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▶ 井関農機株式会社の特許一覧

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  • 特開-クローラ走行作業機 図1
  • 特開-クローラ走行作業機 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162583
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】クローラ走行作業機
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/00 20060101AFI20231101BHJP
   A01D 67/00 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
B62D55/00
A01D67/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073010
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】吉田 豊文
【テーマコード(参考)】
2B076
【Fターム(参考)】
2B076AA03
2B076BA05
2B076BA08
2B076CC02
2B076CC11
(57)【要約】
【課題】本発明は、クローラ走行装置の一部が車台からはみ出したクローラ走行装置を備えたクローラ走行作業機で、クローラの交換作業を安全で容易に行えるようにすることを課題とする。
【解決手段】走行車台2の底部左右にクローラ走行装置1を設けたクローラ走行作業機10において、走行車台2の左右側部にクローラ走行装置1の前後端部よりも前または後へ突出させるジャッキ受アーム8,9を走行車台2から引き出して固定可能に設けたことを特徴とするクローラ走行作業機する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車台(2)の底部左右にクローラ走行装置(1)を設けたクローラ走行作業機(10)において、走行車台(2)の左右側部にクローラ走行装置(1)の前後端部よりも前または後へ突出させるジャッキ受アーム(8,9)を走行車台(2)から引き出して固定可能に設けたことを特徴とするクローラ走行作業機。
【請求項2】
走行車台(2)の左右側部に前後方向の中空四角材(2a)を設け、該中空四角材(2a)にジャッキ受アーム(8,9)をスライド固定可能にすることを特徴とする請求項1に記載のクローラ走行作業機。
【請求項3】
ジャッキ受アーム(8,9)の引き出しを検出する引出センサ(12)を設け、該引出センサ(12)でジャッキ受アーム(8,9)の引き出し状態を検出すると走行開始時に走行禁止の警告を発するか走行不可にすることを特徴とする請求項1に記載のクローラ走行作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場を走行するコンバインや荒れ地を走行する運搬車等のクローラ走行装置を装備したクローラ走行作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のコンバインは、湿田を走行するために前後に長いクローラ走行装置が装備されているが、機体の前側に設ける刈取装置が重いために、クローラ走行装置は車台の前寄りに設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6711440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クローラ走行作業機のクローラは摩耗や破損のために交換作業が必要になる。その際にはジャッキで車台を持ち上げてクローラ走行装置を地面から浮かせて交換作業を行うことになるが、クローラ走行装置の一部が車台より前に伸びていると、クローラ走行装置より前側で車台にジャッキをかませることが出来ず、クローラ走行装置よりも内側の車台中央寄りにジャッキをかませることになり、車台が不安定になって交換作業が危険で困難になる。
【0005】
このために、本発明は、クローラ走行装置の一部が車台からはみ出したクローラ走行装置を備えたクローラ走行作業機で、クローラの交換作業を安全で容易に行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
【0007】
請求項1の発明は、走行車台2の底部左右にクローラ走行装置1を設けたクローラ走行作業機10において、走行車台2の左右側部にクローラ走行装置1の前後端部よりも前または後へ突出させるジャッキ受アーム8,9を走行車台2から引き出して固定可能に設けたことを特徴とするクローラ走行作業機する。
【0008】
請求項2の発明は、走行車台2の左右側部に前後方向の中空四角材2aを設け、該中空四角材2aにジャッキ受アーム8,9をスライド固定可能にすることを特徴とする請求項1に記載のクローラ走行作業機とする。
【0009】
請求項3の発明は、ジャッキ受アーム8,9の引き出しを検出する引出センサ12を設け、該引出センサ12でジャッキ受アーム8,9の引き出し状態を検出すると走行開始時に走行禁止の警告を発するか走行不可にすることを特徴とする請求項1に記載のクローラ走行作業機とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明で、クローラ走行作業機を使用する場合はジャッキ受アーム8,9を走行車台2に納めることで走行の邪魔にならず作業を行え、クローラ走行装置1のクローラを交換する際にはジャッキ受アーム8,9を走行車台2から引き出してクローラ走行装置1に係らない位置でジャッキ受アーム8,9にジャッキを取り付けて走行車台2を持ち上げることでクローラ走行装置1を浮かせた状態でクローラの交換作業が走行車台2の側部で無理なく安全な状態で行える。
【0011】
請求項2の発明で、走行車台2が左右側部に中空四角材2aを枠組みした構成で、中空四角材2aにジャッキ受アーム8,9を差し込んだ簡単な構成で、ジャッキ受アーム8,9を走行車台2から引き出して固定するとジャッキ受アーム8,9にジャッキをかましてクローラ走行装置1を浮かせる作業が容易に行える。
【0012】
請求項3の発明で、ジャッキ受アーム8,9を走行車台2から引き出したままでクローラ走行作業機10を走行させようとすると走行禁止の警告が発せられるか走行不可になるので、ジャッキ受アーム8,9を走行車台2から引き出したままで作業走行を行うことなく安全である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明における実施の形態のコンバインの右側面図である。
図2】本発明における実施の形態のコンバインのクローラ走行装置の前部右拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
【0015】
すなわち、図1および2を参照しながら、本発明における実施の形態のコンバインの構成および動作について具体的に説明する。
【0016】
図面に示す実施例は、クローラ走行作業機としてコンバイン10を示している。
【0017】
このコンバイン10は、走行車台2の下部にクローラ走行装置1を装着し、走行車台2上に搭載するエンジンの駆動力でクローラ走行装置1を駆動して走行する。
【0018】
クローラ走行装置1は、駆動スプロケット1bと従動ローラ1cとその他多数の天秤ローラにクローラ1aを掛け回した構成で、圃場面に幅の広いクローラ1aが接地することで、機体が沈み込むことなく湿田を安定して走行出来る。
【0019】
走行車台2の上部には、脱穀装置4を搭載し、機体の前部に走行車台2から昇降可能に設ける刈取装置3で刈り取った穀稈の穂先側を脱穀装置4に挿入して脱穀し、同じく搭載するグレンタンク6に穀粒を貯留する。グレンタンク6にはオーガ7を接続して穀粒を機外へ排出するようにしている。また、脱穀装置4の右側には操縦者が搭乗するキャビン5を走行車台2に搭載し、その下部にエンジンを搭載する原動部を設けている。
【0020】
走行車台2は、前記脱穀装置4を搭載した強固なフレーム構成で、その前端は刈取装置3で倒れる穀稈を挟み込まないようにクローラ走行装置1の前端よりも後側にし、後端はクローラ走行装置1の後端と略同じ位置としている。
【0021】
この走行車台2のフレームは、左右側部に中空四角材2aを使用し、中空四角材2aの前側に前ジャッキ受アーム8を後側に後ジャッキ受アーム9をスライド可能に挿入して、中空四角材2aとジャッキ受アーム8,9を貫通するピン11を差し込んで突出状態と収納状態に保持できるようにしている。
【0022】
前後ジャッキ受アーム8、9の先端下部にジャッキ受部8a,9aを設けて、左右片側の前後ジャッキ受部8a,9aにジャッキを取り付けて押し上げることで走行車台2を左或いは右に傾けて片側のクローラ走行装置1を浮かせ、クローラ1aの交換が可能になる。なお、前後ジャッキ受部8a,9aはジャッキを滑らないように受ける部材をジャッキ受アーム8,9に溶接したりジャッキ受アーム8,9に滑り止め加工すればよい。
【0023】
四角材2aの前後端部に前ジャッキ受アーム8と後ジャッキ受アーム9の引き出しを検出する引出センサ12を設け、この引出センサ12が引き出し状態を検出していると、走行クラッチを入れてコンバイン10を走行させようとするとブザーを鳴らしたり警報パネルに警告を表示して、前ジャッキ受アーム8と後ジャッキ受アーム9を収納するように注意を促し、走行できなくすると安全である。
【0024】
なお、前後ジャッキ受アーム8、9はクローラ走行装置1が走行車台2より前後に長い場合に必要で、走行車台2が充分前後に長い場合には、片側にのみ設けると良い。
【符号の説明】
【0025】
1 クローラ走行装置
2 走行車台
2a 中空四角材
8 前後ジャッキ受アーム
9 前後ジャッキ受アーム
10 コンバイン(クローラ走行作業機)
12 引出センサ
図1
図2