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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162553
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】撮像システム
(51)【国際特許分類】
   B64F 1/12 20060101AFI20231101BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20231101BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20231101BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20231101BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20231101BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
B64F1/12
B64C39/02
B64C27/08
B64D47/08
B64C13/18 Z
G07C5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072948
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 潤
(72)【発明者】
【氏名】中野 栄治
(72)【発明者】
【氏名】池田 ゆきこ
(72)【発明者】
【氏名】山本 新之介
(72)【発明者】
【氏名】三原 真哉
【テーマコード(参考)】
3E138
【Fターム(参考)】
3E138AA07
3E138MA02
3E138MB08
3E138MC03
3E138MF05
(57)【要約】
【課題】無人飛行体による移動体の撮像を適切に行う技術を提供する。
【解決手段】無人飛行体離発着ドック200は、車両10に対してしきい値以上の加速度が加わった場合、加速度が加わった方向とは逆方向に無人飛行体100の係止を解除する。無人飛行体100の加速度検出部がしきい値以上の加速度を検出した場合、無人飛行体100の飛行制御部は、無人飛行体100が上昇するように無人飛行体100の飛行を制御する。また、無人飛行体100は、撮像部による撮像を開始し、取得した撮像データの送信を開始する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行可能な無人飛行体と、移動体において前記無人飛行体を係止可能な無人飛行体離発着ドックとを備える撮像システムであって、
前記無人飛行体離発着ドックは、前記移動体に対してしきい値以上の加速度が加わった場合、加速度が加わった方向とは逆方向に前記無人飛行体の係止を解除し、
前記無人飛行体は、
前記無人飛行体の飛行を制御する飛行制御部と、
前記無人飛行体の少なくとも下方向を含む範囲を撮像する撮像部と、
前記撮像部による撮像を制御し、撮像データを取得する撮像制御部と、
前記撮像制御部が取得した撮像データを他の装置に送信する通信制御部と、
前記無人飛行体に対する加速度を検出する加速度検出部と、
を備え、
前記加速度検出部がしきい値以上の加速度を検出した場合、
前記飛行制御部は、前記無人飛行体が上昇するように前記無人飛行体の飛行を制御し、
前記撮像制御部は、前記撮像部による撮像を開始し、
前記通信制御部は、前記撮像制御部が取得した撮像データの送信を開始する、
撮像システム。
【請求項2】
飛行可能な無人飛行体と、移動体において前記無人飛行体を係止可能な無人飛行体離発着ドックとを備える撮像システムであって、
前記無人飛行体離発着ドックは、前記移動体に対してしきい値以上の加速度が加わった場合、加速度が加わった方向とは逆方向に前記無人飛行体の係止を解除し、
前記無人飛行体は、
前記無人飛行体の飛行を制御する飛行制御部と、
前記無人飛行体の少なくとも下方向を含む範囲を撮像する撮像部と、
前記撮像部による撮像を制御し、撮像データを取得する撮像制御部と、
前記撮像制御部が取得した撮像データを他の装置に送信する通信制御部と、
前記無人飛行体離発着ドックによる係止の解除を検出する係止検出部と、
を備え、
前記係止検出部が係止の解除を検出した場合、
前記飛行制御部は、前記無人飛行体が上昇するように前記無人飛行体の飛行を制御し、
前記撮像制御部は、前記撮像部による撮像を開始し、
前記通信制御部は、前記撮像制御部が取得した撮像データの送信を開始する、
撮像システム。
【請求項3】
前記無人飛行体離発着ドックは、前記移動体の前後方向にしきい値以上の加速度が加わった場合、加速度が加わった方向とは逆方向に前記無人飛行体の係止を解除する、
請求項1または2に記載の撮像システム。
【請求項4】
前記移動体の前後方向に加わるしきい値以上の加速度は、前記移動体の急制動または衝突に該当する加速度である、
請求項3に記載の撮像システム。
【請求項5】
前記飛行制御部は、前記撮像制御部が前記撮像部による撮像を開始した後、前記移動体から所定距離および所定高度を維持した状態となるように前記無人飛行体の飛行を制御する、
請求項1または2に記載の撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像技術に関し、特に移動体を撮像する撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上空を自由に飛行し、かつ上空から地表面上の移動体を撮像するドローン等の無人飛行体の開発が進められている。移動体と無人飛行体との間の距離が一定の距離に保たれると、移動中の移動体を所望の撮像位置から撮影できない可能性がある。そのため、移動体の移動状態に基づいて撮像が制御される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-142819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
移動体を撮像可能な無人飛行体は、例えば移動体において衝突事故等が発生した場合に当該移動体を撮像するために使用される。そのような無人飛行体の離発着を適切に制御することが望まれる。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、無人飛行体による移動体の撮像を適切に行う技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の撮像システムは、飛行可能な無人飛行体と、移動体において無人飛行体を係止可能な無人飛行体離発着ドックとを備える撮像システムであって、無人飛行体離発着ドックは、移動体に対してしきい値以上の加速度が加わった場合、加速度が加わった方向とは逆方向に無人飛行体の係止を解除し、無人飛行体は、無人飛行体の飛行を制御する飛行制御部と、無人飛行体の少なくとも下方向を含む範囲を撮像する撮像部と、撮像部による撮像を制御し、撮像データを取得する撮像制御部と、撮像制御部が取得した撮像データを他の装置に送信する通信制御部と、無人飛行体に対する加速度を検出する加速度検出部と、を備える。加速度検出部がしきい値以上の加速度を検出した場合、飛行制御部は、無人飛行体が上昇するように無人飛行体の飛行を制御し、撮像制御部は、撮像部による撮像を開始し、通信制御部は、撮像制御部が取得した撮像データの送信を開始する。
【0007】
本発明の別の態様もまた、撮像システムである。この撮像システムは、飛行可能な無人飛行体と、移動体において無人飛行体を係止可能な無人飛行体離発着ドックとを備える撮像システムであって、無人飛行体離発着ドックは、移動体に対してしきい値以上の加速度が加わった場合、加速度が加わった方向とは逆方向に無人飛行体の係止を解除し、無人飛行体は、無人飛行体の飛行を制御する飛行制御部と、無人飛行体の少なくとも下方向を含む範囲を撮像する撮像部と、撮像部による撮像を制御し、撮像データを取得する撮像制御部と、撮像制御部が取得した撮像データを他の装置に送信する通信制御部と、無人飛行体離発着ドックによる係止の解除を検出する係止検出部と、を備える。係止検出部が係止の解除を検出した場合、飛行制御部は、無人飛行体が上昇するように無人飛行体の飛行を制御し、撮像制御部は、撮像部による撮像を開始し、通信制御部は、撮像制御部が取得した撮像データの送信を開始する。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、無人飛行体による移動体の撮像を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1(a)-(b)は、実施例1に係る撮像システムの外観を示す図である。
図2図1(a)-(b)における無人飛行体の構成を示す図である。
図3図3(a)-(b)は、図1(a)の無人飛行体離発着ドックの動作概要を示す図である。
図4図4(a)-(b)は、図1(a)-(b)における無人飛行体の飛行軌跡を示す図である。
図5図2の無人飛行体による動作手順を示すフローチャートである。
図6図2の無人飛行体による撮像処理の手順を示すフローチャートである。
図7】実施例2に係る無人飛行体の構成を示す図である。
図8図7の無人飛行体による動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施例1)
本発明を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。本発明の実施例は、自動車等の移動体と、ドローン等の無人飛行体とを連携させ、移動体に有用な映像を無人飛行体から撮像する撮像システムに関する。移動体が急制動を行った場合、または移動体が物体と衝突した場合において、移動体に加わった加速度を検出して映像を記録するドライブレコーダが普及している。このようなドライブレコーダと同様に、無人飛行体の撮像装置を用いて移動体を上空から撮影することによって、事故などを検証するために有用な映像を得ることができる。移動体が走行している間、移動体の上空に無人飛行体を常時飛行させることは、無人飛行体を飛行させるための電力が持続しない可能性が高く、無人飛行体が移動体の周囲における他の物体などと干渉してしまう可能性もある。このため、無人飛行体は、移動体に対する事故などが発生した場合に飛行開始することが適切である。
【0012】
しかしながら、事故などの発生を検出して無人飛行体を離陸させる制御は、衝撃が発生している期間の制御であるので、適切に動作しないおそれがある。さらに、そのような状況における無人飛行体の飛行位置制御も適切になされないおそれもある。また、事故によっては、移動体の前方を撮像することが適切である場合と、移動体の後方を撮像することが適切である場合とがあり、このような判断を瞬時に行うことは容易ではない。本実施例に係る撮像システムは、移動体に対するイベントの発生時に無人飛行体を適切に離陸させ、適切な飛行位置からの撮像を実行させることを目的とする。
【0013】
図1(a)-(b)は、撮像システム1000の外観を示す。図1(a)は、車両10に搭載された撮像システム1000を示す。車両10は、自動車等の移動体である。図1(a)の右側が車両10の前側に相当し、図1(a)の左側が車両10の後側に相当する。車両10の屋根12には無人飛行体離発着ドック200が設置される。無人飛行体離発着ドック200は、無人飛行体100を係止可能である。無人飛行体100は、例えばドローンであり、飛行可能である。無人飛行体100は、自動的に飛行してもよいし、遠隔操作により飛行してもよい。
【0014】
図1(b)は、無人飛行体100の外観を示す。無人飛行体100は駆動部110を有するとともに、撮像部112を有する。また、無人飛行体100の前側には前側脚部114が配置され、無人飛行体100の後側には後側脚部116が配置される。前側脚部114と後側脚部116が無人飛行体離発着ドック200に係止されるが、その構造については後述する。
【0015】
図2は、無人飛行体100の構成を示す。無人飛行体100は、駆動部110、撮像部112、加速度センサ120、通信部122、制御部130を含む。制御部130は、飛行制御部140、駆動制御部142、撮像制御部144、加速度検出部146、通信制御部148を含む。飛行制御部140は、無人飛行体の飛行を制御する。飛行制御部140は、飛行の制御内容を駆動制御部142に出力する。駆動制御部142は、駆動部110に接続され、駆動部110の動作を制御する。駆動部110は、モータ等であり、無人飛行体100を飛行させるための駆動力を提供する。
【0016】
撮像部112は、無人飛行体の少なくとも下方向を含む範囲を撮像する。撮像により動画像または静止画像が生成される。撮像制御部144は、撮像部112による撮像を制御し、撮像部112から動画像または静止画像(以下、これらを「撮像データ」と総称する)を取得する。通信部122は、図示しない他の装置との間で無線通信を実行可能である。無線通信には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。通信制御部148は、通信部122を制御し、例えば、撮像制御部144が取得した撮像データを他の装置に送信させる。
【0017】
加速度センサ120は無人飛行体100に対して加わる加速度を計測する。加速度検出部146は、加速度センサ120における計測結果をもとに無人飛行体100に対して加わる加速度を検出する。加速度センサ120は、例えば、3軸の加速度センサである。例えば、加速度検出部146は、無人飛行体100が搭載された車両10(図示せず)の急制動または衝突などによって生じたしきい値以上の加速度が検出されたか否かを判定する。加速度検出部146は、加速度センサ120から取得した加速度の情報のうち、水平方向における加速度が、例えば、しきい値として設定されている1.0G以上である場合に、しきい値以上の加速度が検出されたと判断する。また、しきい値以上の加速度が検出された場合、加速度検出部146は加速度の方向、例えば前側向き、または後側向きを特定する。
【0018】
図3(a)-(b)は、無人飛行体離発着ドック200の動作概要を示す。図3(a)は、図1(a)のうちの屋根12に設置された無人飛行体離発着ドック200の部分を拡大した側面図であり、とくに、無人飛行体離発着ドック200に無人飛行体100が係止されている状態を示す。無人飛行体離発着ドック200は、土台210、前側係止部214、後側係止部216、前側軸224、後側軸226を含む。土台210は、屋根12の上に設置される。前側係止部214は、前側軸224を中心に左回り方向にロックされており、右回り方向に回転可能である。ここで、前側係止部214は、バネ等によって右回り方向に反発力を有する。後側係止部216は、後側軸226を中心に右回り方向にはロックされており、左回り方向に回転可能である。ここで、後側係止部216は、バネ等によって左回り方向に反発力を有する。無人飛行体100の前側脚部114と後側脚部116は、例えば横方向に延伸した円柱形状を有する。前側脚部114は、前側係止部214により前側から後側に向かう応力で保持される。後側脚部116は、後側係止部216により後側から前側に向かう応力で保持される。
【0019】
図3(b)は、車両10に後側に向いた加速度が生じた場合の状態を示す。例えば、車両10が急制動または前方の他の車両10への追突などを起こした場合、車両10には減速の加速度が生じる。減速の加速度とは、進行方向に対するマイナスの加速度であり、これは進行方向と反対方向の後側に向いた加速度である。その際、無人飛行体100の慣性によって無人飛行体100には車両10の進行方向に押される力が加わる。図3(b)に示すように、この力を受けても、後側係止部216は、後側軸226を中心に右回り方向にロックされているので、後側脚部116を押え続ける。一方、前側係止部214は、前側軸224を中心に左回り方向にロックされているが、無人飛行体100の慣性によって右回り方向に回転し、前側軸224の係止を解除する。これは、車両10に対してしきい値以上の加速度が加わった場合、加速度が加わった方向とは逆方向に無人飛行体100の係止を解除するともいえる。このとき、前側係止部214は、右回り方向の反発力が一時的に解除されるような構造であってもよい。また、車両10の前後方向に加わるしきい値以上の加速度は、車両10の急制動または衝突に該当する加速度である。
【0020】
車両10に対して進行方向、つまり前側に向いた加速度が加わる場合、無人飛行体100の慣性によって無人飛行体100には車両10の進行方向とは逆向きに押される力が加わる。この力を受けても、前側係止部214は、前側軸224を中心に左回り方向にロックされているので、前側脚部114を押え続ける。一方、後側係止部216は、後側軸226を中心に右回り方向にロックされているが、無人飛行体100の慣性によって左回り方向に回転し、後側軸226の係止を解除する。このとき、後側係止部216は、左回り方向の反発力が一時的に解除されるような構造であってもよい。
【0021】
図4(a)-(b)は、無人飛行体100の飛行軌跡を示す。図4(a)は、車両10に後側に向いた加速度が生じた場合の状態を示す。前述のごとく、車両10が急制動または前方の他の車両10への追突などを起こした場合、車両10には後側向きの加速度が発生することによって、前側係止部214の係止が解除される。それにより、無人飛行体100は、慣性によって車両10の前側の方向に押し出される。その際、無人飛行体100が上昇動作を開始すると、無人飛行体100は、車両10の前側かつ上側に移動する。その結果、無人飛行体100は、上空における、事故等の状態が把握しやすい位置からの撮像可能になる。
【0022】
図4(b)は、車両10に前側に向いた加速度が生じた場合の状態を示す。これは、無人飛行体100を備えた車両10に後側から他の車両10が追突した場合に相当する。前述のごとく、車両10には前側向きの加速度が発生することによって、後側係止部216の係止が解除される。それにより、無人飛行体100は、慣性によって車両10の後側の方向に押し出される。その際、無人飛行体100が上昇動作を開始すると、無人飛行体100は、車両10の後側かつ上側に移動する。その結果、無人飛行体100は、上空における、事故等の状態が把握しやすい位置からの撮像可能になる。
【0023】
以下では、このような状態における無人飛行体100の動作を図2に戻って説明する。車両10において急制動または衝突などが発生することによって、加速度の方向と反対方向の前側係止部214または後側係止部216の係止が解除された場合、加速度検出部146は、しきい値以上の加速度を検出する。
【0024】
飛行制御部140は、加速度検出部146がしきい値以上の加速度を検出した場合、無人飛行体100が上昇するように無人飛行体100の飛行を制御する。例えば、飛行制御部140は、無人飛行体100の高度が無人飛行体離発着ドック200に係止されていたときの高度よりも高く、かつ最大5m未満程度となるように駆動制御部142を制御する。また、飛行制御部140は、車両10と無人飛行体100との距離が最大3~5m未満程度となるように駆動制御部142を制御する。このような制御のために、GNSS(Global Navigation Satellite System)等の測位機能を無人飛行体100が備えていてもよく、撮像部112において撮像された動画像に対する認識機能を無人飛行体100が備えていてもよい。
【0025】
また、飛行制御部140は、無人飛行体100を無人飛行体離発着ドック200に帰還させるか否かを制御してもよい。飛行制御部140は、例えば、撮像部112における撮像処理開始から5分などの所定時間経過したときなどに帰還を決定する。無人飛行体100の帰還を可能にするために、無人飛行体離発着ドック200の土台210の上面にマーカ(特徴的形状)が設けられる。飛行制御部140は、撮像部112において撮像された動画像に示されたマーカに合わせて着地するように駆動制御部142を制御する。飛行制御部140は、無人飛行体100が上昇してから帰還するまで、撮像部112の撮影画角内にマーカが常時含まれる範囲となるように、無人飛行体100の飛行を制御してもよい。この場合、マーカは、車両毎に異なる特徴を備えるなど、無人飛行体100が、帰還する車両10を判別できることが好ましい。
【0026】
撮像制御部144は、加速度検出部146がしきい値以上の加速度を検出した場合、撮像部112による撮像を開始させる。これに続いて、通信制御部148は、撮像制御部144が取得した撮像データの送信を通信部122に開始させる。通信部122は、通信制御部148の指示にしたがって撮像データを、車両10に備えられた記録装置、車両10のユーザが保有する携帯端末、無人飛行体100のユーザが契約している保険事業者のサーバ、安全保障事業者のサーバなどに送信する。飛行制御部140は、撮像制御部144が撮像部112による撮像を開始した後、車両10から所定距離および所定高度を維持した状態となるように無人飛行体100の飛行を制御する。
【0027】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0028】
以上の構成による撮像システム1000の動作を説明する。図5は、無人飛行体100による動作手順を示すフローチャートである。加速度検出部146がしきい値以上の加速度を検出した場合(S11のYes)、無人飛行体100は撮像処理を実行する(S12)。加速度検出部146がしきい値以上の加速度を検出しない場合(S11のNo)、ステップ12はスキップされる。処理が終了でなければ(S13のNo)、ステップ11に戻る。処理が終了であれば(S13のYes)、終了される。
【0029】
図6は、無人飛行体100による撮像処理、つまり図5のステップ12における撮像処理の手順を示すフローチャートである。飛行制御部140、駆動制御部142が無人飛行体100の上昇を開始し、撮像制御部144が撮像部112による撮像を開始し、通信制御部148が通信部122による撮像データの送信を開始する(S101)。飛行高度が所定高度でなければ(S102のNo)、待機する。飛行高度が所定高度であれば(S102のYes)、飛行制御部140、駆動制御部142は無人飛行体100の高度を維持する(S103)。車両10との距離が所定距離内であれば(S104のYes)、飛行制御部140、駆動制御部142は車両10との距離を維持する(S105)。車両10との距離が所定距離内でなければ(S104のNo)、飛行制御部140、駆動制御部142は車両10との距離を調整し(S106)、ステップ104に戻る。
【0030】
帰還のタイミングでなければ(S107のNo)、ステップ102、ステップ104に戻る。帰還のタイミングであれば(S107のYes)、飛行制御部140、駆動制御部142が無人飛行体100を帰還させ、撮像制御部144が撮像部112による撮像を終了し、通信制御部148が通信部122による撮像データの送信を終了する(S108)。
【0031】
本実施例によれば、車両に対してしきい値以上の加速度が加わった場合、加速度が加わった方向とは逆方向に無人飛行体の係止を解除するので、無人飛行体を適切な飛行位置に移動させることができる。また、無人飛行体が適切な飛行位置に移動するので、適切な飛行位置から事故状況等を撮像できる。また、車両に対してしきい値以上の加速度が加わった場合、加速度が加わった方向とは逆方向に無人飛行体の係止を解除するので、車両が急制動したり、車両が前側の別の車両に追突したりすると、無人飛行体が車両を前方上空から撮像できる。また、車両に対してしきい値以上の加速度が加わった場合、加速度が加わった方向とは逆方向に無人飛行体の係止を解除するので、車両に後方の別の車両が追突すると、無人飛行体が車両を後方上空から撮像できる。また、車両に対してしきい値以上の加速度が加わった場合、加速度が加わった方向とは逆方向に無人飛行体の係止を解除するので、車両を撮像可能な無人飛行体の離発着を制御できる。
【0032】
また、無人飛行体がしきい値以上の加速度を検出した場合に上昇するように飛行を制御するので、無人飛行体の離陸を制御できる。また、無人飛行体がしきい値以上の加速度を検出した場合に撮像を開始するので、撮像開始のタイミングを適切に制御できる。また、無人飛行体離発着ドックは、車両の前後方向にしきい値以上の加速度が加わった場合、加速度が加わった方向とは逆方向に無人飛行体の係止を解除するので、車両を撮像可能な無人飛行体の離発着を制御できる。また、車両の前後方向に加わるしきい値以上の加速度は、車両の急制動または衝突に該当する加速度であるので、車両の急制動または衝突をトリガにして飛行および撮像を実行できる。また、撮像を開始した後、車両から所定距離および所定高度を維持した状態となるように無人飛行体の飛行を制御するので、適切な飛行位置から車両を撮像できる。
【0033】
(実施例2)
次に、実施例2を説明する。実施例2も、実施例1と同様に、車両10がしきい値以上の加速度を受けた場合に、無人飛行体離発着ドック200との係止が解除される無人飛行体100を含む撮像システム1000に関する。実施例1においては、無人飛行体100は、しきい値以上の加速度を検出することによって係止の解除を認識する。実施例2における無人飛行体100は係止の解除を直接検出する。実施例2に係る撮像システム1000は、図1(a)-(b)、図3(a)-(b)と同様のタイプである。ここでは、実施例1との差異を中心に説明する。
【0034】
図7は、無人飛行体100の構成を示す。無人飛行体100は、駆動部110、撮像部112、通信部122、係止センサ124、制御部130を含む。制御部130は、飛行制御部140、駆動制御部142、撮像制御部144、通信制御部148、係止検出部150を含む。
【0035】
係止センサ124は、前側脚部114が前側係止部214に係止されているか否かを検出する。係止センサ124は、前側脚部114と前側係止部214との間に電気の導通がある場合に係止を検出し、前側脚部114と前側係止部214との間に電気の導通がない場合に係止されていないことを検出する。また、係止センサ124は、後側脚部116が後側係止部216に係止されているか否かを検出する。係止センサ124は、後側脚部116と後側係止部216との間に電気の導通がある場合に係止を検出し、後側脚部116と後側係止部216との間に電気の導通がない場合に係止されていないことを検出する。係止センサ124は、前側脚部114に対する検出結果と、後側脚部116に対する検出結果を係止検出部150に出力する。
【0036】
係止検出部150は、係止センサ124からの検出結果を受けつける。係止検出部150は、前側脚部114が前側係止部214に係止され、かつ後側脚部116が後側係止部216に係止されていることが検出結果において示されている場合、無人飛行体離発着ドック200による係止を検出する。一方、係止検出部150は、前側脚部114または後側脚部116に対する係止がなされていない場合、無人飛行体離発着ドック200による係止の解除を検出する。係止検出部150が係止の解除を検出した場合では、実施例1において加速度検出部146がしきい値以上の加速度を検出した場合と同様の処理がなされる。
【0037】
以上の構成による撮像システム1000の動作を説明する。図8は、無人飛行体100による動作手順を示すフローチャートである。加速度検出部146がしきい値以上の加速度を検出した場合(S21のYes)、無人飛行体100は撮像処理を実行する(S12)。加速度検出部146がしきい値以上の加速度を検出しない場合(S21のNo)、ステップ12はスキップされる。処理が終了でなければ(S13のNo)、ステップ11に戻る。処理が終了であれば(S13のYes)、終了される。
【0038】
本実施例によれば、無人飛行体離発着ドックによる係止の解除を検出すると、無人飛行体が上昇するように無人飛行体の飛行を制御するので、車両を撮像可能な無人飛行体の離発着を制御できる。
【0039】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0040】
10 車両、 12 屋根、 100 無人飛行体、 110 駆動部、 112 撮像部、 114 前側脚部、 116 後側脚部、 120 加速度センサ、 122 通信部、 130 制御部、 140 飛行制御部、 142 駆動制御部、 144 撮像制御部、 146 加速度検出部、 148 通信制御部、 200 無人飛行体離発着ドック、 210 土台、 214 前側係止部、 216 後側係止部、 224 前側軸、 226 後側軸、 1000 撮像システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8