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  • 特開-酸化防止剤組成物及び食用油脂 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162573
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】酸化防止剤組成物及び食用油脂
(51)【国際特許分類】
   A23D 9/00 20060101AFI20231101BHJP
   C09K 15/06 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
A23D9/00 506
A23D9/00 504
C09K15/06
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072993
(22)【出願日】2022-04-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】521466703
【氏名又は名称】株式会社FTT
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩田 孝史
(72)【発明者】
【氏名】植嶋 亜衣
(72)【発明者】
【氏名】藤本 祐希
(72)【発明者】
【氏名】林 彰人
【テーマコード(参考)】
4B026
4H025
【Fターム(参考)】
4B026DC04
4B026DC06
4B026DG04
4B026DK05
4B026DK10
4B026DL02
4B026DL05
4B026DX01
4H025AA11
(57)【要約】
【課題】酸化防止成分が水性溶媒を介さず可溶化されることによる高い酸化防止効果が得られるとともに、油脂に溶かしやすい酸化防止剤組成物及びこれを含有する食用油脂を提供すること。
【解決手段】食用油脂と、油脂に難溶性の酸化防止成分と、乳化剤とを含む酸化防止剤組成物であって、乳化剤はモノエステル含量が40%以上70%未満のジグリセリンオレイン酸エステル及びレシチンからなり、前記酸化防止成分が乳化剤により水性溶媒を用いることなく可溶化されている食用油用の酸化防止剤組成物とする。また、前記酸化防止剤組成物が添加された食用油脂であって、食用油脂と酸化防止剤組成物の合計100質量部中に、前記酸化防止剤組成物を0.01質量部以上30質量部以下含有する食用油脂とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用油脂と、油脂に難溶性の酸化防止成分と、乳化剤とを含む酸化防止剤組成物であって、
乳化剤はモノエステル含量が40%以上70%未満のジグリセリンオレイン酸エステル及びレシチンからなり、
前記酸化防止成分が乳化剤によって水性溶媒を用いることなく可溶化されている食用油用の酸化防止剤組成物。
【請求項2】
前記酸化防止剤組成物100質量部に対して、ジグリセリンオレイン酸エステルの含有量が70質量部未満であり、レシチンの含有量が40質量部以下である請求項1に記載の酸化防止剤組成物。
【請求項3】
前記酸化防止成分が、ポリフェノール類、没食子酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸脂肪酸エステルから選ばれる1種または2種以上である請求項1または2に記載の酸化防止剤組成物。
【請求項4】
クエン酸、リンゴ酸、リン酸、ポリリン酸、メタリン酸、乳酸、コハク酸、フマル酸、グルコン酸、酒石酸、フィチン酸、アスコルビン酸、EDTA、及びこれらの塩類から選ばれる1種または2種以上の有機酸類を含有している請求項1または2に記載の酸化防止剤組成物。
【請求項5】
請求項1または2に記載の酸化防止剤組成物が添加された加熱調理用の食用油脂であって、前記酸化防止剤組成物と食用油脂との合計100質量部中に、前記酸化防止剤組成物を0.01質量部以上30質量部以下含有する加熱調理用の食用油脂。
【請求項6】
請求項4に記載の酸化防止剤組成物が添加された加熱調理用の食用油脂であって、前記酸化防止剤組成物と食用油脂との合計100質量部中に、前記酸化防止剤組成物を0.01質量部以上30質量部以下含有する加熱調理用の食用油脂。
【請求項7】
請求項1または2に記載の酸化防止剤組成物が添加された非加熱調理用の食用油脂であって、前記酸化防止剤組成物と食用油脂との合計100質量部中に、前記酸化防止剤組成物を0.01質量部以上30質量部以下含有する非加熱調理用の食用油脂。
【請求項8】
請求項4に記載の酸化防止剤組成物が添加された非加熱調理用の食用油脂であって、前記酸化防止剤組成物と食用油脂との合計100質量部中に、前記酸化防止剤組成物を0.01質量部以上30質量部以下含有する非加熱調理用の食用油脂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化防止剤組成物及びこれを含有した食用油脂に関するものである。
【背景技術】
【0002】
国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標12「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる」を達成するためにも、食品ロスの削減が求められている。加工食品の賞味期限または消費期限の延長を図ることは食品ロスの削減に向けた重要な取り組みである。
【0003】
油脂を用いる加工食品の賞味期限は、油脂の酸化劣化の影響を大きく受ける。従来、油脂の酸化劣化を抑制するために、油脂への種々の酸化防止剤の添加が行われている。現在、日本においては酸化防止剤としてビタミンEやビタミンCが用いられることが多い。しかし、その酸化防止効果は十分とはいえず、例えば即席麺の賞味期限は約6~8か月程度であることからも、より効果の高い酸化防止剤が求められている。
【0004】
効果の高い油溶性の酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)やブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ターシャリーブチルヒドロキノン(TBHQ)などの合成抗酸化剤が挙げられるが、これらの合成抗酸化剤は安全性の問題から使用が控えられる傾向がある。
【0005】
そこで、安全性と抗酸化性の高い天然由来の酸化防止成分として茶カテキンなどが使用されている。しかし、これら天然由来の酸化防止成分の多くは、水やアルコールには可溶であるが油脂に難溶であるという問題があった。
【0006】
また、油脂に難溶である天然由来の酸化防止成分をエステル化して油溶性とした没食子酸プロピルやアスコルビン酸脂肪酸エステルなどが知られている。これらの油溶性酸化防止成分も、油脂への溶解性は食品添加物公定書解説書に記載の「溶けにくい」以下であり、油脂に難溶である。さらに、これらの油溶性酸化防止成分は融点が100℃以上と高いため、添加時には加熱された高温の油脂が用いられるが、溶解させた油脂の温度が低下したときに凝固・析出しやすいという問題があった。
【0007】
これにより、前記油溶性酸化防止成分を含有する油脂が、例えば約75℃以下の低温調理に用いられたり、米菓やスナック菓子のかけ油、ドレッシング(半個体状ドレッシング、乳化液状ドレッシング、分離液状ドレッシングを含む)など油脂を高温に加熱しない加工食品に用いられたりする場合、製造工程において前記油溶性酸化防止成分が凝固・析出するおそれがある。
【0008】
特に、没食子酸プロピルの場合、厚生労働省の定める使用基準において使用量の最大限度をバターで0.10g/kg以下、食用油脂で0.20g/kg以下とするよう定められているところ、添加された没食子酸プロピルが食品中で析出して不均質となると、部分的に使用上限を超えてしまうおそれがあるという問題もある。
【0009】
そこで、特許文献1及び2に記載されているように、油脂難溶性の酸化防止成分をいったん水や有機溶媒等に溶解させてから乳化剤と混ぜ、油脂可溶性の乳化組成物や可溶化組成物として油脂に分散または溶解させることが行われている。
【0010】
しかし、特許文献1及び2に記載されている酸化防止剤組成物では、酸化防止成分が水性溶媒によっていわば薄められた状態となることから、酸化防止剤組成物中の酸化防止成分の実質的な含量は相対的に少なくなってしまう。このため、十分な酸化防止効果を得るためには酸化防止剤組成物の添加量を増やすこととなり、油脂が濁りやすくなるなどの問題があった。
【0011】
また、図1に示されるように、特許文献1または2に記載された酸化防止剤組成物9では、水性溶媒に溶解した酸化防止成分ACと乳化剤Eとの間に水相部Wが存在する。このため、酸化防止成分ACは水相部Wを介して間接的に油脂成分Oに関与することとなり、本来の酸化防止能力を十分に発揮できていないおそれがあった。
【0012】
そこで、特許文献3に記載されているように、酸化防止成分を水性溶媒に溶解させることなく可溶化する試みも行われている。しかし、特許文献3記載の抗酸化剤組成物は粘度が非常に高い水あめ状の組成物であり、食用油脂に溶かしにくいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001-131572号公報
【特許文献2】特開2008-163202号公報
【特許文献3】特許第5786215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、上記した従来の問題点を解決し、酸化防止成分が水性溶媒を介さず可溶化されることによる高い酸化防止効果が得られるとともに、油脂に溶かしやすい酸化防止剤組成物及びこれを含有する食用油脂を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、食用油脂と、油脂に難溶性の酸化防止成分と、乳化剤とを含む酸化防止剤組成物であって、乳化剤はモノエステル含量が40%以上70%未満のジグリセリンオレイン酸エステル及びレシチンからなり、前記酸化防止成分が乳化剤により水性溶媒を用いることなく可溶化されている食用油用の酸化防止剤組成物とする。
【0016】
また、前記酸化防止剤組成物100質量部に対して、ジグリセリンオレイン酸エステルの含有量が70質量部未満であり、レシチンの含有量が40質量部以下であることが好ましい。
【0017】
また、前記酸化防止成分が、ポリフェノール類、没食子酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸脂肪酸エステルから選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
【0018】
また、クエン酸、リンゴ酸、リン酸、ポリリン酸、メタリン酸、乳酸、コハク酸、フマル酸、グルコン酸、酒石酸、フィチン酸、アスコルビン酸、EDTA、及びこれらの塩類から選ばれる1種または2種以上の有機酸類を含有している酸化防止剤組成物とすることが好ましい。
【0019】
また、前記したいずれかの酸化防止剤組成物を添加された食用油脂であって、100質量部中において、前記したいずれかの酸化防止剤組成物を0.01質量部以上30質量部以下含有する食用油脂とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、酸化防止成分が水性溶媒を介さず可溶化されることによる高い酸化防止効果が得られるとともに、油脂に溶かしやすい酸化防止剤組成物及びこれを含有する食用油脂を提供することが可能となる。
【0021】
また、これにより、油脂の酸化安定性を向上させ食品の賞味期限を延長することができるので、前述した国際連合が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標12に貢献することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】従来の酸化防止剤組成物の乳化粒子の構造を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(酸化防止剤組成物)
以下に発明を実施するための形態を示す。本発明の酸化防止剤組成物は、食用油脂と、油脂に難溶性の酸化防止成分と、乳化剤とを含む。本発明では、後段で詳述するように、乳化剤としてモノエステル含量が40%以上70%未満のジグリセリンオレイン酸エステルと、レシチンとを用いる。これにより、油脂に難溶性の酸化防止成分が水性溶媒を介することなく良好に可溶化されるものである。
【0024】
(食用油脂)
本発明に用いられる食用油脂としては、なたね油、大豆油、コーン油、コメ油、オリーブ油、ゴマ油、サフラワー油、綿実油、ヒマワリ油、落花生油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、アーモンド油、アボガド油、ホホバ油、カカオ脂等の植物油脂、牛脂、豚脂、魚油、魚肝油、鯨油等の動物油脂、中鎖脂肪酸トリグリセライド及び/またはこれらに分別、水素添加、エステル交換等の加工処理を行った加工油脂等が挙げられる。なお、これらの油脂の2種類以上を組み合わせた混合油脂を用いることもできるが、これに限定されるものではない。食用油脂の含有量は特に限定されないが、酸化防止剤組成物の油脂への溶けやすさや粘度を良好にする点などから、酸化防止剤組成物100質量部に対して10質量部以上80質量部以下とすることが好ましい。
【0025】
(酸化防止成分)
本発明に用いられる油脂に難溶性の酸化防止成分としては、ポリフェノール類、没食子酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸脂肪酸エステルが挙げられる。ポリフェノール類は、緑茶抽出物(カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレートを含む)を用いることが好ましいが、その他の酸化防止効果を備えたポリフェノール類の1種類または2種類以上を組み合わせて用いることができる。なお、これらの酸化防止成分の2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
酸化防止成分の含有量は特に限定されないが、抗酸化作用を発揮させる点や良好な可溶化及び安定性などの点から、酸化防止剤組成物100質量部中に40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上20質量部以下がさらに好適である。
【0027】
また、本発明では、上記した酸化防止成分に加えて、ローズマリー抽出物、生姜抽出物、脂溶性ビタミンのビタミンA、ビタミンD、ビタミンE等から選ばれる1種または2種以上の酸化防止成分が適宜添加されていてもよい。
【0028】
(ジグリセリンオレイン酸エステル)
本発明の酸化防止剤組成物には、乳化剤としてモノエステル含量が40%以上70%未満であるジグリセリンオレイン酸エステルが用いられる。ジグリセリンオレイン酸エステルは、常温で液状であり油脂に良好に溶解するため好ましいが、モノエステル含量が70%以上のジグリセリンオレイン酸エステルを用いると、酸化防止剤組成物の粘度が高くなり、食用油脂への添加が困難となる。また、本発明におけるジグリセリンオレイン酸エステルの含有量は、酸化防止成分の良好な可溶化や、分散安定性の点から、酸化防止剤組成物100質量部に対して70質量部未満とすることが好ましく、1質量部以上65質量部以下とすることがさらに好ましい。最も好ましくは7質量部以上60質量部以下である。
【0029】
ジグリセリンオレイン酸エステル及び後述するレシチンを乳化剤として用いることにより、油脂に混ざらず沈殿しやすい水溶性酸化防止成分(カテキンや没食子酸等)を、水性溶媒を用いることなく良好に可溶化することが可能となる。
【0030】
また、ジグリセリンオレイン酸エステルには、油脂に難溶である油溶性酸化防止成分(没食子酸プロピルやアスコルビン酸パルチミン酸エステル等)を含む組成物の融点を降下させる作用がある。食用油脂に添加された油溶性酸化防止成分は、ジグリセリンオレイン酸エステル無しの場合はおおむね110~130℃の油温で溶解し、油温が低下すると析出して再び固化してしまうが、ジグリセリンオレイン酸エステル存在下では70~110℃で可溶化し油温が低下しても析出せず可溶化した状態を保つことができる。これにより、油脂に難溶性の油溶性酸化防止成分を、エタノール等の水性溶媒を用いることなく良好に可溶化することが可能となる。
【0031】
(レシチン)
本発明では乳化剤としてジグリセリンオレイン酸エステルに加えレシチンが用いられる。レシチン添加によって酸化防止剤組成物中の成分が均一に溶解し、分散安定性が良好となる。本発明におけるレシチンの含有量は、酸化防止剤組成物の分散安定性を保つ点、良好な色調や粘度を得る点などから、酸化防止剤組成物100質量部に対して40質量部以下とすることが好ましく、30質量部以下であることがさらに好ましい。最も好ましくは0.1質量部以上20質量部以下である。
【0032】
なお、本発明に用いられるレシチンは精製レシチンが好ましい。さらに、レシチンの有効成分であるフォスファチジルコリンを精製したものであって、フォスファチジルコリン含量が50%以上のものが好ましく、さらにフォスファチジルコリン含量が70%以上であることがより好ましい。フォスファチジルコリン含量が高いレシチンを用いることにより、レシチンの欠点である高温(180℃程度)での褐変現象を抑制することができるため、添加された食用油脂が加熱調理に供されても変色しにくい酸化防止剤組成物とすることができる。
【0033】
本発明では、乳化剤としてジグリセリンオレイン酸エステル及びレシチンを用いることにより、前述したように水溶性または油溶性のいずれの難溶性酸化防止成分も良好に可溶化することができる。よって、水溶性または油溶性の酸化防止成分を単独で用いる場合のみならず、両者を併用する場合においても可溶化が良好で分散安定性に優れた酸化防止剤組成物とすることができる。
【0034】
(併用可能な乳化剤)
なお、本発明の酸化防止剤組成物には、さらに別の乳化剤を添加することができる。例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、酵素分解レシチン、酵素処理レシチン等から選ばれる1種または2種以上の乳化剤を用いることができる。
【0035】
(有機酸類)
本発明の酸化防止剤組成物には、有機酸類を添加することができる。本発明では、クエン酸、リンゴ酸、リン酸、ポリリン酸、メタリン酸、乳酸、コハク酸、フマル酸、グルコン酸、酒石酸、フィチン酸、アスコルビン酸、EDTA、及びこれらの塩類から選ばれる1種または2種以上の有機酸類を用いることができる。これらの有機酸類は、それ自身が酸化防止効果を有するとともに、シナージストとして他の酸化防止成分の抗酸化効果を相乗的に高めるものであり、キレート作用も有している。しかし、油脂に対して溶解しにくいという問題があった。
【0036】
(製造方法)
本発明の酸化防止剤組成物の製造方法について説明する。本発明の酸化防止剤組成物は、食用油脂と、モノエステル含量が70%未満のジグリセリンオレイン酸エステルと、レシチンとを混合して加熱溶解させ、さらに、油脂に難溶性である酸化防止成分を添加して加熱溶解させるものである。このとき、油脂に難溶性である酸化防止成分は、水、一価アルコール、多価アルコールまたは還元でんぷん分解物からなる群から選択される水性溶媒に溶解されずに直接添加される。
【0037】
実施形態の酸化防止剤組成物は、10質量部以上80質量部以下の食用油脂に対して、60℃に加熱して融解させた70質量部未満のジグリセリンオレイン酸エステルと、40質量部以下のレシチンを添加し、70℃~80℃に加熱しながらミキサー等によって均一に攪拌したのち、油脂に難溶性である酸化防止成分0.01質量部以上40質量部以下を添加して70~130℃に加熱しながら攪拌し、分散溶解させることによって得られる。
【0038】
また、上記の方法によって得られた酸化防止剤組成物は、加熱調理用及び/または非加熱調理用の食用油脂に含有させることができる。ここで「加熱調理用」とは、例えば即席麺、ポテトチップス、揚げ菓子、惣菜等の調理において、加熱されて用いられることを示す。また、「非加熱調理用」とは、例えば米菓やスナック菓子への噴霧、どぶづけ、かけ用途(かけ油)、ドレッシング等の調理において、高温に加熱されることなく用いられることを示す。
【0039】
酸化防止剤組成物が添加された加熱調理用及び/または非加熱調理用の食用油脂100質量部中に、前記酸化防止剤組成物が0.01質量部以上30質量部以下となる範囲で含有されていることが好ましい。添加量がこれより少ないと酸化防止効果が弱くなり、これより多いと食用油脂として適さない。添加量のより好ましい範囲は0.1質量部以上10質量部以下であり、さらに好ましくは1質量部以上10質量部以下である。なお、酸化防止成分のうち使用基準によって使用量の最大限度が定められているものについては、規制に準ずる量で添加するものとする。
【0040】
また、本発明の酸化防止剤組成物が添加された加熱調理用及び/または非加熱調理用の食用油脂に対し、さらに有機酸類を添加することができる。前記食用油脂に添加可能な有機酸類としては、クエン酸、リンゴ酸、リン酸、ポリリン酸、メタリン酸、乳酸、コハク酸、フマル酸、グルコン酸、酒石酸、フィチン酸、アスコルビン酸、EDTA、及びこれらの塩類から選ばれる1種または2種以上の有機酸類が挙げられるが、これに限定されない。
【0041】
なお、上記の方法によって得られた酸化防止剤組成物は、ジグリセリンオレイン酸エステルが油相中に均一に分散したものである。このような乳化剤が均一に分散している油相に対し、油脂に難溶性である酸化防止成分が水性溶媒に溶解されることなく混合されると、乳化剤によって前記酸化防止成分が油脂に可溶化した状態となる。このとき、前記酸化防止成分は水性溶媒に溶解されていないため、その周囲に実質的に水相部を備えておらず、前記酸化防止剤組成物は実質的に前記水性溶媒すなわち水相部が含まれない状態となる。これにより、可溶化した前記酸化防止成分は水相を介することなく油脂に直接関与することができ、高い酸化防止能力を発揮することが可能となる。
【0042】
このため、本発明によれば、酸化防止成分が水性溶媒を介さず可溶化されることによる高い酸化防止効果が得られるとともに、油脂に溶かしやすい酸化防止剤組成物とすることが可能となる。
【実施例0043】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例に限定されるものではない。実施例及び比較例の原材料は以下のとおりである。
【0044】
(食用油脂)
・なたね油(商品名:精製なたね油、辻製油(株)製)
【0045】
(ジグリセリンオレイン酸エステル)
実施例に用いたジグリセリンオレイン酸エステルは、以下の2種類のジグリセリンオレイン酸エステル(いずれも理研ビタミン(株)製)を混合したものである。
・商品名:ポエムDO-100V(モノエステル含量80%)
・商品名:リケマールJV-2681(モノエステル含量41%)
【0046】
(ジグリセリンオレイン酸エステル以外の乳化剤)
比較例に用いた乳化剤は以下のとおりである(いずれも理研ビタミン(株)製)。
・モノグリセリンオレイン酸エステル(商品名:ポエムOL-200V)
・プロピレングリコールオレイン酸エステル(商品名:リケマールPO-100V)
・グリセリンクエン酸脂肪酸エステル(商品名:ポエムK-37V)
・ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名:ポエムPR‐300)
【0047】
(レシチン)
実施例及び比較例に用いたレシチンは以下の2種類(いずれも辻製油(株)製)であり、これらのレシチンにおける総リン脂質に対するフォスファチジルコリン含量(以下「PC含量」という。)は以下のとおりである。
・SLP-ペースト(PC含量:30%)
・SLP-PC70(PC含量:70%)
【0048】
(酸化防止成分)
実施例及び比較例に用いた酸化防止成分は以下のとおりである。
・没食子酸プロピル(富士化学工業(株)製)
・没食子酸(富士化学工業(株)製)
・アスコルビン酸脂肪酸エステル(ビタミンCパルミテート、三菱ケミカル(株)製)
・緑茶抽出物(商品名:サンフェノン100S、太陽化学(株)製)
【0049】
(実施例及び比較例の配合)
上記した原材料を用いて調製した実施例及び比較例の配合組成を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
(調製方法)
表1に示した配合組成となるように、以下の方法にて実施例及び比較例を調製した。
【0052】
(実施例1)
(1)以下の2種類のジグリセリンオレイン酸エステルを以下の割合で混合し、実質的なモノエステル含量が67%のジグリセリンオレイン酸エステルを得た。
・ポエムDO-100V:40質量%
・リケマールJV-2681:20質量%
(2)なたね油38質量%に対して、60℃に溶解した上記ジグリセリンオレイン酸エステル60質量%と、レシチン1質量%(SLP-PC70:辻製油(株)製)とをプロペラ攪拌にて10分間混合し、酸化防止成分(没食子酸プロピル:富士化学工業(株)製)を1重量%加え、さらに昇温しプロペラ攪拌にて10分間混合し、実施例1の酸化防止剤組成物を得た。
【0053】
(実施例2~4、実施例7~13、実施例18~19、比較例1~6、比較例9)
実施例1と同様にして、表1に示す組成となるように、実施例2~4、7~13、18~19、比較例2~6の酸化防止剤組成物を作製した。比較例1はなたね油を用いない他は実施例1と同様にして作製した酸化防止剤組成物である。比較例9はなたね油である。
【0054】
(実施例15、16)
実施例1のなたね油を37質量%とし、他は同様に作製した酸化防止剤組成物に対して、有機酸類としてクエン酸の50%水溶液1質量%を添加して攪拌し、実施例15の酸化防止剤組成物を得た。また、実施例15の有機酸類をフィチン酸の50%水溶液1質量%に代えて、実施例16の酸化防止剤組成物を得た。
【0055】
(食用油脂の実施例5、6、14、17)
なたね油98質量%に、実施例3の酸化防止剤組成物2質量%を添加し実施例5の食用油脂を得た。実施例5と同様にして、表1に示す実施例6、14、17の食用油脂を得た。
【0056】
(比較例7、8)
酸化防止成分(緑茶抽出物)5質量%を無水エタノール15質量%部に溶解したカテキンのエタノール溶液を、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル(ポエムK-37V)30質量%部と溶解混合し、さらにこれをポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(ポエムPR‐300)50質量%と溶解混合し、比較例7の酸化防止剤組成物を得た。また、なたね油99質量%に対し、比較例7の酸化防止剤組成物を1質量%添加して攪拌し、比較例8の食用油脂を得た。
【0057】
(試験1:ジグリセリンオレイン酸エステルのモノエステル含量及び配合量の比較)
実施例1、2及び比較例1~3の酸化防止剤組成物について、外観及び粘度を測定した。粘度は、回転式粘弾性測定レオメータ(AR-G2、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、20℃の条件で測定した。結果を表2に示す。
【0058】
表2に示す結果から明らかなように、モノエステル含量が67%のジグリセリンオレイン酸エステルを用いた実施例1と、モノエステル含量が41%のジグリセリンオレイン酸エステルを用いた実施例2の酸化防止剤組成物は、濁りや沈殿または分離がなく、酸化防止成分が良好に可溶化され粘度も良好であった。
【0059】
一方、なたね油を含有せず、モノエステル含量が80%のジグリセリンオレイン酸エステルを用いた比較例1の酸化防止剤組成物は、粘度が非常に高かった。また、なたね油を含有しているがモノエステル含量が80%のジグリセリンオレイン酸エステルを用いた比較例2の酸化防止剤組成物は、高粘度かつ成分の分離が見られた。また、ジグリセリンオレイン酸エステルを含まない比較例3の酸化防止剤組成物では成分の沈殿が発生し、酸化防止成分が均一に溶解した状態ではなかった。これらの結果により、モノエステル含量が70%以上のジグリセリンオレイン酸エステルを用いると、酸化防止剤組成物の粘度や分散性が良好でないことが分かった。
【0060】
【表2】
【0061】
(試験2:乳化剤の種類の比較)
実施例3及び比較例4、5の酸化防止剤組成物の外観を測定した結果を表3に示す。乳化剤としてジグリセリンオレイン酸エステルを用いた実施例3の酸化防止剤組成物は酸化防止成分が可溶化されて清澄な外観を示し、分散性が良好であった。一方、乳化剤としてモノグリセリンオレイン酸エステルを用いた比較例4と、乳化剤としてプロピレングリコールオレイン酸エステルを用いた比較例5の酸化防止剤組成物は、いずれも成分の沈殿が見られ分散性が不良であった。これらの結果により、酸化防止剤組成物に添加する乳化剤としてジグリセリンオレイン酸エステルが適していることが分かった。
【0062】
【表3】
【0063】
(試験3:レシチンのPC含量の違いによる加熱時の褐変防止効果)
前述したとおり、レシチンは高温(例えば、テンプラ等の加熱温度180℃)で褐変するという性質を有している。このため、レシチンが配合された酸化防止剤組成物を含有する食用油脂が揚げ調理などのために加熱されると褐変を引き起こすおそれがある。よって、高温調理用の食用油脂に対してレシチンを使用することは困難であった。試験3では、PC含量の異なるレシチンを用いた実施例について加熱後の外観を目視で確認した。結果を表4に示す。
【0064】
実施例4は、一般的なPC含量のレシチンを用いて調製した酸化防止剤組成物であり、実施例5は実施例4を2%添加した食用油脂である。実施例4、5ともに非加熱時の外観は清澄であった。しかし、実施例5の食用油脂を150℃で15分加熱すると、褐変が生じるとともに成分の一部が焼け焦げとなって沈殿し、加熱用の食用油脂としては不適であることが分かった。
【0065】
実施例3は、PC含量の高いレシチンを用いて調製した酸化防止剤組成物であり、実施例6は実施例3を2%添加した食用油脂である。実施例3、6ともに非加熱時の外観は清澄であった。また、実施例6の食用油脂を150℃で15分加熱しても褐変・焼け焦げが発生しなかった。
【0066】
これらの結果から、PC含量の高いレシチンを用いることにより加熱調理用の食用油脂にも適した酸化防止剤組成物とすることが可能であることがわかった。なお、一般的なPC含量のレシチンを用いる場合は非加熱用の食用油脂に添加する酸化防止剤組成物とすることが好ましい。
【0067】
なお、比較例6は、乳化剤を用いることなくなたね油に酸化防止成分(没食子酸プロピル)を添加したものであり、酸化防止成分が可溶化されず成分の沈殿が発生した。このため、酸化防止成分が良好に油脂に可溶化するためには乳化剤の添加が必要であることが分かる。
【0068】
【表4】
【0069】
(試験4:酸化防止成分の種類及び添加量)
酸化防止成分の種類及び添加量の異なる実施例3及び実施例7~13の酸化防止剤組成物について、外観を目視した結果を表5に示す。いずれの実施例においても清澄な外観を示していた。これらの結果により、原材料として前述した酸化防止成分のいずれを用いても良好に可溶化され、分散安定性が良好な酸化防止剤組成物が得られることが分かった。特に、実施例7のように酸化防止剤組成物全体に対する没食子酸プロピルの配合割合を17質量%と高くしても、清澄な組成物の調製が可能であることが分かった。
【0070】
【表5】
【0071】
(試験5:酸化安定性試験)
実施例及び比較例の酸化防止剤組成物を所定の割合で添加した食用油脂について、酸化安定性を測定する試験を行った。酸化安定性試験は、基準油脂分析試験法(2013)の「安定性試験」記載のCDM試験により行った。CDM試験は試料を反応容器に入れて120℃に加熱しながら清浄空気を送り込む加速劣化試験であり、酸化により生成された揮発性分解物を水中に捕集し、水の導電率が急激に変化する屈曲点までの誘導時間を測定するものである。誘導時間の値が大きいほど酸化安定性が優れている。試験に用いた酸化防止剤組成物及び食用油脂への配合割合、誘導時間は表6に示すとおりである。
【0072】
コントロール条件である比較例9(なたね油100%)における誘導時間は5.8時間であった。また、緑茶抽出物(カテキン)をエタノールに溶解させた後に乳化剤と混合して得た比較例7をなたね油に1%添加した比較例8では、誘導時間は8.3時間であった。
【0073】
一方、実施例13の酸化防止剤組成物(カテキン使用)をなたね油に1%添加した実施例14の誘導時間は14.1時間であり、比較例9の2倍以上、比較例8の約1.7倍の酸化安定性を示した。実施例14と比較例8とでは、どちらも酸化防止成分としてカテキンを用い、酸化防止剤組成物の混合割合も1%と同一であったにもかかわらず誘導時間に顕著な違いが表れた。これは、本発明の酸化防止剤組成物では酸化防止成分を水性溶媒に溶解させず、酸化防止成分が油脂に対して水相を介さず直接作用することの効果であると考えられる。
【0074】
また、なたね油に実施例9の酸化防止剤組成物(没食子酸使用)を4%添加した実施例14の誘導時間は12.3時間であり、こちらも比較例9の2倍を超えたものであった。
【0075】
【表6】
【0076】
(試験6:有機酸類添加)
実施例1の酸化防止剤組成物に対し、有機酸類としてクエン酸50%水溶液またはフィチン酸50%水溶液をそれぞれ1%添加して作製した実施例15及び実施例16の外観を目視により測定した。結果を表7に示す。実施例15、16はいずれも清澄であり、油脂に溶解しにくい有機酸類が良好に溶解していることが分かった。
【0077】
【表7】
【0078】
(試験7:レシチン含有量の検討)
レシチン含有量の適正な上限値を検討するため、レシチン含有量の異なる実施例18、19及び比較例10の酸化防止剤組成物を作成して外観を観察した。結果を表8に示す。酸化防止剤組成物100質量部に対してレシチンが40質量部以下である実施例18、19では清澄な外観となり、食用油脂への添加に適していた。一方、酸化防止剤組成物100質量部に対してレシチンが60質量部である比較例10は、黒色を呈するとともに粘度が高いものであった。よって、レシチンは40質量部以下とすることが好ましい。
【0079】
【表8】
【符号の説明】
【0080】
9 従来の酸化防止剤組成物
AC 酸化防止成分
E 乳化剤
W 水相部
O 油脂成分
図1
【手続補正書】
【提出日】2022-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
これにより、前記油溶性酸化防止成分を含有する油脂が、例えば約75℃以下の低温調理に用いられたり、米菓やスナック菓子のかけ油、ドレッシング(半体状ドレッシング、乳化液状ドレッシング、分離液状ドレッシングを含む)など油脂を高温に加熱しない加工食品に用いられたりする場合、製造工程において前記油溶性酸化防止成分が凝固・析出するおそれがある。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
上記課題を解決するため、食用油脂と、油脂に難溶性の酸化防止成分と、乳化剤とを含む酸化防止剤組成物であって、乳化剤はモノエステル含量が40%以上70%未満のジグリセリンオレイン酸エステル及びレシチンからなり、前記酸化防止剤組成物100質量部に対して、前記酸化防止成分の含有量が0.5質量部以上40質量部以下であり、ジグリセリンオレイン酸エステルの含有量が1質量部以上70質量部未満であり、レシチンの含有量が0.1質量部以上40質量部以下であり、前記酸化防止成分が乳化剤により水性溶媒を用いることなく可溶化されている食用油用の酸化防止剤組成物とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用油脂と、油脂に難溶性の酸化防止成分と、乳化剤とを含む酸化防止剤組成物であって、
乳化剤はモノエステル含量が40%以上70%未満のジグリセリンオレイン酸エステル及びレシチンからなり、
前記酸化防止剤組成物100質量部に対して、前記酸化防止成分の含有量が0.5質量部以上40質量部以下であり、ジグリセリンオレイン酸エステルの含有量が1質量部以上70質量部未満であり、レシチンの含有量が0.1質量部以上40質量部以下であり、
前記酸化防止成分が乳化剤によって水性溶媒を用いることなく可溶化されている食用油用の酸化防止剤組成物。
【請求項2】
前記酸化防止成分が、ポリフェノール類、没食子酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸脂肪酸エステルから選ばれる1種または2種以上である請求項1に記載の酸化防止剤組成物。
【請求項3】
クエン酸、リンゴ酸、リン酸、ポリリン酸、メタリン酸、乳酸、コハク酸、フマル酸、グルコン酸、酒石酸、フィチン酸、アスコルビン酸、EDTA、及びこれらの塩類から選ばれる1種または2種以上の有機酸類を含有している請求項1または2に記載の酸化防止剤組成物。
【請求項4】
請求項1または2に記載の酸化防止剤組成物が添加された加熱調理用の食用油脂であって、前記酸化防止剤組成物と食用油脂との合計100質量部中に、前記酸化防止剤組成物を0.01質量部以上30質量部以下含有する加熱調理用の食用油脂。
【請求項5】
請求項3に記載の酸化防止剤組成物が添加された加熱調理用の食用油脂であって、前記酸化防止剤組成物と食用油脂との合計100質量部中に、前記酸化防止剤組成物を0.01質量部以上30質量部以下含有する加熱調理用の食用油脂。
【請求項6】
請求項1または2に記載の酸化防止剤組成物が添加された非加熱調理用の食用油脂であって、前記酸化防止剤組成物と食用油脂との合計100質量部中に、前記酸化防止剤組成物を0.01質量部以上30質量部以下含有する非加熱調理用の食用油脂。
【請求項7】
請求項3に記載の酸化防止剤組成物が添加された非加熱調理用の食用油脂であって、前記酸化防止剤組成物と食用油脂との合計100質量部中に、前記酸化防止剤組成物を0.01質量部以上30質量部以下含有する非加熱調理用の食用油脂。