(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162448
(43)【公開日】2023-11-08
(54)【発明の名称】通信装置
(51)【国際特許分類】
H04W 74/08 20090101AFI20231031BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20231031BHJP
H04W 16/14 20090101ALI20231031BHJP
【FI】
H04W74/08
H04W84/12
H04W16/14
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023146777
(22)【出願日】2023-09-11
(62)【分割の表示】P 2022088826の分割
【原出願日】2017-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2016216622
(32)【優先日】2016-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017039514
(32)【優先日】2017-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チトラカール ロジャン
(72)【発明者】
【氏名】ホァン レイ
(72)【発明者】
【氏名】浦部 嘉夫
(57)【要約】
【課題】アップリンクマルチユーザ送信の効率を改善すること。
【解決手段】本開示の一態様に係る通信装置は、トリガベースPHYプロトコルデータユニットのリソースを割り当てるトリガフレームを含むPHYプロトコルデータユニットをアクセスポイントから受信した後に、動作チャネルにおいてエネルギー検出を行い、前記エネルギー検出に基づいて、前記動作チャネルにおけるプライマリチャネルと第1セカンダリチャネルを含む1つ以上の20MHzサブチャネルの各々のビジーまたはアイドル状態を示すビットマップ情報を設定する、回路と、前記ビットマップ情報が前記第1セカンダリチャネルはアイドルであることを示すとき、前記プライマリチャネルがビジーまたはアイドルであるかに関わらず、前記トリガフレームに応答して、前記第1セカンダリチャネルにて前記アクセスポイントへ前記トリガベースPHYプロトコルデータユニットを送信する、アンテナと、を備える。
【選択図】
図7A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリガベースPHYプロトコルデータユニットのリソースを割り当てるトリガフレームを含むPHYプロトコルデータユニットをアクセスポイントから受信した後に、動作チャネルにおいてエネルギー検出を行い、
前記エネルギー検出に基づいて、前記動作チャネルにおけるプライマリチャネルと第1セカンダリチャネルを含む1つ以上の20MHzサブチャネルの各々のビジーまたはアイドル状態を示すビットマップ情報を設定する、回路と、
前記ビットマップ情報が前記第1セカンダリチャネルはアイドルであることを示すとき、前記プライマリチャネルがビジーまたはアイドルであるかに関わらず、前記トリガフレームに応答して、前記第1セカンダリチャネルにて前記アクセスポイントへ前記トリガベースPHYプロトコルデータユニットを送信する、アンテナと、を備える
通信装置。
【請求項2】
前記アンテナは、前記トリガベースPHYプロトコルデータユニットを前記プライマリチャネルにて送信しない、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記トリガフレームは、前記エネルギー検出を要求することを示すキャリアセンス要求サブフィールドを含む、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記ビットマップ情報は8ビットのビットマップ情報である、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記1つ以上の20MHzサブチャネルはさらに第2セカンダリチャネルを含む、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記ビットマップ情報は前記1つ以上の20MHzサブチャネルの各々のビジーまたはアイドル状態を示し、20MHz毎に各ビットが対応したビットマップ情報である、
請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記回路は、前記トリガフレームを含む前記PHYプロトコルデータユニットを受信した後ショートインターフレームスペースの期間で前記エネルギー検出を行う、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項8】
前記回路はネットワーク割当ベクトル値を保持し、前記ネットワーク割当ベクトル値に基づいて前記トリガフレームに応答するか否かを決定する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項9】
前記回路は、前記ネットワーク割当ベクトル値を更新するためのPHYプロトコルデータユニットは前記通信装置が所属する基本サービスセット内で送信されたか否かに基づいて、前記トリガフレームに応答するか否かを決定する、
請求項8に記載の通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、1つよりも多くのワイヤレスネットワークが物理的に同じ場所に位置するときにワイヤレス媒体のより効率的な使用を可能にするために新規のマルチチャネル仮想キャリア検知を利用する通信装置および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers(電気電子学会))802.11ワーキンググループは現在、802.11axタスクグループの下で次世代WLAN(Wireless Local Area Network(ワイヤレスローカルエリアネットワーク))技術の標準化を進めている。このタスクグループの主な目標は、アクセスポイント(AP:Access Point)および/または端末局(terminal Station)(その他の文書では「非AP STA」または単にSTA)の高密度シナリオでシステムスループット/エリアを高めるためにスペクトル効率を改善することである。IEEE802.11ax仕様に基づくデバイスは、一般に高効率(HE:High Efficiency)デバイスと呼ばれる。提案されている様々な技術の中で、直交周波数分割多元接続(OFDMA:Orthogonal Frequency-Division Multiple Access)およびアップリンクマルチユーザ送信は、IEEE802.11axタスクグループがスループット改善目標を達成するために採用した2つの主要な技術である。APと、そのAPとのWLANメンバーシップのネゴシエート(関連付けプロセスとして知られる)を行った少なくとも1つのSTAとを有する802.11 WLANは、基本サービスセット(BSS:Basic Service Set)と呼ばれる。
【0003】
図1は、802.11axの2つのBSS100および145の例を示し、各BSSはそれぞれ、HE APと、そのHE APに関連付けられたいくつかのHE STAとを含む。STAのBSSのチャネルと同じチャネルで動作し、かつ部分的または全体的にSTAの無線カバレッジ内にあるBSSは、重複基本サービスセット(OBSS:Overlapping Basic Service Set)として知られている。
図1では、STA2 120がAP1 101に関連付けられていると仮定すると、BSS145はSTA2 120に関してOBSSと見なされる。
【0004】
802.11axデバイスを含む802.11デバイスの媒体アクセス制御(MAC: Medium Access Control)プロトコルは、ワイヤレス媒体を共有するために競合ベースキャリア検知多重アクセス/衝突回避(CSMA/CA:Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)プロトコルを使用する。衝突回避が、ランダムバックオフの使用を通して達成される一方で、CSMAは、物理的および仮想的なキャリア検知(CS:Carrier Sense)メカニズムの使用を含む。物理CSメカニズムは、物理層(PHY:Physical layer)によって提供され、ワイヤレス媒体の実際の検知(プリアンブル検出(PD:Preamble Detection)もしくはエネルギー検出(ED:Energy Detection)のいずれかまたはこれら両方)を含む。仮想CSメカニズムは、MAC層によって提供され、ネットワーク割当ベクトル(NAV:Network Allocation Vector)を利用する。
【0005】
NAVは、ほとんどのIEEE802.11フレームで通知される継続期間(duration)情報に基づく、媒体のその後のトラフィックの予測を保持する。この継続期間は、MACヘッダに含まれてもよく、および/またはもしあるならばPHYヘッダ内の送信機会(TXOP:Transmit Opportunity)継続期間から取得されてもよい。TXOP継続期間は、特定のSTAがワイヤレス媒体に対してフレーム交換シーケンスを開始する権利を有する期間を表す。物理CSまたは仮想CSのいずれかが、媒体がビジーであることを示したとき、デバイスは、肯定応答(Ack:Acknowledgment)フレームまたはブロック肯定応答フレームなどの特定のフレームを除いて信号を送信することを許可されない。OBSSの存在下におけるチャネルアクセスメカニズムの効率を改善するために、802.11axは、2つのNAVの使用を承認した。1つはBSS内NAVとして知られ、もう1つは基本NAVとして知られる。BSS内NAVは、適用可能な場合、BSS内として、すなわちSTAが関連付けられているBSSとして識別されるPHYプロトコルデータユニット(PPDU:PHY protocol data unit)からのNAV値を格納するために使用される。一方、基本NAVは、適用可能な場合、BSS間PPDU、すなわちOBSS PPDUからの、またはBSS内もしくはBSS間として識別することができないPPDUからの別のNAV値を格納するために使用される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】IEEE802.11-15/0132r17,Specification Framework for TGax,May 2015
【非特許文献2】IEEE Std 802.11-2012
【非特許文献3】IEEE 802.11-16/0024r1,Proposed TGax draft specification
【非特許文献4】IEEE 802.11-16/0054r1,UL MU CCA Response
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
STAの基本NAVがOBSS送信によって非ゼロ値に設定されているとき、仮想CSは、ビジーを示すため、アップリンクマルチユーザチャネル検知(UL MU CS:Uplink Multi-User Channel Sensing)規則は、割り当てられたRUを含む20MHzチャネルに対するエネルギー検出がそのチャネルがアイドルであることを示した場合でも、トリガフレームによって割り当てられたRUでSTAがHEトリガベースPPDUを送信することを禁止する。これは、STAにとっての送信機会の喪失につながり、したがって、OBSSトラフィックの存在下でのアップリンクマルチユーザ送信の効率を低下させる。
【0008】
本開示の非限定的で例示的な一実施形態は、OBSSトラフィックの存在下でのアップリンクマルチユーザ送信の効率の改善を助けることができる通信装置および通信方法を提供する。
【0009】
一般的な一態様では、本明細書で開示される技術は、通信装置であって、継続期間フィールドを含むPHY層データユニットを動作中に受信する受信部であって、継続期間フィールドが、通信装置が高効率(HE)トリガベース(TB)PHY層データユニットの送信を禁止される継続期間を示す継続期間情報を含む受信部と、動作帯域幅内の各サブチャネルに関してビジーまたはアイドルの帯域幅情報を示すPHY-CCA(クリアチャネル評価)プリミティブパラメータを動作中に発行する物理(PHY)層回路と、媒体アクセス制御(MAC)回路であって、継続期間情報に基づいて、示された継続期間が現在のネットワーク割当ベクトル(NAV)値よりも大きいとき、かつ通信装置が受信したPHY層データユニットのターゲット受信者ではないと判断されたときに、NAV値を動作中に更新し、また、HE TB PHY層データユニットが送信されるべきリソースユニット(RU)を含む少なくとも1つのサブチャネルのビジー/アイドル状態を帯域幅情報に基づいて動作中に判断する媒体アクセス制御(MAC)回路とを備え、MAC回路が、更新されたNAV値および少なくとも1つのサブチャネルのビジー/アイドル状態に基づいてHE TB PHY層データユニットの送信を動作中に制御する通信装置を特徴とする。
【0010】
これらの一般的なおよび特定の態様は、デバイス、システム、方法、およびコンピュータプログラムならびにデバイス、システム、方法、およびコンピュータプログラムの任意の組み合わせを使用して実施され得る。
【0011】
本開示で説明される通信装置および通信方法は、OBSSトラフィックの存在下でのアップリンクマルチユーザ送信の効率の改善を助けることができる。
【0012】
開示された実施形態のさらなる利益および利点は、明細書および図面から明らかになる。利益および/または利点は、明細書および図面の様々な実施形態および特徴によって個別に得られてもよく、これらは、そのような利益および/または利点の1つ以上を得るためにすべてが用意される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の実施形態が適用され得る重複ワイヤレスネットワークの図である。
【
図2】NAV設定手順を強調した例示的なフレーム交換シーケンスのタイミング図である。
【
図3A】802.11axで導入された2つのNAVがどのように更新されるかを明確にする、別の例示的なフレーム交換シーケンスのタイミング図である。
【
図3B】広帯域チャネルにおける20MHzチャネルの命名規則を示す図である。
【
図4】802.11axにおけるUL MU CS規則を示す、例示的なアップリンクマルチユーザ送信の図である。
【
図5】本開示で対処される技術的問題を示す図である。
【
図6】UL MU CSメカニズムに関連する様々なパラメータが
図4に示されているフレームシーケンスに関してどのように更新されるかを示す表である。
【
図7A】第1の実施形態で導入されるマルチチャネル仮想キャリア検知(CS)を示すフレーム交換シーケンスの例である。
【
図7B】第1の実施形態による、NAVのBWフィールドの符号化スキームを示す表である。
【
図8A】第1の実施形態によるマルチチャネル仮想CSに関する規則を示すフローチャートである。
【
図8B】第1の実施形態による修正されたマルチチャネル仮想CS規則に基づいて、UL MU CSメカニズムに関連する様々なパラメータがどのように更新されるかを示す表である。
【
図9】3つの重複ワイヤレスネットワークを示す図である。
【
図10A】第1の実施形態による、複数のOBSSの存在下での基本NAVの更新規則を示すフレーム交換シーケンスの例である。
【
図10B】第1の実施形態による、複数のOBSSの存在下での基本NAVの更新規則を示すフローチャートである。
【
図11A】第1の実施形態による、複数のOBSSの存在下での基本NAVの更新に関する代替規則を示すフレーム交換シーケンスの例である。
【
図11B】第1の実施形態による、複数のOBSSの存在下での基本NAVの更新に関する代替規則を示すフローチャートである。
【
図11C】第1の実施形態による、複数のOBSSの存在下での基本NAVの更新に関する代替規則を示す別のフローチャートである。
【
図12】第1の実施形態に従ってPHY-CCA.indicationプリミティブに関して提案された追加のメンバを示す表である。
【
図13A】本開示の第2の実施形態を示す例示的なUL MU送信である。
【
図13B】本開示の第2の実施形態による、チャネル状態を記録するために使用されるビットマップの図である。
【
図14】第2の実施形態で導入されるマルチチャネル仮想キャリア検知(CS)を示すフレーム交換シーケンスの例である。
【
図15】開示されているマルチチャネル仮想キャリア検知を実施する例示的なSTAの簡略ブロック図である。
【
図16】開示されているマルチチャネル仮想キャリア検知を実施する例示的なSTAの詳細ブロック図である。
【
図17】第3の実施形態によるマルチチャネル仮想キャリア検知(CS)を示すフレーム交換シーケンスの例である。
【
図18】第3の実施形態による修正されたマルチチャネル仮想CS規則に基づいて、UL MU CSメカニズムに関連する様々なパラメータがどのように更新されるかを示す表である。
【
図19】第3の実施形態によるマルチチャネルUL MU CSメカニズムに関する規則を示すフローチャートである。
【
図20】STAが、受信したPPDUからチャネル帯域幅情報をどのように取得するかを列挙した表である。
【
図21】第3の実施形態に従ってPHY-CCA.indicationプリミティブに関して提案された追加のメンバを示す表である。
【
図22】第4の実施形態による、STAによって保持されるNAVのフォーマットおよびTX_Allowedフィールドの符号化である。
【
図23】第4の実施形態によるマルチチャネル仮想キャリア検知(CS)を示すフレーム交換シーケンスの例である。
【
図24】第4の実施形態によってなされる改善をより強調するように、本開示で対処される技術的問題を示す別の図である。
【
図25】第4の実施形態による修正されたマルチチャネル仮想CS規則に基づいて、UL MU CSメカニズムに関連する様々なパラメータがどのように更新されるかを示す表である。
【
図26】第4の実施形態によるマルチチャネルUL MU CSメカニズムに関する規則を示すフローチャートである。
【
図27】第4の実施形態による、複数のOBSSの存在下での基本NAVの更新規則を示すフレーム交換シーケンスの例である。
【
図28】第4の実施形態による、複数のOBSSの存在下での基本NAVの更新規則を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、以下の図および実施形態の助けを借りることでよりよく理解することができる。本明細書で説明される実施形態は、本質的に例示に過ぎず、本開示の可能な用途および使用のいくつかを説明するために使用され、本明細書で明示的に説明されていない代替実施形態に関して本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0015】
先に説明したように、ダウンリンク方向およびアップリンク方向の両方でOFDMAを使用するマルチユーザ送信は、IEEE802.11axタスクグループがスループット改善目標を達成するために採用した主要な技術である。ダウンリンク方向では、APがすべてのマルチユーザフレームを送信するため、マルチユーザ送信はアップリンク方向に比べて比較的簡単である。ダウンリンク(DL)マルチユーザPPDUは、各個別のPHYサービスデータユニット(PSDU:PHY Service Data Unit)が搬送される狭帯域チャネル(リソースユニットまたはRUとして知られている)に関する情報を搬送するワイドチャネルPHYヘッダで構成される。アップリンク方向の送信は、ダウンリンク方向よりも複雑である。なぜなら、複数のSTAからの送信の時間同期が必要であり、また異なるSTAからの送信が互いに確実に干渉しないようにしなければならない、すなわち、各STAに一意のRUを割り当てなければならないからである。これは、IEEE802.11axでは、APによって送信されるトリガフレームと呼ばれる特殊な制御フレームによって達成される。
【0016】
トリガフレームは、UL送信に使用される、リソースユニット(RU)割り当て、アップリンク(UL:Uplink)PPDU長、MCSなどの情報を含む。さらに、トリガフレームは、UL MU送信の前にキャリア検知が要求されるかどうかをSTAに知らせる「CS要求サブフィールド」も含む。トリガフレームを受信すると、トリガフレームにおいてRUを割り当てられたSTAは、トリガフレームの最後からショートインターフレームスペース(SIFS:Short Interframe Space)の期間後にULマルチユーザ(MU:multi-user)PPDUの、それぞれのULフレームを送信することができる。トリガフレーム内の「CS要求サブフィールド」の値が1である場合、STAは、UL MU送信に参加するためにSTAが仮想CSを考慮し、RUがSTAに割り当てられているすべての20MHzチャネルに対してエネルギー検出も実行するように要求されることを述べたアップリンクマルチユーザチャネル検知(UL MU CS)手順に従うように要求される。仮想CSがアイドルであり、トリガフレームにおいて割り当てられたRUを含むすべての20MHzチャネルもアイドルであると見なされた場合にのみ、STAは、HEトリガベースPPDUを送信することを許可される。20MHzチャネルがすべてアイドルであるわけではない場合、STAは、割り当てられたRUで送信することを許可されない。
【0017】
図1を参照すると、2つの重複BSS(OBSS)が示されている。第1のBSSであるBSS1 100は、APであるAP1 101と、AP1に関連付けられた4つのSTAであるSTA1 110、STA2 120、STA3 130、およびSTA4 140とを含む。第2のBSSであるBSS2 145は、APであるAP2 102と、AP2に関連付けられた2つのSTAであるSTA5 150およびSTA6 160とを含む。また、AP1 101およびAP2 102の周りの円は、それぞれAP1およびAP2の無線カバレッジエリアを表す。
図1から分かるように、STA2 120は、AP1の無線カバレッジの縁に位置し、その上偶然AP2の無線カバレッジ内にある。したがって、STA2 120に関して、BSS2 145は、OBSSと見なされる。受信されるフレームが属するBSSの識別情報は、このフレームを搬送するHE PPDUのPHYヘッダ内のBSSカラーフィールドをチェックすることによって、またはこのフレームのMACヘッダ内の基本サービスセット識別子(BSSID:Basic Service Set Identifier)フィールドをチェックすることによってこのフレームの受信者により判断され得る。
【0018】
図2は、802.11NAV設定手順を強調した例示的なフレーム交換シーケンス200を示す。AP1 101は、データフレームをSTA1 110に送信しようとしており、送信を保護するために、AP1は、最初に送信要求(RTS:Request To Send)フレームをSTA1に送信し、これに対してSTA1は、RTSフレームの最後からショートインターフレームスペース(SIFS)の期間後に送信される送信可(CTS:Clear To Send)フレームで応答する。RTSフレーム内の継続期間フィールドは、RTSフレームの最後と、データフレームに応答して送信されるAckフレームの最後との間の期間を示す値に設定される。目的の受信者STA1を除いて、RTSフレームを受信したすべてのSTAは、それらの既存のNAV値がより小さい場合、それらのNAVをRTSフレーム内の継続期間フィールドの値に更新する。同様に、目的の受信者AP1を除いて、CTSフレームを受信したすべてのSTAは、それらの既存のNAV値がより小さい場合、それらのNAVをCTSフレーム内の継続期間フィールドの値に更新する。このようにして、AP1およびSTA1の無線カバレッジ内にあるすべてのSTAは、それらのNAVセットを有することになる。CTSフレームの受信に成功すると、AP1は、CTSフレームの最後からSIFSの期間後にデータフレームを送信し、これに対してSTA1は、Ackフレームで応答する。RTSフレーム/CTSフレームを受信したSTA2 120および他のすべてのSTAは、それらのNAVセットを有するため、この継続期間中のこれらへの送信は許可されず、この結果、AP1によるデータフレームの送信は確実に保護される。
【0019】
図3Aは、
図1の2つのBSS100および145内における例示的なフレーム交換シーケンス300を示し、802.11axで導入された2種類のNAV、すなわちBSS内NAVおよび基本NAVを更新するための手順を強調している。2種類のNAVを保持することにより、特定の条件下で周波数リソースのより効率的な空間的再利用が可能になる。この例は、2つの進行中の送信シーケンスを示している。1つ目は、AP1 101とSTA1 110との間の、BSS1 100におけるTXOP1 310であり、2つ目は、 AP2 102とSTA5 150との間の、BSS2 145における第2のTXOP2 340である。DL PPDU312を受信すると、BSSカラーフィールドもしくはBSSIDフィールドのいずれかまたはこれら両方をチェックすることによって、STA2 120は、PPDU312はBSS内PPDUであると判断し、STA2は、PPDU312の受信者ではないため、STA2は、そのBSS内NAVであるNAV1 320を、DL PPDU312の最後とTXOP1の最後との間の期間を示す値に設定する。同様に、DL PPDU342を受信すると、BSSカラーフィールドもしくはBSSIDフィールドのいずれかまたはこれら両方をチェックすることによって、STA2は、PPDU342はBSS間PPDUであると判断し、STA2は、そのBSS間NAVであるNAV2 330を、DL PPDU342の最後とTXOP2の最後との間の期間を示す値に設定する。
【0020】
図3Bを参照すると、40MHz、80MHz、または80+80MHzもしくは160MHzのチャネルで動作する802.11インフラストラクチャBSSにおける20MHzチャネルの命名規則が示されている。これは、広帯域幅チャネルがどのように形成され得るかのほんの一例であり、他の多くの同様の構成が可能である。BSSが最初にセットアップされるとき、20MHzチャネル350のうちの1つが、プライマリ20MHzチャネルとして指定される。プライマリ20MHzチャネルは、単にプライマリチャネルとも呼ばれ、非常に重要な意味を持つ。IEEE802.11の仕様は、STAがプライマリ20MHzチャネルを含まないチャネルでそれらのアップリンクPPDUを送信することを許可され得る、アップリンクOFDMAベースマルチユーザ送信の場合を除いて、インフラストラクチャBSSにおけるすべての送信がプライマリ20MHzチャネルを含むことを要求する。
【0021】
さらに、インフラストラクチャBSSにおいて、すべてのビーコンフレームは、プライマリ20MHzチャネルで送信される。プライマリ20MHzチャネル以外の20MHzチャネルは、非プライマリチャネルと呼ばれる。40MHzBSSの40MHzチャネルまたはより広いBSSのプライマリ40MHzを一緒に形成する、プライマリ20MHzチャネルに隣接する20MHzチャネル355は、セカンダリ20MHzチャネルまたは単にセカンダリチャネルと呼ばれる。80MHzBSSまたはより広いBSSにおいて、プライマリ20MHzチャネル350とセカンダリ20MHzチャネル355は、一緒にプライマリ40MHzチャネルを形成する。80MHzBSSまたはより広いBSSにおいて、80MHzBSSの80MHzチャネルまたはより広いBSSのプライマリ80MHzチャネルを一緒に形成する、プライマリ40MHzチャネルに隣接する40MHzチャネル(2つの20MHzチャネル360および365から構成される)は、セカンダリ40MHzチャネルと呼ばれる。80+80MHzBSSまたは160MHzBSSにおいて、プライマリ40MHzチャネルとセカンダリ40MHzチャネルは、一緒にプライマリ80MHzチャネルを形成する。80+80MHzBSSまたは160MHzBSSにおいて、プライマリ80MHzチャネルと一緒に80+80MHzzチャネルまたは160MHzチャネルを形成する、プライマリ20MHzチャネル350を含まない80MHzチャネル(4つの20MHzチャネル370、375、380、および385から構成される)は、セカンダリ80MHzチャネルと呼ばれる。160MHzチャネルでは、プライマリ80MHzチャネルとセカンダリ80MHzチャネルは互いに隣接するが、80+80MHzチャネルでは、プライマリ80MHzチャネルとセカンダリ80MHzチャネルは互いに隣接する必要はなく、動作周波数帯域の異なる部分に位置してもよい。
【0022】
図4を参照すると、802.11axにおけるUL MU CS手順を明確にするために、例示的なUL MU送信シーケンス400が示されている。アップリンクマルチユーザ(UL MU:Uplink Multi-User)送信は、トリガフレーム410と呼ばれる特殊な制御フレームを送信することによってAPにより開始される。トリガフレーム410は、UL送信のためにSTAによって使用される、リソースユニット(RU)割り当て、PPDU長、MCSなどの情報を含む。トリガフレーム410を受信すると、トリガフレームにおいてRUを割り当てられたSTAは、ワイヤレス媒体を競合する必要なく、トリガフレームの最後からSIFSの期間後にULマルチユーザPPDUの、それぞれのULフレームを送信することができる。
【0023】
802.11axにおけるUL MU CS手順には、UL MU送信に参加するために、1に設定されたCS要求フィールドを有するトリガフレームにおいてRUを割り当てられたSTAは、仮想CSを考慮するよう要求され、また、RUがそのSTAに割り当てられているすべての20MHzチャネルで、エネルギー検出に基づくクリアチャネル評価(EDベースCCA)を実行すると述べられている。STAは、仮想CSがアイドルであり、その上、割り当てられたRUを含むすべての20MHzチャネルがEDベースCCAによってアイドルであると見なされる場合にのみ、そのUL PPDU(HEトリガベースPPDU)の送信を許可される。20MHzチャネルがすべてアイドルであるわけではない場合、STAは、割り当てられたRUでの送信を許可されない。BSS内NAVと基本NAVとの両方のカウンタ値がゼロである場合、仮想CSはアイドルであると見なされる。この例では、
図1のBSS1 100は80MHzチャネルで動作しており、CH1、CH2、CH3、およびCH4がプライマリ20MHzチャネル、セカンダリ20MHzチャネル、ターシャリ20MHzチャネル、およびクォータナリ20MHzチャネルを示すものとする。802.11の用語では、CH1は、プライマリ20MHzチャネルまたは単にプライマリチャネルと呼ばれ、CH2は、セカンダリ20MHzチャネルまたは単にセカンダリチャネルと呼ばれ、CH3とCH4は、一緒にセカンダリ40MHzチャネルを形成する。
【0024】
STAがAP1 101からトリガフレーム410を受信した瞬間、STA1、STA2、STA3、およびSTA4の無線カバレッジエリア内にプライマリ20MHzチャネルCH1で進行中の送信はなく、4つのSTAすべてのBSS内NAVと基本NAVとの両方がゼロに設定される。しかしながら、460によって示されているように、STA2の無線カバレッジエリア内にCH3で進行中の送信がある。AP1 101は、CH1では1つの106トーン RUをそれぞれSTA1 110およびSTA4 140に割り当て、CH2では1つの242トーン RUをSTA3 130に割り当て、CH3およびCH4をカバーする484トーン RUをSTA2 120に割り当てるトリガフレーム410を送信することによってUL MU送信シーケンスを開始する。EDベースCCAと仮想CSとの両方がアイドルを返すため、STA1、STA3、およびSTA4は、それぞれのUL PPDU420、440、および430を送信する。しかしながら、STA2の場合、仮想CSはアイドルを返すが、EDベースCCAは、CH3でビジーを返す。STA2に割り当てられたRUを含む20MHzチャネルがすべてアイドルであるわけではないため、UL MU CS規則に従って、STA2はそのUL PPDU450の送信を禁止される。
【0025】
図5は、わずかに異なるチャネル状態における例示的なUL MU送信シーケンス400を示す。STAがAP1 101からトリガフレーム410を受信した瞬間、STA1、STA3、およびSTA4の無線カバレッジエリア内にプライマリ20MHzチャネルで進行中の送信はなく、STAのBSS内NAVと基本NAVとの両方がゼロに設定される。しかしながら、送信シーケンス500によって示されているように、BSS2 145ではSTA2の無線カバレッジエリア内にプライマリチャネルCH1およびセカンダリチャネルCH2で進行中のOBSS送信がある。AP2 102は、BSS2では、STA5 150およびSTA6 160にRUを割り当てるためのトリガフレーム510を送信することによってUL MU送信を開始する。トリガフレーム510からSIFSの後で、STA5およびSTA6は、それぞれの割り当てられたRUでそれぞれのUL PPDUを送信する。トリガフレーム510を搬送するDL PPDUを受信すると、STA2は、それがOBSS PPDUであると判断し、その基本NAVを非ゼロ値に設定する。
【0026】
図6の表600は、
図5に示したUL MU送信シーケンス中のSTA2に関して、UL MU CSメカニズムに関連する様々なパラメータを列挙している。プライマリチャネルCH1での送信はOBSSに属するため、STA2の基本NAVは非ゼロ値に設定され、BSS内NAVがゼロであっても、仮想CSはビジーを示す。同様に、EDベースCCAは、CH1とCH2でビジーを返し、CH3とCH4でアイドルを返す。UL MU CS規則によれば、STA2のためにRUを含む両方のチャネル(CH3およびCH4)で進行中の送信がなくても、仮想CSはビジーを示すため、UL MU CSは、4つの20MHzのすべてで媒体はビジーであると見なし、その結果、STA2のUL PPDU450の送信は許可されない。これは、基本NAVが過剰な保護になっている場合であると見なすことができる。すなわち、STA2が、CH3およびCH4でそのUL PPDU450を送信することを許可されたとしても、その送信は、OBSS送信に対していかなる干渉も引き起こさず、より高いチャネル使用効率をもたらしたであろう。
【0027】
上に示した欠点は、NAV(ベースラインNAVまたはBSS内NAVまたは基本NAV)がもっぱらプライマリ20MHzチャネルのアクティビティに基づいており、非プライマリチャネルの状態に関する情報を考慮/提供しないという事実によって生じている。正しいPPDUの受信によってプライマリ20MHzがビジーである限り、NAVは設定され、残りのセカンダリチャネルの状態は記録されない。802.11axはOFDMAベース狭帯域送信を導入しているため、この過剰な保護を回避することができれば、チャネル再利用効率をさらに改善することができる。
【0028】
上記の知見に基づいて、本出願の発明者らは、本開示に到達した。OBSSトラフィックの存在下でアップリンクマルチユーザ送信の効率を改善する通信方法および通信装置が開示される。開示される方法によれば、周波数次元がNAVに追加され、NAVは、広帯域チャネルの一部を形成するプライマリチャネルがビジーである継続期間を記録するだけでなく、広帯域チャネルの他の非プライマリチャネルのどれがビジーであるかも記録する。このビジーチャネルの情報を参照することによって、STAは、どのチャネルがアイドルであり、ビジーチャネルに干渉を引き起こすことなく同時送信に使用され得るかを容易に推測することができる。
【0029】
本開示において提案される効率的なマルチチャネル仮想キャリア検知のための様々な実施形態は、以下の段落において詳細に説明される。
【0030】
<第1の実施形態>
先に指摘したように、現在、NAV(ベースラインNAVまたはBSS内NAVまたは基本NAV)は、もっぱらプライマリ20MHzチャネルのアクティビティに基づいており、非プライマリチャネルの状態に関する情報を考慮/提供しない。正しいPPDUの受信によってプライマリ20MHzチャネルがビジーである限り、NAVは設定され、残りの非プライマリチャネルの状態は記録されない。現在のNAVメカニズムのこの制限を克服するために、第1の実施形態は、NAVがプライマリチャネルがビジーである継続期間を記録するだけでなく、ビジーである非プライマリチャネルも記録するように周波数次元をNAVに追加する。このために、BW(bandwidth(帯域幅))と呼ばれるフィールドが、NAVを設定するPPDUまたはフレームの帯域幅情報を記録するためにNAVに追加される。NAVを設定するPPDUの帯域幅は常にプライマリ20MHzチャネルを含むため、BWフィールドは、どの非プライマリチャネルがビジーであるかを示す。このビジーチャネルの情報によって、STAは、どのチャネルがアイドルであり、ビジーチャネルに干渉を引き起こすことなく同時送信に使用され得るかを容易に推測することができる。
【0031】
図7Aを参照すると、80MHzのBSSにおけるNAVの周波数次元の概念を視覚的に示すために一連の例示的なフレーム交換シーケンスが示されている。
図7Aの上半分は、異なる帯域幅の3つの送信シーケンス、すなわち80MHzのTXOP1 712、40MHzのTXOP2 722、および20MHzのTXOP3 732を示す。各送信シーケンスは、APと、このAPと同じBSSに属する1つ以上のSTAとの間のPPDUの交換を含む。例として、送信シーケンスの最初のPPDUは、UL MU送信のためにRUを選択されたSTAに割り当てるトリガフレームであり、その後にSTAからのHEトリガベースPPDUが続き、肯定応答フレームを搬送する、APからのDL PPDUで終わってもよい。この例では、CH1、CH2、CH3、およびCH4は、それぞれプライマリ20MHzチャネル、セカンダリ20MHzチャネル、ターシャリ20MHzチャネル、およびクォータナリ20MHzチャネルを示す。
図7Aの下半分は、本開示によって提案される、第三者STAによって保持される二次元NAVを視覚的に表している。この例に関連する時点は、t0、t1、t2、t3、t4、およびt5によって示されている。
【0032】
進行中の送信の無線カバレッジ内にあり、かつこの送信の送信者でも受信者でもないSTAは、その送信に関して第三者STAと見なされる。TXOP1 712の最初のPPDU710を受信すると、第三者STAは、例えば、PPDUによって搬送されたフレームのMACヘッダ内の受信者アドレスを読み取ることによって、またはPPDU710で搬送されたトリガフレームのユーザ情報フィールドのAID12サブフィールドを読み取ることなどによって第三者STA自体がPPDU710の受信者ではないと判断する。
【0033】
STAは、既存のNAV規則に従って、STA自体がPPDU710の受信者ではないと判断したら、NAV継続期間を、時間t0から時間t1までの時間期間に設定し、これにより、STAはTXOP1 712の最後である時間t1まで送信することを禁止される。NAV継続期間を記録することに加えて、第1の実施形態によれば、STAはまた、受信したPPDU710の帯域幅である80MHzをNAVのBWフィールドとして記録する。二次元NAVは、STAが送信を禁止された時間期間および周波数範囲を表すボックス714によって表されている。時間t1において、NAV継続期間がゼロまでカウントダウンされると、BWフィールドもゼロにリセットされる。
【0034】
同様に、PPDU720を受信すると、STAは、NAV継続期間を、時間t2からTXOP2 722の最後である時間t3までの時間期間に設定し、一方、BWフィールドは、PPDU720の帯域幅である40MHzに設定される。これは、ボックス724として示されている。さらにチャネル検知規則がそれ相応に修正されれば、特定の条件下で、第三者STAは、進行中の送信722に干渉を引き起こすことなくt2からt3までのNAV継続期間内に非占有チャネルCH3およびCH4で送信することを許可され得る。この結果、非占有セカンダリチャネルのより効率的な再利用が促進される。
【0035】
時間t3において、NAV継続期間がゼロまでカウントダウンされると、BWフィールドもゼロにリセットされる。同様に、PPDU730を受信すると、STAは、NAV継続期間を、時間t4から、TXOP3 732の最後である時間t5までの時間期間に設定し、一方、BWフィールドは、PPDU730の帯域幅である20MHzに設定される。これは、ボックス734として示されている。この場合、第三者STAは、進行中の送信732に干渉を引き起こすことなく、t4からt5までのNAV継続期間内に非占有チャネルCH2、CH3、およびCH4で送信することを許可され得る。時間t5において、NAV継続期間がゼロまでカウントダウンされると、BWフィールドもゼロにリセットされる。
【0036】
図7Bは、BWフィールドの例示的な符号化の表750を示す。2ビットを使用して、BWフィールドは、802.11axによってサポートされる4つの異なる帯域幅を表すことができる。値0は、ビジープライマリ20MHzを示し、値1は、ビジープライマリ40MHzを示し、値2は、ビジープライマリ80MHzを示し、値3は、160MHzチャネル全体または80+80MHzチャネルがビジーであることを示す。750に列挙されているBW符号化によれば、
図7Aに示した例において、BWフィールドは、NAV設定714に関しては2に設定され、NAV設定724に関しては1に設定され、NAV設定734に関しては0に設定される。
【0037】
NAVに周波数次元を追加するという概念は、
図3Aで説明した2つのNAVに簡単に拡張することができる。NAVの一方またはNAVの両方は、それぞれのBSSにおける進行中の送信の帯域幅を記録するように拡張され得る。
図5に戻って参照すると、STA2がUL PPDU450を送信することを禁止した過剰保護NAVは、進行中のOBSS送信の帯域幅を基本NAVのBWフィールドとして記録するという概念を適用するのと同時に、仮想CS規則およびUL MU CSメカニズムに変更を加えることによって克服され得る。
【0038】
先に説明したように、
図5に示した例では、STA2の基本NAVは、それがAP1 101からトリガフレーム410を受信した瞬間に非ゼロ値に設定され、この結果、仮想CSは、STA2に関してビジーとなる。現在のUL MU CS規則によれば、CH3およびCH4で進行中の送信がなくても、仮想CSはビジーを示すため、UL MU CSメカニズムは、4つのチャネルのすべてで媒体はビジーであると見なし、その結果、STA2のためにRUを含む両方のチャネルがビジーでないにもかかわらず、STA2のUL PPDU450の送信は許可されない。現在の仮想CS規則は、NAVのいずれか一方がビジーである限り、非プライマリチャネルの実際の状態に関係なく、広帯域チャネル全体に関してビジーを示す。
【0039】
図8Aは、基本NAVに帯域幅フィールドを追加することによって、20MHzチャネルごとに仮想CS規則をどのように示すことができるかを説明するフローチャート800を示す。プライマリ20MHzチャネルから開始され、トリガフレームが受信される広帯域チャネルの各20MHzチャネルに関して、プロセスは、STAが、1に設定されたCS要求フィールドを有し、RUをSTAに割り当てるトリガフレームを受信したとき、ステップ810で開始される。トリガフレームにおいてCS要求フィールドが1に設定されているため、STAは、割り当てられたRUでHEトリガベースPPDUを送信する前にUL MU CSを実行することを要求される。ステップ820で、BSS内NAVが非ゼロである場合、プロセスは、仮想CSがその20MHzチャネルに関してビジーを示すステップ830に進んで、プロセスは終了し、もしあれば次の20MHzチャネルに進む。しかしながら、ステップ820でBSS内NAVがゼロである場合、プロセスはステップ840に進む。
【0040】
ステップ840で、基本NAV継続期間がゼロである場合、プロセスは、仮想CSがその20MHzチャネルに関してアイドルを示すステップ870に進んで、プロセスは終了し、もしあれば次の20MHzチャネルに進む。しかしながら、ステップ840で基本NAVが非ゼロである場合、プロセスはステップ850に進む。ステップ850で、20MHzチャネルが、基本NAVのBWフィールドによってビジーチャネルのうちの1つとして示される場合、プロセスは、仮想CSがその20MHzチャネルに関してビジーを示すステップ860に進んで、プロセスは終了し、もしあれば次の20MHzチャネルに進む。しかしながら、ステップ850で、20MHzチャネルが、基本NAVのBWフィールドによってビジーチャネルのうちの1つとして示されない場合、プロセスは、仮想CSがその20MHzチャネルに関してアイドルを示すステップ870に進んで、プロセスは終了し、もしあれば次の20MHzチャネルに進む。修正された仮想CS規則は、個々の20MHzチャネルの各々に関して仮想CSが通知されることを可能にするため、UL MU CSメカニズムも、個々の20MHzチャネルの各々に関してビジー/アイドルが通知されるように修正される。エネルギー検出(ED:energy-detect)または仮想CSのいずれかが、特定の20MHzチャネルでビジーを返した場合、その20MHzチャネルはビジーであると見なされる。
【0041】
エネルギー検出(ED)と仮想CSとの両方が、特定の20MHzチャネルでアイドルを返した場合、その20MHzチャネルはアイドルであると見なされる。しかしながら、UL MU送信規則は変更されないままである。すなわち、割り当てられたRUを含むすべての20MHzチャネルがアイドルである場合にのみ、STAは、1に設定されたCS要求フィールドを有するトリガフレームによって割り当てられたRUでHEトリガベースPPDUを送信することを許可される。割り当てられたRUを含む20MHzチャネルがすべてアイドルであるわけではない場合、STAは、割り当てられたRUで何も送信することを許可されない。
【0042】
図8Bの表880は、
図5に示したUL MU送信シーケンス中のSTA2に関して、修正されたUL MU CSメカニズムに関連する様々なパラメータを列挙している。
図6の表600と比較すると、表880は、基本NAVのBWフィールドに基づいてチャネルの状態を示す1つの追加列882を含む。プライマリチャネルでの送信はOBSSに属するため、STA2のBSS内NAVはゼロであり、一方、基本NAVの継続期間フィールドは、OBSS送信の示された継続期間に設定される。
図5の送信シーケンス500に示したように、OBSS送信はCH1およびCH2でのみ発生するため、基本NAVのBWフィールドは、1(40MHz)に設定される。これは、CH1およびCH2がビジーとして記録されることを意味する。
【0043】
同様に、CH3およびCH4は、それぞれ記載884および886によって示されているようにアイドルとして記録される。
図8Aで説明した修正された仮想CS規則によれば、仮想CSは、CH1およびCH2でビジーを返し、CH3およびCH4でアイドルを返す。同様に、EDベースCCAは、CH1とCH2でビジーを返し、CH3とCH4でアイドルを返す。修正されたUL MU CS規則によれば、仮想CSとEDベースCCAとの両方が、CH1およびCH2でビジーを示し、CH3およびCH4でアイドルを示すため、それぞれ記載888、890、892、および894によって示されているように、UL MU CSメカニズムは、CH1およびCH2をビジーと見なし、一方、CH3およびCH4はアイドルであると見なされる。CH3およびCH4はアイドルと見なされるため、UL MU CS送信規則によれば、STA2は、CH3およびCH4の割り当てられたRUでそのUL PPDU450を送信することを許可される。
【0044】
図9は、
図1に示した重複ワイヤレスネットワークに基づいている。BSS1 100およびBSS2 145とは別に、追加のBSSであるBSS3 900が示されている。BSS3 900は、AP3 901と、2つのSTA、すなわちSTA7 910およびSTA8 920とを含む。STA2 120はAP3 901の無線カバレッジ内にもあるため、BSS3 900も、STA2に関してOBSSと見なされる。
図9のBSSの配置は、本開示で導入されるNAV帯域幅フィールドの更新に関する規則を説明するために使用される。NAV帯域幅フィールドBWの更新に関して2つの選択肢を考えることができる。
【0045】
選択肢1(静的更新):BWフィールドは、進行中の第三者送信のNAV設定PPDUの最大帯域幅に常に設定される。第三者送信は、STAがその送信の送信者でも受信者でもない、STAの受信範囲内の送信を指す。NAV設定PPDUは、STAのNAVカウンタ(継続期間もしくはBWのいずれかまたはこれら両方)の変更をもたらし得る少なくとも1つのフレームを搬送するPPDUを指す。新しいNAV設定PPDUを受信したときに、新しいPPDUの帯域幅が既存のBWフィールドよりも広い場合、BWフィールドはより広い帯域幅に更新される。しかしながら、新しいPPDUの帯域幅が既存のBWフィールドよりも狭い場合、BWフィールドは変更されない。BWフィールドは、NAV継続期間とは無関係に更新される。すなわち、新しいPPDUによりNAV継続期間が更新されなくても、新しいPPDUの帯域幅が既存のBWフィールドよりも広ければ、BWフィールドは更新される。
【0046】
選択肢2(動的更新):BWフィールドは、進行中の第三者送信のNAV設定PPDUの実際の帯域幅を反映するように動的に調整される。この選択肢は、選択肢1と比較してより複雑であり、受信される各第三者送信の帯域幅および継続期間の一時的な記録を必要とする。NAV継続期間が、進行中のすべての第三者送信の最長継続期間に常に設定される一方で、帯域幅フィールドは、関連する第三者送信の最後に確認され、進行中の送信の次のセクションの実際の帯域幅に更新される。
【0047】
図10Aを参照すると、
図9に示したBSSの配置におけるSTA2の基本NAVの帯域幅フィールドに関する、上で言及した選択肢1(静的更新)の規則を視覚的に示すために、一連の例示的なフレーム交換シーケンスが示されており、BSS1 100、BSS2 145、およびBSS3 900の3つのBSSのすべてが80MHzのBSSであると仮定されている。
図10Aの上部には、BSS2 145における異なる帯域幅の2つの送信シーケンス、すなわち80MHzのTXOP1 1012と40MHzのTXOP2 1022が示されている。同様に、
図10Aの下部には、BSS3 900における異なる帯域幅の2つの送信シーケンス、すなわち20MHzのTXOP3 1032と80MHzのTXOP4 1034が示されている。
【0048】
図10Aの中央部は、本開示によって提案されているようにSTA2 120によって保持される二次元基本NAVの視覚的表現を示す。この例に関連する時点は、t0、t1、t2、t3、t4、t5、t6、およびt7によって示されている。TXOP1 1012の最初のPPDU1010を受信すると、PHYヘッダ内のBSSカラーフィールドまたはMACヘッダ内のBSSIDフィールドに基づいて、STA2は、PPDU1010がBSS2からのOBSS PPDUであり、STA2がPPDU1010の受信者の1つではないと判断する。NAV継続期間を更新するための既存のNAV規則に従って、STA2は、NAV継続期間を時間t0から時間t2までに設定し、NAV BWフィールドを80MHz(受信したPPDU1010の帯域幅)に設定し、この結果、STA2は、TXOP1 1012の最後である時間t2までCH1、CH2、CH3、およびCH4で送信することを禁止される。二次元NAVは、時間t0において、STA2が送信を禁止された時間期間および周波数範囲を表すボックス1014によって表されている。
【0049】
TXOP3 1032の最初のPPDU1030を受信すると、STA2は、1030がBSS3からのOBSS PPDUであり、それがPPDU1030の受信者の1つではないと判断する。1030に示されている継続期間が、既存のNAV継続期間よりも長いため、NAV継続期間を更新するためのNAV規則に従って、STA2は、NAV継続期間を時間t3までに更新し、この結果、STA2は、TXOP3 1032の最後である時間t3まで送信することを禁止される。時間t2から時間t3まで、実際の進行中のOBSS送信は、BSS3のみで行われるが、NAV BWフィールドは80MHzを示す。これは、過剰保護ゾーン1016と見なすことができる。過剰保護ゾーン1016では、ゾーン1016に含まれるチャネルCH2、CH3、およびCH4のすべてが時間t2から時間t3までSTA2に対してアイドルであっても、STA2は、3つのチャネルのすべてで送信することを制限される。時間t3において、基本NAV継続期間がゼロまでカウントダウンされると、NAV BWフィールドもゼロにリセットされる。
【0050】
同様に、TXOP2 1022の最初のPPDU1020を受信すると、STA2は、1020がBSS2からのOBSS PPDUであり、それがPPDU1020の受信者の1つではないと判断する。NAV継続期間を更新するための既存のNAV規則に従って、STA2は、NAV継続期間を時間t4から時間t7までに設定し、NAV BWフィールドを40MHz(受信したPPDU1020の帯域幅)に設定し、この結果、STA2は、TXOP2 1022の最後である時間t7までCH1およびCH2で送信することを禁止される。
【0051】
二次元NAVは、時間t4において、STA2が送信を禁止された時間期間および周波数範囲を表すボックス1024によって表されている。TXOP4 1036の最初のPPDU1034を受信すると、STA2は、1034がBSS3からのOBSS PPDUであり、それがPPDU1034の受信者の1つではないと判断する。1034に示されている継続期間が、既存のNAV継続期間よりも短いため、NAV継続期間を更新するためのNAV規則に従って、STA2は、NAV継続期間を更新しない。しかしながら、PPDU1034の帯域幅が現在のNAV BWフィールドよりも広いため、BWフィールドは、1026によって示されているように80MHzに更新され、時間t7まで80MHzとして保持される。
【0052】
時間t6から時間t7まで、実際の進行中のOBSS送信は、BSS2のみで行われるが、NAV BWフィールドは80MHzを示す。これは、過剰保護ゾーン1028と見なすことができる。過剰保護ゾーン1028では、ゾーン1028に含まれるチャネルCH3およびCH4の両方が時間t6から時間t7までSTA2に対してアイドルであっても、STA2は、これらのチャネルで送信することを制限される。しかしながら、OBSS送信がより狭い帯域幅のチャネルのものである場合、選択肢1を用いても、既存のUL MU CSメカニズムと比較してより効率的なセカンダリチャネルの再利用が可能である。時間t7において、基本NAV継続期間がゼロまでカウントダウンされると、NAV BWフィールドもゼロにリセットされる。
【0053】
選択肢1によるNAVの更新規則は、
図10Bのフローチャート1040によって要約される。プロセスは、NAV設定PPDUが受信されるステップ1042で開始される。ステップ1044で、PPDUが基本NAVの継続期間フィールドを増加させる場合、プロセスはステップ1046に進む。ステップ1046で、PPDU内の関連する継続期間情報に従って(例えば、PHYヘッダ内のTXOP継続期間フィールドまたはMACヘッダ内の継続期間フィールドに基づいて)基本NAV継続期間が更新され、プロセスはステップ1048に進む。ステップ1044で、PPDUが基本NAVの継続期間フィールドを増加させない場合、プロセスはステップ1048に進む。ステップ1048で、受信したPPDUがBWフィールドを増加させる場合、プロセスはステップ1050に進み、そうでない場合、プロセスは終了する。ステップ1050で、基本NAVのBWフィールドが、受信したPPDUの帯域幅を反映するように更新されて、プロセスは終了する。
【0054】
図11Aを参照すると、
図10Aに示したのと同じ例示的な送信シーケンスが、STA2の基本NAVの帯域幅フィールドに関する、上で言及した選択肢2(動的更新)の規則を視覚的に示すために、再利用されている。TXOP1 1012の最初のPPDU1010を受信すると、PHYヘッダ内のBSSカラーフィールドまたはMACヘッダ内のBSSIDフィールドに基づいて、STA2は、1010がBSS2からのOBSS PPDUであり、それがPPDU 1010の受信者の1つではないと判断する。NAV継続期間を更新するための既存のNAV規則に従って、STA2は、NAV継続期間を時間t0から時間t2までに設定し、NAV BWフィールドを80MHz(受信したPPDU1010の帯域幅)に設定し、この結果、STA2は、TXOP1 1012の最後である時間t2までCH1、CH2、CH3、およびCH4で送信することを禁止される。
【0055】
二次元NAVは、時間t0において、STA2が送信を禁止された時間期間および周波数範囲を表すボックス1110によって表されている。TXOP3 1032の最初のPPDU1030を受信すると、STA2は、1030がBSS3からのOBSS PPDUであり、それがPPDU1030の受信者の1つではないと判断する。1030に示されている継続期間が、既存のNAV継続期間よりも長いため、NAV継続期間を更新するためのNAV規則に従って、STA2は、NAV継続期間を時間t3までに更新しなければならない。しかしながら、時間t2から時間t3まで、実際の進行中のOBSS送信は、BSS3のみで行われ、したがって、NAV継続期間がt3までに更新される前に、現在のNAV継続期間の終了時間t2が、一時変数BW_update_timeとして記録され、タイマ(BW_update_timer)が、BW_update_timeに期限切れになるように設定される。PPDU1030の帯域幅は、20MHzであり、現在のNAV BWフィールドよりも狭いため、NAV BWフィールドに変更は加えられないが、PPDU1030の帯域幅は、一時変数New_BWとして保存される。BW_update_timerがt2で期限切れになると、NAV BWフィールドは、進行中の第三者送信1032の実際の帯域幅1112を表すNew_BW(20MHz)に更新される。
【0056】
結果として、基本NAVは、CH2、CH3、およびCH4のすべてがSTA2に対してアイドルであるため、STA2が時間t2から時間t3までの間に3つのチャネルのいずれかで送信することを制限しない。同様に、TXOP2 1022の最初のPPDU1020を受信すると、STA2は、1020がBSS2からのOBSS PPDUであり、それがPPDU1020の受信者の1つではないと判断する。NAV継続期間を更新するための既存のNAV規則に従って、STA2は、NAV継続期間を時間t4から時間t7までに設定し、NAV BWフィールドを40MHz(受信したPPDU1020の帯域幅)に設定し、この結果、STA2は、TXOP2 1022の最後である時間t7までCH1およびCH2で送信することを禁止される。二次元NAVは、時間t4において、STA2が送信を禁止された時間期間および周波数範囲を表すボックス1024によって表されている。
【0057】
TXOP4 1036の最初のPPDU1034を受信すると、STA2は、1034がBSS3からのOBSS PPDUであり、それがPPDU1034の受信者の1つではないと判断する。PPDU1034に示されている継続期間が、既存のNAV継続期間よりも短いため、NAV継続期間を更新するためのNAV規則に従って、STA2は、NAV継続期間を更新しない。しかしながら、PPDU1034の帯域幅が、80MHzであり、現在のNAV BWフィールドよりも広いため、BWフィールドは、1122によって示されているように80MHzに更新されなければならない。しかしながら、時間t6から時間t7まで、進行中のOBSS送信1022の帯域幅は40MHzのみであり、したがって、NAV BWフィールドが80MHzに更新される前に、現在のNAV BWが、New_BWとして保存され、BSS3の送信1036の終了時間t6が、BW_update_timeとして記録され、タイマ(BW_update_timer)が、BW_update_timeに期限切れになるように設定される。BW_update_timerが時間t6で期限切れになると、NAV BWフィールドは、進行中の第三者送信1022の実際の帯域幅1124を表すNew_BW(40MHz)に更新される。結果として、基本NAVは、チャネルCH3およびCH4の両方がSTA2に対してアイドルであるため、STA2が時間t6から時間t7までの間にこれらのチャネルのいずれかで送信することを制限しない。
【0058】
選択肢2によるNAVの更新規則は、
図11Bのフローチャート1140および
図11Cの1180によって要約される。プロセスは、NAV設定PPDUが受信されるステップ1142で開始される。ステップ1144で、PPDUが基本NAVの継続期間フィールドを増加させる場合、プロセスはステップ1146に進み、そうでない場合、プロセスはステップ1162に進む。ステップ1146で、受信したPPDUの帯域幅が基本NAV BWフィールドよりも小さい場合、プロセスはステップ1148に進み、そうでない場合、プロセスはステップ1154に進む。ステップ1148で、変数BW_update_timeがゼロである場合、現在の基本NAVの有効期限が変数BW_update_timeに格納され、そうではなく、変数BW_update_timeが非ゼロである場合、2つの値のうちの小さい方、すなわちBW_update_timeまたは現在の基本NAVの有効期限が、BW_update_timeに格納され、プロセスはステップ1150に進む。ステップ1150で、2つの値のうちの大きい方、すなわちNew_BWまたは受信したPPDUの帯域幅が、変数New_BWに格納され、プロセスはステップ1152に進む。
【0059】
ステップ1152で、BW_update_timerと呼ばれるタイマがBW_update_timeに期限切れになるように設定され、プロセスはステップ1160に進む。ステップ1154で、受信したPPDUの帯域幅が基本NAV BWフィールドよりも大きい場合、プロセスはステップ1156に進み、そうでない場合、プロセスはステップ1158に進む。ステップ1156で、基本NAV BWフィールドは、受信したPPDUの帯域幅に更新され、プロセスはステップ1158に進む。ステップ1158で、基本NAVの帯域幅は基本NAV継続期間の最後まで変更されないと予期されるため、動作中であればBW_update_timerは停止され、BW_update_timeとNew_BWとの両方が0に設定され、プロセスはステップ1160に進む。ステップ1160で、PPDU内の関連する継続期間情報に従って(例えば、PHYヘッダ内のTXOP継続期間フィールドまたはMACヘッダ内の継続期間フィールドに基づいて)基本NAV継続期間が更新され、このプロセスは終了する。
【0060】
ステップ1162で、受信したPPDUの帯域幅が基本NAV BWフィールドよりも大きい場合、プロセスはステップ1164に進み、そうでない場合、このプロセスは終了する。ステップ1164で、受信したPPDUによるNAV有効期限が基本NAVの有効期限よりも小さい場合、プロセスはステップ1168に進み、そうでない場合、プロセスはステップ1170に進む。ステップ1168で、基本NAV BWフィールドの値が変数New_BWに格納され、プロセスはステップ1170に進む。ステップ1170で、受信したPPDUによるNAV有効期限が変数BW_update_timeに格納され、プロセスはステップ1172に進む。ステップ1172で、BW_update_timerがBW_update_timeに期限切れになるように設定され、プロセスはステップ1174に進む。ステップ1174で、基本NAV BWフィールドが、受信したPPDUの帯域幅に更新され、このプロセスは終了する。
【0061】
基本NAV BW調整プロセスは、プロセス1180によって要約される。プロセス1180は、BW_update_timerが期限切れになるステップ1182で開始される。ステップ1184で、基本NAV継続期間が非ゼロである場合、プロセスはステップ1186に進み、そうでない場合、プロセスはステップ1190に進む。ステップ1186で、New_BWの値が非ゼロである場合、プロセスはステップ1188に進み、そうでない場合、プロセスはステップ1190に進む。ステップ1188で、基本NAVのBWフィールドが、New_BWに更新され、プロセス1180は終了する。ステップ1190で、BW_update_timeとNew_BWとの両方が0に設定され、プロセス1180は終了する。
【0062】
図12を参照すると、表1200は、HE STAによって使用されるPHY-CCA.indicationプリミティブのchannel-listパラメータの可能な値および意味を列挙している。PHY-CCA.indication(STATE,{channel-list})プリミティブは、チャネルの状態をMAC層に示すためにHE STAのPHY層によって使用される。PHY-CCA.indicationプリミティブは、STATEパラメータを常に含むが、STATEパラメータがBUSYであり、かつ複数のチャネルの状態が通知されるときにのみ、channel-listパラメータを含む。PHY-CCA.indicationプリミティブは、BSS動作帯域幅内で、どのチャネルがビジーでどのチャネルがアイドルであるかを示す。channel-listパラメータの最初の4つの値とその意味は、IEEE802.11仕様で定義されているものと同じであるが、行1210、1220、および1230にそれぞれ列挙されている3つの値primary20、primary40、およびprimary80は、本開示の第1の実施形態によって追加されたものである。
図3Bを参照すると、channel-listパラメータの「primary」の値は、プライマリ20MHzチャネル350および他のすべての非プライマリチャネルがビジーであることを示す。
【0063】
「secondary」の値は、セカンダリ20MHzチャネル355がビジーである一方で、プライマリ20MHzチャネル350がアイドルであることを示す。「secondary40」の値は、セカンダリ40MHzチャネル(360および365)がビジーである一方で、プライマリ20MHzチャネル350およびセカンダリ20MHzチャネル355がアイドルであることを示す。「secondary80」の値は、セカンダリ80MHzチャネル(370、375、380、および385)がビジーである一方で、プライマリ20MHzチャネル350と、セカンダリ20MHzチャネル355と、セカンダリ40MHzチャネルを一緒に形成する2つの20MHzチャネル360および365とがアイドルであることを示す。先に言及したように、channel-listパラメータの「primary」の値は、プライマリ20MHzチャネルと、BSS動作チャネルの一部を形成する他のすべての非プライマリチャネルとがビジーであることを示す。レガシー802.11システムでは、インフラストラクチャBSSにおける送信のすべては、プライマリ20MHzチャネルを含み、STAは、プライマリ20MHzチャネルがビジーである限り送信を許可されない。
【0064】
したがって、レガシー802.11のBSSでは、ビジーのプライマリ20MHzチャネルは、すべての非プライマリチャネルもビジーであることと等しいと見なされる。しかしながら、802.11axのBSSにおけるアップリンクOFDMAベースマルチユーザ送信の場合、STAは、APが非プライマリチャネルでRUをSTAに割り当てる場合、プライマリ20MHzチャネルを含まないチャネルでそのアップリンクPPDUを送信することを許可され得る。例として、
図4を参照すると、トリガフレーム410において、APは、セカンダリチャネルCH2でRUをSTA3に割り当て、802.11ax UL MU送信規則に従って、STA3は、UL MU CSがCH2をアイドルと見なした場合に、セカンダリチャネルCH2でそのUL PPDU440を送信することを許可される。プライマリチャネルがビジーであるときにSTAのPHY層が非プライマリチャネルの状態を通知することを可能にするために、3つの追加の値(primary20、primary40、およびprimary80)がPHY-CCA.indicationプリミティブに追加される。「primary20」の値は、プライマリ20MHzチャネル350がビジーである一方で、残りの非プライマリチャネルがすべてアイドルであることを示す。「primary40」の値は、プライマリ40MHzチャネル(350、355)がビジーである一方で、残りの非プライマリチャネルがすべてアイドルであることを示す。「primary80」の値は、プライマリ80MHzチャネル(350、355、360、および365)がビジーである一方で、残りの非プライマリチャネルがすべてアイドルであることを示す。
【0065】
例として、
図7Aを参照すると、PPDU710が受信されると、受信したSTAのPHY層は、4つの20MHzチャネルのすべてがビジーであることを示すために、PHY-CCA.indication(BUSY,{primary})プリミティブをMAC層に発行する。その後、PPDU720が受信されると、プライマリ20MHzチャネルCH1およびセカンダリ20MHzチャネルCH2がビジーである一方で、チャネルCH3およびCH4がアイドルであることを示すために、PHY-CCA.indication(BUSY,{primary40})プリミティブが発行される。同様に、PPDU730が受信されると、プライマリ20MHzチャネルCH1がビジーである一方で、チャネルCH2、CH3、およびCH4がアイドルであることを示すために、PHY-CCA.indication(BUSY,{primary20})プリミティブが発行される。STAのMAC層は、NAVのBWフィールドを正しく設定するためにPHY-CCA.indicationプリミティブからの情報を使用する。
【0066】
<第2の実施形態>
図13Aを参照すると、例示的なアップリンクマルチユーザ送信シーケンス1300は、同じTXOP1305の間にPPDUの帯域幅が変更される場合を示している。
図1のAP2 102は、他のフレームに加えて、STA5 150およびSTA6 160にそれぞれアドレス指定された2つのユニキャストトリガフレーム1312および1314を含む80MHz DL MU PPDU1310を送信する。トリガフレーム1312は、プライマリチャネルCH1でRUをSTA5に割り当てる一方で、トリガフレーム1314は、セカンダリチャネルCH2でRUをSTA6に割り当てる。AP2 102はまた、PPDU1310のPHYヘッダ内のTXOP継続期間またはPPDU1310によって搬送された個々のフレームのMACヘッダ内の継続期間フィールドのいずれかをTXOP1305の最後までに設定することによって後続のアップリンク送信を保護する。PPDU1310からSIFSの後で、STA5が、CH1でそのUL PPDU1320を送信する一方で、STA6は、CH2でそのUL PPDU1330を送信する。
【0067】
APは、Ackフレーム1340および1350を搬送するDL MU PPDUをSTA5およびSTA6のそれぞれに送信することによってフレーム交換を終了する。OBSS STA、例えば
図1のSTA2 120がPPDU1310を受信した場合、STA2は、PPDU1310がBSS2 145からのOBSS PPDUであると判断する。STA2は、PPDU1310内の継続期間情報に基づいて基本NAV継続期間1362をTXOP1305の最後までに設定する。しかしながら、STA2がMU PPDU1310内の個々のフレームを復号することができる場合、STA2は、後続のアップリンク送信の帯域幅を予測することができる。例えば、トリガフレーム1314および1312を復号することによって、STA2は、RUがCH1およびCH2のみでアップリンクに割り当てられることを突き止めることができる。したがって、STA2は、PPDU1310によってトリガされた後続のアップリンク送信がCH1およびCH2のみをカバーすることになると予測することができる。したがって、基本NAVのBWフィールドをPPDU1310の帯域幅である80MHzに設定する代わりに、第2の実施形態によれば、STA2は、BWフィールド1364を、後続のアップリンク送信の予測帯域幅である40MHzに設定する。これは、STA2がそれ自体のアップリンク送信のためにアイドルのセカンダリチャネルCH3およびCH4を利用する機会を提供する。二次元基本NAVは、長方形1360によって視覚的に示されている。
【0068】
図13Bを参照すると、NAVのBWフィールドは、20MHzチャネルにつき1ビットの8ビットのビットマップ1390として格納され得る。8ビットを使用することで、最大160MHzチャネルで動作する802.11のBSSで使用されるすべての20MHzチャネルの状態を記録することができる。チャネルのビジー状態は、対応するビットを1に設定することによって記録され、一方、アイドル状態は0で表される。
【0069】
図14を参照すると、80MHzのBSSにおける第2の実施形態による二次元NAVを視覚的に示すために一連の例示的なフレーム交換シーケンスが示されている。上半分は、可変帯域幅を有する3つの送信シーケンス、すなわちTXOP1 1412、TXOP2 1422、およびTXOP3 1432を示す。各送信シーケンスは、APと、このAPと同じBSSに属する1つ以上のSTAとの間のPPDUの交換を含む。例として、送信シーケンスの最初のPPDUは、UL MU送信用のRUを選択されたSTAに割り当てるトリガフレームであり、その後にSTAからのHEトリガベースPPDUが続き、肯定応答フレームを搬送する、APからのDL PPDUで終わってもよい。この例では、CH1、CH2、CH3、およびCH4は、プライマリ20MHzチャネル、セカンダリ20MHzチャネル、ターシャリ20MHzチャネル、およびクォータナリ20MHzチャネルを示す。この例の下半分は、本開示によって提案されるように第三者STAによって保持される二次元NAVの視覚的表現を示す。NAVのBWフィールドを記録するために使用されるビットマップも示されている。この例に関連する時点は、t0、t1、t2、t3、t4、およびt5によって示されている。進行中の送信の無線カバレッジ内にあり、かつこの送信の送信者でも受信者でもないSTAは、その送信に関して第三者STAと見なされる。
【0070】
TXOP1 1412の最初のPPDU1410を受信すると、第三者STAは、例えば、PPDUによって搬送されたフレームのMACヘッダ内の受信者アドレスを読み取ることによって、またはPPDU1410で搬送されたトリガフレームのユーザ情報フィールドのAID12サブフィールドを読み取ることなどによって第三者STAがPPDU1410の受信者ではないと判断する。既存のNAV規則に従って、STAが、STAはPPDU1410の受信者ではないと判断したら、STAは、NAV継続期間をt0からt1までに設定する。NAV継続期間を記録することに加えて、第2の実施形態によれば、STAは、PPDU1410内のトリガフレームを復号し、後続のアップリンク送信のためにCH1、CH2、およびCH3でRUが割り当てられたと判断する。これに基づいて、NAVのBWフィールドにおいて、STAは、ビット0、ビット1、およびビット2を1(ビジー)に設定し、残りのビットを0(アイドル)に設定する。二次元NAVは、TXOP1 1412の最後である時間t1までSTAがCH1、CH2、およびCH3で送信することを禁止されるボックス1414によって表されている。
【0071】
同様に、PPDU1420を受信すると、STAは、NAV継続期間を、TXOP2 1422の最後である時間t3までに設定する。STAは、PPDU1420内のトリガフレームを復号し、後続のアップリンク送信のためにCH1およびCH2でRUが割り当てられたと判断する。これに基づいて、NAVのBWフィールドにおいて、STAは、ビット0およびビット1を1(ビジー)に設定し、残りのビットを0(アイドル)に設定する。これは、時間t3までSTAがCH1およびCH2で送信することを禁止されるボックス1424として示されている。
【0072】
同様に、PPDU1430を受信すると、STAは、NAV継続期間を、TXOP3 1432の最後である時間t5までに設定する。STAは、PPDU1430内のトリガフレームを復号し、後続のアップリンク送信のためにCH1でRUが割り当てられたと判断する。これに基づいて、NAVのBWフィールドにおいて、STAは、ビット0を1(ビジー)に設定し、残りのビットを0(アイドル)に設定する。これは、時間t5までSTAがCH1で送信することを禁止されるボックス1434として示されている。この場合、第三者STAは、進行中の送信1432に干渉を引き起こすことなく、t4からt5までのNAV継続期間内に非占有チャネルCH2、CH3、およびCH4で送信することを許可され得る。
【0073】
<STAの構成>
図15は、本開示で説明されている二次元NAVを実装する例示的なSTA1500のブロック図である。このデバイスは、
図1のSTAのうちのいずれか1つであってもよい。STA1500は、受信部1502、PPDUデコーダ1504、メモリ1506、および送信部1508を備える。
【0074】
受信部1502は、その無線カバレッジエリア内の他のワイヤレスデバイスからPPDUを受信する。PPDUデコーダ1504は、PPDUがSTAの対応するBSSに属するSTAによって送信されたのか、それともOBSS STAによって送信されたのかを判断するために、受信した各PPDUを調べる。PPDUデコーダ1504はまた、STAがPPDUの目的の受信者であるかどうかを判断し、そうでない場合、PPDUデコーダはさらに、PPDUのPHYヘッダまたはPPDUで搬送されたフレームのMACヘッダのいずれかから継続期間情報を抽出する。PPDUデコーダはまた、受信したPPDUによって占有されている帯域幅を決定する。
【0075】
STA1500は、メモリ1506の1つ以上のインスタンスを含むことができる。メモリ1506は、受信したPPDUで搬送された継続期間情報を記録し、該当する場合はPPDUによって占有されている帯域幅も記録する。PPDUデコーダが、受信したPPDUがその対応するBSSからSTAによって送信されたと判断した場合、メモリ1506は、継続期間情報をBSS内NAVとして記録するだけである。しかしながら、PPDUデコーダが、受信したPPDUがOBSS STAによって送信されたと判断した場合、メモリ1506は、継続期間情報と帯域幅情報との両方を基本NAVの一部として記録する。送信部1508は、命令されると、基本NAVの帯域幅によって示されるチャネルに干渉を引き起こすことなく、基本NAVの帯域幅情報によって示される周波数チャネル以外の周波数チャネルで送信を行う。
【0076】
図16は、
図1のSTAのうちのいずれか1つであってもよい、本開示で説明されている二次元NAVを実装する例示的なSTA1600の詳細ブロック図である。ワイヤレスデバイスであるSTA1600は、メモリ1620、二次記憶装置1640、および1つ以上のワイヤレス通信インタフェース1650に結合された中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)1630を備える。二次記憶装置1640は、関連する命令コード、データなどを永続的に記憶するために使用される不揮発性のコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。起動時に、CPU1630は、実行のために命令コードおよび関連データを揮発性メモリ1620にコピーすることができる。命令コードは、STA1600の動作に必要とされるオペレーティングシステム、ユーザアプリケーション、デバイスドライバ、実行コードなどであってもよい。また、STA1600は、電源1610、例えばリチウムイオン電池またはコイン電池(coin cell battery)などを備えてもよく、あるいはそれは商用電源(Mains electricty)であってもよい。
【0077】
ワイヤレス通信インタフェース1650は、セルラー通信用のインタフェース、またはジグビー(Zigbee)などの短距離通信プロトコル用のインタフェースを備えてもよく、あるいはそれはWLANインタフェースであってもよい。ワイヤレスインタフェース1650は、MACモジュール1652、PHYモジュール1660、およびアンテナ1670をさらに備えてもよい。他のサブモジュールの中でも、MACモジュール1652は、キャリア検知モジュール1654、NAV帯域幅ビットマップ1656、およびNAV継続期間カウンタ1658を備えてもよい。NAV帯域幅ビットマップ1656およびNAV継続期間カウンタ1658は、STA1600がPPDUの目的の受信者ではない場合に、受信したPPDUに含まれる帯域幅情報および継続期間情報を記録するために使用される。キャリア検知モジュール1654は、キャリア検知を必要とする送信の前に、物理キャリア検知(エネルギー検知)と仮想キャリア検知(NAV)との両方を実行する役割を担う。
【0078】
STA1600は、明確にするために
図16には示されていない他の多くの構成要素を備えてもよい。本開示に最も関連する構成要素のみが示されている。
【0079】
<第3の実施形態>
先の実施形態では、NAVを設定するPPDUの帯域幅情報が、NAV自体のフィールドとして記録されていた。しかしながら、帯域幅情報をNAVから切り離して別個に記録することも可能である。第3の実施形態によれば、STAは、NAVを設定するPPDUの帯域幅情報を別個のエンティティとして、例えば、OBSS_BW情報フィールドとして記録する。
【0080】
図17を参照すると、80MHzのBSSにおける第3の実施形態による帯域幅情報の記録を視覚的に示すために一連の例示的なフレーム交換シーケンス1700が示されている。
図17の上部は、可変帯域幅を有する4つの送信シーケンス、すなわちTXOP1 1712、TXOP2 1722、TXOP3 1732、およびTXOP4 1742を示す。各送信シーケンスは、APと、このAPと同じBSSに属する1つ以上のSTAとの間のPPDUの交換を含む。
【0081】
図17の中央部は、IEEE802.11仕様によって定義されている規則に従って第三者STAによって保持されるNAV継続期間の視覚的表現を示す。進行中の送信の無線カバレッジ内にあり、かつこの送信の送信者でも目的の受信者でもないSTAは、その送信に関して第三者STAと見なされる。
図17の下部は、同じ第三者STAによって保持されるOBSS_BW情報の視覚的表現を示す。この例に関連する時点は、t0、t1、t2、t3、t4、t5、t6、およびt7によって示されている。
【0082】
TXOP1 1712の最初のPPDU1710を受信すると、第三者STAは、例えば、PPDUによって搬送されたフレームのMACヘッダ内の受信者アドレスを読み取ることによって、またはPPDU1710で搬送されたトリガフレームのユーザ情報フィールドのAID12サブフィールドを読み取ることなどによってSTA自体がPPDU1710の目的の受信者ではないと判断する。STAは、既存のIEEE802.11のNAV規則に従って、STA自体がPPDU1710の目的の受信者ではないと判断したら、NAV継続期間を、時間t0から時間t1までの時間期間に設定し、これにより、STAはTXOP1 1712の最後である時間t1まで送信することを禁止される。NAV継続期間を記録することに加えて、第3の実施形態によれば、STAはまた、NAVを設定するPPDU1710の帯域幅情報をOBSS_BW情報フィールドに80MHzとして記録する。時間t1において、NAV継続期間1714がゼロまでカウントダウンされると、OBSS_BW情報フィールドもゼロにリセットされる。ボックス1716は、時間t0と時間t1との間のOBSS_BW情報を示す。OBSS_BW情報フィールドは、
図7Bの表750に示したように2ビットの変数として表されてもよいし、
図13Bの8ビットのビットマップ1390として保持されてもよい。
【0083】
同様に、TXOP2 1722の最初のPPDU1720を受信すると、STAは、NAV継続期間1724を、時間t2からTXOP2 1722の最後である時間t3までの時間期間に設定し、一方、OBSS_BW情報フィールドは、40MHz(PPDU1720の帯域幅)に設定される。これは、ボックス1726として示されている。時間t3において、NAV継続期間1724がゼロまでカウントダウンされると、OBSS_BW情報フィールドもゼロにリセットされる。同様に、TXOP3 1732の最初のPPDU1730を受信すると、STAは、NAV継続期間1734を、時間t4からTXOP3 1732の最後である時間t5までの時間期間に設定し、一方、OBSS_BW情報フィールドは、20MHz(PPDU1730の帯域幅)に設定される。これは、ボックス1736として示されている。時間t5において、NAV継続期間1734がゼロまでカウントダウンされると、OBSS_BW情報フィールドは再びゼロにリセットされる。さらにチャネル検知規則がそれ相応に修正されれば、特定の条件下で、第三者STAは、進行中の送信1722および1732のそれぞれに干渉を引き起こすことなく、t2からt3までの時間期間内に非占有チャネルCH3およびCH4で、ならびにt4からt5までの時間期間内にチャネルCH2、CH3、およびCH4で送信することを許可され得る。この結果、非占有セカンダリチャネルのより効率的な再利用が促進される。
【0084】
従来、IEEE802.11のSTAは、STAのプライマリ20MHzチャネルと重なるPPDUを受信して復号することのみを要求され、STAは、そのプライマリ20MHzチャネルと重ならないPPDUを受信または復号することを要求されない。しかしながら、STAがそのようなPPDUを受信して復号する能力を有する場合、STAは、そのようなPPDUの帯域幅をさらに記録するためにOBSS_BW情報フィールドを使用することができる。TXOP4 1742は、第三者STAによって使用されるプライマリ20MHzと重ならないフレーム交換シーケンスを表す。TXOP4 1742の最初のPPDU1740を受信したとき、STAがPPDUを受信して復号する能力を有する場合、STAは、OBSS_BW情報フィールドに帯域幅を記録することができる。この場合、STAはNAV継続期間を設定しないことに留意されたい。
【0085】
OBSS_BW情報フィールドによって記録された帯域幅情報は、STAが関連付けられているAPにそのチャネルの可用性を知らせるためにSTAによって参考として使用されてもよい。例として、STAがIEEE802.11axで定義された自発的な帯域幅クエリレポート(BQR:Bandwidth Query Report)の動作を実施する場合、STAは、STAが帯域幅クエリレポートでその関連APに送信する利用可能チャネルビットマップを埋めるためにOBSS_BW情報フィールドを使用することができる。TXOP4 1742は、STAに対してNAV継続期間を設定しないため、STAが送信することを妨げない。しかしながら、OBSS_BW情報フィールドにTXOP4 1742の帯域幅を記録することにより、STAが、時間t6から時間t7までの時間期間にわたってCH3およびCH4がSTAに関してビジーであると予期されることをそのAPに通知することが可能になる。これは、APが、時間t6から時間t7までの時間期間中の、STAへの/からのダウンリンクまたはアップリンクのOFDMA送信のためにSTAにリソースユニット(RU)を割り当てる際、CH3およびCH4を避けるのを助ける。
【0086】
図5に戻って参照すると、STA2がUL PPDU450を送信することを禁止した過剰保護NAVは、
図1のBSS2 145からの、進行中のOBSS送信の帯域幅情報をOBSS BW情報フィールドとして記録するという概念を適用するのと同時に、仮想CS規則およびUL MU CSメカニズムに変更を加えることによって克服され得る。
【0087】
図18の表1800は、
図5に示したUL MU送信シーケンス中のSTA2に関して、修正されたUL MU CSメカニズムに関連する様々なパラメータを列挙している。表1800およびその内容は、OBSS_BW情報フィールドが表1800の基本NAV1810とは別に設けられている点を除いて、
図8Bの表880と同じである。BSS2 145からのOBSS送信はCH1とCH2においてのみ重複するため、CH1とCH2はビジーとして記録され、一方、CH3とCH4は、それぞれ
図18の記載1820と1822によって示されているようにOBSS_BW情報フィールドにアイドルとして記録されている。
【0088】
第3の実施形態によれば、ビジー/アイドルの仮想CS状態が20MHzチャネルごとに考慮されるように仮想CS規則が修正される。基本NAV継続期間カウンタが非ゼロである場合、OBSS_BW情報フィールドによってビジーとして示される20MHzチャネルのみが、仮想CSによってビジーであると見なされる。同様に、UL MU CS規則もまた、20MHzチャネルごとにワイヤレス媒体のビジー/アイドル状態を考慮するように修正される。修正されたUL MU CS規則によれば、仮想CSとエネルギー検出(ED)ベースCCAとの両方が、CH1およびCH2でビジーを示し、CH3およびCH4でアイドルを示すため、それぞれ記載1836、1834、1832、および1830によって示されているように、UL MU CSメカニズムは、CH1およびCH2をビジーと見なし、一方、CH3およびCH4はアイドルであると見なされる。CH3とCH4との両方がアイドルと見なされるため、修正されたUL MU CS送信規則によれば、STA2は、CH3およびCH4の割り当てられたRUでそのUL PPDU450を送信することを許可され、この結果、ワイヤレス媒体のより効率的な使用が促進される。第3の実施形態による仮想CS規則は、以下のように要約することができる。
- STAのアップリンク送信用に割り当てられたRUを含む各20MHzチャネルに関して、以下の条件のいずれかが満たされない限り、送信のためにトリガフレームによって要求されたSTAの仮想CSにおいてNAVが考慮される。
- NAVがBSS内フレームによって設定された。
- NAV継続期間カウンタがゼロである。
- NAV継続期間カウンタがゼロよりも大きいが、その20MHzチャネルが、OBSS_BW情報フィールドによってアイドルとして記録されている。
【0089】
NAVが考慮されない場合、仮想CSは、20MHzチャネルに関してアイドルを示し、そうでない場合、仮想CSは、20MHzチャネルに関してビジーを示す。
【0090】
第3の実施形態によるUL MU CS規則は、以下のように要約することができる。
- トリガフレーム内のCS要求サブフィールドが1に設定されている場合、トリガフレーム後のSIFS時間中に、少なくとも、STAのUL MU送信用に割り当てられたRUを含む各20MHzチャネルに関して、STAは、トリガフレームに応答して、適切なエネルギー検出(ED)規則を使用するCCAおよび仮想CSの状態を考慮しなければならない。トリガフレームにおいて割り当てられたRUを含む20MHzチャネルがアイドルであると見なされるとき、STAは、HEトリガベースPPDUを送信することができる。STAが、割り当てられたRUを含む20MHzチャネルがすべてアイドルであるわではないことを検出した場合、STAは、割り当てられたRUで何も送信してはならない。
【0091】
図19は、OBSS送信帯域幅情報をOBSS_BWに保持することによって仮想CS規則が20MHzチャネルごとに示される場合の、第3の実施形態によるUL MU CS送信規則を説明するフローチャート1900を示す。1に設定されたCS要求フィールドを有するトリガフレームにおいてAPによってアップリンク送信のためにSTAにRUが割り当てられた広帯域チャネルの各20MHzチャネルに関して、UL MU CSプロセスがステップ1910で開始される。トリガフレームではCS要求フィールドが1に設定されているため、HEトリガベースPPDUを送信する前に、STAは、トリガフレームを含むPPDUの最後の直後のSIFS中に、少なくとも、割り当てられたRUを含む20MHzチャネルのすべてでUL MU CSを実行することを要求される。
【0092】
ステップ1920で、基本NAV継続期間カウンタがチェックされ、それがゼロである場合、プロセスはステップ1940に進み、そうでない場合、プロセスはステップ1930に進む。ステップ1930で、20MHzチャネルが、OBSS_BWによってビジーとして記録されている場合、プロセスはステップ1950に進み、そうでない場合、それはステップ1940に進む。ステップ1940で、仮想CSは20MHzチャネルをアイドルとして通知し、プロセスはステップ1960に進む。ステップ1950で、仮想CSは20MHzチャネルをビジーとして通知し、プロセスはステップ1980に進む。ステップ1960で、STAは、トリガフレームを含むPPDUの最後の直後のSIFS時間中にエネルギー検出(ED)を使用してワイヤレス媒体を検知し、チャネルがビジーであると検知された場合、プロセスはステップ1980に進み、そうでない場合、プロセスはステップ1970に進む。
【0093】
ステップ1980で、20MHzチャネルは、UL MU送信に関してビジーであると見なされ、この20MHzチャネル関してプロセスは終了する。ステップ1970で、20MHzチャネルは、UL MU送信に関してアイドルであると見なされ、この20MHzチャネル関してプロセスは終了する。このプロセスは、少なくとも、アップリンク送信のためにSTAにRUが割り当てられた広帯域チャネルの各20MHzチャネルに関して繰り返される。トリガフレームにおいてSTAに割り当てられたRUを含む20MHzチャネルのすべてがアイドルであると見なされた場合、STAは、そのHEトリガベースPPDUを送信することができる。
【0094】
図20を参照すると、表2000は、様々なパラメータであって、そこから、NAVを設定する正しいIEEE802.11のPPDUを受信するSTAがPPDUのチャネル帯域幅情報を決定することができる様々なパラメータを列挙している。IEEE802.11の仕様によれば、正しいIEEE802.11のPHYプリアンブルを受信すると、STAのPHY層は、受信信号強度レベルを測定し、この信号強度レベルが一般にプリアンブル検出(PD)レベルと呼ばれる特定の閾値を上回る場合、PHYは、これをPHY-CCA.indication(BUSY, primary)プリミティブによってMAC層に示す。STAは、残りのPHYヘッダフィールドを受信し続け、PHYヘッダの受信が成功したら、PHY層は、PHY-RXSTART.indication(RXVECTOR)プリミティブをMACに発行する。
【0095】
RXVECTORの内容は、受信したPPDUのフォーマットに依存し、STAは、表2000に列挙されているようなRXVECTORの関連パラメータに基づいて、受信したPPDUの帯域幅を決定する。受信したPPDUがHE PPDUである場合、帯域幅は、CH_BANDWIDTHパラメータによって示される。ここで、CH_BANDWIDTHパラメータは、受信したHE PPDUのPHYヘッダのHE-SIG-Aの帯域幅フィールドに基づく。受信したPPDUがVHT PPDUである場合、帯域幅は、同様にCH_BANDWIDTHパラメータによって示される。ここで、CH_BANDWIDTHパラメータは、受信したVHT PPDUのPHYヘッダのVHT-SIG-A1の帯域幅フィールドに基づく。
【0096】
受信したPPDUがHT PPDUである場合、帯域幅は、同様にCH_BANDWIDTHパラメータによって示される。ここで、CH_BANDWIDTHパラメータは、受信したHT PPDUのPHYヘッダのHT-SIGのCBW20/40ビットに基づく。しかしながら、受信したPPDUが非HT PPDUである場合、PPDUの正確な帯域幅の決定はより複雑である。なぜなら、非HT PPDUは、レガシー非HT PPDUフォーマットまたは非HT複製PPDUフォーマット(non-HT duplicate PPDU format)であり得るからである。非HT PPDUのPPDUフォーマットは、RXVECTORのNON_HT_MODULATIONパラメータを参照して決定することができる。NON_HT_MODULATIONパラメータがOFDMである場合、PPDUは、レガシー非HT PPDUであり、チャネル帯域幅は20MHzである。
【0097】
しかしながら、NON_HT_MODULATIONパラメータがNON_HT_DUP_OFDMである場合、PPDUは、非HT複製PPDUである。すなわち、同じPPDUが、複数の20MHzチャネルで複製されている。この場合、CH_BANDWIDTHパラメータは、推定チャネル帯域幅を示すに過ぎない。しかしながら、非HT複製PPDUは、帯域幅シグナリングSTAによって送信される場合がある。すなわち、受信したPPDUに含まれるMACヘッダの送信者アドレス(TA:Transmitter Address)フィールドは、帯域幅シグナリングTAである(TAの個別/グループビットは1である)。そのような場合、PPDUの正確な帯域幅は、RXVECTORのCH_BANDWIDTH_IN_NON_HTパラメータをさらに参照して決定することができる。場合によっては、非HT複製PPDUの正確な帯域幅を決定することが可能でないことがある。例えば、通常はCTSフレームが、非HT PPDUまたは非HT複製PPDUフォーマットで送信されて、レガシーデバイスに対して最大のNAV保護が保証される。
【0098】
CTSフレームは、TAフィールドさえ含まないため、CTSフレームが非HT複製フォーマットで送信される場合、CTSフレームによってカバーされる正確な帯域幅を決定することは不可能である。そのようなPPDUが受信され、STAがPPDUの正確な帯域幅を決定することができない場合、第3の実施形態によれば、基本NAV継続期間カウンタが非ゼロであるときにSTAの送信を許可しないためにSTAの動作チャネルのすべてがビジーとして記録されるようにOBSS_BW情報フィールドは設定される。これにより、STAが進行中のOBSS送信に誤って干渉を引き起こさないことが保証される。
【0099】
図21を参照すると、表2100は、HE STAによって発行されるPHY-CCA.indicationプリミティブのchannel-listパラメータの可能な値および意味を列挙している。channel-listパラメータの4つの既存のメンバ、すなわちprimary、secondary、secondary40、およびsecondary80に加えて、HE STAは、任意選択的にper20MHz bitmapを含むこともでき、その場合、0である、ビットマップの各ビットは、アイドル20MHzチャネルを示し、1である各ビットは、ビジー20MHzチャネルを示す。HE STAのPHY層が、このような20MHzの粒度でチャネル状態を示す能力を有する場合、STAは、代替的に、OBSS_BW情報フィールドを設定するためにper20MHz bitmapを使用することもできる。
【0100】
<第4の実施形態>
先に言及したように、場合により、STAが、受信したPPDUの正確な帯域幅を決定することが不可能であるかもしれないし、STAは、実施の容易さまたは他の理由から受信したPPDUの帯域幅情報を記録しないことを選択するかもしれない。他の場合には、NAVを設定するPPDUがプライマリ20MHzチャネルのみを占有するにしても、STAは、NAV継続期間中の非プライマリチャネルでの送信が推奨できない可能性があることを示す他の情報を所有するかもしれない。
【0101】
同様に、STAが、受信したPPDUの正確な帯域幅を決定することができなくても、近傍のOBSSに関するその履歴知識に基づいて、STAは、依然としてPPDUの帯域幅を正確に予測することができることが可能な場合もある。例えば、以前に受信したOBSSフレームに基づいて、STAは、特定のOBSSが20MHzプライマリチャネルでのみ動作すること、または特定のHE STAが20MHzのみのデバイスであることを知ることができる(STAとそのAPと間の能力交換中に受信されるフレームに基づいて)。STAは、時間とともにその近傍に関するそのような知識ベースを構築してもよく、また、PPDUが受信されたとき、基本サービスセット識別子(BSSID)または送信者/受信者アドレスなどのPPDU内の一部の関連フィールドに基づいて、STAは、NAV期間(すなわち、NAV継続期間カウンタが非ゼロである継続期間)中の非プライマリチャネルでのその送信が無害であるかどうかを判定することができる場合がある。
【0102】
第4の実施形態によれば、NAV設定PPDUの帯域幅情報を記録する代わりに、STAは、STAがNAV期間中に非プライマリ20MHzチャネルで送信することができるかどうかを示すフラグTX_Allowedを保持する。TX_Allowedフラグは、NAVと無関係に保持されてもよいし、NAVに密接に結び付けられてもよい。
【0103】
図22を参照すると、2200は、2オクテットを使用する第4の実施形態による、STAによって保持されるNAVを示す。IEEE802.11の仕様によれば、ほとんどの場合、STAは、正しい802.11フレームのMACヘッダ内の2オクテットの継続期間/IDフィールドの内容に基づいてそのNAVを更新する。継続期間値を搬送するために使用されるとき、継続期間/IDフィールドのビット15は0に設定され、一方、残りの15ビットはマイクロ秒単位で継続期間値を搬送する。場合によっては、HE STAは、NAVを更新するためにRXVECTOR内の7ビットのTXOP_DURATIONパラメータを使用することもできる。いずれの場合も、2210によって示されているように、NAV継続期間を記録するには15ビットで十分である。
【0104】
最後のビットB15は、TX_Allowed フラグ2220として使用される。TX_Allowedフラグの符号化は、表2230で説明されている。TX_Allowedフラグがゼロに設定されている場合に、NAV継続期間フィールド2210が非ゼロ値を示すとき、STAは送信を許可されない。それが1に設定されている場合、STAは、他の条件で許可されていれば(例えば、エネルギー検出(ED)ベースチャネル検知がまた非プライマリ20MHzチャネルをアイドルとして返していれば)、NAV期間中に非プライマリ20MHzチャネルで送信することができる。
【0105】
図23を参照すると、80MHzのBSSにおける第4の実施形態によるNAVの記録を視覚的に示すために一連の例示的なフレーム交換シーケンス2300が示されている。
【0106】
図23の上部は、可変帯域幅を有する3つの送信シーケンス、すなわち80MHzのTXOP1 2312、40MHzのTXOP2 2322、および20MHzのTXOP3 2332を示す。この例に関連する時点は、t0、t1、t2、t3、t4、およびt5によって示されている。進行中の送信の無線カバレッジ内にあり、かつこの送信の送信者でも目的の受信者でもないSTAは、その送信に関して第三者STAと見なされる。
【0107】
TXOP1 2312の最初のPPDU2310を受信すると、第三者STAは、例えば、PPDUによって搬送されたフレームのMACヘッダ内の受信者アドレスを読み取ることによって、またはPPDU2310で搬送されたトリガフレームのユーザ情報フィールドのAID12サブフィールドを読み取ることなどによって第三者STA自体がPPDU2310の目的の受信者ではないと判断する。STAは、既存のNAV規則に従って、STA自体がPPDU2310の受信者ではないと判断したら、PPDU2310の関連フィールドから保護継続期間をコピーし、NAV継続期間フィールド2210を例えば時間t0から時間t1までの時間期間に設定する。
【0108】
NAV継続期間を記録することに加えて、第4の実施形態によれば、STAはまた、プライマリ20MHzチャネルとは別の、その動作帯域幅内の他の20MHzチャネルでの送信が許容可能であるかどうかを予測する。STAは、NAV継続期間中の非プライマリチャネルでのその送信が無害であるかどうかを判定するために、PPDU2310の帯域幅、近傍のOBSSに関するその履歴知識、基本サービスセット識別子(BSSID)などのPPDU内の関連フィールド、または送信者/受信者のアドレスなどの情報を利用することができる。
【0109】
PPDU2310の場合、STAは、CH2、CH3、およびCH4においてTXOP1 2312の後続の送信への干渉の危険性が高いため、t0からt1までのNAV期間中に他の非プライマリ20MHzチャネルで送信することは推奨できないと予測し、したがって、TX_Allowed フラグ2220を0に設定する。これは、ボックス2314によって視覚的に示されている。同様に、PPDU2320を受信すると、STAは、NAV継続期間を、時間t2からTXOP2 2322の最後である時間t3までの時間期間に設定する。この場合もまた、STAは、CH2においてTXOP2 2322の後続の送信への干渉の危険性があるため、t2からt3までのNAV期間中に他の非プライマリ20MHzチャネルで送信することは推奨できないと予測し、したがって、TX_Allowed フラグ2220を0に設定する。これは、ボックス2324として示されている。
【0110】
同様に、PPDU2330を受信すると、STAは、NAV継続期間を、時間t4からTXOP3 2332の最後である時間t5までの時間期間に設定する。しかしながら、この時点で、STAは、NAV期間中の非プライマリ20MHzチャネルCH2、CH3、およびCH4でのその送信がTXOP3 2332の後続の送信に干渉しないと予測し、したがって、STAは、他の条件で許可されていればSTAがt4からt5までのNAV期間中に非プライマリ20MHzチャネルで送信できることを示す1にTX_Allowed フラグ2220を設定する。これは、ボックス2336によって視覚的に示されている。しかしながら、ボックス2334によって視覚的に示されているように、NAV期間中のプライマリ20MHzチャネルCH1での送信は禁止される。時間t5において、NAV継続期間カウンタがゼロになるとき、TX_Allowedフラグもゼロにリセットされる。
【0111】
図24は、第4の実施形態によってなされる、スペクトル再利用の改善を強調するように、さらに別のチャネル状態における例示的なUL MU送信シーケンス400を示す。STAがAP1(
図1の101)からトリガフレーム410を受信した瞬間、STA1、STA3、およびSTA4の無線カバレッジエリア内にプライマリ20MHzチャネルで進行中の送信はなく、STA1、STA3、およびSTA4のBSS内NAVと基本NAVとの両方がゼロに設定される。しかしながら、送信シーケンス2400によって示されているように、BSS2(
図1の145)ではSTA2の無線カバレッジエリア内にプライマリチャネルCH1で進行中のOBSS送信がある。
【0112】
AP2(102)およびSTA5(150)は、逆方向プロトコル(RDP:reverse direction protocol)を使用して双方向フレーム交換を行っている。AP2は、1に設定された逆方向許可(RDG:Reverse Direction Grant)/More PPDUフィールドとともにRDP A制御フィールドを含むPPDU2410をSTA5に送信する。そして、STA5は、PPDU2410からの時間SIFSの後にPPDU2420で応答する。AP2は、ACKフレーム2430をSTA5に送信することによってフレーム交換を終了する。
【0113】
PPDU2410を受信すると、STA2は、それがOBSS PPDUであると判断し、その基本NAVを送信シーケンス2400の最後までに設定する。STA2に対する図示のOBSS干渉は、
図5に示したものと比較してわずかに異なり、OBSS送信は、プライマリ20MHzチャネルCH1にのみ干渉する。しかしながら、元のUL MU CS規則の下では、STA2への干渉の影響はまったく同じである。基本NAVは非ゼロであるため、仮想CSは、ビジーを返し、エネルギー検出が、チャネルCH3およびCH4でアイドルを返しても、STA2は、チャネルCH3およびCH4の割り当てられたRUでHEトリガベースPPDU450を送信することを許可されない。
【0114】
第4の実施形態によれば、ビジー/アイドルの仮想CS状態が異なる20MHzチャネルに関して異なる仕方で考慮されるように仮想CS規則が修正される。少なくとも、仮想CSは、プライマリ20MHzチャネルと、STAの動作帯域幅内の残りの非プライマリ20MHzチャネルとに関して異なる仕方で考慮される。基本NAV継続期間カウンタが非ゼロであるとき、プライマリ20MHzチャネルは、仮想CSによって常にビジーとして示される。しかしながら、非プライマリ20MHzチャネルが仮想CSによってアイドルと見なされるかそれともビジーと見なされるかは、TX_Allowedフラグに依存する。TX_Allowedフラグが設定されていないとき、すなわちTX_Allowed フラグ2220が0であるとき、すべての非プライマリ20MHzチャネルもビジーとして示される。しかしながら、TX_Allowedフラグが設定されているとき、すなわちTX_Allowed フラグ2220が1であるとき、すべての非プライマリ20MHzチャネルはアイドルとして示される。
【0115】
図25の表2500は、
図24に示したUL MU送信シーケンス400中のSTA2に関して、第4の実施形態による修正されたUL MU CSメカニズムに関連する様々なパラメータを列挙している。表2500およびその内容は、CH2がアイドルであり、基本NAVを設定するPPDUの帯域幅情報を記録することによって各20MHzチャネルのビジー/アイドル状態を保持する代わりに、略語TX_A2510によって示されているようにTX_Allowedフラグだけが保持される点を除いて、
図8Bの表880とほぼ同じである。PPDU2410を受信すると、BSSカラー、RXVECTORのCH_BANDWIDTHパラメータなどの、PPDUからの関連フィールドに基づいて、STA2は、それがBSS間20MHz PPDUであると判断する。STA2はまた、BSS2が20MHzのみで動作するという履歴情報を有することができ、PPDU2410に含まれるフレームのBSSカラーまたはBSSIDに基づいて、STA2は、NAV期間中はOBSS送信がプライマリ20MHzチャネルCH1に制限されることを確実に予測することができる。したがって、STA2は、NAV期間中に非プライマリチャネルでそのUL MU PPDUを送信することが安全であると判断し、したがってTX_Allowed フラグ2220を1に設定する。
【0116】
第4の実施形態による仮想CS規則によれば、CH1は、ビジー2522として示されるが、TX_Allowed フラグ2220が1であるため、非プライマリチャネルCH2、CH3、およびCH4は、仮想CSによってアイドルとして示される。同様に、STA2が、トリガフレームを含むPPDU410の後のSIFS中にエネルギー検出(ED)ベースCCAを実行するとき、CH1はビジーとして示され、一方、3つの非プライマリチャネルCH2、CH3、およびCH4はアイドルとして示される。それぞれ記載2536、2534、2532、および2530によって示されているように、UL MU CSメカニズムは、仮想CSとエネルギー検出検知との両方の状態を考慮し、CH1をビジーとして示し、一方、CH2、CH3、およびCH4はアイドルと見なされる。CH3とCH4との両方がアイドルと見なされるため、修正されたUL MU CS送信規則によれば、STA2は、CH3およびCH4の割り当てられたRUでそのUL PPDU450を送信することを許可され、この結果、ワイヤレス媒体のより効率的な使用が促進される。
【0117】
第4の実施形態による仮想CS規則は、以下のように要約することができる。
- STAのアップリンク送信用に割り当てられたRUを含む各20MHzチャネルに関して、以下の条件のいずれかが満たされない限り、送信のためにトリガフレームによって要求されたSTAの仮想CSにおいてNAVが考慮される。
- NAVがBSS内フレームによって設定された。
- NAV継続期間カウンタがゼロである。
- 20MHzチャネルがプライマリ20MHzチャネルではなく、TX_Allowedフラグが1に設定されている。
【0118】
NAVが考慮されない場合、仮想CSは、20MHzチャネルに関してアイドルを示し、そうでない場合、仮想CSは、20MHzチャネルに関してビジーを示す。
【0119】
第4の実施形態によるUL MU CS規則は、以下のように要約することができる。
-トリガフレーム内のCS要求サブフィールドが1に設定されている場合、トリガフレーム後のSIFS時間中に、少なくとも、STAのUL MU送信用に割り当てられたRUを含む各20MHzチャネルに関して、STAは、トリガフレームに応答して、適切なエネルギー検出(ED)規則を使用するCCAおよび仮想CSの状態を考慮しなければならない。トリガフレームにおいて割り当てられたRUを含む20MHzチャネルがアイドルであると見なされるとき、STAは、HEトリガベースPPDUを送信することができる。STAが、割り当てられたRUを含む20MHzチャネルがすべてアイドルであるわではないことを検出した場合、STAは、割り当てられたRUで何も送信してはならない。
【0120】
図26は、第4の実施形態によるUL MU CS送信規則を説明するフローチャート2600を示す。1に設定されたCS要求フィールドを有するトリガフレームにおいてAPによってアップリンク送信のためにSTAにRUが割り当てられた広帯域チャネルの各20MHzチャネルに関して、UL MU CSプロセスがステップ2610で開始される。トリガフレームではCS要求フィールドが1に設定されているため、HEトリガベースPPDUを送信する前に、STAは、トリガフレームを含むPPDUの最後の直後のSIFS中に、少なくとも、割り当てられたRUを含む20MHzチャネルのすべてでUL MU CSを実行することを要求される。ステップ2620で、基本NAV継続期間カウンタがチェックされ、それがゼロである場合、プロセスはステップ2640に進み、そうでない場合、プロセスはステップ2630に進む。
【0121】
ステップ2630で、20MHzチャネルがプライマリ20MHzチャネルである場合、プロセスはステップ2660に進み、そうでない場合、それはステップ2650に進む。ステップ2650で、TX_Allowedフラグが0に設定されている場合、プロセスはステップ2660に進み、そうでない場合、それはステップ2640に進む。ステップ2640で、仮想CSは20MHzチャネルをアイドルとして通知し、プロセスはステップ2670に進む。ステップ2660で、仮想CSは20MHzチャネルをビジーとして通知し、プロセスはステップ2690に進む。
【0122】
ステップ2670で、STAは、トリガフレームを含むPPDUの最後の直後のSIFS時間中にエネルギー検出(ED)を使用してワイヤレス媒体を検知し、チャネルがビジーであると検知された場合、プロセスはステップ2690に進み、そうでない場合、プロセスはステップ2680に進む。ステップ2690で、20MHzチャネルは、UL MU送信に関してビジーであると見なされ、この20MHzチャネル関してプロセスは終了する。同様に、ステップ2670で、20MHzチャネルは、UL MU送信に関してアイドルであると見なされ、この20MHzチャネル関してプロセスは終了する。このプロセスは、少なくとも、アップリンク送信のためにSTAにRUが割り当てられた広帯域チャネルの各20MHzチャネルに関して繰り返される。トリガフレームにおいてSTAに割り当てられたRUを含む20MHzチャネルのすべてがアイドルであると見なされたとき、STAは、割り当てられたRUでそのHEトリガベースPPDUを送信することができる。
【0123】
図27を参照すると、例えば
図9に示したBSSの配置においてSTAの無線カバレッジ内に複数のOBSSがあるときの、TX_Allowedフラグの更新規則を視覚的に示すために一連の例示的なフレーム交換シーケンスが示されており、BSS1 100、BSS2 145、およびBSS3 900の3つのBSSのすべてが80MHzのBSSであると仮定されている。
図27の上部には、BSS2 145における異なる帯域幅の3つの送信シーケンス、すなわち80MHzのTXOP1 2710と、TXOP2 2720およびTXOP3 2730の2つの20MHzのTXOPとが示されている。同様に、
図27の下部には、BSS3 900における異なる帯域幅の3つの送信シーケンス、すなわちTXOP4 2740、TXOP6 2760の2つの20MHzのTXOPと、可変帯域幅のTXOP5 2750とが示されている。
図27の中央部は、第4の実施形態によって提案されているようにSTA2 120によって保持される基本NAVの視覚的説明を示す。この例に関連する時点はt0、t1、t2、t3、t4、t5、t6、t7、t8、t9、t10、およびt11によって示されている。
【0124】
TXOP1 2710の最初のPPDU2712を受信すると、PHYヘッダ内のBSSカラーフィールドまたはMACヘッダ内のBSSIDフィールドに基づいて、STA2は、PPDU2712がBSS2からのOBSS PPDUであり、STA2がPPDUの受信者の1つではないと判断する。NAV継続期間の更新に関する既存のNAV規則に従って、STA2は、基本NAV継続期間を時間t0から時間t2までに設定する。同時に、NAV期間中のその後のOBSS送信の予測に基づいて、STA2は、TX_Allowedフラグを0に設定する。
【0125】
TXOP4 2740の最初のPPDU2742を受信すると、STA2は、2742がBSS3からのOBSS PPDUであり、STA2がPPDUの受信者の1つではないと判断する。PPDU2742に示されている継続期間は既存のNAV継続期間よりも長いため、NAV時間の更新に関する規則に従って、STA2は、NAV継続期間を、TXOP4 2740の最後である時間t3までに更新する。STA2が、TXOP4 2740の帯域幅が20MHzのみであると判断しても、BSS2の送信シーケンス2710のその知識に基づいて、STA2は、延長されたNAV期間中も非プライマリチャネルでの送信を禁止し続けるべきであると判定し、したがって、TX_Allowedフラグに変更を加えない。
【0126】
同様に、TXOP2 2720の最初のPPDU2722を受信すると、STA2はPPDUの受信者の1つではないため、STA2は、NAV継続期間を時間t4から時間t7までに設定する。STA2は、TXOP2 2720の帯域幅が20MHzのみであると判断し、NAV期間中に非プライマリ20MHzチャネルでの送信が許可され得ることを示す1にTX_Allowedフラグを設定する。
【0127】
TXOP5 2750の最初のPPDU2752を受信すると、STA2は、2752がBSS3からのOBSS PPDUであり、それがPPDUの受信者の1つではないと判断する。2752に示されている継続期間が既存のNAV継続期間よりも短いため、NAV継続期間の更新に関するNAV規則に従って、STA2は、NAV継続期間を更新しない。しかしながら、PPDU2752の帯域幅は20MHzよりも広いため、STA2は、非プライマリチャネルでの送信によるOBSSへの干渉の危険性を予測し、したがって、TX_Allowedフラグを0に更新して、残りのNAV期間中に非プライマリチャネルで新しい送信を開始することを禁止する。しかしながら、PPDU2752の一部のフィールドまたはBSS3に関するその以前の知識(例えば、このPPDU2752が、20MHzのみのHEデバイス、すなわち、プライマリ20MHzチャネルでのみ動作する能力を有するデバイスからの応答のみを求めるフレームを含むこと)に基づいて、STA2が、TXOP5の帯域幅が20MHzに低減されると判断することができる場合、STA2は、TX_Allowedフラグを更新しないことを選択することもでき、これにより、NAV期間中の非プライマリ20MHzチャネルでの送信は許可され続ける。
【0128】
同様に、TXOP3 2730の最初のPPDU2732を受信すると、STA2はPPDUの受信者の1つではないため、STA2は、NAV継続期間を時間t8から時間t10までに設定する。STA2はまた、TXOP3 2730の帯域幅が20MHzのみであると判断し、NAV期間中に送信が許可され得ることを示す1にTX_Allowedフラグを設定する。
【0129】
TXOP6 2760の最初のPPDU2762を受信すると、STA2は、2762がBSS3からのOBSS PPDUであり、それがPPDUの受信者の1つではないと判断する。PPDU2762に示されている継続期間は既存のNAV継続期間よりも長いため、NAV継続期間の更新に関する規則に従って、STA2は、NAV継続期間を、TXOP6 2760の最後である時間t11までに更新する。TXOP6 2760の帯域幅も20MHzのみであるため、STA2は、TX_Allowedフラグを更新しないことを選択し、これにより、NAV期間中の非プライマリ20MHzチャネルでの送信が許可され続ける。時間t11において、NAV継続期間カウンタがゼロに達したとき、STA2は、TX_Allowedフラグをゼロにリセットする。
【0130】
TX_Allowedフラグの更新規則は、
図28のフローチャート2800によって要約される。プロセスは、NAV設定OBSS PPDUが受信されるステップ2810で開始される。ステップ2815で、基本NAV継続期間の現在値がゼロである場合、プロセスはステップ2870に進み、そうでない場合、それはステップ2820に進む。
【0131】
ステップ2820で、PPDUが基本NAVのNAV継続期間を増加させる場合、プロセスはステップ2830に進み、そうでない場合、プロセスはステップ2840に進む。ステップ2830で、PPDU内の関連する継続期間情報に従って(例えば、PHYヘッダ内のTXOP継続期間フィールドまたはMACヘッダ内の継続期間フィールドに基づいて)基本NAV継続期間が更新され、プロセスはステップ2840に進む。ステップ2840で、TX_Allowedフラグが1である場合、プロセスはステップ2850に進み、そうでない場合、プロセスは終了する。
【0132】
ステップ2850で、STAは、非プライマリ20MHzチャネルでのその送信がOBSS送信に干渉を引き起こす可能性があるかどうかを判断し、そうである場合、プロセスはステップ2860に進み、そうでない場合、プロセスは終了する。ステップ2860で、STAはTX_Allowedフラグを0に設定し、プロセスは終了する。
【0133】
ステップ2870で、受信したPPDUの帯域幅が20MHzであり、STAが、非プライマリ20MHzチャネルでのその送信がOBSS送信に干渉を引き起こさないと判断した場合、プロセスはステップ2880に進み、そうでない場合、プロセスはステップ2875に進む。ステップ2880で、STAは、TX_Allowedフラグを1に設定し、プロセスはステップ2885に進む。ステップ2875で、STAは、TX_Allowedフラグを0に設定し、プロセスはステップ2885に進む。ステップ2885で、PPDUが基本NAVのNAV継続期間を増加させる場合、プロセスはステップ2890に進み、そうでない場合、プロセスは終了する。ステップ2890で、PPDU内の関連する継続期間情報に従って(例えば、PHYヘッダ内のTXOP継続期間フィールドまたはMACヘッダ内の継続期間フィールドに基づいて)基本NAV継続期間が更新され、プロセスは終了する。
【0134】
図15および
図16を使用して上で説明したSTAの構成により、上で言及した、本開示の第3および第4の実施形態が実施され得ることは言うまでもない。
【0135】
前述の実施形態では、本開示は、例としてハードウェアで構成されているが、ハードウェアとソフトウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0136】
さらに、実施形態の説明に使用された機能ブロックは、一般的には、集積回路であるLSIデバイスとして実施される。機能ブロックは個々のチップとして形成されてもよいし、機能ブロックの一部または全部が単一チップに集積されてもよい。本明細書では「LSI」という用語を使用しているが、集積度に応じて「IC」、「システムLSI」、「スーパーLSI」、または「ウルトラLSI」という用語を使用することもできる。
【0137】
さらに、回路の集積化は、LSIに限定されず、LSI以外の専用回路または汎用プロセッサによって達成されてもよい。LSIの製造後に、プログラム可能なフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)またはLSI内の回路セルの接続または設定の再構成を可能にする再構成可能プロセッサが使用されてもよい。
【0138】
半導体技術またはこの技術から派生する他の技術の進歩の結果として、LSIに代わる回路集積技術が現れた場合、機能ブロックは、そのような技術を使用して集積されてもよい。別の可能性は、バイオテクノロジーなどの適用である。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本開示は、マルチチャネルワイヤレス通信システムで効率的な仮想キャリア検知(CS)を行うためにワイヤレス装置に適用され得る。
【符号の説明】
【0140】
1500 STA(局)
1502 受信部
1504 PPDUデコーダ
1506 メモリ
1508 送信部
1600 STA(局)
1610 電源
1620 メモリ
1630 中央処理装置(CPU)
1640 二次記憶装置
1650 ワイヤレス通信インタフェース
1652 MACモジュール
1654 キャリア検知モジュール
1656 NAV帯域幅ビットマップ
1658 NAV継続期間カウンタ
1660 PHYモジュール
1670 アンテナ