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特開2023-162574印刷システム、印刷制御装置、印刷制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162574
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】印刷システム、印刷制御装置、印刷制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20231101BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20231101BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231101BHJP
   G03G 21/02 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
G06F3/12 337
G06F3/12 303
G06F3/12 353
G06F3/12 373
G06F3/12 378
B41J29/00 Z
G03G21/00 396
G03G21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072996
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】平本 博嗣
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP10
2C061AR01
2C061CL10
2H270KA59
2H270KA62
2H270LB10
2H270MB30
2H270NA18
2H270NC03
2H270NC14
2H270ND03
2H270ND14
2H270ND28
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】在宅ワーク等において、費用管理されていない例えば個人所有のプリンタを利用した場合に、印刷費用の清算を行うことができる印刷システム、印刷制御装置、印刷制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】第1プリンタ4用の第1プリンタドライバ11を有する端末装置1と、端末装置と通信可能な印刷制御装置2を備えた印刷システムである。端末装置及び印刷制御装置の少なくとも一方は第2プリンタドライバ23を備え、印刷制御装置は、第1プリンタドライバで設定された印刷情報を受信し、受信した印刷情報を基に印刷費用を算出する費用算出手段21と、印刷情報を第2プリンタドライバへ引き継がせるとともに、印刷情報に従って第2プリンタ5による印刷が実行されるように第2プリンタドライバ23を制御する印刷制御手段22を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プリンタ用の第1プリンタドライバを有する端末装置と、この端末装置と通信可能な印刷制御装置とを備えた印刷システムであって、
前記端末装置及び印刷制御装置の少なくとも一方は第2プリンタドライバを備え、
前記印刷制御装置は、
前記第1プリンタドライバで作成された印刷に必要な印刷情報を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した印刷情報を基に印刷費用を算出する費用算出手段と、
前記印刷情報を前記第2プリンタドライバへ引き継がせるとともに、前記印刷情報に従って第2プリンタによる印刷が実行されるように前記第2プリンタドライバを制御する印刷制御手段と、
を備えたことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記印刷制御手段は、前記印刷情報から画像データに反映させる設定を抽出するデータ反映設定抽出手段と、データ反映設定抽出手段で抽出された設定を基に画像データを作成する画像データ作成手段を有し、前記画像データ作成手段で作成された画像データを前記第2プリンタドライバへ引き継がせる請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記印刷制御手段は、前記印刷情報から画像データに反映しない印刷設定を抽出する印刷設定抽出手段を有し、印刷設定抽出手段で抽出された印刷設定を前記第2プリンタドライバへ引き継がせる請求項1に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記画像データ作成手段で作成された画像データはイメージデータであり、イメージ印刷アプリケーションを用いて第2プリンタドライバによる印刷を実行させる請求項2に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記印刷制御手段は、前記印刷設定をロボティックプロセスオートメーションにより第2のプリンタドライバへ引き継がせる請求項3に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記印刷制御手段は、前記印刷情報から画像データに反映しない印刷設定を抽出する印刷設定抽出手段を有し、前記画像データ作成手段で作成された画像データと前記印刷設定抽出手段で抽出された印刷設定を基にロボティックプロセスオートメーションにより第2プリンタドライバによる印刷を制御する請求項3に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記費用算出手段は、印刷費用の費用結果を前記端末装置に送信する請求項1に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記費用算出手段は、第1プリンタドライバにより第1プリンタに印刷する場合の印刷費用と、第2プリンタドライバにより第2プリンタに印刷する場合の印刷費用を比較し、算出費用を補正する請求項1に記載の印刷システム。
【請求項9】
前記費用算出手段は、印刷前の算出費用と印刷後の算出費用を比較し差異があった場合に費用情報を更新する請求項1に記載の印刷システム。
【請求項10】
前記第1プリンタドライバは、費用精算するか否かを切り替えるモードを有している請求項1に記載の印刷システム。
【請求項11】
前記第1プリンタドライバは、印刷先のプリンタを指定可能な機能を有している請求項1に記載の印刷システム。
【請求項12】
前記第1プリンタドライバは前記第2プリンタドライバで設定可能な印刷設定情報を取得するとともに、取得した印刷設定情報以外の印刷設定に制限をかける請求項1に記載の印刷システム。
【請求項13】
前記第2プリンタドライバの製造者は前記第1プリンタドライバの製造者と異なる請求項1に記載の印刷システム。
【請求項14】
前記第2プリンタドライバは、予め登録されたIPPプリンタドライバである請求項1に記載の印刷システム。
【請求項15】
前記費用算出手段で算出した結果を基に費用請求先へ費用を支払う支払い手段を備えている請求項1に記載の印刷システム。
【請求項16】
第1プリンタ用の第1プリンタドライバを有する端末装置から、第1プリンタドライバで作成された印刷に必要な印刷情報を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信された印刷情報を基に印刷費用を算出する費用算出手段と、
前記印刷情報を第2プリンタドライバへ引き継がせるとともに、前記印刷情報に従って第2プリンタによる印刷が実行されるように前記第2プリンタドライバを制御する印刷制御手段と、
を備えたことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項17】
第1プリンタ用の第1プリンタドライバを有する端末装置から、第1プリンタドライバで作成された印刷に必要な印刷情報を受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信された印刷情報を基に印刷費用を算出する費用算出ステップと、
前記印刷情報を第2プリンタドライバへ引き継がせるとともに、前記印刷情報に従って第2プリンタによる印刷が実行されるように前記第2プリンタドライバを制御する印刷制御ステップと、
を含む印刷制御方法。
【請求項18】
第1プリンタ用の第1プリンタドライバを有する端末装置から、第1プリンタドライバで設定された印刷情報を受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信された印刷情報を基に印刷費用を算出する費用算出ステップと、
前記印刷情報を第2プリンタドライバへ引き継がせるとともに、前記印刷情報に従って第2プリンタによる印刷が実行されるように前記第2プリンタドライバを制御する印刷制御ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば個人所有のプリンタ等のように、印刷費用の管理対象ではないプリンタで印刷を行う場合でも印刷費用の清算が可能な印刷システム、印刷制御装置、印刷制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、在宅ワークという働き方が広まってきている。在宅ワークで使用するパーソナルコンピュータ(以下PCともいう)は会社側から付与されることが多いが、プリンタは自宅にある個人所有のものを利用する場合が多い。
【0003】
職場でプリンタを利用する場合は、トナー代などの印刷費用は会社で管理されており会社負担である。一方、自宅のプリンタは元々個人利用を想定して購入しており、利用するインクも個人が支払っているのが一般的である。その場合、在宅ワークでプリンタを利用するとインク代は自費となってしまう。また、利用後に会社へ費用請求する方法も考えられるが正確性に欠けるという問題がある。
【0004】
なお、特許文献1には、利用者から印刷指示があると、画像形成装置は業務文書判定システムに対して印刷すべき文書が業務用か否かの判定を依頼し、業務文書判定システムは、テンプレートや画像、単語に基づき業務用か否かを判定し、業務用である場合には印刷して会社に課金し、私用と判定された場合、表示部に警告を表示し、利用者に業務用か私用かを選択指示させる一方、業務用と判定され、かつ利用者が業務用を選択指示した場合、文書格納サーバーに当該ページを格納して管理者端末に通知する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、制御モジュールによる制御の下、機能特定モジュールは、画像形成装置の複数の機能の中から指定機能を特定し、指定機能が「Photo Print機能」である場合には、個人特定モジュールが個人IDを特定し、業務/私用区分特定モジュールが業務/私用区分を特定し、時間帯判定モジュールが時間帯を判定し、この結果に応じて、画像読出しモジュールは、画像データを読み出し、画像形成指示モジュールは、その画像データに基づく画像形成を指示し、履歴記録モジュールは、画像形成の履歴を記録し、課金モジュールは、私用の場合は個人に、それ以外の場合は部門に課金する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-207344号公報
【特許文献2】特開2005-111948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1および2に記載の技術では、印刷が業務用かどうかを判断することはできるものの、業務用の印刷を費用管理されていない例えば個人所有のプリンタで行った場合に、印刷費用の清算を可能にすることは記載されていない。
【0008】
この発明は、在宅ワーク等において、費用管理されていない例えば個人所有のプリンタを利用した場合に、印刷費用の清算を行うことができる印刷システム、印刷制御装置、印刷制御方法及びプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は以下の手段によって達成される。
(1)第1プリンタ用の第1プリンタドライバを有する端末装置と、この端末装置と通信可能な印刷制御装置とを備えた印刷システムであって、
前記端末装置及び印刷制御装置の少なくとも一方は第2プリンタドライバを備え、
前記印刷制御装置は、
前記第1プリンタドライバで作成された印刷に必要な印刷情報を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した印刷情報を基に印刷費用を算出する費用算出手段と、
前記印刷情報を前記第2プリンタドライバへ引き継がせるとともに、前記印刷情報に従って第2プリンタによる印刷が実行されるように前記第2プリンタドライバを制御する印刷制御手段と、
を備えたことを特徴とする印刷システム。
(2)前記印刷制御手段は、前記印刷情報から画像データに反映させる設定を抽出するデータ反映設定抽出手段と、データ反映設定抽出手段で抽出された設定を基に画像データを作成する画像データ作成手段を有し、前記画像データ作成手段で作成された画像データを前記第2プリンタドライバへ引き継がせる前項1に記載の印刷システム。
(3)前記印刷制御手段は、前記印刷情報から画像データに反映しない印刷設定を抽出する印刷設定抽出手段を有し、印刷設定抽出手段で抽出された印刷設定を前記第2プリンタドライバへ引き継がせる前項1に記載の印刷システム。
(4)前記画像データ作成手段で作成された画像データはイメージデータであり、イメージ印刷アプリケーションを用いて第2プリンタドライバによる印刷を実行させる前項2に記載の印刷システム。
(5)前記印刷制御手段は、前記印刷設定をロボティックプロセスオートメーションにより第2のプリンタドライバへ引き継がせる前項3に記載の印刷システム。
(6)前記印刷制御手段は、前記印刷情報から画像データに反映しない印刷設定を抽出する印刷設定抽出手段を有し、前記画像データ作成手段で作成された画像データと前記印刷設定抽出手段で抽出された印刷設定を基にロボティックプロセスオートメーションにより第2プリンタドライバによる印刷を制御する前項3に記載の印刷システム。
(7)前記費用算出手段は、印刷費用の費用結果を前記端末装置に送信する前項1に記載の印刷システム。
(8)前記費用算出手段は、第1プリンタドライバにより第1プリンタに印刷する場合の印刷費用と、第2プリンタドライバにより第2プリンタに印刷する場合の印刷費用を比較し、算出費用を補正する前項1に記載の印刷システム。
(9)前記費用算出手段は、印刷前の算出費用と印刷後の算出費用を比較し差異があった場合に費用情報を更新する前項1に記載の印刷システム。
(10)前記第1プリンタドライバは、費用精算するか否かを切り替えるモードを有している前項1に記載の印刷システム。
(11)前記第1プリンタドライバは、印刷先のプリンタを指定可能な機能を有している前項1に記載の印刷システム。
(12)前記第1プリンタドライバは前記第2プリンタドライバで設定可能な印刷設定情報を取得するとともに、取得した印刷設定情報以外の印刷設定に制限をかける前項1に記載の印刷システム。
(13)前記第2プリンタドライバの製造者は前記第1プリンタドライバの製造者と異なる前項1に記載の印刷システム。
(14)前記第2プリンタドライバは、予め登録されたIPPプリンタドライバである前項1に記載の印刷システム。
(15)前記費用算出手段で算出した結果を基に費用請求先へ費用を支払う支払い手段を備えている前項1に記載の印刷システム。
(16)第1プリンタ用の第1プリンタドライバを有する端末装置から、第1プリンタドライバで作成された印刷に必要な印刷情報を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信された印刷情報を基に印刷費用を算出する費用算出手段と、
前記印刷情報を第2プリンタドライバへ引き継がせるとともに、前記印刷情報に従って第2プリンタによる印刷が実行されるように前記第2プリンタドライバを制御する印刷制御手段と、
を備えたことを特徴とする印刷制御装置。
(17)第1プリンタ用の第1プリンタドライバを有する端末装置から、第1プリンタドライバで作成された印刷に必要な印刷情報を受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信された印刷情報を基に印刷費用を算出する費用算出ステップと、
前記印刷情報を第2プリンタドライバへ引き継がせるとともに、前記印刷情報に従って第2プリンタによる印刷が実行されるように前記第2プリンタドライバを制御する印刷制御ステップと、
を含む印刷制御方法。
(18)第1プリンタ用の第1プリンタドライバを有する端末装置から、第1プリンタドライバで設定された印刷情報を受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信された印刷情報を基に印刷費用を算出する費用算出ステップと、
前記印刷情報を第2プリンタドライバへ引き継がせるとともに、前記印刷情報に従って第2プリンタによる印刷が実行されるように前記第2プリンタドライバを制御する印刷制御ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る印刷システム、印刷制御装置及び印刷制御方法によれば、例えば在宅ワークを行っているユーザー等が端末装置にインストールされている第1プリンタ用の第1プリンタドライバを使用して印刷に必要な印刷情報を作成し、印刷制御装置へ送信すると、印刷制御装置は印刷情報を受信するとともに、受信した印刷情報を基に印刷費用を算出する。印刷情報は第2プリンタドライバに引き継がれ、印刷情報に従って、例えば在宅ユーザーの近くにある第2プリンタによる印刷が実行されるように、第2プリンタドライバが制御される。
【0011】
つまり、第1プリンタドライバを利用して費用の算出を行ったのち、印刷情報を第2プリンタドライバに引き継いで、第2プリンタで印刷が実行されるから、第2のプリンタが例えば個人所有のプリンタであっても第2のプリンタでの印刷に対して費用を精算することができる。
【0012】
この発明に係るプログラムによれば、第1プリンタ用の第1プリンタドライバを有する端末装置から、第1プリンタドライバで設定された印刷情報を受信する受信ステップと、受信ステップで受信された印刷情報を基に印刷費用を算出する費用算出ステップと、印刷情報を第2プリンタドライバへ引き継がせるとともに、印刷情報に従って第2プリンタによる印刷が実行されるように第2プリンタドライバを制御する印刷制御ステップを、コンピュータに実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の一実施形態に係る印刷システムの構成を示すブロック図である。
図2】第1プリンタドライバによる印刷設定画面の一例を示す図である。
図3】印刷費用の算出結果を示す画面図である。
図4】印刷結果申告の画面図である。
図5】印刷制御装置の動作を示すフローチャートである。
図6】端末装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1はこの発明の一実施形態に係る印刷システムの構成を示すブロック図である。この印刷システムは、端末装置1と、印刷制御装置2と、社内経理システム3と、第1プリンタ4と、第2プリンタ5等を備えている。
【0016】
端末装置1はPCからなり、印刷者が在宅ワークを行う自宅等で使用するものである。この実施形態では、限定はされないが、端末装置1は会社等から貸与されたものであり、社内に配置されている第1プリンタ4を印刷制御するための第1プリンタドライバ11がインストールされている。
【0017】
第1プリンタドライバ11は、機能的に、費用精算モード設定部111と、印刷先設定部112と、印刷設定制御部113を備えている。
【0018】
費用精算モード設定部111は、費用精算モードと費用精算を行わない通常のモードを切り替えるものであり、印刷者が第2プリンタ5を業務使用したい場合に、印刷者の指示に基づいて費用精算モードを設定する。印刷先設定部112は、印刷先のプリンタを設定するものであり、例えば第1プリンタ4と第2プリンタ4を設定できる。印刷設定制御部113は、印刷者の指示に基づいて、印刷対象データの指定、印刷枚数、印刷部数、カラーかモノクロか等の印刷設定、印刷先設定部112で設定された印刷先の情報等を含む、印刷ジョブの実行に必要な印刷情報の作成を行う。
【0019】
印刷制御装置2は会社内に設置されたPCやサーバーからなる。あるいは会社外に設置されたサーバー(クラウドサーバーを含む)であっても良い。この印刷制御装置2は、図示しない通信インターフェースを備え、端末装置1と社内経理システム3と第1プリンタ4と第2プリンタ5の間でネットワークを介して相互に通信可能となっている。
【0020】
印刷制御装置2は、在宅ワークを行っている印刷者が第2プリンタ5で印刷を行うときに費用を算出する役割を果たすものであり、費用算出部21と、印刷制御部22と、第2プリンタドライバ23等を備えている。なお、第2プリンタ5は印刷者が個人所有するプリンタである。
【0021】
費用算出部21は、端末装置1から送信された印刷対象データ及び印刷設定等を含む上記の印刷情報を受信し、費用精算モードがオンのときは印刷情報を基に印刷費用を算出する。費用算出部21は、費用対比部211と、費用結果送付部212と、印刷結果反映部213を備えている。
【0022】
費用対比部211は、端末装置1から送信された印刷情報を基に費用算出部21が算出した印刷費用と、第2プリンタ5で印刷するときの印刷費用を対比して、算出費用の補正を行う。第2プリンタ5で印刷するときの印刷費用は、第2プリンタ5を含む各種のプリンタのインク等の消耗品の情報をテーブルとして保持しておくことで演算するか、端末装置1等から送付された第2プリンタ5の消耗品情報を基に演算しても良い。
【0023】
費用結果送付部212は、印刷費用の算出結果を端末装置1に送付する。
【0024】
印刷結果反映部213は、印刷結果を端末装置1に報告するとともに、端末装置1を介して印刷者から印刷費用の補正申告を受領したときは、補正申告に基づいて印刷費用を再度算出し、印刷前の算出費用と印刷後の算出費用を比較して印刷費用を更新する。補正申告は、例えば用紙ジャム等の不具合が発生したために当初の印刷枚数等と異なっていたために費用が増加した場合等に行われる。
【0025】
印刷制御部22は、費用算出部21で算出された印刷費用に対して印刷者による了承判断が得られた場合、第2プリンタ5で印刷が実行されるように第2プリンタドライバ23を制御するものであり、データ反映設定抽出部221と、画像データ作成部222と、印刷設定抽出部223と、印刷設定反映部224を有している。
【0026】
データ反映設定抽出部221は、端末装置1から送信された印刷情報から画像データに反映させる設定を抽出し、画像データ作成部222は、データ反映設定抽出部221で抽出された設定を基に画像データ61を作成する。さらに、作成された画像データ61を第2プリンタドライバ23へ引き継がせ、画像データ61と後述する印刷設定抽出部223で抽出された印刷設定62に基づく印刷を第2プリンタ5に指示する。この実施形態では、画像データ作成部222で作成される画像データ61はイメージデータ(ビットマップデータ)であり、イメージを印刷できる例えばペイントアプリケーション(以下、アプリケーションを単にアプリともいう)等のイメージ印刷アプリ63を用いての印刷を指示する。
【0027】
印刷設定抽出部223は、端末装置1から送信された印刷情報から画像データに反映しない印刷設定を抽出し、印刷設定反映部224は、印刷設定抽出部223で抽出された印刷設定62を第2プリンタドライバ23へ引き継がせる。
【0028】
第2プリンタドライバ23への画像データや印刷設定の引き継ぎ及び印刷指示は、ロボティックプロセスオートメーション(RPA:Robotic Process Automation)を利用して自動的に行われる。
【0029】
第2プリンタドライバ23は第2プリンタ5を制御するものであり、第1プリンタドライバ11とは異なる製造者によって製造されたものである。この実施形態では、第1プリンタ4及び第1プリンタドライバ11が印刷者の所属する自社製であるのに対し、第2プリンタ5は他社製であり、第2プリンタドライバ23も第2プリンタ5と同じメーカーあるいは異なるメーカーによる他社製である。
【0030】
この第2プリンタドライバ23は、IPP(Internet Printing Protocol)プリンタドライバであるIPPクラスドライバによって構成されている。
【0031】
第2プリンタ5は例えば印刷者個人の所有プリンタであり、在宅ワークを行っている印刷者の近傍に存在している。
【0032】
社内経理システム3は印刷者が第2プリンタ5で印刷を行った場合に発生し費用算出部21で算出された費用を清算するシステムである。費用の精算は例えば印刷者の個人口座への費用支払いなどによって行われる。
【0033】
次に、図1に示した印刷システムの動作を説明する。
(1)印刷者は端末装置1において、印刷したいデータをアプリで開き、第1プリンタドライバ11の印刷設定画面を開く。
【0034】
図2に第1プリンタドライバ11の印刷設定画面において「その他」タブを選択したときの画面G1を示す。この設定画面G1では、「費用清算モードで印刷する」ボタン71があり、このボタン71のチェックボックスをチェックすることで費用清算モードが設定される(オンになる)。
【0035】
また、「印刷可能プリンタを検索」ボタン72を選択し、プルダウン表示される印刷可能プリンタからプリンタを検索し印刷先として設定したのち、用紙サイズ、カラー/モノクロ、部数などの印刷設定を行う。この例では印刷先として第2プリンタを設定する。
【0036】
この時、「印刷先で設定できる印刷設定に制限する」ボタン73をオンにしておくと、印刷先で設定できる印刷設定以外はグレーアウト表示され印刷設定ができないように制限される。例えば第2プリンタ5を印刷先に設定した場合、端末装置1は印刷制御装置2から第2プリンタドライバ23で規定されている設定可能な印刷設定についての情報を取得し(図1の矢印A10)、この取得した情報を基に第2プリンタ5で設定できる印刷設定以外はグレーアウト表示される。
【0037】
「OK」ボタン74を選択してプロパティを閉じ印刷を指示すると、印刷設定、印刷対象データ、印刷先を含む印刷情報が、印刷制御装置2に送信される(図1の矢印A1)。
【0038】
印刷制御装置2は、端末装置1から受信した印刷情報を、費用算出部21と印刷制御部22に転送する。
【0039】
「費用精算モードで印刷する」ボタン71をオフに設定するとともに、印刷先を第1プリンタ4に設定して「OK」ボタン74を選択して印刷を指示すると、印刷制御装置2は通常どおり第1プリンタ4での印刷を実行させる(図1の矢印A3)。この場合は、費用算出部21での印刷費用の算出は行われない。また、第1プリンタドライバ11から直接に第1プリンタ4に印刷指示を行っても良い(図1の矢印A7)。
(2)費用算出部21には費用算出の基準である第1プリンタ4と同じ画像処理機能が搭載されており、転送されてきた印刷情報を基に画像処理を実行することにより、印刷費用を算出する。算出後、費用算出部21の費用結果送付部212が、算出された印刷費用を端末装置1に送信する(図1の矢印A2)。なお、電子メール等により印刷費用を印刷者に通知しても良い。
【0040】
第1プリンタ4と実際に印刷する第2プリンタ5では消耗品の違いにより印刷費用が異なる。費用対比部211に第1プリンタ4と第2プリンタ5の対比情報を予め登録しておき、算出した費用を補正することでより正確な費用算出を行うことも出来る。対比情報にはトナーや紙種等の違いを盛り込んでも良い。
(3)費用算出部21から端末装置1に送信された費用算出結果を、図3の画面G2に示す。この画面G2では、印刷物についての情報81として用紙サイズ、カラー/モノクロ、印刷ページ数の情報が表示され、さらに印刷先のプリンタ名82及び印刷費用83が、「この内容で印刷しますか?」というメッセージ84と共に表示されている。印刷設定の変更は出来ない。
【0041】
図3の画面G2において、印刷者が「OK」ボタン85を選択すると、印刷指示が端末装置1から印刷制御装置2の費用算出部21へ送られ(図1の矢印A2)、さらに費用算出部21から印刷制御部22へ送られる。キャンセルボタン86を選択すると、印刷は中止される。
(4)印刷制御部22は、第1プリンタドライバ11で作成された印刷情報をもとに、データ反映設定抽出部221で画像データに反映する設定を抽出し、画像データ作成部222で画像データ(ビットマップ)61を作成する。
(5)印刷設定抽出部223は、画像データに反映しない印刷設定62を抽出し、印刷設定反映部224でRPAスクリプトにより、予め登録された第2プリンタドライバ23へ印刷設定62を引き継ぐ(図1の矢印A4)。
(6)費用算出部21から印刷指示を受けた印刷制御部22は、RPAスクリプトにより、ペイントアプリ63を起動して画像データ(ビットマップ)を開くとともに、第2プリンタドライバ23に印刷を指示し(図1の矢印A5)、第2プリンタ5を制御して印刷を実行させる(図1の矢印A6)。
(7)印刷と同時に費用算出部21から端末装置1へ印刷結果申告画面データが送信され(図1の矢印A8)、端末装置1は図4に示す印刷結果申告画面G3を表示する。この印刷結果申告画面G3では、印刷物についての情報91として用紙サイズ、カラー/モノクロ、印刷ページ数の情報が表示され、さらに印刷先のプリンタ名92及び印刷費用93が、「この内容で印刷されましたか?」「異なる場合は修正してください。」というメッセージ94と共に表示されている。
【0042】
印刷者は用紙ジャムなどで実際の印刷枚数に違いが生じた場合などに、用紙サイズ、カラー/モノクロ、印刷ページ数等について修正を行ったのち「OK」ボタン95を選択すると、修正後の情報が費用算出部21に送付される(図1の矢印A8)。修正がない場合は「OK」ボタン95の選択により、そのままの情報が送付される。
【0043】
修正があった場合、費用算出部21の印刷結果反映部213は、修正後の印刷情報を基に、印刷費用を補正する。このため、より正確な費用精算を行うことが出来る。
【0044】
なお、第2プリンタ5に印刷完了通知機能がある場合は、印刷完了通知の情報をもとに自動的に印刷費用を補正する構成とすることも可能である。
(8)最終的な印刷費用の情報は、費用算出部21から社内経理システム3に送信され、社内処理手順に従って印刷者へ支払われる。
【0045】
このように、この実施形態では、例えば在宅ワークしているユーザー等が端末装置1にインストールされている第1プリンタ4用の第1プリンタドライバ11を使用して印刷情報を作成し、印刷情報を印刷制御装置2へ送信すると、印刷制御装置2は印刷情報を受信するとともに、受信した印刷情報を基に印刷費用を算出する。印刷情報は第2プリンタドライバ23に引き継がれ、印刷情報に従って、例えば在宅ユーザーの近くにある第2プリンタ5による印刷が実行されるように、第2プリンタドライバ5が制御される。
【0046】
つまり、第1プリンタドライバ11を利用して費用の算出を行ったのち、印刷情報を第2プリンタドライバ23に引き継いで、第2プリンタ5で印刷が実行されるから、第2プリンタ5が例えば個人所有のプリンタであっても第2プリンタ5での印刷費用を精算することができる。
【0047】
図5は印刷制御装置2の動作を示すフローチャートである。この動作は印刷制御装置2のCPU等のプロセッサが図示しない記憶装置に格納された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0048】
ステップS01で端末装置1から印刷情報を受信し、ステップS02で費用精算モードがオンかどうかを調べる。費用精算モードがオンでなければ(ステップS02でNO)、ステップS14で第1プリンタドライバ11(第1プリンタ4)で印刷を行い、処理を終了する。
【0049】
費用精算モードがオンであれば(ステップS02でYES)、ステップS03で印刷情報を基に印刷費用を算出したのち、ステップS04で、費用を端末装置1に送付し印刷者に提示する。算出された印刷費用と第2プリンタ5で印刷するときの印刷費用を対比して、算出費用の補正を行っても良い。
【0050】
次にステップS05で、端末装置1を介してこの費用で印刷することについて了承が得られたかどうかを判断し、得られた場合は(ステップS05でYES)、ステップS06に進む。得られなかった場合は(ステップS05でNO)、ステップS15で印刷をキャンセルし、処理を終了する。
【0051】
ステップS06では、印刷情報を、画像データに反映する情報と印刷設定に反映する情報に分離した後、ステップS07で、画像データに反映する情報から画像データを作成し、ステップS08では、印刷設定を第2プリンタドライバ23に引き継ぐ。
【0052】
ステップS09では、画像データをペイントアプリで印刷設定に従って印刷するように、第2プリンタドライバ23を制御し印刷を実行させる。
【0053】
ステップS10では印刷結果を端末装置1に送信し、ステップS11で端末装置1からの補正申告の有無を判断する。補正申告があれば(ステップS11でYES)、ステップS12で印刷費用を補正した後、ステップS13に進む。補正申告がなければ(ステップS11でNO)、そのままステップS13に進む。
【0054】
ステップS13では、社内経理システム3に印刷費用の支払いを指示して処理を終了する。
【0055】
図6は端末装置1の動作を示すフローチャートである。この動作は端末装置1のCPU等のプロセッサが図示しない記憶装置に格納された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0056】
ステップS21では費用精算モードボタン71が選択されているかどうかを調べ、選択されていれば(ステップS21でYES)、ステップS22で費用精算モードをオンにしたのち、ステップS23に進む。費用精算モードボタン71が選択されていなければ(ステップS21でNO)、そのままステップS23に進む。
【0057】
ステップS23では、印刷者による印刷対象データの指定、印刷先の設定、印刷設定等を受け付け、ステップS24で印刷設定等が終了したかどうかを判断する。終了していなければ(ステップS24でNO)、ステップS23に戻り印刷設定等の受け付けを続ける。
【0058】
印刷設定等が終了すると(ステップS24でYES)、ステップS25で、印刷情報を印刷制御装置2に送信したのち、ステップS26で、印刷費用の算出結果を受信したかどうかを調べる。受信しない場合(ステップS26でNO)、ステップS26に留まり算出結果の受信を待つ。
【0059】
受信すると(ステップS26でYES)、ステップS27で、ユーザーが算出結果を了承したかどうかを、図3の画面の「OK」ボタン85が選択されたか、または「キャンセル」ボタン86が選択されたかにより判断する。了承しなかった場合(「キャンセル」ボタン86が選択された場合)(ステップS27でNO)、ステップS28で「不可」を送信して処理を終了する。この場合、印刷制御装置2は印刷をキャンセルする。
【0060】
了承した場合(「OK」ボタン85が選択された場合)(ステップS27でYES)、ステップS29で、印刷制御装置2に「了承」を送信し、ステップS30で印刷制御装置2から印刷結果を受信したかどうかを調べる。受信しない場合(ステップS30でNO)、ステップS30に留まり印刷結果の受信を待つ。
【0061】
受信すると(ステップS30でYES)、ステップS31で、図4の印刷結果申告画面G3において印刷者による費用等の修正がなされたかどうかを調べる。修正がなされた場合は(ステップS31でYES)、ステップS32で補正申告を印刷制御装置に送信して、処理を終了する。修正がなされなかった場合は(ステップS31でNO)、ステップS33で補正なしを印刷制御装置2に送信して、処理を終了する。
【0062】
以上、本発明の一実施形態を説明したが本発明は上記実施形態に限定されることはない。例えば、第2プリンタドライバ23が印刷制御装置2に備えられている場合を示したが、端末装置1に備えられていても良く、少なくとも何れかに備えられていれば良い。端末装置1に備えられている場合、印刷制御装置2から端末装置1への指示に基づいて、第2プリンタドライバ23が動作することになる。
【符号の説明】
【0063】
1 端末装置
2 印刷制御装置
3 社内経理システム
4 第1プリンタ
5 第2プリンタ
11 第1プリンタドライバ
21 費用算出部
22 印刷制御部
23 第2プリンタドライバ
61 画像データ
62 印刷設定
63 ペイントアプリ
111 費用精算モード設定部
112 印刷先設定部
113 印刷設定制御部
211 費用対比部
212 費用結果送付部
213 印刷結果反映部
221 データ反映設定抽出部
222 画像データ作成部
223 印刷設定抽出部
224 印刷設定反映部
図1
図2
図3
図4
図5
図6