(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162585
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】サーマルプリントヘッド、サーマルプリントヘッドの製造方法、およびサーマルプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/335 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
B41J2/335 101C
B41J2/335 101H
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073012
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】仲谷 吾郎
(72)【発明者】
【氏名】中西 雅寿
【テーマコード(参考)】
2C065
【Fターム(参考)】
2C065GA01
2C065GB01
2C065JC02
2C065JC07
2C065JC10
2C065JC13
2C065JH05
2C065JH10
(57)【要約】
【課題】印字効率の向上が可能なサーマルプリントヘッドおよびその製造方法と、サーマルプリンタとを提供する。
【解決手段】サーマルプリントヘッドA1において、厚さ方向zの第1側z1を向く主面11を有する発熱基板1と、発熱基板1の第1側z1に配置されたグレーズ層15と、発熱基板1の第1側z1で主走査方向xに沿って配列された複数の発熱部41を含む抵抗体層4と、を備えた。グレーズ層15は、主走査方向xに延びる頂面151と、頂面151から厚さ方向zに凹み、かつ、主走査方向xに延びる第1凹部152と、を備えている。発熱部41は頂面151に配置された第1領域41aを含んでいる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向の第1側を向く主面を有する発熱基板と、
前記発熱基板の前記第1側に配置されたグレーズ層と、
前記発熱基板の前記第1側で主走査方向に沿って配列された複数の発熱部を含む抵抗体層と、
を備え、
前記グレーズ層は、前記厚さ方向の第1側を向き、かつ、前記主走査方向に延びる頂面と、前記頂面から前記厚さ方向に凹み、かつ、前記主走査方向に延びる第1凹部と、を備え、
前記発熱部は前記頂面に配置された第1領域を含んでいる、
サーマルプリントヘッド。
【請求項2】
前記第1凹部は、前記頂面につながる曲面を備えている、
請求項1に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項3】
前記第1凹部は、前記主面に平行な第1面と、前記頂面と前記第1面とにつながる第2面と、をさらに備えている、
請求項1に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項4】
前記第2面は、前記第1面に直交している、
請求項3に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項5】
前記第2面は、副走査方向に直交する直交面に対して傾斜している、
請求項3に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項6】
副走査方向において前記発熱基板に並んで配置された第1基板をさらに備え、
前記第1凹部は、前記副走査方向において前記頂面に対して、前記第1基板とは反対側に配置されている、
請求項1に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項7】
前記発熱部は、前記第1凹部に配置された第2領域を含んでいる、
請求項1に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項8】
前記グレーズ層は、前記頂面から前記厚さ方向に凹み、かつ、前記主走査方向に延びる第2凹部をさらに備え、
前記第2凹部は、副走査方向において前記頂面に対して前記第1凹部とは反対側に配置されている、
請求項1に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項9】
前記発熱基板は、単結晶半導体からなり、前記主面から突出する凸部を備え、
前記グレーズ層は、前記凸部に配置されている、
請求項1に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項10】
前記単結晶半導体は、Siを含み、
前記主面は、(100)面である、
請求項9に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載のサーマルプリントヘッドと、
前記複数の発熱部に対向して配置されたプラテンローラと、
を備えているサーマルプリンタ。
【請求項12】
厚さ方向の第1側を向く主面を有する基材を準備する基材準備工程と、
前記基材の前記第1側にグレーズ層を形成するグレーズ形成工程と、
前記グレーズ層に、前記厚さ方向の第1側を向き、かつ、主走査方向に延びる頂面と、前記頂面から前記厚さ方向に凹み、かつ、前記主走査方向に延びる第1凹部と、を形成する凹部形成工程と、
を備えている、
サーマルプリントヘッドの製造方法。
【請求項13】
前記凹部形成工程は、
前記グレーズ層に、前記主走査方向に延びるマスクを形成するマスク形成工程と、
エッチングにより前記第1凹部を形成するエッチング工程と、
前記マスクを除去する除去工程と、
を備えている、
請求項12に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
【請求項14】
前記エッチング工程は、ウエットエッチングにより前記グレーズ層をエッチングする、
請求項13に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
【請求項15】
前記エッチング工程は、ドライエッチングにより前記グレーズ層をエッチングする、
請求項13に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サーマルプリントヘッドおよびその製造方法と、当該サーマルプリントヘッドを備えているサーマルプリンタとに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来のサーマルプリントヘッドの一例が開示されている。同文献に開示されたサーマルプリントヘッドは、主走査方向に延びる凸部が主面に一体に形成されたヘッド基板を備えている。凸部上には複数の発熱部が配置されている。凸部と複数の発熱部との間には、グレーズで構成された蓄熱層が介在している。蓄熱層の表面は、凸部の一対の傾斜外面にかけて滑らかに連続するように、副走査方向両端にラウンド部が形成されている。発熱部が凸部上に配置されているため、印字媒体は、プラテンローラを介して確実に発熱部に押圧される。サーマルプリントヘッドにおいては、印字効率の向上が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、印字効率の向上が可能なサーマルプリントヘッドを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の側面によって提供されるサーマルプリントヘッドは、厚さ方向の第1側を向く主面を有する発熱基板と、前記発熱基板の前記第1側に配置されたグレーズ層と、前記発熱基板の前記第1側で主走査方向に沿って配列された複数の発熱部を含む抵抗体層と、を備え、前記グレーズ層は、前記厚さ方向の第1側を向き、かつ、前記主走査方向に延びる頂面と、前記頂面から前記厚さ方向に凹み、かつ、前記主走査方向に延びる第1凹部と、を備え、前記発熱部は前記頂面に配置された第1領域を含んでいる。
【0006】
本開示の第2の側面によって提供されるサーマルプリントヘッドの製造方法は、厚さ方向の第1側を向く主面を有する基材を準備する基材準備工程と、前記基材の前記第1側にグレーズ層を形成するグレーズ形成工程と、前記グレーズ層に、前記厚さ方向の第1側を向き、かつ、主走査方向に延びる頂面と、前記頂面から前記厚さ方向に凹み、かつ、前記主走査方向に延びる第1凹部と、を形成する凹部形成工程と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るサーマルプリントヘッドは、印字効率の向上が可能である。
【0008】
本開示のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施形態に係るサーマルプリントヘッドを示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1のサーマルプリントヘッドを示す要部平面図である。
【
図3】
図3は、
図1のサーマルプリントヘッドを示す要部拡大平面図である。
【
図5】
図5は、
図1のサーマルプリントヘッドを示す要部断面図である。
【
図6】
図6は、
図1のサーマルプリントヘッドを示す要部拡大断面図である。
【
図7】
図7は、
図1のサーマルプリントヘッドの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、
図1のサーマルプリントヘッドの製造方法の一例の一工程を示す要部拡大断面図である。
【
図9】
図9は、
図1のサーマルプリントヘッドの製造方法の一例の一工程を示す要部拡大断面図である。
【
図10】
図10は、
図1のサーマルプリントヘッドの製造方法の一例の一工程を示す要部拡大断面図である。
【
図11】
図11は、
図1のサーマルプリントヘッドの製造方法の一例の一工程を示す要部拡大断面図である。
【
図12】
図12は、
図1のサーマルプリントヘッドの製造方法の一例の一工程を示す要部拡大断面図である。
【
図13】
図13は、
図1のサーマルプリントヘッドの製造方法の一例の一工程を示す要部拡大断面図である。
【
図14】
図14は、
図1のサーマルプリントヘッドの製造方法の一例の一工程を示す断面図である。
【
図15】
図15は、
図1のサーマルプリントヘッドの製造方法の一例の一工程を示す断面図である。
【
図16】
図16は、本開示の第2実施形態に係るサーマルプリントヘッドを示す要部拡大断面図である。
【
図17】
図17は、本開示の第3実施形態に係るサーマルプリントヘッドを示す要部拡大断面図である。
【
図18】
図18は、本開示の第4実施形態に係るサーマルプリントヘッドを示す要部拡大断面図である。
【
図19】
図19は、本開示の第5実施形態に係るサーマルプリントヘッドを示す要部拡大断面図である。
【
図20】
図20は、本開示の第6実施形態に係るサーマルプリントヘッドを示す要部拡大断面図である。
【
図21】
図21は、本開示の第7実施形態に係るサーマルプリントヘッドを示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0011】
<第1実施形態>
図1~
図6は、本開示の第1実施形態に係るサーマルプリントヘッドA1を示している。本実施形態のサーマルプリントヘッドA1は、発熱基板1、保護層2、導電層3、抵抗体層4、グレーズ層15、絶縁層18、第1基板5、ドライバIC55、第2基板6、コネクタ69、第3基板7、および放熱部材8を備えている。サーマルプリントヘッドA1は、
図4に示すようにサーマルプリンタB1に組み込まれており、プラテンローラ91との間に挟まれて搬送される印刷媒体92に印刷を施す。プラテンローラ91は、後述する発熱部41に対向して配置されており、印刷媒体92を搬送しつつ、印刷媒体92を発熱部41に押圧する。このような印刷媒体92としては、たとえばバーコードシートまたはデートコードシートを作成するための感熱紙が挙げられる。
【0012】
図1は、サーマルプリントヘッドA1を示す平面図である。
図2は、サーマルプリントヘッドA1を示す要部平面図である。
図3は、サーマルプリントヘッドA1を示す要部拡大平面図である。
図1~
図3においては、理解の便宜上、保護層2を省略している。
図2においては、理解の便宜上、後述の保護樹脂57およびワイヤ561を省略している。
図4は、
図1のIV-IV線に沿う断面図である。
図5は、サーマルプリントヘッドA1を示す要部断面図である。
図6は、サーマルプリントヘッドA1を示す要部拡大断面図である。また、これらの図において、発熱基板1の長手方向を主走査方向xとし、短手方向を副走査方向yとし、厚さ方向を厚さ方向zとして説明する。また、副走査方向yについては、
図1~
図3の下方(
図4および
図5の右方)を印刷媒体92が送られてくる上流側y1とし、
図1~
図3の上方(
図4および
図5の左方)を印刷媒体92が排出される下流側y2とする。また、厚さ方向zについては、
図4および
図5の上方を第1側z1とし、
図4および
図5の下方を第2側z2とする。また、主走査方向xについては、
図1~
図3の左方を第1側x1とし、
図1~
図3の右方を第2側x2とする。以下の図においても同様である。
【0013】
発熱基板1は、放熱部材8に搭載され、導電層3および抵抗体層4を支持するものである。発熱基板1は、主走査方向xを長手方向とし、副走査方向yを幅方向とする細長矩形状である。発熱基板1の大きさは特に限定されないが、一例を挙げると、発熱基板1の厚さは、たとえば0.5~1mm程度である。また、発熱基板1の主走査方向xの寸法は、たとえば50~150mm程度であり、副走査方向yの寸法は、たとえば1~5mm程度である。
【0014】
本実施形態においては、発熱基板1は、単結晶半導体からなり、たとえばSiによって形成されている。なお、発熱基板1の構成材料は限定されない。
図4および
図5に示すように、発熱基板1は、主面11および裏面12を有する。主面11および裏面12は、厚さ方向zにおいて互いに反対側を向いており、互いに平行である。主面11は、厚さ方向zの第1側z1を向く面である。主面11には、導電層3および抵抗体層4が配置されている。裏面12は、厚さ方向zの第2側z2を向く面である。裏面12は、図示しない接着部材を介して、放熱部材8(後述する第1支持面81)に接着されている。
【0015】
また、
図5および
図6に示すように、発熱基板1は、凸部13を有する。凸部13は、主面11から厚さ方向zの第1側z1に突出しており、主走査方向xに延びている。また、凸部13は、副走査方向yの下流側y2寄りに形成されている。凸部13は、主走査方向xに直交する断面の形状が、主走査方向xに一様である。凸部13は、天面131および傾斜面132,133を備えている。天面131は、厚さ方向zの第1側z1(主面11と同じ側)を向き、主面11より厚さ方向zの第1側z1に位置する。天面131は、主走査方向xに長く延びる細長矩形状である。傾斜面132は、副走査方向yにおいて天面131の下流側y2に位置し、天面131および主面11につながっている。傾斜面132は、天面131および主面11に対して傾斜しており、副走査方向yの下流側y2ほど主面11に近づいている。傾斜面132は、主走査方向xに長く延びる細長矩形状である。傾斜面133は、副走査方向yにおいて天面131の上流側y1に位置し、天面131および主面11につながっている。傾斜面133は、天面131および主面11に対して傾斜しており、副走査方向yの上流側y1ほど主面11に近づいている。傾斜面133は、主走査方向xに長く延びる細長矩形状である。
【0016】
発熱基板1は、たとえばSiウエハなどの単結晶半導体材料の(100)面にマスク層を形成し、異方性エッチングを行うことにより形成される。マスク層に覆われてエッチングで除去されずに残った部分が天面131になる。したがって、天面131は、(100)面である。一方、エッチングにより現れた面が主面11および傾斜面132,133になる。主面11は、天面131に平行であり、天面131と同様、(100)面である。傾斜面132,133は、主面11および天面131に対して傾斜している。主面11に対する傾斜面132,133の傾斜角αは、異方性エッチングに応じた所定の角度になっている。本実施形態では、傾斜面132,133は、(111)面であり、傾斜角αは、たとえば54.8°である。なお、傾斜角αは限定されない。また、発熱基板1の凸部13の形状は上述したものに限定されない。たとえば、凸部13は、天面131と傾斜面132または傾斜面133との間にさらに傾斜角が異なる傾斜面を備えてもよい。
【0017】
グレーズ層15は、たとえば非晶質ガラスなどのガラス材料からなる。本実施形態では、グレーズ層15の熱膨張係数は、発熱基板1の材料であるSiと同程度である。なお、グレーズ層15のガラス材料の特性は限定されない。
図5および
図6に示すように、グレーズ層15は、発熱基板1の厚さ方向zの第1側z1に配置されており、本実施形態では、凸部13の天面131に配置されている。グレーズ層15は、本実施形態では、天面131にのみ接しており、傾斜面132,133には接していない。グレーズ層15は、主走査方向xに延びており、天面131の副走査方向yの全幅にわたって配置されている。なお、グレーズ層15の配置位置は限定さない。たとえば、グレーズ層15は、天面131の副走査方向yの一部にのみ配置されてもよいし、傾斜面132または傾斜面133にも接して配置されてもよい。また、発熱基板1の凸部13が、天面131と傾斜面132または傾斜面133との間にさらに傾斜面を備えている場合、当該傾斜面にも接して配置されてもよい。
【0018】
本実施形態では、グレーズ層15は、頂面151および凹部152,153を備えている。頂面151は、厚さ方向zの第1側z1を向く略平坦な面であり、主走査方向xに延びている。なお、頂面151は、厚さ方向zの第1側z1にゆるやかに湾曲した凸面であってもよい。凹部152は、頂面151から厚さ方向zの第2側z2に凹み、かつ、主走査方向xに延びている。凹部152は、副走査方向yにおいて頂面151の下流側y2に配置されている。凹部152は、頂面151につながる曲面を備えている。凹部153は、頂面151から厚さ方向zの第2側z2に凹み、かつ、主走査方向xに延びている。凹部153は、副走査方向yにおいて頂面151の上流側y1に配置されている。凹部153は、頂面151につながる曲面を備えている。
【0019】
グレーズ層15は、後述する製造方法に示すように、発熱基板1(凸部13の天面131)にガラスペーストを配置して焼成し、その後、一部をエッチングにより除去することで形成される。エッチングで除去されずに残った面が頂面151であり、エッチングで一部が除去されることで凹部152,153が形成される。ガラスペーストは流動性があるが、凸部13の天面131に配置されたとき、表面張力により、天面131と傾斜面132,133との境界131aを越えることが阻止される。また、焼成時にも加熱によりガラスペーストは流動化するが、表面張力により、天面131と傾斜面132,133との境界131aを越えることが阻止される。これにより、ガラスペーストは、天面131の副走査方向yの全幅にわたって配置される。また、ガラスペーストは、表面張力により、主走査方向xに直交する断面形状が厚さ方向zの第1側z1に膨出する凸形状に形成された状態で焼成される。当該焼成されたガラスペーストは、厚さ方向zの第1側z1を向く面が、副走査方向yの両側でそれぞれ盛り上がるように湾曲したラウンド部分と、副走査方向yにおいて一対のラウンド部分の間の略平坦な頂面部分とが形成された状態になっている。その後、焼成されたガラスペーストの一対のラウンド部分がエッチングにより除去されて、頂面151および凹部152,153を備えたグレーズ層15が形成される。
【0020】
絶縁層18は、
図5および
図6に示すように、主面11、傾斜面132,133、およびグレーズ層15を覆っており、発熱基板1を、抵抗体層4および導電層3に対してより確実に絶縁するためのものである。絶縁層18は、発熱基板1の、抵抗体層4または導電層3が形成される領域に形成されていればよい。絶縁層18は、絶縁性材料からなり、たとえばSiO
2やSiNまたはTEOS(オルトケイ酸テトラエチル)からなる。本実施形態においては、絶縁層18は、TEOSである。なお、絶縁層18の構成材料は限定されない。絶縁層18の厚さは特に限定されず、その一例を挙げるとたとえば5μm~15μmであり、好ましくは5μm~10μmである。
【0021】
抵抗体層4は、絶縁層18を介して発熱基板1に支持されている。抵抗体層4は、発熱基板1に対して厚さ方向zの第1側z1に配置され、主面11、傾斜面132,133、およびグレーズ層15の少なくとも一部を覆っている。抵抗体層4は、複数の発熱部41を有している。複数の発熱部41は、各々に選択的に通電されることにより、印刷媒体92を局所的に加熱するものである。本実施形態においては、発熱部41は、抵抗体層4のうち導電層3から露出した領域であり、凸部13に配置されたグレーズ層15上に配置されている。つまり、グレーズ層15は、発熱基板1の凸部13と複数の発熱部41との間に配置されている。本実施形態では、発熱部41は、グレーズ層15の頂面151上にのみ配置されている。
図4に示すように、サーマルプリンタB1において、複数の発熱部41は、プラテンローラ91に対向している。複数の発熱部41は、主走査方向xに沿って配列されており、主走査方向xにおいて互いに離間している。発熱部41の形状は特に限定されず、本実施形態においては、厚さ方向zに視て副走査方向yを長手方向とする長矩形状である。抵抗体層4は、たとえばTaNからなる。なお、抵抗体層4の構成材料は限定されない。抵抗体層4の厚さは特に限定されず、たとえば0.02μm~0.1μmであり、好ましくは0.08μm程度である。
【0022】
導電層3は、複数の発熱部41に通電するための通電経路を構成するためのものである。導電層3は、発熱基板1に支持されており、本実施形態においては、
図5および
図6に示すように、抵抗体層4上に積層されている。導電層3は、抵抗体層4の発熱部41となるべき部分を露出させている。導電層3は、抵抗体層4よりも低抵抗な金属材料からなり、たとえばCuからなる。導電層3の厚さは特に限定されず、たとえば0.3μm~2.0μmである。
【0023】
図1~
図3、
図5、および
図6に示すように、本実施形態においては、導電層3は、複数の個別電極31、共通電極32、および複数の中継電極33を有する。
【0024】
複数の個別電極31は、各々が概ね副走査方向yに延びる帯状であり、主面11上、傾斜面133上、およびグレーズ層15上に配置されている。複数の個別電極31は、複数の発熱部41に対して副走査方向yの上流側y1に配置されている。複数の個別電極31は、それぞれが異なる発熱部41に接続している。
図2および
図5に示すように、個別電極31は、個別パッド311を有する。個別パッド311は、ドライバIC55と導通させるためのワイヤ561がワイヤボンディングされる部分である。個別パッド311には、たとえばAuを含むめっき層が形成されている。
【0025】
共通電極32は、主面11上、傾斜面133上、およびグレーズ層15上に配置され、連結部323と複数の帯状部324とを有する。複数の帯状部324は、副走査方向yに延びている。
図3に示すように、複数の帯状部324の一方端(副走査方向yの下流側y2端)は、2個に分岐しており、各分岐部分が隣接する2個の発熱部41にそれぞれ接続している。
図2に示すように、連結部323は、複数の帯状部324の他方端側(副走査方向yの上流側y1)に位置して主走査方向xに延びており、複数の帯状部324が繋がっている。
【0026】
中継電極33は、主面11上、傾斜面132上、およびグレーズ層15上に配置され、開口を副走査方向yの上流側y1に向けたコの字形状をなす。中継電極33は、主走査方向xに等ピッチで、発熱部41の副走査方向yの下流側y2に複数配列されている。各中継電極33は、隣接する2個の発熱部41に接続している。
【0027】
図3に示すように、共通電極32の帯状部324は、2つの個別電極31に挟まれて配置されている。1つの中継電極33が接続する2個の発熱部41の一方は共通電極32に接続しており、他方はいずれかの個別電極31に接続している。したがって、個別電極31が通電することで、これに接続する発熱部41と、当該発熱部41に中継電極33を介して接続する発熱部41とに電流が流れて発熱する。つまり、2つの発熱部41が、同時に発熱する。
【0028】
なお、導電層3の配置および形状は、限定されない。たとえば、中継電極33が設けられず、共通電極32が発熱部41の副走査方向yの下流側y2に配置され、各発熱部41が、それぞれ異なる共通電極32の帯状部324と個別電極31とに接続されてもよい。
【0029】
保護層2は、発熱基板1の主面11、傾斜面132,133と、グレーズ層15とに重なるように形成され、導電層3および抵抗体層4を覆っている。保護層2は、絶縁性の材料からなり、導電層3および抵抗体層4を保護している。保護層2の構成材料は、たとえばSiO2、SiN、SiC、AlN等であり、これらの単層もしくは複数層によって構成される。保護層2の厚さは特に限定されず、たとえば1.0μm~10μm程度である。
【0030】
図5に示すように、本実施形態においては、保護層2は、パッド用開口21を有する。パッド用開口21は、保護層2を厚さ方向zに貫通している。パッド用開口21は、各個別電極31の個別パッド311を露出させている。
【0031】
第1基板5は、
図1および
図4に示すように、放熱部材8に搭載され、発熱基板1に対して副走査方向yの上流側y1に配置されている。第1基板5は、たとえばPCB基板であり、ドライバIC55が搭載されている。第1基板5の形状等は特に限定されず、本実施形態においては、主走査方向xを長手方向とする長矩形状である。第1基板5は、主面51および裏面52を有する。主面51は、発熱基板1の主面11と同じ側を向く面であり、裏面52は、発熱基板1の裏面12と同じ側を向く面である。主面51には、図示しない第1配線が形成されている。第1配線は、ドライバIC55がダイボンディングされ、ワイヤ562がワイヤボンディングされるので、本実施形態では、たとえばCuからなる配線上にたとえばAuを含むめっき層が形成されている。なお、第1配線の構成材料および形成方法は限定されない。
【0032】
ドライバIC55は、第1基板5の主面51に搭載されており、複数の発熱部41に個別に通電させるためのものである。本実施形態においては、ドライバIC55は、複数のワイヤ561によって複数の個別電極31に導通接続されている。ドライバIC55の通電制御は、第1基板5、第2基板6、第3基板7、およびコネクタ69を介してサーマルプリントヘッドA1外から入力される指令信号に従う。ドライバIC55は、複数のワイヤ562によって第1基板5の第1配線に導通接続されている。本実施形態においては、複数の発熱部41の個数に応じて、複数のドライバIC55が設けられている。
【0033】
ドライバIC55、複数のワイヤ561および複数のワイヤ562は、保護樹脂57に覆われている。保護樹脂57は、たとえば絶縁性樹脂からなりたとえば黒色である。保護樹脂57は、発熱基板1と第1基板5とに跨るように形成されている。
【0034】
第2基板6は、
図1および
図4に示すように、第1基板5に対して副走査方向yの上流側y1に配置されている。第2基板6は、たとえばPCB基板であり、図示しないその他の回路素子、および、コネクタ69が搭載されている。第2基板6の形状等は特に限定されず、本実施形態においては、主走査方向xを長手方向とする長矩形状である。第2基板6は、主面61および裏面62を有する。主面61は、発熱基板1の主面11と同じ側を向く面であり、裏面62は、発熱基板1の裏面12と同じ側を向く面である。ただし、本実施形態においては、第2基板6は、発熱基板1および第1基板5に対して傾斜した状態で配置されている。主面61および裏面62には、図示しない第2配線が形成されている。なお、第2配線の構成材料および形成方法は限定されない。
【0035】
コネクタ69は、サーマルプリントヘッドA1をサーマルプリンタB1に接続するために用いられる。コネクタ69は、裏面62に取付けられており、第2配線に接続されている。
【0036】
第3基板7は、第1基板5および第2基板6に接続され、第1基板5および第2基板6より柔軟性を有する。第3基板7は、フレキシブルプリント基板であり、第1基板5の第1配線と第2基板6の第2配線とを導通接続する第3配線が形成されている。第1基板5および第2基板6が柔軟性を有する第3基板7によって接続されているので、第2基板6は第1基板5に対して傾斜した状態で配置可能になっている。第3基板7の形状等は特に限定されず、本実施形態においては、主走査方向xを長手方向とする長矩形状である。
【0037】
放熱部材8は、発熱基板1、第1基板5、および第2基板6が搭載されており、複数の発熱部41によって生じた熱の一部を、発熱基板1を介して外部へ放熱するためのものである。放熱部材8は、たとえばアルミニウム等の金属からなるブロック状の部材であり、たとえば押し出し成型によって形成される。なお、放熱部材8の構成材料および形成方法は限定されない。
図4に示すように、放熱部材8は、第1支持面81、第2支持面82、および底面83を有する。第1支持面81および第2支持面82と、底面83とは、厚さ方向zにおいて互いに反対側を向いている。
【0038】
第1支持面81および第2支持面82は、厚さ方向zの第1側z1を向いて、副走査方向yに並んで配置されている。
図4に示すように、第2支持面82は、第1支持面81より底面83から離れて(厚さ方向zの第1側z1に)配置されている。また、第1支持面81は、第2支持面82および底面83に対して傾斜している。なお、第1支持面81は、第2支持面82および底面83に対して平行であってもよい。また、第1支持面81と第2支持面82とは互いに面一であってもよい。第1支持面81には、発熱基板1の裏面12および第1基板5の裏面52が接着されている。第2支持面82には、第2基板6の裏面62が接着されている。なお、裏面12、裏面52、および裏面62を放熱部材8に接着する接着部材の構成材料は限定されない。
【0039】
底面83は、厚さ方向zの第2側z2を向いている。底面83は、サーマルプリントヘッドA1をプリンタに組み込む際に基準になる面である。第2支持面82は、底面83と平行である。本明細書では、発熱基板1の厚さ方向を厚さ方向zと定義しているので、第1支持面81は、厚さ方向zに対して直交している。一方、第2支持面82は、厚さ方向zに直交する面(第1支持面81)に対して傾斜しているので、厚さ方向zに対して直交していない。同様に、底面83も、厚さ方向zに対して直交していない。
【0040】
次に、サーマルプリントヘッドA1の製造方法の一例について、
図7~
図15を参照しつつ、以下に説明する。
図7は、サーマルプリントヘッドA1の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図8~
図15はそれぞれ、サーマルプリントヘッドA1の製造方法の一例の一工程を示す断面図であって、
図4および
図6に示す断面に対応する。なお、
図8~
図15に示す主走査方向x、副走査方向y、および厚さ方向zは、
図1~
図6と同じ方向を示している。
【0041】
図7に示すように、サーマルプリントヘッドA1の製造方法は、基材準備工程S10、凸部形成工程S20、グレーズ層形成工程S30、凹部形成工程S40、絶縁層形成工程S50、発熱部形成工程S60、保護層形成工程S70、切断工程S80、および組み立て工程S90を備えている。
【0042】
基材準備工程S10は、発熱基板1の材料となる基材10Aを準備する工程である。当該工程では、
図8に示すように、基材10Aを準備する。基材10Aは、単結晶半導体からなり、たとえばSiウエハである。基材10Aは、主面11Aを有する。主面11Aは、略平坦であり、厚さ方向zの第1側z1を向く。主面11Aは(100)面である。
【0043】
凸部形成工程S20は、基材10Aにエッチングを施すことで、
図9に示すように、凸部13を形成する工程である。当該工程では、まず、基材10Aの主面11Aの一部に所定のマスク層98(
図8および
図9において2点鎖線で示す)を形成する。マスク層98は、たとえばハードマスクにフォトリソグラフィ技術によりパターニングを行うことで形成される。マスク層98は、主走査方向xに延びる長矩形状である。そして、たとえばアルカリ水溶液を用いた異方性エッチングを行う。このアルカリ水溶液としては、たとえばKOH(水酸化カリウム)やTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)などが挙げられる。これにより、
図9に示すように、主面11および凸部13が形成される。凸部13の天面131は、マスク層98に覆われてエッチングにより除去されずに残った主面11Aの一部である。凸部13の傾斜面132,133および主面11は、主面11Aがエッチングされて現れた面である。凸部13の天面131は、主面11Aと同じく(100)面である。主面11は、天面131と平行であり、天面131と同じく(100)面である。凸部13の傾斜面132,133は、(111)面であり、天面131および主面11に対して傾斜している。主面11に対する傾斜面132,133の傾斜角αは、たとえば54.8°である。その後、マスク層98を除去する。
【0044】
グレーズ層形成工程S30は、
図10に示すように、グレーズ層15Aを形成する工程である。当該工程では、まず、凸部13の天面131に、たとえばディスペンサーを用いて、ガラスペーストを配置する。配置されたガラスペーストは流動性があるが、表面張力により、天面131と傾斜面132,133との境界131aを越えることが阻止される。なお、ガラスペーストの配置方法は限定されず、たとえばスクリーン印刷などによって配置してもよい。また、ガラスペーストの配置および乾燥を複数回繰り返すことでガラスペーストを重ねて配置してもよい。
【0045】
その後、ガラスペーストを焼成することによって、
図10に示すように、グレーズ層15Aが形成される。焼成時の加熱によりガラスペーストは流動化するが、表面張力により境界131aを越えることが阻止される。これにより、グレーズ層15Aは、天面131の副走査方向yの全幅にわたって配置される。また、グレーズ層15Aは、表面張力により、主走査方向xに直交する断面形状が厚さ方向zの第1側z1に突出する凸形状になっている。グレーズ層15Aは、厚さ方向zの第1側z1を向く面が、副走査方向yの両側にそれぞれ盛り上がるように湾曲したラウンド部分152A,153Aと、副走査方向yにおいて一対のラウンド部分152A,153Aの間に位置し、かつ、略平坦な頂面部分151Aとが形成された状態になっている。
【0046】
凹部形成工程S40は、グレーズ層15Aにウエットエッチングを施すことで、
図11に示すように、凹部152,153を形成する工程である。当該工程では、まず、
図10に示すように、グレーズ層15Aの頂面部分151Aの一部に所定のマスク層99(
図10および
図11において2点鎖線で示す)を形成する(S41)。マスク層99は、たとえばレジストにフォトリソグラフィ技術によりパターニングを行うことで形成される。マスク層99は、主走査方向xに延びており、頂面部分151Aの主走査方向xの全体にわたり、副走査方向yの大部分を覆っている。そして、たとえばHF(フッ化水素)などの水溶液を用いた等方性エッチングを行う(S42)。なお、エッチング方法は限定されない。これにより、
図11に示すように、頂面151および凹部152,153が形成されたグレーズ層15が形成される。頂面151は、マスク層99に覆われてエッチングで除去されずに残った頂面部分151Aの一部であり、主走査方向xに延びている。凹部152,153は、頂面部分151Aおよびラウンド部分152A,153Aがエッチングで除去されることで形成され、頂面151から厚さ方向zの第2側z2に凹み、かつ、主走査方向xに延びている。その後、マスク層99を除去する(S43)。なお、凹部152,153の形成方法は限定されない。たとえば、凹部152,153は、グレーズ層15Aにドライエッチングを施すことで形成されてもよい。また、凹部152,153は、たとえば、ダイシングブレードでの切削、または、レーザの照射など、エッチング以外の方法で形成されてもよい。
【0047】
絶縁層形成工程S50は、
図12に示すように、主面11、傾斜面132,133、およびグレーズ層15を覆う絶縁層18を形成する工程である。当該工程では、たとえばCVDを用いて、たとえばTEOSを原料ガスとした成膜を行う。なお、絶縁層18の形成方法は限定されない。
【0048】
発熱部形成工程S60は、
図13に示すように、絶縁層18上に、発熱部41および発熱部41に通電するための導電層3を形成する工程である。まず、絶縁層18上に抵抗体膜を形成する。抵抗体膜の形成は、たとえばスパッタリングにより絶縁層18上にTaNの薄膜を形成することによって行う。抵抗体膜は、絶縁層18の全面を覆う。次いで、導電膜を形成する。導電膜の形成は、たとえばめっきやスパッタリングによりCuからなる層を形成することによって行う。導電膜は、抵抗体膜の全面を覆う。なお、導電膜の形成では、抵抗体膜上にTi層を形成した後、Cu層を形成した構成でもよい。次いで、導電膜および抵抗体膜に選択的なエッチングを施すことにより、導電膜および抵抗体膜を部分的に除去する。これにより、主走査方向xに分離された抵抗体層4と、複数の発熱部41を残して抵抗体層4を覆う複数の個別電極31、共通電極32、および中継電極33とが形成される。
【0049】
保護層形成工程S70は、保護層2を形成する工程である。当該工程では、たとえばCVDを用いて、絶縁層18、導電層3、および抵抗体層4のそれぞれの上に、たとえばSiNおよびSiCを堆積させることにより行われる。その後、パッド用開口21を形成するために、保護層2をエッチング等により部分的に除去する。
【0050】
切断工程S80は、基材10Aを切断する工程である。当該工程では、基材10Aを主走査方向xおよび副走査方向yに沿って切断し個片に分割することで、複数の発熱基板1が形成される。以上により、各層が形成された発熱基板1が得られる。
【0051】
また、発熱基板1の加工とは別に、第1基板5、第2基板6、および第3基板7を準備する。第1基板5は、第1配線が形成されたPCB基板である。第2基板6は、第2配線が形成されたPCB基板であり、コネクタ69が搭載されている。第3基板7は、第3配線が形成されたフレキシブルプリント基板である。
【0052】
組み立て工程S90は、サーマルプリントヘッドA1を組み立てる工程である。当該工程では、まず、
図14に示すように、発熱基板1と第1基板5とを組み立てる。まず、支持テープ95上に、所定の間隔を空けて、発熱基板1および第1基板5を配置する。次いで、ドライバIC55を第1基板5の主面51に搭載し、複数のワイヤ561,562をボンディングする。そして、ドライバIC55および複数のワイヤ561,562を覆う保護樹脂57を、発熱基板1と第1基板5とに跨るように形成する。また、第2基板6の主面61に、第3基板7を接着剤などで接着することで、第2基板6と第3基板7とを組み立てる。次に、支持テープ95から剥離された第1基板5の主面51の副走査方向yの上流側y1に、第3基板7の副走査方向yの下流側y2の部分を、接着剤などで接着する。次に、第1支持面81、第2支持面82、および底面83が形成された放熱部材8を準備する。放熱部材8は、アルミニウムなどの金属材料を用いて、押し出し成型によって形成される。次に、放熱部材8の第1支持面81および第2支持面82に接着部材を配置する。
【0053】
次に、
図15に示すように、一体となった発熱基板1、第1基板5、および第2基板6を放熱部材8に取り付ける。発熱基板1は、第1支持面81の副走査方向yの下流側y2に、裏面12を第1支持面81に対向させるようにして配置される。第1基板5は、第1支持面81の副走査方向yの上流側y1に、裏面52を第1支持面81に対向させるようにして配置される。また、第2基板6は、裏面62を第2支持面82に対向させるようにして配置される。第1基板5は、柔軟性を有する第3基板7によって第2基板6に接続されているので、第2基板6に対する傾斜姿勢を自由に変更可能である。したがって、第1基板5は、第2支持面82に対して傾斜している第1支持面81に取り付け可能である。次いで、熱を加えることで、接着部材を固化させて、裏面12および裏面52を第1支持面81に接着させる。
【0054】
以上の工程により、上述のサーマルプリントヘッドA1が得られる。なお、サーマルプリントヘッドA1の製造方法は、上述した方法に限定されない。たとえば、凸部形成工程S20の前にグレーズ層形成工程S30を行って、先に基材10Aにグレーズ層15Aを形成してもよい。この場合、基材10Aに形成されたグレーズ層15Aがマスクとして機能するので、マスク層98の形成が不要になる。また、サーマルプリントヘッドA1の組み立ての順序は限定されない。サーマルプリントヘッドA1は、保護樹脂57によって一体化された発熱基板1および第1基板5を放熱部材8に取り付け、その後、第2基板6を放熱部材8に取り付けて、第3基板7を第1基板5に接続してもよい。
【0055】
次に、サーマルプリントヘッドA1の作用について説明する。
【0056】
本実施形態によると、発熱基板1は、厚さ方向zの第1側z1にグレーズ層15が配置されている。グレーズ層15は、頂面151から厚さ方向zの第2側z2に凹み、かつ、主走査方向xに延びる凹部152,153を備えている。グレーズ層15は、凹部152,153が形成されていないグレーズ層と比較して、印刷媒体92に押圧される部分の表面積が小さくなるので、印刷媒体92への押圧力を高めることができる。これにより、発熱部41が発する熱を、効率よく印刷媒体92に伝えることができる。発熱部41で発生させなければならない熱量を抑制できるので、サーマルプリントヘッドA1は、消費電力を抑制でき、印字効率の向上が可能である。
【0057】
また、本実施形態によると、凹部152,153は、グレーズ層15Aにウエットエッチングを施すことで形成される。したがって、製造工程(凹部形成工程S40)において、多数の発熱基板1上のグレーズ層15Aに、凹部152,153を容易に形成可能である。
【0058】
また、本実施形態によると、発熱基板1は、主面11から厚さ方向zの第1側z1に突出して主走査方向xに延びている凸部13を備えている。凸部13の天面131上には、グレーズ層15を介して、複数の発熱部41が配置されている。これにより、サーマルプリントヘッドA1は、プラテンローラ91を介して、印刷媒体92を適切に発熱部41に押圧させることができる。また、本実施形態によると、発熱基板1は、Siウエハなどの単結晶半導体からなる基板材料から形成される。したがって、発熱基板1は、異方性エッチングによって、主走査方向xに直交する断面の形状が主走査方向xに一様である凸部13が容易に形成される。印刷媒体92の発熱部41に対する押圧接触状態は、主走査方向x各所において一定となる。このことは、発熱基板1の製造ロットが異なっても変わらないので、印字品質のバラツキを抑制できる。
【0059】
また、本実施形態によると、第1基板5および第2基板6は、柔軟性を有する第3基板7によって接続されている。したがって、第1基板5および第2基板6は、互いに傾斜させた状態で、放熱部材8に搭載可能である。よって、サーマルプリントヘッドA1の設計の自由度は向上する。
【0060】
図16~
図21は、本開示の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0061】
<第2実施形態>
図16は、本開示の第2実施形態に係るサーマルプリントヘッドA2を説明するための図である。
図16は、サーマルプリントヘッドA2を示す要部拡大断面図であり、
図6に対応する図である。本実施形態のサーマルプリントヘッドA2は、発熱部41の配置位置が、上述した第1実施形態と異なっている。本実施形態の他の部分の構成および動作は、第1実施形態と同様である。なお、上記の第1実施形態の各部が任意に組み合わせられてもよい。
【0062】
本実施形態においては、発熱部41は、グレーズ層15の頂面151および凹部152にまたがって配置されている。発熱部41は、頂面151に配置された第1領域41a、および、凹部152に配置された第2領域41bを含んでいる。また、発熱部41は、グレーズ層15の頂面151と凹部152との境界154にも配置されている。
【0063】
本実施形態においても、グレーズ層15は、凹部152,153を備えている。さらに、本実施形態によると、発熱部41は、頂面151および凹部152にまたがって配置されている。したがって、サーマルプリントヘッドA2は、発熱部41が頂面151にのみ配置されている場合と比較して、印字媒体に押圧される部分の表面積をさらに小さくできる。これにより、サーマルプリントヘッドA2は、印字媒体への押圧力をさらに高め、さらなる印字効率の向上が可能である。また、サーマルプリントヘッドA2は、サーマルプリントヘッドA1と共通する構成をとることにより、サーマルプリントヘッドA1と同等の効果を奏する。
【0064】
<第3実施形態>
図17は、本開示の第3実施形態に係るサーマルプリントヘッドA3を説明するための図である。
図17は、サーマルプリントヘッドA3を示す要部拡大断面図であり、
図6に対応する図である。本実施形態のサーマルプリントヘッドA3は、グレーズ層15が凹部153を備えていない点で、上述した第1実施形態と異なっている。本実施形態の他の部分の構成および動作は、第1実施形態と同様である。なお、上記の第1~2実施形態の各部が任意に組み合わせられてもよい。
【0065】
本実施形態においては、グレーズ層15は、頂面151および凹部152を備えているが、ラウンド部分153Aがエッチングで除去されず、凹部153を備えていない。
【0066】
本実施形態においても、グレーズ層15は、頂面151から厚さ方向zの第2側z2に凹み、かつ、主走査方向xに延びる凹部152を備えている。グレーズ層15は、凹部152が形成されていないグレーズ層と比較して、印字媒体に押圧される部分の表面積が小さくなる。これにより、サーマルプリントヘッドA3は、印字媒体への押圧力を高めることができ、印字効率の向上が可能である。また、サーマルプリントヘッドA3は、サーマルプリントヘッドA1と共通する構成をとることにより、サーマルプリントヘッドA1と同等の効果を奏する。
【0067】
なお、本実施形態では、グレーズ層15が凹部153を備えていない場合について説明したが、これに限られない。グレーズ層15は、凹部153を備えているが、凹部152を備えていなくてもよい。なお、印字効率の向上のためには、グレーズ層15は、凹部152および凹部153の両方を備えているのが望ましい。
【0068】
<第4実施形態>
図18は、本開示の第4実施形態に係るサーマルプリントヘッドA4を説明するための図である。
図18は、サーマルプリントヘッドA4を示す要部拡大断面図であり、
図6に対応する図である。本実施形態のサーマルプリントヘッドA4は、凹部152,153の形状が、上述した第1実施形態と異なっている。本実施形態の他の部分の構成および動作は、第1実施形態と同様である。なお、上記の第1~3実施形態の各部が任意に組み合わせられてもよい。
【0069】
本実施形態においては、凹部152は、発熱基板1の主面11および天面131に平行な第1面152aと、頂面151および第1面152aにつながる第2面152bとを備えている。本実施形態では、第2面152bは、第1面152aに直交している。同様に、凹部153は、発熱基板1の主面11および天面131に平行な第1面153aと、頂面151および第1面153aにつながる第2面153bとを備えている。本実施形態では、第2面153bは、第1面153aに直交している。凹部152,153は、製造工程の凹部形成工程S40において、グレーズ層15Aにドライエッチングを施すことで形成される。なお、ドライエッチングに使用するエッチングガスの組成および圧力は限定されない。また、凹部152,153の形成方法は限定されない。凹部152,153は、たとえば、ダイシングブレードでの切削、または、レーザの照射など、エッチング以外の方法で形成されてもよい。
【0070】
本実施形態においても、グレーズ層15は、頂面151から厚さ方向zの第2側z2に凹み、かつ、主走査方向xに延びる凹部152,153を備えている。グレーズ層15は、凹部152,153が形成されていないグレーズ層と比較して、印字媒体に押圧される部分の表面積が小さくなる。これにより、サーマルプリントヘッドA4は、印字媒体への押圧力を高めることができ、印字効率の向上が可能である。また、サーマルプリントヘッドA4は、サーマルプリントヘッドA1と共通する構成をとることにより、サーマルプリントヘッドA1と同等の効果を奏する。
【0071】
<第5実施形態>
図19は、本開示の第5実施形態に係るサーマルプリントヘッドA5を説明するための図である。
図19は、サーマルプリントヘッドA5を示す要部拡大断面図であり、
図6に対応する図である。本実施形態のサーマルプリントヘッドA5は、凹部152,153の形状が、上述した第1実施形態と異なっている。本実施形態の他の部分の構成および動作は、第1実施形態と同様である。なお、上記の第1~4実施形態の各部が任意に組み合わせられてもよい。
【0072】
本実施形態においては、凹部152は、発熱基板1の主面11および天面131に平行な第1面152aと、頂面151および第1面152aにつながる第2面152bとを備えている。本実施形態では、第2面152bは、副走査方向yに直交する直交面に対して傾斜しており、厚さ方向zの第1側z1ほど副走査方向yの上流側y1に位置している。同様に、凹部153は、発熱基板1の主面11および天面131に平行な第1面153aと、頂面151および第1面153aにつながる第2面153bとを備えている。本実施形態では、第2面153bは、副走査方向yに直交する直交面に対して傾斜しており、厚さ方向zの第1側z1ほど副走査方向yの下流側y2に位置している。凹部152,153は、製造工程の凹部形成工程S40において、グレーズ層15Aにドライエッチングを施すことで形成される。なお、ドライエッチングに使用するエッチングガスの組成および圧力は限定されない。また、凹部152,153の形成方法は限定されない。凹部152,153は、たとえば、ダイシングブレードでの切削、または、レーザの照射など、エッチング以外の方法で形成されてもよい。
【0073】
本実施形態においても、グレーズ層15は、頂面151から厚さ方向zの第2側z2に凹み、かつ、主走査方向xに延びる凹部152,153を備えている。グレーズ層15は、凹部152,153が形成されていないグレーズ層と比較して、印字媒体に押圧される部分の表面積が小さくなる。これにより、サーマルプリントヘッドA5は、印字媒体への押圧力を高めることができ、印字効率の向上が可能である。また、サーマルプリントヘッドA5は、サーマルプリントヘッドA1と共通する構成をとることにより、サーマルプリントヘッドA1と同等の効果を奏する。
【0074】
第4実施形態および第5実施形態から理解されるように、凹部152,153をドライエッチングで形成する場合、ドライエッチングに使用するエッチングガスの組成および圧力によって、第2面152bおよび第2面153bの、副走査方向yに直交する直交面に対する傾斜角を自由に設計できる。
【0075】
<第6実施形態>
図20は、本開示の第6実施形態に係るサーマルプリントヘッドA6を説明するための図である。
図20は、サーマルプリントヘッドA6を示す要部拡大断面図であり、
図6に対応する図である。本実施形態のサーマルプリントヘッドA6は、発熱基板1が凸部13を備えていない点で、上述した第1実施形態と異なっている。本実施形態の他の部分の構成および動作は、第1実施形態と同様である。なお、上記の第1~5実施形態の各部が任意に組み合わせられてもよい。
【0076】
本実施形態においては、発熱基板1が凸部13を備えておらず、グレーズ層15が主面11に配置されている。サーマルプリントヘッドA6は、製造工程の凸部形成工程S20を省略し、準備した基材10Aを発熱基板1として、グレーズ層形成工程S30を行うことで製造される。
【0077】
本実施形態においても、グレーズ層15は、頂面151から厚さ方向zの第2側z2に凹み、かつ、主走査方向xに延びる凹部152,153を備えている。グレーズ層15は、凹部152,153が形成されていないグレーズ層と比較して、印字媒体に押圧される部分の表面積が小さくなる。これにより、サーマルプリントヘッドA6は、印字媒体への押圧力を高めることができ、印字効率の向上が可能である。また、サーマルプリントヘッドA6は、サーマルプリントヘッドA1と共通する構成をとることにより、サーマルプリントヘッドA1と同等の効果を奏する。さらに、本実施形態によると、発熱基板1は凸部13を備えていない。したがって、サーマルプリントヘッドA6は、凸部形成工程S20を必要とせず、製造工程を簡略化できる。
【0078】
<第7実施形態>
図21は、本開示の第7実施形態に係るサーマルプリントヘッドA7を説明するための図である。
図21は、サーマルプリントヘッドA7を示す要部拡大断面図であり、
図6に対応する図である。本実施形態のサーマルプリントヘッドA7は、グレーズ層15が絶縁層18と抵抗体層4との間に形成されている点で、上述した第1実施形態と異なっている。本実施形態の他の部分の構成および動作は、第1実施形態と同様である。なお、上記の第1~6実施形態の各部が任意に組み合わせられてもよい。
【0079】
本実施形態においては、グレーズ層15は、第1実施形態のように発熱基板1と絶縁層18との間に形成されるのではなく、絶縁層18と抵抗体層4との間に形成されている。つまり、サーマルプリントヘッドA7は、発熱基板1上に、絶縁層18、グレーズ層15、抵抗体層4の順で積層されている。サーマルプリントヘッドA7は、製造工程の凸部形成工程S20の後、グレーズ層形成工程S30を行う前に、絶縁層形成工程S50を行うことで製造される。なお、本実施形態では、絶縁層18は、基材10Aを熱酸化させることで得られるSiO2膜で構成されてもよい。
【0080】
本実施形態においても、グレーズ層15は、頂面151から厚さ方向zの第2側z2に凹み、かつ、主走査方向xに延びる凹部152,153を備えている。グレーズ層15は、凹部152,153が形成されていないグレーズ層と比較して、印字媒体に押圧される部分の表面積が小さくなる。これにより、サーマルプリントヘッドA7は、印字媒体への押圧力を高めることができ、印字効率の向上が可能である。また、サーマルプリントヘッドA7は、サーマルプリントヘッドA1と共通する構成をとることにより、サーマルプリントヘッドA1と同等の効果を奏する。さらに、本実施形態によると、絶縁層18は、基材10Aを熱酸化させることで得られるSiO2膜で構成できる。したがって、サーマルプリントヘッドA7は、グレーズ層15を形成した後に、たとえばCVDを用いてTEOSを堆積させることにより絶縁層18を形成する場合と比較して、製造工程を簡略化できる。
【0081】
上記第1~7実施形態においては、発熱基板1がSiによって形成されている場合について説明したが、これに限られない。発熱基板1の構成材料は、他の単結晶半導体であってもよいし、たとえばセラミックスなどであってもよい。
【0082】
本開示に係るサーマルプリントヘッドおよびその製造方法と、当該サーマルプリントヘッドを備えているサーマルプリンタとは、上述した実施形態に限定されるものではない。本開示に係るサーマルプリントヘッドおよびサーマルプリンタの各部の具体的な構成、および、本開示に係るサーマルプリントヘッドの製造方法の各工程の具体的な処理は、種々に設計変更自在である。
【0083】
〔付記1〕
厚さ方向(z)の第1側(z1)を向く主面(11)を有する発熱基板(1)と、
前記発熱基板の前記第1側に配置されたグレーズ層(15)と、
前記発熱基板の前記第1側で主走査方向(x)に沿って配列された複数の発熱部(41)を含む抵抗体層(4)と、
を備え、
前記グレーズ層は、前記厚さ方向の第1側を向き、かつ、前記主走査方向に延びる頂面(151)と、前記頂面から前記厚さ方向に凹み、かつ、前記主走査方向に延びる第1凹部(152)と、を備え、
前記発熱部は前記頂面に配置された第1領域(41a)を含んでいる、
サーマルプリントヘッド(A1)。
〔付記2〕
前記第1凹部は、前記頂面につながる曲面を備えている、
付記1に記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記3、第4~5実施形態、
図18~
図19〕
前記第1凹部は、前記主面に平行な第1面(152a)と、前記頂面と前記第1面とにつながる第2面(152b)と、をさらに備えている、
付記1に記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記4、第4実施形態、
図18〕
前記第2面は、前記第1面に直交している、
付記3に記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記5、第5実施形態、
図19〕
前記第2面は、副走査方向に直交する直交面に対して傾斜している、
付記3に記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記6〕
副走査方向(y)において前記発熱基板に並んで配置された第1基板(5)をさらに備え、
前記第1凹部は、前記副走査方向において前記頂面に対して、前記第1基板とは反対側に配置されている、
付記1ないし5のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記7、第2実施形態、
図16〕
前記発熱部は、前記第1凹部に配置された第2領域(41b)を含んでいる、
付記1ないし6のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記8〕
前記グレーズ層は、前記頂面から前記厚さ方向に凹み、かつ、前記主走査方向に延びる第2凹部(153)をさらに備え、
前記第2凹部は、副走査方向において前記頂面に対して前記第1凹部とは反対側に配置されている、
付記1ないし7のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記9〕
前記発熱基板は、単結晶半導体からなり、前記主面から突出する凸部(13)を備え、
前記グレーズ層は、前記凸部に配置されている、
付記1ないし8のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記10〕
前記単結晶半導体は、Siを含み、
前記主面は、(100)面である、
付記9に記載のサーマルプリントヘッド。
〔付記11、
図4〕
付記1ないし10のいずれかに記載のサーマルプリントヘッドと、
前記複数の発熱部に対向して配置されたプラテンローラ(91)と、
を備えているサーマルプリンタ(B1)。
〔付記12、
図7〕
厚さ方向の第1側を向く主面(11A)を有する基材(10A)を準備する基材準備工程(S10)と、
前記基材の前記第1側にグレーズ層(15A)を形成するグレーズ形成工程(S30)と、
前記グレーズ層に、前記厚さ方向の第1側を向き、かつ、主走査方向(x)に延びる頂面(151)と、前記頂面から前記厚さ方向(z)に凹み、かつ、前記主走査方向に延びる第1凹部(152)と、を形成する凹部形成工程(S40)と、
を備えている、
サーマルプリントヘッドの製造方法。
〔付記13、
図11〕
前記凹部形成工程は、
前記グレーズ層に、前記主走査方向に延びるマスク(99)を形成するマスク形成工程(S41)と、
エッチングにより第1凹部を形成するエッチング工程(S42)と、
前記マスクを除去する除去工程(S43)と、
を備えている、
付記12に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
〔付記14〕
前記エッチング工程は、ウエットエッチングにより前記グレーズ層をエッチングする、
付記13に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
〔付記15〕
前記エッチング工程は、ドライエッチングにより前記グレーズ層をエッチングする、
付記13に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
【符号の説明】
【0084】
A1~A7:サーマルプリントヘッド
1 :発熱基板
11 :主面
12 :裏面
13 :凸部
131 :天面
131a :境界
132,133:傾斜面
15 :グレーズ層
151 :頂面
152,153:凹部
152a,153a:第1面
152b,153b:第2面
154 :境界
18 :絶縁層
2 :保護層
21 :パッド用開口
3 :導電層
31 :個別電極
311 :個別パッド
32 :共通電極
323 :連結部
324 :帯状部
33 :中継電極
4 :抵抗体層
41 :発熱部
41a :第1領域
41b :第2領域
5 :第1基板
51 :主面
52 :裏面
55 :ドライバIC
561,562:ワイヤ
57 :保護樹脂
6 :第2基板
61 :主面
62 :裏面
69 :コネクタ
7 :第3基板
8 :放熱部材
81 :第1支持面
82 :第2支持面
83 :底面
91 :プラテンローラ
92 :印刷媒体
95 :支持テープ
98 :マスク層
99 :マスク層
10A :基材
11A :主面
15A :グレーズ層
151A :頂面部分
152A,153A:ラウンド部分
B1 :サーマルプリンタ