃料供給部20をなす燃料送出部30及び供給量調整部材40をそれぞれ予め複数備えておき、選択した燃料送出部30及び供給量調整部材40を使用するものを示したが、必ずしもこれらを予め複数備えておく必要はない。すなわち、所定の固形燃料Fに対応した燃料送出部30及び供給量調整部材40を燃焼炉10に接続しておき、固形燃料Fの変更が決定された時点で、変更後の固形燃料Fに適した燃料送出部30及び供給量調整部材40を外部から調達するようにしてもよい。
【0037】
また、燃料供給部20が燃料送出部30及び供給量調整部材40により構成されるものを示したが、例えば供給量調整部材40を省略して燃料送出部30を直接的に燃焼炉10に接続してもよく、燃料供給部20の構成は適宜変更することができる。要は、燃料供給部20が燃焼炉10に対して着脱自在であり、仕様の異なる燃料供給部20が燃焼炉10に接続可能となっていればよい。
【0038】
また、前記実施形態においては、テーブル部53の上面に堆積した灰Bを掻き取るスクレーパ56を備えたものを示したが、スクレーパ56を省略する構成とすることもできる。また、テーブル部53に形成される各排出孔54は、必ずしも径方向へ延びる長孔でなくともよい。さらに、燃焼炉10に灰Bの排出機構が燃焼炉10の下部以外の部分に設けられていれば、燃料受容体50にテーブル部53を形成する必要はないし、燃料受容体50を燃焼炉10に対して回転可能とせずともよい。
【0039】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0040】
1 固形燃料の燃焼装置
10 燃焼炉
16 燃料供給路
18 燃料供給口
20 燃料供給部
30 燃料送出部
40 供給量調整部材
41 燃料供給孔
50 燃料受容体
51 本体
52 羽根部
53 テーブル部
54 排出孔
55 下端開口
56 スクレーパ
B 灰
F 固形燃料
図1
図2
図3
図4