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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162519
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/20 20060101AFI20231101BHJP
   F16H 25/22 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
F16H25/20 F
F16H25/22 Z
F16H25/20 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072878
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白濱 康平
(72)【発明者】
【氏名】杉田 澄雄
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 諭
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AA38
3J062AB22
3J062AC07
3J062BA12
3J062BA25
3J062CD04
3J062CD23
3J062CD36
(57)【要約】
【課題】ナット回転式において、小型化を図りつつネジ軸の振れ回りを抑えること。
【解決手段】モータによって中心軸CLの周りに回転可能に設けられる、Z方向(軸方向)に延びてボールナットに挿通係合されてボールナットの回転に伴いZ方向に移動可能に設けられるボールネジ軸2Dと、ボールナットを支持するハウジングと、ハウジング2Aに支持され、ボールネジ軸2Dがボールナット2Cから突出する部位に連結される連結部材3Aと、連結部材3Aとボールネジ軸2Dとの間に設けられてボールネジ軸2Dが中心軸CLから外れる移動を吸収する支持機構(バッファ機構)3Jと、を含む。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源によって中心軸の周りに回転可能に設けられるボールナットと、
軸方向に延びて前記ボールナットに挿通係合されて前記ボールナットの回転に伴い前記軸方向に移動可能に設けられるボールネジ軸と、
前記ボールナットを支持するハウジングと、
前記ハウジングに支持され、前記ボールネジ軸が前記ボールナットから突出する部位に連結される連結部材と、
前記連結部材と前記ボールネジ軸との間に設けられて前記ボールネジ軸が前記中心軸から外れる移動を吸収するバッファ機構と、
を含む、アクチュエータ。
【請求項2】
前記バッファ機構は、
前記連結部材に設けられており前記ボールネジ軸が前記ボールナットから突出する部位に連結されて前記中心軸に対して交差する第一軸に沿ってスライド移動可能に設けられた第一部材と、
前記第一部材に対して前記第一軸に交差する第二軸に沿ってスライド移動可能に設けられた第二部材と、
を含む、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記第一部材は、前記第一軸の周りに回転移動可能に設けられ、前記第二部材は、前記第二軸の周りに回転移動可能に設けられる、請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記軸方向で並んで前記ハウジング側に固定される第一リニアガイドおよび第二リニアガイドと、
前記ボールネジ軸が前記ボールナットから突出する部位に連結されて前記第一リニアガイドおよび前記第二リニアガイドによって前記軸方向への移動を案内されるガイドレールと、
を含む、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記第一リニアガイドおよび前記第二リニアガイドは、前記ボールナットに対して前記軸方向の配置において、
前記第一リニアガイドが前記ボールネジ軸の突出移動側で、前記第二リニアガイドが前記ボールネジ軸の引込移動側に配置され、
または、前記第一リニアガイドが一致し、前記第二リニアガイドが前記引込移動側に配置され、
または、前記第一リニアガイドが前記突出移動側で、前記第二リニアガイドが一致して配置される、請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記軸方向における前記第一リニアガイドと前記ボールナットの距離W1と、前記軸方向における前記第二リニアガイドと前記ボールナットの距離W2とが、W1<W2の関係を満たす、請求項5に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記第一リニアガイドおよび前記第二リニアガイドは、前記軸方向に間隔をもって配置される、請求項5または6に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記第一リニアガイドおよび前記第二リニアガイドは、それぞれが前記ガイドレールを間に対向して配置される、請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記第一リニアガイド、前記第二リニアガイド、および前記ガイドレールを含みガイド機構を構成し、当該ガイド機構は、少なくとも2つがボールネジ軸2Dを間に対称に配置される、請求項4に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、モータによって回転運動するボールネジ軸と、ボールネジ軸の回転によって直線運動するボールネジナットと、ボールネジナットが固定されるスライド部と、直線運動方向に沿う溝部と、溝部を転動してスライド部を移動可能に支持する転動体と、スライド部に固定される作業軸と、を有するアクチュエータが示されている。このアクチュエータでは、ボールネジ軸の先端の振れを抑えるため、ボールネジ軸の先端に設けられてスライド部に固定されるロッドの孔の内周面に接触する弾性部材を有する。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、ネジ軸と、ネジ軸に第一転動体を介して捩じ込まれるナット部材と、ナット部材と共に移動可能な可動体と、可動体をネジ軸が延びる軸方向に移動可能に支持する案内手段と、ネジ軸の周方向に第二転動体を配置する溝を有してナット部材と可動体とを軸方向において連結する連結手段と、を有するボールネジ式のアクチュエータが示されている。このアクチュエータでは、可動体に伝わる回転時の振れを抑えるため、連結手段の溝が、軸方向から視て非円形、もしくは、軸方向から視てねじ軸の軸心と中心が一致しない円形に形成されている。
【0004】
また、例えば、特許文献3には、パラレルリンクを直列につないだロボットが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-041706号公報
【特許文献2】特開2017-053431号公報
【特許文献3】独国実用新案第212013000250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2に示されるアクチュエータは、ネジ軸が回転することでネジ軸に沿ってナットが移動し、このナットの移動に伴って移動する作動軸や可動体を移動させる。
【0007】
この特許文献1,2に示されるアクチュエータとは別の構成として、ナット側を回転させ、ネジ軸を移動させるアクチュエータが考えられる。ナット回転式のアクチュエータは、ナットの回転をネジ軸の軸方向推力に変換することで、高い精度での位置決めが可能であり、比較的小型のアクチュエータを実現できるが、ネジ軸の振れ回りを抑えることが望まれている。
【0008】
また、特許文献3に示されるようなロボットの場合、駆動するアクチュエータから離れた位置の作業点での高い精度が要求される。そのとき、1軸アクチュエータがまっすぐ走ることが精度を高くするために非常に重要になり、1軸アクチュエータの振れ回りを抑制する必要がある。
【0009】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、ナット回転式において、小型化を図りつつネジ軸の振れ回りを抑えることのできるアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様のアクチュエータは、駆動源によって中心軸の周りに回転可能に設けられるボールナットと、軸方向に延びて前記ボールナットに挿通係合されて前記ボールナットの回転に伴い前記軸方向に移動可能に設けられるボールネジ軸と、前記ボールナットを支持するハウジングと、前記ハウジングに支持され、前記ボールネジ軸が前記ボールナットから突出する部位に連結される連結部材と、前記連結部材と前記ボールネジ軸との間に設けられて前記ボールネジ軸が前記中心軸から外れる移動を吸収するバッファ機構と、を含む。
【0011】
上記アクチュエータの望ましい態様として、前記バッファ機構は、前記連結部材に設けられており前記ボールネジ軸が前記ボールナットから突出する部位に連結されて前記中心軸に対して交差する第一軸に沿ってスライド移動可能に設けられた第一部材と、前記第一部材に対して前記第一軸に交差する第二軸に沿ってスライド移動可能に設けられた第二部材と、を含む。
【0012】
上記アクチュエータの望ましい態様として、前記第一部材は、前記第一軸の周りに回転移動可能に設けられ、前記第二部材は、前記第二軸の周りに回転移動可能に設けられる。
【0013】
上記アクチュエータの望ましい態様として、前記軸方向で並んで前記ハウジング側に固定される第一リニアガイドおよび第二リニアガイドと、前記ボールネジ軸が前記ボールナットから突出する部位に連結されて前記第一リニアガイドおよび前記第二リニアガイドによって前記軸方向への移動を案内されるガイドレールと、を含む。
【0014】
上記アクチュエータの望ましい態様として、前記第一リニアガイドおよび前記第二リニアガイドは、前記ボールナットに対して前記軸方向の配置において、前記第一リニアガイドが前記ボールネジ軸の突出移動側で、前記第二リニアガイドが前記ボールネジ軸の引込移動側に配置され、または、前記第一リニアガイドが一致し、前記第二リニアガイドが前記引込移動側に配置され、または、前記第一リニアガイドが前記突出移動側で、前記第二リニアガイドが一致して配置される。
【0015】
上記アクチュエータの望ましい態様として、前記軸方向における前記第一リニアガイドと前記ボールナットの距離W1と、前記軸方向における前記第二リニアガイドと前記ボールナットの距離W2とが、W1<W2の関係を満たす。
【0016】
上記アクチュエータの望ましい態様として、前記第一リニアガイドおよび前記第二リニアガイドは、前記軸方向に間隔をもって配置される。
【0017】
上記アクチュエータの望ましい態様として、前記第一リニアガイドおよび前記第二リニアガイドは、それぞれが前記ガイドレールを間に対向して配置される。
【0018】
上記アクチュエータの望ましい態様として、前記第一リニアガイド、前記第二リニアガイド、および前記ガイドレールを含みガイド機構を構成し、当該ガイド機構は、少なくとも2つがボールネジ軸2Dを間に対称に配置される。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、ナット回転式において、小型化を図りつつネジ軸の振れ回りを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施形態1のアクチュエータの構成例を表す斜視図である。
図2図2は、実施形態1のアクチュエータの構成例を表す断面図である。
図3図3は、実施形態1のアクチュエータの構成例を表す一部裁断正面図である。
図4図4は、実施形態1のアクチュエータの構成例を表す平面図である。
図5図5は、実施形態1のアクチュエータの他の構成例を表す断面図である。
図6図6は、実施形態1のアクチュエータの他の構成例を表す断面図である。
図7図7は、実施形態1のアクチュエータの他の構成例を表す断面図である。
図8図8は、実施形態1のアクチュエータの他の構成例を表す断面図である。
図9図9は、アクチュエータの使用例を表す構成図である。
図10図10は、アクチュエータの比較例を表す斜視図である。
図11図11は、実施形態2のアクチュエータの構成例を表す斜視図である。
図12図12は、実施形態2のアクチュエータの構成例を表す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、発明を実施するための形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の形態により本発明が限定されるものではない。また、下記形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0022】
実施形態のアクチュエータは、例えば、医療機器や産業機器など精密な位置決め精度が求められるロボットに適用される。
【0023】
[実施形態1](基本原理の説明)
実施形態1として、実施形態のアクチュエータの基本原理を図1から図9を参照して以下に説明する。図1から図4に示すように、アクチュエータ1は、ナット回転式として構成され、アクチュエータ本体2と、ガイド部3と、を含む。
【0024】
アクチュエータ本体2は、ハウジング2Aと、駆動源であるモータ2Bと、ボールナット2Cと、ボールネジ軸2Dと、エンコーダ2Eと、を含む。
【0025】
ハウジング2Aは、矩形状で箱型に形成される。ハウジング2Aは、一方向に長く形成され、当該方向をZ方向とする。また、ハウジング2Aは、Z方向に対して直交(交差)する二つの方向をそれぞれX方向とY方向とし、これらX方向およびY方向において略正方形に形成される。なお、ハウジング2Aは、箱型に限らず、モータ2B、ボールナット2C、およびエンコーダ2Eを支持する構成であればよい。
【0026】
モータ2Bは、図2に示すように、ハウジング2Aの内部に収容される。モータ2Bは、ロータ(回転子)2Baと、ステータ(固定子)2Bbと、を有する。ロータ2Baは、ハウジング2Aに対して軸受2Fを介して取り付けられ、Z方向に延びる中心軸CLの周りに回転可能に設けられている。中心軸CLが延びるZ方向を軸方向ともいう。ロータ2Baは、中心軸CL上でZ方向に貫通する貫通孔からなる中空部2Baaが形成されている。ロータ2Baは、その周面に永久磁石2Babが固定されている。永久磁石2Babは、中心軸CLの周りの周方向に間隔をおいて複数配置される。ステータ2Bbは、ロータ2Baの周りを囲むように中心軸CLを中心とした筒状に形成されている。ステータ2Bbは、中心軸CLの周りの周方向に間隔をおいて複数設けられた芯部に、電磁コイルが絶縁材を介して巻き付けられている。従って、モータ2Bは、ステータ2Bbの電磁コイルへの通電によってロータ2Baが中心軸CLの周りに回転駆動される。
【0027】
ボールナット2Cは、図2に示すように、ハウジング2Aの内部に収容される。ボールナット2Cは、ハウジング2Aに対して軸受2Fを介して取り付けられ、中心軸CLの周りに回転可能に設けられている。ボールナット2Cは、モータ2Bのロータ2Baと一体に接続される。従って、ボールナット2Cは、モータ2Bの駆動によって中心軸CLの周りに回転駆動される。ボールナット2Cは、図には明示しないが、Z方向に沿って中心軸CLの周りに螺旋状の溝が形成され、当該溝にボールが配置されており、回転駆動によってボールが溝を転動して循環するように設けられる。
【0028】
ボールネジ軸2Dは、図2に示すように、ハウジング2Aの内部に収容され、一部がハウジング2Aの外部に延びて設けられる。ボールネジ軸2Dは、ハウジング2Aの内部において、ボールナット2Cに挿通係合し、モータ2Bのロータ2Baの中空部2Baaに一部が挿通して設けられる。ボールネジ軸2Dは、図には明示しないが、その周面に中心軸CLの周りに沿う螺旋状の溝が形成され、当該溝にボールナット2Cのボールが転動可能に係合する。従って、ボールネジ軸2Dは、ボールナット2Cの回転駆動によって中心軸CLに沿ってZ方向に移動可能に設けられる。
【0029】
エンコーダ2Eは、ハウジング2Aの内部に収容され、一部がハウジング2Aの外部に延びて設けられる。エンコーダ2Eは、ハウジング2Aの内部において、モータ2Bのロータ2Baと一体に接続される。従って、エンコーダ2Eは、モータ2Bの駆動によってハウジング2Aの内部に収容された部分が中心軸CLの周りに回転し、ハウジング2Aの外部に延びた部分でロータ2Baの回転数を出力する。即ち、エンコーダ2Eは、ロータ2Baおよびボールナット2Cの回転数を検出し出力する。
【0030】
このように構成されたアクチュエータ本体2は、Z方向において、一方からボールナット2C、モータ2B、エンコーダ2Eの順で中心軸CLに沿って配置され、ボールネジ軸2Dがボールナット2C(ハウジング2A)から一方側に突出して中心軸CLに沿って移動可能に設けられる。即ち、アクチュエータ本体2は、Z方向において、ボールネジ軸2Dがボールナット2C(ハウジング2A)から突出する側のハウジング2Aの端部にボールナット2Cが配置されている。
【0031】
ガイド部3は、アクチュエータ本体2に取り付けられ、連結部材3Aと、ガイドレール3Bと、第一リニアガイド3Cと、第二リニアガイド3Dと、を含む。
【0032】
連結部材3Aは、連結部3Aaと、支持部3Abと、を有する。連結部3Aaは、ボールネジ軸2Dにおいてボールナット2C(ハウジング2A)から突出した端部に連結される。連結部3Aaは、ボールネジ軸2Dの端部からX方向の一方に延びて形成される。支持部3Abは、連結部3Aaに対して一体に接続され、連結部3AaのX方向に延びた端部から折れ曲がるようにZ方向に延びてハウジング2Aの外部に沿って配置される。従って、連結部材3Aは、ボールネジ軸2Dと共に中心軸CLに沿ってZ方向に移動可能に設けられる。連結部材3Aは、ガイドレール3B、第一リニアガイド3C、第二リニアガイド3Dを介してハウジング2Aに支持される。
【0033】
ガイドレール3Bは、支持部3Abに固定される。ガイドレール3Bは、支持部3Ab共にZ方向に延びて形成される。ガイドレール3Bは、Z方向に平行して2本設けられ、支持部3Abを間にしてY方向で相反する方向に向けて設けられる。従って、ガイドレール3Bは、連結部材3Aを介してボールネジ軸2Dと共に中心軸CLに沿ってZ方向に移動可能に設けられる。
【0034】
第一リニアガイド3Cは、固定部材3Eを介してハウジング2Aに固定される。固定部材3Eは、ハウジング2AのX方向の一方側に固定され、X方向に立ち上がる2つの固定片3EaがY方向で対向して配置される。従って、固定部材3Eは、Z方向から視てX方向の一方側に開放するようにコ字形状に形成される。また、固定部材3Eは、図3に示すように開放部が塞がれるカバー3Ebが設けられる。第一リニアガイド3Cは、この固定部材3Eの各固定片3Eaの対向面においてY方向で対向して2つ設けられる。各第一リニアガイド3Cは、図4に示すように、X方向から視た際に、ボールネジ軸2D(中心軸CL)を基にY方向で対称の位置にある。各第一リニアガイド3Cは、各ガイドレール3Bにそれぞれ係合し、ガイドレール3BをZ方向に移動可能に支持する。従って、第一リニアガイド3Cは、ガイドレール3BのZ方向への移動を案内する。即ち、第一リニアガイド3Cは、ガイドレール3Bおよび連結部材3Aを介してボールネジ軸2DのZ方向への移動を案内する。
【0035】
第二リニアガイド3Dは、固定部材3Eを介してハウジング2Aに固定される。第二リニアガイド3Dは、固定部材3Eの各固定片3Eaの対向面においてY方向で対向して2つ設けられる。各第二リニアガイド3Cは、図4に示すように、X方向から視た際に、ボールネジ軸2D(中心軸CL)を基にY方向で対称の位置にある。各第二リニアガイド3Dは、各ガイドレール3Bにそれぞれ係合し、ガイドレール3BをZ方向に移動可能に支持する。従って、第二リニアガイド3Dは、ガイドレール3BのZ方向への移動を案内する。即ち、第二リニアガイド3Dは、ガイドレール3Bおよび連結部材3Aを介してボールネジ軸2DのZ方向への移動を案内する。
【0036】
第一リニアガイド3Cおよび第二リニアガイド3Dは、Z方向で並んで固定部材3Eに固定される。図3に示すように、第一リニアガイド3Cは、Z方向において、ボールネジ軸2Dがボールナット2C(ハウジング2A)から突出移動する側に配置され、第二リニアガイド3Dは、Z方向において、ボールネジ軸2Dがボールナット2Cに引込移動する側に配置されている。言い換えると、第一リニアガイド3Cは、ハウジング2AのZ方向の一方側に配置され、第二リニアガイド3Dは、ハウジング2AのZ方向の他方側に配置されている。
【0037】
アクチュエータ1では、図2に示すように、ボールナット2Cについて、ボールネジ軸2Dが係合する部分であって、ボールが循環する螺旋状の溝が配置された部分のZ方向の中心を基準位置C1とする。また、アクチュエータ1では、第一リニアガイド3Cおよび第二リニアガイド3Dのそれぞれについて、ガイドレール3Bに係合する部分のZ方向の中心を基準位置C2,C3とする。そして、アクチュエータ1は、ボールナット2Cの基準位置C1を挟むように、第一リニアガイド3Cの基準位置C2と第二リニアガイド3Dの基準位置C3とが配置される。具体的に、第一リニアガイド3Cは、ボールナット2Cの基準位置C1に対してZ方向においてボールネジ軸2Dの突出移動側(図2の左側)に基準位置C2が配置される。また、第二リニアガイド3Dは、ボールナット2Cの基準位置C1に対してZ方向においてボールネジ軸2Dの引込移動側(図2の右側)に配置される。また、第一リニアガイド3Cの基準位置C2とボールナット2Cの基準位置C1とのZ方向の距離W1と、第二リニアガイド3Dの基準位置C3とボールナット2Cの基準位置C1とのZ方向の距離W2とは、W1≦W2の関係とする。好ましくは、距離W1と距離W2とは、W1<W2の関係とする。
【0038】
ここで、図5から図8は、他の構成のアクチュエータ11,12,13,14を示す。
【0039】
アクチュエータ11,12,14は、ボールナット2Cの基準位置C1を挟むように、第一リニアガイド3Cの基準位置C2と第二リニアガイド3Dの基準位置C3とが配置される。アクチュエータ13は、ボールナット2Cの基準位置C1に対して第一リニアガイド3Cの基準位置C2と第二リニアガイド3Dの基準位置C3とがボールネジ軸2Dの移動の一方側に偏って配置される。
【0040】
アクチュエータ11では、第一リニアガイド3Cは、ボールナット2Cの基準位置C1に対してZ方向において基準位置C2が一致して配置される。また、第二リニアガイド3Dは、ボールナット2Cの基準位置C1に対してZ方向においてボールネジ軸2Dの引込移動側(図5の右側)に配置される。即ち、アクチュエータ11は、距離W1=0であり、距離W1と距離W2とが、W1<W2の関係となる。
【0041】
アクチュエータ12では、第一リニアガイド3Cは、ボールナット2Cの基準位置C1に対してZ方向においてボールネジ軸2Dの突出移動側(図6の左側)に基準位置C2が配置される。また、第二リニアガイド3Dは、ボールナット2Cの基準位置C1に対してZ方向において基準位置C3が一致して配置される。即ち、アクチュエータ12は、距離W2=0であり、距離W1と距離W2とが、W1>W2の関係となる。
【0042】
アクチュエータ13では、第一リニアガイド3Cは、ボールナット2Cの基準位置C1に対してZ方向においてボールネジ軸2Dの引込移動側(図7の右側)に基準位置C2が配置される。また、第二リニアガイド3Dは、ボールナット2Cの基準位置C1に対してZ方向においてボールネジ軸2Dの引込移動側(図7の右側)に基準位置C3が配置される。ここで、第一リニアガイド3Cは、第二リニアガイド3DよりもZ方向においてボールナット2Cに近い位置に配置される。即ち、アクチュエータ13は、距離W1と距離W2とが、W1<W2の関係となる。
【0043】
アクチュエータ14では、ガイドレール3B、第一リニアガイド3C、第二リニアガイド3D、および固定部材3Eを含むガイド機構を構成し、当該ガイド機構を少なくとも2つ配置している。図8では、ガイド機構を2つ配置した構成を示している。各ガイド機構は、ガイド部3に含まれ、連結部材3Aを介してアクチュエータ本体2のボールネジ軸2Dに連結される。各ガイド機構は、ボールネジ軸2Dを間に対称に配置される。具体的に、各ガイド機構は、それぞれのガイドレール3BがZ方向においてボールネジ軸2Dの中心軸CLと平行に配置され、かつボールネジ軸2D(中心軸CL)を基にX方向で対称の位置に設けられる。また、各ガイド機構は、それぞれの第一リニアガイド3Cが基準位置C1を一致させ、それぞれの第二リニアガイド3Dが基準位置C2を一致させて配置され、Z方向で対称の位置に設けられてZ方向での位置が一致している。なお、アクチュエータ14は、図8においてアクチュエータ1のガイド機構の構成に基づいて示しているが、アクチュエータ11,12,13のガイド機構の構成に基づいて構成されてもよい。
【0044】
アクチュエータ11,12,13,14におけるW1,W2をこのような関係に配置した理由は後述する。
【0045】
なお、実施形態1において、アクチュエータ1,11,12,13は、ガイドレール3Bを1本とし、第一リニアガイド3Cおよび第二リニアガイド3Dをそれぞれ1つとした構成も含む。また、アクチュエータ14は、それぞれのガイド機構において、ガイドレール3Bを1本とし、第一リニアガイド3Cおよび第二リニアガイド3Dをそれぞれ1つとした構成も含む。
【0046】
上記のアクチュエータ1,11,12,13,14は、例えば、図9に示すように使用される。図9では、2つのアクチュエータ1,11,12,13,14が用いられ、作業点6で作業を行う。具体的に、第一のアクチュエータ1,11,12,13,14のボールネジ軸2Dに連結部材3Aと継手部材4を介して第二のアクチュエータ1,11,12,13,14のアクチュエータ本体2が連結される。また、第二のアクチュエータ1,11,12,13,14のボールネジ軸2Dに連結部材3Aと継手部材5を介して作業点6が連結される。そして、第一のアクチュエータ1,11,12,13,14のボールネジ軸2Dによって連結部材3A、継手部材4、第二のアクチュエータ1,11,12,13,14、継手部材5を介して作業点6が移動し、第二のアクチュエータ1,11,12,13,14のボールネジ軸2Dによって連結部材3Aと継手部材5を介して作業点6が移動する。このように、作業点6は、2つのアクチュエータ1,11,12,13,14から離れた位置にある。
【0047】
上述したように、実施形態1のアクチュエータ1,11,12,13,14は、モータ2Bによって中心軸CLの周りに回転可能に設けられるボールナット2Cと、Z方向(軸方向)に延びてボールナット2Cに挿通係合されてボールナット2Cの回転に伴いZ方向に移動可能に設けられるボールネジ軸2Dと、ボールナット2Cを支持するハウジング2Aと、ボールネジ軸2Dの延びる方向で並んでハウジング2A側に固定される第一リニアガイド3Cおよび第二リニアガイド3Dと、ボールネジ軸2Dがボールナット2Cから突出する部位に連結されて第一リニアガイド3Cおよび第二リニアガイド3DによってZ方向への移動を案内されるガイドレール3Bと、を含む。
【0048】
このアクチュエータ1,11,12,13,14によれば、ボールナット2Cの回転をボールネジ軸2Dの軸方向への移動推力に変換させるナット回転式の構成によってボールナット2Cが移動する構成と比較して小型化を図ることができる。また、このアクチュエータ1,11,12,13,14によれば、Z方向で並んでハウジング2A側に固定される第一リニアガイド3Cおよび第二リニアガイド3Dによって、ボールネジ軸2Dに連結されたガイドレール3BのZ方向への移動を案内することで、ボールナット2Cとの係合によってボールネジ軸2Dに生じる振れ回りを抑えることができる。アクチュエータ1,11,12,13によれば、第一リニアガイド3Cおよび第二リニアガイド3Dがボールネジ軸2Dが移動するZ方向に並んで設けられるため、Z方向から外側に拡大することを抑え、小型化を図ることができる。
【0049】
ここで、図10に示す比較例のアクチュエータ101は、実施形態1のアクチュエータ1,11,12,13,14と同様にアクチュエータ本体2を有する。また、アクチュエータ101は、アクチュエータ1,11,12,13,14のガイド部3とは異なるガイド部31を有する。ガイド部31は、ガイド部3とは異なる構成としてガイドレール3Fと、リニアガイド3Gと、を含む。ガイドレール3Fは、1本であり、Z方向に延びるように、固定部材3Hを介してハウジング2Aに固定される。リニアガイド3Gは、1つであり、連結部材3Aの支持部3Abに固定され、ガイドレール3Fに係合する。このアクチュエータ101では、ボールネジ軸2Dと共に連結部材3Aを介してガイドレール3Fではなくリニアガイド3GがZ方向に移動し、ガイドレール3Fがリニアガイド3Gおよび連結部材3Aを介してボールネジ軸2DのZ方向への移動を案内する。
【0050】
このアクチュエータ101は、リニアガイド3Gがガイドレール3Fに沿ってZ方向に移動するため、リニアガイド3Gとボールナット2Cとの位置関係に変化が生じ、ボールナット2Cとの係合によってボールネジ軸2Dに生じる振れ回りを安定的に抑える効果が小さい。このため、図9の使用例のように、第一のアクチュエータ101のボールネジ軸2Dによって継手部材4、第二のアクチュエータ101、継手部材5を介して作業点6を移動させるような場合、第一のアクチュエータ101および第二のアクチュエータ101のボールネジ軸2Dの振れ回りが拡張して作業点6に作用する。このため、アクチュエータ101では、作業点6における作業精度が低下し得る。
【0051】
この点、アクチュエータ1,11,12,13,14によれば、Z方向で並んでハウジング2A側に固定される第一リニアガイド3Cおよび第二リニアガイド3Dによって、ボールネジ軸2Dに連結されたガイドレール3BのZ方向への移動を案内することから、ボールネジ軸2Dを案内する剛性が向上する。この結果、アクチュエータ1,11,12,13,14によれば、ボールネジ軸2Dに生じる振れ回りを抑え、作業点6の作業精度を向上できる。
【0052】
図9に示すように複数個組み合わせてロボットなどに搭載する際には、第一のアクチュエータから離れた作業点6において、アクチュエータ単体の振れ回りが組み合わさった振れとなってしまうことがある。特に手術ロボットの場合、精密な位置決めが必要で、ミクロンオーダーの精度が求められることもある。また、小型のロボットに搭載する際には、アクチュエータの小型化および軽量化が求められる。この点、実施形態1のアクチュエータ1,11,12,13,14は、精密な位置決めが可能であり、かつ小型化および軽量化を図れる。
【0053】
また、実施形態1のアクチュエータ1,11,12では、第一リニアガイド3Cおよび第二リニアガイド3Dは、ボールナット2Cに対してZ方向(軸方向)の配置において、第一リニアガイド3Cがボールネジ軸2Dの突出移動側(ボールネジ軸2Dがボールナット2Cから突出移動する側)で、第二リニアガイド3Dがボールネジ軸2Dの引込移動側(ボールネジ軸2Dがボールナット2Cに引込移動する側)に配置される。または、第一リニアガイド3Cおよび第二リニアガイド3Dは、ボールナット2Cに対してZ方向(軸方向)の配置において、第一リニアガイド3Cが一致し、第二リニアガイド3Dが引込移動側に配置される。または、第一リニアガイド3Cおよび第二リニアガイド3Dは、ボールナット2Cに対してZ方向(軸方向)の配置において、第一リニアガイド3Cが突出移動側で、第二リニアガイド3Dが一致して配置される。
【0054】
このアクチュエータ1,11,12,14によれば、ボールネジ軸2Dが移動するZ方向において、第一リニアガイド3Cと第二リニアガイド3Dとの間にボールナット2Cを配置することで、当該位置にて、ボールナット2Cとの係合によってボールネジ軸2Dに生じる振れ回りを抑える。つまり、アクチュエータ1,11,12,14は、ボールナット2CのZ方向の両側で第一リニアガイド3Cと第二リニアガイド3Dとによってボールネジ軸2Dの振れ回りを抑えることとなるため、ボールネジ軸2Dの振れ回りの抑制効果をより高めることができる。
【0055】
また、実施形態1のアクチュエータ1,11,14では、Z方向における第一リニアガイド3Cとボールナット2Cの距離W1と、Z方向における第二リニアガイド3Dとボールナット2Cの距離W2とが、W1<W2の関係を満たす。
【0056】
このアクチュエータ1,11,14によれば、ボールネジ軸2Dがボールナット2Cから突出移動する側に配置される第一リニアガイド3Cを、ボールナット2Cにより近い位置に配置することで、突出移動側でのボールネジ軸2Dの振れ回りを抑える。一方、アクチュエータ1,11によれば、第二リニアガイド3Dによってボールナット2Cから引込移動側の遠い位置でボールネジ軸2Dの振れ回りを抑える。この結果、アクチュエータ1,11は、ボールネジ軸2Dによって作業を行う突出移動側ではボールナット2Cに近い位置でボールネジ軸2Dの振れ回りを抑えつつ、反対側の作業を行う反対側の引込移動側ではボールナット2Cから遠い位置でボールネジ軸2Dの振れ回りを抑えるため、ボールネジ軸2Dの振れ回りの抑制効果をより高めることができる。
【0057】
また、実施形態1のアクチュエータ1,11,12,13,14では、第一リニアガイド3Cおよび第二リニアガイド3Dは、Z方向(軸方向)に間隔をもって配置される。
【0058】
このアクチュエータ1,11,12,13,14によれば、第一リニアガイド3Cおよび第二リニアガイド3DがZ方向に間隔をもって配置されることで、当該間隔を有さない場合と比較して、相互が遠い位置でボールネジ軸2Dの振れ回りを抑制することとなり、ボールネジ軸2Dの振れ回りの抑制効果をより高めることができる。
【0059】
また、実施形態1のアクチュエータ1,11,12,13,14では、第一リニアガイド3Cおよび第二リニアガイド3Dは、それぞれがガイドレール3Bを間に対向して配置される。
【0060】
このアクチュエータ1,11,12,13,14によれば、第一リニアガイド3Cおよび第二リニアガイド3Dは、それぞれがガイドレール3Bを挟むように案内する。この結果、アクチュエータ1,11,12,13,14は、ボールネジ軸2Dの振れ回りの抑制効果をより高めることができる。
【0061】
また、実施形態1のアクチュエータ1,11,12,13,14では、第一リニアガイド3C、第二リニアガイド3D、およびガイドレール3Bを含みガイド機構を構成し、当該ガイド機構は、少なくとも2つがボールネジ軸2Dを間に対称に配置される。
【0062】
このアクチュエータ1,11,12,13,14によれば、複数のガイド機構をボールネジ軸2Dを間に対称に配置することで、ボールネジ軸2Dの振れ回りの抑制効果をより高めることができる。
【0063】
[実施形態2]
図11および図12に示すように、アクチュエータ20は、ナット回転式として構成され、アクチュエータ本体2と、ガイド部3と、を含む。
【0064】
アクチュエータ本体2は、実施形態1で説明したアクチュエータ1,11,12,13,14,101と同様の構成であり、同等部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0065】
ガイド部3は、実施形態1で説明したアクチュエータ1,11,12,13,14に対し、連結部材3Aの一部を除き同様の構成であり、同等部分に同一符号を付して説明を省略する。なお、ガイド部3は、実施形態1で説明したアクチュエータ101に対しても、連結部材3Aの一部を除き同様の構成である。
【0066】
連結部材3Aは、連結部3Aaに設けられる支持機構(バッファ機構)3Jを含む。支持機構3Jは、第一部材3JAと、第二部材3JBと、収容部3JCと、を含む。
【0067】
第一部材3JAは、Z方向から視た正面視において矩形の板状に形成される。第一部材3JAは、外周においてX方向で相反する平坦面3JAaと、Y方向で相反する平坦面3JAbを有する。
【0068】
第二部材3JBは、Z方向から視た正面視において、矩形の環板状に形成される。第二部材3JBは、中央の矩形の穴においてX方向で対向する平坦面3JBaと、Y方向で対向する平坦面3JBbを有する。第二部材3JBは、外周においてX方向で相反する平坦面3JBcと、Y方向で相反する平坦面3JBdを有する。
【0069】
収容部3JCは、Z方向から視た正面視において、連結部3Aaに形成された矩形の切欠状に形成される。収容部3JCは、切欠の内周において、X方向に向く平坦面3JCaと、Y方向で対向する平坦面3JCbを有する。
【0070】
上記第一部材3JAは、ボールネジ軸2Dのボールナット2Cから突出する端部に連結固定される。第一部材3JAは、第二部材3JBの穴に挿入され、各平坦面3JAaと各平坦面3JBaが対向し、各平坦面3JAbと各平坦面3JBbが対向する。第一部材3JAと第二部材3JBは、中心軸CLに交差するX方向に延び各平坦面3JAaと各平坦面3JBaとの間に配置された第一軸3JDを介して連結される。第一部材3JAと第二部材3JBは、第一軸3JDに沿ってX方向に相対的にスライド移動可能に設けられる。また、第一部材3JAと第二部材3JBは、第一軸3JDの周りに相対的に回転移動可能に設けられる。
【0071】
第一部材3JAと第二部材3JBのスライド移動は、第一軸3JDが配置された各平坦面3JAaと各平坦面3JBaとの隙間H1の合計範囲で吸収される。この第一部材3JAと第二部材3JBにおいて吸収されるスライド移動の範囲は、ボールナット2Cとの係合においてボールネジ軸2Dが中心軸CLから外れるX方向の許容寸法(例えば数μm~20μm)よりも大きい範囲とされることで、ボールネジ軸2Dの振れ回りがその先端より先に伝わることを抑制する。従って、第一軸3JDが配置された各平坦面3JAaと各平坦面3JBaとの隙間H1の合計範囲は、ボールナット2Cとの係合においてボールネジ軸2Dが中心軸CLから外れる振れ回りの寸法よりも大きく設定される。
【0072】
上記第二部材3JBは、収容部3JCの切欠に挿入され、平坦面3JBcと平坦面3JCaが対向し、各平坦面3JBdと各平坦面3JCbが対向する。第二部材3JBと収容部3JCは、第一軸3JDのX方向に交差するY方向に延び各平坦面3JBdと各平坦面3JCbとの間に配置された第二軸3JEを介して連結される。第二部材3JBと収容部3JC(連結部3Aa)は、第二軸3JEに沿ってY方向に相対的にスライド移動可能に設けられる。また、第二部材3JBと収容部3JC(連結部3Aa)は、第二軸3JEの周りに相対的に回転移動可能に設けられる。第二軸3JEと第一軸3JDは、中心軸CLに対して同じ位置で交差するように構成することが小型化のため好ましい。
【0073】
第二部材3JBと収容部3JC(連結部3Aa)のスライド移動は、第二軸3JEが配置された各平坦面3JBdと各平坦面3JCbとの隙間H2の合計範囲で吸収される。この第二部材3JBと収容部3JC(連結部3Aa)において吸収されるスライド移動の範囲は、ボールナット2Cとの係合においてボールネジ軸2Dが中心軸CLから外れるY方向の許容寸法(例えば数μm~20μm)よりも大きい範囲とされることで、ボールネジ軸2Dの振れ回りがその先端より先に伝わることを抑制する。従って、第二軸3JEが配置された各平坦面3JBdと各平坦面3JCbとの隙間H2の合計範囲は、ボールナット2Cとの係合においてボールネジ軸2Dが中心軸CLから外れる振れ回りの寸法よりも大きく設定される。
【0074】
このように、実施形態2のアクチュエータ20は、ボールネジ軸2Dのボールナット2Cから突出する端部が、第一部材3JA、第一軸3JD、第二部材3JB、第二軸3JEを介して収容部3JC(連結部3Aa)に連結される。
【0075】
上述したように、実施形態2のアクチュエータ20は、モータ2Bによって中心軸CLの周りに回転可能に設けられるボールナット2Cと、Z方向(軸方向)に延びてボールナット2Cに挿通係合されてボールナット2Cの回転に伴いZ方向に移動可能に設けられるボールネジ軸2Dと、ボールナット2Cを支持するハウジング2Aと、ハウジング2Aに支持され、ボールネジ軸2Dがボールナット2Cから突出する部位に連結される連結部材3Aと、連結部材3Aとボールネジ軸2Dとの間に設けられてボールネジ軸2Dが中心軸CLから外れる移動を吸収する支持機構(バッファ機構)3Jと、を含む。
【0076】
アクチュエータ20によれば、連結部材3Aとボールねじ軸2Dとが直接連結されている場合と比較して、支持機構(バッファ機構)3Jが、ボールネジ軸2Dの振れ回りを吸収するので、図9に示す作業点6へのボールネジ軸2Dの軸方向以外の成分の伝播を低減し、位置決め精度の低下を抑制することができる。
【0077】
また、実施形態2のアクチュエータ20では、支持機構3Jは、連結部材3Aに設けられておりボールネジ軸2Dがボールナット2Cから突出する部位に連結されて中心軸CLに対して交差する第一軸3JDに沿ってスライド移動可能に設けられた第一部材3JAと、第一部材3JAに対して第一軸3JDに交差する第二軸3JEに沿ってスライド移動可能に設けられた第二部材3JBと、を含む。
【0078】
このアクチュエータ20によれば、ボールナット2Cの回転をボールネジ軸2Dの軸方向への移動推力に変換させるナット回転式の構成によってボールナット2Cが移動する構成と比較して小型化を図ることができる。また、このアクチュエータ20によれば、中心軸CLに対して交差する第一軸3JDに沿ってスライド移動する第一部材3JAと、第一軸3JDに交差する第二軸3JEに沿ってスライド移動する第二部材3JBと、を有することで、ボールナット2Cとの係合によってボールネジ軸2Dに生じる振れ回りを吸収することができる。アクチュエータ20によれば、第一部材3JAとおよび第二部材3JBをハウジング2Aに支持してボールネジ軸2Dに連結することで構成でき、小型化を図ることができる。また、アクチュエータ20によれば、ボールネジ軸2Dに生じる振れ回りを抑え、図9に示す連結部材3Aと継手部材5を介して連結された作業点6の精密な位置決めが可能であり作業精度を向上できる。
【0079】
また、実施形態2のアクチュエータ20では、第一部材3JAは、第一軸3JDの周りに回転移動可能に設けられ、第二部材3JBは、第二軸3JEの周りに回転移動可能に設けられる。
【0080】
このアクチュエータ20によれば、スライド移動に加え、第一部材3JAを第一軸3JDの周りに回転させ、第二部材3JBを第二軸3JEの周りに回転させることで、ボールネジ軸2Dに生じる中心軸CLの周りの振れ回りを抑えることができ、ボールネジ軸2Dの振れ回りの抑制効果をより高めることができる。
【0081】
また、実施形態2のアクチュエータ20では、第一部材3JAおよび第二部材3JBは、ボールナット2Cとの係合においてボールネジ軸2Dが中心軸CLから外れる寸法をスライド移動によって吸収する。
【0082】
このアクチュエータ20によれば、ボールネジ軸2Dが中心軸CLから外れる寸法を第一部材3JAおよび第二部材3JBのスライド移動によって吸収することで、ボールネジ軸2Dに生じる振れ回りを許容寸法の範囲内に押さえることができ、作業精度をより向上できる。具体的には、実施形態2のアクチュエータ20では、第一部材3JAおよび第二部材3JBは、ボールナット2Cとの係合においてボールネジ軸2Dが中心軸CLから外れる許容寸法よりも大きい範囲でスライド移動を吸収する。この結果、実施形態2のアクチュエータ20は、第一部材3JAおよび第二部材3JBのスライド移動によってボールネジ軸2Dの先端に軸方向成分のみを伝播させる。
【0083】
なお、実施形態2のアクチュエータ20において、実施形態1のアクチュエータ1,11,12のガイドレール3B、第一リニアガイド3C、第二リニアガイド3Dを含んでいてもよく、これらガイドレール3B、第一リニアガイド3C、第二リニアガイド3Dによる上記効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0084】
1,11,12,13,14 アクチュエータ
2A ハウジング
2B モータ(駆動源)
2C ボールナット
2D ボールネジ軸
3B ガイドレール
3C 第一リニアガイド
3D 第二リニアガイド
3J 支持機構(バッファ機構)
3JA 第一部材
3JB 第二部材
3JD 第一軸
3JE 第二軸
CL 中心軸
W1 距離
W2 距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12