(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162594
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置及び車両
(51)【国際特許分類】
B60P 1/44 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
B60P1/44 E
B60P1/44 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073032
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清藤 英樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 隼人
(57)【要約】 (修正有)
【課題】自身の機構によって、起伏部を起立位置から倒伏位置へ向けて移動させることができる荷受台昇降装置を提供する。
【解決手段】荷受台昇降装置3は、渡し面11bが荷受面4aから突出する起立位置と渡し面が荷受面に沿う倒伏位置との間で移動可能となるように、荷受台4の基端部に回転可能に接続される起伏部11と、起伏部に、起立位置へ向かう弾性復元力を加える弾性部12と、を備え、起伏部は、倒伏位置へ向かう外力を加えられた場合に、倒伏位置へ向けて移動可能であり、荷受台昇降装置は、荷受台が上昇することに伴って、リンク部8の回転力を起伏部に倒伏位置へ向かう回転力として伝達する伝達部13を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷受面を有する荷受台と、
車体に取り付けられるベース部と、
前記荷受台及び前記ベース部にそれぞれ回転可能に接続されるリンク部と、
前記荷受面と前記車体とを渡すための渡し面を有し、前記渡し面が前記荷受面から突出する起立位置と前記渡し面が前記荷受面に沿う倒伏位置との間で移動可能となるように、前記荷受台の基端部に回転可能に接続される起伏部と、
前記起伏部に、前記起立位置へ向かう弾性復元力を加える弾性部と、
前記荷受台が下端位置と上端位置との間で昇降するように、前記リンク部を回転させる昇降駆動部と、を備え、
前記起伏部は、前記倒伏位置へ向かう外力を加えられた場合に、前記倒伏位置へ向けて移動可能である、荷受台昇降装置であって、
前記荷受台が上昇することに伴って、前記リンク部の回転力を前記起伏部に前記倒伏位置へ向かう回転力として伝達する伝達部をさらに備える、荷受台昇降装置。
【請求項2】
前記伝達部は、
前記荷受台に回転可能に接続される伝達軸部と、
前記荷受台が上昇することに伴って前記リンク部に第1回転方向へ押される第1伝達接触部と、
前記第1回転方向へ回転することに伴って前記起伏部を前記倒伏位置へ向けて押す第2伝達接触部と、を備える、請求項1に記載の荷受台昇降装置。
【請求項3】
前記第2伝達接触部は、前記荷受台が上昇して前記下端位置と前記上端位置との間の中間位置に位置したときに、前記起伏部への押しを開始する、請求項2に記載の荷受台昇降装置。
【請求項4】
前記第2伝達接触部と前記伝達軸部との距離は、前記第1伝達接触部と前記伝達軸部との距離よりも、長い、請求項2又は3に記載の荷受台昇降装置。
【請求項5】
前記伝達部は、前記伝達軸部に対する前記第1伝達接触部及び前記第2伝達接触部の少なくとも一つの位置を変更可能な位置変更手段を備える、請求項2又は3に記載の荷受台昇降装置。
【請求項6】
請求項1~3の何れか1項に記載の荷受台昇降装置と、
前記荷受台昇降装置が取り付けられる車体と、を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、荷受台昇降装置及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、荷受台昇降装置は、荷受面を有する荷受台と、車体に取り付けられるベース部と、荷受台とベース部とに接続されるリンク部と、荷受面に対して起伏可能な起伏部とを備えている(例えば、特許文献1)。そして、荷受台が上昇すること伴って、起伏部は、荷受面から突出する起立位置から、荷受面に沿う倒伏位置へ移動する。
【0003】
ところで、特許文献1に係る荷受台昇降装置においては、車体(例えば、荷箱)の突起等が起伏部に当たることによって、起伏部は、起立位置から倒伏位置へ向けて移動する。したがって、車両に突起等が必要になる。それに対して、荷受台昇降装置自身の機構によって、起伏部を起立位置から倒伏位置へ向けて移動させたいという要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、自身の機構によって、起伏部を起立位置から倒伏位置へ向けて移動させることができる荷受台昇降装置及び車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
荷受台昇降装置は、荷受面を有する荷受台と、車体に取り付けられるベース部と、前記荷受台及び前記ベース部にそれぞれ回転可能に接続されるリンク部と、前記荷受面と前記車体とを渡すための渡し面を有し、前記渡し面が前記荷受面から突出する起立位置と前記渡し面が前記荷受面に沿う倒伏位置との間で移動可能となるように、前記荷受台の基端部に回転可能に接続される起伏部と、前記起伏部に、前記起立位置へ向かう弾性復元力を加える弾性部と、前記荷受台が下端位置と上端位置との間で昇降するように、前記リンク部を回転させる昇降駆動部と、を備え、前記起伏部は、前記倒伏位置へ向かう外力を加えられた場合に、前記倒伏位置へ向けて移動可能である、荷受台昇降装置であって、前記荷受台が上昇することに伴って、前記リンク部の回転力を前記起伏部に前記倒伏位置へ向かう回転力として伝達する伝達部をさらに備える。
【0007】
車両は、前記の荷受台昇降装置と、前記荷受台昇降装置が取り付けられる車体と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る車両の要部側面図であって、荷受台が格納位置に位置する状態を示す図
【
図2】同実施形態に係る荷受台昇降装置の側面図であって、荷受台が下端位置に位置する状態を示す図
【
図3】同実施形態に係る荷受台昇降装置の側面図であって、荷受台が上端位置に位置する状態を示す図
【
図4】同実施形態に係る荷受台昇降装置の要部斜視図であって、起伏部が起立位置に位置する状態を示す図
【
図5】同実施形態に係る荷受台昇降装置の要部斜視図であって、荷受台が上端位置に位置し且つ起伏部が倒伏位置に位置する状態を示す図
【
図6】同実施形態に係る荷受台昇降装置の一部断面を示す要部側面図であって、起伏部が起立位置に位置する状態を示す図
【
図7】同実施形態に係る荷受台昇降装置の一部断面を示す要部側面図であって、起伏部が倒伏位置に位置する状態を示す図
【
図8】
図6の状態から、起伏部に外力が加えられた状態を示す図
【
図10】伝達軸部に対する第1伝達接触部の位置を
図6~
図8の位置から変更させた図
【
図11】他の実施形態に係る荷受台昇降装置の一部断面を示す要部側面図であって、起伏部が起立位置に位置する状態を示す図
【
図12】同実施形態に係る荷受台昇降装置の一部断面を示す要部側面図であって、起伏部が倒伏位置に位置する状態を示す図
【
図13】
図11の状態から、起伏部に外力が加えられた状態を示す図
【
図14】さらに他の実施形態に係る車両の要部側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図面において、構成要素の寸法は、例えば、理解を容易にするために、実際の寸法に対して拡大、縮小して示す場合があり、また、各図面の間での寸法比は、一致していない場合がある。なお、各図面において、例えば、理解を容易にするために、構成要素の一部を省略して示す場合がある。
【0010】
第1、第2等の序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、構成要素は、この用語によって特に限定されるものではない。なお、序数を含む構成要素の個数は、特に限定されず、例えば、一つでもよい場合がある。また、以下の明細書で用いられる序数は、特許請求の範囲に記載された序数と異なる場合がある。
【0011】
以下の説明において、第1横方向D1は、前後方向ともいい、第1横方向D1のうち、各図における矢印方向を前方向とし、各図における矢印方向と反対方向を後方向とする。また、第2横方向D2は、左右方向ともいい、第2横方向D2のうち、各図における矢印方向を左方向とし、各図における矢印方向と反対方向を右方向とする。
【0012】
即ち、それぞれの方向は、車両の運転席に座った人(ドライバー)から見た方向としている。なお、前後や左右については、説明の便宜上で用いるためであって、実物において、前後が反対になったり、左右が反対になったり、前後と左右とが入れ替わったり(90度回転したり)してもよいことは勿論である。また、第3方向D3は、上下方向D3である。
【0013】
以下、車両及び荷受台昇降装置における一実施形態について、
図1~
図10を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、車両及び荷受台昇降装置の構成等の理解を助けるために例示するものであり、車両及び荷受台昇降装置の構成を限定するものではない。
【0014】
図1に示すように、車両1は、例えば、車体2と、車体2に取り付けられる荷受台昇降装置3とを備えている。なお、車両1は、特に限定されず、例えば、本実施形態のように、荷役車両としてもよい。即ち、車体2は、例えば、本実施形態のように、車体枠2aと、車体2の後端部で且つ車体枠2aの上に配置される荷箱2bとを備えていてもよい。
【0015】
図1及び
図2に示すように、荷受台昇降装置3は、例えば、荷受面4aを有する荷受台4と、車体枠2aに取り付けられるベース部5と、荷受台4及びベース部5を前後方向D1へ移動させる移動機構6と、荷受台4を昇降させる(上下方向D3へ移動させる)昇降機構7とを備えていてもよい。
【0016】
荷受台4は、例えば、本実施形態のように、第1荷受部4bと、第1荷受部4bの後方に配置され、前端部(基端部)が第1荷受部4bの後端部(先端部)と回転可能に接続される第2荷受部4cとを備えていてもよい。これにより、荷受台4が使用されない場合には、
図1に示すように、第2荷受部4cは、第1荷受部4bの上に重なるように、折り畳まれる。
【0017】
一方で、荷受台4が使用される場合には、
図2に示すように、第1荷受部4bの荷受面4aと第2荷受部4cの荷受面4aとが面一となるように、第2荷受部4cが展開される。なお、荷受部4b,4cの数は、特に限定されず、例えば、本実施形態のように、二つでもよく、また、例えば、三つ以上でもよく、また、例えば、一つのみでもよい。
【0018】
移動機構6は、例えば、本実施形態のように、ベース部5を前後方向D1に案内する案内部6aと、図示していないが、ベース部5を前後方向D1に移動させる前後駆動部(横駆動部)とを備えていてもよい。なお、前後駆動部は、特に限定されないが、例えば、前後方向D1に伸縮可能なシリンダや、モータとしてもよい。これにより、ベース部5は、前後方向D1へ移動する。
【0019】
したがって、荷受台4が使用されない場合には、
図1に示すように、荷受台4及びベース部5は、前端位置である格納位置に位置する。このように、荷受台4は、コンパクトにされて、荷箱2bや車体枠2aの下に格納される。一方で、荷受台4が使用される場合には、
図2に示すように、荷受台4及びベース部5は、後端位置である荷受位置に位置する。
【0020】
図2及び
図3に示すように、昇降機構7は、例えば、荷受台4とベース部5とに接続される第1及び第2リンク部8,9と、荷受台4を昇降させる昇降駆動部10とを備えていてもよい。これにより、荷受台4は、
図2に示すような下端位置から、
図3に示すような上端位置まで、昇降することができる。
【0021】
昇降駆動部10は、特に限定されないが、例えば、モータとしてもよく、また、例えば、本実施形態のように、伸縮可能なシリンダ10aとしてもよい。シリンダ10aは、例えば、本実施形態のように、第1リンク部8に回転可能に接続される第1シリンダ軸部10bと、ベース部5に回転可能に接続される第2シリンダ軸部10cとを備えていてもよい。
【0022】
第1リンク部8は、例えば、本実施形態のように、荷受台4(具体的には、第1荷受部4bの前端部)に回転可能に接続される第1荷受軸部8aと、ベース部5に回転可能に接続される第1ベース軸部8bとを備えていてもよい。例えば、本実施形態のように、左右方向D2視において、第1荷受軸部8aは、第1リンク部8の第1端部に配置され、第1ベース軸部8bは、第1リンク部8の第2端部に配置されている、という構成でもよい。
【0023】
また、第2リンク部9は、例えば、本実施形態のように、荷受台4(具体的には、第1荷受部4bの前端部)に回転可能に接続される第2荷受軸部9aと、ベース部5に回転可能に接続される第2ベース軸部9bとを備えていてもよい。例えば、本実施形態のように、左右方向D2視において、第2荷受軸部9aは、第2リンク部9の第1端部に配置され、第2ベース軸部9bは、第2リンク部9の第2端部に配置されている、という構成でもよい。
【0024】
これにより、第1リンク部8及び第2リンク部9は、平行リンク機構を構成している。したがって、第1及び第2リンク部8,9がそれぞれベース軸部8b,9bを軸にして回転することによって、荷受台4が昇降するときに、荷受面4aは、水平姿勢で維持される。なお、荷受台4が上端位置に位置するときに、荷受台4の荷受面4aの高さは、例えば、荷箱2bの床面2cの高さに合わせられていてもよい。
【0025】
図2~
図5に示すように、荷受台昇降装置3は、例えば、荷受台4に回転可能に接続される起伏部11を備えている、という構成でもよい。起伏部11は、荷受台4の荷受面4aと車体2とを渡すための渡し面11bを備えている。そして、起伏部11は、
図2及び
図4に示すように、渡し面11bが荷受面4aから上方へ突出する起立位置と、
図3及び
図5に示すように、渡し面11bが荷受面4aに沿う倒伏位置との間で、移動(倒伏)可能となっている。
【0026】
そして、
図3及び
図5に示すように、荷受台4が上端位置に位置するときに、起伏部11が倒伏位置に位置することによって、渡し面11bの一部は、上下方向D3視にて、荷箱2bの床面2cと重なっていてもよい。なお、荷受台4が上端位置に位置し、且つ、起伏部11が倒伏位置に位置するときに、例えば、渡し面11bは、上下方向D3視にて、車体2(例えば、荷箱2bの床面2c)から離れる、即ち、車体2との間に隙間を有していてもよい。
【0027】
また、
図2及び
図4~
図5に示すように、第2荷受部4cは、例えば、折り畳まれたときに起伏部11に接する保護部4dを備えていてもよい。例えば、保護部4dの硬度が、起伏部11の硬度よりも小さいことによって、起伏部11が損傷することを抑制することができる。特に限定されないが、例えば、起伏部11は、金属で形成され、保護部4dは、樹脂で形成されている、という構成でもよい。
【0028】
図6に示すように、起伏部11は、例えば、荷受台4に回転可能に接続される起伏軸部11aを備えていてもよい。起伏軸部11aは、例えば、本実施形態のように、荷受台4の前端部(基端部)、具体的には、第1荷受部4bの前端部(基端部)に連結されていてもよい。なお、
図6(
図7~
図8及び
図10~
図13も同様)において、起伏軸部11aが連結される荷受台4の部材(例えば、ブラケット)は、図示されていない。
【0029】
荷受台昇降装置3は、例えば、起伏部11に弾性復元力を加える弾性部12と、第1リンク部8の回転力を起伏部11に伝達する伝達部13とを備えていてもよい。これにより、弾性部12の弾性復元力が起立位置へ向かう弾性復元力を起伏部11へ加えるため、起伏部11に外力が加えられていない場合には、起伏部11は、起立位置に位置する。
【0030】
弾性部12は、特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、トーションスプリング12aを備えていてもよい。これにより、弾性部12は、起伏軸部11aの軸回り方向(
図6においては、時計回り方向)の弾性復元力を、起伏部11へ加えている。なお、特に限定されないが、弾性部12は、例えば、起伏部11に加える弾性復元力を変更可能な力変更手段(例えば、ネジ部材)を備えていてもよい。
【0031】
伝達部13は、例えば、本実施形態のように、荷受台4に回転可能に接続される伝達軸部13aと、伝達軸部13aを軸にして回転する回転部13bとを備えていてもよい。伝達軸部13aは、例えば、本実施形態のように、荷受台4の前端部(基端部)、具体的には、第1荷受部4bの前端部(基端部)に連結されていてもよい。なお、
図6(
図7~
図8及び
図10も同様)において、伝達軸部13aが連結される荷受台4の部材(例えば、ブラケット)は、図示されていない。
【0032】
例えば、本実施形態のように、伝達部13は、第1リンク部8に接する第1伝達接触部13cと、起伏部11に接する第2伝達接触部13dとを備えており、第1リンク部8は、第1伝達接触部13cに接するリンク接触部8cを備えており、起伏部11は、第2伝達接触部13dに接する起伏接触部11cを備えている、という構成でもよい。
【0033】
第1伝達接触部13cの構成は、特に限定されない。例えば、本実施形態のように、回転部13bは、伝達軸部13aから突出する第1突出片13eを備えており、伝達部13は、第1突出片13eに固定される固定部13fを備えており、第1伝達接触部13cは、固定部13fで構成されている、という構成でもよい。
【0034】
第2伝達接触部13dの構成は、特に限定されない。例えば、本実施形態のように、回転部13bは、伝達軸部13aから第1突出片13eと異なる方向へ突出する第2突出片13gを備えており、第2伝達接触部13dは、第2突出片13gで構成されている、という構成でもよい。
【0035】
リンク接触部8cの構成は、特に限定されない。例えば、本実施形態のように、第1リンク部8は、左右方向D2に離れる一対(
図7~
図8及び
図10においては、一つのみ図示している)のリンク体8d,8dと、左右方向D2に延び、一対のリンク体8d,8dを接続する第1接続体8eとを備えており、リンク接触部8cは、第1接続体8eで構成されている、という構成でもよい。
【0036】
起伏接触部11cの構成は、特に限定されない。例えば、本実施形態のように、起伏部11は、左右方向D2に離れる一対(
図7~
図8及び
図10においては、一つのみ図示している)の板体11d,11dと、左右方向D2に延び、一対の板体11d,11dを接続する第2接続体11eとを備えており、起伏接触部11cは、第2接続体11eで構成されている、という構成でもよい。
【0037】
ここで、本実施形態に係る起伏部11の動作について、
図6~
図8を参照しながら説明する。なお、起伏部11の動作は、以下の内容に限定されない。
【0038】
例えば、荷受台4が下端位置に位置しているときには(
図2参照)、図示していないが、第1伝達接触部13cは、リンク接触部8cから離れている。そして、各リンク部8,9がベース軸部8b,9b(
図3参照)を軸にして回転することによって、荷受台4は、上昇する。
【0039】
その後、荷受台4が下端位置と上端位置との間の中間位置に位置したときに、
図6に示すように、第1伝達接触部13cは、リンク接触部8cに接する。そして、荷受台4がさらに上昇することによって、第1リンク部8が第1荷受軸部8aを軸にして第1回転方向(
図6~
図8及び
図10において、反時計回り方向)へ回転するため、第1伝達接触部13cは、リンク接触部8cに第1回転方向へ押される。
【0040】
これにより、伝達部13の回転部13bが弾性部12の弾性復元力に抗して第1回転方向へ回転するため、第2伝達接触部13dは、起伏接触部11cに接し、起伏部11を倒伏位置へ向けて(即ち、第1回転方向へ)押す。このように、荷受台4が上昇し中間位置に位置したときに、第2伝達接触部13dは、起伏部11への押しを開始する。
【0041】
したがって、荷受台4が上昇して中間位置に位置するときまで、起伏部11を起立位置に位置させることができる。その結果、これにより、例えば、荷受台4の上の台車の車輪が荷受台4から落ちることを抑制することができる。
【0042】
また、例えば、台車を、中間位置よりも低い位置(例えば、下端位置よりも高い位置)の床から、荷受台4の上へ載せ替えるときにも、起伏部11は、起立位置に位置することになる。これにより、台車を当該床から荷受台4の上へ載せるときに、起伏部11を、荷受台4の上の台車を止めるためのストッパとして機能させることができる。
【0043】
なお、中間位置は、特に限定されないが、例えば、上端位置及び下端位置間の上下方向の中心位置よりも上方の位置であることが好ましい。また、中間位置は、例えば、上端位置から下方へ300mm以内の位置であることが好ましく、また、例えば、上端位置から下方へ200mm以内の位置であることがさらに好ましい。
【0044】
その後、荷受台4がさらに上昇して上端位置まで移動することによって(
図3及び
図5参照)、
図7に示すように、起伏部11はさらに第1回転方向へ回転して倒伏位置まで移動する。したがって、例えば、荷受台4と荷箱2bとの間で、台車を容易に載せ替えることができる。
【0045】
このように、荷受台4が上昇することに伴って、伝達部13は、第1リンク部8の第1荷受軸部8aを軸とした第1回転方向の回転力を、起伏部11に対して、倒伏位置へ向かう第1回転方向の回転力として、伝達する。これにより、荷受台昇降装置3の自身の機構である伝達部13によって、起伏部11を起立位置から倒伏位置へ向けて移動させることができる。
【0046】
一方で、荷受台4が上端位置から下降した場合には、第1伝達接触部13cがリンク接触部8cに当て止めされる位置まで、回転部13bは、弾性部12の弾性復元力によって、第1回転方向と反対の第2回転方向(
図6~
図8及び
図10において、時計回り方向)に回転する。これにより、起伏接触部11cが第2伝達接触部13dに当て止めされる位置まで、起伏部11は、起立位置へ向けて移動する。
【0047】
そして、荷受台4が下降して中間位置まで移動したときに、起伏部11は、起立位置まで移動する。これにより、例えば、荷受台4が中間位置から下端位置へ下降するときに、起伏部11が起立位置で位置させることができるため、例えば、起伏部11を、荷受台4の上の台車を止めるためのストッパとして機能させることができる。
【0048】
なお、
図6の状態から、例えば、台車が起伏部11に衝突等して、起伏部11に、弾性部12の弾性復元力よりも大きい第1回転方向の外力が加えられた場合には、
図8に示すように、起伏接触部11cは、第2伝達接触部13dから離れることになる。これにより、起伏部11の第1回転方向への回転が伝達部13に阻害されないため、起伏部11は、倒伏位置へ向けて移動可能である。したがって、起伏部11に外力が加えられた場合に、例えば、伝達部13が損傷することを抑制することができる。
【0049】
また、荷受台4は、例えば、本実施形態のように、起伏部11を倒伏位置で止める規制部4eを備えていてもよい。これにより、起伏部11に外力が加えられた場合に、規制部4eが起伏部11を倒伏位置で止めるため、起伏部11が倒伏位置からさらに第1回転方向へ回転することを規制することができる。
【0050】
したがって、例えば、荷受台4と荷箱2bとの間で台車を載せ替えるときに、台車が起伏部11の上に乗った場合でも、起伏部11が倒伏位置から移動しない。その結果、荷受台4と荷箱2bとの間に段差が生じることを抑制することができるため、荷受台4と荷箱2bとの間で台車を容易に載せ替えることができる。
【0051】
ところで、例えば、本実施形態のように、第2伝達接触部13dと伝達軸部13aとの距離は、第1伝達接触部13cと伝達軸部13aとの距離よりも、長いことが好ましい。これにより、第1伝達接触部13cの移動量に対して、第2伝達接触部13dの移動量を大きくすることができる。
【0052】
したがって、例えば、第1リンク部8の移動量に対して、起伏部11の移動量を大きくすることができるため、荷受台4が上端位置の近傍に位置するまで、起伏部11を起立位置に位置させることができる。その結果、荷受台4が上端位置の近傍に位置するまで、例えば、起伏部11を、荷受台4の上の台車を止めるためのストッパとして機能させることができる。
【0053】
また、
図9及び
図10に示すように、伝達部13は、例えば、伝達軸部13aに対する第1伝達接触部13cの位置を変更可能な位置変更手段13hを備えていてもよい。これにより、起伏部11が倒伏位置に位置するときの荷受台4の高さ位置を変更することができる。したがって、例えば、荷受台4の上端位置が車体2によって異なる場合でも、位置変更手段13hによって第1伝達接触部13cの位置を調整することによって、荷受台4が上端位置に位置したときに、起伏部11を倒伏位置に位置させることができる。
【0054】
位置変更手段13hの構成は、特に限定されない。例えば、本実施形態のように、伝達部13は、回転部13bに対する取り付け位置を変更可能に、回転部13bに着脱可能な取付部13iを備えており、固定部13fは、取付部13iに固定されるネジ部材で構成される、という構成でもよい。
【0055】
これにより、第1伝達接触部13cが固定部13fで構成されているため、取付部13iから突出する固定部13fの長さが変更されることによって、伝達軸部13aに対する第1伝達接触部13cの位置を変更することができる。したがって、位置変更手段13hは、固定部13fで構成されている。
【0056】
また、例えば、本実施形態のように、回転部13bは、複数の貫通孔を備えており、図示していないが、取付部13iも、複数の貫通孔を備えており、締結手段13jのボルトに挿通される各貫通孔が、変更される、という構成でもよい。これにより、
図10に示すように、回転部13bに対する取付部13iの取り付け位置を変更することによって、伝達軸部13aに対する第1伝達接触部13cの位置を変更することができる。
【0057】
したがって、固定部13fにおける第1伝達接触部13cの位置を変更したり、第1接続体8eにおけるリンク接触部8cの位置を変更したりすることができるため、例えば、第1伝達接触部13cとリンク接触部8cとの接触を安定にすることもできる。このように、位置変更手段13hは、取付部13i及び締結手段13jでも構成されている。
【0058】
以上より、本実施形態のように、車両1は、前記の荷受台昇降装置3と、前記荷受台昇降装置3が取り付けられる車体2と、を備える。
【0059】
また、本実施形態のように、荷受台昇降装置3は、荷受面4aを有する荷受台4と、車体2に取り付けられるベース部5と、前記荷受台4及び前記ベース部5にそれぞれ回転可能に接続されるリンク部8,9と、前記荷受面4aと前記車体2とを渡すための渡し面11bを有し、前記渡し面11bが前記荷受面4aから突出する起立位置と前記渡し面11bが前記荷受面4aに沿う倒伏位置との間で移動可能となるように、前記荷受台4の基端部に回転可能に接続される起伏部11と、前記起伏部11に、前記起立位置へ向かう弾性復元力を加える弾性部12と、前記荷受台4が下端位置と上端位置との間で昇降するように、前記リンク部8,9を回転させる昇降駆動部10と、を備え、前記起伏部11は、前記倒伏位置へ向かう外力を加えられた場合に、前記倒伏位置へ向けて移動可能である、荷受台昇降装置3であって、前記荷受台4が上昇することに伴って、前記リンク部(本実施形態においては、第1リンク部)8の回転力を前記起伏部11に前記倒伏位置へ向かう回転力として伝達する伝達部13をさらに備える、という構成が好ましい。
【0060】
斯かる構成によれば、荷受台4が上昇することに伴って、伝達部13は、リンク部(本実施形態においては、第1リンク部)8の回転力を、起伏部11に倒伏位置へ向かう回転力として、伝達する。これにより、荷受台昇降装置3の自身の機構によって、起伏部11を起立位置から倒伏位置へ向けて移動させることができる。
【0061】
また、本実施形態のように、荷受台昇降装置3においては、前記伝達部13は、前記荷受台4に回転可能に接続される伝達軸部13aと、前記荷受台4が上昇することに伴って前記リンク部(本実施形態においては、第1リンク部)8に第1回転方向へ押される第1伝達接触部13cと、前記第1回転方向へ回転することに伴って前記起伏部11を前記倒伏位置へ向けて押す第2伝達接触部13dと、を備える、という構成が好ましい。
【0062】
斯かる構成によれば、荷受台4が上昇することに伴って、第1伝達接触部13cは、リンク部(本実施形態においては、第1リンク部)8に第1回転方向へ押される。これにより、伝達部13が第1回転方向へ回転するため、第2伝達接触部13dは、弾性部12の弾性復元力に抗して、起伏部11を倒伏位置へ向けて押す。したがって、伝達部13は、リンク部8の回転力を、起伏部11に倒伏位置へ向かう回転力として、伝達する。
【0063】
また、本実施形態のように、荷受台昇降装置3においては、前記第2伝達接触部13dは、前記荷受台4が上昇して前記下端位置と前記上端位置との間の中間位置に位置したときに、前記起伏部11への押しを開始する、という構成が好ましい。
【0064】
斯かる構成によれば、荷受台4が上昇し中間位置に位置したときに、第2伝達接触部13dは、起伏部11への押しを開始する。これにより、荷受台4が中間位置に位置するときまで、起伏部11を起立位置に位置させることができる。
【0065】
また、本実施形態のように、荷受台昇降装置3においては、前記第2伝達接触部13dと前記伝達軸部13aとの距離は、前記第1伝達接触部13cと前記伝達軸部13aとの距離よりも、長い、という構成が好ましい。
【0066】
斯かる構成によれば、第2伝達接触部13dと伝達軸部13aとの距離が、第1伝達接触部13cと伝達軸部13aとの距離よりも長いため、第1伝達接触部13cの移動量に対して、第2伝達接触部13dの移動量を大きくすることができる。
【0067】
また、本実施形態のように、荷受台昇降装置3においては、前記伝達部13は、前記伝達軸部13aに対する前記第1伝達接触部13c及び前記第2伝達接触部13dの少なくとも一つ(本実施形態においては、第1伝達接触部13c)の位置を変更可能な位置変更手段13hを備える、という構成が好ましい。
【0068】
斯かる構成によれば、位置変更手段13hが、伝達軸部13aに対する第1伝達接触部13c及び第2伝達接触部13dの少なくとも一つ(本実施形態においては、第1伝達接触部13c)の位置を変更することによって、起伏部11が倒伏位置に位置するときの荷受台4の高さ位置を変更することができる。
【0069】
なお、車両1及び荷受台昇降装置3は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、車両1及び荷受台昇降装置3は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0070】
(1)上記実施形態に係る荷受台昇降装置3においては、伝達部13は、伝達軸部13aで、荷受台4に回転可能に接続されている、という構成である。しかしながら、荷受台昇降装置3は、斯かる構成に限られない。例えば、伝達部は、第1リンク部8及び起伏部11にそれぞれ接続されている、という構成でもよい。
【0071】
一例として、伝達部は、例えば、端部が第1リンク部8及び起伏部11にそれぞれ接続される変形可能な紐体(例えば、ワイヤロープ)を備えていてもよい。また、別の例として、
図11~
図13に示すように、伝達部14は、第1リンク部8及び起伏部11にそれぞれ接続される伝達リンク部14aを備えている、という構成でもよい。
【0072】
図11~
図13に係る荷受台昇降装置3について、以下に説明する。
【0073】
図11に示すように、例えば、伝達部14は、伝達リンク部14aを起伏部11に回転可能に接続するリンク軸部14bと、第1リンク部8に固定され、伝達リンク部14aに接続される接続部14cとを備えていてもよい。また、
図11に示すように、伝達リンク部14aは、例えば、接続部14cを内部に配置させて案内する案内孔部14dを備えていてもよく、案内孔部14dは、例えば、接続部14cを当て止めする当止部14eを備えていてもよい。
【0074】
そして、例えば、荷受台4が下端位置に位置しているときには(
図2参照)、図示していないが、当止部14eは、接続部14cから離れている。そして、荷受台4が上昇して中間位置に位置したときに、
図11に示すように、当止部14eは、接続部14cに接する。
【0075】
そして、荷受台4がさらに上昇することによって、第1リンク部8が第1荷受軸部8aを軸にして第1回転方向(
図11~
図13において、反時計回り方向)へ回転するため、起伏部11は、伝達リンク部14aから第1リンク部8の回転力を伝達される。これにより、リンク軸部14bと接続部14cとの距離が一定となるように、起伏部11は、弾性部12の弾性復元力に抗して、第1回転方向へ回転する。
【0076】
その後、荷受台4がさらに上昇して上端位置まで移動することによって(
図3及び
図5参照)、
図12に示すように、起伏部11はさらに第1回転方向へ回転して倒伏位置まで移動する。これにより、荷受台昇降装置3の自身の機構である伝達部14によって、起伏部11を起立位置から倒伏位置へ向けて移動させることができる。
【0077】
また、例えば、
図11の状態から、起伏部11に第1回転方向の外力が加えられた場合には、
図13に示すように、接続部14cは、当止部14eから離れ、案内孔部14dに案内されることになる。これにより、起伏部11の第1回転方向への回転が伝達部14に阻害されないため、起伏部11は、倒伏位置へ向けて移動可能である。
【0078】
(2)また、上記実施形態に係る荷受台昇降装置3においては、荷受台4は、格納位置に位置するときに、荷箱2bや車体枠2aの下に格納される、という構成である。しかしながら、荷受台昇降装置3は、斯かる構成に限られない。
【0079】
例えば、
図14に示すように、荷受台4は、使用されない場合に、車体2(具体的には、荷箱2b)の後方部の格納位置に位置する、という構成でもよい。斯かる構成においては、荷受台4は、荷箱2bの扉を兼ねていてもよい。そして、例えば、
図14に示すように、荷受台昇降装置3は、荷受台4を上端位置と格納位置との間で移動させるために、第1荷受軸部8aを軸として荷受台4を回転させる回転駆動部15を備えている、という構成でもよい。
【0080】
(3)また、上記実施形態に係る荷受台昇降装置3においては、荷受台4が上昇して中間位置に位置したときに、第2伝達接触部13dは、起伏部11への押しを開始する、という構成である。しかしながら、荷受台昇降装置3は、斯かる構成に限られない。例えば、荷受台4が下端位置から上昇したときに、第2伝達接触部13dは、起伏部11への押しを開始する、という構成でもよい。
【0081】
(4)また、上記実施形態に係る荷受台昇降装置3においては、第2伝達接触部13dと伝達軸部13aとの距離は、第1伝達接触部13cと伝達軸部13aとの距離よりも、長い、という構成である。しかしながら、荷受台昇降装置3は、斯かる構成に限られない。例えば、第2伝達接触部13dと伝達軸部13aとの距離は、第1伝達接触部13cと伝達軸部13aとの距離よりも、短い、という構成でもよい。
【0082】
(5)また、上記実施形態に係る荷受台昇降装置3においては、位置変更手段13hは、伝達軸部13aに対する第1伝達接触部13cの位置を変更可能である、という構成である。しかしながら、荷受台昇降装置3は、斯かる構成に限られない。
【0083】
例えば、位置変更手段13hは、伝達軸部13aに対する第2伝達接触部13dの位置を変更可能である、という構成でもよい。また、例えば、位置変更手段13hは、伝達軸部13aに対する第1及び第2伝達接触部13c,13dの両方の位置をそれぞれ変更可能である、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…車両、2…車体、2a…車体枠、2b…荷箱、2c…床面、3…荷受台昇降装置、4…荷受台、4a…荷受面、4b…第1荷受部、4c…第2荷受部、4d…保護部、4e…規制部、5…ベース部、6…移動機構、6a…案内部、7…昇降機構、8…第1リンク部、8a…第1荷受軸部、8b…第1ベース軸部、8c…リンク接触部、8d…リンク体、8e…第1接続体、9…第2リンク部、9a…第2荷受軸部、9b…第2ベース軸部、10…昇降駆動部、10a…シリンダ、10b…第1シリンダ軸部、10c…第2シリンダ軸部、11…起伏部、11a…起伏軸部、11b…渡し面、11c…起伏接触部、11d…板体、11e…第2接続体、12…弾性部、12a…トーションスプリング、13…伝達部、13a…伝達軸部、13b…回転部、13c…第1伝達接触部、13d…第2伝達接触部、13e…第1突出片、13f…固定部、13g…第2突出片、13h…位置変更手段、13i…取付部、13j…締結手段、14…伝達部、14a…伝達リンク部、14b…リンク軸部、14c…接続部、14d…案内孔部、14e…当止部、15…回転駆動部、D1…第1横方向(前後方向)、D2…第2横方向(左右方向)、D3…上下方向