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特開2023-162447電子喫煙物品における複数のエアロゾル化可能材料の制御可能な送達のための貯蔵部および加熱部システム
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  • 特開-電子喫煙物品における複数のエアロゾル化可能材料の制御可能な送達のための貯蔵部および加熱部システム 図1
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  • 特開-電子喫煙物品における複数のエアロゾル化可能材料の制御可能な送達のための貯蔵部および加熱部システム 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162447
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】電子喫煙物品における複数のエアロゾル化可能材料の制御可能な送達のための貯蔵部および加熱部システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/30 20200101AFI20231031BHJP
   A24F 40/57 20200101ALI20231031BHJP
【FI】
A24F40/30
A24F40/57
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023146672
(22)【出願日】2023-09-11
(62)【分割の表示】P 2021046919の分割
【原出願日】2013-06-26
(31)【優先権主張番号】13/536,438
(32)【優先日】2012-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516097871
【氏名又は名称】アール・エイ・アイ・ストラテジック・ホールディングス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドリーズ・ディー・セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】カレン・ブイ・ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ベンソン・シアーズ
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー・ジェイムズ・インジェブレスセン
(72)【発明者】
【氏名】バラガー・エイデム
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・リー・アルダーマン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ロバート・コレット
(72)【発明者】
【氏名】グレイディ・ランス・ドゥーリー
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・ジェイコブ・ノバック・ザ・サード
(57)【要約】      (修正有)
【課題】改善されたエアロゾル送達が可能となる電子喫煙物品を提供する。
【解決手段】エアロゾル送達を提供する電子喫煙物品10は、エアロゾル前駆体組成物の別個の要素の送達の速度または加熱の速度を制御するように、1以上の貯蔵部から1以上の加熱部へエアロゾル前駆体組成物の2以上の要素の別個の送達を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の要素および第2の要素を含む液体形態のエアロゾル前駆体組成物と、
1以上の貯蔵部から形成された貯蔵部システムと、
1以上の加熱部から形成された加熱部システムと、
貯蔵部システムと加熱部システムとの間に流体連通を画定する複数の送達要素とを含み、
物品が1以上の加熱部と流体連通する2以上の貯蔵部を含むか、または物品が2以上の加熱部と流体連通する1以上の貯蔵部を含むか、または物品が2以上の加熱部と流体連通する2以上の貯蔵部を含む、
喫煙具。
【請求項2】
前記貯蔵部システムが、前記エアロゾル前駆体組成物の第1の要素により少なくとも部分的に飽和された多孔質材料から形成された第1の貯蔵部、および前記エアロゾル前駆体組成物の第2の要素を含む第2の貯蔵部を含み、
前記複数の送達要素が、第1の貯蔵部と加熱部システムとの間に流体連通を提供する第1の送達要素、および第2の貯蔵部と加熱部システムとの間に流体連通を提供する第2の送達要素を含む、
請求項1に記載の喫煙具。
【請求項3】
前記加熱部システムが、少なくとも第1の加熱部および第2の加熱部を含む、請求項2に記載の喫煙具。
【請求項4】
前記第1の送達要素が第1の貯蔵部と第1の加熱部との間に流体連通を提供し、前記第2の送達要素が第2の貯蔵部と第2の加熱部との間に流体連通を提供する、請求項3に記載の喫煙具。
【請求項5】
第1の加熱手順によって前記第1の加熱部を操作し、異なる第2の加熱手順によって前記第2の加熱部を操作するように適合された制御要素を含む、請求項3に記載の喫煙具。
【請求項6】
前記物品が電力源を含み、それぞれの加熱部が異なる温度へ加熱されるか、異なる時間加熱されるか、または異なる温度まで異なる時間加熱されるように、電源から第1の加熱部および第2の加熱部への電流の流れを制御するように、前記制御要素が適合された、請求項5に記載の喫煙具。
【請求項7】
前記第1の送達要素が前記第2の送達要素とは異なる構築である、請求項2に記載の喫煙具。
【請求項8】
前記第1の送達要素および前記第2の送達要素が、横断面形状、材料タイプ、表面処理および全体寸法のうち1以上で異なる、請求項7に記載の喫煙具。
【請求項9】
前記第1の送達要素および前記第2の送達要素のうちの一方または両方が、画定された毛細管作用を有する芯である、請求項2に記載の喫煙具。
【請求項10】
前記第1の送達要素および前記第2の送達要素が両方とも芯である、請求項9に記載の喫煙具。
【請求項11】
前記第1の芯が第1の吸液速度を有し、前記第2の芯は異なる第2の吸液速度を有する、請求項10に記載の喫煙具。
【請求項12】
前記芯が、繊維状材料、炭素発泡体、焼結材料、毛細管、温度適応性ポリマー、およびその組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項9に記載の喫煙具。
【請求項13】
前記第2の貯蔵部が、前記エアロゾル前駆体組成物の第2の要素により少なくとも部分的に飽和された多孔質材料を含む、請求項2に記載の喫煙具。
【請求項14】
前記第1の送達要素および前記第2の送達要素が1以上の点で相互に接続される、請求項2に記載の喫煙具。
【請求項15】
前記物品が、前記貯蔵部システムおよび前記複数の送達要素の1以上と実質的に接触する、さらなる加熱部を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の喫煙具。
【請求項16】
前記物品が、前記貯蔵部システムおよび前記複数の送達要素の1以上を、エアロゾル前駆体組成物のそれぞれの要素の気化温度未満である温度まで暖める前記さらなる加熱部を操作するように適合された制御要素を含む、請求項15に記載の喫煙具。
【請求項17】
前記エアロゾル前駆体組成物が多価アルコールを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の喫煙具。
【請求項18】
前記エアロゾル前駆体組成物が、医薬品、タバコ由来材料、風味料およびその組み合わせからなる群から選択される要素を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の喫煙具。
【請求項19】
喫煙具中でエアロゾルを生成する方法であって、
喫煙具内の電源を活性化して、電源から喫煙具中のエアロゾル化ゾーン内に配置された加熱部への電流の流れを発生させる工程と、
エアロゾル前駆体組成物の第1の要素を、第1の送達要素を介して、エアロゾル前駆体組成物の第1の要素により少なくとも部分的に飽和された多孔質材料を含む第1の貯蔵部からエアロゾル化ゾーンへ送達する工程と、
エアロゾル前駆体組成物の第2の要素を、第2の送達要素を介して、第2の貯蔵部からエアロゾル化ゾーンへ送達する工程と、
エアロゾル前駆体要素を加熱して、エアロゾルを生成する工程と
を含む、方法。
【請求項20】
前記第1のエアロゾル前駆体要素が第1の速度で送達され、前記第2の前駆体要素が異なる第2の速度で送達される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記エアロゾル前駆体組成物の第1の要素を前記第1の貯蔵部から加熱部へ送達し、前記エアロゾル前駆体組成物の第2の要素を前記第2の貯蔵部から第2の加熱部へ送達する工程を含む、請求項19または請求項20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記加熱部は第1の加熱手順によって加熱され、前記第2の加熱部は異なる第2の加熱手順によって加熱されるように、前記電源から前記加熱部および前記第2の加熱部への電流の流れを制御する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記それぞれの加熱部が異なる温度へ加熱されるか、異なる時間加熱されるか、または異なる温度まで異なる時間加熱されるように、前記電源から前記加熱部および前記第2の加熱部への電流の流れを制御する工程を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の貯蔵部、前記第2の貯蔵部、前記第1の送達要素および前記第2の送達の1以上を、前記エアロゾル前駆体組成物のそれぞれの要素の気化温度未満である温度まで加熱する工程を含む、請求項19または請求項20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入可能な形態のタバコ成分または他の材料を生成するためのエアロゾル送達具およびその使用に関する。本物品は、人が消費するために、タバコから作製されるかもしくはタバコに由来するか、または別の方法によってタバコを組込むことができる。
【背景技術】
【0002】
タバコの燃焼に基づく喫煙用製品の改善物またはその代替物として、多くの喫煙具が近年提案されてきた。例示的な代替物は、固体または液体の燃料が燃焼されてタバコへ熱を移行させるか、または化学反応が使用されて、かかる熱源を提供する装置を含んでいた。風味の付いた蒸気、目視可能なエアロゾル、または風味の付いた蒸気および目視可能なエアロゾルの混合物を生成する様々なタイプの喫煙具が、多くの文献で提案されている。それらの提案されたタイプの喫煙具のうちのいくつかは、管状区分または長手方向に延在する空気通路を含む。
【0003】
喫煙具の改善物または代替物のポイントは、典型的には、かなりの量の不完全燃焼産物および熱分解産物を送達せずに、紙巻きタバコ(cigarette)、葉巻き(cigar)またはパイプの喫煙と結び付いた感覚を提供することにあった。この目的のために、電気エネルギーを利用して揮発性材料を気化もしくは加熱するか、またはタバコを燃やさずに紙巻きタバコ、葉巻きもしくはパイプの喫煙の感覚の提供を試みる、多数の喫煙用製品、風味発生機および医用吸入器が提案されてきた。
【0004】
代替の喫煙具の一般的な例は、Ellisらによる米国特許第3,258,015号;Ellisらによる米国特許第3,356,094号;Mosesによる米国特許第3,516,417号;Lanzellottiらによる米国特許第4,347,855号;Boltらによる米国特許第4,340,072号;Burnettらによる米国特許第4,391,285号;Riehlらによる米国特許第4,917,121号;Litzingerによる米国特許第4,924,886号;およびHearnらによる米国特許第5,060,676号に記載されている。喫煙具のそれらのタイプの多くは、燃やしてエアロゾルを提供する燃焼性燃料源および/または加熱されるエアロゾル形成材料を用いていた。例えば、Banerjeeらによる米国特許第4,714,082号およびWhiteらによる米国特許第4,771,795号(上記文献は、参照によりその全体が本明細書に援用される)中で引用される背景技術を参照されたい。例えば、Clearmanらによる米国特許第4,756,318号;Banerjeeらによる米国特許第4,714,082号;Whiteらによる米国特許第4,771,795号;Sensabaughらによる米国特許第4,793,365号;Clearmanらによる米国特許第4,917,128号;Korteによる米国特許第4,961,438号;Serranoらによる米国特許第4,966,171号;Baleらによる米国特許第4,969,476号;Serranoらによる米国特許第4,991,606号;Farrierらによる米国特許第5,020,548号;Clearmanらによる米国特許第5,033,483号;Schlatterらによる米国特許第5,040,551号;Creightonらによる米国特許第5,050,621号;Lawsonによる米国特許第5,065,776号;Nystromらによる米国特許第5,076,296号;Farrierらによる米国特許第5,076,297号;Clearmanらによる米国特許第5,099,861号;Drewettらによる米国特許第5,105,835号;Barnesらによる米国特許第5,105,837号;Hauserらによる米国特許第5,115,820号;Bestらによる米国特許第5,148,821号;Haywardらによる米国特許第5,159,940号;Riggsらによる米国特許第5,178,167号;Clearmanらによる米国特許第5,183,062号;Shannonらによる米国特許第5,211,684号;Deeviらによる米国特許第5,240,014号;Nicholsらによる米国特許第5,240,016号;Clearmanらによる米国特許第5,345,955号;Riggsらによる米国特許第5,551,451号;Bensalemらによる米国特許第5,595,577号;Barnesらによる米国特許第5,819,751号;Matsuuraらによる米国特許第6,089,857号;Bevenらによる米国特許第6,095,152号;Bevenによる米国特許第6,578,584号;およびDominguezによる米国特許第6,730,832号(上記文献は、参照によりその全体が本明細書に援用される)中で記載される、それらのタイプの喫煙具も参照されたい。さらに、炭素質燃料要素を用いる特定のタイプの紙巻きタバコは、R.J.Reynolds Tobacco Companyによって商標名「Premier」および「Eclipse」下で商業的に販売されている。例えば、Chemical and Biological Studies on New Cigarette Prototypes that Heat Instead of Burn Tobacco、R.J.Reynolds Tobacco Company Monograph(1988)およびInhalation Toxicology,12:5,p.1-58(2000)中で記載される、それらのタイプの紙巻きタバコを参照されたい。Banerjeeらによる米国特許出願公開第2005/0274390号、Crooksらによる米国特許出願公開第2007/0215167号、Banerjeeらによる米国特許出願公開第2010/0065075号、およびStoneらによる米国特許出願公開第2012/0042885号(上記文献の開示は、参照によりその全体が本明細書に援用される)も参照されたい。
【0005】
おそらく、特定の提案された紙巻きタバコ形状のタバコ製品は、かなりの程度まで燃焼させることが意図されない形態でタバコを用いる。例えば、Sudohによる米国特許第4,836,225号;Kuriyamaらによる米国特許第4,972,855号;およびEdwardsによる米国特許第5,293,883号(上記文献は、参照によりその全体が本明細書に援用される)を参照されたい。さらに他のタイプの喫煙具(化学的または電気的な熱源から生成される熱へタバコまたは加工されたタバコをさらすことによって、風味の付いた蒸気を生成するそれらのタイプの喫煙具等)は、Chardらによる米国特許第4,848,374号;Brooksらによる米国特許第4,947,874号および第4,947,875号;Countsらによる米国特許第5,060,671号;Deeviらによる米国特許第5,146,934号;Deeviによる米国特許第5,224,498号;Banerjeeらによる米国特許第5,285,798号;Farrierらによる米国特許第5,357,984号;Farrierらによる米国特許第5,593,792号;Countsによる米国特許第5,369,723号;Countsらによる米国特許第5,692,525号;Collinsらによる米国特許第5,865,185号;Adamsらによる米国特許第5,878,752号;Deeviらによる米国特許第5,880,439号;Baggettらによる米国特許第5,915,387号;Watkinsらによる米国特許第5,934,289号;Deeviらによる米国特許第6,033,623号;Adamsらによる米国特許第6,053,176号;Whiteによる米国特許第6,164,287号;Fournierらによる米国特許第6,289,898号;Fournierらによる米国特許第6,615,840号;Liらによる米国特許出願公開第2003/0131859号;Banerjeeらによる米国特許出願公開第2005/0016549号;およびHearnらによる米国特許出願公開第2006/0185687号(その各々はその全体を参照により本明細書に援用される)に記載されている。
【0006】
蒸気、スプレーまたはエアロゾル(風味物および/またはニコチンを保持または取り込んだもの等)を送達する特定の試みが行なわれてきた。例えば、Viragによる米国特許第4,190,046号;Rayによる第4,284,089号;Jacobsによる第4,635,651号;Gerthらによる第4,735,217号;Rayらによる第4,800,903号;Ingebrethsenらによる第5,388,574号;Grossらによる第5,799,663号;Abhulimenらによる第6,532,965号;およびAdiga et alによる第6,598,607号;ならびにHonによる欧州特許第1,618,803号(上記文献は、参照によりその全体が本明細書に援用される)中で説明されるタイプの装置を参照をされたい。Coxらによる米国特許第7,117,867号およびウェブサイト(www.e-cig.com)(上記文献は、参照によりその全体が本明細書に援用される)で説明される装置も参照されたい。
【0007】
記載されており、いくつかの実例においては商業的に入手可能なものとして作製されている、なおさらなる代表的な紙巻きタバコまたは喫煙具は、Brooksらによる米国特許第4,922,901号;Morganらによる米国特許第5,249,586号;Countsらによる米国特許第5,388,594号;Higginsらによる米国特許第5,666,977号;Vogesによる米国特許第6,196,218号;Felterらによる米国特許第6,810,883号;Nicholsによる米国特許第6,854,461号;Honによる米国特許第7,832,410号;Kobayashiによる米国特許第7,513,253号;Robinsonらによる米国特許第7,726,320 号;Hamanoによる米国特許第7,896,006号;Shayanによる米国特許第6,772,756号;Honによる米国特許出願公開第2009/0095311号;Honによる米国特許出願公開第2006/0196518号、第2009/0126745号および第2009/0188490号;Thorensらによる米国特許出願公開第2009/0272379号、Monseesらによる米国特許出願公開第2009/0260641号および第2009/0260642号;Oglesbyらによる米国特許出願公開第2008/0149118号および第2010/0024834号;Wangによる米国特許出願公開第2010/0307518号;およびHonによる国際公開第2010/091593号に記載されているものを含む。Minskoffらによる米国特許第D657,047号ならびにTerryらによる米国特許出願公開第2011/0277757号、第2011/0277760号および第2011/0277764号も参照されたい。なおさらなる例には、ACCORD(登録商標);HEATBAR(商標);HYBRID CIGARETTE(登録商標)、VEGAS(商標);E-GAR(商標);C-GAR(商標);E-MYSTICK(商標);IOLITE(登録商標)Vaporizer、GREEN SMOKE(登録商標)、BLU(商標)Cigs、WHITE CLOUD(登録商標)Cirrus、V2CIGS(商標)、SOUTH BEACH SMOKE(商標)、SMOKETIP(登録商標)、SMOKE STIK(登録商標)、NJOY(登録商標)、LUCI(登録商標)、Royal Blues、SMART SMOKER(登録商標)、SMOKE ASSIST(登録商標)、Knight Sticks、GAMUCCI(登録商標)、InnoVapor、SMOKING EVERYWHERE(登録商標)、Crown 7、CHOICE(商標)NO.7(商標)、VAPORKING(登録商標)、EPUFFER(登録商標)、LOGIC(商標)ecig、VAPOR4LIFE(登録商標)、NICOTEK(登録商標)、METRO(登録商標)、およびPREMIUM(商標)という名称下で商業的に入手可能な電子タバコ製品が含まれる。
【0008】
タバコ代用材料を用いる喫煙具、およびタバコ風味の蒸気またはタバコ風味の目視可能なエアロゾルを生成するために、タバコ刻みを燃焼させる以外の熱源を用いる喫煙具は、商業的に広く普及していない。電気加熱タバコによって喫煙の味覚および感覚を生み出す物品は、特に風味または他の吸入可能な材料の放出が不安定であるという問題を有していた。電気加熱式喫煙装置は、多くの実例において、不便であり、喫煙経験を損なう外部加熱装置が要求されることでさらに限定されている。したがって、タバコを燃焼せずに、燃焼熱源を必要とせず、ならびにかなりの量の不完全燃焼産物および熱分解産物を必ずしも送達することなくに、紙巻きタバコ、葉巻きまたはパイプの喫煙の感覚を提供することができる喫煙具を提供することが所望される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第3,258,015号明細書
【特許文献2】米国特許第3,356,094号明細書
【特許文献3】米国特許第3,516,417号明細書
【特許文献4】米国特許第4,347,855号明細書
【特許文献5】米国特許第4,340,072号明細書
【特許文献6】米国特許第4,391,285号明細書
【特許文献7】米国特許第4,917,121号明細書
【特許文献8】米国特許第4,924,886号明細書
【特許文献9】米国特許第5,060,676号明細書
【特許文献10】米国特許第4,714,082号明細書
【特許文献11】米国特許第4,771,795号明細書
【特許文献12】米国特許第4,756,318号明細書
【特許文献13】米国特許第4,793,365号明細書
【特許文献14】米国特許第4,917,128号明細書
【特許文献15】米国特許第4,961,438号明細書
【特許文献16】米国特許第4,966,171号明細書
【特許文献17】米国特許第4,969,476号明細書
【特許文献18】米国特許第4,991,606号明細書
【特許文献19】米国特許第5,020,548号明細書
【特許文献20】米国特許第5,033,483号明細書
【特許文献21】米国特許第5,040,551号明細書
【特許文献22】米国特許第5,050,621号明細書
【特許文献23】米国特許第5,065,776号明細書
【特許文献24】米国特許第5,076,296号明細書
【特許文献25】米国特許第5,076,297号明細書
【特許文献26】米国特許第5,099,861号明細書
【特許文献27】米国特許第5,105,835号明細書
【特許文献28】米国特許第5,105,837号明細書
【特許文献29】米国特許第5,115,820号明細書
【特許文献30】米国特許第5,148,821号明細書
【特許文献31】米国特許第5,159,940号明細書
【特許文献32】米国特許第5,178,167号明細書
【特許文献33】米国特許第5,183,062号明細書
【特許文献34】米国特許第5,211,684号明細書
【特許文献35】米国特許第5,240,014号明細書
【特許文献36】米国特許第5,240,016号明細書
【特許文献37】米国特許第5,345,955号明細書
【特許文献38】米国特許第5,551,451号明細書
【特許文献39】米国特許第5,595,577号明細書
【特許文献40】米国特許第5,819,751号明細書
【特許文献41】米国特許第6,089,857号明細書
【特許文献42】米国特許第6,095,152号明細書
【特許文献43】米国特許第6,578,584号明細書
【特許文献44】米国特許第6,730,832号明細書
【特許文献45】米国特許出願公開第2005/0274390号明細書
【特許文献46】米国特許出願公開第2007/0215167号明細書
【特許文献47】米国特許出願公開第2010/0065075号明細書
【特許文献48】米国特許出願公開第2012/0042885号明細書
【特許文献49】米国特許第4,836,225号明細書
【特許文献50】米国特許第4,972,855号明細書
【特許文献51】米国特許第5,293,883号明細書
【特許文献52】米国特許第4,848,374号明細書
【特許文献53】米国特許第4,947,874号明細書
【特許文献54】米国特許第4,947,875号明細書
【特許文献55】米国特許第5,060,671号明細書
【特許文献56】米国特許第5,146,934号明細書
【特許文献57】米国特許第5,224,498号明細書
【特許文献58】米国特許第5,285,798号明細書
【特許文献59】米国特許第5,357,984号明細書
【特許文献60】米国特許第5,593,792号明細書
【特許文献61】米国特許第5,369,723号明細書
【特許文献62】米国特許第5,692,525号明細書
【特許文献63】米国特許第5,865,185号明細書
【特許文献64】米国特許第5,878,752号明細書
【特許文献65】米国特許第5,880,439号明細書
【特許文献66】米国特許第5,915,387号明細書
【特許文献67】米国特許第5,934,289号明細書
【特許文献68】米国特許第6,033,623号明細書
【特許文献69】米国特許第6,053,176号明細書
【特許文献70】米国特許第6,164,287号明細書
【特許文献71】米国特許第6,289,898号明細書
【特許文献72】米国特許第6,615,840号明細書
【特許文献73】米国特許出願公開第2003/0131859号明細書
【特許文献74】米国特許出願公開第2005/0016549号明細書
【特許文献75】米国特許出願公開第2006/0185687号明細書
【特許文献76】米国特許第4,190,046号明細書
【特許文献77】米国特許第4,284,089号明細書
【特許文献78】米国特許第4,635,651号明細書
【特許文献79】米国特許第4,735,217号明細書
【特許文献80】米国特許第4,800,903号明細書
【特許文献81】米国特許第5,388,574号明細書
【特許文献82】米国特許第5,799,663号明細書
【特許文献83】米国特許第6,532,965号明細書
【特許文献84】米国特許第6,598,607号明細書
【特許文献85】欧州特許第1,618,803号明細書
【特許文献86】米国特許第7,117,867号明細書
【特許文献87】米国特許第4,922,901号明細書
【特許文献88】米国特許第5,249,586号明細書
【特許文献89】米国特許第5,388,594号明細書
【特許文献90】米国特許第5,666,977号明細書
【特許文献91】米国特許第6,196,218号明細書
【特許文献92】米国特許第6,810,883号明細書
【特許文献93】米国特許第6,854,461号明細書
【特許文献94】米国特許第7,832,410号明細書
【特許文献95】米国特許第7,513,253号明細書
【特許文献96】米国特許第7,726,320号明細書
【特許文献97】米国特許第7,896,006号明細書
【特許文献98】米国特許第6,772,756号明細書
【特許文献99】米国特許出願公開第2009/0095311号明細書
【特許文献100】米国特許出願公開第2006/0196518号明細書
【特許文献101】米国特許出願公開第2009/0126745号明細書
【特許文献102】米国特許出願公開第2009/0188490号明細書
【特許文献103】米国特許出願公開第2009/0272379号明細書
【特許文献104】米国特許出願公開第2009/0260641号明細書
【特許文献105】米国特許出願公開第2009/0260642号明細書
【特許文献106】米国特許出願公開第2008/0149118号明細書
【特許文献107】米国特許出願公開第2010/0024834号明細書
【特許文献108】米国特許出願公開第2010/0307518号明細書
【特許文献109】国際公開第2010/091593号
【特許文献110】米国特許第D657,047号明細書
【特許文献111】米国特許出願公開第2011/0277757号明細書
【特許文献112】米国特許出願公開第2011/0277760号明細書
【特許文献113】米国特許出願公開第2011/0277764号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Chemical and Biological Studies on New Cigarette Prototypes that Heat Instead of Burn Tobacco、R.J.Reynolds Tobacco Company Monograph(1988)
【非特許文献2】Inhalation Toxicology,12:5,p.1-58(2000)
【発明の概要】
【0011】
本発明は、エアロゾル前駆体成分を制御可能に送達するための喫煙具およびその使用法を提供する。特に、本明細書において開示されるものは、一様な吸煙(puff)のための化学を達成するように制御された状況下でエアロゾル前駆体組成物中に存在する様々な化学化合物を送達および加熱することができるシステムである。様々な実施形態において、本明細書において開示されるような喫煙具は、かかる一様な吸煙のための化学の達成に有用な特定の要素を組込むことができる。例えば、エアロゾル前駆体組成物の別個の成分を、複数の別個の送達要素(例えば芯(wick))を使用して、物品内の貯蔵部からエアロゾル化ゾーン(すなわち加熱部のところで、またはその周囲で)へ送達することができる。個々の送達要素は異なる材料(例えば異なる繊維タイプ、焼結材料、固体発泡体または他の多孔質材料)から形成することができ、異なるデザイン(例えば横断面形状、コーティング、織り繊維、不織繊維および束サイズ)を有するように形成することができ、したがって異なる送達特性(例えば流速、吸液(wicking)特性または毛細管作用)を示す。エアロゾル前駆体組成物の別個の成分またはエアロゾル前駆体組成物の要素の別個の組み合わせを保存するように、複数の別個の貯蔵部を提供することができる。異なる温度、熱エネルギー流動または熱エネルギーインプットで、別個の成分(または要素の組み合わせ)を分離して加熱することができるように、別個の加熱部は、エアロゾル前駆体組成物の別個の成分(または要素の組み合わせ)と結び付けることができる。
【0012】
一部の実施形態において、本開示に記載の喫煙具は、少なくとも1つの加熱部が含まれるエアロゾル化ゾーンを備えてよい。物品は、少なくとも1つの加熱部と電気的に接続された電力源をさらに備えてよい。さらに、物品は、第1の要素および少なくとも第2の別個の成分から形成されるエアロゾル前駆体組成物を備えてよい。例えば、第1の要素は第1の化合物または化合物の混合物であり得、第2の要素は第2の化合物または化合物の混合物であってよい。化合物の混合物が使用される場合、組成物の2つの要素について本発明に従えば、各々が1以上の同じ化学化合物を含むことは、それらが異なる比を含む限り可能である。例えば、要素1は80:20のA:B比で化合物Aおよび化合物B(例えば、重量または体積に基づいて)を含むことができ、要素2は20:80比で化合物Aおよび化合物B(重量または体積に基づいて)を備えてよい。したがって、要素1,2が存在する個々の化合物の異なる比を有するので、それらは異なる。要素1が完全に単一の化合物から形成され、一方で要素2が1以上の追加の化合物と共に混合物中に同じ化合物を含むようにも適用することができる。したがって、エアロゾル前駆体組成物の別個の成分は多様な実施形態を包含することができる。エアロゾル前駆体組成物の要素が毛細管作用等を介して1以上の貯蔵部からエアロゾル化ゾーンへ送達されるように、エアロゾル前駆体組成物は特にエアロゾル化ゾーンと流体連通する。
【0013】
喫煙具中の加熱部および電力源は除去可能に接続されてよい。例えば、喫煙具は第2のユニットと係合可能および脱係合可能な第1のユニットを含むことができ、第1のユニットは加熱部を含むエアロゾル化ゾーンを含み、第2のユニットは電力源を含む。電力源は、電池、コンデンサーおよびその組み合わせからなる群から選択することができる。喫煙具は、電力源からの電流を作動または調節する1以上の制御要素をさらに備えてよい。かかる要素は、特に電力源を備えた第2のユニット中に設置することができる。
【0014】
喫煙具の第1のユニットは、第2のユニットを係合する先端部、および反対の基端部を有し、基端部に開口を備えたマウスピースを備えてよい。さらに、第1のユニットはマウスピースへの空気の流れの経路の開口を含むことができ、空気の流れの経路は、エアロゾル化ゾーンからマウスピースの中へのエアロゾルの通路を提供することができる。具体的な実施形態において、第1のユニットは使い捨てであってよい。喫煙具の第1のユニットは、特にエアロゾル前駆体組成物の要素の保存のために使用することができる貯蔵部を備えてよい。
【0015】
喫煙具の構造を考慮して、エアロゾル前駆体組成物のエアロゾル化ゾーンへの送達はカスタマイズすることができる。例えば、1以上の貯蔵部、1以上の送達要素および1以上の加熱部の異なる組み合わせを使用して、所望されるエアロゾル組成を形成することができる。有益には、カスタム化は、貯蔵部の形成において特定の材料を利用すること、送達要素の形成において特定の材料を使用すること、および同じまたは異なる状況下で操作される複数の加熱要素を使用することによって、さらに達成することができる。
【0016】
複数の送達要素が使用される場合、2以上の送達要素は、エアロゾル前駆体組成物のそれぞれの要素を同じ加熱部へ送達することができる。他の実施形態において、別個の送達要素は、エアロゾル前駆体組成物のそれぞれの要素を2以上の加熱部へ送達することができる。加熱部は、同じまたは異なる温度(例えば約5℃以上の異なる操作温度)で操作することができる。加熱部は異なるセットの状況下で操作することができる。言いかえれば、電気エネルギーを第1の制御スキームを介して電力源から第1の加熱部へ制御可能に送達することができ、電気エネルギーを1以上の異なる制御スキームを介して電力源から1以上のさらなる加熱部へ制御可能に送達することができる。例えば、制御スキームは電流が加熱部に送達される時間周期で異なり得る。同様に、第1の加熱部は第1のデューティサイクルに従って機能することができ、1以上のさらなる加熱部は1以上のさらに異なるデューティサイクルに従って機能することができる。
【0017】
喫煙具中で使用されるエアロゾル前駆体組成物は様々な成分を含んでよい。例えば、エアロゾル前駆体組成物は、一部の実施形態において、グリセリン、プロピレングリコールおよびその組み合わせからなる群から選択することができる多価アルコールを含んでよい。エアロゾル前駆体組成物は、医薬品、タバコ要素またはタバコ由来材料も含んでよい。一部の実施形態において、エアロゾル前駆体組成物は、タバコ、タバコ要素またはタバコ由来材料が含まれるスラリーまたは溶液を含んでよい。さらに、エアロゾル前駆体組成物は風味料を含んでよい。
【0018】
エアロゾル前駆体組成物の保存のために喫煙具中で使用される貯蔵部は、多様な形態をとることができる。特に、エアロゾル前駆体組成物は、基材またはその一部(例えばセラミックおよび多孔質炭素(例えば発泡体)等の多孔質材料または繊維状材料から形成される貯蔵部)上にコーティングされるか、それらによって吸着されるか、またはそれらの中に吸収され得る。かかる貯蔵部は、エアロゾル前駆体組成物の要素により少なくとも部分的に飽和されたと判断することができる。エアロゾル前駆体組成物は、特に容器(すなわちボトル)内で提供することができる。かかる基材またはボトルは貯蔵部として特徴づけることができる。
【0019】
一部の実施形態において、本開示に記載の喫煙具は、以下の、少なくとも第1の要素および第2の要素を含む液体形態のエアロゾル前駆体組成物と;1以上の貯蔵部から形成された貯蔵部システムと;1以上の加熱部から形成された加熱部システムと;貯蔵部システムと加熱部システムとの間に流体連通を画定する複数の送達要素とを備えてよい。特に、物品は、1以上の加熱部との流体連通内に2以上の貯蔵部;2以上の加熱部との流体連通内に1以上の貯蔵部;または2以上の加熱部との流体連通内に2以上の貯蔵部を備えてよい。
【0020】
特定の実施形態において、本開示に記載の喫煙具は、以下の、加熱部を含むエアロゾル化ゾーンと;第1の要素および第2の要素を含む液体形態のエアロゾル前駆体組成物と;エアロゾル前駆体組成物の第1の要素により少なくとも部分的に飽和された多孔質材料を含む第1の貯蔵部と;エアロゾル前駆体組成物の第2の要素を含む第2の貯蔵部と;第1の貯蔵部とエアロゾル化ゾーンとの間に流体連通を提供する第1の送達要素と;第2の貯蔵部とエアロゾル化ゾーンとの間に流体連通を提供する第2の送達要素とを備えてよい。他の実施形態において、第2の貯蔵部も多孔質材料を含むことができ、エアロゾル前駆体組成物の第2の要素により少なくとも部分的に飽和させることができる。具体的な実施形態において、喫煙具は複数の加熱部を備えてよい。さらなる実施形態において、喫煙具は第1の加熱部および第2の加熱部を含むことができ、第1の送達要素は第1の貯蔵部と第1の加熱部との間に流体連通を提供し、第2の送達要素は第2の貯蔵部と第2の加熱部との間に流体連通を提供する。同様に、喫煙具は、第1の加熱手順によって第1の加熱部を操作し、異なる第2の加熱手順によって第2の加熱部を操作するように適合された制御要素を備えてよい。より具体的には、喫煙具は電力源を含むことができ、それぞれの加熱要素が異なる温度へ加熱されるか、異なる時間加熱されるか、または異なる温度まで異なる時間加熱されるように、電源から第1の加熱部および第2の加熱部への電流の流れを制御するように、制御要素が適合されてよい。
【0021】
喫煙具中で、第1の送達要素は第2の送達要素とは異なる構築であってよい。例えば、第1の送達要素および第2の送達要素は、横断面形状、材料タイプ、表面処理および全体寸法のの1以上で異なり得る。さらに、第1の送達要素および第2の送達要素のうちの一方または両方は、画定された毛細管作用を有する芯であってよい。具体的な実施形態において、第1の送達要素および第2の送達要素は両方とも芯であってよい。有益には、第1の芯は第1の吸液速度を有することができ、第2の芯は異なる第2の吸液速度を有することができる。より具体的には、芯は、繊維状材料、炭素発泡体、焼結材料、毛細管、温度適応性ポリマー、およびその組み合わせからなる群から選択される材料を含んでよい。必要な場合は、第1の送達要素および第2の送達要素はエアロゾル化ゾーンにおいて相互に接続されてよい。
【0022】
具体的な実施形態において、喫煙具は、第1の貯蔵部、第2の貯蔵部、第1の送達要素および第2の送達要素のの1以上と実質的に接触する、さらなる加熱部を備えてよい。他の実施形態において、喫煙具は、第1の貯蔵部、第2の貯蔵部、第1の送達要素および第2の送達要素のの1以上を、エアロゾル前駆体組成物のそれぞれの要素の気化温度未満である温度まで暖めるさらなる加熱部を操作するように適合された制御要素を備えてよい。かかる加熱要素は、エアロゾル前駆体組成物の要素を前加熱してその特徴を改変する(例えば、粘度を減少させて流速を増加させる)のに有用であってよい。
【0023】
別の態様において、本発明は、複数のエアロゾル前駆体成分から喫煙具中でエアロゾルを生成する方法も提供する。特定の実施形態において、かかる方法は、以下の、喫煙具内の電源を活性化して、電源から喫煙具中のエアロゾル化ゾーン内に配置された加熱部への電流の流れを発生させる工程と、エアロゾル前駆体組成物の第1の要素を、第1の送達要素を介して、エアロゾル前駆体組成物の第1の要素により少なくとも部分的に飽和された多孔質材料を含む第1の貯蔵部からエアロゾル化ゾーンへ送達する工程と、エアロゾル前駆体組成物の第2の要素を、第2の送達要素を介して、第2の貯蔵部からエアロゾル化ゾーンへ送達する工程と、エアロゾル前駆体成分を加熱して、エアロゾルを生成する工程とを含んでよい。より詳細には、第1のエアロゾル前駆体成分は第1の速度で送達することができ、第2の前駆体成分は異なる第2の速度で送達することができる。
【0024】
さらなる実施形態において、方法は、エアロゾル前駆体組成物の第1の要素をエアロゾル化ゾーン中の第1の貯蔵部から加熱部へ送達する工程と、エアロゾル前駆体組成物の第2の要素をエアロゾル化ゾーン中の第2の貯蔵部から第2の加熱部へ送達する工程とを備えてよい。さらに、方法は、加熱部は第1の加熱手順によって加熱され、第2の加熱部は異なる第2の加熱手順によって加熱されるように、電源から加熱部および第2の加熱部への電流の流れを制御する工程を含んでよい。より詳細には、方法は、それぞれの加熱要素が異なる温度へ加熱されるか、異なる時間加熱されるか、または異なる温度まで異なる時間加熱されるように、電源から加熱部および第2の加熱部への電流の流れを制御する工程を含んでよい。なおさらなる実施形態において、方法は、第1の貯蔵部、第2の貯蔵部、第1の送達要素および第2の送達のの1以上を、エアロゾル前駆体組成物のそれぞれの要素の気化温度未満である温度まで加熱する工程を含んでよい。
【0025】
本発明は、限定するものではないが以下の実施形態を含む。
【0026】
実施形態1:少なくとも第1の要素および第2の要素を含む液体形態のエアロゾル前駆体組成物と;1以上の貯蔵部から形成された貯蔵部システムと;1以上の加熱部から形成された加熱部システムと;貯蔵部システムと加熱部システムとの間に流体連通を画定する複数の送達要素とを含み;物品が1以上の加熱部との流体連通内に2以上の貯蔵部を含むか、または物品が2以上の加熱部との流体連通内に1以上の貯蔵部を含むか、または物品が2以上の加熱部との流体連通内に2以上の貯蔵部を含む、喫煙具。
【0027】
実施形態2:貯蔵部システムが、エアロゾル前駆体組成物の第1の要素により少なくとも部分的に飽和された多孔質材料から形成された第1の貯蔵部、およびエアロゾル前駆体組成物の第2の要素を含む第2の貯蔵部を含み;複数の送達要素が、第1の貯蔵部と加熱部システムとの間に流体連通を提供する第1の送達要素、および第2の貯蔵部と加熱部システムとの間に流体連通を提供する第2の送達要素を含む、上記実施形態または後述の実施形態のいずれかの喫煙具。
【0028】
実施形態3:加熱部システムが、少なくとも第1の加熱部および第2の加熱部を含む、上記実施形態または後述の実施形態のいずれかの喫煙具。
【0029】
実施形態4:第1の送達要素が第1の貯蔵部と第1の加熱部との間に流体連通を提供し、第2の送達要素が第2の貯蔵部と第2の加熱部との間に流体連通を提供する、上記実施形態または後述の実施形態のいずれかの喫煙具。
【0030】
実施形態5:第1の加熱手順によって第1の加熱部を操作し、異なる第2の加熱手順によって第2の加熱部を操作するように適合された制御要素を含む、上記実施形態または後述の実施形態のいずれかの喫煙具。
【0031】
実施形態6:物品が電力源を含み、それぞれの加熱部が異なる温度へ加熱されるか、異なる時間加熱されるか、または異なる温度まで異なる時間加熱されるように、電源から第1の加熱部および第2の加熱部への電流の流れを制御するように、制御要素が適合された、上記実施形態または後述の実施形態のいずれかの喫煙具。
【0032】
実施形態7:第1の送達要素が第2の送達要素とは異なる構築である、上記実施形態または後述の実施形態のいずれかの喫煙具。
【0033】
実施形態8:第1の送達要素および第2の送達要素が、横断面形状および材料タイプおよび表面処理および全体寸法のの1以上で異なる、上記実施形態または後述の実施形態のいずれかの喫煙具。
【0034】
実施形態9:第1の送達要素および第2の送達要素のうちの一方または両方が、画定された毛細管作用を有する芯である、上記実施形態または後述の実施形態のいずれかの喫煙具。
【0035】
実施形態10:第1の送達要素および第2の送達要素が両方とも芯である、上記実施形態または後述の実施形態のいずれかの喫煙具。
【0036】
実施形態11:第1の芯が第1の吸液速度を有し、第2の芯は異なる第2の吸液速度を有する、上記実施形態または後述の実施形態のいずれかの喫煙具。
【0037】
実施形態12:芯が、繊維状材料、炭素発泡体、焼結材料、毛細管、温度適応性ポリマー、およびその組み合わせからなる群から選択される材料を含む、上記実施形態または後述の実施形態のいずれかの喫煙具。
【0038】
実施形態13:第2の貯蔵部が、エアロゾル前駆体組成物の第2の要素により少なくとも部分的に飽和された多孔質材料を含む、上記実施形態または後述の実施形態のいずれかの喫煙具。
【0039】
実施形態14:第1の送達要素および第2の送達要素が1以上の点で相互に接続される、上記実施形態または後述の実施形態のいずれかの喫煙具。
【0040】
実施形態15:物品が、貯蔵部システムおよび複数の送達要素のの1以上と実質的に接触する、さらなる加熱部を含む、上記実施形態または後述の実施形態のいずれかの喫煙具。
【0041】
実施形態16:物品が、貯蔵部システムおよび複数の送達要素のの1以上を、エアロゾル前駆体組成物のそれぞれの要素の気化温度未満である温度まで暖めるさらなる加熱部を操作するように適合された制御要素を含む、上記実施形態または後述の実施形態のいずれかの喫煙具。
【0042】
実施形態17:エアロゾル前駆体組成物が多価アルコールを含む、上記実施形態または後述の実施形態のいずれかの喫煙具。
【0043】
実施形態18:エアロゾル前駆体組成物が、医薬品、タバコ由来材料、風味料およびその組み合わせからなる群から選択される要素を含む、上記実施形態または後述の実施形態のいずれかの喫煙具。
【0044】
実施形態19:喫煙具中でエアロゾルを生成する方法であって、喫煙具内の電源を活性化して、電源から喫煙具中のエアロゾル化ゾーン内に配置された加熱部への電流の流れを発生させる工程と、エアロゾル前駆体組成物の第1の要素を、第1の送達要素を介して、エアロゾル前駆体組成物の第1の要素により少なくとも部分的に飽和された多孔質材料を含む第1の貯蔵部からエアロゾル化ゾーンへ送達する工程と、エアロゾル前駆体組成物の第2の要素を、第2の送達要素を介して、第2の貯蔵部からエアロゾル化ゾーンへ送達する工程と、エアロゾル前駆体成分を加熱して、エアロゾルを生成する工程とを含む、方法。
【0045】
実施形態20:第1のエアロゾル前駆体成分が第1の速度で送達され、第2の前駆体成分が異なる第2の速度で送達される、上記実施形態または後述の実施形態のいずれかの方法。
【0046】
実施形態21:エアロゾル前駆体組成物の第1の要素を第1の貯蔵部から加熱部へ送達し、エアロゾル前駆体組成物の第2の要素を第2の貯蔵部から第2の加熱部へ送達する工程を含む、上記実施形態または後述の実施形態のいずれかの方法。
【0047】
実施形態22:加熱部は第1の加熱手順によって加熱され、第2の加熱部は異なる第2の加熱手順によって加熱されるように、電源から加熱部および第2の加熱部への電流の流れを制御する工程を含む、上記実施形態または後述の実施形態のいずれかの方法。
【0048】
実施形態23:それぞれの加熱部が異なる温度へ加熱されるか、異なる時間加熱されるか、または異なる温度まで異なる時間加熱されるように、電源から加熱部および第2の加熱部への電流の流れを制御する工程を含む、上記実施形態または後述の実施形態のいずれかの方法。
【0049】
実施形態24:第1の貯蔵部、第2の貯蔵部、第1の送達要素および第2の送達のの1以上を、エアロゾル前駆体組成物のそれぞれの要素の気化温度未満である温度まで加熱する工程を含む、上記実施形態または後述の実施形態のいずれかの方法。
【0050】
これらの特徴および他の特徴、態様および本開示の長所は添付図面と共に以下の詳細な記載の読了から明らかになり、それは以下に簡潔に記載される。本開示は、上記の実施形態のうちの2、3、4またはそれ以上の任意の組み合わせに加えて、本開示において説明された任意の2、3、4またはそれ以上の特徴または要素の組み合わせを、かかる特徴または要素が本明細書における具体的な実施形態記載中で明示的に組み合わせられるかどうかにかかわらず、含む。本開示は全体論的に読了されるべきであることが意図され、その結果、文脈が明確に指示しない限り、開示した対象物の任意の分離可能な特徴または要素は、その様々な態様および実施形態のいずれかにおいて、組み合わせが可能であることが意図されると見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
このように前述の一般条項中で本発明を記載してきたが、添付図面(必ずしも一定の比例に描かれない)をここで参照する。
【0052】
図1】物品の外側シェルの部分を切り取ってその内部の要素を表わした、本発明に記載の喫煙具の実施形態例の斜視図である。
図2】横断面が、抵抗加熱要素によって取り囲まれた送達要素のすぐ下流である、本発明に記載の喫煙具の実施形態例の横断面である。
図3】物品がそれから装着可能および脱着可能な制御体およびカートリッジを含む、本発明に記載の喫煙具の実施形態例の斜視図である。
図4】本発明の実施形態例に記載の喫煙具の長手方向の横断面である。
図5】本発明の別の実施形態例に記載の喫煙具のカートリッジ部分の横断面である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明を、その例示的な実施形態を参照してより完全に以下に記載する。これらの例示的な実施形態は、本開示が充分且つ完全であるように記載され、本発明の範囲を当業者へ全て伝達する。実際、本発明は様々な形態で実施することができ、本明細書において説明される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきでない。むしろ、本開示が適用可能な法的必要条件を満たすように、これらの実施形態は提供される。本明細書において使用される時、および添付の請求項中で、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」には文脈が明確に指示しない限り複数の指示物が含まれる。
【0054】
本発明は、電気エネルギーを使用して材料を加熱して(好ましくはかなりの程度までの材料の燃焼なしに)吸入可能な物質を形成する物品であって、「携帯型」装置と判断されるのに十分にコンパクトな物品を提供する。特定の実施形態において、物品は、特に喫煙具として特徴づけることができる。本明細書において使用される時、この用語は、物品の任意の要素の実質的な燃焼なしに、紙巻きタバコ、葉巻きまたはパイプを喫煙する味覚および/または感覚(例えば手触りまたは口当たり)を提供する物品を意味することが意図される。喫煙具という用語は、物品が、燃焼または熱分解の副産物という意味で操作中に煙を生成することを必ずしも指さない。むしろ、喫煙は物品の使用中の個人の肉体的な活動(例えば物品を保持すること、物品の1つの端部で吸引すること、および物品から吸入すること)に関する。さらなる実施形態において、本発明の物品は、蒸気生成物品、エアロゾル化物品または医薬品送達物品であることとして特徴づけることができる。したがって、物品は吸入可能な状態で1以上の物質を提供するようにアレンジすることができる。他の実施形態において、吸入可能な物質は、実質的に蒸気(すなわちその臨界点よりも低い温度で気体相である物質)の形態であってよい。他の実施形態において、吸入可能な物質は、エアロゾル(すなわち気体中の微細な固形微粒子または液体液滴の懸濁物)の形態であってよい。吸入可能な物質の物理的形態は必ずしも本発明の物品の本質によって限定されないが、それが蒸気状態またはエアロゾル状態で存在するかどうかについては媒質および吸入可能な物質それ自体の本質にむしろ依存し得る。一部の実施形態において、この用語は交換可能であってよい。したがって、単純にするために、本発明の記載に使用される時にこれらの用語は特別に明記しない限り交換可能であると理解される。
【0055】
一態様において、本発明は喫煙具を提供する。喫煙具は、一般的には細長い本体(単一の一体型のシェルであってよいか、または2以上の分離可能なピースから形成され得る)内に提供される多数の要素を備えてよい。例えば、一実施形態に記載の喫煙具は、従来の紙巻きタバコまたは葉巻き等の形状に類似する形状で実質的に管状になり得るシェル(すなわち細長い本体)を備えてよい。シェル内に、喫煙具の要素のすべてが存在することができる。他の実施形態において、喫煙具は、接合され、分離可能な2つのシェルを備えてよい。例えば、制御本体はシェルを含むことができ、それは1以上の再使用可能な要素を含有し、カートリッジに除去可能に装着される端部を有する。カートリッジはシェルを含むことができ、それは1以上の使い捨ての要素を含有し、制御体に除去可能に装着される端部を有する。単一のシェル内または分離可能な制御体およびカートリッジ内の要素のより具体的なアレンジは、本明細書において提供されるさらなる開示を考慮して明らかである。
【0056】
本発明に記載の有用な喫煙具は、特に電源(すなわち電力源)、1以上の制御要素(例えば、電源から物品の1以上のさらなる要素への出力の流れを制御/作動/調節するための)、加熱部要素、およびエアロゾル前駆体成分のいくつかの組み合わせを備えてよい。物品で吸引する使用者が物品によって生成されたエアロゾルをそれから取り出すことができるように、喫煙具は物品を介する画定された空気の流れの経路をさらに備えてよい。物品内の要素の配置は変動し得る。具体的な実施形態において、エアロゾル前駆体成分は、使用者へのエアロゾル送達を最大にするように使用者の口に対して基端に物品の端部付近に設置することができる。しかしながら、他の立体配置は除外されない。一般的に、加熱部要素からの熱がエアロゾル前駆体(加えて、1以上の風味料、医薬品または同種のものを使用者への送達のために同様に提供することができる)を揮発させることができ、使用者へ送達のためのエアロゾルを生成することができるように、加熱部要素はそのエアロゾル前駆体成分の十分付近に配置することができる。加熱部材がエアロゾル前駆体成分を加熱する場合、エアロゾル(単独で、または吸入可能な物質をさらに含む)は、消費者による吸入に好適な物理的形態で、形成されるか、放出されるか、または生成される。前述の用語が交換可能であると意味されることが指摘されるべきである。それゆえ、放出する(release)、生成する(generate)、および形成する(form)という用語は交換可能であり、放出すること(releasing)、生成すること(generating)、および形成すること(forming)という用語は交換可能であり、放出する(releases)、形成する(forms)、および生成する(generates)という用語は交換可能であり、放出される(released)、形成される(formed)、および生成される(generated)という用語は交換可能である。特に、吸入可能な物質は蒸気もしくはエアロゾルまたはその混合物として放出される。
【0057】
本発明に記載の喫煙具は、一般的には電力源を含んで十分な電流の流れを提供して、物品へ様々な機能性(抵抗加熱、指示器への出力、など等)を提供することができる。本発明の喫煙具のための電源は様々な実施形態をとることができる。好ましくは、電源は、所望される継続時間での使用を介して、加熱部材を迅速に加熱してエアロゾル形成を提供し、物品に出力を供給するのに十分な出力を送達することができる。電源は好ましくは物品内に都合よく嵌合するようにサイズ合わせされる。有用な電源の例には、好ましくは再充電式リチウムイオン電池(例えば再充電式リチウム-二酸化マンガン電池)が含まれる。特に、リチウムポリマー電池を使用することができる。他のタイプの電池(例えばN50-AAA CADNICAニッケルカドミウム電池)も使用することができる。本発明に従って使用することができる電池のさらなる例は、米国特許出願公開第2010/0028766号(その開示はその全体が参照により本明細書に援用される)中で記載される。薄膜電池は本発明の特定の実施形態において使用することができる。これらの電池またはその組み合わせのいずれかを電源において使用することができるが、使い捨ての電池に結び付いたコストおよび処分の問題があるので、再充電式電池が好ましい。使い捨ての電池が提供される実施形態において、喫煙具は電池の除去および置換のためのアクセスを備えてよい。あるいは、再充電式電池が使用される実施形態において、喫煙具は、標準120ボルトのAC壁コンセントからの従来の再充電用ユニットを由来する出力に対応する接点との相互作用のための充電用接点、または他の発生源(自動車電気システムまたはUSB接続を含む別個のポータブル電源等)を備えてよい。電池の再充電のための手段はポータブル充電ケースにおいて提供することができ、それは、例えば、喫煙具中に存在する比較的小さな電池のために複数回の充電を提供することができる比較的より大きな電池ユニットを備えてよい。物品が外部電源に物理的に接続されずに充電することができるように、物品は非接触型誘導再充電システムの提供のための要素をさらに備えてよい。したがって、物品は物品内の電磁場から再充電式電池へのエネルギー伝達を促進する要素を備えてよい。
【0058】
さらなる実施形態において、電源はコンデンサーも備えてよい。コンデンサーは電池よりも急速に放電することができ、吸煙の合間に充電することができ、電池は、それが加熱部材に直接出力を供給するために使用されるよりも遅い速度で、コンデンサーへと放電することが可能になる。例えば、スーパーコンデンサー(すなわち電気二重層コンデンサー(EDLC))は、電池とは分離してまたは電池と組み合わせて使用することができる。単独で使用された場合、スーパーコンデンサーは、各々の物品の使用の前に再充電することができる。したがって、本発明は、スーパーコンデンサーを補充するために使用の合間に喫煙具へ装着することができる充電器要素も備えてよい。
【0059】
喫煙具は、多様な出力管理ソフトウェア、ハードウェア、および/または他の電子制御要素をさらに備えてよい。例えば、かかるソフトウェア、ハードウェアおよび/または電子制御は、電池の充電の実行、電池充電および放電状態の検出、出力節約操作の実行、電池の非意図的もしくは過剰放電の予防、吸煙のカウント、吸煙の範囲設定、吸煙の継続時間、カートリッジ状態の同定、温度の制御などを備えてよい。
【0060】
「制御器」または本発明に記載の「制御要素」は、本喫煙具において有用で多様な要素を包含することができる。さらに、本発明に記載の喫煙具は、一体型要素へと組み合わせることができるか、または喫煙具内の別個の場所で存在することができる、1、2、またはそれ以上の制御要素を含むことができ、個々の制御要素を異なる制御態様の実行のために利用することができる。例えば、喫煙具は、電池からの出力の放電を制御するように電池へ組み込みまれるか、または別の方法で電池と組み合わせられる制御要素を備えてよい。喫煙具は、物品の他の態様を制御する制御要素を分離して備えてよい。あるいは、物品の複数の制御態様またはすべての制御態様を実行する、単一の制御器を提供することができる。同様に、物品において使用されるセンサー(例えば吸煙センサー)は、刺激に応答して電源からの出力の放電の作動を制御する制御要素を備えてよい。喫煙具は、物品の他の態様を制御する制御要素を分離して備えてよい。あるいは、単一の制御器は、物品の複数の制御態様またはすべての制御態様の実行のために、センサー中で、または別の方法でセンサーと結び付けて提供することができる。したがって、本喫煙具中で制御器の多様な組み合わせを組み合わせて、装置のすべての態様の制御の所望されるレベルを提供できることが理解できる。
【0061】
喫煙具は、電源から物品のさらなる要素(加熱部等)への電気エネルギーの流れを制御するために有用な1以上の制御器要素も備えてよい。特に、物品は電源から加熱部等への電流の流れを作動させる制御要素を備えてよい。例えば、一部の実施形態において、物品は、出力流れの手動制御のための制御回路にリンクできる押しボタンを備えてよい。例えば、消費者は押しボタンを使用して、物品をオンにするおよび/または加熱部へと電流の流れを作動させることができる。複数のボタンは、物品の出力のオンおよびオフならびにエアロゾル生成のための加熱の活性化の手動実行を提供することができる。存在する1以上の押しボタンは、喫煙具の外側表面と実質的に同一平面上であってよい。
【0062】
押しボタンの代わりに(または押しボタンに加えて)、本発明の物品は、消費者の物品の吸引に対する応答性のある1以上の制御要素(すなわち吸煙により作動する加熱)を備えてよい。例えば、物品は、消費者が物品を吸引するにつれて、圧力変化または空気の流れの変化のいずれかに感受性のあるスイッチ(すなわち吸煙作動性スイッチ)を備えてよい。他の好適な電流の作動/脱作動メカニズムには、温度作動性オン/オフスイッチまたは口唇圧作動性スイッチが含まれ得る。かかる吸煙作動性能を提供することができる例示的なメカニズムには、Honeywell Inc.(Freeport、イリノイ)のMicroSwitch部門によって製造される、モデル163PC01D36シリコンセンサーが含まれる。かかるセンサーでは、消費者が物品を吸引する場合に加熱部は圧力の変化によって迅速に活性化され得る。加えて、流れセンシング装置(熱線測風法原理を使用するもの等)を使用して、空気の流れの変化を感知した後に加熱部へのエネルギー付与を十分に迅速に引き起こすことができる。使用できるさらなる吸煙作動性スイッチは、圧力差スイッチ(Micro Pneumatic Logic Inc.(Ft.Lauderdale、フロリダ)からのモデル番号MPL-502-V、レンジA等)である。別の好適な吸煙作動性メカニズムは、感度の高い圧力トランスデューサー(例えば、増幅器または利得段を装備したもの)であり、それは所定の閾値圧力の検出のためのコンパレーターとカップリングされる。さらに別の好適な吸煙作動性メカニズムは、羽根が空気の流れによって偏向され、その羽根の動きは移動を検知する手段によって検出されるものである。さらに別の好適な作動メカニズムは圧電スイッチである。さらに有用なものは、好適に接続されたHoneywell MicroSwitch Microbridge Airflow Sensor、MicroSwitch Division of Honeywell Inc.(Freeport、イリノイ)からのパーツ番号AWM 2100Vである。本発明に記載の加熱回路中で用いることができるデマンド操作電気スイッチのさらなる例は、Gerth et al.による米国特許第4,735,217号(その全体は参照により本明細書に援用される)中で記載される。他の好適な差動スイッチ、アナログ圧力センサー、流速センサーまたは同種のものは、本開示の知識を有する当業者に明らかであろう。吸引の間の圧力変化がスイッチによって容易に同定されるように、喫煙具内の吸煙作動性スイッチと空気の流れの通路との間の流体接続を提供する圧力センシング管または他の通路が含まれ得る。
【0063】
容量センシング要素を特に多様な態様で装置の中へ組込んで、装置の1以上の要素のために多様なタイプの「出力アップ」および/または「出力ダウン」を可能にすることができる。容量センシングは容量カップリングに基づく任意のセンサーを取り込んだ技術の使用を含むことができ、これには、接近、位置もしくは変位、湿度、流体レベル、圧力、温度または加速を検出および/または測定するセンサーが含まれるが、これらに限定されない。容量センシングは、表面容量、投影型容量、相互容量または自己容量を提供する電子部品から生じ得る。容量センサーは、一般的には、伝導性であるかまたは空気とは異なる誘電率を有するものをすべて検出することができる。容量センサーにより、例えば機械的ボタン(すなわち上で参照された押しボタン)を容量性の代替物と置き換えることができる。したがって、本発明に記載の容量センシングの1つの具体的な適用は容量タッチセンサーである。例えば、タッチパッドは喫煙具上に存在することができ、それによって使用者が多様なコマンドをインプットすることを可能にする。最も基本的には、タッチパッドは、既に上記したように押しボタンと同様に加熱要素に出力を供給するために提供することができる。他の実施形態において、容量センシングは、物品を吸引するための喫煙具上の口唇圧が装置にシグナルを送って加熱要素へ出力を提供するように、喫煙具の吸い口端部の付近で適用することができる。容量タッチセンサーに加えて、容量モーションセンサー、容量液体センサーおよび加速度計を本発明に従って利用して、喫煙具からの多様な応答を誘発することができる。さらに、光電センサーも本発明の喫煙具の中へ組込むことができる。
【0064】
本物品中で利用されたセンサー(または一般的には制御要素)は、エアロゾル前駆体組成物を加熱し、使用者による吸入のための蒸気またはエアロゾルを生成するように、加熱要素への出力の流れのためにシグナルを明示的に送ることができる。かかる制御要素は、定義された加熱手順(例えば達成温度、加熱の継続時間など)によって加熱部を操作するように適合されてよい。具体的には、制御要素は、定義された加熱手順を達成するように、電源からの電流の流れを制御するように適合されてよい。
【0065】
センサーはさらなる機能も提供することができる。例えば、「ウェークアップ」センサーが含まれ得る。特定の実施形態において、喫煙具は、「スリープ」モードでは加熱要素(または必要な場合は物品の他の要素)に電源からの出力を送達することができないようにパッケージングすることができる。喫煙具はセンサー(光電センサーもしくはプルタブ活性化センサーまたは容量センサー等)を含むことができ、その結果、喫煙具をパッケージから出した後、物品はセンサーの活性化によりスリープモードから動作モードへと移動し、別の方法で本明細書に記載のように、物品は使用することができる。例えば、喫煙具は、光が喫煙具に達することを実質的に阻害するようにパッケージングすることができる。次いで、物品上の光電センサーは、物品がパッケージングから取り出される(すなわち、周囲照明を受ける)場合に検出し、スリープモードから動作モードへ物品を移行させるように機能する。同様に、センサーは、物品が周囲照明から再び保護される(例えば、携帯用ケースまたは保存ケース中に置かれる)場合、物品が安全対策としてスリープモードへ戻るように機能することができる。類似の機能を同様に提供する他のセンシング方法は、本発明に従って利用することができる。
【0066】
消費者が喫煙具の吸い口端部で吸引する場合、電流作動手段は抵抗加熱部材を介する電流の無制限または中断されない流れを可能にして、熱を迅速に生成することができる。迅速な加熱が起こるので、(i)抵抗要素の加熱およびそれによって経験される温度を制御する加熱部材を介する電流の流れを調節すること、ならびに(ii)加熱部、またはエアロゾル前駆体組成物および/もしくは他の風味物もしくは吸入可能な材料を運ぶ1以上の要素の過熱および破壊を予防することを行う電流調節要素を含むことは有用であってよい。
【0067】
電流の調節回路は特に時間に基づくことができる。特に、かかる回路は、吸引の間の最初の時間周期で加熱要素を介する中断されない電流の流れを可能にするための手段、および吸引が完了するまで電流の流れを続いて調節するためのタイマー手段を含む。例えば、後続する調節は電流の流れの迅速なオン・オフのスイッチ切り替え(例えば約1~50ミリ秒ごとのオーダーで)を含んで、所望される温度範囲内で加熱要素を維持することができる。さらに、調節は、所望される温度が達成されるまで中断されない電流の流れを単純に可能にすること、次いで電流の流れを完全にオフにすることを含んでよい。物品でもう一度吸煙を開始する消費者は加熱部材を再活性化することができる(または加熱部の活性化のために用いられる具体的なスイッチ実施形態に依存して、押しボタンを手動で作動させる)。あるいは、後続する調節は加熱要素を介する電流の流れの変更を含んで、所望される温度範囲内で加熱要素を維持することができる。一部の実施形態において、吸入可能な物質の所望される用量を放出するために、加熱部材に、約0.2秒~約5.0秒、約0.3秒~約4.5秒、約0.5秒~約4.0秒、約0.5秒~約3.5秒、または約0.6秒~約3.0秒の継続時間でエネルギーを与えることができる。1つの例示的な時間に基づく電流調節回路には、トランジスター、タイマー、コンパレーターおよびコンデンサーが含まれ得る。好適なトランジスター、タイマーおよびコンパレーターおよびコンデンサーは商業的に入手可能であり、当業者に明らかである。例示的なタイマーは、C-1555CとしてNEC ElectronicsからおよびICM7555としてGeneral Electric Intersil Inc.から入手可能なものに加えて、様々な他のサイズおよび立体配置のいわゆる「555タイマー」である。例示的なコンパレーターはLM311としてNational Semiconductorから入手可能である。本喫煙具中で有用であってよい、かかる時間に基づく電流調節回路および他の制御要素のさらなる記載は、すべてBrooks et al.による米国特許第4,922,901号、第4,947,874号および第4,947,875号(そのすべてはそれらの全体が参照により本明細書に援用される)中で提供される。
【0068】
制御要素は加熱部へ提供される熱の量を厳密に制御するように特に構成することができる。一部の実施形態において、電流調節要素は、一旦定義された温度が達成されたならば、加熱部への電流の流れを停止するように機能することができる。かかる定義された温度は、エアロゾル前駆体組成物および任意のさらなる吸入可能な物質を揮発させて、従来の紙巻きタバコでの典型的な吸煙と同等のエアロゾルの量を提供するように、あるいは本明細書に記載のように、実質的に十分に高い範囲であってよい。単一の吸煙のために所望される体積の提供に十分な体積でエアロゾル前駆体組成物を揮発させるのに必要な加熱は、変動し得るが、加熱部材が約120℃以上、約130℃以上、約140℃以上、または約160℃の温度へ加熱されることは特に有用であってよい。一部の実施形態において、適切な量のエアロゾル前駆体組成物を揮発させるために、加熱温度は約180℃以上、約200℃以上、約300℃以上、または約350℃以上であってよい。さらなる実施形態において、エアロゾル形成のために定義された温度は、約120℃~約350℃、約140℃~約300℃、または約150℃~約250℃であってよい。しかしながら、エアロゾル前駆体組成物および/または他の構築材料の破壊および/または過度の時期尚早の蒸発を回避するために、約550℃を実質的に超過する温度への加熱を回避することが特に所望され得る。一部の実施形態において、複数の加熱要素を使用することができ、制御要素は同じまたは異なる状況下で加熱要素を操作するように適合されてよい。例えば、2以上の加熱要素は、異なる温度へ加熱されるか、異なる時間加熱されるか、または両方で行われるように制御することができる。特に加熱は、物品の任意の要素の破壊および/または有意な燃焼を(好ましくはいかなる燃焼も)回避するように、十分に低い温度且つ十分に短い時間でなくてはならない。以下に詳細に記載するように、加熱の継続時間は多数の因子によって制御することができる。加熱の温度および継続時間は、物品を介する吸引が所望されるエアロゾルおよび周囲空気の所望される体積に依存し得る。しかしながら、所望される温度を達成するまで加熱部が単にエネルギーを与えるように、物品を構成することができるので、継続時間は加熱部の加熱速度に依存して変動させることができる。あるいは、加熱の継続時間を、消費者による物品での吸煙の継続時間へカップリングさせることができる。加熱手順は、加熱しているエアロゾル前駆体組成物の具体的な要素にさらに依存し得る。例えば、より揮発性の要素は、より低い温度へ加熱されるかまたはより少ない継続時間で加熱することができる。同様に、所望されるエアロゾル組成物のうちでより少ない濃度を占める要素は、それぞれの要素をより低い濃度で放出するように、より少ない継続時間で加熱することができる。一般的に、加熱の温度および時間は、上で言及されるように、制御ハウジング中の含有される1以上の要素によって制御される。
【0069】
一旦定義された温度が定義された時間周期で定義された温度を維持するように達成されたならば、電流調節要素は同様に加熱部への電流のオン・オフのサイクルを行うことができる。この原則は多様な異なる温度で複数の加熱部へ適用することができる。かかる迅速なオン・オフのサイクルは前述の通りであってよく、定義された温度は上記のエアロゾル生成温度であってよい。
【0070】
なおさらに、電流調節要素は、1以上の加熱部への電流をオン・オフでサイクルすることによって、エアロゾル形成温度未満である第1の温度を維持し、次いで、第1の温度より高くエアロゾル形成温度である第2の温度を達成するように、電流作動制御要素に応答して電流の流れの増加を可能にすることができる。かかる制御は、エアロゾル形成が消費者による吸煙の開始に際してほとんど瞬間的に始まるように、エアロゾル形成のための物品の応答時間を改善することができる。一部の実施形態において、第1の温度(それはスタンバイ温度として特徴づけることができる)は上で定義されたエアロゾル形成温度よりわずかにだけ下であってよい。特に、スタンバイ温度は、約50℃~約150℃、約70℃~約140℃、約80℃~約120℃、または約90℃~約110℃であってよい。
【0071】
上記を考慮して、多様なメカニズムを用いて、1以上の加熱部および喫煙具の他の要素への電流の作動/脱作動を促進できることを理解することができる。特に、物品は、電力源から加熱部への事前に開始された電流の流れを調節する要素を備えてよい。例えば、本発明の物品は、物品への電流の流れの調節(消費者による吸引の間の等)のためのタイマー(すなわち時間に基づく要素)を備えてよい。物品は、加熱部へ電流の流れを可能および不可能にするタイマー応答性のスイッチをさらに備えてよい。電流の流れの調節は、コンデンサー、ならびに定義された速度(例えば加熱部材が加熱および冷却される速度に近似する速度)でコンデンサーを充電および放電するための要素の使用も備えてよい。電流の流れは、特に吸引の間の最初の時間周期で加熱部材を介する中断されない電流の流れがあるように調節することができるが、吸引が完了するまでの最初の時間周期後に、電流の流れはオフにするか、または交互にオン・オフでサイクルすることができる。かかるサイクルは、前述のように、事前に設定されたスイッチ切り替えサイクルを生成することができるタイマーによって制御することができる。具体的な実施形態において、タイマーは周期的なデジタル波形を生成することができる。最初の時間周期の間の流れは、第1のインプットでの第1の電圧を閾値インプットでの閾電圧に対して比較し、第1の電圧が閾電圧と等しい場合アウトプット信号を生成する、コンパレーターの使用によってさらに調節することができ、それはタイマーを可能にする。かかる実施形態は、閾値インプットでの閾電圧を生成するための要素、および最初の時間周期の通過に際して第1のインプットでの閾電圧を生成するための要素をさらに備えてよい。
【0072】
上記の制御要素に加えて、喫煙具は1以上の指示器も備えてよい。かかる指示器は、本発明の物品の使用についての複数の態様の指示を提供することができるライト(例えば発光ダイオード)であってよい。例えば、一連のライトは、喫煙具の既定のカートリッジについての吸煙の数に対応することができる。特に、ライトは各々の吸煙により点灯されるようになり、すべてのライトが点灯した場合にカートリッジが完全に使用されたことを消費者へ知らせる。あるいは、すべてのライトはカートリッジの最初のローディングに際して点灯し、ライトは各々の吸煙により消え、すべてのライトが消えた場合にカートリッジが完全に使用されたことを消費者へ知らせる。さらに他の実施形態において、単一の指示器のみが存在することができ、その照明は、電流が加熱部へ流れており物品が能動的に加熱されているということを知らせることができる。これは、消費者が能動的加熱モードで置きっ放しの物品をうっかり放置しないことを保証することができる。なおさらに、1以上の指示器は、電池状態(例えば電池充電度、電池の低下、電池充電中または同種のもの)の指示器として提供することができる。さらに、LED指示器を喫煙具の先端部に配置して、従来の紙巻きタバコが使用者によって点火および吸引される場合に観察される色変化を模倣することができる。指示器はオン/オフ方法の視覚的指示器に関して上で記述されるが、操作の他の指標も包含される。例えば、視覚的指示器は、喫煙経験の進行を示すライト色または強度の変化も含んでよい。触覚的指示器および聴覚的指示器は、本発明によって同様に包含される。さらに、かかる指示器の組み合わせも単一の物品において使用することができる。
【0073】
本発明に記載の喫煙具は、エアロゾル前駆体成分を加熱して使用者による吸入のためのエアロゾルを生成する加熱部材をさらに備えてよい。様々な実施形態において、加熱部材は、電流がそれへ適用される場合に抵抗加熱を提供する材料から形成することができる。本明細書で開示した物品において有用な加熱部システムを形成する加熱部のの1以上は、抵抗加熱要素であってよい。好ましくは、抵抗加熱要素は、電流がそれを通って流れる場合、抵抗加熱要素を十分な熱量の提供のために有用にする電気抵抗を示す。
【0074】
抵抗加熱要素として有用な導電性材料は、低質量、低密度および中等度の抵抗性を有するものであり得、使用の間に経験される温度で熱的に安定的である。有用な加熱要素は迅速に加熱および冷却され、したがってエネルギーの効果的な使用を提供する。要素の迅速な加熱は、それに接近したエアロゾル前駆体組成物のほとんど即時の蒸発の提供に有益であってよい。迅速な冷却は、エアロゾル形成が所望されない周期の間のエアロゾル前駆体組成物の実質的な蒸発(したがって浪費)を予防する。かかる加熱要素は、特に時間に基づく電流制御が用いられる場合に、エアロゾル前駆体組成物が経験する温度範囲の比較的正確な制御も可能にする。有用な導電性材料は、生成されるエアロゾルまたは蒸気の風味または含有量に影響を与えないように、好ましくは熱的に安定的であり、加熱されている材料(例えばエアロゾル前駆体組成物および他の吸入可能な物質材料)とは化学的に非反応性である。例示的で非限定的な導電性材料として使用することができる材料には、炭素、グラファイト、炭素/グラファイト複合物、金属、金属カーバイドおよび非金属カーバイド、窒化物、ケイ化物、金属間化合物、サーメット、合金ならびに金属箔が含まれる。特に、耐熱材料は有用であってよい。様々な異なる材料を混合して、抵抗性、質量および熱伝導率の所望される特性を達成することができる。具体的な実施形態において、利用することができる金属には、例えば、ニッケル、クロミウム、ニッケルおよびクロミウムの合金(例えばニクロム)、ならびに鋼が含まれる。抵抗加熱の提供のために有用になり得る材料は、Counts et al.による米国特許第5,060,671号;Deevi et al.による米国特許第5,093,894号;Deevi et al.による第5,224,498号;Sprinkel,Jr. et al.による第5,228,460号;Deevi et al.による第5,322,075号;Deevi et al.による米国特許第5,353,813号;Deevi et al.による米国特許第5,468,936号;Dasによる米国特許第5,498,850号;Dasによる米国特許第5,659,656号;Deevi et al.による米国特許第5,498,855号;Hajaligolによる米国特許第5,530,225号;Hajaligolによる米国特許第5,665,262号;Das et al.による米国特許第5,573,692号;およびFleischhauer et al.による米国特許第5,591,368号(上記文献の開示は、参照によりその全体が本明細書に援用される)中で記載される。
【0075】
抵抗加熱要素は、多様な形態(箔、発泡体、ディスク、螺旋、繊維、ワイヤー、フィルム、糸、ストリップ、リボンまたはシリンダの形態等)に加えて、寸法が変動する不規則な形状で提供することができる。一部の実施形態において、本発明に記載の抵抗加熱要素は、2012年3月28日に出願された同時係属中の米国特許出願第13/432,406号(その開示はその全体が参照により本明細書に援用される)中の記載されたもの等の伝導性基材であってよい。
【0076】
有益には、加熱部は、加熱要素がエアロゾル前駆体組成物またはその1以上の要素と緻密に接触してまたはそれらに非常に接近して配置することを可能にする形態で提供することができる。他の実施形態において、加熱部は、エアロゾル化のために加熱部へエアロゾル前駆体組成物を送達することができるような形態で提供することができる。かかる送達は多様な手段を介するものであってよい。例えば、エアロゾル化のための要素の送達には、吸液(すなわち毛細管作用を介する送達)、拡散、熱的に駆動された拡散、表面拡散、受動的流れ、および能動的ポンピング、機械的に駆動された流れが含まれ得る。一部の実施形態において、1以上のバルブを利用して、エアロゾル化のための要素の送達を制御することができる。それゆえ、エアロゾル化のための要素(エアロゾル形成剤および他の吸入可能な材料が含まれる)は、時期尚早のエアロゾル化を予防するために加熱部から十分に離れて配置されるが、エアロゾル化のための加熱部へ所望される量のエアロゾル前駆体組成物の送達を促進するために加熱部に十分に接近して配置される、1以上の貯蔵部中に液体形態で提供するとこができる。1以上の貯蔵部は貯蔵部システムを画定することができる。
【0077】
特定の実施形態において、本発明に記載の喫煙具には、タバコ、タバコ要素またはタバコ由来材料(すなわちタバコから直接単離できるか、または合成的に調製される、タバコにおいて天然に見出される材料)が含まれ得る。用いられるタバコは、熱風乾燥タバコ、Burleyタバコ、Orientalタバコ、Marylandタバコ、暗色タバコ、暗色火力乾燥タバコおよびRusticaタバコ等のタバコに加えて、他のまれなタバコもしくは特製タバコまたはそのブレンドを含むか、またはそれらに由来することができる。様々な代表的なタバコのタイプ、加工されたタイプのタバコおよびタバコブレンドのタイプは、Lawson et al.による米国特許第4,836,224号;Perfetti et al.による米国特許第4,924,888号;Brown et al.による米国特許第5,056,537号;Brinkley et al.による米国特許第5,159,942号;Gentryによる米国特許第5,220,930号;Blakley et al.による米国特許第5,360,023号;Shafer et al.による米国特許第6,701,936号;Dominguez et al.による米国特許第6,730,832号;Li et al.による米国特許第7,011,096号;Li et al.による米国特許第7,017,585号;Lawson et al.による米国特許第7,025,066号;Perfetti et al.による米国特許出願公開第2004/0255965号;Beremanによる国際公開第02/37990号;およびBombick et al.,Fund.Appl.Toxicol.,39,p.11-17(1997);(上記文献の開示は、参照によりその全体が本明細書に援用される)中で説明される。様々なタイプのタバコの記述、成長実務、採取実務および乾燥実務は、Tobacco Production,Chemistry and Technology,Davis et al.(Eds.)(1999)中で説明される。
【0078】
喫煙具は、タバコ製品の製造に伝統的に使用されるタイプのタバコ添加剤を組込むことができる。それらの添加剤には、葉巻き、紙巻きタバコ、パイプなどの製造に使用されるタバコの風味および芳香を促進するのに使用される材料のタイプが含まれ得る。例えば、それらの添加剤には、様々な紙巻きタバコのケーシングおよび/またはトップドレッシング要素が含まれ得る。例えば、Wochnowskiによる米国特許第3,419,015号;Berndt et al.による米国特許第4,054,145号;Burcham,Jr.et al.による米国特許第4,887,619号;Watsonによる米国特許第5,022,416号;Strang et al.による米国特許第5,103,842号;およびMartinによる米国特許第5,711,320号(上記文献の開示は、参照によりその全体が本明細書に援用される)を参照されたい。好ましいケーシング材料には、水、糖およびシロップ(例えばショ糖、ブドウ糖および高果糖コーンシロップ)、湿潤剤(例えばグリセリンまたはプロピレングリコール)、および風味添加剤(例えばココアおよびカンゾウ)が含まれる。それらの添加要素にはトップドレッシング材料(例えばメントール等の風味添加材料)も含まれる。例えば、Mays et al.による米国特許第4,449,541号(その開示はその全体が参照により本明細書に援用される)を参照されたい。特定のケーシング要素およびトップドレッシング要素の選択は、所望される感覚性特徴等の因子に依存し、それらの要素の選択および使用は、紙巻きタバコのデザインおよび製造の当業者に容易に明らかでなる。Gutcho,Tobacco Flavoring Substances and Methods,Noyes Data Corp.(1972)およびLeffingwell et al.,Tobacco Flavoring for Smoking Products(1972)(上記文献の開示は、参照によりその全体が本明細書に援用される)を参照されたい。添加することができるさらなる材料には、Lawson et al.による米国特許第4,830,028号およびMarshall et al.による米国特許出願公開第2008/0245377号(上記文献の開示は、参照によりその全体が本明細書に援用される)中で開示したものが含まれる。
【0079】
喫煙具(および特にそれらの喫煙具内でタバコの実質的にすべてを意図的に燃やさないようにデザインされる喫煙具)の中へタバコを取り込むための、様々な態様および方法は、Brooks et al.による米国特許第4,947,874号;Cantrell et al.による米国特許第7,647,932号;Banerjee et al.による米国特許出願公開第2005/0016549号;およびCrooks et al.による米国特許出願公開第2007/0215167号(上記文献の開示は、参照によりその全体が本明細書に援用される)中で説明される。
【0080】
エアロゾル前駆体または蒸気前駆体の組成物は1以上の異なる成分を含んでよい。例えば、エアロゾル前駆体には多価アルコール(例えばグリセリン、プロピレングリコールまたはその混合物)が含まれ得る。代表的なタイプのさらなるエアロゾル前駆体組成物は、Sensabaugh,Jr.et al.による米国特許第4,793,365号;Jakob et al.による米国特許第5,101,839号;Biggs et al.による国際公開第98/57556号;およびChemical and Biological Studies on New Cigarette Prototypes that Heat Instead of Burn Tobacco,R.J. Reynolds Tobacco Company Monograph(1988)(それらの開示は参照により本明細書に援用される)中で説明される。一部の実施形態において、エアロゾル前駆体組成物は、それへの十分な熱(および必要であるならば空気による冷却で)の適用に際して、目視可能なエアロゾルを生成することができ、かかるエアロゾル前駆体組成物は「煙様」であると判断できるエアロゾルを生成することができる。一部の実施形態において、しかしながら、エアロゾル前駆体成分を加熱して、肉眼で実質的に見えず、主として消費者への明らかな風味および/または芳香および/または口当たりによって同定することができるエアロゾルを生成することができる。したがって、「エアロゾル前駆体組成物」という用語は、目視可能なエアロゾルを生成する組成物(またはその要素)に加えて、さらなる特徴(例えば目視可能性以外の)によって同一と見なすことができるエアロゾルを生成する組成物(またはその要素)を幅広く包含することができる。例えば、多価アルコールは目視可能なエアロゾルを生成することができるエアロゾル前駆体であると判断することができる。他の要素(いくつかの風味物または医薬品等)は、さらなる特徴によって同定可能なエアロゾルを生成することができるエアロゾル前駆体であると判断することができる。例示的なエアロゾル前駆体組成物は、タバコを燃焼させることによって生成される煙の化学的性質と比較して、化学的に単純であってよい。必要な場合は、エアロゾル前駆体組成物は他の液体材料(水等)を含んでよい。例えば、エアロゾル前駆体組成物は、グリセリンおよび水の混合物、またはプロピレングリコールおよび水の混合物、またはプロピレングリコールおよびグリセリンの混合物、またはプロピレングリコール、グリセリンおよび水の混合物を組込むことができる。例示的なエアロゾル前駆体組成物には、Atlanta Imports Inc.(Acworth、ジョージア、米国)を介して入手可能な商標名E-CIGを有する電子葉巻き(それは関連するSmoking Cartridges Type C1a、C2a、C3a、C4a、C1b、C2b、C3bおよびC4bを使用して用いることができる)として;ならびにRuyan SBT Technology and Development Co.Ltd.(Beijing、中国)からのRuyan Atomizing Electronic PipeおよびRuyan Atomizing Electronic Cigaretteとして、装置内に組込まれた材料のそれらのタイプも含まれる。
【0081】
さらなるタバコ材料(タバコ芳香油、タバコエッセンス、噴霧乾燥タバコ抽出物、凍結乾燥タバコ抽出物、タバコダストまたは同種のもの等)は、蒸気前駆体またはエアロゾル前駆体の組成物と組み合わせることができる。本明細書において使用される時「タバコ抽出物」という用語は、タバコ抽出加工の条件および技法を使用して、タバコから分離されたか、それから取り出されたか、またはそれに由来する成分を意味する。精製された抽出物(他の植物からの抽出物が含まれる)を特に使用することができる。典型的には、タバコ抽出物は、溶媒(水溶性性質を有する溶媒(例えば水)または有機溶媒(例えばエタノール等のアルコールまたはヘキサン等のアルカン)等)を使用して得られる。それゆえ、抽出されたタバコ要素はタバコから取り出され、抽出されていないタバコ要素から分離され;溶媒内に存在する抽出されたタバコ要素については、(i)溶媒は抽出されたタバコ要素から除去することができるか、または(ii)抽出されたタバコ要素および溶媒の混合物はそのものとして使用することができる。例えば、タバコは溶媒として水を使用して抽出条件へさらすことができ;次いでもたらされたタバコの水溶性抽出物は非水溶性パルプから分離され;次いで(i)水内のタバコの水溶性抽出物の混合物はそのものとして使用することができるか、または(ii)粉末の形態でタバコ抽出物を提供するために、実質的な量の水は、抽出されたタバコ要素から実質的な量の水を除去することができる(例えば、噴霧乾燥または凍結乾燥の技法を使用して)。好ましいタバコ抽出物は、タバコから分離されたか、それから取り出されたか、またはそれに由来した多数の要素を組込んでおり;単一の要素に対して非常に選択的なタバコ抽出加工条件を使用しては得られない(例えば、好ましい抽出物は、高ニコチン含有量抽出物、または比較的純粋なニコチン組成物として特徴づけることができる抽出物ではない)。それゆえ、例示的な好ましいタバコ抽出物は、溶媒を除去した全抽出物重量に基づいて(例えば溶媒が水である場合乾燥重量ベースで)、45パーセント未満のニコチン、多くの場合35パーセントのニコチン、およびしばしば25パーセント未満のニコチンを保持する。加えて、非常に好ましいタバコ抽出物は非常に芳香があり風味に富んでおり、したがってそれらの抽出物を組込む喫煙具によって生成されるエアロゾルへ所望される感覚性特徴を導入する。例示的なタイプのタバコ抽出物、タバコエッセンス、溶媒、タバコ抽出加工の条件および技法、ならびにタバコ抽出物の収集および単離手順は、Schachnerによるオーストラリア特許第276,250号;Meriroによる米国特許第2,805,669号;Green et al.による米国特許第3,316,919号;Tughanによる米国特許第3,398,754号;Rookerによる米国特許第3,424,171号;Luttichによる米国特許第3,476,118号;Osborneによる米国特許第4,150,677号;Kiteによる米国特許第4,131,117号;Mullerによる米国特許第4,506,682号;Roberts et al.による米国特許第4,986,286号;Faggによる米国特許第5,005,593号;Faggによる米国特許第5,065,775号;White et al.による米国特許第5,060,669号;White et al.による米国特許第5,074,319号;White et al.による米国特許第5,099,862号;White et al.による米国特許第5,121,757号;Munoz et al.による米国特許第5,131,415号;Smith et al.による米国特許第5,230,354号;Sensabaughによる米国特許第5,235,992号;Smithによる米国特許第5,243,999号;Raymondによる米国特許第5,301,694号;Gonzalez-Parra et al.による米国特許第5,318,050号;Clapp et al.による米国特許第5,435,325号;およびBrinkley et al.による米国特許第5,445,169号(上記文献の開示は、参照によりその全体が本明細書に援用される)中で説明される。
【0082】
さらなる喫煙具は、1以上の風味物、医薬品または他の吸入可能な材料を含んでよい。例えば、液体ニコチンを使用することができる。かかるさらなる材料はエアロゾル前駆体または蒸気前駆体の組成物中に含まれ得る。したがって、エアロゾル前駆体または蒸気前駆体の組成物は、必ずしも目視可能なエアロゾルとして生成されない吸入可能な物質を含むものと記載することができる。かかる吸入可能な物質は、風味物、医薬品および本明細書に記載のような他の材料を含んでよい。特に、本発明に記載の喫煙具を使用して送達される吸入可能な物質は、タバコ要素またはタバコ由来材料を含んでよい。例えば、エアロゾル前駆体組成物は、タバコによるスラリーもしくは溶液、タバコ要素、またはタバコ由来材料を含んでよい。
【0083】
エアロゾル前駆体組成物の様々な要素(例えば多価アルコール、風味物、医薬品など)は、1以上の貯蔵部中で提供することができる。それゆえ、様々な要素の画定されたアリコートは、分離または同時に使用者によって吸入される気流中のエアロゾル化のための加熱部へ送達することができる。エアロゾル前駆体組成物の要素は、加熱要素に接近するようにエアロゾル化ゾーンへ送達することができる。接近は、好ましくは、加熱部の加熱が吸入可能な形態で要素を揮発および放出するのに十分な熱を要素へ提供するように十分な程である。
【0084】
風味添加剤の様々なタイプ、または喫煙具の主流エアロゾルの感覚性もしくは官能性の特徴もしくは性質を改変する材料を、用いることができる。かかる風味添加剤はタバコ以外の源から提供することができ、本質的に天然または人工であり得、濃縮物または風味物のパッケージとして用いることができる。かかる薬剤は、加熱部へ直接提供することができるか、またはエアロゾル前駆体組成物のさらなる要素とは分離して保存されるようにエアロゾル化ゾーン内に配置された基材上で提供することができる。例示的な風味添加剤は、バニリン、エチルバニリン、クリーム、茶、コーヒー、果実(例えばリンゴ、サクランボ、イチゴ、モモ、およびライムおよびレモンを含む柑橘類の風味物)、メープル、メントール、ミント、ペパーミント、スペアミント、ヒメコウジ、ナツメグ、クローブ、ラベンダー、カルダモン、ショウガ、蜂蜜、アニス、セージ、シナモン、ビャクダン、ジャスミン、カスカリラ、ココア、カンゾウ、ならびに紙巻きタバコ、葉巻きおよびパイプタバコの風味添加のために伝統的に使用されるタイプおよび特徴の風味添加物および風味物のパッケージが含まれる。シロップ(高果糖コーンシロップ等)も用いることができる。風味添加剤は、酸性特徴または塩基性特徴(例えばレブリン酸、コハク酸およびピルビン酸等の有機酸)も含まれ得る。風味添加剤は必要な場合はエアロゾルを生成する材料と組み合わせることができる。Dube et al.による米国特許出願第12/971,746号およびDube et al.に米国特許出願第13/015,744号(上記文献の開示は、参照によりその全体が本明細書に援用される)中で、使用できる例示的な植物由来組成物を開示する。かかるさらなる要素の選択は因子(本物品に所望される感覚性特徴等)に基づいて変動させることができ、本発明は、タバコおよびタバコ関連製品またはタバコ由来製品の当業者へ容易に明らかになり得る任意のかかるさらなる要素を包含することを意図する。Gutcho,Tobacco Flavoring Substances and Methods, Noyes Data Corp.(1972)およびLeffingwell et al.,Tobacco Flavoring for Smoking Products(1972)(上記文献の開示は、参照によりその全体が本明細書に援用される)を参照されたい。タバコ材料と組み合わせて、官能性特性(既に本明細書において記載されたもの等)を含むその感覚性特性への影響に有用になり得る材料(風味添加物、ケーシングなど等)のうちのいずれかは、エアロゾル前駆体組成物と組み合わせることができる。特に有機酸をエアロゾル前駆体の中へ組込んで、エアロゾル前駆体と組み合わせることができる医薬品(ニコチン等)の風味、感覚または官能性特性に影響することができる。例えば、有機酸(レブリン酸、乳酸およびピルビン酸等)を、ニコチンと等モル(全有機酸含有量に基づく)までの量で、ニコチンを含有するエアロゾル前駆体中に含んでよい。有機酸の任意の組み合わせを使用することができる。例えば、エアロゾル前駆体は、1モルのニコチンあたり約0.1~約0.5モルのレブリン酸、1モルのニコチンあたり約0.1~約0.5モルのピルビン酸、1モルのニコチンあたり約0.1~約0.5モルの乳酸、またはその組み合わせを、存在する有機酸の全量がエアロゾル前駆体中に存在するニコチンの全量に対して等モルである濃度まで、含んでよい。
【0085】
エアロゾル前駆体組成物は、その中に利用された様々な量の材料に基づいて多様なコンフォメーションをとることができる。例えば、有用なエアロゾル前駆体組成物は、ポリオールを重量で約98%まで、重量で約95%まで、または重量で約90%まで含んでよい。この全量は、2以上の異なるポリオールの間の任意の組み合わせで分割することができる。例えば、1つのポリオールを、エアロゾル前駆体の重量で、約50%~約90%、約60%~約90%、または約75%~約90%含むことができ、第2のポリオールを、エアロゾル前駆体の重量で、約2%~約45%、約2%~約25%、または約2%~約10%含んでよい。有用なエアロゾル前駆体は、水を重量で約25%まで、重量で約20%まで、または重量で約15%まで(特に水を重量で約2%~約25%、約5%~約20%、または約7%~約15%)含むこともできる。風味物など(それはニコチン等の医薬品を備えてよい)を、エアロゾル前駆体の重量で、約10%まで、約8%まで、または約5%まで含んでよい。
【0086】
非限定例として、本発明に記載のエアロゾル前駆体は、グリセロール、プロピレングリコール、水、ニコチンおよび1以上の風味物を含んでよい。特に、グリセロールは、重量で約70%~約90%、重量で約70%~約85%、または重量で約75%~約85%の量で存在することができ、プロピレングリコールは、重量で約1%~約10%、重量で約1%~約8%、または重量で約2%~約6%の量で存在することができ、水は、重量で約10%~約20%、重量で約10%~約18%、または重量で約12%~約16%の量で存在することができ、ニコチンは、重量で約0.1%~約5%、重量で約0.5%~約4%、または重量で約1%~約3%の量で存在することができ、風味添加物は、重量で約5%まで、重量で約3%まで、または重量で約1%までの量で存在することができ、すべての量はエアロゾル前駆体の全重量に基づく。1つの具体的で非限定的な例のエアロゾル前駆体は、重量で約75%~約80%のグリセロール、重量で約13%~約15%の水、重量で約4%~約6%のプロピレングリコール、重量で約2%~約3%のニコチン、および重量で約0.1%~約0.5%の風味物を含む。ニコチンは例えば高ニコチン含有量タバコ抽出物であってよい。
【0087】
喫煙具内で使用されるエアロゾル前駆体組成物の量は、物品が許容可能な感覚性および官能性の特性ならびに所望される性能特徴を示すようなものである。典型的には、喫煙具の中へ組込まれるエアロゾル生成材料の量は、約1.5g以下、約1g以下または約0.5g以下の範囲中である。エアロゾル前駆体組成物の量は、因子(喫煙具と共に使用されるカートリッジあたりの所望される吸煙の数等)に依存し得る。エアロゾル生成組成物は、許容できない異味、膜のような口当たり(filmy mouth-feel)、またはタバコ刻みを燃焼させることによって主流煙を生成する従来のタイプの紙巻きタバコのものとは大きく異なる全体的な感覚性経験を、有意な程度で導入しないことが所望される。特定のエアロゾル前駆体成分および貯蔵部材料の選択、使用されるそれらの要素の量、ならびに使用されるタバコ材料のタイプは、喫煙具によって生成される主流エアロゾルの全体的な化学組成物を制御するために、改変することができる。
【0088】
本発明の物品によって放出されるエアロゾルの量は変動し得る。好ましくは、使用の経過にわたってエアロゾル化された材料の所望される含有量を放出するのに十分な時間で十分な温度で機能するように、物品はエアロゾル前駆体組成物の十分な量の個々の要素により構成される。含有量は、物品からの一回の吸入で提供することができるか、または比較的短い時間長(例えば30分間未満、20分間未満、15分間未満、10分間未満、または5分間未満)にわたって物品から複数の吸煙を介して提供されるように分けることができる。例えば、物品は、物品での吸煙あたり約0.01mg~約0.5mg、約0.05mg~約0.3mg、または約0.1mg~約0.2mgの量でニコチンを提供することができる。他の実施形態において、所望される量は、吸煙の継続時間および体積に基づいて送達される湿潤全微粒子物質の含有量に関連して特徴づけることができる。例えば、2秒、35mlの吸煙の標準的なFTC喫煙条件下で喫煙された場合、物品は各々の吸煙に際して、定義された吸煙の数で(あるいは本明細書に記載のように)、少なくとも0.1mgの湿潤全微粒子物質を送達することができる。かかる試験は任意の標準的な喫煙機械を使用して実行することができる。他の実施形態において、各々の吸煙(およそ2秒の継続時間の)について同じ条件下で送達される湿潤全微粒子物質(WTPM)の含有量は、少なくとも1.5mg、少なくとも1.7mg、少なくとも2.0mg、少なくとも2.5mg、少なくとも3.0mg、約1.0mg~約5.0mg、約1.5mg~約4.0mg、約2.0mg~約4.0mg、または約2.0mg~約3.0mgである。かかる値は、単独でまたは物品によって送達される任意のさらなる吸入可能な物質と組み合わせて送達されるエアロゾル前駆体組成物の含有量に関連させることができる。計算の目的のために、約2秒の平均の吸煙時間は、約5ml~約100ml、約15ml~約70ml、約20ml~約60ml、または約25ml~約50mlの吸煙体積を送達することができる。かかる全吸煙体積は、特定の実施形態において、以前に記載されたWTPM含有量を提供することができる。したがって、送達されるWTPMは、全吸煙体積に関連して特徴づけることができる(例えば約25ml~約75mlの全吸煙体積中で約1mg~約4mgのWTPM)。かかる特徴づけは、すべての吸煙体積値およびWTPM値、あるいは本明細書に記載のものを包括する。本発明に記載の喫煙具は、送達されるエアロゾル前駆体組成物の要素の全量(または送達される全WTPM)を1吸煙あたりの送達される量で割ることによって計算可能な任意の吸煙の数を提供するように構成することができる。1以上の貯蔵部をエアロゾル前駆体組成物の適切な量の要素によりロードして、所望される吸煙の数および/または送達される材料の所望される全量を達成することができる。
【0089】
さらなる実施形態において、加熱は生成されるエアロゾルの量に関連して特徴づけることができる。特に、物品は、定義されたエアロゾルの体積(例えば、約5ml~約100ml、または喫煙具において有用であると考えられる任意の他の体積、本明細書に記載のもの等)を生成するのに必要な加熱の量を提供するように構成することができる。特定の実施形態において、生成された加熱の量は、約290℃の加熱部温度で約35mlのエアロゾルを提供する2秒の吸煙に関連して測定することができる。一部の実施形態において、物品は、好ましくは約1~約50ジュール毎秒(J/秒)、約2J/秒~約40J/秒、約3J/秒~約35J/秒、または約5J/秒~約30J/秒の加熱を提供することができる。
【0090】
加熱部システムを形成する1以上の加熱部は好ましくは喫煙具の電源と電気的に接続し、その結果、電気エネルギーを加熱部に提供して熱を生成し、続いてエアロゾル前駆体組成物および喫煙具によって提供される他の吸入可能な物質をエアロゾル化する。かかる電気的接続は、永続的であってよいか(例えば、配線された)、または除去可能であってよい(例えば、そこで加熱部は、電源を含む制御体に装着および脱着可能なカートリッジで提供される)。
【0091】
本発明に記載の喫煙具で使用される多様な材料は上で記載された(加熱部、電池、コンデンサー、スイッチ切り替え要素、エアロゾル前駆体など等)が、本発明は例示された実施形態のみに限定されるものして解釈されるべきでない。むしろ、当業者は、本発明の任意の特異的な要素と交換することができる当分野における類似の要素を本開示に基づいて認識することができる。例えば、Sprinkel,Jr.によるUS5,261,424は、装置の吸い口端部と結び付けることができる圧電センサー(吸引の実行と結び付いた使用者口唇活動を検出し、次いで加熱を引き起こす)を開示し;McCafferty et al.によるUS5,372,148は、マウスピースを介する圧力低下に応答して加熱負荷アレイへのエネルギーの流れを制御するための吸煙センサーを開示し;Harris et al.によるUS5,967,148は、挿入された要素の赤外透過率における非均一性を検出する識別子および要素がレセプタクルの中へ挿入されると検出ルーチンを実施する制御器を含む、喫煙装置中のレセプタクルを開示し;Fleischhauer et al.によるUS6,040,560は、複数の微分位相を備えた定義された実行可能な出力サイクルを記載し;Watkins et al.によるUS5,934,289は光子-光電子要素を開示し;Counts et al.によるUS5,954,979は、喫煙装置を介する吸引抵抗を改変するための手段を開示し;Blake et al.によるUS6,803,545は、喫煙装置で使用される具体的な電池立体配置を開示し;Griffen et al.によるUS7,293,565は喫煙装置の使用のための様々な充電システムを開示し;Fernando et al.によるUS2009/0320863は、充電を促進し、装置のコンピューター制御を可能にする、喫煙装置のためのコンピューターインタフェース手段を開示し;Fernando et al.によるUS2010/0163063は、喫煙装置のための同定システムを開示し;FlickによるWO2010/003480は、エアロゾル生成システムにおける吸煙を示す流体流れセンシングシステムを開示し;前述の開示のすべてはそれらの全体が参照により本明細書に援用される。電子的エアロゾル送達物品に関連する要素、および本物品において使用できる開示の材料または要素のさらなる例には、Gerth et al.による米国特許第4,735,217;Morgan et al.による米国特許第5,249,586号;Higgins et al.による米国特許第5,666,977号;Adams et al.による米国特許第6,053,176号;Whiteによる第4,635,651号;Vogesによる米国特許第6,196,218号;Felter et al.による米国特許第6,810,883号;Nicholsによる米国特許第6,854,461号;Honによる米国特許第7,832,410号;Kobayashiによる米国特許第7,513,253号;Hamanoによる米国特許第7,896,006号;Shayanによる米国特許第6,772,756号;Honによる米国特許出願公開第2009/0095311号、第2006/0196518号、第2009/0126745号および第2009/0188490号;Thorens et al.による米国特許出願公開第2009/0272379号、Monsees et al.による米国特許出願公開第2009/0260641号および第2009/0260642号;Oglesby et al.による米国特許出願公開第2008/0149118号および第2010/0024834号;Wangによる米国特許出願公開第2010/0307518号;およびHonによる国際公開第2010/091593号が含まれる。前述の文書によって開示される多様な材料は様々な実施形態における本装置へと援用することができ、前述の開示のすべてはそれらの全体が参照により本明細書に援用される。
【0092】
以下に詳細に説明するように、本発明に記載の物品は多様な実施形態をとることができるが、消費者による物品の使用の範囲は類似している。特に、物品は、単一のユニットとして、または使用のために消費者によって組み合わせられ、次いで消費者によってその後に分解される、複数の要素として提供することができる。一般的に、本発明に記載の喫煙具は、第2のユニットと係合可能および脱係合可能な第1のユニットを含むことができ、第1のユニットは加熱部システムを含み、第2のユニットは電力源を備える。一部の実施形態において、第2のユニットは、電力源からの電流を作動または調節する1以上の制御要素をさらに備えてよい。第1のユニットは、第2のユニットを係合する先端部、およびその反対の基端部を有し、基端部に開口を備えたマウスピース(または単純に吸い口端部)を備えてよい。第1のユニットは、第1のユニットのマウスピースへの空気の流れの経路の開口を備えてよく、空気の流れの経路は、加熱部から形成されたエアロゾルのマウスピースの中への通路を提供することができる。好ましい実施形態において、第1のユニットは使い捨てであってよい。同様に、第2のユニットは再使用可能であってよい。
【0093】
より具体的には、本発明に記載の喫煙具は、接続端部および反対の閉鎖端部を有する形状で実質的に円筒状の再使用可能な制御体を有することができる。制御ハウジングの閉鎖端部は、物品の能動的使用のための1以上の指示器を備えてよい。物品は、制御体の接続端部に係合する接続端部を備えおよび反対の吸い口端部を備えたカートリッジをさらに備えてよい。物品を使用するために、消費者は、制御体の接続端部にカートリッジの接続端部を接続されてよいか、あるいは本明細書に記載のように物品が作動可能なように制御体とカートリッジを組み合わせる。一部の実施形態において、制御体およびカートリッジの接続端部は、スクリュータイプの係合のためのネジ山を付けることができる。他の実施形態において、接続端部はプレス嵌め係合であってよい。
【0094】
使用の間に、消費者は加熱部の加熱を開始し、加熱部によって生成された熱はエアロゾル前駆体組成物の要素をエアロゾル化する。かかる加熱は少なくともエアロゾルの形態でエアロゾル前駆体組成物の一部を放出し、かかるエアロゾルは、カートリッジの吸い口端部と流体連通するカートリッジ内部の空間(例えばエアロゾル化ゾーン)内で提供される。消費者がカートリッジの吸い口端部で吸入する場合、空気はカートリッジを介して吸引され、吸引された材料がカートリッジの吸い口端部(および存在する任意のオプションのマウスピース)から消費者の口の中へ出るにつれて、吸引された空気およびエアロゾルの組み合わせは消費者によって吸入される。加熱を開始するために、消費者は、押しボタン、容量センサー、または電池または他のエネルギー源(コンデンサー等)から加熱部に電気エネルギーを受け取らせる類似の要素を作動することができる。電気エネルギーは、所定の時間の長さで提供することができるか、または手動で制御することができる。好ましくは、電気エネルギーの流れは、吸煙の合間に物品で実質的に進行しない(エネルギーの流れは、周囲温度を超えるベースライン温度(例えば能動的加熱温度までの迅速な加熱を促進する温度)を維持するように進行することができるが)。さらなる実施形態において、加熱は、様々なセンサーの使用を介して消費者の吸煙活動によって、あるいは本明細書に記載のように、開始することができる。一旦吸煙が中止されれば、加熱は停止または減少される。消費者が十分な量の吸入可能な物質(例えば典型的な喫煙経験と匹敵する十分な量)を放出するように吸煙の十分な数を得た場合、カートリッジは制御ハウジングから除去し廃棄することができる。カートリッジが使用済みであるという(すなわち、エアロゾル前駆体組成物が消費者によって実質的に除去された)指標を提供することができる。一部の実施形態において、単一のカートリッジは一回以上の喫煙経験を提供することができ、したがって従来の紙巻きタバコの、完全なパックまたはさらにそれ以上と同じくらいを模倣するエアロゾル前駆体組成物の十分な含有量を提供することができる。
【0095】
物品の使用についての前述の記述は、わずかな変更を行うことで、記載された様々な実施形態へ適用することができ、それは本明細書において提供されたさらなる開示を考慮して当業者に明らかになり得る。しかしながら、使用についての上記の記述は本発明の物品の使用を限定することは意図しないが、本発明の開示のすべての必要な要求に応じるように提供される。
【0096】
ここで図1を参照して、本発明に記載の喫煙具10は、一般的にはシェル15、およびシェル内に提供される複数の要素を備えてよい。物品は、吸い口端部11(すなわち消費者が吸引して物品からのエアロゾルを吸入することができる端部)および先端部12を有すると特徴づけることができる。図示される物品は単一の一体型装置として提供される(しかしながら、ラインAはオプションの境界設定を示し、それに従って、装置は、グルーイング等によって除去可能にまたは恒久的にともに接合される2つの別個の成分であってよい)。本明細書におけるさらなる開示から明らかであるように、物品のさらなる実施形態で、2以上の脱着可能なユニットから形成され、各々のハウジングが物品の要素を分離することが好ましいであろう。図1の実施形態において示される様々な要素は、複数のユニットから形成される実施形態を含む他の実施形態において存在することができる。
【0097】
本発明に記載の物品10は、実質的にロッド様または実質的に管形状または実質的に円筒形状であるとして画定され得る全体的な形状を有することができる。図1中で図示されるように、物品は実質的に丸い横断面を有する。しかしながら、他の横断面形状(例えば楕円形、正方形、三角形など)も本開示によって包含される。物品の物理的な形状を記述するかかる文言は、複数のユニット(制御体およびカートリッジ等)を含む実施形態における物品の個々のユニットへも適用することができる。
【0098】
喫煙具10のシェル15は、適切なコンフォメーション(管形状等)を形成および維持するために、および物品の好適な要素をその中に保持するために好適な任意の材料から形成することができる。シェルは図1中で示されるように単一の壁から形成することができる。一部の実施形態において、シェルは、本明細書にさらに記載するように、少なくとも加熱部によって提供された加熱温度である温度で、その構造的完全性を保持する(例えば、分解しない)ように耐熱性のある材料(天然または合成)から形成することができる。一部の実施形態において、耐熱性のあるポリマーを使用することができる。他の実施形態において、シェルは紙(実質的にストロー形状の紙等)から形成することができる。本明細書にさらに記載するように、シェル(紙管等)は、それを通る蒸気の移動を実質的に防止するように機能する1以上の層をそれと結び付けることができる。1つの例において、アルミホイル層をシェルの1つの表面に薄層化することができる。セラミック材料も使用することができる。
【0099】
さらなる実施形態において、本発明に記載の喫煙具10は、具体的な機能性を提供できる多様な材料を含んでよい。例えば、図2は物品の吸い口端部11の付近の喫煙具10の横断面を示す。この実施形態において、抵抗加熱要素50が存在する場合、抵抗加熱要素から不必要に熱を移動させないように、特に隔離層70をシェル15の領域中に備えてよい。しかしながら、隔離層は物品の他の領域(物品の全長を実質的に含む)において存在することができる。例えば、物品が制御体および別個のカートリッジを含む実施形態において、制御体は必要な場合は必要な場合隔離層を備えてよい。隔離層70は紙または他の繊維状材料(セルロース等)から形成することができる。かかる実施形態において、物品の表面に向かって外向きのエアロゾル前駆体組成物の移動を防止するように、バリア層75を含むことは有用であり得、それはエアロゾル前駆体組成物の特定の要素を通さない任意の材料(金属箔、パラフィン紙または同種のもの等)を備えてよい。さらに、シェル15は少なくともその一部で(物品の吸い口端部11等で)上包115を備えてよく、かかる上包は多層からも形成することができる。上包は例えば紙巻きタバコにおいて典型的な包装紙であってよい。上包は特に従来の紙巻きタバコのフィルター要素において典型的には使用される材料(酢酸セルロース等)を含むことができ、したがって消費者の口において従来の紙巻きタバコの感覚を提供するように機能することができる。本発明における上包において使用することができる例示的なタイプの包装材料、包装材料要素および処理された包装材料は、White et al.による米国特許第5,105,838号;Arzonico et al.による米国特許第5,271,419号;Gentryによる米国特許第5,220,930号;Woodhead et al.による米国特許第6,908,874号;Ashcraft et al.による米国特許第6,929,013号;Hancock et al.による米国特許第7,195,019号;Holmesによる米国特許第7,276,120号;Hancock et al.による米国特許第7,275,548号;Fournier et al.による国際公開第01/08514号;およびHajaligol et al.による国際公開第03/043450号(上記文献の開示は、参照によりその全体が本明細書に援用される)中に記載される。代表的な包装材料は、Schweitzer-Mauduit InternationalからのR.J.Reynolds Tobacco Company Gradeの119、170、419、453、454、456、465、466、490、525、535、557、652、664、672、676および680として商業的に入手可能である。
【0100】
別の方法でシェル15を介する半径方向(すなわち外側)の空気の浸透によって希釈され得るエアロゾルおよび風味物の送達を最大にするために、非多孔性タバコ用紙の1以上の層を使用して、物品を包むことができる(存在する上包の有無にかかわらず)。好適な非多孔性タバコ用紙の例は、KC-63-5、P878-5、P878-16-2および780-63-5としてKimberly-Clark Corp.から商業的に入手可能である。好ましくは、上包は、発明の物品の使用の間に形成される蒸気に対して実質的に非透過性の材料である。必要な場合は、上包(または上包が存在しないならば、シェル)は、弾性のある板紙材、箔に裏打ちされた板紙、金属、ポリマー材料、発泡体、ナノ繊維ウェブなどを含むことができ、この材料はタバコ用紙包みによって囲むことができる。さらに、物品10は物品を囲むチップペーパーを含むことができ、任意で物品にフィルター材料を装着するために使用することができる。
【0101】
シェル15は、単層から形成された場合、約0.2mm~約3.0mm、約0.3mm~約2.0mm、約0.4mm~約1.5mm、または約0.5mm~約1.25mmの厚みを有する。さらなる層の添加は、前述のように、シェルの厚みに添加することができる。上記の機能を提供するのに使用するか、または上で言及される材料および要素に対する代替物として使用することができるさらなる例示的なタイプの要素および材料は、Crooks et al.による米国特許出願公開第2010/00186757号およびSebastian et al.による米国特許出願公開第2011/0041861号(上記文献の開示は、参照によりその全体が本明細書に援用される)中で説明されたタイプのものであってよい。
【0102】
図1の実施形態中で参照されるように、喫煙具10は電子制御要素20、流れセンサー30および電池40を含み、これらの要素は物品内で多様な順序で置くことができる。明示的に示されないが、物品10は必要に応じて配線を含んで、電池40からさらなる要素への出力を提供することおよび物品によって提供される必要な機能の適切な操作のための要素を相互接続されてよいことが理解される。物品10は本明細書において記載されるような抵抗加熱要素50をさらに備える。図示された実施形態において、抵抗加熱要素50は、端子51の適切な配線を介して電池40へ電気的に接続して、加熱要素を介して流れる電流の閉じた電気回路の形成を促進することができる金属コイルである。さらなる配線(図示されない)は、物品内で必要な電気的接続を提供するように含まれ得る。具体的な実施形態において、電気的な回路を備えた制御要素20が、パルス幅変更(既に上記されたもの等)を含む1以上の定義されたアルゴリズムに従って、抵抗加熱要素50にエネルギーを与えるために、電池40からの出力を送達、制御、または別の方法で変更するように、物品10を配線することができる。かかる電気回路は、特に物品10が消費者による使用の時にのみ活性のあるように流れセンサー30を組込むことができる。例えば、消費者が物品10で吸煙する場合、流れセンサーは吸煙を検出し、次いで制御要素20が活性化されて物品を介する出力を指令し、その結果、抵抗加熱要素50は熱を生成し、したがって消費者による吸入のためのエアロゾルを提供する。制御アルゴリズムは抵抗加熱要素50への出力をサイクルさせるように要求し、したがって定義された温度を維持することができる。したがって、制御アルゴリズムは、消費者による吸煙がない定義された時間経過後に、物品10を自動的に不活性化し、物品を介する出力流れを中止するように、プログラムすることができる。さらに、物品は、制御要素へのフィードバックを提供するために温度センサーを備えてよい。かかるセンサーは、例えば抵抗加熱要素50との直接的な接触であってよい。代替の温度センシング手段を、同様に論理制御要素等に依存して使用して、抵抗加熱要素(または他の加熱部)を介する抵抗を評価し、要素の温度に対してかかる抵抗を相関させることができる。他の実施形態において、流れセンサー30を適切な要素によって置き換えて、代替センシング手段(容量センシング、別の方法で本明細書において記載されるもの等)を提供することができる。既に本明細書に記載のように、任意の多様なセンサーおよびその組み合わせを組込むことができる。なおさらに、1以上の制御ボタン16は、消費者による手動作動のための多様な機能(物品10の出力のオンおよびオフを行うこと、吸入のための蒸気もしくはエアロゾルを生成するために加熱要素50をオンにすることなど等)を誘発することを可能にするように、含まれ得る。
【0103】
加えて、物品はシェル15上に配置される1以上の状態指示器19を備えてよい。かかる指示器は、前述のように、物品から使用されたかもしくは残存する吸煙の数を示すことができるか、活性状態もしくは不活性状態を示すことができるか、吸煙に応答して点灯することができるかなどを行うことができる。6つの指示器が図示されるが、それより多いかまたは少ない指示器が存在することができ、指示器は異なる形状および配向をとることができ、場合によっては単純にシェル中の開口(かかる指示器が存在する場合に音の放出のため等)であってよい。
【0104】
図1の実施形態中で図示されるように、貯蔵部ボトル205は加熱要素50に接近して示され、送達要素300(この実施形態において芯)は、貯蔵部ボトル205から抵抗加熱要素50のコイルへと延在する。貯蔵部ボトルはエアロゾル前駆体組成物を保存する手段を説明する一実施形態である。芯は毛細管作用を利用して、貯蔵部ボトルから、金属ワイヤーコイルの形態の抵抗加熱要素50中およびその周囲の領域によって画定されたエアロゾル化ゾーン400へと、エアロゾル前駆体組成物を吸引する。それゆえ、抵抗加熱要素によって生成された熱は、エアロゾル前駆体組成物を抵抗加熱要素の周囲の空間(すなわちエアロゾル化ゾーン)中でエアロゾル化させる。次いで形成されたエアロゾルは喫煙具10の吸い口端部11を介して使用者によって吸引される。エアロゾル化ゾーン中のエアロゾル前駆体組成物が抵抗加熱要素の加熱によってエアロゾル化されるにつれて、さらなるエアロゾル前駆体組成物は、エアロゾル化のために貯蔵部ボトル205からエアロゾル化ゾーンへ吸液される。エアロゾル前駆体組成物の実質的にすべてがエアロゾル化されるまで、サイクルは続く。
【0105】
図1の実施形態中で参照されるように、物品10の吸い口端部11は、その中に配置された抵抗加熱要素50および貯蔵部ボトル205との実質的に開口した空洞である。貯蔵部から引き抜かれ、抵抗加熱要素によって加熱されるとき、かかる開口した空洞は、送達要素300からのエアロゾルの放出のための体積を提供する。物品は、抵抗加熱要素50の周囲の空洞からのエアロゾルの引抜きを可能にする吸い口端部11における吸い口開口18も備える。図1の図示中で明示的に示されなかったが、物品はその吸い口端部においてフィルター材料(酢酸セルロースまたはポリプロピレン等)を含んで、その構造的完全性の増加および/または濾過能力の提供、必要な場合はおよび/または吸引に対する抵抗の提供を可能にする。例えば、本発明に記載の物品は、17.5cc/秒の空気の流れで約50~約250mmの水圧低下の圧力低下を示し得る。さらなる実施形態において、圧力低下は約60mm~約180mmまたは約70mm~約150mmであってよい。圧力低下値は、Filtrona Instruments and Automation Ltdから入手可能なFiltrona Filter Test Station(CTS Series)またはCerulean Division of Molins PLCから入手可能なQuality Test Module(QTM)を使用して測定することができる。物品を介する空気の流れを促進するために、空気取り入れ口17を提供することができ、物品の内部への空気の流れを可能にするシェル15における隙間を実質的に備えてよい。複数の空気取り入れ口を提供することができ、空気取り入れ口は、空気取り入れ口からの空気を混ぜることができ、抵抗加熱要素の周囲の空洞からおよび物品の吸い口端部における開口を介して形成されたエアロゾルの取り出しを促進することができるように物品の吸い口端部から上流の任意の場所に配置することができる。図示されないが、必要な場合は、空気取り入れ口から吸い口端部における開口への空気の流れと、物品内の1以上の要素を効果的に離すように、構造要素を物品内に提供することができる。言いかえれば、画定された空気の流れの経路を提供することができ、かかる画定された空気の流れの経路は、空気の流れの経路を介する空気の流れが、電池40および制御要素20のうちの一方または両方と物理的に接触することを実質的に回避させることができる。図1中で図示されるように、空気取り入れ口17を介して取り入れられた空気は、加熱要素を取り囲む空洞に入る前に流れセンサー30を通過し、その結果、流れセンサーの活性化が加熱要素の加熱を促進し、空気取り入れ口17を介して取り入れられた空気は、加熱要素を取り囲む空洞に入る前に流れセンサー30を通過し、その結果、別の方法で本明細書に記載のように、流れセンサーの活性化が加熱要素の加熱を促進する。
【0106】
図2中で示される実施形態において、エアロゾル前駆体組成物は貯蔵部層200中で保存され、それはエアロゾル前駆体組成物により少なくとも部分的に飽和された多孔質材料の層であってよい。かかる実施形態において、物品10の吸い口端部11における空洞は大きく減少させることができる。図2中で参照されるように、エアロゾル通路管250は、送達要素300の周囲でコイルした抵抗加熱要素50から下流に配置される。使用者は、送達要素中のエアロゾル前駆体組成物を抵抗加熱要素により加熱することによって生成されたエアロゾルを、エアロゾル通路管によって画定されたエアロゾル通路260を介して、吸引することができる。
【0107】
好ましい実施形態において、物品10は、紙巻きタバコまたは葉巻きの形状に相対的なサイズを呈することができる。したがって、物品は、約5mm~約25mm、約5mm~約20mm、約6mm~約15mm、または約6mm~約10mmの直径を有する。かかる寸法は、特にシェル15の外径に対応し得る。
【0108】
図1中で図示された実施形態中の喫煙具10は、使い捨ての物品として特徴づけることができる。したがって、消費者が物品を一回以上使用できるように、かかる実施形態において、エアロゾル前駆体組成物を含有する貯蔵部が、十分な量のエアロゾル前駆体組成物を含むことが所望され得る。例えば、物品が、複数の従来の紙巻きタバコから利用可能な吸煙(各々は約2~4秒の継続時間)の数(例えば、2本以上、5本以上、10本以上または20本以上の従来の紙巻きタバコ)に実質的に同等の数の吸煙を提供することができるように、物品は十分なエアロゾル化可能および/または吸入可能な材料を備えてよい。より詳細には、図1の実施形態に記載の使い捨ての単一ユニット物品は、約20以上、約50以上または約100以上の吸煙を提供することができ、単一の吸煙は、既に本明細書において記載されているように測定される。
【0109】
特に好ましい実施形態において、本発明に記載の物品は、互いに装着可能且つ脱着可能な2ユニットを備えてよい。例えば、図3は、制御体80およびカートリッジ90から形成される一実施形態に従う喫煙具10を示す。具体的な実施形態において、制御体は再使用可能であり、カートリッジは使い捨てであってよい。一部の実施形態において、全体の物品は、限定的な数のカートリッジで限定的な数の使用のみ(例えば電池出力要素がもはや物品に十分な出力を提供しないまで)のための制御体を構成することができ、その後に制御体を含む物品10全体を廃棄することができるという点で、使い捨てとして特徴づけることができる。他の実施形態において、多数の電池交換を介しておよび多くのカートリッジを用いて制御体を再使用することができるように、制御体は置き換え可能な電池を有することができる。同様に、物品10は再充電式であり得、したがって典型的な電気コンセントへの接続、自動車の充電器(すなわちタバコのライター用レセプタクル)への接続、およびUSBケーブル等を介するコンピューターへの接続を含む、任意のタイプの再充電技術と組み合わせることができる。
【0110】
制御体80およびカートリッジ90は互いに係合し、相互に連結した機能装置を形成するように特に構成される。図3中で図示されるように、制御体80は、制御体に関して減少した直径を有する突部82を備える、基端装着端部13を含む。カートリッジは制御体80の基端係合端部を係合する先端装着端部14を備え、機能する使用可能な形態で喫煙具10を提供する。図3中で、制御体突部82は、カートリッジ90がカートリッジの先端装着端部において対応するネジ山(図3中で目視可能でない)を介して制御体80の上へネジ留めされることを可能にするネジ山を含む。したがって、カートリッジ90の先端装着端部は制御体突部82を受け入れるための開口した空洞を備えてよい。ネジ山の付いた係合は図3中で図示されるが、プレス嵌め係合、磁性係合または同種のもの等の係合のさらなる手段が包含されることが理解される。
【0111】
制御体80とカートリッジ90との間の機能関係は、横断面で2つの脱着したユニットを示す図4中でさらに参照される。制御体80は、制御要素20、流れセンサー30および電池40を備える。これらの要素は具体的な配置で図示されるが、要素の様々な配置が本発明によって包含されることが理解される。制御体80は、制御体シェル81において複数の指示器19および空気取り入れ口17をさらに備える。1以上の空気取り入れ口のための様々な位置は本発明によって包含される。示されるように、空気取り入れ口17は、取り入れ口を介して吸引された空気が流れセンサー30に十分に接触してセンサーを活性化するように配置される(特に異なるセンシング手段が提供されるならば、または手動作動(押しボタンによるもの等)が提供されるならば、他の位置は包含されるが)。シェル81は、図1の実施形態に関連して既に本明細書において記載される材料から形成することができる。レセプタクル60も制御体80の基端装着端部13で含まれ、制御体突部82へと延在して、カートリッジ90が制御体へ装着されている場合に抵抗加熱要素50との電気的接続の容易性を可能にする。図示された実施形態において、レセプタクル60は、物品10の使用の間に、制御体における空気取り入れ口からカートリッジへの空気の流れを促進する中央開口通路を備える。
【0112】
カートリッジ90は、その吸い口端部11で吸い口開口18を備えたカートリッジシェル91を含んで、物品10での吸引の間に、カートリッジから消費者への空気および同伴蒸気(すなわち吸入可能な形態のエアロゾル前駆体組成物の要素)の通過を可能にする。カートリッジシェル91(ならびにオプションの隔離層および/またはフィルター)は、かかる目的に有用であるとして既に本明細書において記載されているような材料から形成することができる。カートリッジ90は金属ワイヤーコイルの形態で抵抗加熱要素50をさらに備える。抵抗加熱要素は、抵抗加熱要素を介する電流の流れの促進のために、および適切な配線(図示されない)の装着のために、その反対の端部で端子51(例えば正端子および負端子)を含んで、カートリッジ90が制御体80へ接続される場合に電池40と抵抗加熱要素の電気的接続を形成する。特に、プラグ65はカートリッジの先端装着端部14に配置される。カートリッジ90が制御体80へ接続される場合、電流が電池40からレセプタクルおよびプラグを介して抵抗加熱要素50へ制御可能に流れるように、プラグ65は、レセプタクル60と係合して電気的接続を形成する。カートリッジのこの端部がそれから突き出るプラグにより実質的に閉鎖されるように、カートリッジシェル91は先端装着端部を横切って続くことができる。図4中で図示されるように、プラグ65は、レセプタクル60における開口中央通路とアライメントする開口中央通路を含んで、空気が制御体80からカートリッジ90へと流れることを可能にする。
【0113】
一般的に、使用に際して、消費者がカートリッジの吸い口端部11で吸引する場合、流れセンサー30は流れにおける変化を検出し、制御要素20を活性化して、抵抗加熱要素50を介する電流の流れを促進する。したがって、流れセンサー30が空気の流れをほとんど瞬間的に検出するように、空気の流れが制御体80を介して移動することは有用である。流れセンサー30が制御体80内に配置される場合、制御体上に空気取り入れ口17を有することは有用であろう。必要な場合は、密封された流れ経路は、カートリッジおよび制御体が係合された後、制御体80内の流れセンサー30がカートリッジ内部と流体接続されるように提供することができ、制御体へ装着された場合、かかる流体接続は制御体内の要素の残りに対して密封されるが、カートリッジ90へと開口する。さらに、他の実施形態において、流れセンサー30は制御体80の代わりにカートリッジ90内に位置することができる。
【0114】
図4中で示される実施形態において、本発明に記載の使用のための貯蔵部は、エアロゾル前駆体組成物の1以上の要素を保存および放出するように機能する任意の要素であってよい。一部の実施形態において、図1中で図示されるもののように、貯蔵部は容器(エアロゾル前駆体組成物が保存されるボトル等)であってよい。容器は、エアロゾル前駆体に関連して、材料が容器の壁を介して抜け出すことができないように実質的に非透過性であってよい。かかる実施形態において、開口は、エアロゾル前駆体組成物の通路のためにそれから提供することができる。例えば、図1中で、送達要素300(例えば芯)は貯蔵部ボトル205における開口を充填して示される。一般的には「ボトル」という用語は、壁および少なくとも1つの開口を有する任意の容器を包含することを意味する。貯蔵部ボトル中のエアロゾル前駆体組成物は、したがって芯を介する毛細管作用によってボトルから出ていく。貯蔵部ボトルからエアロゾル前駆体組成物の通路のための他のシステムも、本発明によって包含される。例えば、管または他の導管は、ボトルからのおよび管または他の導管を介するエアロゾル前駆体組成物の通路のために使用することができる。あるいは、ボトルからの液体の受動的または能動的な流れは、喫煙具が使用時である場合にエアロゾル前駆体組成物の流れを可能にするように開口し、喫煙具が使用時でない場合にエアロゾル前駆体組成物の流れを防止することができる適切なバルブ機構により制御することができる。マイクロポンプの装置を組込む能動的な流れのメカニズムは、本発明に記載の使用のために想定される。かかる容器は、エアロゾル前駆体組成物の任意の要素と実質的に反応性でない任意の好適な材料(ガラス、金属、低多孔性セラミックまたは無多孔性セラミック、プラスチックなど等)から形成することができる。
【0115】
貯蔵部システムは、互いに様々な接近度であってよい1以上の貯蔵部を備えてよい。一部の実施形態において、貯蔵部システムは、複数の別個のコンパートメントを備えた単一容器を備えてよい。2以上の異なるタイプの貯蔵部を貯蔵部システムにおいて使用することができる。一部の実施形態において、貯蔵部は開口なしに提供される容器であってよいが、容器の一部または壁のすべてが多孔性であり、したがってその壁を介してエアロゾル前駆体組成物が容器を透過することを可能にすることができる。例えば、多孔質セラミックスはかかる点に関して有用であってよい。好適な多孔性の他の材料も同様に使用することができる。かかる実施形態において、ボトルを出るエアロゾル前駆体組成物が加熱部によって気化できるように、多孔性容器の少なくとも一部は、抵抗加熱要素と接触することができる。あるいは、さらなる送達要素は、容器から加熱部へエアロゾル前駆体組成物を送達するように多孔性ボトルと接触することができる。
【0116】
特定の実施形態において、貯蔵部は、織地もしくは不織地、またはエアロゾル前駆体組成物の保持(例えば吸収、吸着または同種のものを介する)に好適であり、エアロゾル化ゾーンへの送達のために前駆体組成物の吸液を可能にする別の繊維の塊であってよい。例えば、図4は、第1の貯蔵部層201および第2の貯蔵部層202を図示し、各々はエアロゾル前駆体組成物の1以上の要素を保持する。各々の事例において、貯蔵部層は、本質的に、カートリッジシェル91の内側表面の一部を裏打ちする管の形態へと巻かれた繊維の不織層である。かかる貯蔵部層は天然繊維、合成繊維またはその組み合わせから形成することができる。有用な材料の非限定例には、コットン、セルロース、ポリエステル、ポリアミド、ポリ乳酸、その組み合わせなどが含まれる。同様に、貯蔵部層は、セラミック、またはそれと組み合わせた液体組成物を保持する(すなわち少なくとも部分的に飽和させることができる)他の多孔質材料から形成することができる。本発明に記載の喫煙具中の貯蔵部システムは、1つの貯蔵部または複数の貯蔵部(例えば2つの貯蔵部、3つの貯蔵部、4つの貯蔵部、またはそれ以上)を備えてよい。
【0117】
本発明に記載の使用のための送達要素は、喫煙具において貯蔵部からエアロゾル化ゾーン(加熱部がエアロゾル前駆体組成物をエアロゾル化し、したがってエアロゾルを生成するところ)へエアロゾル前駆体組成物の1以上の要素を送達するように機能する任意の要素であってよい。送達要素は特に液体の送達において毛細管作用を利用する芯であってよい。本発明に記載の使用のための芯は、したがってエアロゾル化ゾーンにエアロゾル前駆体組成物の1以上の要素を送達するのに十分な吸液作用を提供する任意の材料であってよい。非限定例には、天然繊維および合成繊維(コットン、セルロース、ポリエステル、ポリアミド、ポリ乳酸、ガラス繊維、その組み合わせなど)が含まれる。芯において使用することができる他の例示的な材料には、金属、セラミック、および炭化材料(例えばか焼を行って材料の非炭素要素を取り去った炭質材料から形成される発泡体またはモノリス)が含まれる。芯は繊維の毛細管作用を改変する材料によりさらにコーティングすることができ、芯の形成に使用される繊維は特異的な横断面形状を有することができ、繊維の毛細管作用を改変するように溝付けすることができる。例えば、温度適応性のあるポリマーを使用することができる。かかる適応性のあるポリマーは繊維上にコーティングされるかまたは他の態様で使用することができ、これらのポリマーは、周囲の条件に基づいて、改変された液体送達特徴の提供に効果的である。温度適応性のあるポリマーは、特に低下した温度で低い送達を示し、上昇した温度で増加した送達を示し得る。1つの例はHeiQ(登録商標)によるAdaptiveとして公知の材料である。芯の形成に使用される繊維は、単独で、束ねて、織地(メッシュおよび組みひもを含む)として、または不織地として提供することができる。芯材料の多孔性は、芯の毛細管作用を改変する(平均の孔サイズおよび全体の多孔性の制御を含む)ように制御することもできる。別個の芯は異なる長さを有することもできる。「芯」という用語は毛細管も包含するように意図され、所望される毛細管作用を提供する要素の任意の組み合わせを使用することができる。
【0118】
芯の使用は公知であるが、エアロゾル前駆体組成物がエアロゾル化のための加熱部に吸液される場合に生成されるエアロゾルの質を低下させ得る欠点は、当該技術分野では従来は認識されていない。例えば、エアロゾル前駆体組成物の別個の成分は、各々、特異的な材料から形成された単一芯に沿って、異なる速度で送達することができる。したがって、1つの要素は、エアロゾル前駆体組成物の他の要素よりも速くまたは遅く加熱部へ吸液され得るので、加熱部での要素の比は、もとのエアロゾル前駆体組成物中の要素の比とは異なり得る。同様に、エアロゾル前駆体組成物の別個の成分は異なるエアロゾル化特徴(例えばエアロゾル化の速度またはエアロゾル化が起こる温度)を示し得る。エアロゾル前駆体組成物が、抵抗加熱部要素で実質的に一様な温度(または熱エネルギーインプット)へ曝露される場合、エアロゾル前駆体組成物の別個の成分は、物品での各々の吸煙において一様なエアロゾル組成物が達成されないように、異なってエアロゾル化し得る。例えば、物品での初期の吸煙は、最低の気化温度を有するエアロゾル前駆体組成物の要素を意図せずに濃縮し得る。したがって、一様な吸煙化学を達成するように制御された速度でエアロゾル前駆体組成物の様々な化学成分を送達および加熱することができる送達/加熱システム(本開示に従って提供されるもの等)を有することが所望される。
【0119】
本明細書において記載される喫煙具は、エアロゾル前駆体組成物の要素の送達および加熱の速度の制御によって、所望される組成物のエアロゾルの生成を提供する。かかる喫煙具は、一般的には、少なくとも1つの抵抗加熱要素または他の加熱部から形成され得る加熱部システムを含む、エアロゾル化ゾーンを備えてよい。エアロゾル化ゾーンは、エアロゾル前駆体組成物が加熱部と接触するか、または加熱部によって生じた熱がエアロゾル形成のためにエアロゾル前駆体組成物を気化させるように加熱部に十分に接近する領域として定義することができる。エアロゾル化ゾーンは、1以上の送達要素によって送達された液体要素が気化しエアロゾルを生成するために1以上の加熱部によって加熱されるように、1以上の送達要素が1以上の加熱部と共に空間的に配置される領域であってよい。
【0120】
本発明に記載の喫煙具は、一般的には少なくとも1つの加熱部と電気的に接続された電力源も含む。前述のように、様々な制御要素も備えてよい。
【0121】
なおさらに、喫煙具は、様々な要素を備えてよいエアロゾル前駆体組成物を前述のように含む。典型的には、エアロゾル前駆体組成物は第1の要素および少なくとも第2の要素から形成される。したがって、エアロゾル前駆体組成物は複数の要素から形成することができる。エアロゾル前駆体組成物はエアロゾル化ゾーンと流体連通するように喫煙具において提供され、その結果、エアロゾル前駆体組成物は、保存要素(すなわち1以上の貯蔵部)からエアロゾル化ゾーンへ送達される。かかる送達は、特に毛細管作用を介して、より詳細には芯または類似の要素に沿って起こるものであってよい。エアロゾル前駆体組成物の少なくとも2つの別個の成分は、好ましくはエアロゾル化ゾーンへ分離して送達される。かかる別個の送達は、エアロゾル前駆体組成物のうちの少なくとも1つの他の要素が送達されない手段(例えば芯)を介して、エアロゾル前駆体組成物のうちの少なくとも1つの要素の全体の含有量が送達されることを意味することができる。別個の送達は、この点に関して、エアロゾル前駆体組成物の個々の要素または個々の要素の任意の組み合わせに適用することができる。例えば、4つの要素のエアロゾル前駆体組成物において、要素1は第1の送達要素によって送達することができ、要素2,3,4は第2の送達要素によって送達することができる。あるいは、要素1および2は第1の送達要素によって送達することができ、要素3,4は第2の送達要素によって送達することができる。同様に、要素1は第1の送達要素によって送達することができ、要素2は第2の送達要素によって送達することができ、要素3,4は第3の送達要素によって送達することができる。なおさらに、要素1は第1の送達要素によって送達することができ、要素2は第2の送達要素によって送達することができ、要素3は第3の送達要素によって送達することができ、要素4は第4の送達要素によって送達することができる。別個の送達は、他の実施形態において、エアロゾル前駆体における少なくとも1つの異なる化合物の大多数が送達されない手段を介して、エアロゾル前駆体組成物中で使用される少なくとも1つの化合物の大多数が送達されることを意味することができる。かかる実施形態において、別個の送達は、エアロゾル前駆体組成物中の個々の化合物の重量で50%を超えて、60%を超えて、70%を超えて、80%を超えて、90%を超えて、または95%を超えて、個々の送達要素によって送達されることと定義することができる。具体的な実施形態において、別個の送達は、エアロゾル前駆体組成物中の個々の化合物の重量で100%が、個々の送達要素によって送達されることを意味することができる。同様に、各々の異なる送達要素が化合物の異なる比を送達する限り、別個の送達は、2以上の異なる送達要素における同じ化合物の送達を包含することができる。さらに、一部の実施形態において、エアロゾル前駆体組成物を形成する各々の別個の成分は、単一化合物のみから形成することができる。同様に、別個の成分は、別個の成分の間の化合物のオーバーラップがないという点で明らかに異なり得る。
【0122】
上記に加えて、別個の送達は、全体の経路に沿って別個の送達を必要としない。例えば、エアロゾル前駆体組成物の要素1は貯蔵部1中に保存され、送達要素1によって送達することができ、エアロゾル前駆体組成物の要素2は貯蔵部2中に保存され、送達要素2によって送達することができる。エアロゾル化ゾーンに入る前(またはより詳細には、加熱部と接触する前)のある時点で、2つの別個の送達要素が組み合わせられるか、または加熱を単純化するために単一送達要素へと合併することができる。別個の成分が別個の送達要素を介して貯蔵部からエアロゾル化ゾーンへ少なくとも部分的に送達されたので、要素の送達は分離していると判断することができる。例えば、芯が使用される場合、別個の芯はエアロゾル化ゾーンにおいて束ねることができる。
【0123】
1以上の貯蔵部、1以上の送達要素、および1以上の加熱部(すべて様々なデザインを有し、様々な材料から形成される)の様々な組み合わせを使用して、本明細書に記載のようなエアロゾル前駆体組成物の要素の送達および加熱の制御された速度を達成することができる。一実施形態において、単一貯蔵部をエアロゾル前駆体組成物の保存のために使用することができ、複数の送達要素をエアロゾル前駆体組成物の要素のエアロゾル化ゾーンへの送達のために使用することができる。例えば、エアロゾル前駆体組成物の複数の別個の成分は、物理的に2以上の別個のコンパートメント中にあるように貯蔵部(例えば複数のコンパートメントを持った貯蔵部ボトル)中で分離することができ、2以上の送達要素(例えば各々のコンパートメントのための別個の送達要素)を使用して、それぞれの要素をコンパートメントからエアロゾル化ゾーンへ送達することができる。
【0124】
エアロゾル前駆体組成物の要素(または2以上の要素の群)の送達に使用される送達要素は、送達される要素の特定の特徴に順応するようにデザインすることができる。例えば、芯に関連して、エアロゾル前駆体組成物の他の要素よりも遅い速度で吸液され得る要素については、より遅く吸液される要素のための芯は、吸液速度の増加を誘発するようにデザインすることができる。本発明は、一貫して再現性のあるエアロゾルを達成するエアロゾル前駆体組成物の特異的な要素の使用に適用することができるカスタマイズ可能な送達特徴を提供するのに有用であってよい多様な芯デザイン(または異なるタイプの送達要素の組み合わせ)を包含する。
【0125】
吸液が使用される一部の実施形態において、芯横断面は所望される結果を達成するようにデザインすることができる。典型的な繊維は実質的に丸い横断面を有し、繊維横断面形状の改変により繊維の1デニールあたりの表面積を増加させることができ、したがって繊維に沿った吸液を改善する。例えば、繊維は、吸液を促進するように意図される長手方向の溝(4DG繊維(Fiber Innovation Technologyから利用可能)等)および翼(Alasso Industriesから利用可能)を備えて形成することができる。「X」または「Y」の形状の横断面を備えて形成された繊維も、制御された吸液を提供することができる。
【0126】
繊維の吸液特性は、形成された繊維の物理的な変更によって改変することもできる。例えば、繊維は、繊維の全体的な曝露表面積を増加させるようにその長さに沿って刻み目を付けるかまたは部分的に切断することができる。かかる刻み目または切断は、繊維の軸と比較して0°を超え180°未満である任意の角度で作製することができる。
【0127】
他の実施形態において、少なくとも芯において利用された繊維の一部は、半径方向の吸液を促進するようにデザインすることができる。連続的なフィラメント繊維(繊維ガラス等)は、主としてフィラメントの軸に沿った吸液(すなわち、軸方向の吸液)を促進する傾向がある。フィラメントは、適切なデザインを介して、半径方向吸液(すなわち、フィラメントの軸から外向き)の促進も引き起こすことができる。例えば、半径方向吸液は、ランダム配向性繊維または繊維表面の小繊維化を備えた芯構築を介して、促進することができる。かかるデザインは、加熱部の特異的な領域におけるエアロゾル化のためにより多くの前駆体組成物を利用可能にできるので、加熱部に接近してまたはそれと接触したフィラメントの領域において特に有用であってよい。類似の効果は、連続的な芯構造を提供するための焼結または別の方法で相互に接続できる粒子またはビーズの使用等を介して達成することができる。
【0128】
さらに、芯材料の繊維を処理またはコーティングして、繊維の吸液作用を増加(または必要な場合はは減少)させることができる。さらに、繊維材料選択を利用して、吸液作用を増加または減少させて、したがってエアロゾル前駆体組成物の特異的な要素の吸液速度を制御することができる。吸液は、芯中で使用される繊維の寸法ならびに芯長および芯直径を含む芯の全体寸法の選択を介してもカスタマイズすることができる。
【0129】
個々の芯の形成に使用される材料は、特異的なタイプの化合物を送達するようにもカスタマイズすることができる。例えば、1以上の芯は疎水性液体を優先的に吸液するように疎水性材料から形成することができる。さらに、1以上の芯は親水性液体を優先的に吸液するように親水性材料から形成することができる。さらに、1以上の芯は、大きく極性でも大きく非極性でもない液体を優先的に吸液するように、親水性でもなく疎水性でもない材料(天然材料等)から形成することができる。
【0130】
一部の実施形態において、加熱部が本質的に芯の一部を取り囲むように、芯は加熱部と相互作用することができる。例えば、図1の実施形態中で参照されるように、加熱部は芯の周囲でコイルさせたワイヤーである。他の実施形態において、少なくとも加熱部の一部は芯内に存在することができる。例えば、組みひも状の繊維スリーブを、スリーブの内部に配置された抵抗加熱要素ワイヤーコイルと共に、芯として使用することができる。同様に、加熱部ワイヤーは、多孔性吸液構造内に埋め込むことができるか、または織地もしくは不織布地内に備えてよい。
【0131】
したがって、芯(または他の送達要素)を要素または要素の群へ一致させて、選択された送達要素による個々の要素の送達速度を示すデータに基づいた所望される送達速度を達成することができる。このように、形成されたエアロゾルの組成物が、適切な送達要素の選択を介して、所望に応じて、エアロゾル前駆体組成物のもとの組成物とより密接におよび一貫して一致するように、エアロゾル前駆体の個々の要素は実質的に類似の速度でエアロゾル化ゾーンへ送達することができる。エアロゾル前駆体組成物中で使用される要素に依存して、送達要素デザインは、一般的な貯蔵部から特異的な要素を優先的に取り出すように選択することができる。したがって、エアロゾル前駆体組成物を含有する単一貯蔵部は異なるデザインの2以上の送達要素を利用することができ、その結果、エアロゾル前駆体組成物の1以上の要素は1つの送達要素沿って優先的に送達され、エアロゾル前駆体組成物の1以上の別個の成分は1以上の異なる送達要素に沿って優先的に送達される。
【0132】
特定の実施形態において、エアロゾル前駆体組成物の別個の成分の送達の制御は、複数の貯蔵部の利用を介して特に促進することができ、各々の貯蔵部は別個の送達要素を利用して、エアロゾル化ゾーンへエアロゾル前駆体組成物の要素を送達する。1つのかかる例は図4中で示される。その中で参照されるように、カートリッジ90は、この実施形態において、第1の貯蔵部層201および第2の貯蔵部層202(それらはカートリッジシェル91の内部を包囲する管の形状へと形成された不織布の繊維の各々の層である)を含む。第1の貯蔵部層201はエアロゾル前駆体組成物のうちの少なくとも1つの要素を含み、第2の貯蔵部層202はエアロゾル前駆体組成物のうちの少なくとも1つの別個の成分を含む。液体要素は例えば貯蔵部層によって吸着して保持することができる。一実施形態において、第1の貯蔵部層201はポリオール(グリセロール等)およびさらなる要素(ニコチン等)を含むことができ、第2の貯蔵部202は異なるポリオール(プロピレングリコール等)を備えてよい。第1の貯蔵部層201は第1の送達要素301(この実施形態において芯)と流体接続し、第2の貯蔵部層202は第2の送達要素302(この実施形態において芯)と流体接続される。第1の芯301および第2の芯302は、それぞれの貯蔵部層中で保存されたエアロゾル前駆体組成物の要素を、毛細管作用を介してカートリッジ90のエアロゾル化ゾーン400へ分離して送達する。図示されるように、第1の芯301および第2の芯302はエアロゾル化ゾーン400中で本質的に合併されて、この実施形態において金属ワイヤーコイルの形態である抵抗加熱要素50と直接的に接触する単一芯を形成する。本明細書に前述したように、芯は同じデザインであってよいか、または各々の芯は異なるデザインもしくは構築を有することができる(すなわち、異なる横断面形状;異なるタイプの繊維;異なるタイプの材料;異なる表面処理もしくはその欠如(繊維のコーティングまたは刻み目等)を有する;織りまたは不織である;より多いかもしくはより少ない繊維を含む;異なる寸法の繊維を含む;または異なる全体寸法を有する)。したがって、別個の芯の使用は、特異的な要素の吸液速度を変動させるか、またはエアロゾル化ゾーンへ吸液される全体的量の特異的な要素を変動させる等のエアロゾル前駆体組成物の別個の成分の吸液のカスタム化を可能にする。
【0133】
使用に際して、使用者が物品10を吸引する場合、抵抗加熱要素50は活性化され(例えば吸煙センサーを介して等)、エアロゾル前駆体組成物のための要素はエアロゾル化ゾーン400中で気化される。物品10の吸い口端部11で吸引すると、周囲空気は空気取り入れ口17を入り、レセプタクル60中の中央開口およびプラグ65中の中央開口を介して通過する。カートリッジ90において、吸引された空気は空気通路管220中の空気通路230を介して通過し、エアロゾル化ゾーン400中で形成された蒸気と組み合わされてエアロゾルを生成する。エアロゾルはエアロゾル化ゾーンから素早く運ばれ、空気通路管250中の空気通路260を介して通過し、物品10の吸い口端部11中の吸い口開口18から出る。エアロゾル化ゾーン中でのエアロゾル前駆体組成物の気化後に、さらなる量のエアロゾル前駆体組成物の別個の成分は、毛細管作用を介してエアロゾル化ゾーンへ芯に沿って送達されて、エアロゾル化ゾーン中の芯を少なくとも部分的に飽和させ、従って使用者が物品でさらなる吸引を行なう場合追加のエアロゾルを生成することができる。当然、かかる例示的な実施形態は本開示の範囲を限定するものとして見なされるべきでなく、他のコンフォメーションまたは要素を利用して、物品から使用者の吸い口へ吸引される改善されたエアロゾルを生成する同じ機能を達成することができる。
【0134】
図4は2つの別個の貯蔵部および2つの別個の送達要素の使用を図示するが、本発明はそれに限定されない。むしろ、使用される貯蔵部および送達要素の数は、エアロゾル前駆体組成物中で使用される要素の数および個々の要素を分離して送達して定義されたエアロゾル組成物を達成する必要性に依存して変動し得る。したがって、単一貯蔵部は、単一貯蔵部中で保存されたエアロゾル前駆体の2以上の要素が貯蔵部からエアロゾル化ゾーンへ分離して送達されるように、複数の送達要素と共に使用することができる。同様に、複数の貯蔵部は、別個の貯蔵部中で保存された複数の別個の成分が貯蔵部からエアロゾル化ゾーンへ分離して送達されるように、複数の送達要素と組み合わせることができる。これには、2、3、4、5またはそれ以上の送達要素と組み合わせて、1、2、3、4、5またはそれ以上の貯蔵部が含まれ得る。
【0135】
エアロゾル前駆体組成物の別個の成分を送達するために別個の送達要素を利用することは、エアロゾル化ゾーンへの個々の要素の送達速度の正規化に有用であってよい。例えば、吸液の事例において、1つの要素がさらなる要素よりも遅く吸液されることが分かれば、より遅く吸液される要素を別個の貯蔵部中で保存し、要素の吸液速度を増加させるようにデザインされた芯を使用してエアロゾル化ゾーンへ送達することができる。このように、個々の要素の吸液速度は、エアロゾル前駆体組成物の要素のそれぞれの芯に沿った吸液速度が各々約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、または約5%以下で異なるように正規化することができる。異なるタイプの送達要素の組み合わせも使用して、エアロゾル前駆体組成物の様々な要素の送達速度をカスタマイズすることができる。
【0136】
複数の貯蔵部および送達要素の使用に加えて、本開示に記載の喫煙具は複数の抵抗加熱要素も利用することができる。例えば、図5は、2つの抵抗加熱要素(55、56)を使用してエアロゾル前駆体組成物の2つ以上のコンポーネントを分離して加熱することによってエアロゾルを生成する以外は、図4のカートリッジに実質的に同一のカートリッジ90の横断面を示す。より詳細には、喫煙具10のこの実施形態の図示中で目視可能なものは、シェル15、エアロゾル通路260を画定するエアロゾル通路管250、およびエアロゾル通路管とシェルとの間に配置された貯蔵部層202である。エアロゾル通路を介して目視可能なものは、第1の貯蔵部層(目視可能でない)と流体連通する第1の送達要素301、および第2の貯蔵部層202と流体連通する第2の送達要素302である。第1の送達要素301はエアロゾル化ゾーン400中の第1の抵抗加熱要素55と接触し、第2の送達要素302もエアロゾル化ゾーン中の第2の抵抗加熱要素56と接触する。第1の送達要素はエアロゾル前駆体組成物の第1の要素を第1の貯蔵部層から第1の抵抗加熱要素へ送達し、第2の送達要素はエアロゾル前駆体組成物の第2の要素を第2の貯蔵部層から第2の抵抗加熱要素へ送達する。この手法において、別個の加熱要素へ送達された別個の成分を異なる温度へ加熱して、使用者による吸引のためにより一貫したエアロゾルを提供することができる。さらに、複数の加熱部の使用は、より小さな個々の加熱部の使用を可能にすることができ、個々の加熱部によって加熱されているより小さな送達要素の使用を可能にすることができ、エアロゾルを生成するために各々の加熱部によって要求される電気エネルギーの量を減少させることができる。個々の加熱部の使用は、同様に各々の加熱部へカスタマイズされたエネルギーの流れを可能にすることができ、その結果、その特異的な加熱部へ送達されるエアロゾル前駆体組成物の特異的な要素の気化に要求される電気エネルギーの量のみが、送達される。別個の加熱部のエアロゾル化温度は実質的に同じであってよいかまたは異なり得る。一部の実施形態において、別個の加熱部のエアロゾル化温度は、2℃以上、5℃以上、10℃以上、20℃以上、30℃以上、または50℃以上で異なり得る。3つ以上加熱部が使用される場合、すべてより少ない加熱部は実質的に同じエアロゾル化温度を利用することができる。例えば、3つの加熱部が使用される場合、加熱部1,2の温度は実質的に同じであり得、加熱部3の温度は異なり得る。
【0137】
先に指摘されたように、本開示に記載の喫煙具は1つのみまたは2つのみの加熱要素の使用に限定されていない。むしろ、喫煙具は、エアロゾル前駆体組成物を形成する個々の要素の数までの加熱要素の任意の数を備えてよい。
【0138】
上記に加えて、制御体およびカートリッジは全長に関連して特徴づけることができる。例えば、制御体の長さは約50mm~約110mm、約60mm~約100mm、または約65mm~約95mmである。カートリッジの長さは約20mm~約60mm、約25mm~約55mm、または約30mm~約50mmである。組み合わせたカートリッジおよび制御体の全長(または単一の一体型シェルから形成された本発明に記載の喫煙具の全長)は、およそ典型的な紙巻きタバコの長さ以下であってよい(例えば、約70mm~約130mm、約80mm~約125mm、または約90mm~約120mm)。
【0139】
一般的には完全な喫煙具または医薬品送達物品としてカートリッジおよび制御体をともに提供することができるが、要素は分離して提供することもできる。例えば、本発明は、再使用可能な喫煙具または再使用可能な医薬品送達物品の使用のための使い捨てのユニットも包含する。
【0140】
具体的な実施形態において、本発明に記載の使い捨てのユニットまたはカートリッジは、添付の図に関連する上述のようなカートリッジに実質的に同一であってよい。したがって、使い捨てのカートリッジは、再使用可能な喫煙具または医薬品送達物品を係合するように構成された先端装着端部ならびに形成された蒸気および消費者が吸入可能な任意のさらなる材料の通路を可能にするように構成された反対の吸い口端部を有する実質的に管状形状のカートリッジシェル備えてよい。カートリッジシェルは、追加のカートリッジ要素を含む内部のカートリッジ空間を画定することができる。特に、内部のカートリッジ空間は、エアロゾル前駆体組成物の複数の要素を保存するための1以上の貯蔵部、エアロゾル前駆体組成物を気化させるためのエアロゾル化ゾーン内に配置された1以上の加熱部、および貯蔵部から加熱部へエアロゾル前駆体組成物の要素を送達する複数の送達要素を含むことができ、それは互いと流体連通すると記載することができる。カートリッジシェルの内側表面は隔離層をその上に含むことができ、カートリッジの残りの要素は隔離層に対して内部の内部カートリッジ空間内に配置することができる。任意で、1以上の貯蔵部は、隔離層に加えて貯蔵部として機能することができる多孔質材料の1以上の層として提供することができる。カートリッジは、加熱部を介する電流の流れを促進するために、さらなるハードウェア(例えば電気配線、電気端子、電気接触など)を備えてよい。かかるさらなるハードウェアを使用して、外部の電気的接続(すなわち使い捨てのカートリッジが再使用可能な制御体へ係合される場合に電源への電気的接続を形成するための手段)を提供することができる。例えば、使い捨てのカートリッジは、制御体におけるレセプタクルに係合することができる、カートリッジの先端装着端部から突出する電気用プラグを備えてよい。使い捨てのカートリッジは装着手段(ネジ山、ビーズまたは同種のもの等)も含んで、制御体との機械的接続を促進することができる。
【0141】
使い捨てのユニットに加えて、本発明は、再使用可能な喫煙具または再使用可能な医薬品送達物品における使用のための別個の制御体の提供としてさらに特徴づけることができる。具体的な実施形態において、制御体は、一般的には分離して提供されたカートリッジの装着端部を受け入れるための基端装着端部(それは1以上の隙間をその中に備えてよい)を有するシェルから形成することができる。制御体は、分離して提供されたカートリッジとの電気的接続を促進する要素を含む、制御体の1以上の追加の要素と電気的接続できる電源(すなわち電力源)をさらに備えてよい。制御体は、さらなる要素(加熱部材への電流流れを作動させるための要素、ならびに所望される温度が達成されたかもしくは加熱部材が所望される時間長で加熱されている場合に所望される時間で所望される温度を維持するようにおよび/または電流の流れをサイクルするかもしくは電流の流れを停止するようにかかる電流の流れを調節するための要素を含む)も備えてよい。したがって、制御体は流れセンサーおよびさらなる制御要素を備えてよい。制御体は、電流の流れの作動のために要素のうちの一方または両方と結び付けられた1以上の押しボタンをさらに備えてよい。制御装置は、指示器(加熱部の加熱を知らせるおよび/または制御装置により使用されるカートリッジのための残りの吸煙の数を知らせるライト等)をさらに備えてよい。制御体は、カートリッジとの機械的接続を促進する装着手段(ネジ山、ビーズまたは同種のもの等)も備えてよい。
【0142】
本明細書において記載される様々な図は動作関係における制御体およびカートリッジを図示するが、制御体およびカートリッジが個々の装置として存在できることが理解される。したがって、組み合わせの要素に関連して本明細書において別の方法で提供された任意の考察も、個々の別個の成分としての制御体およびカートリッジへ適用されるものとして理解すべきである。
【0143】
別の態様において、本発明は、本明細書において記載されるような様々な要素を提供するキットに関することができる。例えば、キットは1以上のカートリッジを備えた制御体を備えてよい。キットは1以上の充電要素を備えた制御体をさらに備えてよい。キットは1以上の電池を備えた制御体をさらに備えてよい。キットは、1以上のカートリッジならびに1以上の充電要素および/または1以上の電池を備えた制御体をさらに備えてよい。さらなる実施形態において、キットは複数のカートリッジを備えてよい。キットは複数のカートリッジならびに1以上の電池および/または1以上の充電要素をさらに備えてよい。本発明のキットは、さらなるキット要素のの1以上を格納するケース(または他のパッケージング要素、運搬要素、または保存要素)をさらに備えてよい。ケースは再使用可能な固い容器または柔らかい容器であってよい。さらに、ケースは単純に箱または他のパッケージング構造であってよい。
【0144】
前述の記述および添付図面中で提示された教示の利益を受ける、本発明が属する技術分野の当業者であれば、多くの変更および本発明の他の実施形態を想到しうるであろう。したがって、本発明は本明細書において開示される特定の実施形態に限定されないこと、ならびに変更および他の実施形態は添付の請求項の範囲内に含まれることが意図されることを理解すべきである。特定の用語が本明細書において用いられるが、それらは一般的および記述的な意味でのみ使用され、限定するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-10-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を備える吸い口端部と、
喫煙具の少なくとも一部を通る空気通路と、
少なくとも1つのエアロゾル形成材料および1以上の吸入可能な物質を備えるエアロゾル前駆体組成物のための保存部であって、少なくとも2つの分離した貯蔵部を備える保存部と、
吸い口端部の開口を通して送達されるためのエアロゾルを形成すべく空気通路における空気へ追加するためのエアロゾル前駆体組成物を電気エネルギーを用いて気化する少なくとも1つの気化要素と、
少なくとも1つのエアロゾル形成材料および1以上の吸入可能な物質の気化を別々に制御し形成されるエアロゾルの全体的な化学組成物を制御するように構成された制御要素と、
とを備えた、喫煙具。
【請求項2】
少なくとも1つの気化要素は、加熱要素を備える、請求項1に記載の喫煙具。
【請求項3】
加熱要素は、抵抗加熱要素である、請求項2に記載の喫煙具。
【請求項4】
少なくとも1つのエアロゾル形成材料は、1以上のポリオールを備える、請求項1に記載の喫煙具。
【請求項5】
エアロゾル前駆体組成物は、1以上の有機酸を備える、請求項1に記載の喫煙具。
【請求項6】
1以上の吸入可能な物質は、ニコチンである、請求項1に記載の喫煙具。
【請求項7】
1以上の吸入可能な物質は、風味物である、請求項1に記載の喫煙具。
【請求項8】
1以上の吸入可能な物質は、タバコ要素またはタバコ由来材料である、請求項1に記載の喫煙具。
【請求項9】
喫煙具は、使用者による1以上のコマンドのインプットのために構成されている、請求項1に記載の喫煙具。
【請求項10】
1以上のコマンドは、喫煙具からの多様な応答を誘発するのに効果的である、請求項9に記載の喫煙具。
【請求項11】
喫煙具は、1以上のコマンドのインプットのために構成された容量センサーを備える、請求項9に記載の喫煙具。
【請求項12】
容量センサーは、容量タッチセンサー、容量モーションセンサーおよび容量液体センサーのうちの1以上を含む、請求項11に記載の喫煙具。
【請求項13】
喫煙具は、1以上のコマンドのインプットのために構成された加速度計を備える、請求項9に記載の喫煙具。
【請求項14】
制御要素は、1以上の吸入可能な物質が所望の用量で放出されるように気化を別々に制御するように構成されている、請求項1に記載の喫煙具。
【請求項15】
制御要素は、所望の用量で1以上の吸入可能な物質の放出をもたらすために、指定された持続時間にわたって少なくとも1つの気化要素にエネルギーを供給するように構成されている、請求項14に記載の喫煙具。
【請求項16】
少なくとも1つの気化要素は、加熱部であり、制御要素は、所望の用量で1以上の吸入可能な物質の放出をもたらすために、加熱部を特定温度まで通電するように構成されている、請求項14に記載の喫煙具。
【請求項17】
制御要素は、所望の用量で1以上の吸入可能な物質の放出をもたらすためにエアロゾル前駆体組成物が少なくとも1つの気化要素に送達される速度を制御するように構成されている、請求項14に記載の喫煙具。
【請求項18】
制御要素は、少なくとも1つの気化要素へのエアロゾル前駆体組成物の送達の速度を制御することによって、および、少なくとも1つの気化要素の動作を制御することによって、所望の組成のエアロゾルの生成をもたらすのに効果的であるように構成されている、請求項14に記載の喫煙具。
【請求項19】
少なくとも1つの気化要素は、加熱部であり、制御要素は、加熱部が約5~約50ジュール毎秒の加熱を提供するよう加熱部への電流の流れを制御するように構成されている、請求項1に記載の喫煙具。