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特開2023-162575カウンターライン設定装置、カウンターライン設定方法、プログラムおよび記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162575
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】カウンターライン設定装置、カウンターライン設定方法、プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20231101BHJP
   G06V 20/54 20220101ALI20231101BHJP
   G08G 1/04 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
G06T7/00 650B
G06V20/54
G08G1/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072998
(22)【出願日】2022-04-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 一般社団法人情報処理学会 第189回マルチメディア通信と分散処理研究発表会 情報処理学会研究報告書 Vol.2021-DPS-189 No.14 「MOTを用いた交差点における交通量調査のカウンターラインの最適化手法の提案」 令和3年12月13日
(71)【出願人】
【識別番号】593165487
【氏名又は名称】学校法人金沢工業大学
(71)【出願人】
【識別番号】519368345
【氏名又は名称】株式会社日本海コンサルタント
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】中沢 実
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 魁
(72)【発明者】
【氏名】中野 勝章
(72)【発明者】
【氏名】小間井 孝吉
(72)【発明者】
【氏名】橋本 隆司
(72)【発明者】
【氏名】山崎 茂和
【テーマコード(参考)】
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC04
5H181DD02
5L096AA06
5L096BA04
5L096CA04
5L096DA02
5L096FA69
5L096HA03
(57)【要約】
【課題】道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを正確に自動設定する。
【解決手段】カウンターライン設定装置は、乗り物等の軌跡の集合を取得するトラッキングデータ取得部と、第1カウンターライン候補を設定する第1候補設定部と、第1評価指標に基づいて第1カウンターライン候補の中から第2カウンターライン候補を選定する第2候補選定部と、第2評価指標に基づいて第2カウンターライン候補の中からカウンターラインを決定するカウンターライン決定部と、を備える。第1評価指標は、第1カウンターライン候補上を通過した軌跡の数から、当該軌跡が当該第1カウンターライン候補上を重複して通過した回数を引いた数が多いものを第2カウンターライン候補として選定する。第2評価指標は、トラッキングデータの実測数と、第2カウンターライン候補におけるカウント数との相違が最小となるものをカウンターラインとして決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを設定する装置であって、
当該道路を通過した乗り物または人の軌跡の集合をトラッキングデータとして取得するトラッキングデータ取得部と、
複数本の第1カウンターライン候補を設定する第1候補設定部と、
第1評価指標に基づいて、前記第1カウンターライン候補の中から複数本の第2カウンターライン候補を選定する第2候補選定部と、
第2評価指標に基づいて、前記第2カウンターライン候補の中から1本のカウンターラインを決定するカウンターライン決定部と、を備え、
前記第1評価指標は、前記第1カウンターライン候補上を通過した軌跡の数から、当該軌跡が当該第1カウンターライン候補上を重複して通過した回数を引いた数が多いものを第2カウンターライン候補として選定するものであり、
前記第2評価指標は、前記トラッキングデータの実測数と、前記第2カウンターライン候補におけるカウント数との相違が最小となるものをカウンターラインとして決定するものであることを特徴とするカウンターライン設定装置。
【請求項2】
前記カウンターラインは、少なくとも3本以上の道路が交差する交差点の各道路に引かれることを特徴とする請求項1に記載のカウンターライン設定装置。
【請求項3】
【数1】
であり、
【数2】
であることを特徴とする請求項1または2に記載のカウンターライン設定装置。
【請求項4】
前記第1候補設定部は、ランダムサーチで探索を行うことにより前記第1カウンターライン候補を設定することを特徴とする請求項1または2に記載のカウンターライン設定装置。
【請求項5】
前記ランダムサーチにおけるパラメータは、前記道路内における中心座標および0度以上180度未満の角度であることを特徴とする請求項4に記載のカウンターライン設定装置。
【請求項6】
前記第1カウンターライン候補は50000本以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のカウンターライン設定装置。
【請求項7】
前記第2カウンターライン候補は10本以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のカウンターライン設定装置。
【請求項8】
前記トラッキングデータ取得部が取得したトラッキングデータの中から、不要な軌跡の集合を除去する前処理部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載のカウンターライン設定装置。
【請求項9】
前記前処理部は、所定の長さ以下のフレームにのみ含まれるトラッキングデータを選択して削除することを特徴とする請求項8に記載のカウンターライン設定装置。
【請求項10】
前記トラッキングデータ取得部は、MOTを利用してトラッキングデータを取得することを特徴とする請求項1または2に記載のカウンターライン設定装置。
【請求項11】
トラッキングデータ取得部と、第1候補設定部と、第2候補選定部と、カウンターライン決定部と、を備えた装置を用いて、道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを設定する方法であって、
トラッキングデータ取得部を用いて、当該道路を通過した乗り物または人の軌跡の集合をトラッキングデータとして取得するステップと、
第1候補設定部を用いて、複数の第1カウンターライン候補を設定するステップと、
第2候補選定部を用いて、第1評価指標に基づいて、前記第1カウンターライン候補の中から複数の第2カウンターライン候補を選定するステップと、
カウンターライン決定部を用いて、第2評価指標に基づいて、前記第2カウンターライン候補の中から1本のカウンターラインを決定するステップと、を含み、
前記第1評価指標は、前記第1カウンターライン候補上を通過した軌跡の数から、当該軌跡が当該第1カウンターライン候補上を重複して通過した回数を引いた数が多いものを第2カウンターライン候補として選定するものであり、
前記第2評価指標は、前記トラッキングデータの実測数と、前記第2カウンターライン候補におけるカウント数との相違が最小となるものをカウンターラインとして決定するものであることを特徴とするカウンターライン設定方法。
【請求項12】
道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを設定するコンピュータプログラムであって、
当該道路を通過した乗り物または人の軌跡の集合をトラッキングデータとして取得するステップと、
複数の第1カウンターライン候補を設定するステップと、
第1評価指標に基づいて、前記第1カウンターライン候補の中から複数の第2カウンターライン候補を選定するステップと、
第2評価指標に基づいて、前記第2カウンターライン候補の中から1本のカウンターラインを決定するステップと、をコンピュータに実行させ、
前記第1評価指標は、前記第1カウンターライン候補上を通過した軌跡の数から、当該軌跡が当該第1カウンターライン候補上を重複して通過した回数を引いた数が多いものを第2カウンターライン候補として選定するものであり、
前記第2評価指標は、前記トラッキングデータの実測数と、前記第2カウンターライン候補におけるカウント数との相違が最小となるものをカウンターラインとして決定するものであることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを設定するコンピュータプログラムを記録した記録媒体であって、
当該道路を通過した乗り物または人の軌跡の集合をトラッキングデータとして取得するステップと、
複数の第1カウンターライン候補を設定するステップと、
第1評価指標に基づいて、前記第1カウンターライン候補の中から複数の第2カウンターライン候補を選定するステップと、
第2評価指標に基づいて、前記第2カウンターライン候補の中から1本のカウンターラインを決定するステップと、をコンピュータに実行させ、
前記第1評価指標は、前記第1カウンターライン候補上を通過した軌跡の数から、当該軌跡が当該第1カウンターライン候補上を重複して通過した回数を引いた数が多いものを第2カウンターライン候補として選定するものであり、
前記第2評価指標は、前記トラッキングデータの実測数と、前記第2カウンターライン候補におけるカウント数との相違が最小となるものをカウンターラインとして決定するものであることを特徴とするプログラムを記録した記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カウンターライン設定装置、カウンターライン設定方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通量調査にAIを利用した車両検出および複数物体追跡(Multi Object Tracking、以下「MOT」ともいう)を応用する試みがされている。いくつかのツールが、こうしたMOTを利用した交通量調査のために開発されている(例えば、非特許文献1~4参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】OpenDataCam 3.0.2(登録商標)https://github.com/opendatacam/opendatacam
【非特許文献2】SCORER Traffic Counter(登録商標)https://www.scorer.jp/products/scorer-traffic-counter
【非特許文献3】ビューリーダー(登録商標)https://www.kotsu-chosa.com/vr-site/vr-top.html
【非特許文献4】簡単らくらく通行量分析(登録商標)https://www.chess-inc.com/odpt/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般交通量調査は、全国道路・街路交通調査の一環として、交通量や道路現況等を調査するものである。こうした調査は、道路の設置計画、建設、維持修繕等に関する基礎的情報を得ることを目的に実施される。また、マーケティング調査や商業施設の建築計画、管理等に関する情報収集を目的として、店舗やイベント会場での人流や客動線、あるいは駐車場入口付近における車の通行量が調査されることもある。こうした交通量調査やマーケティング調査においては、乗り物や人の通行量を正確かつ効率的にカウントすることが重要である。
【0005】
現状、このような交通量調査は、人手による計測が主流である。しかしながら、近年、コスト削減、業務効率化などの観点から、センサーやAIを用いた自動計測への要望が高まっている。さらに感染症拡大予防や安全性の観点からも、無人による交通量計測は重要な課題である。こうした課題に対し、既存のAIを利用した交通量調査サービスでは、車両の検出とMOTを行うとともに、車両通過の有無を判定するためのカウンターラインを道路上に設定し、通過台数をカウントすることが主流となっている。すなわち交通量の計測は、対象物体の追跡(トラッキング)だけでは足りず、軌跡と交差するようなカウンターラインを設定する必要がある。
【0006】
この場合、交通量調査の精度は、MOTのトラッキング性能に加えて、カウンターライン設定の巧拙にも大きく左右される。しかしながら、カウンターラインの設定は適切な自動化ができておらず、設定者の人手により行われるのが現状である。従って、得られる計測精度は、設定者の経験や勘、暗黙知などに依存する。その結果、
・計測結果が設定者によって異なる
・交差点等において正しい設定を実現するためには、カウンターラインを何度も引き直す必要がある
・人手による作業量が増える。
・妥当な精度がどの程度なのかが分からない。
といった課題が生じる。
【0007】
こうしたことから、道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインの設定を自動化し、正確かつ効率的な交通量計測を実現することが求められている。
【0008】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを正確に自動設定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のカウンターライン設定装置は、道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを設定する装置であって、当該道路を通過した乗り物または人の軌跡の集合をトラッキングデータとして取得するトラッキングデータ取得部と、複数本の第1カウンターライン候補を設定する第1候補設定部と、第1評価指標に基づいて、第1カウンターライン候補の中から複数本の第2カウンターライン候補を選定する第2候補選定部と、第2評価指標に基づいて、第2カウンターライン候補の中から1本のカウンターラインを決定するカウンターライン決定部と、を備える。第1評価指標は、第1カウンターライン候補上を通過した軌跡の数から、当該軌跡が当該第1カウンターライン候補上を重複して通過した回数を引いた数が多いものを第2カウンターライン候補として選定するものであり、第2評価指標は、トラッキングデータの実測数と、第2カウンターライン候補におけるカウント数との相違が最小となるものをカウンターラインとして決定するものである。
【0010】
この態様によると、道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを正確に自動設定する装置を実現することができる。
【0011】
ある実施の形態のカウンターライン設定装置では、カウンターラインは、少なくとも3本以上の道路が交差する交差点の各道路に引かれてもよい。
【0012】
ある実施の形態のカウンターライン設定装置では、
【数1】
であり、
【数2】
であってもよい。
【0013】
ある実施の形態のカウンターライン設定装置では、第1候補設定部は、ランダムサーチで探索を行うことにより第1カウンターライン候補を設定してもよい。
【0014】
ある実施の形態のカウンターライン設定装置では、ランダムサーチにおけるパラメータは、道路内における中心座標および0度以上180度未満の角度であってもよい。
【0015】
ある実施の形態のカウンターライン設定装置では、第1カウンターライン候補は50000本以上であってもよい。
【0016】
ある実施の形態のカウンターライン設定装置では、第2カウンターライン候補は10本以上であってもよい。
【0017】
ある実施の形態のカウンターライン設定装置は、トラッキングデータ取得部が取得したトラッキングデータの中から、不要な軌跡の集合を除去する前処理部をさらに備えてもよい。
【0018】
ある実施の形態のカウンターライン設定装置では、前処理部は、所定の長さ以下のフレームにのみ含まれるトラッキングデータを選択して削除してもよい。
【0019】
ある実施の形態のカウンターライン設定装置では、トラッキングデータ取得部は、MOTを利用してトラッキングデータを取得してもよい。
【0020】
本発明の別の態様は、トラッキングデータ取得部と、第1候補設定部と、第2候補選定部と、カウンターライン決定部と、を備えた装置を用いて、道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを設定する方法である。この方法は、トラッキングデータ取得部を用いて、当該道路を通過した乗り物または人の軌跡の集合をトラッキングデータとして取得するステップと、第1候補設定部を用いて、複数の第1カウンターライン候補を設定するステップと、第2候補選定部を用いて、第1評価指標に基づいて、第1カウンターライン候補の中から複数の第2カウンターライン候補を選定するステップと、カウンターライン決定部を用いて、第2評価指標に基づいて、第2カウンターライン候補の中から1本のカウンターラインを決定するステップと、を含む。第1評価指標は、第1カウンターライン候補上を通過した軌跡の数から、当該軌跡が当該第1カウンターライン候補上を重複して通過した回数を引いた数が多いものを第2カウンターライン候補として選定するものである。第2評価指標は、トラッキングデータの実測数と、第2カウンターライン候補におけるカウント数との相違が最小となるものをカウンターラインとして決定するものである。
【0021】
この態様によると、道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを正確に自動設定することができる。
【0022】
本発明のさらに別の態様は、道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを設定するコンピュータプログラムである。このプログラムは、当該道路を通過した乗り物または人の軌跡の集合をトラッキングデータとして取得するステップと、複数の第1カウンターライン候補を設定するステップと、第1評価指標に基づいて、第1カウンターライン候補の中から複数の第2カウンターライン候補を選定するステップと、第2評価指標に基づいて、第2カウンターライン候補の中から1本のカウンターラインを決定するステップと、をコンピュータに実行させる。第1評価指標は、第1カウンターライン候補上を通過した軌跡の数から、当該軌跡が当該第1カウンターライン候補上を重複して通過した回数を引いた数が多いものを第2カウンターライン候補として選定するものである。第2評価指標は、トラッキングデータの実測数と、第2カウンターライン候補におけるカウント数との相違が最小となるものをカウンターラインとして決定するものである。
【0023】
この態様によると、道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを正確に自動設定するプログラムをコンピュータで実行することができる。
【0024】
本発明のさらに別の態様は、道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを設定するコンピュータプログラムを記録した記録媒体である。このプログラムは、当該道路を通過した乗り物または人の軌跡の集合をトラッキングデータとして取得するステップと、複数の第1カウンターライン候補を設定するステップと、第1評価指標に基づいて、第1カウンターライン候補の中から複数の第2カウンターライン候補を選定するステップと、第2評価指標に基づいて、第2カウンターライン候補の中から1本のカウンターラインを決定するステップと、をコンピュータに実行させる。第1評価指標は、第1カウンターライン候補上を通過した軌跡の数から、当該軌跡が当該第1カウンターライン候補上を重複して通過した回数を引いた数が多いものを第2カウンターライン候補として選定するものである。第2評価指標は、トラッキングデータの実測数と、第2カウンターライン候補におけるカウント数との相違が最小となるものをカウンターラインとして決定するものである。
【0025】
この態様によると、道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを正確に自動設定するプログラムを記録媒体に記録することができる。
【0026】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。また、上述した各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれうる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを正確に自動設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1の実施の形態に係るカウンターライン設定装置の機能ブロック図である。
図2】Open Data Camを用いて取得したトラッキングデータの写真である。
図3】曲がった道路上を通過する1台の車の軌跡と、3本のカウンターライン候補と、を示す模式図である。
図4】3本の道路が交差する交差点の写真である。
図5図4の交差点において、10分間に各道路を通った車の方向別の台数を示す図である。
図6図4の交差点において、10分間にトラッキングされた車の軌跡を示す図である。
図7図6の軌跡を基にトラッキングデータ取得部が取得したトラッキングデータを道路ごとに示す図である。
図8】4本の道路が交差する交差点の写真である。
図9図8の交差点において、5分間に各道路を通った車の方向別の台数を示す図である。
図10】第2の実施の形態に係るカウンターライン設定装置の機能ブロック図である。
図11】トラッキングデータ取得部が取得したトラッキングデータに含まれる、比較的短いフレームでのみ検出されるデータを示す図である。
図12】第3の実施の形態に係るカウンターライン設定方法の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施の形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には同一の符号を付すこととし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示す。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要でない部材の一部は省略して表示する。また、第1、第2などの序数を含む用語が多様な構成要素を説明するために用いられるが、こうした用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0030】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係るカウンターライン設定装置1の機能ブロック図である。カウンターライン設定装置1は、トラッキングデータ取得部10と、第1候補設定部20と、第2候補選定部30と、カウンターライン決定部40と、を備える。
【0031】
カウンターライン設定装置1の全体的な動作は以下の通りである。最初に、カウンターライン設定装置1は、トラッキングデータ取得部10を用いて、トラッキングデータを収集する。次に、カウンターライン設定装置1は、第1候補設定部20を用いて、カウンターラインの第1候補を設定する。続いて、カウンターライン設定装置1は、第2候補選定部30を用いて、カウンターラインの第1段階の選定を行う。最後に、カウンターライン設定装置1は、カウンターライン決定部400を用いて、カウンターラインの第2段階の選定を行う。このようにして、最終的なカウンターラインが決定される。すなわちカウンターライン設定装置1は、2段階でカウンターラインを選定することにより、カウンターラインの正確な自動設定を実現している。
【0032】
トラッキングデータ取得部10には、道路上の追跡対象のデータ(例えば、カメラで撮影された車などの動画データ)が入力する。トラッキングデータ取得部10は、当該道路を通過した乗り物または人の軌跡の集合をトラッキングデータとして取得する。
【0033】
例えば、トラッキングデータ取得部10は、MOTを利用してトラッキングデータを取得してもよい。MOTは、動画データ内において、対象とするクラスの複数の物体を追跡するタスクである。追跡対象は、それぞれ学習したモデルによって異なり、複数クラスを対象とする場合もある。MOTは、各フレームで、同一のオブジェクトに同一のIDを割り当てることにより、物体の軌跡の情報を得る。図2は、MOTの代表的なオープンソースソフトウェアであるOpen Data Camを用いて取得したトラッキングデータの写真である。Open Data Camは、ライブビデオ解析により、自動車や歩行者などのオブジェクトの進行情報などを可視化することができる。
【0034】
第1候補設定部20は、複数本の第1カウンターライン候補を設定する。例えば、第1候補設定部20は、ランダムサーチで探索を行うことにより前記第1カウンターライン候補を設定してもよい。第1カウンターライン候補を設定するときにランダムサーチを利用することには、以下のようなメリットがある。
・調整するパラメータ数が増えても対応可能である。
・乱数でパラメータを決定するため高速である。
ただしランダムリサーチは、ある程度運任せな部分もあることから、よい設定を見つけるには十分な数の試行回数が必要となる。
【0035】
例えば、ランダムサーチによる第1カウンターライン候補は50000本以上であってもよい。言い換えれば、第1カウンターライン候補は、50000パターン以上の試行回数でランダムサーチを行うことにより設定してもよい。このように十分な数の試行回数を繰り返すことにより、カウンターラインを設定するための第1候補を正確に設定することができる。
【0036】
例えば、ランダムサーチにおけるパラメータは、道路内における中心座標および0度以上180度未満の角度であってもよい。この場合、中心座標は、トラッキングデータ取得部10でトラッキングデータを取得したエリアからランダムに選択する。そして角度は、0度~180度の間でランダムに選択する。この場合カウンターラインは、線分でなく直線で設定される。カウンターラインが直線の場合、探索するパラメータは、中心座標および角度の2つがあればよい。これに対し、カウンターラインが線分の場合、直交座標ではカウンターラインの端点を指定する必要があるため、範囲の指定が難しい。さらにカウンターラインが線分で、極座標の場合には、探索するパラメータが中心座標、角度、線分の長さであるため、探索が複雑となる。このように、ランダムサーチにおけるパラメータは、道路内における中心座標および0度以上180度未満の角度とすることにより、効率的で誤差の少ない探索が可能となる。
【0037】
第2候補選定部30は、第1評価指標に基づいて、前述の第1カウンターライン候補の中から複数本の第2カウンターライン候補を選定する。このとき、第1評価指標は、第1カウンターライン候補上を通過した軌跡の数から、当該軌跡が当該第1カウンターライン候補上を重複して通過した回数を引いた数が多いものを第2カウンターライン候補として選定するものである。
【0038】
第1カウンターライン候補の中から第2カウンターライン候補を選定するにあたっては、なるべく数え落としがなく、かつ重複カウントがないことが望ましい。これを説明するため、図3に、曲がった道路上を通過する1台の車の軌跡と、3本のカウンターライン候補(実線A、破線B、点線C)と、を模式的に示す。このとき、実際に通行する車は1台なので、カウンターラインでカウントされる数は1が正しい。図示される通り、カウンターラインを実線Aに選んだ場合は、正しいカウントがされる。これに対し、カウンターラインを破線Bに選んだ場合は、カウントされる数が0なので、数え落としが生じている。また、カウンターラインを点線Cに選んだ場合は、カウントされる数が2なので、重複カウントが生じている。このことから、適切なカウンターラインは実線Aであり、破線Bや点線Cは不適切なカウンターラインであることが分かる。評価指標を「第1カウンターライン候補上を通過した軌跡の数から、当該軌跡が当該第1カウンターライン候補上を重複して通過した回数を引いた数が多いものを第2カウンターライン候補として選定する」とすることにより、図3における破線Bや点線Cを排除し、実線Aを選定することができる。
【0039】
このようにして選定する第2カウンターライン候補は、例えば10本以上であってよい。このように第2カウンターライン候補の本数を指定することにより、カウンターラインを2段階で決定するときの、第1段階の選定を効率的なものとすることができる。
【0040】
カウンターライン決定部40は、第2評価指標に基づいて、前述の第2カウンターライン候補の中から1本のカウンターラインを決定する。このとき、第2評価指標は、トラッキングデータの実測数と、第2カウンターライン候補におけるカウント数との相違が最小となるものをカウンターラインとして決定するものである。
【0041】
カウンターライン決定部40の決定は、カウンターラインの第2段階の選定に相当する。すなわちカウンターライン決定部40は、第1段階で選定した第2カウンターライン候補の中から、最適なものを決定する。具体的には、カウンターライン決定部40は、第2カウンターライン候補の中から、実際の方向別の通過台数と近くなるペアを総当たりで探索する。このとき、カウンターラインのペアの評価は、トラッキングデータの実測数と第2カウンターライン候補におけるカウント数との差の絶対値を求め、それをトラッキングデータの実測数から引いて計算することによって行う。これがトラッキングデータの実測数と一致していれば100%の精度と評価することができる。この評価を第2カウンターライン候補の各ペアに対し行うことにより、最も高い評価値を持つものをカウンターラインとして決定することができる。
【0042】
具体的には、
第2評価指標は、
(トラッキングデータの実測数-過不足分の通過数)/トラッキングデータの実測数
であり、
過不足分の通過数は、
トラッキングデータの実測数と第2カウンターライン候補におけるカウント数との差の絶対値
であってもよい。
【0043】
すなわち、第2評価指標に関しては、
【数1】
であり、
【数2】
であってもよい。
【0044】
以上述べたように、本実施の形態によれば、道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを正確に自動設定する装置を実現することができる。
【0045】
特にカウンターラインは、少なくとも3本以上の道路が交差する交差点の各道路に引かれてもよい。交差点には車両が複数の方向から進入し、かつ別々の方向に出ていく。このとき、方向別に正しく通過台数を計測できるカウンターラインを、人手を用いて設定することは困難である。この場合、本実施の形態のカウンターライン設定装置を、3本以上の道路が交差する交差点の各道路に適用することにより、複数のカウンターラインを方向別に正確に自動設定することができる。
【0046】
図4は、3本の道路が交差する交差点の写真である。左奥から進入する道路をa、右奥から進入する道路をb、手前から進入する道路をcとする。図5に、図4の交差点において10分間に道路a、b、cを通った車の方向別(向きは問わない)の台数を示す。図6に、図4の交差点において10分間にトラッキングされた車の軌跡を示す。図7に、図6の軌跡を基にトラッキングデータ取得部10が取得したトラッキングデータを道路a、b、cごとに示す。
【0047】
図8は、4本の道路が交差する交差点の写真である。左奥から進入する道路をd、右奥から進入する道路をe、左手前から進入する道路をf、右手前から進入する道路をgとする。図9に、図8の交差点において5分間に道路d、e、f、gを通った車の方向別(向きは問わない)の台数を示す。
【0048】
[第2の実施の形態]
図10は、第2の実施の形態に係るカウンターライン設定装置2の機能ブロック図である。カウンターライン設定装置2は、トラッキングデータ取得部10と、第1候補設定部20と、第2候補選定部30と、カウンターライン決定部40と、前処理部50と、を備える。すなわちカウンターライン設定装置2は、図1のカウンターライン設定装置1に対し、前処理部50をさらに備える点で異なる。カウンターライン設定装置2のその他の構成は、カウンターライン設定装置1と共通である。以下、カウンターライン設定装置1との相違点である前処理部50に焦点を当てて説明する。
【0049】
前処理部50は、トラッキングデータ取得部10が取得したトラッキングデータの中から、不要な軌跡の集合を除去する。図11に示されるように、トラッキングデータ取得部10が取得したトラッキングデータには、比較的短いフレームでのみ検出されるデータが含まれる。こうしたデータは、物体検出の際の誤検出やトラッキング時のIDの割り当ての失敗に起因して発生する。これらはアーティファクトとなってカウンターラインの設定に悪影響を与えるため、削除することが望ましい。前処理部50は、例えば所定の長さ以下のフレームにのみ含まれるトラッキングデータを選択して削除する。
【0050】
本実施の形態によれば、トラッキングデータの中から不要な軌跡の集合を除去するので、カウンターラインをより精度よく設定することができる。
【0051】
[第3の実施の形態]
図12に、第3の実施の形態に係るカウンターライン設定方法の処理を示すフローチャートを示す。本実施の形態は、第1の実施の形態に係るカウンターライン設定装置を用いて道路上の交通量をカウントする方法である。この方法は、ステップS1と、ステップS2と、ステップS3と、ステップS4と、を含む。ステップS1で本方法は、トラッキングデータ取得部を用いて、当該道路を通過した乗り物または人の軌跡の集合をトラッキングデータとして取得する。ステップS2で本方法は、第1候補設定部を用いて、複数の第1カウンターライン候補を設定する。ステップS3で本方法は、第2候補選定部を用いて、第1評価指標に基づいて、第1カウンターライン候補の中から複数の第2カウンターライン候補を選定する。ステップS4で本方法は、カウンターライン決定部を用いて、第2評価指標に基づいて、第2カウンターライン候補の中から1本のカウンターラインを決定する。第1評価指標は、第1カウンターライン候補上を通過した軌跡の数から、当該軌跡が当該第1カウンターライン候補上を重複して通過した回数を引いた数が多いものを第2カウンターライン候補として選定するものである。第2評価指標は、トラッキングデータの実測数と、第2カウンターライン候補におけるカウント数との相違が最小となるものをカウンターラインとして決定するものである。
【0052】
本実施の形態によれば、道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを正確に自動設定することができる。
【0053】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態は、コンピュータプログラムである。このプログラムは、図12に示す処理をコンピュータに実行させる。すなわち本実施の形態に係るプログラムは、道路を通過した乗り物または人の軌跡の集合をトラッキングデータとして取得するステップS1と、複数の第1カウンターライン候補を設定するステップS2と、第1評価指標に基づいて、第1カウンターライン候補の中から複数の第2カウンターライン候補を選定するステップS3と、第2評価指標に基づいて、第2カウンターライン候補の中から1本のカウンターラインを決定するステップS4と、をコンピュータに実行させる。第1評価指標は、第1カウンターライン候補上を通過した軌跡の数から、当該軌跡が当該第1カウンターライン候補上を重複して通過した回数を引いた数が多いものを第2カウンターライン候補として選定するものである。第2評価指標は、トラッキングデータの実測数と、第2カウンターライン候補におけるカウント数との相違が最小となるものをカウンターラインとして決定するものである。
【0054】
本実施の形態によれば、道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを正確に自動設定するプログラムをコンピュータで実行することができる。
【0055】
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態は、記録媒体である。この記録媒体は、図12に示す処理をコンピュータに実行させるプログラムを記録する。すなわち本実施の形態に係る記録媒体は、道路を通過した乗り物または人の軌跡の集合をトラッキングデータとして取得するステップS1と、複数の第1カウンターライン候補を設定するステップS2と、第1評価指標に基づいて、第1カウンターライン候補の中から複数の第2カウンターライン候補を選定するステップS3と、第2評価指標に基づいて、第2カウンターライン候補の中から1本のカウンターラインを決定するステップS4と、をコンピュータに実行させるプログラムを記録する。第1評価指標は、第1カウンターライン候補上を通過した軌跡の数から、当該軌跡が当該第1カウンターライン候補上を重複して通過した回数を引いた数が多いものを第2カウンターライン候補として選定するものである。第2評価指標は、トラッキングデータの実測数と、第2カウンターライン候補におけるカウント数との相違が最小となるものをカウンターラインとして決定するものである。
【0056】
本実施の形態によれば、道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを正確に自動設定するプログラムを記録媒体に記録することができる。
【0057】
[評価実験]
本発明者らは、実施の形態の効果を評価するために、人手によるカウンターラインの設定に対する計測精度の比較を行った。人手による設定では、5名の被験者がそれぞれ5回ずつカウンターラインの設定を行い、それらの平均値と、最も正解率が高かったもの(最良値)とを採用した。実験は、石川県金沢市の兼六園前(丁字路)および広坂(十字路)にて実施した。本評価実験の結果(正解率)を表1に示す。
【表1】
これより、丁字路の交差点では、人手による設定の最良の計測精度と同程度の精度で、実施の形態がカウンターラインの自動設定を実現していることが分かる。また十字路の交差点では、人手による設定を上回る精度で、実施の形態がカウンターラインの自動設定を実現していることが分かる。以上のことから、本実施の形態の効果と有用性が示された。
【0058】
[本開示の各態様]
本開示のある態様のカウンターライン設定装置は、道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを設定する装置である。この装置は、当該道路を通過した乗り物または人の軌跡の集合をトラッキングデータとして取得するトラッキングデータ取得部と、複数本の第1カウンターライン候補を設定する第1候補設定部と、第1評価指標に基づいて、第1カウンターライン候補の中から複数本の第2カウンターライン候補を選定する第2候補選定部と、第2評価指標に基づいて、第2カウンターライン候補の中から1本のカウンターラインを決定するカウンターライン決定部と、を備える。第1評価指標は、第1カウンターライン候補上を通過した軌跡の数から、当該軌跡が当該第1カウンターライン候補上を重複して通過した回数を引いた数が多いものを第2カウンターライン候補として選定するものである。第2評価指標は、トラッキングデータの実測数と、第2カウンターライン候補におけるカウント数との相違が最小となるものをカウンターラインとして決定するものである。
【0059】
この態様によれば、道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを正確に自動設定する装置を実現することができる。
【0060】
ある態様では、カウンターラインは、少なくとも3本以上の道路が交差する交差点の各道路に引かれる。
【0061】
この態様によれば、交差点における交通量をカウントするためのカウンターラインを正確に自動設定する装置を実現することができる。
【0062】
ある態様では、
【数1】
であり、
【数2】
である。
【0063】
この態様によれば、具体的な表式を指定して第2評価指標を定めることができる。
【0064】
ある態様では、第1候補設定部は、ランダムサーチで探索を行うことにより第1カウンターライン候補を設定する。
【0065】
この態様によれば、調整するパラメータ数が増えても対応可能であり、また乱数でパラメータを決定するため高速に第1カウンターライン候補を設定することができる。
【0066】
ある態様では、ランダムサーチにおけるパラメータは、道路内における中心座標および0度以上180度未満の角度である。
【0067】
この態様によれば、第1カウンターライン候補を設定において、簡潔で誤差の少ない探索が可能となる。
【0068】
ある態様では、第1カウンターライン候補は50000本以上である。
【0069】
この態様によれば、十分な数の試行回数を繰り返すので、正確なカウンターラインを設定するための第1候補を設定することができる。
【0070】
ある態様では、第2カウンターライン候補は10本以上である。
【0071】
この態様によれば、カウンターラインを2段階で決定するときに、第1段階の選定を効率的に行うことができる。
【0072】
ある態様では、カウンターライン設定装置は、トラッキングデータ取得部が取得したトラッキングデータの中から、不要な軌跡の集合を除去する前処理部をさらに備える。
【0073】
この態様によれば、トラッキングデータの中から不要な軌跡の集合を除去するので、カウンターラインをより精度よく設定することができる。
【0074】
ある態様では、前処理部は、所定の長さ以下のフレームにのみ含まれるトラッキングデータを選択して削除する。
【0075】
この態様によれば、前処理部の行う処理を具体化することができる。
【0076】
ある態様では、トラッキングデータ取得部は、MOTを利用してトラッキングデータを取得する。
【0077】
この態様によれば、効率的にトラッキングデータを取得することができる。
【0078】
本開示のある態様のカウンターライン設定方法は、トラッキングデータ取得部と、第1候補設定部と、第2候補選定部と、カウンターライン決定部と、を備えた装置を用いて、道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを設定する方法である。この方法は、トラッキングデータ取得部を用いて、当該道路を通過した乗り物または人の軌跡の集合をトラッキングデータとして取得するステップと、第1候補設定部を用いて、複数の第1カウンターライン候補を設定するステップと、第2候補選定部を用いて、第1評価指標に基づいて、第1カウンターライン候補の中から複数の第2カウンターライン候補を選定するステップと、カウンターライン決定部を用いて、第2評価指標に基づいて、第2カウンターライン候補の中から1本のカウンターラインを決定するステップと、を含む。第1評価指標は、第1カウンターライン候補上を通過した軌跡の数から、当該軌跡が当該第1カウンターライン候補上を重複して通過した回数を引いた数が多いものを第2カウンターライン候補として選定するものである。第2評価指標は、トラッキングデータの実測数と、第2カウンターライン候補におけるカウント数との相違が最小となるものをカウンターラインとして決定するものである。
【0079】
この態様によれば、道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを正確に自動設定することができる。
【0080】
本開示のある態様のコンピュータプログラムは、道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを設定する。このプログラムは、当該道路を通過した乗り物または人の軌跡の集合をトラッキングデータとして取得するステップと、複数の第1カウンターライン候補を設定するステップと、第1評価指標に基づいて、第1カウンターライン候補の中から複数の第2カウンターライン候補を選定するステップと、第2評価指標に基づいて、第2カウンターライン候補の中から1本のカウンターラインを決定するステップと、をコンピュータに実行させる。第1評価指標は、第1カウンターライン候補上を通過した軌跡の数から、当該軌跡が当該第1カウンターライン候補上を重複して通過した回数を引いた数が多いものを第2カウンターライン候補として選定するものである。第2評価指標は、トラッキングデータの実測数と、第2カウンターライン候補におけるカウント数との相違が最小となるものをカウンターラインとして決定するものである。
【0081】
この態様によれば、道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを正確に自動設定するプログラムをコンピュータで実行することができる。
【0082】
本開示のある態様の記録媒体は、道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを設定するプログラムを記録する。このプログラムは、当該道路を通過した乗り物または人の軌跡の集合をトラッキングデータとして取得するステップと、複数の第1カウンターライン候補を設定するステップと、第1評価指標に基づいて、第1カウンターライン候補の中から複数の第2カウンターライン候補を選定するステップと、第2評価指標に基づいて、第2カウンターライン候補の中から1本のカウンターラインを決定するステップと、をコンピュータに実行させる。第1評価指標は、第1カウンターライン候補上を通過した軌跡の数から、当該軌跡が当該第1カウンターライン候補上を重複して通過した回数を引いた数が多いものを第2カウンターライン候補として選定するものである。第2評価指標は、トラッキングデータの実測数と、第2カウンターライン候補におけるカウント数との相違が最小となるものをカウンターラインとして決定するものである。
【0083】
この態様によれば、道路上の交通量をカウントするためのカウンターラインを正確に自動設定するプログラムを記録媒体に記録することができる。
【0084】
以上、本発明を各実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて各実施の形態における組合せや工程の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を各実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
【0085】
実施の形態では、乗り物の種類や速度などについては問わなかったが、こうした属性を考慮することにより、より適切なカウターラインの自動設定を行ってもよい。
【0086】
この変形例によれば、詳細な属性を考慮するので、より精度の高い交通量調査が可能となる。
【0087】
上述した各実施の形態と変形例の任意の組み合わせもまた本開示の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる各実施の形態及び変形例それぞれの効果を併せ持つ。
【0088】
以上、実施の形態及び変形例を説明した。実施の形態及び変形例を抽象化した技術的思想を理解するにあたり、その技術的思想は実施の形態及び変形例の内容に限定的に解釈されるべきではない。前述した実施の形態及び変形例は、いずれも具体例を示したものにすぎず、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施の形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本開示は、特に以下の分野での利用に有用である。しかしこれに限られず、特に建築や設備メンテナンスの分野を中心に、本開示を広く応用することができる。
・道路の設置計画、建設、維持修繕等に関する基礎的情報の収集。
・マーケティング調査や商業施設の建築計画・管理等に関する情報の収集を目的とした、店舗やイベント会場における人の流れや客動線の調査。
・混雑緩和、防犯、安全を目的とした、駐車場入口付近における車の通行量の調査。
【符号の説明】
【0090】
1・・カウンターライン設定装置。
2・・カウンターライン設定装置。
10・・トラッキングデータ取得部。
20・・第1候補設定部。
30・・第2候補選定部。
40・・カウンターライン決定部。
50・・前処理部。
S1・・トラッキングデータを取得するステップ。
S2・・第1カウンターライン候補を設定するステップ。
S3・・第2カウンターライン候補を選定するステップ。
S4・・カウンターラインを決定するステップ。
A・・第1カウンターライン候補。
B・・第1カウンターライン候補。
C・・第1カウンターライン候補。
a・・道路。
b・・道路。
c・・道路。
d・・道路。
e・・道路。
f・・道路。
g・・道路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12