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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162517
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】接合構造および建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/964 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
E06B3/964 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072874
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 謙
【テーマコード(参考)】
2E035
【Fターム(参考)】
2E035AA01
2E035BA01
2E035CA04
2E035CB03
2E035CB06
2E035DA03
2E035DB03
2E035DC01
(57)【要約】
【課題】高負荷を受けても枠体の歪みを抑制することのできる接合構造および建具を提供する。
【解決手段】接合構造10は、横枠24及び縦枠26を互いに接合する構造であって、横枠24は見込み方向に重なるベース材36およびカバー材38を備え、縦枠26は見込み方向に重なるベース材66およびカバー材68を備え、横枠24と縦枠26とは互いに見込み方向に重なる重合部60,70を有し、横枠24における重合部60には見込み方向に相対的に凸の凸部62a,62bが形成され、縦枠26における重合部70には見込み方向に相対的に凹の凹部74a,74bが形成され、凸部62a,62bと凹部74a,74bとは縦方向および横方向で見込み面同士が面接触する。ベース材36とベース材66とは縦勝ちに組み合わされ、カバー材38とカバー材68とは横勝ちに組み合わされる。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1枠材及び第2枠材を互いに接合する接合構造であって、
前記第1枠材及び前記第2枠材はそれぞれ見込み方向に重なる内材と外材とを備え、
前記第1枠材における前記内材および前記外材の少なくとも一方で形成される第1重合部は、前記第2枠材における前記内材および前記外材の少なくとも一方で形成される第2重合部に対して見込み方向に対面して重なり、
前記第1重合部には見込み方向に相対的に凹凸を形成する複数の第1枠凸部および複数の第1枠凹部が形成され、
前記第2重合部には見込み方向に相対的に凹凸を形成する複数の第2枠凸部および複数の第2枠凹部が形成され、
前記第1枠凸部と前記第2枠凹部、および、前記第2枠凸部と前記第1枠凹部は異なる2方向で見込み面同士が面接触する
ことを特徴とする接合構造。
【請求項2】
前記第1枠材と前記第2枠材とは直角に接合され、
前記第1枠材と前記第2枠材における前記内材同士は横勝ちに構成されて前記外材同士は縦勝ちに構成され、または、
前記第1枠材と前記第2枠材における前記外材同士は横勝ちに構成されて前記内材同士は縦勝ちに構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の接合構造。
【請求項3】
前記第1枠凸部は、前記第2枠凹部の見付け方向視形状が一致しており該第2枠凹部に嵌合している
ことを特徴とする請求項2に記載の接合構造。
【請求項4】
前記第1枠材および前記第2枠材の一方には、他方の長手方向に突出して他方の前記内材及び前記外材によって挟持されると共に突出縁が他方に形成された段差部に当接する補強片が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の接合構造。
【請求項5】
複数の前記第1枠凸部と複数の前記第1枠凹部、および、複数の前記第2枠凹部と複数の前記第2枠凹部は千鳥格子状に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の接合構造。
【請求項6】
四隅が請求項1~5のいずれか1項に記載の接合構造により接合された枠体と、
四周の縁に沿った見込み面が前記枠体と対面する面材と、
前記枠体と前記面材との間に設けられたシール材と、
を有することを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1枠材と第2枠材とを互いに接合する接合構造、および該接合構造によって接合された枠体を有する建具に関する。
【背景技術】
【0002】
一対の縦枠と一対の横枠とが四周枠組みされた枠体と該枠体の内部に配置された面材とを有する建具が知られている。一般的に、縦枠と横枠とは一方にビスホールが形成されており、この一方の枠材の長手方向端面を他方の見込み面に突き当てた状態として、外周側から見付け方向にネジを螺合させて接合されている(特許文献1参照)。面材と枠体との間にはシール材が設けられていることがある。このような建具としては、例えばFIX窓が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-001509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
FIX窓では面材が枠体の強度を補完して耐震強度の向上が図られる。しかしながら、上記のように枠体を構成する枠材同士が見付け方向のネジによって接合されていると、高負荷を受けることにより接続箇所が直角を保てなくなって枠体が歪むとともに、その歪みにより接続箇所のシール材が損傷することが懸念される。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、高負荷を受けても枠体の歪みを抑制することのできる接合構造および建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる接合構造は、第1枠材及び第2枠材を互いに接合する接合構造であって、前記第1枠材及び前記第2枠材はそれぞれ見込み方向に重なる内材と外材とを備え、前記第1枠材における前記内材および前記外材の少なくとも一方で形成される第1重合部は、前記第2枠材における前記内材および前記外材の少なくとも一方で形成される第2重合部に対して見込み方向に対面して重なり、前記第1重合部には見込み方向に相対的に凹凸を形成する複数の第1枠凸部および複数の第1枠凹部が形成され、前記第2重合部には見込み方向に相対的に凹凸を形成する複数の第2枠凸部および複数の第2枠凹部が形成され、前記第1枠凸部と前記第2枠凹部、および、前記第2枠凸部と前記第1枠凹部は異なる2方向で見込み面同士が面接触することを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる建具は、四隅が上記の接合構造により接合された枠体と、四周の縁に沿った見込み面が前記枠体と対面する面材と、前記枠体と前記面材との間に設けられたシール材と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、第1重合部の第1枠凸部および第1枠凹部と、第2重合部の第2枠凹部および第2枠凸部とが異なる2方向で見込み面同士が面接触していることから、いずれの方向に対しても接触面同士が支持し合っていることから負荷が掛かってもずれることがない。また、凹部と凸部との嵌合箇所は複数設けられていることから、いずれか1か所を基点として回転することが防止される。このように接合構造は高強度の接合を実現することから、建具に対して地震などによる高負荷が加わった場合においても第1枠材と第2枠材とは所定の角度が維持され、枠体の歪みを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態にかかる建具を室外側から見た正面図である。
図2】建具の縦断面図である。
図3】建具を室外側から見た左下方部の拡大正面図である。
図4】建具の左下方部の斜視図である。
図5】建具における下方部の縦断面図である。
図6】横枠の端部の斜視図である。
図7】横枠の端部を図6と異なる方向から見た斜視図である。
図8】横枠の端部の分解斜視図である。
図9】ベース材とカバー材とを組み立てて横枠を形成する様子を示す模式断面図である。
図10】接合構造の組み立て工程においてカバー材を取り付ける様子を示す斜視図である。
図11】ベース材の端部の分解斜視図である。
図12】接合構造の組み立て工程においてベース材に横枠を取り付ける様子を示す斜視図である。
図13図3におけるXIII~XIII線視による縦断面図である。
図14図3におけるXIV~XIV線視による縦断面図である。
図15図3におけるXV~XV線視による縦断面図である。
図16図3におけるXVI~XVI線視による横断面図である。
図17図3におけるXVII~XVII線視による横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態にかかる接合構造10および建具12を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
図1は、本発明の実施形態にかかる建具12を室外側から見た正面図である。図2は、建具12の縦断面図である。図3は、建具12を室外側から見た左下方部の拡大正面図である。図4は、建具12の左下方部の斜視図である。図5は、建具12における下方部の縦断面図である。建具12は接合構造10を含んでいる。建具12は、枠体18、面材20、シール材22を有する。シール材22は枠体18と面材20との間に設けられている。シール材22は高モジュラスシーラントであり、室内側の横枠24と面材20との隙間から充填され固化したものである。図1ではシール材22の範囲をドット地で示している。面材20は例えば耐力ガラスまたはフロートガラスなどであり、四周の縁に沿った室外側見込み面がシール材22を介して枠体18と対面している。なお、面材20として通常のフロートガラスを用いても相応の耐震性能が得られると考えられている。
【0012】
枠体18は上下の横枠(第1枠材)24と左右の縦枠(第2枠材)26とが四周枠組みされており、木ネジ28によって建物の躯体30に対して固定されている。枠体18は矩形であって四隅は直角である。枠体18における四隅では横枠24と縦枠26とが接合構造10によって接合されている。接合構造10は、概略的には、横枠24の端部に形成される重合部(第1重合部)60(図6参照)と縦枠26の端部に形成される重合部(第2重合部)70(図12参照)とが見込み面同士が当接して重ね合わさって接合されるものである。接合構造10および重合部60,70については後述する。
【0013】
本出願において、見込み方向とは建具12の室内外方向をいう。見込み面とは見込み方向に沿って延在する面をいう。見付け方向とは見込み方向に直交する方向であり、上下方向に長尺な縦枠26等の場合はその長手方向に直交する左右方向をいい、左右方向に長尺な横枠24等の場合はその長手方向に直交する上下方向をいう。見付け面とは見付け方向に沿った面をいう。
【0014】
図5に示すように、横枠24は外周側に突出する外周片24aと、室外側に突出する面材保持片25とを有する。外周片24aは木ネジ28によって躯体30に固定される。面材保持片25には押し縁32が設けられる。押し縁32はパッキン34を介して面材20の縁部を押さえている。面材20とシール材22の外周側には発泡材34が設けられている。なお、横枠24と縦枠26とは断面形状がほぼ同じであることから、建具12の横断面は図2とほぼ同様であり、縦枠26まわりの横断面図は図3とほぼ同様となることからそれぞれ図示および説明を省略する。
【0015】
図6は、横枠24の端部の斜視図である。図7は、横枠24の端部を図6と異なる方向から見た斜視図である。図8は、横枠24の端部の分解斜視図である。図9は、ベース材36とカバー材38とを組み立てて横枠24を形成する様子を示す模式断面図である。
【0016】
図6図7図8に示すように、横枠24は、室内側のベース材(内材)36と室外側のカバー材(外材)38とが見込み方向に重なって構成されている。ベース材36、カバー材38および後述するベース材(内材)66、カバー材(外材)68は、例えばアルミニウム合金等の金属、あるいは樹脂によって成形した押し出し形材であり、長手に沿った全長にわたってほぼ一様の断面形状を有するように構成されている。
【0017】
ベース材36は、第1メイン板部40と、該第1メイン板部40に対して室外側かつ外周寄りの部分で重なる第1サブ板部42とを有する。第1メイン板部40の見付け幅は第1サブ板部42の略2倍である。第1メイン板部40と第1サブ板部42とは一体である。第1サブ板部42は第1メイン板部40よりわずかに外周側に突出している。第1メイン板部40の端部は切削加工されて第1サブ板部42よりも短くなっている。切削加工は、例えばフライス盤による。第1サブ板部42は、第1メイン板部40の端部から突出する部分は平面視で略正方形の凸部(第1枠凸部)62aを形成する。
【0018】
カバー材38は、第2メイン板部44と、該第2メイン板部44に対して室内側かつ内周寄りの部分で重なる第2サブ板部46とを有する。第2メイン板部44と第2サブ板部46とは一体であって、カバー材38の主部を形成する。カバー材38はさらに、内周側端部から室内側に突出する内周片48と、第2サブ板部46と内周片48との間に形成される段差台50と、外周側端部から内周側に向かって折り返し形状となっているフック部52と、上記の面材保持片25と、内周片48と面材保持片25との間に形成されるホロー部56と、を有している。
【0019】
第2サブ板部46の端部近傍には切削加工されて第2メイン板部44と同一面状となる凹部(第1枠凹部)64aが形成されている。また、段差台50の端部は室内側面が切削加工されることによって第2サブ板部46と同じ高さの補強片65が形成されている。補強片65は縦枠26の長手方向に突出している(図12参照)。カバー材38には補強片65に隣接して切欠65bが形成されており、補強片65は凸部62bなどのカバー材38における他の部分より横枠24の長手方向にやや短くなっている。フック部52は、内周側に突出する低い壁部52aと、内周側を指向する折り返し部52bとを有する。カバー材38の端部では内周片48および折り返し部52bが切り取られている。なお、壁部52aは、切り取られずカバー材38の端部まで延在している。
【0020】
第2サブ板部46の端部は凸部(第1枠凸部)62bを形成している。凸部62bは第2サブ板部46の一部であるが、カバー材38の長手方向に隣接する部分が凹部64aとして切削加工されることにより、該凹部64aに対して相対的に凸となっている。凸部62bおよび凹部64aは、平面視で上記62aの凸部と同じ略正方形となっている。ただし、凹部64aの内周側辺の両端コーナー部64aaは加工上の理由からR形状となっている。
【0021】
第1メイン板部40と第2サブ板部46とは見込み面同士が当接する。第2メイン板部44と第1サブ板部42とは見込み面同士が当接する。第1サブ板部42の内周側縁面は第2サブ板部46の外周側縁面と当接する。第1メイン板部40の内周側縁面は段差台50の外周側縁面と当接する。第1サブ板部42における第1メイン板部40より外周側に突出している部分はフック部52に嵌り込む。このようにして、ベース材36とカバー材38とは隙間なく安定して当接し合う。ベース材36とカバー材38とは見込み方向の複数のビスによって固定される。
【0022】
ベース材36とカバー材38とを組み立てる際には、図9の実線で示すように、まず第1サブ板部42の外周側端部をフック部52に嵌めておき、矢印で示すように仮想線で示す位置まで回転させて組み合わせるとよい。
【0023】
図6に戻り、ベース材36とカバー材38とが組み立てられた横枠24の端部には上記の重合部60が形成されている。重合部60は第1メイン板部40および段差台50の端部より先の部分であり、横枠24の室内側見付け面に形成される。重合部60は2つの凸部62a,62bおよび2つの凹部64a,64bを有する。凸部62a,62bおよび凹部64aは上記したものである。
【0024】
凹部64aの外周側縁は凸部62aで区画されている。凹部(第1枠凹部)64bの内周側縁、外周側縁、基端側縁は、順に凸部62b、壁部52a、凸部62aで区画されている。凹部64bの端部側は開放されている。凹部64bの中央には孔67が形成されている。凸部62a,62bおよび凹部64a,64bはそれぞれ略正方形であって、千鳥格子状に配置されている。重合部60における凸部62aはベース材36の一部であり、凸部62bおよび凹部64a,64bはカバー材38の一部となっている。つまり、重合部60はベース材36とカバー材38とによって複合的に構成されている。
【0025】
図10は、接合構造10の組み立て工程においてカバー材68を取り付ける様子を示す斜視図である。図10に示すように、縦枠26は、室内側のベース材66と室外側のカバー材68とが見込み方向に重なって構成されている。ベース材66は上記のベース材36と同形状の形材から形成されており、ベース材36とは端部形状だけが異なる。カバー材68は上記のカバー材38と同形状の形材から形成されており、カバー材38とは端部形状だけが異なる。ベース材66およびカバー材68においてベース材36およびカバー材38と同様の構成要素には同符号を付して詳細な説明を省略する。
【0026】
図11は、ベース材66の端部の分解斜視図である。ベース材66における第1サブ板部44の端部近傍には切削加工されて第1メイン板部40と同一面状となる凹部(第2枠凹部)74aが形成されている。第1サブ板部42の端部は凸部(第2枠凸部)72bを形成している。凸部72bは第1サブ板部42の一部であるが、ベース材66の長手方向に隣接する部分が凹部74aとして切削加工されることにより、該凹部74aに対して相対的に凸となっている。残存する第1サブ板部42と切削加工された凹部74aとの境は段差状のエッジ(段差部)42aが形成されている。凸部72bの中央には孔73が形成されている。第1メイン板部40には、板片の凸部(第2枠凸部)72aが凹部74aから見て内周側の位置にビスによって固定されている。凸部72aはベース材66の一部と見做される。凸部72aの厚みは凸部72bと等しい。
【0027】
図12は、接合構造10の組み立て工程においてベース材66に横枠24を取り付ける様子を示す斜視図である。凸部72bが取り付けられたベース材66の端部には上記の重合部70が形成されている。重合部70は切削された第1サブ板部42のエッジ42aより先の部分であり、縦枠26における室外側見付け面に形成される。重合部70は2つの凸部72a,72bおよび2つの凹部74a,74bを有する。凸部72a,72bおよび凹部74aは上記したものである。
【0028】
凹部74aの内周側縁は凸部72aで区画されている。凹部(第2枠凹部)74bの外周側縁、基端側縁は、凸部72b、凸部72aで区画されている。凹部74bの端部側および内周側は開放されている。凸部72a,72bおよび凹部74a,74bは千鳥格子状に配置されている。凸部72bおよび凹部74bは平面視で略正方形となっている。凸部72aは平面視で略正方形であるが、基端側辺の両端コーナー部72aaはCカット形状となっている。これは、上記のコーナー部64aaとの干渉を避けるためである。
【0029】
ベース材66における第1サブ板部42のエッジ42aは、ベース材66の長手方向の位置が凸部72aの基端辺より幅Wだけずれている。この幅Wは補強片65の幅に等しい。エッジ42aがこのように凸部72aの基端辺よりもずれた位置となっていることから、凹部74aは平面視でやや長い長方形となっている。重合部70はベース材66によって構成されている。
【0030】
図10に示すように、カバー材68の端部では、面材保持片25が第2メイン板部44よりやや突出している。また、第2メイン板部44における面材保持片25よりも内周側の部分の端面76aは、外周側の部分の端面76bよりカバー材68の長手方向に幅Wだけ奥まった位置にある。
【0031】
建具12において接合構造10を形成するには、まず、図8図9に示すように、ベース材36とカバー材38とを組み立てて横枠24を形成する。次いで図12に示すように、凸部72aを取り付けた状態のベース材66の重合部70と横枠24の重合部60とを対面させて見込み方向に重ね合わせる。
【0032】
このとき、凸部62a(図7参照)は凹部74bに嵌め込まれ、凸部62bは凹部74aに嵌め込まれ、凸部72bは凹部64bに嵌め込まれ、凸部72aは凹部64a(図12参照)に嵌め込まれる。嵌合された各凸部と各凹部とは見込み面同士が接触する。また、壁部52aは凸部72bの端面に当接する。さらに、補強片65の突出縁65aはエッジ42aに当接する。補強片65は切欠65bによってやや短くなっており、ベース材66における第1サブ板部42と連続するように接続される。この状態で、凹部74aの2か所、凹部74bの2か所、および補強片65の2か所の合計6箇所からビスを挿入させて、横枠24における対応する位置のビス孔に螺合させ締結する。孔67と孔73とは連通し、面材20の取り付けに利用される。
【0033】
横枠24のベース材36における主部である第1メイン板部40の端面80(図7参照)は、縦枠26におけるベース材36の側面82(図11参照)に当接する。つまり、横枠24と縦枠26との接続では、互いのベース材36に関しては縦勝ち構成となっている。
【0034】
さらにこの後図10に示すように、ベース材66に対してカバー材68を取り付けて縦枠26を形成する。ベース材66に対するカバー材68の取り付けは、図9に示すようなベース材36に対するカバー材38の取り付けと同様に、第1サブ板部42の外周側端部をフック部52に嵌めてからカバー材68を回動させてもよい。フック部52は、第1サブ板部42とともに補強片65にも係合する。ベース材66とカバー材68とは、内周側および外周側において長手方向に沿う複数個所でビス止めする。
【0035】
カバー材68がベース材66に取り付けられると、該カバー材68の第2メイン板部44の端部は補強片65の室内側見付け面に当接する。横枠24のカバー材38と縦枠26のカバー材68とは、それぞれ対応する見付け面同士が同一面状に配置される。横枠24と縦枠26の各面材保持片25は端部同士で当接する。端面76b(図4参照)はカバー材38における第2メイン板部44と補強片65との段差面に隙間なく当接する。
【0036】
また、図4に示すように、端面76aは横枠24の内周側見込み面84に隙間なく当接する。つまり、横枠24と縦枠26との接続では、互いのカバー材38に関しては横勝ち構成となっている。
【0037】
図13は、図3におけるXIII~XIII線視による縦断面図である。図14は、図3におけるXIV~XIV線視による縦断面図である。図15は、図3におけるXV~XV線視による縦断面図である。図16は、図3におけるXVI~XVI線視による横断面図である。図17は、図3におけるXVII~XVII線視による横断面図である。
【0038】
図13図17で示されるように、重合部60と重合部70とは、凸部と凹部とが嵌合し合っている。嵌合し合う凸部と凹部とは基本的に平面視で同形状となっており、縦方向および横方向(つまり異なる2方向)の見込み面同士が面接触している。
【0039】
これについて凸部72aと凹部64aとの嵌合を例に説明する。図13に示すように、凸部72aについて縦方向に並ぶ外周側見込み面72abおよび内周側見込み面72acは、凹部64aの外周側見込み面64abおよび内周側見込み面64abと面接触している。図16に示すように、凸部72aについて横方向に並ぶ外周側見込み面72adおよび内周側見込み面72aeは、凹部64aの外周側見込み面64adおよび内周側見込み面64aeと面接触している。
【0040】
このような凸部と凹部との嵌合により、接触面同士が支持し合っていることから負荷が掛かってもずれることがない。また、凹部と凸部との嵌合箇所は複数設けられていることから、いずれか1か所を基点として回転することが防止される。
【0041】
このようにして接合構造10は高強度の接合を実現することから、建具12に対して地震などによる高負荷が加わった場合においても横枠24と縦枠26とは直角が維持され、枠体18の歪みを抑制することができる。嵌合し合う凸部と凹部とは見付け面同士についても接触し合い、一層安定している。また、枠体18の歪みを抑制することにより面材20が適正に保持され、建具12が高強度に維持される。横枠24と縦枠26との角度が直角に維持されることにより、横枠24と縦枠26との接続箇所に対面するシール材22も直角に保たれて剪断力が生じることがなく、該シール材22が損傷することがない。
【0042】
接合構造10では、凸部と凹部とは複数個所で嵌合し合うことから個々の凸部の見込み方法高さおよび凹部の見込み方向深さは比較的小さくても十分な強度が得られる。そのため、図13図17からも明らかなように接合構造10は見込み幅を十分薄くすることができる。なお、断熱性能などの条件によってはホロー部56を省略して接合構造10をさらに薄くしてもよい。接合構造10では、凸部および凹部が略正方形であって千鳥格子状にバランスよく配置されており、比較的狭い面積であっても十分な強度が得らえる。
【0043】
接合構造10では、横枠24と縦枠26との接続において、互いのベース材36に関しては縦勝ち構成であり、互いのカバー材38に関しては横勝ち構成となっている。このように、縦勝ち構成と横勝ち構成とが組み合わさることにより構造上で補間し合い、負荷の方向に寄らず高い強度が得られる。互いのベース材36に関しては横勝ち構成とし、互いのカバー材38に関しては縦勝ち構成としても同様の作用が得られる。
【0044】
また、横枠24に設けられる補強片65は、縦枠26のベース材66及びカバー材68によって挟持されると共に突出縁65aがエッジ42aに当接していることから三方向から押さえられており、横枠24と縦枠26とを一層安定させる。
【0045】
接合構造10において嵌合し合う凸部と凹部とは、基本的に見付け方向視形状が一致していることから全周にわたって当接し合って安定する。ただし、凸部72aのコーナー部72aaと凹部64aのコーナー部64aaとのように製造上の理由などにより、強度上に影響のない範囲で一部に隙間があることは許容される。
【0046】
なお、上記の例では、横枠24における重合部60はベース材36とカバー材38とによって複合的に構成され、重合部70はベース材66によって構成されているが、各重合部60,70はベース材およびカバー材の少なくとも一方によって形成されて、互いに見込み方向に重なればよい。
【0047】
上記の例では、横枠24の重合部60は2つの凸部62a,62bを有し、縦枠26の重合部70は2つの凸部72a,72bを有し、それぞれ相手方の対応する凹部に嵌合しており、換言すれば重合部60と重合部70とは2対ずつの凸部と凹部とを有しているが、凸部と凹部とは3対以上あってもよい。上記の例では、接合構造10は枠体18の隅部で横枠24と縦枠26とを直角に接合しているが、隅部に限らずT字の接合にも適用し得る。接合構造10による接合では、横枠24と縦枠26とを非直角に接合することも可能である。
【0048】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0049】
本発明にかかる接合構造は、第1枠材及び第2枠材を互いに接合する接合構造であって、前記第1枠材及び前記第2枠材はそれぞれ見込み方向に重なる内材と外材とを備え、前記第1枠材における前記内材および前記外材の少なくとも一方で形成される第1重合部は、前記第2枠材における前記内材および前記外材の少なくとも一方で形成される第2重合部に対して見込み方向に対面して重なり、前記第1重合部には見込み方向に相対的に凹凸を形成する複数の第1枠凸部および複数の第1枠凹部が形成され、前記第2重合部には見込み方向に相対的に凹凸を形成する複数の第2枠凸部および複数の第2枠凹部が形成され、前記第1枠凸部と前記第2枠凹部、および、前記第2枠凸部と前記第1枠凹部は異なる2方向で見込み面同士が面接触することを特徴とする。
【0050】
このような接合構造では、第1重合部の第1枠凸部および第1枠凹部と、第2重合部の第2枠凹部および第2枠凸部とが異なる2方向で見込み面同士が面接触していることから、いずれの方向に対しても接触面同士が支持し合っていて高負荷が掛かってもずれることがない。また、凹部と凸部との嵌合箇所は複数設けられていることから、いずれか1か所を基点として回転することが防止される。このように接合構造は高強度の接合を実現することから、建具に対して地震などによる高負荷が加わった場合においても第1枠材と第2枠材とは所定の角度が維持され、枠体の歪みを抑制することができる。
【0051】
本発明にかかる接合構造は、前記第1枠材と前記第2枠材とは直角に接合され、前記第1枠材と前記第2枠材における前記内材同士は横勝ちに構成されて前記外材同士は縦勝ちに構成され、または、前記第1枠材と前記第2枠材における前記外材同士は横勝ちに構成されて前記内材同士は縦勝ちに構成されていてもよい。このように、縦勝ち構成と横勝ち構成とが組み合わさることにより構造上で補間し合い、負荷の方向に寄らず高い強度が得られる。
【0052】
本発明にかかる接合構造は、前記第1枠凸部は、前記第2枠凹部の見付け方向視形状が一致しており該第2枠凹部に嵌合していてもよい。嵌合により面接触する面積が大きくなり一層安定する。
【0053】
本発明にかかる接合構造は、前記第1枠材および前記第2枠材の一方には、他方の長手方向に突出して他方の前記内材及び前記外材によって挟持されると共に突出縁が他方に形成された段差部に当接する補強片が設けられていてもよい。このような補強片は三方向から押さえられており、第1枠材と第2枠材とを一層安定させる。
【0054】
本発明にかかる接合構造は、複数の前記第1枠凸部と複数の前記第1枠凹部、および、複数の前記第2枠凹部と複数の前記第2枠凹部は千鳥格子状に配置されていてもよい。これにより凹凸のバランスがよくなり、比較的狭い面積であっても十分な強度が得らえる。
【0055】
本発明にかかる建具は、四隅が上記の接合構造により接合された枠体と、四周の縁に沿った見込み面が前記枠体と対面する面材と、前記枠体と前記面材との間に設けられたシール材と、を有することを特徴とする。このような建具は高強度となる。
【符号の説明】
【0056】
10 接合構造、12 建具、18 枠体、20 面材、22 シール材、24 横枠、26 縦枠、36 ベース材、38 カバー材、40 第1メイン板部、42 第1サブ板部、42a エッジ、44 第2メイン板部、46 第2サブ板部、48 内周片、52 フック部、52a 壁部、60 重合部(第1重合部)、62a,62b 凸部(第1枠凸部)、64a,64b 凹部(第1枠凹部)、65 補強片、65a 突出縁、66 ベース材、68 カバー材、70 重合部(第2重合部)、72a,72b 凸部(第2枠凸部)、74a,74b 凹部(第2枠凹部)
図1
図2
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