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特開2023-16248エレベーター、及びエレベーターの冠水管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016248
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】エレベーター、及びエレベーターの冠水管理システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/02 20060101AFI20230126BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
B66B5/02 G
B66B3/00 F
B66B3/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120441
(22)【出願日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】船山 健太郎
【テーマコード(参考)】
3F303
3F304
【Fターム(参考)】
3F303CB43
3F303DC27
3F304CA06
3F304EA01
3F304EB06
3F304ED07
3F304ED08
(57)【要約】
【課題】乗場から昇降路への水の流入を早期に対処し易くて昇降路の浸水被害を小さくし易いエレベーター等を提供すること。
【解決手段】エレベーター50が、敷居溝、及び敷居溝と下面とを連通させる敷居通路を有する敷居28、敷居溝に収容される溝内収容部を含んで、敷居溝に案内されるように移動する乗場扉4、敷居通路を下方に流動して敷居溝から下方に滴下した水の少なくとも一部を受け止める樋30、樋30を流れてきた水を収容する雨水桝31、雨水桝31に収容された水に基づいて冠水の有無を検出する乗場冠水センサ21、冠水の発生を報知可能な報知部、及び、乗場冠水センサ21からの信号に基づいて冠水が生じたと判定すると報知部に冠水が生じたことを報知させる制御盤を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
敷居溝、及び敷居溝と下面とを連通させる敷居通路を有する敷居と、
前記敷居溝に収容される溝内収容部を含んで、前記敷居溝に案内されるように移動する乗場扉と、
前記敷居通路を下方に流動して前記敷居溝から下方に滴下した水の少なくとも一部を受け止める樋と、
前記樋を流れてきた水を収容する水収容部と、
前記水収容部に収容された水に基づいて冠水の有無を検出する乗場冠水センサと、
前記冠水の発生を報知可能な報知部と、
前記乗場冠水センサからの信号に基づいて前記冠水が生じたと判定すると前記報知部に前記冠水が生じたことを報知させる制御装置と、
を備える、エレベーター。
【請求項2】
敷居溝、及び敷居溝と下面とを連通させる敷居通路を有する敷居と、
前記敷居溝に収容される溝内収容部を含んで、前記敷居溝に案内されるように移動する乗場扉と、
前記敷居通路を下方に流動して前記敷居溝から下方に滴下した水の少なくとも一部を受け止める樋と、
前記樋を流れてきた水を収容する水収容部と、
前記水収容部に収容された水に基づいて冠水の有無を検出する乗場冠水センサと、
前記乗場冠水センサが出力した冠水発生を表す信号に基づいて前記冠水が生じたことを表す信号を外部の1以上の情報処理装置に出力する出力部と、
を備える、エレベーター。
【請求項3】
前記樋は、前記敷居における奥行方向の昇降路側の壁面を伝って下方に流動する水の少なくとも一部を受け止めることが可能である、請求項1又は2に記載のエレベーター。
【請求項4】
前記水収容部に連通し、前記水収容部に収容された水を昇降路の側壁側で流出させるための1以上の水流出通路と、
前記側壁に固定され、前記水流出通路からの水を吸水可能な吸水部材と、
を備える、請求項1から3のいずれか1つに記載のエレベーター。
【請求項5】
前記敷居、前記樋、前記水収容部、及び前記乗場冠水センサの夫々が、各乗場に対応するように前記乗場の数と同じ数だけ設けられ、
カゴに設置された音声出力装置を備え、
1つのみの前記乗場冠水センサが冠水の発生を検知すると、前記カゴが、前記冠水の発生を検知した前記乗場冠水センサに対応する前記乗場に着床し、かつ、前記音声出力装置が、前記カゴが着床した前記乗場で冠水が生じていることを意味する文言を出力する、請求項1から4のいずれか1つに記載のエレベーター。
【請求項6】
前記敷居、前記樋、前記水収容部、及び前記乗場冠水センサの夫々が、各乗場に対応するように前記乗場の数と同じ数だけ設けられ、
カゴに設置された音声出力装置と、
前記各乗場に設けられ、カゴ呼釦及び乗場表示部を含む乗場操作盤と、
を備え、
1つのみの前記乗場冠水センサが冠水の発生を検知すると、前記冠水の発生を検知した前記乗場冠水センサに対応する前記乗場に設けられている前記乗場表示部を含む1以上の前記乗場表示部が、前記冠水の発生を検知した前記乗場冠水センサに対応する前記乗場で冠水が生じていることを意味する文言を表示する、請求項1から5のいずれか1つに記載のエレベーター。
【請求項7】
前記敷居、前記樋、前記水収容部、及び前記乗場冠水センサの夫々が、各乗場に対応するように前記乗場の数と同じ数だけ設けられ、
複数の前記乗場冠水センサが冠水の発生を検知すると、カゴが最上階の乗場に着床して休止状態又は待機状態となる、請求項1から6のいずれか1つに記載のエレベーター。
【請求項8】
前記1以上の水流出通路が、第1水流出通路と、前記第1水流出通路よりも上方に位置する第2水流出通路とを有し、
前記乗場冠水センサが前記冠水を検知する条件に、前記水収容部に流入する水の単位時間当たりの流入量が前記第1水流出通路から排出される水の単位時間当たりの排出量よりも大きいことが含まれる、請求項4に記載のエレベーター。
【請求項9】
複数の請求項2に記載のエレベーターと、
前記複数のエレベーターの運行を管理している情報センターの情報処理装置と、
を備え、
前記情報処理装置が、前記各エレベーターの前記1以上の情報処理装置に含まれ、
前記情報処理装置は、前記エレベーターの前記出力部から前記冠水が生じたことを表す信号を受信すると、その信号を出力した当該出力部を含む前記エレベーターに紐づけられていると共に人が携帯可能である1以上の携帯端末に、当該出力部を含む前記エレベーターで冠水が生じていることを表す信号を出力する、エレベーターの冠水管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーター、及びエレベーターの冠水管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベーターとしては、特許文献1に記載されているものがある。このエレベーターは、昇降路のピットに設置された冠水センサと制御盤を備える。冠水センサは、大雨時や乗場清掃時にピットに水が所定以上流入するとピットの冠水を表す冠水信号を制御盤に出力する。また、制御盤は、冠水センサから冠水信号を受信すると、カゴを最上階に停車させてカゴが冠水するのを防止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-161288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記エレベーターでは、冠水センサがピットの冠水を検出した時点で、ピットに所定深さの水が溜まった状態になっている。よって、水の排水処理、点検、機器交換等に労力や時間を要することがある。
【0005】
詳しくは、図6に示すように、エレベーターホール5に降込んだ大量の雨水10が乗場扉4の隙間から昇降路8内へ流れ込んで冠水したり、清掃作業員12がエレベーターホール5を清掃するためにバケツ13に入れた清掃水14をエレベーターホール5に撒いて清掃したとき、その一部が乗場扉4の隙間から昇降路8内へ流れ込んで冠水する場合がある。
【0006】
係る場合において、エレベーターのカゴ2が、雨水10や清掃水14が入り込んでくる階より下方階に待機していれば、カゴ2の上方からカゴ上に雨水10等が降りかかることになる。カゴ2内に乗客11が居れば、カゴ室に浸入した雨水10や清掃水14に気付いてエレベーターの管理会社等に連絡が行われる。しかし、大雨に起因する冠水に関し、カゴ2内に誰もいない時は、カゴ上機器6が冠水しても、ピット3に所定量の雨水10が溜まってピット冠水センサ7が動作するまでは、カゴ上の冠水状態が長期間持続することになる。ピット3に大量の雨水10が流れ込んでピット冠水センサ7が動作した後は、図7に示すように、カゴ2は冠水防止のために最上階9まで移動して休止状態を維持するが、この時にはカゴ上機器6がかなり冠水した状態になっている。
【0007】
したがって、上記エレベーターでは所定量の雨水10がピット3に溜まるまでピット冠水センサ7が動作しないので、エレベーターの冠水に気付くのが遅れ、エレベーターの機器、例えば、基板に実装されている電子部品等に影響を及ぼす虞がある。また、乗場1から浸入した雨水10が昇降路8内に飛び散ることにより冠水の範囲が広くなりピット冠水センサ7が動作する量の雨水10がピット3に溜まるまでの時間が長くなり易く、その結果、水の排水処理、点検、機器交換等に大きな労力が必要になり易い。
【0008】
そこで、本開示の目的は、乗場から昇降路への水の流入を早期に対処し易くて昇降路の浸水被害を小さくし易いエレベーター、及びエレベーターの冠水管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本開示に係るエレベーターは、敷居溝、及び敷居溝と下面とを連通させる敷居通路を有する敷居と、前記敷居溝に収容される溝内収容部を含んで、前記敷居溝に案内されるように移動する乗場扉と、前記敷居通路を下方に流動して前記敷居溝から下方に滴下した水の少なくとも一部を受け止める樋と、前記樋を流れてきた水を収容する水収容部と、前記水収容部に収容された水に基づいて冠水の有無を検出する乗場冠水センサと、前記冠水の発生を報知可能な報知部と、前記乗場冠水センサからの信号に基づいて前記冠水が生じたと判定すると前記報知部に前記冠水が生じたことを報知させる制御装置と、を備える。
【0010】
本開示によれば、何らかの理由で乗場に流入した水を、敷居溝、敷居通路、樋を介して水収容部に収容でき、乗場冠水センサが、水収容部に収容した水に基づいて冠水の有無を検知する。したがって、水収容部の容積を、ピットの所定深さの容積と比較して各段に小さくできるので、ピットに設置されたピット冠水センサのみで冠水を検知する場合と比較して、各段に短い時間で冠水を検知でき、冠水の初期状態で冠水を検知できる。その結果、ピットに設置されたピット冠水センサのみで冠水を検知する場合と比較して各段に早い段階で報知部に冠水の発生を報知させることができるので、人が冠水の発生を各段に早い段階で認識できる。よって、乗場から昇降路への水の流入に早期に対処し易くて昇降路の浸水被害を小さくでき、水の排水処理、点検、機器交換等に要する労力や時間を低減し易い。
【0011】
また、本開示に係る別の態様のエレベーターは、敷居溝、及び敷居溝と下面とを連通させる敷居通路を有する敷居と、前記敷居溝に収容される溝内収容部を含んで、前記敷居溝に案内されるように移動する乗場扉と、前記敷居通路を下方に流動して前記敷居溝から下方に滴下した水の少なくとも一部を受け止める樋と、前記樋を流れてきた水を収容する水収容部と、前記水収容部に収容された水に基づいて冠水の有無を検出する乗場冠水センサと、前記乗場冠水センサが出力した冠水発生を表す信号に基づいて前記冠水が生じたことを表す信号を外部の1以上の情報処理装置に出力する出力部と、を備える。
【0012】
本開示によれば、何らかの理由で乗場に流入した水を、敷居溝、敷居通路、樋を介して水収容部に収容でき、乗場冠水センサが、水収容部に収容した水に基づいて冠水の有無を検知する。したがって、水収容部の容積を、ピットの所定深さの容積と比較して各段に小さくできるので、ピットに設置されたピット冠水センサのみで冠水を検知する場合と比較して、各段に短い時間で冠水を検知でき、冠水の初期状態で冠水を検知できる。その結果、ピットに設置されたピット冠水センサのみで冠水を検知する場合と比較して、各段に早い段階で冠水の発生の情報を外部に出力でき、例えば、エレベーターを管理している人に各段に早い段階で冠水の発生を知らせることができる。よって、乗場から昇降路への水の流入に早期に対処し易くて昇降路の浸水被害を小さくでき、水の排水処理、点検、機器交換等に要する労力や時間を低減し易い。
【0013】
また、本開示において、前記樋は、前記敷居における奥行方向の昇降路側の壁面を伝って下方に流動する水の少なくとも一部を受け止めることが可能でもよい。
【0014】
本構成によれば、敷居溝を乗り越えた水の大部分を樋内に収容できる。したがって、大雨時等の水量が多い冠水時に昇降路に飛散する水を抑制できると共に、冠水の発生を短時間で検出し易い。
【0015】
また、本開示において、前記水収容部に連通し、前記水収容部に収容された水を昇降路の側壁側で流出させるための1以上の水流出通路と、前記側壁に固定され、前記水流出通路からの水を吸水可能な吸水部材と、を備えてもよい。
【0016】
ピットに設置されたピット冠水センサのみで冠水を検知する場合、ピット冠水センサが冠水を検知した時点で、昇降路内に浸水した水が昇降路内に広範囲に飛散して水による被害が広範囲に及び易い。
【0017】
これに対し、本構成によれば、乗場に流入した水を、敷居溝、敷居通路、樋、水収容部、及び水流出通路を介して吸水部材に効率的に案内でき、乗場に流入した水が広範囲に広がることを抑制できる。したがって、水の排水処理、点検、機器交換等に要する労力及び時間を更に短縮し易い。更に述べると、乗場に流入した水が少ない場合は、吸水部材で吸水した水を吸水部材で自然蒸発させることができる。よって、水の排水処理、点検、機器交換等を省略でき、乗場から昇降路への水の流入に対する如何なる対処も行う必要がないようにできる。
【0018】
また、本開示において、前記敷居、前記樋、前記水収容部、及び前記乗場冠水センサの夫々が、各乗場に対応するように前記乗場の数と同じ数だけ設けられ、カゴに設置された音声出力装置を備え、1つのみの前記乗場冠水センサが冠水の発生を検知すると、前記カゴが、前記冠水の発生を検知した前記乗場冠水センサに対応する前記乗場に着床し、かつ、前記音声出力装置が、前記カゴが着床した前記乗場で冠水が生じていることを意味する文言を出力してもよい。
【0019】
乗場毎に乗場に対応する乗場冠水センサを昇降路内における乗場周辺に設置する場合において、1の乗場冠水センサのみが冠水の発生を検知した場合、その乗場冠水センサに対応する乗場において特殊な事情、例えば、その乗場の水を用いた清掃等によって、冠水が生じている可能性が高い。
【0020】
本構成によれば、1つのみの乗場冠水センサが冠水の発生を検知すると、カゴが、冠水の発生を検知した乗場冠水センサに対応する乗場に着床し、かつ、音声出力装置が、カゴが着床した乗場で冠水が生じていることを意味する文言を出力する。したがって、その文言の出力によって、当該特殊な事情でその乗場で冠水が生じていることをその乗場にいる人に伝えることができ、例えば、水を用いてその乗場の清掃を行っている人に冠水が起こっていることを知らせることができる。よって、音声出力装置を各乗場に新たに設けることなしに、カゴ内に設置されている既存の音声出力装置を用いてその乗場にいる人に冠水の発生を伝えることができ、その階の冠水に早期に対処することが可能になる。
【0021】
また、本開示において、前記敷居、前記樋、前記水収容部、及び前記乗場冠水センサの夫々が、各乗場に対応するように前記乗場の数と同じ数だけ設けられ、カゴに設置された音声出力装置と、前記各乗場に設けられ、カゴ呼釦及び乗場表示部を含む乗場操作盤と、を備え、1つのみの前記乗場冠水センサが冠水の発生を検知すると、前記冠水の発生を検知した前記乗場冠水センサに対応する前記乗場に設けられている前記乗場表示部を含む1以上の前記乗場表示部が、前記冠水の発生を検知した前記乗場冠水センサに対応する前記乗場で冠水が生じていることを意味する文言を表示してもよい。
【0022】
本構成によれば、特定の乗場で冠水が生じていることを、1以上のカゴ呼釦及び乗場表示部を含む乗場操作盤を用いて早期に報知することができ、人が冠水発生階の乗場を特定し易い。
【0023】
また、本開示において、前記敷居、前記樋、前記水収容部、及び前記乗場冠水センサの夫々が、各乗場に対応するように前記乗場の数と同じ数だけ設けられ、複数の前記乗場冠水センサが冠水の発生を検知すると、カゴが最上階の乗場に着床して休止状態又は待機状態となってもよい。
【0024】
敷居、樋、水収容部、及び乗場冠水センサの夫々が、各乗場に対応するように乗場の数と同じ数だけ設けられている場合において、複数の乗場冠水センサが冠水を検知した場合には、大雨による冠水の可能性が高い。
【0025】
本構成によれば、複数の乗場に対応する複数の乗場冠水センサが冠水を検知すると、カゴが最上階の乗場に着床して休止状態又は待機状態となる。したがって、大雨の際にカゴ上に設置された機器が乗場からの雨水で損傷することを抑制できる。
【0026】
また、本開示において、前記1以上の水流出通路が、第1水流出通路と、前記第1水流出通路よりも上方に位置する第2水流出通路とを有し、前記乗場冠水センサが前記冠水を検知する条件に、前記水収容部に流入する水の単位時間当たりの流入量が前記第1水流出通路から排出される水の単位時間当たりの排出量よりも大きいことが含まれてもよい。
【0027】
本構成によれば、第1水流出通路から排出される水の単位時間当たりの最大排出量を調整することで、当該最大排出量が水収容部へ流入する水の単位時間当りの流入量よりも大きい場合に、乗場冠水センサが冠水を検知することなしに、第1水流出通路から排出された水を吸水部材に吸水させた後に自然乾燥させることができる。したがって、乗場に流入した水の量が少ない場合に人に一切手間をかけることなしに、当該水を自動的に処理することができる。
【0028】
一方、水収容部へ流入する水の単位時間当りの流入量が上記最大排出量よりも大きい場合には、乗場冠水センサに冠水を検知させた上で、第1及び第2水流出通路が排出した水を、吸水部材に吸水させた後に吸水部材内を流下させた上でピットに流入させることができる。よって、この場合においては、人に冠水の発生を報知できると共に、水の流れを制御できて、水が昇降路内に広範囲に飛散することを抑制でき、その結果、水の排水処理、点検、機器交換等に要する労力及び時間を短縮できる。
【0029】
また、本開示に係るエレベーターの冠水管理システムは、複数の上記別の態様のエレベーターと、前記複数のエレベーターの運行を管理している情報センターの情報処理装置と、を備え、前記情報処理装置が、前記各エレベーターの前記1以上の情報処理装置に含まれ、前記情報処理装置は、前記エレベーターの前記出力部から前記冠水が生じたことを表す信号を受信すると、その信号を出力した当該出力部を含む前記エレベーターに紐づけられていると共に人が携帯可能である1以上の携帯端末に、当該出力部を含む前記エレベーターで冠水が生じていることを表す信号を出力する。
【0030】
本開示によれば、いずれのエレベーターで冠水が発生すると、情報処理装置を介して、その冠水が発生したエレベーターに紐づけられている1以上の携帯端末に対応するエレベーターの冠水情報を送信できる。したがって、1以上の携帯端末の所有者等に対応するエレベーターで冠水が発生していることを報知できて、例えば、現地管理人及び当該エレベーターのメンテナンス担当者等に当該エレベーターで冠水が発生していることを知らせることができる。よって、乗場から昇降路への水の流入を早期に対処し易くて昇降路の浸水被害を小さくし易い。
【発明の効果】
【0031】
本開示に係るエレベーター及びエレベーターの冠水管理システムによれば、乗場から昇降路への水の流入を早期に対処し易くて昇降路の浸水被害を小さくし易い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】エレベーターの冠水管理システムの一例における情報の伝達方法を説明するための図である。
図2】エレベーターにおける乗場の周辺構造を説明する図である。
図3図2における矢視A部の構造を説明する模式図であり、昇降路における乗場周辺の構造を説明する図である。
図4】昇降路の乗場冠水センサの周辺領域を昇降路の幅方向の片側から見たときの図であり、エレベーターにおける昇降路内の排水動作について説明する模式断面図である。
図5】冠水管理システムにおける冠水対処の手順の一例を説明するフローチャートである。
図6】参考例のエレベーターの概略構成図である。
図7】上記参考例のエレベーターの冠水時の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下の実施例では、図面において同一構成に同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、複数の図面には、模式図が含まれ、異なる図間において、各部材における、縦、横、高さ等の寸法比は、必ずしも一致しない。また、本明細書で、「略~」という要件は、人がだいたい~のように見えれば満たされる。例を挙げれば、略平行という要件は、人がだいたい平行に見えれば満たされる。
【0034】
図1は、エレベーター50の冠水管理システム15の一例における情報の伝達方法を説明するための図である。なお、冠水管理システム15は、複数のエレベーター50を備えるが、図1には、エレベーター50を1つのみ図示している。複数のエレベーター50は、同様の構成を有する。以下では、エレベーター50に関しては、図1に図示されているエレベーター50を用いて構造及び動作を説明する。
【0035】
図1に示すように、冠水管理システム15は、複数のエレベーター50の他に情報処理装置24を備える。各エレベーター50は、カゴ2、各階乗場に設置される乗場表示部20b、各乗場周辺の昇降路部分に設置されて各階乗場の冠水の有無を検知する乗場冠水センサ21、昇降路の下側を構成するピットに設置されてピットの冠水の有無を検知するピット冠水センサ7、エレベーター50に関する情報を情報処理装置24に送信するときに用いられる通信機器22a、及びエレベーター50の各機器を制御する制御装置としての制御盤16を備える。カゴ2内には、音声出力装置であるカゴ内インターフォン18と、自動音声を生成して出力するアナウンス装置19が設けられている。アナウンス装置19は、報知部に含まれ、通信機器22aは、出力部に含まれる。
【0036】
情報処理装置24は、複数の施設37の管理を広域的に行っている保守メンテナンス会社の情報センターに設置された情報処理装置である。ここで、複数の施設は、例えば、デパート、ホテル、オフィスビル、大学、及び美術館等のうちの1以上を含んでもよい。情報処理装置24は、エレベーター50に関する情報を、制御盤16、エレベーター側の通信機器22a、通信回線23a、及び情報処理装置側の通信機器22bを介して受信する。後で詳述するが、情報処理装置24は、エレベーター50から冠水に関する情報を受信すると、該エレベーター50に関して紐付けされている1以上の携帯端末27にその冠水に関する情報を、通信機器22b、及び通信回線23bを介して送信し、携帯端末27の携帯者にその情報を報知するようになっている。通信回線23a及び通信回線23bの夫々は、専用回線及びインターネットのうちの少なくとも一方を含んでもよい。
【0037】
次に各機器の構造及び動作をより詳しく説明する。乗場表示部20bは、各階乗場に設けられる乗場操作盤20に設置される。乗場操作盤20には、カゴ呼釦20aが設けられている。乗場表示部20bは、例えば、乗場操作盤20におけるカゴ呼釦20aよりも上方の位置に配置される。乗場表示部20bは、例えば、液晶パネルや有機ELパネル等で構成される。乗場表示部20bは、制御盤16に制御されることで冠水が生じている階を特定できる文言、例えば、「8階乗場で冠水発生中」等を表示可能になっており、また、単に冠水が生じていることを表す文言、例えば、「冠水発生中」等を表示可能になっている。乗場表示部20bは、報知部に含まれる。
【0038】
乗場冠水センサ21及びピット冠水センサ7の夫々は、水の水位が所定水位以上になったことを検知できる公知の如何なる水位センサで構成されてもよい。乗場冠水センサ21及びピット冠水センサ7の夫々は、例えば、フロートを上方に押し上げる検査機構を備えたフロート式液面計で構成されてもよく、又は、容器内に設けられ、液体の液面の位置に応じて移動するフロートと、該フロートを揺動自在に支持するアームとを備えた点検機構付液面計で構成されてもよい。乗場冠水センサ21の設置場所については、後で図4を用いて詳細に説明する。
【0039】
通信機器22aは、アンテナ又はケーブルが接続される端子を含んでもよく、更に、VPN(バーチャル・プライベート・ネットワークルータ)ルータを含んでもよく、VPNルータを介して情報処理装置24に信号を出力してもよい。VPNルータは、パケットの宛先を調べ、インターネット宛のパケットの場合、そのままインタネットサービスプロバイダ経由でインターネットに送り出し、対向拠点のプライベートアドレス宛のパケットの場合、トンネリングや暗号化などのVPNの処理を施す。
【0040】
例えば、IP(International Protection)パケットの暗号化や認証を実行するIPセキュリティでは、「トンネルモード」と呼ばれる通信モードを用いてVPNを構築してもよい。VPNルータは、インターネットを介して繋がる複数のLANを統合して接続し、ひとつのネットワークにする役割を果たす。よって、VPNルータを用いれば、インターネットを介して繋がる複数の所定の機器を、同一のネットワークに属するようにできる。
【0041】
通信機器22bは、アンテナ又はケーブルが接続される端子を含んでもよく、更には、VPNルータ、及びゲートウェイを含んでもよい。ここで、VPNルータは、上記VPNルータと同様の役割を果たし、ゲートウェイは、データ形式を自動的に変換し、プロトコルの異なるネットワーク間でのデータのやり取りを可能にするために設けられる。また、携帯端末27がスマートフォンである場合には、情報処理装置24は、例えば、携帯電話アダプタ、アダプタ用ルータ、及びインターネット経由で携帯端末27に信号を出力する。ここで、携帯電話アダプタは、情報処理装置24を携帯電話に接続できるようにする機器である。
【0042】
カゴ内インターフォン18は、非常時等にカゴ2外にいる人とカゴ2内にいる人が通話をするために設けられる。また、アナウンス装置19は、制御盤16による制御で合成音を生成する音声生成部(図示せず)と、音声生成部に電気的に接続されたスピーカ(音出力部)とを有する。合成音が、制御盤16からの信号に基づいて音声生成部で合成され、その合成音による自動音声が、スピーカから出力される。アナウンス装置19が出力する合成音(自動音声)は、冠水が起こっていることを人に報知できる音声、例えば、「冠水しています」等である。なお、アナウンス装置は、カゴ外に設置されてもよく、制御盤からの制御によって合成音(自動音声)を生成して、その合成音がカゴ内インターフォン18のスピーカからカゴ内に出力される構成でもよい。又は、アナウンス装置19のスピーカとして、カゴ内インターフォン18のスピーカを利用してもよく、カゴ内インターフォン18とアナウンス装置19は、スピーカを兼用してもよい。
【0043】
次に、乗場冠水センサ21の設置構造、及びエレベーター50の乗場冠水時の動作等について説明する。図2は、エレベーター50における乗場の周辺構造を説明する図であり、図3は、図2における矢視A部の構造を説明する模式図であり、昇降路における乗場周辺の構造を説明する図である。また、図4は、昇降路8の乗場冠水センサ21の周辺領域を昇降路8の幅方向の片側から見たときの図であり、エレベーター50における昇降路内の排水動作について説明する模式断面図である。
【0044】
図2及び図3に示すように、エレベーター50は、各乗場1の敷居28の下方に樋30を有する。樋30は、固定手段、例えば、締結手段、溶接部、又は接着剤等によって敷居28の下端部に固定される。樋30は、敷居28と略平行に延び、昇降路8の幅方向に延在する。図3に示すように、敷居28は、幅方向に延在する敷居溝29を有する。この敷居溝29は、乗場扉4(図4参照)において敷居溝29内に収容される溝内収容部を構成するシュー(図示せず)をガイドすることで乗場扉4を安定に移動させるために設けられる。敷居28は、更に複数の敷居通路33を有する。複数の敷居通路33は、上記幅方向に間隔をおいて設けられ、鉛直方向に延在する。敷居通路33は敷居溝29と敷居28の下面28aとを連通する。
【0045】
鉛直方向から見たとき樋30の内面は、全ての敷居通路33に重なると共に、敷居28の奥行方向の昇降路側の壁面(端面)28bに重なる箇所に配置される。樋30の開口における奥行方向の最も奥側に位置する端30aは、壁面28bにおいて奥行方向の最も奥側に位置する箇所よりも奥行方向の奥側に位置している。このことから、樋30は、敷居溝29、及び敷居通路33を下方に流動して敷居溝29から下方に滴下した矢印aで示す水の殆どを受け止めることができると共に、敷居28における奥行方向の昇降路側の壁面28bを伝って下方に流動する矢印bで示す水の殆ども受け止めることができる。エレベーター50においては、乗場扉4が円滑に移動しなくなることを抑制するために、敷居28に敷居溝29に入り込んだ異物を昇降路側に落下させる1以上の異物排除孔を設ける場合がある。異物排除孔は、敷居溝と敷居の下面とを連通する。敷居通路33は、そのような異物排除孔と一致してもよく、この場合、敷居通路33を新たに設ける必要がない。
【0046】
図4に示すように、エレベーター50は、更に、水収容部を構成する雨水桝31、及び吸水部材35を備える。図示しないが、雨水桝31は、例えば、固定手段、例えば、締結手段、溶接部、又は接着剤等によって敷居28の下端部や昇降路8の壁部に固定される。雨水桝31は、水を収容する水収容室31aを有する。樋30は、延在方向の一方側の開口が封鎖され、延在方向の他方側の開口は、鉛直方向から見たとき水収容室31aの上側開口に重なっている。このことから、水収容室31aには、樋30を流動した水が流入するようになっている。なお、樋30の底において最も鉛直方向高さが低い位置の鉛直方向高さが、延在方向の一方側の端から延在方向の他方側の端(延在方向の雨水桝31側の端)に行くにしたがって徐々に低くなっていると、樋30に収容した水を雨水桝31側に円滑に流動させることができて好ましい。なお、樋30を流動した水が、水収容室31aに流入できるのであれば、樋30の他方側の開口は、鉛直方向から見たときに必ずしも水収容室31aの上側開口に重なっていなくてもよい。
【0047】
水収容室31aには、1以上の水流出通路32が連通し、各水流出通路32は、水収容室31a内の水を、昇降路8における幅方向の片側の側壁34に向けて排出する。1以上の水流出通路32には、第1水流出通路32aと、第1水流出通路32aよりも上方に位置する第2水流出通路32bが含まれる。吸水部材35は、水を吸水して保水する性質を有する材質、例えば、吸水性のスポンジ等で構成される。
【0048】
吸水部材35は、昇降路8における幅方向の片側の側壁34に固定手段、例えば、締結部材や接着剤で固定される。吸水部材35は、例えば、最も高い階の乗場1に対応する雨水桝31に連通する1以上の水流出通路32のうちで一番上側に配置される水流出通路32と同程度の高さからピット3まで高さ方向に連続的に設置される。吸水部材35は、一体に構成されると好ましいが、互いに間隔をおいて配置される複数の部分を含んでもよい。吸水部材35は、各水流出通路32が排出した水を受け止めることが可能な位置に設置される水受止部を含む。ここで、水受止部の数は、エレベーター50が有する水流出通路32の数と一致する。
【0049】
乗場冠水センサ21は、水収容室31aの水位を検出する。乗場冠水センサ21は、水収容室31aの水位が所定水位になると、乗場1が冠水したことを意味する信号を信号線21aを介して制御盤16に出力する。なお、図4に示すように、水収容室31aは、樋30からの水が流入する第1水収容室31bと、乗場冠水センサ21によって水位が検出される第2水収容室31cと、第1水収容室31bの下端部と第2水収容室31cの下端部とを連結する連結通路31dとを含んでもよい。このようにすると、樋30からの水が乗場冠水センサ21に直接衝突することを防止できて乗場冠水センサ21の挙動を安定させることができると共に、水収容室31aの容積も低減できる。したがって、乗場冠水センサ21で乗場の冠水を早期かつ正確に検出することができる。
【0050】
次に冠水管理システム15における動作の一例について説明する。図5は、冠水管理システム15における冠水対処の手順の一例を説明するフローチャートである。図5を参照してエレベーター50が施設に適切に設置されて稼働状態になるとフローがスタートして、制御盤16が、各階の乗場冠水センサ21の動作の有無を判断し、少なくとも1つの乗場冠水センサ21が動作している場合は、その動作時間を確認する(S101)。
【0051】
例えば、エレベーター50が、図示しないタイマーを備える。制御盤16は、そのタイマーと情報をやり取りすることで当該動作時間を確認する。次に、制御盤16は、ピット3のピット冠水センサ7の動作の有無を確認し(S102)、更に、乗場冠水センサ21とピット冠水センサ7の動作判定により、いずれも動作していないか、いずれも動作しているか、又は、乗場冠水センサ21のみが動作しているかを判定する(S103)。
【0052】
乗場冠水センサ21とピット冠水センサ7のいずれも動作していない時は、エレベーター50は、正常運転を継続する。通常、冠水する時は、乗場冠水センサ21が動作し、その後時間が経過してピット冠水センサ7の動作となるため、ピット冠水センサ7と乗場冠水センサ21の両方が動作している場合は冠水状態が進んだ最終状態である。この場合、制御盤16が、最上階9にカゴ2を移動させて動かないように休止させ(S201)、フローがエンドとなる。
【0053】
次に、乗場冠水センサ21のみ動作している場合は、その乗場冠水センサ21に対応する乗場1の前のエレベーターホール5から雨水10等が浸入している状況であり、大雨による雨水10の浸入なのか清掃作業員12による清掃水14の浸入なのかを判定する(S104)。複数の階の乗場冠水センサ21が動作している場合は、大雨による冠水と考えられるので、カゴ2を最上階9へ移動して休止処置を行い、乗場冠水センサ21の動作階の乗場表示部20bに、冠水が起こったことを意味する文言、例えば「冠水中」等を表示させる。
【0054】
また、制御盤16の演算装置17から通信機器22a,22bを経由して情報センターの情報処理装置24ヘデータを送信し、情報処理装置24から通信機器22bを経由して現地管理人25および現場担当者26の携帯端末27へ冠水情報を送信する。情報を受信した現地管理人25は各階の乗場表示部20bを確認して、乗場表示部20bに例えば「冠水中」と表示されている階の乗場1に、止水板や土のうを設置して冠水防止を図り(S202)、その後、フローがエンドとなる。
【0055】
なお、演算装置17は、コンピュータ、例えば、マイクロコンピュータによって好適に構成され、制御部と、記憶部を含む。制御部、すなわち、プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む。また、記憶部は、ハードディスクドライブ(HDD)や、半導体メモリ等で構成され、半導体メモリは、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリや、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリで構成される。記憶部は、一つのみの記憶媒体で構成されてもよく、複数の異なる記憶媒体で構成されてもよい。CPUは、記憶部に予め記憶されたプログラム等を読み出して実行する。また、不揮発性メモリは、制御プロラムや所定の閾値等を予め記憶する。また、揮発性メモリは、読み出したプログラムや処理データを一時的に記憶する。
【0056】
また、この場合において、動作階の乗場表示部20bのみに冠水が起こったことを意味する文言を表示させる代わりに、全ての階の乗場表示部20bに、乗場冠水センサ21の動作階を特定できる情報と共にその動作階で冠水が生じていることを表す情報を表示させてもよく、例えば、全ての階の乗場表示部20bに「3階及び8階で冠水が発生」等と表示してもよい。この変形例によれば、人が1つの乗場表示部20bの表示を確認するだけで、冠水が生じている乗場を特定できる。
【0057】
一方、特定の階のみで1つの乗場冠水センサ21が動作しているときは、特定の階での清掃作業員12による冠水か、ビルの環境による特定の階のみの冠水か、その乗場冠水センサ21の動作している時間で判定する(S105)。乗場冠水センサ21が所定の時間より短い時間のみ動作している場合は、清掃作業員12がバケツ13に入った清掃水14、例えば、10リッターのバケツ13の清掃水14をエレベーターホール5に撒き、その清掃水14の一部が一時的に昇降路8に浸入したと考えられる。
【0058】
この場合は、乗場1で作業している清掃作業員12に冠水していることを知らせる必要がある。その場合、先ず、制御盤16が、カゴ2を乗場冠水センサ21が動作した階へ移動させ、その階の乗場表示部20bに例えば「冠水中」と表示させ、また、アナウンス装置19に冠水を意味する音声、例えば、「冠水しています」等の音声を出力させる。このようにして、清掃作業員12に注意を促す。この警告動作が終了したら、制御盤16は、カゴ上機器6の冠水を防止するためにカゴ2を最上階9へ移動させてカゴ2を最上階9に待機させ(S203)、フローがエンドとなる。
【0059】
図2には、S203の動作が図示されている。図2に示すように、特定階のエレベーターホール5に清掃作業員12がバケツ13で清掃水14を撒き、その一部が乗場1から浸入した場合、特定の階の乗場冠水センサ21が動作して冠水管理システム15によりカゴ2が乗場冠水センサ21の動作階へ移動して清掃作業員12へ音声にて注意を促し、乗場表示部20bへ表示を行った後に最上階9で待機する。
【0060】
他方、乗場冠水センサ21が所定の時間より長い時間動作している場合は、特定の階が大雨により冠水していると考える。例えば、階段を伝わってきた雨水10が最下階で行き場がなくなりエレベーターホール5からエレベーター50の昇降路8に浸入している場合等が考えられる。この場合も、上述のS202を実施して、乗場冠水センサ21の動作階の乗場表示部20bに例えば「冠水中」と表示させると共に、現地管理人25および現場担当者26の携帯端末27へ冠水情報を送信して、乗場表示部20bに例えば「冠水中」と表示されている階の乗場1に、止水板や土のうを設置して冠水防止を図る。そして、その後、フローがエンドとなる。
【0061】
次に、図4を用いて、乗場1からの雨水10等の浸入を検出する方法の一例をより詳細に説明する。図4を参照して、乗場1の前のエレベーターホール5から流れ込む雨水10等は、乗場1の敷居28に沿って昇降路8側へ浸入し、敷居28の奥行方向の奥側の壁面28b及び敷居溝29を通って、敷居28下に設置された一定傾斜を有する樋30内に流入する。樋30に流入した雨水10は、雨水桝31に集められる。これにより、乗場1から浸入した雨水10等が昇降路8内に飛び散ることを防止する。
【0062】
雨水桝31は、1つの雨水10の流入口を有する。また、本実施形態では、雨水桝31に連通する第1水流出通路32aの単位時間当りの最大の水排出量は、雨水桝31に連通する第2水流出通路32bの単位時間当りの最大の水排出量よりも小さくなっている。また、乗場冠水センサ21としては、水が雨水桝31の所定水位まで溜まると動作するフロートスイッチが採用されている。
【0063】
(雨水桝31に流入する水の単位時間当りの水量)<(第1水流出通路32aから排出される水の単位時間当りの水量)・・・(1)
が成立するときには、流入する雨水10は、乗場冠水センサ21を動作させることなく第1水流出通路32aから昇降路8内に排出される。そして、排水された雨水10は昇降路8の側壁34に取り付けられた吸水部材35に吸収されて自然乾燥される。
【0064】
一方、雨水桝31に流入する雨水の量が多い場合や、清掃水14が短時間に流れ込む場合には、次の(2)式が成立し、排水が追い付かずに雨水桝31の中の水の水位が上昇して乗場冠水センサ21が動作する。
【0065】
(雨水桝31に流入する水の単位時間当りの水量)>(第1水流出通路32aから排出される水の単位時間当りの水量)・・・(2)
【0066】
更に、乗場冠水センサ21が動作する位置よりも雨水桝31内の水の水位が上昇すると、水が第2水流出通路32bから排出される。排水された水は昇降路8の側壁34に取り付けられた吸水部材35に吸水されて吸水部材35内をピット3まで流下する。したがって、水が昇降路8の広範囲の領域に飛散することがなく、乗場1から浸入した水がカゴ上や乗場1の敷居28回り等に溜まることない。よって、大部分の水が、ピット3まで流れ落ちてピット3に溜まるため、ピット冠水センサ7が動作するまでの時間が短くなる。なお、第1水流出通路32aの最大排水量は、第1水流出通路32aの断面積、及び第1水流出通路32aと第2水流出通路32bの高低差で調整可能であり、仕様毎に適宜調整可能である。
【0067】
本実施例によれば、乗場1から浸入した雨水10等が昇降路8の側壁34に固定された吸水部材35によりカゴ上や昇降路8内に広範囲に飛散しないので、冠水被害個所を最小減に留めることができる。また、乗場冠水センサ21が動作したことを乗場表示部20bに表示するようにしたため、携帯端末27で冠水情報の通知を受けた現地管理人25が何階で冠水防止対策をすればよいのか理解し易い。また、乗場冠水センサ21が動作した階に清掃作業員12が居れば清掃作業員12に冠水を報知できるので、清掃作業員12が冠水に気付き易くて、清掃作業員12が作業を中止したり清掃水14を流す向きを変更でき、昇降路8内に水が浸入することを抑制できる。すなわち、本実施例によれば、乗場1からの冠水に早く気付いて対応することができるだけでなく、エレベーター50で冠水する個所も少なくでき、カゴ自体も避難運転を行うため、冠水による被害を小さくできる。
【0068】
以上、本開示の一実施例の冠水管理システム15及びエレベーター50の構成の一例、並びにそれらの作用効果について説明したが、本開示の技術は、それらの構成及び作用効果に限らない。以下では、本開示の技術で必須の構成と、その作用効果について説明し、その後、本開示の技術で採用すると好ましい構成と、その作用効果について説明する。
【0069】
[本開示の技術で必須の構成、及びその作用効果]
エレベーター50は、敷居溝29、及び敷居溝29と下面とを連通させる敷居通路33を有する敷居28と、敷居溝29に収容される溝内収容部を含んで、敷居溝29に案内されるように移動する乗場扉4と、敷居通路33を下方に流動して敷居溝29から下方に滴下した水の少なくとも一部を受け止める樋30と、樋30を流れてきた水を収容する水収容部(雨水桝31)と、雨水桝31に収容された水に基づいて冠水の有無を検出する乗場冠水センサ21と、冠水の発生を報知可能な報知部(アナウンス装置19及び乗場表示部20b)と、乗場冠水センサ21からの信号に基づいて冠水が生じたと判定すると報知部に冠水が生じたことを報知させる制御装置(制御盤16)と、を備える。
【0070】
本開示によれば、何らかの理由で乗場に流入した水を、敷居溝29、敷居通路33、樋30を介して雨水桝31に収容でき、乗場冠水センサ21が、雨水桝31に収容した水に基づいて冠水の有無を検知する。したがって、雨水桝31の容積を、ピット3の所定深さの容積と比較して各段に小さくできるので、従来の方法を用いてピットに設置されたピット冠水センサのみで冠水を検知する場合と比較して、各段に短い時間で冠水を検知でき、冠水の初期状態で冠水を検知できる。その結果、ピットに設置された冠水センサのみで冠水を検知する場合と比較して各段に早い段階で報知部に冠水の発生を報知させることができるので、人に冠水の発生を各段に早い段階で報知できる。よって、乗場1から昇降路8への水の流入に早期に対処し易くて昇降路8の浸水被害を小さくでき、水の排水処理、点検、機器交換等に要する労力や時間を大幅に低減し易い。
【0071】
この開示では、制御盤16が乗場冠水センサ21からの信号に基づいて冠水が生じたと判定すると報知部に冠水が生じたことを報知させた。しかし、冠水の発生を報知しなくてもよく、冠水の発生を報知する替わりに冠水情報をエレベーター外の1以上の情報処理装置に出力してもよい。すなわち、エレベーターは、上述の実施形態のように、報知部と出力部の両方を含んでもよいが、報知部と出力部のうちの一方のみしか有さなくてもよい。
【0072】
すなわち、エレベーター50は、敷居溝29、及び敷居溝29と下面とを連通させる敷居通路33を有する敷居28と、敷居溝29に収容される溝内収容部を含んで、敷居溝29に案内されるように移動する乗場扉4と、敷居通路33を下方に流動して敷居溝29から下方に滴下した水の少なくとも一部を受け止める樋30と、樋30を流れてきた水を収容する水収容部(雨水桝31)と、雨水桝31に収容された水に基づいて冠水の有無を検出する乗場冠水センサ21と、乗場冠水センサ21が出力した冠水発生を表す信号に基づいて冠水が生じたことを表す信号を外部の1以上の情報処理装置24に出力する出力部(通信機器22a)と、を備える。
【0073】
本開示によれば、何らかの理由で乗場に流入した水を、敷居溝29、敷居通路33、樋30を介して雨水桝31に収容でき、乗場冠水センサ21が、雨水桝31に収容した水に基づいて冠水の有無を検知する。したがって、雨水桝31の容積を、ピット3の所定深さの容積と比較して各段に小さくできるので、従来の方法を用いてピットに設置されたピット冠水センサのみで冠水を検知する場合と比較して、各段に短い時間で冠水を検知でき、冠水の初期状態で冠水を検知できる。その結果、ピットに設置された冠水センサで冠水を検知する場合と比較して、各段に早い段階で冠水の発生の情報を外部に出力でき、例えば、エレベーター50を管理している人等25,26に各段に早い段階で冠水の発生を知らせることができる。よって、乗場1から昇降路8への水の流入に早期に対処し易くて昇降路8の浸水被害を小さくでき、水の排水処理、点検、機器交換等に要する労力や時間を大幅に低減し易い。
【0074】
[本開示の技術で採用すると好ましい構成、及びその作用効果]
樋30は、敷居28における奥行方向の昇降路8側の壁面を伝って下方に流動する水の少なくとも一部を受け止めることが可能でもよい。
【0075】
本構成によれば、敷居溝29を乗り越えた水の大部分を樋30内に収容できる。したがって、大雨時等の水量が多い冠水時に昇降路8に飛散する水を抑制できると共に、冠水の発生を短時間で検出し易い。
【0076】
また、本開示において、雨水桝31に連通し、雨水桝31に収容された水を昇降路8の側壁34側で流出させるための1以上の水流出通路(第1及び第2水流出通路32a,32b)と、側壁34に固定され、水流出通路32からの水を吸水可能な吸水部材35と、を備えてもよい。
【0077】
従来の方法でピットに設置されたピット冠水センサのみで冠水を検知する場合、ピット冠水センサが冠水を検知した時点で、昇降路内に浸水した水が昇降路内に広範囲に飛散して水による被害が広範囲に及び易かった。
【0078】
これに対し、本構成によれば、乗場1に流入した水を、敷居溝29、敷居通路33、樋30、雨水桝31、及び水流出通路32を介して吸水部材35に効率的に案内でき、乗場1に流入した水が広範囲に広がることを抑制できる。したがって、水の排水処理、点検、機器交換等に要する労力及び時間を更に短縮し易い。更に述べると、乗場1に流入した水が少ない場合は、吸水部材35で吸水した水を吸水部材35で自然蒸発させることができる。よって、水の排水処理、点検、機器交換等を省略でき、乗場1から昇降路8への水の流入に対する如何なる対処も行う必要がないようにできる。
【0079】
また、本開示において、敷居28、樋30、雨水桝31、及び乗場冠水センサ21の夫々が、各乗場1に対応するように乗場1の数と同じ数だけ設けられ、カゴ2に設置された音声出力装置(アナウンス装置19)を備え、1つのみの乗場冠水センサ21が冠水の発生を検知すると、カゴ2が、冠水の発生を検知した乗場冠水センサ21に対応する乗場1に着床し、かつ、アナウンス装置19が、カゴ2が着床した乗場1で冠水が生じていることを意味する文言を出力してもよい。
【0080】
乗場毎に乗場1に対応する乗場冠水センサ21を昇降路内における乗場周辺に設置する場合において、1の乗場冠水センサ21のみが冠水の発生を検知した場合、その乗場冠水センサ21に対応する乗場1において特殊な事情、例えば、その乗場1の水を用いた清掃等によって、冠水が生じている可能性が高い。
【0081】
本構成によれば、1つのみの乗場冠水センサ21が冠水の発生を検知すると、カゴ2が、冠水の発生を検知した乗場冠水センサ21に対応する乗場1に着床し、かつ、アナウンス装置19が、カゴ2が着床した乗場1で冠水が生じていることを意味する文言を出力する。したがって、その文言の出力によって、当該特殊な事情でその乗場1で冠水が生じていることをその乗場1にいる人に伝えることができ、例えば、水を用いてその乗場1の清掃を行っている人に冠水が起こっていることを知らせることができる。よって、音声出力装置を各乗場に新たに設けることなしに、カゴ2内に通常設置されている既存の音声出力装置(上記実施形態では、アナウンス装置19)を用いてその乗場1にいる人に冠水の発生を伝えることができ、その階の冠水に早期に対処することが可能になる。
【0082】
また、本開示において、敷居28、樋30、雨水桝31、及び乗場冠水センサ21の夫々が、各乗場1に対応するように乗場1の数と同じ数だけ設けられ、カゴ2に設置されたアナウンス装置19と、各乗場1に設けられ、カゴ呼釦20a及び乗場表示部20bを含む乗場操作盤20と、を備え、1つのみの乗場冠水センサ21が冠水の発生を検知すると、冠水の発生を検知した乗場冠水センサ21に対応する乗場1に設けられている乗場表示部20bを含む1以上の乗場表示部20bが、冠水の発生を検知した乗場冠水センサ21に対応する乗場1で冠水が生じていることを意味する文言を表示してもよい。
【0083】
本構成によれば、特定の乗場1で冠水が生じていることを、1以上のカゴ呼釦20a及び乗場表示部20bを含む乗場操作盤20を用いて早期に報知することができ、人が冠水発生階の乗場1を特定し易い。
【0084】
また、本開示において、敷居28、樋30、雨水桝31、及び乗場冠水センサ21の夫々が、各乗場1に対応するように乗場1の数と同じ数だけ設けられ、複数の乗場冠水センサ21が冠水の発生を検知すると、カゴ2が最上階の乗場1に着床して休止状態又は待機状態となってもよい。
【0085】
敷居、樋30、雨水桝31、及び乗場冠水センサ21の夫々が、各乗場1に対応するように乗場1の数と同じ数だけ設けられている場合において、複数の乗場冠水センサ21が冠水を検知した場合には、大雨による冠水の可能性が高い。
【0086】
本構成によれば、複数の乗場1に対応する複数の乗場冠水センサ21が冠水を検知すると、カゴ2が最上階の乗場1に着床して休止状態又は待機状態となる。したがって、大雨の際にカゴ2上に設置されたカゴ上機器6が乗場1からの雨水で損傷することを抑制できる。
【0087】
また、本開示において、1以上の水流出通路32が、第1水流出通路32aと、第1水流出通路32aよりも上方に位置する第2水流出通路32bとを有し、乗場冠水センサ21が冠水を検知する条件に、雨水桝31に流入する水の単位時間当たりの流入量が第1水流出通路32aから排出される水の単位時間当たりの排出量よりも大きいことが含まれてもよい。
【0088】
本構成によれば、第1水流出通路32aから排出される水の単位時間当たりの最大排出量を調整することで、当該最大排出量が雨水桝31へ流入する水の単位時間当りの流入量よりも大きい場合に、乗場冠水センサ21が冠水を検知することなしに、第1水流出通路32aから排出された水を吸水部材35に吸水させた後に自然乾燥させることができる。したがって、乗場1に流入した水の量が少ない場合に人に一切手間をかけることなしに、当該水を自動的に処理することができる。
【0089】
一方、雨水桝31へ流入する水の単位時間当りの流入量が上記最大排出量よりも大きい場合には、乗場冠水センサ21に冠水を検知させた上で、第1及び第2水流出通路32a,22bが排出した水を、吸水部材35に吸水させた後に吸水部材35内を流下させた上でピット3に流入させることができる。よって、この場合においては、水の流れを制御できて、水が昇降路8内に広範囲に飛散することを抑制でき、その結果、水の排水処理、点検、機器交換等に要する労力及び時間を短縮できる。
【0090】
また、エレベーターの冠水管理システム15は、上記出力部を有する複数のエレベーター50と、複数のエレベーター50の運行を管理している情報センターの情報処理装置24と、を備え、情報処理装置24が、各エレベーター50が冠水情報を出力する1以上の情報処理装置に含まれ、情報処理装置24は、エレベーター50の上記出力部から冠水が生じたことを表す信号を受信すると、その信号を出力した当該出力部を含むエレベーター50に紐づけられていると共に人が携帯可能である1以上の携帯端末27に、当該出力部を含むエレベーター50で冠水が生じていることを表す信号を出力する。
【0091】
本開示によれば、いずれのエレベーター50で冠水が発生すると、情報処理装置24を介して、その冠水が発生したエレベーター50に紐づけられている1以上の携帯端末27に対応するエレベーター50の冠水情報を送信できる。したがって、1以上の携帯端末27の所有者等に対応するエレベーター50で冠水が発生していることを報知できて、例えば、現地管理人25及び当該エレベーター50のメンテナンスの現場担当者26等に当該エレベーター50で冠水が発生していることを知らせることができる。よって、乗場1から昇降路8への水の流入を早期に対処し易くて昇降路8の浸水被害を小さくし易い。
【0092】
なお、本開示は、以下で説明する実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の改良や変更が可能である。また、今まで説明した構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素であり、必須の構成要素ではない。
【0093】
例えば、ピット冠水センサ7は、存在しなくてもよい。また、乗場冠水センサが作動できればよいので、水収容部から水を排出する水通路や給水部材は、存在しなくてもよい。また、乗場冠水センサは、全ての階に対応する昇降路部分に設置されなくてもよく、例えば、夫々のエレベーターで経験上冠水が起こり易い1以上の乗場(この1以上の乗場は、エレベーターが有する乗場の数よりも少ない)の周辺に位置する昇降路部分のみに設置されてもよい。
【0094】
また、鉛直方向から見たとき、敷居の奥行方向の昇降路側の壁面は、樋の内面に重ならなくてもよく、樋が当該壁面を伝って流下してきた水を効率的に収容できなくてもよい。また、上記実施形態では、現地管理人25の携帯端末27や現場担当者26の携帯端末27に情報センターの情報処理装置24を介して冠水情報を送信した。しかし、現地管理人の携帯端末や現場担当者の携帯端末に情報センターの情報処理装置を介さずに冠水情報を送信してもよく、例えば、エレベーターの出力部から、情報センターの情報処理装置、現地管理人の携帯端末(情報処理装置)、及び現地管理人の携帯端末(情報処理装置)に、冠水情報を直接送信してもよい。また、上述のように、エレベーターは、報知部と出力部の両方を備えていれば好ましいが、エレベーターは、報知部と出力部のうちのすくなくとも一方を備えていればよい。
【符号の説明】
【0095】
1 乗場、 2 カゴ、 3 ピット、 4 乗場扉、 5 エレベーターホール、 6 カゴ上機器、 7 ピット冠水センサ、 8 昇降路、 9 最上階、 10 雨水、 11 乗客、 12 清掃作業員、 13 バケツ、 14 清掃水、 15 冠水管理システム、 16 制御盤、 17 演算装置、 18 カゴ内インターフォン、 19 アナウンス装置、 20 乗場操作盤、 20a カゴ呼釦、 20b 乗場表示部、 21 乗場冠水センサ、 21a 信号線、 22a,22b 通信機器、 23a,23b 通信回線、 24 情報処理装置、 25 現地管理人、 26 現場担当者、 27 携帯端末、 28 敷居、 28a 下面、 28b 壁面、 29 敷居溝、 30 樋、 30a 樋の開口における奥行方向の最も奥側に位置する端、 31 雨水桝、 31a 水収容室、 31b 第1水収容室、 31c 第2水収容室、 31d 連結通路、 32 水流出通路、 32a 第1水流出通路、 32b 第2水流出通路、 33 敷居通路、 34 側壁、 35 吸水部材、 37 施設、 50 エレベーター。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7