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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162586
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】除草機
(51)【国際特許分類】
   A01B 39/19 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
A01B39/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073016
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】田中 誠治
【テーマコード(参考)】
2B034
【Fターム(参考)】
2B034AA07
2B034BA05
2B034BB01
2B034BC04
2B034BD01
2B034BD04
2B034BG07
2B034HA16
2B034HB02
2B034HB14
(57)【要約】
【課題】従来、水田を自律走行して除草する自律走行水田除草機がある。従来の自律走行水田除草機は、除草作業する回転ブラシが機体中央に設けた貫通孔部に設けられ、推進体としても機能する。回転ブラシの除草作業で泥水を掻き揚げて機体上に堆積し各部材の作動に支障をきたし、除草作業に負荷がかかると推進体としての機能が低下し、適切な除草作業が行えなくなる課題があった。そこで、圃場で適切に推進して除草作業が行える除草機を提供する。
【解決手段】ケース状の本体6内に制御部4とモータ12,14を設け、本体6底面にモータ12にて駆動される推進装置7を設け、本体6外側にモータ14にて駆動される除草作業部8を設けた除草機。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース状の本体(6)内に制御部(4)とモータ(12,14)を設け、本体(6)底面にモータ(12)にて駆動される推進装置(7)を設け、本体(6)外側にモータ(14)にて駆動される除草作業部(8)を設けたことを特徴とする除草機。
【請求項2】
メインモータ(12)にてメイン減速用ギヤケース(11)を介して推進装置(7)を駆動し、サブモータ(14)にてサブ減速用ギヤケース(13)を介して除草作業部(8)を駆動することを特徴とする請求項1に記載の除草機。
【請求項3】
本体(6)に設けたバッテリ受け部に着脱自在にバッテリ(9)を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の除草機。
【請求項4】
本体(6)にバッテリ(9)の残量を表示するパイロットランプ(10)を設けたことを特徴とする請求項3に記載の除草機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場を自走して除草する除草機などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水田を自律走行して除草する自律走行水田除草機がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-152775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の自律走行水田除草機は、除草作業する回転ブラシが機体中央に設けた貫通孔部に設けられ、推進体としても機能する。
【0005】
しかしながら、回転ブラシの除草作業で泥水を掻き揚げて機体上に堆積し各部材の作動に支障をきたし、除草作業に負荷がかかると推進体としての機能が低下し、適切な除草作業が行えなくなる課題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、圃場で適切に推進して除草作業が行える除草機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、ケース状の本体6内に制御部4とモータ12,14を設け、本体6底面にモータ12にて駆動される推進装置7を設け、本体6外側にモータ14にて駆動される除草作業部8を設けた除草機である。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、ケース状の本体6内に制御部4とモータ12,14を設け、本体6底面にモータ12にて駆動される推進装置7を設け、本体6外側にモータ14にて駆動される除草作業部8を設けたので、制御部4やモータ12,14に推進装置7や除草作業部8が掻き揚げた泥水がかかることが防止され適切に作動し、推進装置7にて機体が推進して除草作業部8にて除草されて適切な除草作業が行える。
【0009】
請求項2記載の発明は、メインモータ12にてメイン減速用ギヤケース11を介して推進装置7を駆動し、サブモータ14にてサブ減速用ギヤケース13を介して除草作業部8を駆動する請求項1に記載の除草機である。
【0010】
請求項3記載の発明は、本体6に設けたバッテリ受け部に着脱自在にバッテリ9を設けた請求項1または請求項2に記載の除草機である。
【0011】
請求項4記載の発明は、本体6にバッテリ9の残量を表示するパイロットランプ10を設けた請求項3に記載の除草機である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態にかかる除草機の作用説明用の斜視図である。
図2】同上除草機の作用説明用の透視斜視図である。
図3】同上除草機の作用説明用の側面図である。
図4】同上除草機の携帯端末の作用説明用の斜視図である。
図5】本発明の別の実施形態にかかる成長促進兼害虫防除システムの作用説明用の斜視図である。
図6】同上成長促進兼害虫防除システムの作用説明用の平面図である。
図7】同上成長促進兼害虫防除作用説明用の側面図である。
図8】同上成長促進兼害虫防除システムの作用説明用の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<除草管理システム>
図1及び図4に示すように、除草管理システムは、タブレット等の携帯端末1の地図データベースにユーザが所有する圃場Fを登録し、除草機2による除草作業を管理するシステムである。
【0014】
除草管理システムは、ユーザが所有する圃場Fを登録した地図データベースと植付け及び除草データベース等の各種データベースを含む制御部と無線通信装置を装備したタブレット等の携帯端末1とGPS3と制御部4と無線通信装置5を搭載した自律走行式の除草機2からなる。
【0015】
携帯端末1は、乗用型田植機及び除草機2と無線通信装置にて相互通信可能である。
【0016】
携帯端末1は、地図データベースに登録されたユーザが所有する圃場Fを自律走行式の乗用型田植機が田植作業をする経路を算出して、地図データベースに経路を付加し、自律走行式の乗用型田植機に該経路を付加した地図データを送信する。
【0017】
自律走行式の乗用型田植機は、該携帯端末1から送信された経路が付加された地図データを制御部に記憶し、圃場にてGPSにより測位衛星からの信号を受信して衛星測位システムにて位置情報を算出しながら該経路に沿って自律走行して自動的に田植作業をする。
【0018】
携帯端末1は、乗用型田植機が経路に沿って植付けた苗列を植付けデータとして地図データベースに付加する。
【0019】
そして、携帯端末1は、植付けデータが負荷された地図データベースに除草機2が走行する経路Rを付加した地図データを自律走行式の除草機2に送信する。
【0020】
自律走行式の除草機2は、該携帯端末1から送信された経路Rを付加した地図データを制御部4に記憶し、圃場にてGPS3により測位衛星からの信号を受信して衛星測位システムにて位置情報を算出しながら自立走行して経路Rに沿って携帯端末1にて作業者が指定した時間で往復走行して除草作業をする。
【0021】
<除草機>
図1図3は、自律走行式の除草機2を示す斜視図、透視斜視図及び側面図である。
【0022】
自律走行式の除草機2は、樹脂製の密閉された水に浮く船型ケース状の本体6と、該本体6中央底面に設けた前進用の推進装置としてのスクリュー7と、本体6の後部左右両側に設けられた左右除草作業部8,8と、本体6前部に設けたバッテリ9と、本体6上部に設けたGPS3及び無線通信装置5と、本体6内部に設けた制御部4と、本体6前部左右両側面に設けたパイロットランプ10より構成される。
【0023】
本体6は、樹脂製の密閉された中空体で水に浮き、内部中央部に制御部4とメイン減速用ギヤケース11を介してスクリュー7を駆動回転するメインモータ12を装備し、内部左右後部に各々左右サブ減速用ギヤケース13,13を介して左右除草作業部8,8を駆動する左右サブモータ14,14を装備する。
【0024】
スクリュー7は、本体6中央底面に設けた空洞部に回転自在に軸支され、その下端が本体6底面と同じ高さに(面一)になっていて、メインモータ12にてメイン減速用ギヤケース11を介して駆動回転され、機体を前進させる。
【0025】
左右除草作業部8,8は、本体6の後部左右両側に設けた左右伝動ケース15,15の先端部に各々回転自在に圃場を掻いて攪拌するパドルタイヤ16,16を設けている。
【0026】
左右除草作業部8,8のパドルタイヤ16,16は、左右サブモータ14,14にて左右サブ減速用ギヤケース13,13及び左右伝動機構17,17を介して駆動回転され、圃場を掻いて攪拌し除草する。
【0027】
バッテリ9は、本体6前部に設けたバッテリ受け部に抜き差し自在に設けている。
【0028】
パイロットランプ10は、本体6前部左右両側面に設けられた4色のLEDにて構成され、バッテリ9がフル充電の状態から残量が少なくなるにつれて青色、緑色、黄色、赤色と変化し、遠くから見てもバッテリ残量が分かるようになっている。
【0029】
以上要するに、密閉された水に浮く本体6内に制御部4、メイン減速用ギヤケース11、メインモータ12、左右サブ減速用ギヤケース13,13及び左右サブモータ14,14を設け、本体6底面にメインモータ12にて駆動されるスクリュー7を設け、本体6左右外側に左右サブモータ14,14にて駆動される左右除草作業部8,8を設けたので、制御部4、メイン減速用ギヤケース11、メインモータ12、左右サブ減速用ギヤケース13,13及び左右サブモータ14,14にスクリュー7や左右除草作業部8,8が掻き揚げた泥水がかかることが防止され適切に作動し、スクリュー7にて機体が推進して左右除草作業部8,8にて除草されて適切な除草作業が行える。
【0030】
<除草作業>
作業者は、路上から水田の圃場Fの除草作業出発点Aに除草機2をおいて、携帯端末1を操作して植付けデータが負荷された地図データベースに除草機2が走行する経路Rを付加した地図データを除草機2に送信する。
【0031】
除草機2は、該携帯端末1から送信された経路Rを付加した地図データを制御部4に記憶する。
【0032】
そして、作業者が携帯端末1を操作して除草機2をスタートさせると、圃場にてGPS3により測位衛星からの信号を受信して衛星測位システムにて位置情報を算出しながら自立走行して経路Rに沿って除草作業出発点Aと折り返し点B間を往復走行して除草作業をする。
【0033】
なお、作業者は、携帯端末1にて除草作業の時間を同時に除草機2に送信し、除草機2は受信した指定時間内を経路Rに沿って往復走行して除草作業をし、残り時間が少なくなって除草作業出発点Aを出発すると戻れないと判断した場合、除草作業出発点Aに停止する。
【0034】
除草機2は、経路Rを自立走行して除草作業を行う際、本体6が樹脂製の密閉された構成で水田の圃場F内で水に浮いて、スクリュー7がメインモータ12にてメイン減速用ギヤケース11を介して駆動回転されて機体を前進させる。
【0035】
そして、左右除草作業部8,8のパドルタイヤ16,16が左右サブモータ14,14にて左右サブ減速用ギヤケース13,13及び左右伝動機構17,17を介して駆動回転されて圃場を掻いて攪拌し除草する。
【0036】
なお、本体6は植えられた苗列の間を進行し、左右除草作業部8,8のパドルタイヤ16,16は本体6が進行する苗列間の左右両隣の苗列間を進む。
【0037】
そして、作業者は、除草作業をしている除草機2を監視して、パイロットランプ10が黄色になってバッテリ残量が少なくなると、携帯端末1を操作して道際で除草機2を停止させてバッテリ9を外してフル充電したバッテリ9と交換して、携帯端末1を操作して除草機2を再スタートさせて除草作業を継続させる。
【0038】
なお、パイロットランプ10が黄色になってバッテリ残量が少なくなると、除草作業出発点Aに戻った時に自動的に除草機2を停止させても良い。
【0039】
<別実施形態>
【0040】
(1)図5図8は、水田圃場Fにて無農薬栽培をしている稲に刺激を与えて成長促進させると共に苗についている害虫を水中に落として害虫防除する成長促進兼害虫防除システムを示す実施形態である。
【0041】
即ち、2台の自律走行式の作業車20,20が水田圃場Fの対向する畦際を走行し、2台の作業車20,20間にテグス糸21を張って、図7に示すように該テグス糸21にて圃場Fの苗をしごくように作用させて、苗に刺激を与えて成長促進し、稲についている害虫を水に落として害虫防除する。
【0042】
自律走行式の作業車20は、左右電動モータにて各々が駆動回転する左右駆動前輪22,22と、球体状の遊転後輪23と、テグス糸21を繰出し及び巻き戻すリール装置24と、機体上部に設けたGPS25及び無線通信装置26と、機体内部に設けたバッテリ及び制御部より構成される。
【0043】
左右駆動前輪22,22は、左右電動モータにて各々駆動回転し、左右駆動前輪22,22が同期して前転すれば機体は前進し、同期して後転すれば後進し、左右駆動前輪22,22の駆動回転数を変えれば機体を左右に操向できる。
【0044】
リール装置24は、テグス糸21を巻きかけた回転リール24aと、該回転リール24aをテグス糸21の繰り出す方向及び巻き戻す方向に駆動回転する電動モータと、基部が回転リール24aの回転中心部に枢支されて電動モータにて機体外方に延びる先端部が上下位置変更されるテグス糸支持アーム27にて構成される。
【0045】
また、リール装置24は、中央部を機体に縦軸にて枢支し電動モータにて180度回転し、テグス糸21を機体の左右及び後方に向けて繰出し可能である。
【0046】
次に、図8に基づいて、2台の自律走行式の作業車20,20による圃場Fでの成長促進及び害虫防除作業を説明する。
【0047】
作業者は、路上から水田の圃場Fのスタート地点Sに2台の自律走行式の作業車20,20をおいて、携帯端末1を操作して植付けデータが負荷された地図データベースに2台の自律走行式の作業車20,20が各々走行する経路R1及びR2を付加した地図データを2台の自律走行式の作業車20,20に送信する。
【0048】
そして、携帯端末1を操作して電動モータにてテグス糸支持アーム27を上下回動させてテグス糸支持アーム27先端の高さを圃場Fの苗丈に合わせてテグス糸21が苗をしごくのに適切な高さに調節する。
【0049】
そして、作業者が携帯端末1を操作して作業車20,20をスタートさせると、1台の作業車20はそのままスタート地点Sに停車したままで、他の1台が圃場にてGPS3により測位衛星からの信号を受信して衛星測位システムにて位置情報を算出しながら対面側の畦のコーナC1に向けて経路R2に沿って移動する。
【0050】
この時、スタート地点Sに停車している作業車20は、リール装置24の回転リール24aを電動モータにて回転させてテグス糸21が圃場Fに接地しないようにテグス糸21を繰出す。
【0051】
なお、1台の作業車20のリール装置24は電動モータにて進行方向左側面に位置(圃場F内方向けた位置)させ、他の1台の作業車20のリール装置24は電動モータにて進行方向後方に位置させる。
【0052】
そして、他の1台の作業車20がコーナC1に到達すると、2台の作業車20,20は同時に畦に沿って進行し(1台は終了地点Eに向けて、他の1台はコーナC2に向けて進行し)、2台の作業車20,20間に張られたテグス糸21が圃場Fの苗に接当して刺激を与えて成長促進させると共に苗についている害虫を水中に落として害虫防除する(図7参照)。
【0053】
そして、1台の作業車20が終了地点E到達して停止し、他の1台の作業車20がコーナC2に到達して終了地点Eに向けて進行する。
【0054】
この時、終了地点Eに停車している作業車20は、リール装置24の回転リール24aを電動モータにて回転させてテグス糸21が圃場Fに接地しないようにテグス糸21を巻き戻す。
【0055】
そして、他の1台の作業車20が終了地点Eに到達して停止し、作業は終了する。
【0056】
上記では、1台の作業車20のリール装置24の回転リール24aの回転によってテグス糸21の繰出し及び巻き戻しを行う例を示したが、2台の作業車20のリール装置24の回転リール24aの回転によって共同でテグス糸21の繰出し及び巻き戻しを行っても良い。
【0057】
(2)トラクタ及び作業機、田植機、コンバイン、野菜移植機、野菜収穫機、除草機、防除機等の各種農業機械や田植機及び野菜収穫機用の苗等の消耗資材を提供するセンターを設け、各種営農管理をサブスクリプションサービスで提供し、営農経費の効率化及び作業労力の軽減を図る。
【0058】
各種農業機械は電動農機とし、同一規格のバッテリを相互共用できるようにする(大型の機械には、複数個のバッテリを搭載する)。また、センターには、経費節減の為に屋上等に太陽光発電システムを設置し、多数のバッテリを充電維持管理する。
【0059】
また、センターには、オペレーションルームも設け、各種農業機械を遠隔操作または自律走行作業させることもできる。
【0060】
サブスクリプションサービスとしては、毎月定額料金を支払って各種農業機械が使える月額制、各機械毎にレンタルする単独機種レンタル制、所定回数使用できる回数レンタル制等の如何なるサービスでも良い。
【符号の説明】
【0061】
4 制御部
6 本体
7 推進装置(スクリュー)
8 除草作業部
9 バッテリ
10 パイロットランプ
11 メイン減速用ギヤケース
12 モータ(メインモータ)
13 サブ減速用ギヤケース
14 モータ(サブモータ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8