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  • 特開-自動車用接着剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162523
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】自動車用接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 163/00 20060101AFI20231101BHJP
   C09J 163/02 20060101ALI20231101BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20231101BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20231101BHJP
   C08G 59/06 20060101ALI20231101BHJP
   C08G 59/14 20060101ALI20231101BHJP
   C08G 59/44 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
C09J163/00
C09J163/02
C09J133/00
C09J11/06
C08G59/06
C08G59/14
C08G59/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072887
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】591084207
【氏名又は名称】サンライズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089152
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】平山 晴香
(72)【発明者】
【氏名】麻川 元康
(72)【発明者】
【氏名】長友 博之
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 伸明
(72)【発明者】
【氏名】鍵元 皇樹
【テーマコード(参考)】
4J036
4J040
【Fターム(参考)】
4J036AA05
4J036AB10
4J036AD08
4J036DC25
4J036DC31
4J036FA05
4J036FA06
4J036FB03
4J036HA12
4J036JA06
4J040DF022
4J040EC031
4J040EC062
4J040HC16
4J040JB02
4J040KA02
4J040KA16
4J040KA31
4J040KA42
4J040LA03
4J040LA06
4J040LA08
4J040NA16
(57)【要約】
【課題】 低入熱エネルギー条件でも硬化可能であり、硬化物が低温下で優れた接着性能を示し、かつ優れた制振性を持つ自動車用接着剤を提供する。
【解決手段】 この自動車用接着剤は、以下の組成よりなる。(a)ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂、(b)エポキシ当量290~330g/eqのポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、(c)コアシェル型アクリル系樹脂粒子、(d)ジシアンジアミド及び(e)硬化促進剤を含む。(a)~(e)の配合割合は以下のとおりである。(a)成分と(b)成分の質量比が(a):(b)=1:1.8~2.5である。(a)成分と(b)成分の総量100質量部に対して、(c)成分が50~80質量部であり、(d)成分が8~12質量部であり、(e)成分が6~10質量部である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂、
(b)エポキシ当量290~330g/eqのポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、
(c)コアシェル型アクリル系樹脂粒子、
(d)ジシアンジアミド及び
(e)硬化促進剤
を含み、
(a)成分と(b)成分の質量比が(a):(b)=1:1.8~2.5であり、
(a)成分と(b)成分の総量100質量部に対して、(c)成分が50~80質量部であり、(d)成分が8~12質量部であり、(e)成分が6~10質量部である自動車用接着剤。
【請求項2】
さらに、(f)充填剤を含む請求項1記載の自動車用接着剤。
【請求項3】
130℃で15分間の条件で硬化可能な請求項1記載の自動車用接着剤。
【請求項4】
請求項3記載の条件で硬化させたとき、硬化物の損失正接(tanδ)が0.35以上である請求項3記載の自動車用接着剤。
【請求項5】
請求項3記載の条件で硬化させて被着体を接着したとき、-30℃下での被着体の剥離変位が0.4mm以上である請求項3記載の自動車用接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の組立ラインで用いられる自動車用接着剤に関し、特に、低入熱エネルギー条件でも硬化可能であり、硬化物の低温下での接着性能及び制振性に優れた自動車用接着剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車用接着剤として、エポキシ樹脂を主体とする接着剤が用いられている。たとえば、特許文献1には、制振性に優れた自動車用接着剤として、ゴム変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂中に微粉末被覆ゴム粒子を分散させた組成物及びダイマー酸グリシジルエステル型エポキシ樹脂を組み合わせたものが記載されている。特許文献1記載の自動車用接着剤は、制振性に優れたものである。しかし、硬化させる条件が高温度及び長時間であるという問題や、硬化物の低温下での接着性能が不十分であるという問題があった。
【0003】
【特許文献1】特開平2-150484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、低入熱エネルギー条件でも硬化可能であり、硬化物が低温下で優れた接着性能を示し、かつ優れた制振性を持つ自動車用接着剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、特定の二種のエポキシ樹脂を特定比で配合すると共に、特定量のコアシェル型アクリル系樹脂粒子を配合することにより、上記課題を解決したものである。すなわち、本発明は、(a)ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂、(b)エポキシ当量290~330g/eqのポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、(c)コアシェル型アクリル系樹脂粒子、(d)ジシアンジアミド及び(e)硬化促進剤を含み、(a)成分と(b)成分の質量比が(a):(b)=1:1.8~2.5であり、(a)成分と(b)成分の総量100質量部に対して、(c)成分が50~80質量部であり、(d)成分が8~12質量部であり、(e)成分が6~10質量部である自動車用接着剤に関するものである。
【0006】
(a)成分は、従来より自動車用接着剤として使用されているビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂である。(b)成分は、エポキシ当量290~330g/eqのポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルである。(a)成分と(b)成分の質量比は(a):(b)=1:1.8~2.5である。(a):(b)=1:1.8未満になると、硬化物の制振性が低下するため好ましくない。(a):(b)=1:2.5を超えると、硬化物の低温下での接着性能が低下するため好ましくない。
【0007】
(c)成分は、コアシェル型アクリル系樹脂粒子である。コアシェル型アクリル系樹脂粒子は、コア部が合成ゴムを主体として構成されており、シェル部がアクリル共重合体を主体として構成されているものである。コア部の主体である合成ゴムとしては、ポリブタジエンゴム、アクリルゴム、アクリル・シリコーン複合ゴム又はシリコーンゴム等が用いられる。コアシェル型アクリル系樹脂粒子の一次粒子径が約1.0~数μmの大きさであり、二次粒子径は約20~約2000μmのものである。具体的には、三菱ケミカル株式会社製の「ダイヤナール LPシリーズ」、株式会社カネカ製の「カネエースシリーズ」又はアイカ工業株式会社製の「スタフィロイドシリーズ」等の市販品を単独で又は混合して用いることができる。(c)成分の配合割合は、(a)成分と(b)成分の総量100質量部に対して、50~80質量部である。(c)成分の配合割合が50質量部未満であると、硬化物の低温下での接着性能が低下するため好ましくない。(c)成分の配合割合が80質量部を超えると、自動車用接着剤の流動性が低下し、塗布作業が困難になるので好ましくない。
【0008】
(d)成分はジシアンジアミドであり、エポキシ化合物である(a)成分及び(b)成分を架橋させるための潜在性硬化剤である。したがって、本発明に係る自動車用接着剤は、一液型として調製しうるものである。(d)成分の配合割合は、(a)成分と(b)成分の総量100質量部に対して、8~12質量部である。(d)成分の配合割合が8質量部未満であると、硬化物の架橋密度が低く、強度不足になるので好ましくない。(d)成分の配合割合が12質量部を超えると、硬化物の架橋密度が高くなって脆くなり、硬化物の低温下での接着性能が低下するので好ましくない。
【0009】
(e)成分は硬化促進剤であり、従来公知のエポキシ樹脂硬化促進剤を用いることができる。具体的には、ポリアミン系化合物や4,4’-メチレンビス(フェニルジメチル尿素)等のウレア系化合物が単独で又は混合して用いられる。(e)成分の配合割合は、(a)成分と(b)成分の総量100質量部に対して、6~10質量部である。(d)成分と(e)成分の併用とこれらの配合割合によって、130℃で15分間という低入熱エネルギーの硬化条件で硬化物が得られる。
【0010】
本発明に係る自動車用接着剤には、上記の(a)~(e)成分の他に、従来公知のその他の化合物又は物質を配合することができる。多くの場合、(f)充填剤が配合される。充填剤としては、炭酸カルシウム、表面処理炭酸カルシウム、クレー、タルク、シリカ粉、セルロース粉、樹脂粉末又は金属粉末等が混合して又は単独で用いられる。充填剤の配合割合は、(a)成分と(b)成分の総量100質量部に対して、50~150質量部程度である。また、その他の化合物又は物質としては、老化防止剤、接着付与剤、吸湿防止剤又は可塑剤等を配合することができる。
【0011】
本発明に係る自動車用接着剤は、良好な流動性を持つものである。具体的には、20℃におけるレオメーター粘度が50~900Pa・s程度であるのが好ましく、この程度のレオメーター粘度であると、塗布作業性に優れたものとなる。なお、レオメーター粘度は、パラレルプレート型レオメーターを用いて、以下の条件及び方法で測定したものである。すなわち、パラレルプレートの直径は15mm、プレート間ギャップは0.15mm:測定温度は20℃、せん断速度は15s-1で180秒間測定し、測定開始から160秒後~180秒までの20秒間の測定値の平均値をレオメーター粘度とした。
【0012】
また、本発明に係る自動車用接着剤は、130℃で15分間の条件で硬化させて、鋼板等の被着体を接着させたとき、-30℃下での被着体の剥離変位が0.4mm以上となるように調製するのが好ましい。この程度の剥離変位であると、低温下で優れた接着性能を発現する。ここで、剥離変位は、以下の手順で測定されるものである。(1)長さ85mm×幅25mm×厚さ1.6mmの冷間圧延鋼板二枚を準備する。(2)各々の冷間圧延鋼板を長さ方向にL字型に曲げ、直立部分(図1の符号1)の高さを20mmとする。なお、図1は側面図である。(3)直立部分1に、図1に示す態様で自動車用接着剤3を塗布する。このとき、直立部分1の上部2.5mm及び直立部分1の下部2.5mmには自動車用接着剤3を塗布しない。また、幅方向には全体に塗布する。したがって、自動車用接着剤3の塗布面積は15mm×25mm=375mm2になる。(4)L字型に曲げた二枚の冷間圧延鋼板の直立部分1,1同士を、塗布した自動車用接着剤3を介し、図1に示す態様で接着する。(5)その後、130℃で15分間の条件で自動車用接着剤3を加熱硬化させて試験片を作成する。(6)試験片の水平部分2,2の両端を把持し、引張試験機に掛けて、-30℃の雰囲気下で引張速度50mm/minで引っ張り、破断時の伸び(mm)を測定した。(7)破断時の伸びを剥離変位と称し、この値が0.4mm以上であるとき、低温下で優れた接着性能を持つと判定する。
【0013】
本発明に係る自動車用接着剤は、130℃で15分間の硬化条件で硬化物を得たとき、この硬化物の23℃における損失正接(tanδ)が0.35以上となるように調製するのが好ましい。この程度の損失正接(tanδ)であると、良好な制振性を発現する。なお、損失正接(tanδ)は、以下の手順で測定されるものである。(1)本発明に係る自動車用接着剤を130℃で15分間の条件で硬化させて、長さ30mm×幅5mm×厚さ2mmの試験片を作成する。(2)試験片を動的粘弾性装置(DMA)に掛け、引張モード下、周波数20Hzで、昇温速度5℃/分で-30℃~80℃まで昇温し、23℃における損失正接(tanδ)の値を測定する。(3)損失正接(tanδ)の値が0.35以上のとき、制振性に優れると判定する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る自動車用接着剤は、低入熱エネルギー条件でも硬化可能であり、低温下で優れた接着性能を示し、かつ優れた制振性を示すものである。
【実施例0015】
実施例1
下記化合物又は物質を、下記質量で均一に混合して、自動車用接着剤を得た。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 8.0質量部
(DIC株式会社製「エピクロン850」)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂*1) 21.0質量部
コアシェル型アクリル系樹脂粒子*1) 14.0質量部
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル 52.0質量部
(エポキシ当量300g/eq)
コアシェル型アクリル系樹脂粒子 35.0質量部
(三菱ケミカル株式会社製「ダイヤナールLP-4200」)
ジシアンジアミド 8.0質量部
(エポニック・ジャパン株式会社製「ジシアネックス1400F」)
4,4’-メチレンビス(フェニルジメチル尿素) 6.5質量部
炭酸カルシウム 75.0質量部
(竹原化学工業株式会社製「重質炭酸カルシウム」)
表面処理炭酸カルシウム 7.5質量部
(白石工業株式会社製「白艶華CCR」)
表面処理シリカ 3.0質量部
(日本アエロジル株式会社製「アエロジルRY200S」)
表面処理生石灰 3.0質量部
(近江化学工業株式会社製「CML31」)
*1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂60質量%とコアシェル型アクリル系樹脂粒子40質量%よりなる、株式会社カネカ製のカネエースMX-154を用いた。
【0016】
実施例2
下記化合物の質量を変更した他は、実施例1と同一の方法で自動車用接着剤を得た。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 7.0質量部
(DIC株式会社製「エピクロン850」)
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル 53.0質量部
(エポキシ当量300g/eq)
【0017】
実施例3
下記化合物の質量を変更した他は、実施例1と同一の方法で自動車用接着剤を得た。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 6.0質量部
(DIC株式会社製「エピクロン850」)
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル 54.0質量部
(エポキシ当量300g/eq)
【0018】
実施例4
下記化合物の質量を変更した他は、実施例1と同一の方法で自動車用接着剤を得た。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 4.0質量部
(DIC株式会社製「エピクロン850」)
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル 56.0質量部
(エポキシ当量300g/eq)
【0019】
実施例5
下記化合物の質量を変更した他は、実施例1と同一の方法で自動車用接着剤を得た。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 2.0質量部
(DIC株式会社製「エピクロン850」)
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル 58.0質量部
(エポキシ当量300g/eq)
【0020】
比較例1
下記化合物の質量を変更した他は、実施例1と同一の方法で自動車用接着剤を得た。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 10.0質量部
(DIC株式会社製「エピクロン850」)
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル 50.0質量部
(エポキシ当量300g/eq)
【0021】
比較例2
下記化合物の質量を変更した他は、実施例1と同一の方法で自動車用接着剤を得た。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 9.0質量部
(DIC株式会社製「エピクロン850」)
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル 51.0質量部
(エポキシ当量300g/eq)
【0022】
比較例3
下記化合物の質量を変更した他は、実施例1と同一の方法で自動車用接着剤を得た。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 0.0質量部
(DIC株式会社製「エピクロン850」)
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル 60.0質量部
(エポキシ当量300g/eq)
【0023】
実施例1~5及び比較例1~3に係る自動車用接着剤につき、段落0011、0012及び0013記載の方法で、レオメーター粘度(Pa・s)、剥離変位(mm)及び損失正接(tanδ)を測定したところ、表1に示す結果となった。
【0024】
[表1]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
レオメーター粘度 剥離変位 損失正接(tanδ)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例1 320 0.58 0.36
実施例2 394 0.70 0.37
実施例3 362 0.60 0.41
実施例4 365 0.53 0.49
実施例5 358 0.56 0.57
比較例1 253 0.52 0.29
比較例2 393 0.52 0.31
比較例3 334 0.37 0.65
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0025】
実施例1~5に係る自動車用接着剤は、[ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン850」)とビスフェノールA型エポキシ樹脂*1)の合計質量]:[ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ当量300g/eq)]=1:1.8~2.5となっている。一方、比較例1及び2に係る自動車用接着剤は、この比が1:1.6~1.7となっている。したがって、比較例1及び2に係るものは、損失正接(tanδ)が0.35未満となって、制振性が満足するものとなっていない。また、比較例3に係るものは、この比が1:2.9となっており、剥離変位が0.4mm未満となって、低温下での接着性能を満足するものとなっていない。
【0026】
実施例6
下記化合物又は物質を、下記質量で均一に混合して、自動車用接着剤を得た。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 6.0質量部
(DIC株式会社製「エピクロン850」)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂*1) 21.0質量部
コアシェル型アクリル系樹脂粒子*1) 14.0質量部
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル 54.0質量部
(エポキシ当量300g/eq)
コアシェル型アクリル系樹脂粒子 28.0質量部
(三菱ケミカル株式会社製「ダイヤナールLP-4200」)
ジシアンジアミド 8.0質量部
(エポニック・ジャパン株式会社製「ジシアネックス1400F」)
4,4’-メチレンビス(フェニルジメチル尿素) 6.5質量部
炭酸カルシウム 75.0質量部
(竹原化学工業株式会社製「重質炭酸カルシウム」)
表面処理炭酸カルシウム 7.5質量部
(白石工業株式会社製「白艶華CCR」)
表面処理シリカ 3.0質量部
(日本アエロジル株式会社製「アエロジルRY200S」)
表面処理生石灰 3.0質量部
(近江化学工業株式会社製「CML31」)
*1)実施例1の場合と同一の意味である。
【0027】
実施例7
下記物質の質量を変更した他は、実施例6と同一の方法で自動車用接着剤を得た。
コアシェル型アクリル系樹脂粒子 42.0質量部
(三菱ケミカル株式会社製「ダイヤナールLP-4200」)
【0028】
実施例8
下記物質の質量を変更した他は、実施例6と同一の方法で自動車用接着剤を得た。
コアシェル型アクリル系樹脂粒子 49.0質量部
(三菱ケミカル株式会社製「ダイヤナールLP-4200」)
【0029】
比較例4
下記物質の質量を変更した他は、実施例6と同一の方法で自動車用接着剤を得た。
コアシェル型アクリル系樹脂粒子 14.0質量部
(三菱ケミカル株式会社製「ダイヤナールLP-4200」)
【0030】
比較例5
下記物質の質量を変更した他は、実施例6と同一の方法で自動車用接着剤を得た。
コアシェル型アクリル系樹脂粒子 63.0質量部
(三菱ケミカル株式会社製「ダイヤナールLP-4200」)
【0031】
実施例6~8、比較例4及び5に係る自動車用接着剤につき、段落0011、0012及び0013記載の方法で、レオメーター粘度(Pa・s)、剥離変位(mm)及び損失正接(tanδ)を測定したところ、表2に示す結果となった。
【0032】
[表2]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
レオメーター粘度 剥離変位 損失正接(tanδ)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例6 158 0.50 0.42
実施例7 621 0.60 0.40
実施例8 872 0.58 0.39
比較例4 75 0.32 0.40
比較例5 測定不可 0.50 0.42
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0033】
実施例6~8に係る自動車用接着剤は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン850」)とビスフェノールA型エポキシ樹脂*1)とポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ当量300g/eq)の総量100質量部に対して、コアシェル型アクリル系樹脂粒子*1)とコアシェル型アクリル系樹脂粒子(三菱ケミカル株式会社製「ダイヤナールLP-4200」)の合計質量部が52~78質量部となっている。一方、比較例4に係る自動車用接着剤は、これが35質量部となっている。このため、比較例4に係るものは、剥離変位が0.4mm未満となって、低温下での接着性能を満足するものとなっていない。また、比較例5に係る自動車用接着剤は、これが95質量部となっており、レオメーター粘度が測定不可となって流動性が殆どなく、塗布作業が困難で実用性がない。
【0034】
実施例9
下記物質の質量を変更した他は、実施例3と同一の方法で自動車用接着剤を得た。
4,4’-メチレンビス(フェニルジメチル尿素) 5.5質量部
【0035】
実施例10
下記物質の質量を変更した他は、実施例3と同一の方法で自動車用接着剤を得た。
4,4’-メチレンビス(フェニルジメチル尿素) 8.0質量部
【0036】
実施例11
4,4’-メチレンビス(フェニルジメチル尿素)に代えて、ポリアミン系硬化促進剤(味の素ファインテクノ株式会社製「アミキュアMY-24」)を用いる他は、実施例10と同一の方法で自動車用接着剤を得た。
【0037】
実施例12
下記化合物又は物質を、下記質量で均一に混合して、自動車用接着剤を得た。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂*2) 27.0質量部
コアシェル型アクリル系樹脂粒子*2) 9.0質量部
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル 54.0質量部
(エポキシ当量300g/eq)
コアシェル型アクリル系樹脂粒子 40.0質量部
(三菱ケミカル株式会社製「ダイヤナールLP-4200」)
ジシアンジアミド 8.0質量部
(エポニック・ジャパン株式会社製「ジシアネックス1400F」)
4,4’-メチレンビス(フェニルジメチル尿素) 6.5質量部
炭酸カルシウム 75.0質量部
(竹原化学工業株式会社製「重質炭酸カルシウム」)
表面処理炭酸カルシウム 7.5質量部
(白石工業株式会社製「白艶華CCR」)
表面処理シリカ 3.0質量部
(日本アエロジル株式会社製「アエロジルRY200S」)
表面処理生石灰 3.0質量部
(近江化学工業株式会社製「CML31」)
*2)ビスフェノールF型エポキシ樹脂75質量%とコアシェル型アクリル系樹脂粒子25質量%よりなる、株式会社カネカ製のカネエースMX-136を用いた。
【0038】
実施例9~12に係る自動車用接着剤につき、段落0011、0012及び0013記載の方法で、レオメーター粘度(Pa・s)、剥離変位(mm)及び損失正接(tanδ)を測定したところ、表3に示す結果となった。
【0039】
[表3]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
レオメーター粘度 剥離変位 損失正接(tanδ)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例9 234 0.56 0.48
実施例10 293 0.57 0.35
実施例11 404 0.54 0.47
実施例12 259 0.55 0.36
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【0040】
実施例9~12に係る自動車用接着剤は、いずれも、剥離変位が0.4mm以上で損失正接(tanδ)が0.35以上となっている。したがって、低温下での接着性能を満足すると共に制振性にも優れたものであった。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】剥離変位を測定する際の試験片の側面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 直立部分
2 水平部分
3 塗布されて硬化した自動車用接着剤
図1