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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162506
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】製氷器および製氷モールド
(51)【国際特許分類】
   F25C 1/24 20180101AFI20231101BHJP
【FI】
F25C1/24 303
F25C1/24 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072859
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】522123223
【氏名又は名称】株式会社PLANETAL DESIGN
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】弁理士法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】澤田 克樹
(57)【要約】
【課題】氷の透明度を調整可能な製氷モールドひいては製氷器を提供する。
【解決手段】製氷器1は、内方に第1製氷空間S3が形成される主製氷部と、主製氷部の下方に設けられ、内方に第2製氷空間S2形成される副製氷部と、を備える。主製氷部は、第1製氷空間S3と第2製氷空間S2とを連通させるための連通路35を有する。連通路35と第1製氷空間S3との接続部が、第1製氷空間S3における最終凍結領域から離隔した位置にある。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内方に第1製氷空間が形成される主製氷部と、
前記主製氷部の下方に設けられ、内方に第2製氷空間が形成される副製氷部と、
を備え、
前記主製氷部は、前記第1製氷空間と前記第2製氷空間とを連通させるための連通路を有し、
前記連通路と前記第1製氷空間との接続部が、前記第1製氷空間における最終凍結領域から離隔した位置にあることを特徴とする製氷器。
【請求項2】
内方に第1製氷空間が形成される主製氷部と、
前記主製氷部の下方に設けられ、内方に第2製氷空間が形成される副製氷部と、
を備え、
前記主製氷部は、
前記第1製氷空間と前記第2製氷空間とを連通させるための連通路を有し、
前記連通路と前記第1製氷空間との接続部が、前記第1製氷空間の底よりも高位置にあることを特徴とする製氷器。
【請求項3】
製氷器内に設置可能な製氷モールドであって、
内方に製氷空間が形成される本体を備え、
前記本体は、一端が前記製氷空間に開口し他端が前記本体の外部に向けて開口する連通路を有し、
前記連通路の一端が、前記製氷空間における最終凍結領域から離隔した位置に開口することを特徴とする製氷モールド。
【請求項4】
製氷器内に設置可能な製氷モールドであって、
内方に製氷空間が形成される本体を備え、
前記本体は、一端が前記製氷空間に開口し他端が前記製氷空間の下方に開口する連通路を有し、
前記連通路の一端が、前記製氷空間の底の上方で開口することを特徴とする製氷モールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍庫内で冷却されることにより製氷が可能な製氷器に関する。
【背景技術】
【0002】
透明度の高い氷は見栄えが良く、雑味が少なく、また溶けにくい性質を持つことから、利用価値が高い。そこで、水が凍結する際の特性、つまり先に凍る部分は不純物が少なく透明度が高くなる性質を利用し、製氷後に透明度の高い部分のみを分割して取り出せる製氷器が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような製氷器は、冷凍庫の低温環境から断熱させる面(側面および底面)と、断熱しない面(天面)が設けられ、意図的に凍結方向に指向性がもたせられる。製氷部は、上側の主製氷部と下側の副製氷部とに区切られる。主製氷部と副製氷部とは小径の通水路を介して連通する。
【0004】
このような構成により、製氷部への給水後に製氷器を冷凍庫に入れると、製氷部において上側から下方に向けて凍結が進む。すなわち、主製氷部から凍結が進行し、不純物の多い未凍結の水や気泡が副製氷部に押し出される。その結果、主製氷部において透明度の高い氷が生成され、副製氷部の下部において白濁した氷が生成される。製氷後に製氷器のケースから製氷部を抜き取り、主製氷部から透明度の高い氷を取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-3133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようにして透明度の高い氷が得られるようになり、近年、そのような氷の需要が高まっているところ、発明者は、利用者によっては、氷全体が透明であるよりも部分的に白濁させた方が、より利用価値の高い氷となるのではないかと思い至るようになった。発明者は、上述の凍結原理を別の形で利用することにより、生成される氷の透明度を調整でき、利用者の様々なニーズに応えられるとの考えに到った。
【0007】
本発明は上記課題認識に基づいてなされた発明であり、その主たる目的は、氷の透明度を調整可能な製氷モールドひいては製氷器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は製氷器である。この製氷器は、内方に第1製氷空間が形成される主製氷部と、主製氷部の下方に設けられ、内方に第2製氷空間が形成される副製氷部と、を備える。主製氷部は、第1製氷空間と第2製氷空間とを連通させるための連通路を有する。連通路と第1製氷空間との接続部が、第1製氷空間における最終凍結領域から離隔した位置にある。
【0009】
本発明の別の態様も製氷器である。この製氷器は、内方に第1製氷空間が形成される主製氷部と、主製氷部の下方に設けられ、内方に第2製氷空間が形成される副製氷部と、を備える。主製氷部は、第1製氷空間と第2製氷空間とを連通させるための連通路を有する。連通路と第1製氷空間との接続部が、第1製氷空間の底よりも高位置にある。
【0010】
本発明のさらに別の態様は、製氷器内に設置可能な製氷モールドである。この製氷モールドは、内方に製氷空間が形成される本体を備える。本体は、一端が製氷空間に開口し他端が本体の外部に向けて開口する連通路を有する。連通路の一端が、製氷空間における最終凍結領域から離隔した位置に開口する。
【0011】
本発明のさらに別の態様も製氷モールドである。この製氷モールドは、内方に製氷空間が形成される本体を備える。本体は、一端が製氷空間に開口し他端が製氷空間の下方に開口する連通路を有する。連通路の一端が、製氷空間の底の上方で開口する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、氷の透明度を調整可能な製氷モールドひいては製氷器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る製氷器の外観を表す図である。
図2】ケースから製氷ユニットを取り出した状態を表す斜視図である。
図3】ケースの構成を表す図である。
図4】製氷ユニットの分解斜視図である。
図5】製氷モールドの構成を表す図である。
図6】トレイの構成を表す図である。
図7】トレイの構成を表す図である。
図8図1(B)のA-A矢視断面図である。
図9図8のB-B矢視断面図である。
図10】製氷モールドにおける製氷作用を模式的に示す図である。
図11】製氷後に取り出された氷の例を表す図である。
図12】変形例に係る製氷モールドの構成を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。また、以下の実施形態およびその変形例について、ほぼ同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0015】
本実施形態の製氷器は、利用者が所望の氷を得るための主製氷部と、主製氷部から不純物や気泡が押し出される副製氷部とを上下に備える。主製氷部の製氷空間と副製氷部の製氷空間とは、主製氷部に設けられた連通路を介して連通する。給水後に製氷器を冷凍庫に入れると、製氷空間において上方から下方に向けて凍結が進行する。
【0016】
このような構成において、連通路の一端を主製氷部の製氷空間において底よりも高位置にて開口させる。それにより、主製氷部で生成される氷の一部を意図的に白濁させることができる。すなわち、利用者のニーズに応じて氷の透明度を調整できる。以下、このような製氷器の具体的構成について説明する。
【0017】
図1は、実施形態に係る製氷器の外観を表す図である。図1(A)は斜め上方からみた斜視図であり、図1(B)は平面図である。図2は、ケースから製氷ユニットを取り出した状態を表す斜視図である。
【0018】
図1(A)に示すように、製氷器1は、有底筒状のケース2と、ケース2に収容される製氷ユニット4を備える。製氷ユニット4は、複数の製氷モールド6と、これらの製氷モールド6を保持するインナートレイ8と、インナートレイ8を収容するアウタートレイ10を含む。本実施形態では、インナートレイ8がその上半部に2つの製氷モールド6を横並びに保持可能に構成されている。なお、ここでいう「モールド」は、製氷空間を形成するための型を意味する。
【0019】
図1(B)にも示すように、製氷ユニット4は、中心線L1に対して左右対称な構造を有する。ケース2の上端開口部は、製氷ユニット4が上方から組み付けられるように収容されることで閉止される。インナートレイ8は、左右に一対の凹状嵌合部12を有する。これらの凹状嵌合部12のそれぞれに製氷モールド6が嵌合するように組み付けられる。
【0020】
一対の凹状嵌合部12は、インナートレイ8の上部中央に設けられた一対の隔壁14により分離されている。左右の製氷モールド6と一対の隔壁14とに囲まれる空間は、後述する通水路P1の一部を構成する。
【0021】
インナートレイ8の上部外周面に設けられた一対の凹部16と、アウタートレイ10の上部内周面に設けられた一対の凹部18とにより、上方に向けて開口する一対の挿通穴20が形成される。ユーザは、この一対の挿通穴20に指を挿入することにより、容易にインナートレイ8とアウタートレイ10を分離することができる。
【0022】
図2に示すように、ケース2は上方に向けて開放され、製氷ユニット4が上方から収容される。ケース2の左右側面の上部には、上方に向けて開放される一対のスリット22が設けられている。一方、アウタートレイ10の左右側面の上部には、スリット22に対応する位置に二段の凹状部からなる取っ手24が設けられている。
【0023】
ユーザは、この左右の取っ手24を用いることで、製氷ユニット4に対し抜去方向へ力を加えやすくなり、ケース2から製氷ユニット4を容易に取り出すことができる。ケース2は、製氷ユニット4を収容する「収容ケース」として機能する。ユーザはまた、上述した一対の挿通穴20に指を挿入することにより、容易にインナートレイ8とアウタートレイ10を分離することができる。
【0024】
アウタートレイ10の側面には、そのほぼ全面にわたって複数のリブが突設されている。アウタートレイ10の正面および背面にはハニカム形状のリブ26が複数連なるように設けられている。アウタートレイ10の左側面および右側面には水平方向に延びるリブ28が上下に平行に複数段設けられている(詳細後述)。
【0025】
図3は、ケース2の構成を表す図である。図3(A)は斜視図であり、図3(B)は平面図である。
ケース2は平面視長円状をなし、上方に向けて開口する。ケース2の内側底面には、その全面にわたって所定形状のリブ30が突設されている。リブ30は、本実施形態では複数のハニカム形状が横並びに連なった形状を有する。このリブ30を設けたことにより、製氷ユニット4がケース2に収容されたときに、アウタートレイ10の下面とケース2の底面との間に複数に区切られた空間が形成される。本実施形態では、ケース2を樹脂材(ポリカーボネート)の射出成形により得る。
【0026】
図4は、製氷ユニット4の分解斜視図である。
製氷モールド6は、概ね立方体形状の外形を有し、平面視における4つの角に面取りがなされている。本実施形態では、製氷モールド6として、同一形状の第1モールド6aおよび第2モールド6bが含まれる。各製氷モールド6は縦割り構造を有し、内方に製氷空間が形成されるが、その詳細については後述する。
【0027】
インナートレイ8は、第1トレイ9aと第2トレイ9bとに分割される縦割り構造を有する。第1トレイ9aと第2トレイ9bとが組み合わされることで上部空間S1と下部空間S2が形成されるが、その詳細については後述する。第1トレイ9aは「第1インナートレイ」として機能し、第2トレイ9bは「第2インナートレイ」として機能する。
【0028】
本実施形態では、第1トレイ9aと第2トレイ9bとが同一形状を有する。このため、これらのトレイを特に区別しない場合には、単に「トレイ9」と称す。インナートレイ8は、製氷モールド6を収容する「インナーケース」として機能する。第1モールド6aおよび第2モールド6bは、上部空間S1に横並びに配置される。
【0029】
アウタートレイ10は、第1トレイ11aおよび第2トレイ11bを含む縦割り構造を有する。第1トレイ11aおよび第2トレイ11bは、第1トレイ9aと第2トレイ9bの分割方向と同方向に分割される。第1トレイ11aは「第1アウタートレイ」として機能し、第2トレイ11bは「第2アウタートレイ」として機能する。
【0030】
本実施形態では、第1トレイ11aと第2トレイ11bとが同一形状を有する。このため、これらのトレイを特に区別しない場合には、単に「トレイ11」と称す。第1トレイ11aと第2トレイ11bとが組み合わされることでインナートレイ8が内側に収容される。アウタートレイ10は、インナートレイ8を収容する「アウターケース」として機能する。
【0031】
図示のように、製氷モールド6、インナートレイ8およびアウタートレイ10が水平方向に組み付けられことで製氷ユニット4が構成される。
【0032】
図5は、製氷モールド6の構成を表す図である。図5(A)は製氷モールド6の分解斜視図であり、図5(B)は製氷モールド6を構成するモールド部品の正面図である。なお、ここでいう「モールド部品」は、型を形成する部品を意味する。
製氷モールド6は、同形状の2つのモールド部品32a,32bに分割可能な縦割り構造を有する。以下、これらのモールド部品を特に区別しない場合には、単に「モールド部品32」と称す。
【0033】
製氷モールド6は、概ね立方体形状をなし(図4参照)、内部に製氷空間S3を有し、下面に一対の給水口34、上面中央に排出口36を有する。製氷モールド6は「主製氷部」として機能し、製氷空間S3が「第1製氷空間」に該当する。排出口36は「開口部」として機能する。製氷空間S3の中央縦断面は、排出口36の中心を通る中心線L3に対して対称な特定形状を有する。本実施形態では、特定形状として山(富士山)を逆さにしたような形状が設定されているが、その他の形状であってもよい。
【0034】
製氷モールド6における製氷空間S3の外側には、中心線L3に対して対称な位置に一対の連通路35が設けられている。モールド部品32は、製氷モールド6をその中心線L3を通る面で縦に二分割して得られる構造を有する。分割された一方がモールド部品32aであり、他方がモールド部品32bである。
【0035】
モールド部品32aおよびモールド部品32bの互いの対向面37(当接面)には、正面視上記特定形状の凹部38が形成されている。凹部38の内側面は曲面形状をなしている。また、対向面37における凹部38の外側には、一対の溝39が中心線L3に対して対称に形成されている。対向面37における下方の2つの角隅部の一方に嵌合部40が設けられ、他方に嵌合穴42が設けられている。嵌合部40および嵌合穴42は、一対の溝39の外側に位置する。
【0036】
モールド部品32aとモールド部品32bとは、一方の嵌合部40を他方の嵌合穴42に嵌合させることにより組み付けられる。モールド部品32aとモールド部品32bとを組み合わせることで、両モールド部品の凹部38が組み合わさって製氷空間S3が形成される。また、両モールド部品の一対の溝39が組み合わさることで、一対の連通路35が形成される。連通路35の一端35aが製氷空間S3に開口し、他端35bが給水口34となる。排出口36は、モールド部品32の上端中央にて製氷空間S3に連通する。連通路35の一端35aは、連通路35と製氷空間S3との接続部CPとなっている。
【0037】
モールド部品32aおよびモールド部品32bは、いずれもシリコーン等の可撓性部材からなり、両者を組み付けた際に互いの対向面37が密着することにより、精密に製氷空間S3が形成される。これらのモールド部品を可撓性部材とすることで、製氷後に弾性変形させながら氷を容易に取り出すことができる。
【0038】
なお、連通路35は、給水口34を含む直線部と、接続部CPを含む曲線部を有する。このような曲がり部を有する通路を穴あけ加工するのは、塑性加工および切削加工のいずれによっても困難である。この点、本実施形態では、製氷モールド6を分割構造(縦割り構造)とし、各モールド部品32の当接面に溝39を成形する手法を採用した。このため、連通路35を容易に形成することができる。
【0039】
図6は、トレイ9の構成を表す図である。図6(A)は正面側(インナートレイ8の内側)からみた斜視図であり、図6(B)は背面側(インナートレイ8の外側)からみた斜視図である。図6(C)は正面図であり、図6(D)は平面図である。
【0040】
トレイ9は、インナートレイ8をその中心線を通る面で縦に二分割して得られる構造を有する。分割された一方が第1トレイ9aであり、他方が第2トレイ9bである。第1トレイ9aと第2トレイ9bとを互いの対向面を突き合わせるように組み付けることで、有底段付筒状のインナートレイ8が構成される(図4参照)。第1トレイ9aおよび第2トレイ9bは、いずれもシリコーン等の可撓性部材からなる。
【0041】
インナートレイ8内には、製氷モールド6を保持する上部空間S1と、その上部空間S1と連通する下部空間S2が形成される。インナートレイ8の下部が「副製氷部」として機能し、下部空間S2が「第2製氷空間」に該当する。
【0042】
トレイ9は、正面側および上方に開放され、その上端と中段の内面に沿ってリブ44,リブ46が突設されている(図6(A))。リブ44とリブ46とは、互いに平行に延在する。リブ44は、上部空間S1の上端を画定する。リブ46は、上部空間S1と下部空間S2とを上下に区画する。
【0043】
トレイ9は、正面視において中心線L2に対して対象な形状を有する(図6(C))。トレイ9の上半部における左右方向中央の内面には隔壁14が突設されている。隔壁14は上下方向に延び、上部空間S1を左右に区画する。その結果、トレイ9における隔壁14の左右には、リブ44、リブ46および隔壁14に画定される一対の凹状嵌合部12が形成される(図6(C),D))。リブ44が凹状嵌合部12の上端を画定し、リブ46が凹状嵌合部12の下端を画定する。凹状嵌合部12は、製氷モールド6の外形と相補形状をなす。
【0044】
トレイ9の背面の上半部中央、具体的には隔壁14の裏側に凹部16が設けられている。凹部16は曲面状をなしている(図6(B),(D))。
【0045】
トレイ9の端面の周縁に沿ってシール部54が設けられている。シール部54はトレイ9の本体53よりも厚みが小さいパッキン(薄膜部材、リップシール)である。本実施形態では、トレイ9を樹脂材(シリコーン)の射出成形により得るが、シール部54はその射出成形時にトレイ9の一部として成形される。
【0046】
このような構成により、第1トレイ9aと第2トレイ9bとを組み付けることでインナートレイ8が構成される。インナートレイ8の内方に上部空間S1と下部空間S2が形成される。第1トレイ9aの凹状嵌合部12と、第2トレイ9bの凹状嵌合部12とが組み合わされることにより、第1保持空間S11と第2保持空間S12が形成される。第1保持空間S11に第1モールド6aが保持され、第2保持空間S12に第2モールド6bが保持される。
【0047】
図7は、トレイ11の構成を表す図である。図7(A)は正面側(アウタートレイ10の内側)からみた斜視図である。図7(B)は正面図であり、図7(C)は平面図であり、図7(D)は背面図である。
【0048】
トレイ11は、アウタートレイ10をその中心線を通る面で縦に二分割して得られる構造を有する。分割された一方が第1トレイ11aであり、他方が第2トレイ11bである。第1トレイ11aと第2トレイ11bとを互いの対向面を突き合わせるように組み付けることで、有底段付筒状のアウタートレイ10が構成される(図4参照)。アウタートレイ10内には、インナートレイ8を収容する収容空間S4が形成される。
【0049】
トレイ11は、正面側および上方に開放される(図7(A))。トレイ11の上半部の内方にインナートレイ8の上部空間S1が位置し、下半部の内方にインナートレイ8の下部空間S2が位置する。トレイ11は、正面視において中心線L3に対して対象な形状を有する(図7(B))。
【0050】
トレイ11の内側正面、つまりアウタートレイ10の正面又は背面の内側に位置する面には、その上半部にハニカム形状のリブ56が複数連なるように突設されている。その内側正面の上部中央に凹部18が設けられている。凹部18は曲面状をなし、インナートレイ8の16との間に20を形成する(図2(A)参照)。
【0051】
なお、トレイ11の内側正面の下半部にはリブは設けられていない。すなわち、トレイ11の内側に位置するリブは、上部空間S1に対応する高さ位置において下部空間S2に対応する高さ位置よりも多く設けられている。
【0052】
一方、トレイ11の内側側面、つまりアウタートレイ10の側面の内側に位置する面には、前後方向に延びる複数のリブ58が上下に平行に設けられている。トレイ11の内側底面、つまりアウタートレイ10の底面の内側に位置する面には、前後方向に延びる複数のリブ59が左右に平行に設けられている(図7(C))。
【0053】
トレイ11の外側背面、つまりアウタートレイ10の正面又は背面の外側に位置する面には、その大部分の領域に上述したハニカム形状のリブ26が複数連なるように突設されている(図7(D))。トレイ11の外側背面の底部近傍には、上下方向に延びる複数のリブ60が左右に平行に設けられている。トレイ11の外側側面、つまりアウタートレイ10の側面を構成する面には、上述した複数のリブ28が上下に平行に設けられている。トレイ11の外側底面、つまりアウタートレイ10の底面を構成する面は平坦面とされている(図示略)。
【0054】
トレイ11の上端開口部に沿ってフランジ状の蓋部62が設けられている。取っ手24は、蓋部62の一部を構成し、アウタートレイ10の外側側面に位置する(図2参照)。トレイ11は、インナートレイ8よりも硬質の部材からなる。本実施形態では、トレイ11を樹脂材(ポリカーボネート)の射出成形により得る。蓋部62および各リブはその射出成形時にトレイ11の本体と一体に成形される。
【0055】
このような構成により、第1トレイ11aと第2トレイ11bとを組み付けることでアウタートレイ10が構成される。アウタートレイ10の内方に収容空間S4が形成される。収容空間S4にインナートレイ8が収容されると、インナートレイ8とアウタートレイ10との間に断熱空間(後述する「第1断熱空間S5」)が形成される。この断熱空間は、アウタートレイ10の内側面に設けられた各リブ(「内側リブ構造」ともいう)により複数の空間に仕切られる(詳細後述)。
【0056】
また、アウタートレイ10がケース2に収容されると、アウタートレイ10とケース2との間に断熱空間(後述する「第2断熱空間S6」)が形成される。この断熱空間は、アウタートレイ10の外側面に設けられた各リブ(「外側リブ構造」ともいう)により複数の空間に仕切られる(詳細後述)。
【0057】
次に、製氷器1の給水構造および断熱構造について説明する。
図8は、図1(B)のA-A矢視断面図である。図9は、図8のB-B矢視断面図である。図8に示すように、製氷器1は、内側からインナートレイ8、アウタートレイ10、ケース2の三層構造を有し、インナートレイ8の上部空間S1に複数の製氷モールド6を収容する。第1モールド6aが第1保持空間S11に収容され、第2モールド6bが第2保持空間S12に収容される。
【0058】
具体的には、インナートレイ8を2つのトレイ9に分離した状態で、その一方のトレイ9の一対の凹状嵌合部12にそれぞれ製氷モールド6を嵌合させた後、他方のトレイ9の一対の凹状嵌合部12をそれらの製氷モールド6に被せるように組み付ける。それにより、インナートレイ8が組み立てられると同時に上部空間S1および下部空間S2が形成され、また、上部空間S1を構成する第1保持空間S11および第2保持空間S12が形成される。
【0059】
このとき、製氷モールド6の縦割りの面とインナートレイ8の縦割りの面とが90度ずれるように、製氷モールド6がインナートレイ8に組み付けられる。第1保持空間S11に第1モールド6aが保持され、第2保持空間S12に第2モールド6bが保持される。図9にも示すように、各製氷モールド6の排出口36はインナートレイ8の上方に向けて開口し、給水口34は下部空間S2に向けて開口する。製氷器1を冷凍庫に設置した際、各製氷モールド6において排出口36を有する上面が冷却面(非断熱面)となる。
【0060】
上部空間S1には、このように第1モールド6aおよび第2モールド6bが保持された状態において第1モールド6aと第2モールド6bとの間に通水路P1が形成される。通水路P1は平面視長方形状をなし、その断面は製氷モールド6の連通路35および排出口36の各断面よりも相当大きい(図2(A)参照)。通水路P1の上端がインナートレイ8の上方に向けて開口し、通水路P1の下端が下部空間S2に連通する。
【0061】
本実施形態では各製氷モールド6の製氷空間S3(第1製氷空間)に給水する際、通水路P1を介して給水する。すなわち、通水路P1の上端開口から水が注入される。この水は、通水路P1を通ってまず下部空間S2(第2製氷空間)に導入される。下部空間S2が満水になると、その水が連通路35を介して製氷空間S3に導かれる。最終的には、製氷空間S3よりも上方まで喫水される。この過程でインナートレイ8内の空気が排出口36から外部へ排出される。すなわち、連通路35および排出口36は空気の抜孔(通気口)としても機能する。
【0062】
なお、各製氷モールド6の排出口36から水を注入することもできるが、排出口36は連通路35と同様に開口面積が通水路P1に比べて相当小さい。これは、製氷後に連通路35および排出口36の位置にできる氷柱を細径にして折りやすくするためである。このため、通水抵抗が小さい通水路P1を利用したほうが給水効率は良い。言い換えれば、本実施形態では給水効率を高められるよう通水路P1が設けられている。
【0063】
インナートレイ8を構成するトレイ9には、その本体53の周縁に沿ってシール部54が設けられている。すなわち、第1トレイ9aおよび第2トレイ9bの双方の対向面に沿ってシール部54が延在している。図9に示すように、第1トレイ9aと第2トレイ9bは、互いの対向面においてシール部54が弾性的に密着することで両者間の接合部におけるシール性能が確保される。
【0064】
製氷ユニット4をケース2内に収容した際には、アウタートレイ10を構成する第1トレイ11aと第2トレイ11bとの間に微小な隙間G1が設けられる。このように構成することで、各トレイ11がケース2の内面から受ける反力をトレイ9への付勢力とすることができる。この付勢力を受けて第1トレイ9aと第2トレイ9bとが組み合わされることで、両者の結合面において互いのシール部54が密着するシール構造が実現される。この付勢力は、シール構造によるシール性能を高めるものとなる。
【0065】
アウタートレイ10は、インナートレイ8とケース2との間に介在するようにケース2に収容される。そして、アウタートレイ10とインナートレイ8との間に空気層による第1断熱空間S5が形成され、アウタートレイ10とケース2との間に空気層による第2断熱空間S6が形成される。
【0066】
アウタートレイ10の内側リブ構造により、第1断熱空間S5が複数の空間S21に仕切られる。また、アウタートレイ10の外側リブ構造により、第2断熱空間S6が複数の空間S22に仕切られる。さらに、ケース2の底面に設けられた底部リブ構造により、第2断熱空間S6が複数の空間S23に仕切られる。インナートレイ8とケース2との間の空間は、アウタートレイ10により縦に仕切られるとともに、その上端開口部が蓋部62によって閉止される。
【0067】
すなわち、インナートレイ8とケース2との間の断熱空間が封止されるとともに、その断熱空間が複数の空間に仕切られることで、断熱空間における空気の対流を防止又は抑制できる。その結果、断熱空間において対流により熱抵抗が下がってしまうことを抑制でき、上側から下方への凍結の進行を促すことができる。つまり、凍結原理に基づく製氷が進み易くなる。
【0068】
次に、製氷モールド6を用いることによる製氷効果について説明する。
図10は、製氷モールド6における製氷作用を模式的に示す図である。図10(A)~(C)はその製氷過程を示す。図中における模様の相異は、水の状態変化を示す。すなわち、凍結状態(氷)をFR、非凍結状態(水)をNFにて示す。また、凍結状態について、透明度の高い氷をFR1、透明度の低い氷をFR2にて示す。
【0069】
図9に示した状態で製氷空間(S2、S3)に水が充填され、製氷器1が冷凍庫に設置されると、製氷モールド6の側面および底面は断熱されるが、上面は断熱されずに冷却される。このため、製氷空間(S2、S3)の水の凍結方向が、上方から下方への指向性をもつようになる。すなわち、製氷空間S3から凍結が進行し、不純物の多い未凍結の水や気泡が連通路35を介して下部空間S2に押し出される(図10(A),(B))。この不純物や気泡等は氷を白濁させ透明度を低下させる要素となるため、以下では便宜上「透明度低下要素」又は「白濁要素」とも称す。
【0070】
ただし、本実施形態ではその製氷原理を従来とは異なる形で利用する。すなわち、製氷モールド6において、連通路35と製氷空間S3との接続部CPの位置を、製氷空間S3の底よりも高位置に設定している。このため、上方から進行する凍結が接続部CPに達するまでは白濁要素を連通路35ひいては下部空間S2へ押し出すこととなるが、凍結が接続部CPよりも下方に達すると、製氷空間S3の下部に白濁要素が残留することとなる(図10(C))。言い換えれば、接続部CPをやや高位置に設定することで、製氷空間S3にて生成される氷の下部を意図的に白濁させることができる。
【0071】
図11は、製氷後に取り出された氷の例を表す図である。
図10に示した製氷過程を経た後に氷を取り出し、連通路35に対応する氷柱を折って除去すると、図11に示すような氷が得られる。取り出した氷の上下を反転させることで、冠雪した山(富士山)のような氷が得られる。透明度の高い部分により山の裾野が広がる様子を表現するとともに、白濁部により頂部付近の冠雪を表現したものである。
【0072】
以上、実施形態に基づいて製氷器1について説明した。
本実施形態によれば、連通路35と製氷空間S3との接続部CPを、製氷空間S3の底よりも高位置とすることで、生成される氷の透明度を部分的に調整できる。すなわち、製氷空間S3において接続部CPよりも下方に位置する部分の透明度を低くできる。このようにして意図的に白濁部を作り出すことで、興趣に富んだ氷のデザインを実現できる。本実施形態によれば、利用者のニーズに応じて氷の透明度を調整可能な製氷モールド6ひいては製氷器1を提供できる。
【0073】
また、インナートレイ8とケース2との間にアウタートレイ10を介在させ、アウタートレイ10の内側に空気層による第1断熱空間S5を形成し、アウタートレイ10の外側に空気層による第2断熱空間S6を形成した。この二重の断熱構造によりインナートレイ8の内側に対する断熱効果を顕著に高めることができる。
【0074】
このような構成において、製氷モールド6の上面がインナートレイ8の上方に開放され、底面および側面の断熱層に対し上面側が非断熱となるため、インナートレイ8内で上側から下方への凍結の進行を促すことができ、凍結方向に安定した指向性をもたせることができる。このことが、利用者のニーズに応じた氷の透明度の調整にも寄与する。
【0075】
さらに、ケース2内において下部空間S2の外側に水が漏れることを防止できるため、製氷ユニット4とケース2との間に氷が固まることもない。また、アウタートレイ10の内側に空気層を形成する構造とし、さらにインナートレイ8に可撓性部材を選定しているため、氷の生成に伴い製氷部の体積が膨張しても、インナートレイ8と空気層がその膨張を吸収しやすく、反力を顕著に弱めることができる。このため、アウタートレイ10とケース2との間の圧力を抑えることができる。その結果、氷を安定した形状で生成できる。
【0076】
このため、製氷ユニット4をケース2から容易に取り出すことができる。その際、製氷ユニット4の断熱部ごと取り出すことになるが、ケース2から蓋部62が離脱することで断熱空間が開放されるため、断熱機能も速やかに解除される。このため、製氷ユニット4を分解することも容易になる。
【0077】
アウタートレイ10およびインナートレイ8をいずれも縦割り構造としたため、それぞれを一対のトレイに分解し易い。インナートレイ8の内方に氷が生成されるが、インナートレイ8を一対のトレイ9に分解する際、縦方向ではなく横方向、つまり製氷深さの小さい方に抜けばよいため、氷の取出しが容易となる。連通路35および排出口36を小径に構成したため、製氷空間S3(主製氷部)で生成された透明度の高い氷と、下部空間S2(副製氷部)で生成された透明度が相対的に低い氷との分離も容易となる。
【0078】
すなわち、本実施形態によれば、利用者が意図したデザインの氷が取り出し易くなる。そして、ケース2内に氷が残ることもないので、インナートレイ8から氷を取り出した後、直ちに次の製氷に移行することもできる。
【0079】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0080】
[変形例]
図12は、変形例に係る製氷モールドの構成を表す断面図である。
本変形例では、製氷モールド106の底部中央に、製氷空間S3と下部空間S2とを連通させるための複数の小孔110(細孔)が設けられている。小孔110の断面は、連通路35の断面よりも相当小さい。
【0081】
本変形例によれば、製氷時において製氷モールド106の底部からも白濁要素を押し出すことができるが、小孔110が小径であるため、連通路35と比較するとその押し出し機能は小さい。このため、製氷モールド106の下部から白濁要素を完全に除去することはできないが、低減はできる。この白濁要素の低減により白濁部の濁りの程度を低減できる。すなわち、上記実施形態と比較して白濁部をやや透明に近づけることができる。小孔110は、透明度の高い氷FR1を生成するための「連通路」としての機能よりも、透明度の低い氷FR2の透明度を調整するための「連通路」としての機能を主目的とする。
【0082】
なお、図示の構成は一例であり、小孔110の大きさ(径)、数、形状、位置等のパラメータについて適宜変更できることは言うまでもない。このようなパラメータの調整により、白濁要素(透明度低下要素)の白濁濃度を調整することができる。
【0083】
[他の変形例]
上記実施形態では、製氷モールド6における冷却面(非断熱面)を上面全体とし、凍結方向の指向性を鉛直方向上側から下方とした関係上、連通路35と製氷空間S3(第1製氷空間)との接続部CPを、製氷空間S3の底よりも高位置に設定した。凍結方向の指向性によっては、第1製氷空間の底と接続部との位置関係をこれと異ならせてもよい。
【0084】
例えば、製氷モールドにおける冷却面(非断熱面)を上面全体ではなく上面の片側(水平方向片側)に寄せることで、凍結方向の指向性を斜め下方とすることもできる。インナートレイ8の上端開口部の形状を変更する(開口位置をずらす)ことで実現できる。製氷モールドの底であっても、上端開口部の直下から離間した位置では凍結が遅れることとなる。これを利用し、製氷モールドの底部の片側(第1位置)に連通路を開口させ、その開口から離隔した位置(第2位置)を第1製氷空間において最後に凍結させることで白濁部を生成してもよい。その場合、第1位置と第2位置とが同じ高さであったとしても、白濁部を意図的に生成できる。
【0085】
本変形例および上記実施形態のいずれも、連通路と第1製氷空間との接続部を、第1製氷空間における最終凍結領域から離隔した位置に設定する点で共通する。言い換えれば、このような設定により、利用者の意図した位置に白濁部を生成できる。
【0086】
上記実施形態では、製氷モールド6における冷却面(非断熱面)を上面とし、排出口36(開口部)を第1製氷空間の上方に向けて開口する構成を例示した。変形例においては、冷却面(非断熱面)を製氷モールドにおける側面など上面以外の面としてもよい。製氷モールドの一側面に設ければよい。このような構成においても、連通路と第1製氷空間との接続部を、第1製氷空間における最終凍結領域から離隔した位置とすることで、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0087】
上記実施形態では、連通路35として曲がり部を有する構造を例示した。変形例においては、連通路35を直線部のみで構成してもよい。具体的には、図5に示したモールド部品32aとモールド部品32bとの当接面(分割構造の分割面)とは異なる位置に直線状の連通路35を穴あけ加工してもよい。
【0088】
また、製氷モールドを第1モールド部品と第2モールド部品とに上下に分割する横割り構造(水平割り構造)とし、下方の第2モールド部品に連通路を設けてもよい。その連通路を直線状とすることで穴あけ加工可能に構成してもよい。連通路は、製氷モールドの中心線と平行に形成してもよい。
【0089】
上記実施形態では述べなかったが、製氷モールドの第1製氷空間を上下に複数段の小空間に区画してもよい。上下の小空間は連通孔を介して連通可能に構成してもよい。そして、連通路の一端を下段の小空間に開口させてもよい。それにより、上段からは透明度の高い氷を、下段からは透明度の低い氷(白濁した氷)を取り出せるようにしてもよい。
【0090】
上記実施形態では、第1保持空間S11と第2保持空間S12とを同一形状とし、第1モールド6aと第2モールド6bとを同一形状とした。変形例においては、第1モールド6aと第2モールド6bの内形状(つまり製氷空間の形状)を異ならせることで、異なる形状の氷を生成できるようにしてもよい。第1モールド6aと第2モールド6bの外形状については同一形状のままとすることで、製氷器としての汎用性が高まる。他の変形例においては、第1保持空間と第2保持空間の形状および容積の一方又は双方を異ならせてもよい。第1モールドと第2モールドの外形状や内形状を異ならせてもよい。
【0091】
上記実施形態では、インナートレイ8を構成する第1トレイ9aおよび第2トレイ9bの双方の互いの対向面にシール部54を設ける構成を例示した。変形例においては、第1トレイおよび第2トレイの一方にのみ、他方との対向面にシール部を一体に設けてもよい。その場合でも、シール部が他方との結合面に沿うシール構造を形成するため、良好なシール性能を得ることができる。
【0092】
上記実施形態では、リブの形状としてハニカム形状を例示したが、これに限られない。多角形状、円形状、直線形状、曲線形状その他の形状を採用してもよい。
【0093】
上記実施形態では、製氷モールド6とインナートレイ8とを別部材にて構成する例を示した。変形例においては、製氷モールドとインナートレイが一体となってもよい。すなわち、製氷モールドの上部に第1製氷空間を設け、下部に第2製氷空間を設けてもよい。それにより部品点数を削減でき、製氷器の組み立ておよび分解の作業性が向上する。
【0094】
上記実施形態では、ケース2やアウタートレイ10の材質としてポリカーボネートを例示したが、インナートレイ8よりも硬質な樹脂材であれば種々の材質を採用できる。
【0095】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 製氷器、2 ケース、4 製氷ユニット、6 製氷モールド、8 インナートレイ、10 アウタートレイ、12 凹状嵌合部、14 隔壁、32 モールド部品、34 給水口、35 連通路、36 排出口、37 対向面、38 凹部、39 溝、53 本体、54 シール部、106 製氷モールド、110 小孔、CP 接続部、P1 通水路、S1 上部空間、S2 下部空間、S3 製氷空間、S5 第1断熱空間、S6 第2断熱空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12