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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162527
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/14 20060101AFI20231101BHJP
   E06B 1/70 20060101ALI20231101BHJP
   E06B 1/60 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
E06B7/14
E06B1/70 A
E06B1/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072895
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】391008582
【氏名又は名称】昭和フロント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】石井 勝己
【テーマコード(参考)】
2E011
2E036
【Fターム(参考)】
2E011JA01
2E011KC01
2E011KC09
2E011KD14
2E011KF02
2E036RA08
2E036RB01
2E036RB03
2E036RC01
2E036TA05
2E036UA01
(57)【要約】
【課題】部品点数を抑えつつ、躯体内に侵入しようとする水を適切に排水する。
【解決手段】建物100の開口部101に設置される枠体2と、枠体2に設置され、建物100の躯体102に固定される複数のアンカー部材3A、3Bと、開口部101の下辺に沿って設置される水切り6と、を備える建具1であって、枠体2の下枠22は、複数のアンカー部材3Aを介して躯体102に固定される下枠本体部22aと、下枠本体部22aから屋外側に突出し、パネル4の下端部を支持するパネル支持部22bと、を備え、下枠本体部22aの屋外側で、かつパネル支持部22bの下方には、空間Kが形成され、水切り6は、少なくとも屋内側の部位が空間Kに位置し、下枠22及び縦枠23の下方に亘って通しで設置され、アンカー部材3Aは、下枠22の下枠本体部22aの屋内側に上下方向に沿って設置される
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に設置される枠体と、
前記枠体の内周側に設置されるパネルと、
前記枠体に設置され、建物の躯体に固定される複数のアンカー部材と、
前記開口部の下辺に沿って設置される水切りと、を備える建具であって、
前記枠体は、
前記開口部に上下方向に沿って設置される複数の縦枠と、
複数の前記縦枠の下端部同士を繋ぐように前記開口部の下辺に沿って設置される下枠と、を含み、
前記下枠は、
複数の前記アンカー部材を介して前記躯体に固定される下枠本体部と、
前記下枠本体部から屋外側に突出し、前記パネルの下端部を支持するパネル支持部と、を備え、
前記下枠本体部の屋外側で、かつ前記パネル支持部の下方には、空間が形成され、
前記水切りは、少なくとも屋内側の部位が前記空間に位置し、前記下枠及び前記縦枠の下方に亘って通しで設置され、
前記アンカー部材は、前記下枠本体部の屋内側に上下方向に沿って設置されることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記アンカー部材は、上下方向において、前記パネル支持部の上端部から前記下枠本体部の下端部に亘って設置されることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記水切りは、
前記パネル支持部の下方に位置する水受け部と、
前記水受け部から屋外側に延出し、前記水受け部が受け止めた水を屋外に排水する排水部と、
前記水受け部から前記排水部に亘って形成され、水の排出流路となる中空部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項4】
前記水切りは、
前記躯体に固定される第1固定部と、
前記下枠本体部に固定される第2固定部と、を備え、
前記第2固定部は、前記開口部の間口方向から視たとき、前記下枠本体部に設置される前記アンカー部材と前後方向にオーバーラップすることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項5】
前記パネル支持部の下面部と前記水切りの上面部との間には、前記パネル支持部に作用する前記パネルの自重を前記水切りに受けさせる自重受け部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項6】
前記開口部の間口方向中間部に立設される前記縦枠を補強する補強材をさらに備え、
前記補強材は、前記開口部の間口方向から視たとき、前記水切りよりも屋内側に立設され、少なくとも下端部が補強材ブラケットを介して前記躯体に固定されることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルなどの建物の開口部に設置される建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の開口部に設置される枠体と、開口部の下辺に沿って設置される水切りと、を備える建具が知られている。例えば、特許文献1には、分割された水切り(水切皿板1)の接合部に排水受け(水受皿10)を設置し、躯体側に侵入しようとする水を排水受けで受け止め、受け止めた水を水切りを介して屋外に排水可能な建具が開示されている。
【0003】
ところで、枠体は、開口部に上下方向に沿って設置される複数の縦枠と、複数の縦枠の下端部同士を繋ぐように開口部の下辺に沿って設置される下枠と、を備えて構成される場合がある。この場合、縦枠と下枠との取り合い部に隙間が生じると、この隙間を介して水が躯体内に侵入する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62-177890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の建具では、水切りとは別体の排水受けが設けられるため、部品点数が増加するという課題がある。また、特許文献1の建具では、排水受けの設置位置が水切りの接合部に限定されるため、縦枠と下枠との取り合い部から躯体内に侵入しようとする水を受け止めるように排水受けの設置位置を最適化することが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、建物の開口部に設置される枠体と、前記枠体の内周側に設置されるパネルと、前記枠体に設置され、建物の躯体に固定される複数のアンカー部材と、前記開口部の下辺に沿って設置される水切りと、を備える建具であって、前記枠体は、前記開口部に上下方向に沿って設置される複数の縦枠と、複数の前記縦枠の下端部同士を繋ぐように前記開口部の下辺に沿って設置される下枠と、を含み、前記下枠は、複数の前記アンカー部材を介して前記躯体に固定される下枠本体部と、前記下枠本体部から屋外側に突出し、前記パネルの下端部を支持するパネル支持部と、を備え、前記下枠本体部の屋外側で、かつ前記パネル支持部の下方には、空間が形成され、前記水切りは、少なくとも屋内側の部位が前記空間に位置し、前記下枠及び前記縦枠の下方に亘って通しで設置され、前記アンカー部材は、前記下枠本体部の屋内側に上下方向に沿って設置されることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の建具であって、前記アンカー部材は、上下方向において、前記パネル支持部の上端部から前記下枠本体部の下端部に亘って設置されることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1に記載の建具であって、前記水切りは、前記パネル支持部の下方に位置する水受け部と、前記水受け部から屋外側に延出し、前記水受け部が受け止めた水を屋外に排水する排水部と、前記水受け部から前記排水部に亘って形成され、水の排出流路となる中空部と、を備えることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1に記載の建具であって、前記水切りは、前記躯体に固定される第1固定部と、前記下枠本体部に固定される第2固定部と、を備え、前記第2固定部は、前記開口部の間口方向から視たとき、前記下枠本体部に設置される前記アンカー部材と前後方向にオーバーラップすることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項1に記載の建具であって、前記パネル支持部の下面部と前記水切りの上面部との間には、前記パネル支持部に作用する前記パネルの自重を前記水切りに受けさせる自重受け部が設けられることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項1に記載の建具であって、前記開口部の間口方向中間部に立設される前記縦枠を補強する補強材をさらに備え、前記補強材は、前記開口部の間口方向から視たとき、前記水切りよりも屋内側に立設され、少なくとも下端部が補強材ブラケットを介して前記躯体に固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、水切りは、下枠及び縦枠の下方に亘って通しで設置されるので、水切りとは別体の排水受けを設けなくても、下枠と縦枠との取り合い部から躯体内に侵入しようとする水を屋外に排出できる。また、水切りの少なくとも屋内側の部位は、下枠本体部の屋外側で、かつパネル支持部の下方に形成される空間に配置されるので、水切りを含めた下枠の上下幅も抑制できる。また、アンカー部材は、下枠の下枠本体部の屋内側に上下方向に沿って設置されるので、アンカー部材を含めた下枠の前後幅を抑制できるだけでなく、屋内側(見付方向)からのアンカー部材の視認が容易になる。
また、請求項2の発明によれば、アンカー部材は、上下方向において、パネル支持部の上端部から下枠本体部の下端部に亘って設置されるので、パネル支持部から下枠本体部に伝わるパネル荷重(モーメント)を適切に受け止め、下枠の変形を防止できる。
また、請求項3の発明によれば、水切りは、下枠のパネル支持部の下方に位置する水受け部と、水受け部から屋外側に延出し、水受け部が受け止めた水を屋外に排水する排水部と、水受け部から排水部に亘って形成され、水の排出流路となる中空部と、を備えるので、水切りの上面部を介して水を排出する1次排水経路と、水切りの中空部を介して水を排出する2次排水経路と、を確保できる。
また、請求項4の発明によれば、水切りは、躯体に固定される第1固定部と、下枠の下枠本体部に固定される第2固定部と、を備えるので、躯体及び下枠によって水切りを確実に固定できる。また、第2固定部は、開口部の間口方向から視たとき、下枠本体部に設置されるアンカー部材と前後方向にオーバーラップするので、水切りの固定強度をさらに高めることができる。
また、請求項5の発明によれば、下枠のパネル支持部の下面部と水切りの上面部との間には、パネル支持部に作用するパネルの自重を水切りに受けさせる自重受け部が設けられるので、パネル支持部から下枠本体部に伝わるパネル荷重(モーメント)を抑制できる。
また、請求項6の発明によれば、開口部の間口方向中間部に立設される縦枠(方立)を補強する補強材をさらに備え、補強材は、開口部の間口方向から視たとき、水切りよりも屋内側に立設され、少なくとも下端部が補強材ブラケットを介して躯体に固定されるので、通しで設置される水切りとの干渉を回避しつつ、補強材を躯体に適切に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る建具を屋外側から視た概略正面図である。
図2】建具の下枠部を示す図であり、(a)は概略平面断面図、(b)は概略側面断面図である。
図3】建具の下枠部(非アンカー固定部)を示す側面断面図である。
図4】建具の下枠部(アンカー固定部)を示す側面断面図である。
図5】下枠及びアンカー部材の側面図である。
図6】アンカー部材を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
図7】建具の補強材立設部を示す概略側面断面図である。
図8】補強材に対する縦枠の固定構造を示す分解平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、図面において、シーリング箇所をS、1次排水経路をH1、2次排水経路をH2で示す。
【0010】
図1図8において、1は建具であって、該建具1は、建物100の開口部101に設置される枠体2と、枠体2を建物100の躯体102に固定する複数のアンカー部材3A、3Bと、枠体2の内周側に設置されるガラスなどのパネル4と、パネル4を固定させる押縁5と、開口部101の下辺に沿って設置される水切り6と、建具1を連設(連窓)する際に使用される補強材7と、を備える。なお、アンカー部材3A、3Bには、下枠用のアンカー部材3A及び縦枠用のアンカー部材3Bが含まれる。
【0011】
枠体2は、例えば、押出形材や曲げ物などからなる上枠21、下枠22及び縦枠23を備える。縦枠23は、開口部101の側辺に沿って設置される場合と、開口部101の間口方向中間部に立設される場合(建具連設時など)がある。縦枠23を開口部101の間口方向中間部に立設する場合は、隣接位置に補強材7を立設し、補強材7を介して縦枠23を躯体102に固定することで、縦枠23の支持強度が確保される。
【0012】
上枠21は、複数の縦枠23の上端部同士を繋ぐように開口部101の上辺に沿って設置される。また、下枠22は、複数の縦枠23の下端部同士を繋ぐように開口部101の下辺に沿って設置される。
【0013】
図3図5に示すように、下枠22は、複数のアンカー部材3Aを介して躯体102に固定される下枠本体部22aと、下枠本体部22aから屋外側に突出し、パネル4の下端部を支持するパネル支持部22bと、を備える。また、下枠本体部22aの屋外側で、かつパネル支持部22bの下方には、空間Kが形成される。
【0014】
下枠本体部22aの屋内側の面には、アンカー部材3Aを設置可能とする上下一対のアンカー設置レール22cが設けられる。一対のアンカー設置レール22cは、下枠本体部22aから屋内側に突出し、かつ互いに近づく方向に延在するL字形状を有する。
【0015】
パネル支持部22bの先端側には、押縁5を設置するための押縁設置部22dが設けられる。パネル支持部22bの上面部にセッティングブロック41を介してパネル4を設置した後、押縁設置部22dに押縁5を設置する工程などを実施することで、パネル4が下枠22(枠体2)に固定される。
【0016】
図4図6に示すように、下枠用のアンカー部材3Aは、側面視で上下方向に沿う板状のアンカー本体部3aと、アンカー本体部3aの上下両端部に切り起こし状に形成され、アンカー本体部3aとの間にレール係合溝3cを形成する上下一対の切り起こし部3bと、を備える。また、アンカー本体部3aには、複数のネジ挿通孔3dが形成されている。なお、縦枠用のアンカー部材3Bの形状は、下枠用のアンカー部材3Aと概ね一致するが、図6及び図8に示すように、アンカー本体部3aの一端部から延在する延在部3eを有する点が下枠用のアンカー部材3Aと相違している。
【0017】
図4に示すように、アンカー部材3Aは、下枠本体部22aの屋内側に上下方向に沿って設置される。具体的に説明すると、アンカー部材3Aは、下枠22の端部において、上下一対のレール係合溝3cを下枠22のアンカー設置レール22cに係合させることにより、アンカー設置レール22cに沿ってスライド自在に支持される。その後、アンカー部材3Aは、所定の設置位置に位置合わせされ、ネジ挿通孔3dに挿通されるネジN1を介して下枠22に固定される。そして、下枠22に固定されたアンカー部材3Aは、躯体102側に固定されたアングル材102aに溶接されることで、下枠22を躯体102に固定させる。
【0018】
このような建具1によれば、アンカー部材3Aは、下枠22の下枠本体部22aの屋内側に上下方向に沿って設置されるので、アンカー部材3Aを含めた下枠22の前後幅を抑制できる。また、屋内側(見付方向)からのアンカー部材3Aの視認が容易になるので、アンカー部材3Aとアングル材102aの溶接が容易になるだけでなく、溶接長さを長くして下枠22の固定強度を高めることができる。
【0019】
また、アンカー部材3Aは、上下方向において、パネル支持部22bの上端部から下枠本体部22aの下端部に亘って設置される。これにより、パネル支持部22bから下枠本体部22aに伝わるパネル荷重(モーメント)をアンカー部材3A(躯体102)で適切に受け止め、下枠22の変形を防止できる。
【0020】
図1図4に示すように、水切り6は、屋内側の部位が下枠22の空間Kに位置するように、下枠22及び縦枠23の下方に亘って通しで設置される。これにより、水切り6とは別体の排水受けを設けなくても、下枠22と縦枠23との取り合い部Tから躯体102内に侵入しようとする水を屋外に排出できる。また、水切り6の屋内側の部位は、下枠22の空間Kに配置されるので、水切り6を含めた下枠22の上下幅も抑制できる。
【0021】
具体的に説明すると、水切り6は、パネル支持部22bの下方(空間K)に位置する水受け部6aと、水受け部6aから屋外側に延出し、水受け部6aが受け止めた水を屋外に排水する排水部6bと、水受け部6aから排水部6bに亘って形成され、水の排出流路となる中空部6cと、を備えており、水切り6の上面部を介して水を排出する1次排水経路H1と、水切り6の中空部6cを介して水を排出する2次排水経路H2とを確保する。
【0022】
1次排水経路H1は、図2図4に示すように、枠体2やパネル4の屋外側を伝わる1次水(雨など)を排水するための経路であり、1次水は、主に水切り6の排水部6bの上面部を通って屋外に排水される。また、2次排水経路H2は、取り合い部Tから躯体102内に侵入しようとする2次水を排水するための経路であり、2次水は、取り合い部Tの下方に位置する水受け部6aの流入口6dから中空部6cに流れ込み、排水部6bに形成される排出口6eから屋外に排水される。
【0023】
また、水切り6は、躯体102に固定される第1固定部6fと、下枠22の下枠本体部22aに固定される第2固定部6gと、を備える。第1固定部6fは、水切り6の下面部から下方に延在しており、躯体102に溶接されるアングル材102bに対してネジN2を介して固定される。また、第2固定部6gは、水切り6の屋内側端部から上方に延在しており、下枠22の下枠本体部22aに対してネジN3を介して固定される。
【0024】
図4に示すように、第2固定部6gは、開口部101の間口方向から視たとき、下枠本体部22aに設置されるアンカー部材3Aと前後方向にオーバーラップする。このようにすると、躯体102及び下枠22によって水切り6を確実に固定できるだけでなく、第2固定部6gをアンカー部材3Aに近づけて、水切り6の固定強度をさらに高めることができる。
【0025】
図3及び図4に示すように、下枠22のパネル支持部22bの下面部と水切り6の上面部との間には、パネル支持部22bに作用するパネル4の自重を水切り6に受けさせる自重受け部8が設けられる。このような自重受け部8によれば、パネル支持部22bから下枠本体部22aに伝わるパネル荷重(モーメント)を抑制できる。なお、本実施形態の自重受け部8は、下枠22及び水切り6と別体であり、ネジN4を介してパネル支持部22bの下面部に固定されているが、水切り6の上面部に固定してもよいし、下枠22又は水切り6に一体に形成してもよい。
【0026】
図1図2図7及び図8に示すように、補強材7は、開口部101の間口方向中間部に立設される縦枠23を支持するために設置される。補強材7は、開口部101の間口方向から視たとき、水切り6よりも屋内側に立設され、上端部及び下端部が補強材ブラケット71を介して躯体102に固定される。このような構成によれば、通しで設置される水切り6との干渉を回避しつつ、補強材7を躯体102に適切に固定できる。
【0027】
図8に示すように、開口部101の間口方向中間部に立設される縦枠23は、縦枠用のアンカー部材3Bを介して補強材7に固定される。具体的には、縦枠23にスライド自在にセットしたアンカー部材3BをネジN5を介して縦枠23に位置決め固定した後、アンカー部材3Bの延在部3eをネジN6を介して補強材7に固定する。なお、2本の縦枠23を補強材7に固定する場合は、各縦枠23に対するアンカー部材3Bの固定位置を上下方向にずらす必要がある。また、2本の縦枠23の屋外側には、アンカー部材3B及び補強材7を隠す外部カバー9が設置される。
【0028】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、建物100の開口部101に設置される枠体2と、枠体2の内周側に設置されるパネル4と、枠体2に設置され、建物100の躯体102に固定される複数のアンカー部材3A、3Bと、開口部101の下辺に沿って設置される水切り6と、を備える建具1であって、枠体2は、開口部101に上下方向に沿って設置される複数の縦枠23と、複数の縦枠23の下端部同士を繋ぐように開口部101の下辺に沿って設置される下枠22と、を含み、下枠22は、複数のアンカー部材3Aを介して躯体102に固定される下枠本体部22aと、下枠本体部22aから屋外側に突出し、パネル4の下端部を支持するパネル支持部22bと、を備え、下枠本体部22aの屋外側で、かつパネル支持部22bの下方には、空間Kが形成され、水切り6は、少なくとも屋内側の部位が空間Kに位置し、下枠22及び縦枠23の下方に亘って通しで設置されるので、水切り6とは別体の排水受けを設けなくても、下枠22と縦枠23との取り合い部Tから躯体102内に侵入しようとする水を屋外に排出できる。
【0029】
また、水切り6の少なくとも屋内側の部位は、下枠本体部22aの屋外側で、かつパネル支持部22bの下方に形成される空間Kに配置されるので、水切り6を含めた下枠22の上下幅も抑制できる。
【0030】
また、アンカー部材3Aは、下枠22の下枠本体部22aの屋内側に上下方向に沿って設置されるので、アンカー部材3Aを含めた下枠22の前後幅を抑制できるだけでなく、屋内側(見付方向)からのアンカー部材3Aの視認が容易になる。
【0031】
また、アンカー部材3Aは、上下方向において、パネル支持部22bの上端部から下枠本体部22aの下端部に亘って設置されるので、パネル支持部22bから下枠本体部22aに伝わるパネル荷重(モーメント)を適切に受け止め、下枠22の変形を防止できる。
【0032】
また、水切り6は、パネル支持部22bの下方に位置する水受け部6aと、水受け部6aから屋外側に延出し、水受け部6aが受け止めた水を屋外に排水する排水部6bと、水受け部6aから排水部6bに亘って形成され、水の排出流路となる中空部6cと、を備えるので、水切り6の上面部を介して水を排出する1次排水経路H1と、水切り6の中空部6cを介して水を排出する2次排水経路H2と、を確保できる。
【0033】
また、水切り6は、躯体102に固定される第1固定部6fと、下枠本体部22aに固定される第2固定部6gと、を備え、第2固定部6gは、開口部101の間口方向から視たとき、下枠本体部22aに設置されるアンカー部材3Aと前後方向にオーバーラップするので、躯体102及び下枠22によって水切り6を確実に固定できるだけでなく、第2固定部6gをアンカー部材3Aに近づけて、水切り6の固定強度をさらに高めることができる。
【0034】
また、パネル支持部22bの下面部と水切り6の上面部との間には、パネル支持部22bに作用するパネル4の自重を水切り6に受けさせる自重受け部8が設けられるので、パネル支持部22bから下枠本体部22aに伝わるパネル荷重(モーメント)を抑制できる。
【0035】
また、開口部101の間口方向中間部に立設される縦枠23を補強する補強材7をさらに備え、補強材7は、開口部101の間口方向から視たとき、水切り6よりも屋内側に立設され、少なくとも下端部が補強材ブラケット71を介して躯体102に固定されるので、通しで設置される水切り6との干渉を回避しつつ、補強材7を躯体102に適切に固定できる。
【符号の説明】
【0036】
1 建具
2 枠体
21 上枠
22 下枠
22a 下枠本体部
22b パネル支持部
22c アンカー設置レール
22d 押縁設置部
23 縦枠
3A、3B アンカー部材
3a アンカー本体部
3b 切り起こし部
3c レール係合溝
3d ネジ挿通孔
3e 延在部
4 パネル
41 セッティングブロック
5 押縁
6 水切り
6a 水受け部
6b 排水部
6c 中空部
6d 流入口
6e 排出口
6f 第1固定部
6g 第2固定部
7 補強材
71 補強材ブラケット
8 自重受け部
9 外部カバー
100 建物
101 開口部
102 躯体
102a アングル材
102b アングル材
H1 1次排水経路
H2 2次排水経路
K 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8