IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-超音波デバイス 図1
  • 特開-超音波デバイス 図2
  • 特開-超音波デバイス 図3
  • 特開-超音波デバイス 図4
  • 特開-超音波デバイス 図5
  • 特開-超音波デバイス 図6
  • 特開-超音波デバイス 図7
  • 特開-超音波デバイス 図8
  • 特開-超音波デバイス 図9
  • 特開-超音波デバイス 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162600
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】超音波デバイス
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/00 20060101AFI20231101BHJP
   H10N 30/30 20230101ALI20231101BHJP
【FI】
H04R17/00 330H
H01L41/113
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073039
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】松田 洋史
【テーマコード(参考)】
5D019
【Fターム(参考)】
5D019AA26
5D019BB02
5D019BB19
5D019BB28
(57)【要約】
【課題】空隙の無い貫通電極を有する超音波デバイスを提供する。
【解決手段】超音波デバイス1は、超音波素子13を含む第1基板10と、第1基板10上の電極11,12と、第1基板10と対向する第1面20aから第1面20aとは反対側の第2面20bに貫通する開口部21,22を有する第2基板20と、第1基板10又は電極11,12と第2基板20との間に介在し、第1基板10と第2基板20とを離間させるギャップ材14と、を備え、第2基板20は、第1基板10に対して第1方向に積層され、第1方向からの平面視にて、開口部21,22は、電極11,12と重なり、ギャップ材14で囲まれた領域は、開口部21,22を囲う囲い部15と、囲い部15の一部から延伸し、開口部21,22を大気開放するように第1基板10と第2基板20との間を延伸する連通部16,17と、を有することを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波素子を含む第1基板と、
前記第1基板上の電極と、
前記第1基板と対向する第1面から前記第1面とは反対側の第2面に貫通する開口部を有する第2基板と、
前記第1基板又は前記電極と前記第2基板との間に介在し、前記第1基板と前記第2基板とを離間させるギャップ材と、を備え、
前記第2基板は、前記第1基板に対して第1方向に積層され、
前記第1方向からの平面視にて、前記開口部は、前記電極と重なり、
前記ギャップ材で囲まれた領域は、前記開口部を囲う囲い部と、前記囲い部の一部から延伸し、前記開口部を大気開放するように前記第1基板と前記第2基板との間を延伸する連通部と、を有することを特徴とする超音波デバイス。
【請求項2】
前記連通部は、前記第1基板の端部まで延伸することを特徴とする、
請求項1に記載の超音波デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波素子が形成された第1面を有する基板と、電極に対向して開口部が設けられた保護基板と、を備え、基板と保護基板との間にギャップを設けるためのギャップ材が配置されている超音波デバイスが特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-114744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の超音波デバイスは、開口部に導電性樹脂等を流し込んで超音波素子の電極と導通をとる場合、開口部内に空気が残ってしまうことがある。空気がある部分は、導電性樹脂が存在しないため、電極との接触面積の減少による接触抵抗の増加や断線してしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
超音波デバイスは、超音波素子を含む第1基板と、前記第1基板上の電極と、前記第1基板と対向する第1面から前記第1面とは反対側の第2面に貫通する開口部を有する第2基板と、前記第1基板又は前記電極と前記第2基板との間に介在し、前記第1基板と前記第2基板とを離間させるギャップ材と、を備え、前記第2基板は、前記第1基板に対して第1方向に積層され、前記第1方向からの平面視にて、前記開口部は、前記電極と重なり、前記ギャップ材で囲まれた領域は、前記開口部を囲う囲い部と、前記囲い部の一部から延伸し、前記開口部を大気開放するように前記第1基板と前記第2基板との間を延伸する連通部と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る超音波デバイスの構成を示す概略図。
図2図1中の送受信部の構造を示す概略平面図。
図3図2中のA-A線断面図。
図4図2中のB-B線断面図。
図5】貫通電極の製造方法を説明するための概略断面図。
図6】貫通電極の製造方法を説明するための概略断面図。
図7】貫通電極の製造方法を説明するための概略断面図。
図8】貫通電極の製造方法を説明するための概略断面図。
図9】貫通電極の製造方法を説明するための概略断面図。
図10】第2実施形態に係る超音波デバイスが備える送受信部の構造を示す概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
1.第1実施形態
先ず、第1実施形態に係る超音波デバイス1について、振動することによって超音波を発生させる超音波素子13を1つ以上有する超音波センサーを一例として挙げ、図1図4を参照して説明する。
尚、以降の平面図及び断面図には、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、及びZ軸を図示している。また、X軸に沿った方向を「X方向」、Y軸に沿った方向を「Y方向」、Z軸に沿った方向を「Z方向」と言う。また、各軸の矢印側を「プラス側」とも言い、矢印と反対側を「マイナス側」とも言う。また、本実施形態における第1方向とは、Z方向のことである。
【0008】
超音波デバイス1は、図1に示すように、超音波の送受信部100とタイマー200とを備える。送受信部100は、超音波を送信方向D1に送信し、対象物Oにて受信方向D2に反射された超音波を受信する。送受信部100が送信する超音波は、超音波素子13によって生成される。また、送受信部100が受信する超音波は、超音波素子13によって受信される。
【0009】
タイマー200は、送受信部100が超音波を送信してから対象物Oにて反射された超音波を受信するまでの時間を計測する。これにより、超音波デバイス1は、超音波デバイス1から対象物Oまでの距離Loを計測する。
【0010】
送受信部100は、図2図3、及び図4に示すように、超音波素子13を含む第1基板10、電極としての第1電極11、電極としての第2電極12、ギャップ材14、及び第2基板20を備える。
【0011】
送受信部100では、図4に示すように、第1基板10からプラスZ方向である上方に向かって、振動板10a、第1電極11又は第2電極12、ギャップ材14、及び第2基板20がこの順番にて積層される。第2基板20は、ギャップ材14を介して第1基板10に対して第1方向となるプラスZ方向に積層される。
【0012】
第1基板10には、貫通部10bが形成される。貫通部10bは、第1基板10を貫通する。第1基板10の上方には、振動板10aが積層される。そのため、貫通部10bに対応する領域の振動板10aは、マイナスZ方向に露出して振動可能な膜として機能する。
【0013】
第1電極11と第2電極12との間に電圧が印加されると、超音波素子13がX方向及びY方向に伸縮する。これにより、上記領域の振動板10aが振動して超音波が生成される。該超音波は、超音波素子13に対応する貫通部10bから対象物Oへ向けて送信される。超音波は、対象物Oで反射された後、貫通部10bを介して振動板10aを振動させ、この振動が超音波素子13に伝達されることによって受信される。従って、超音波デバイス1を用いる際には、貫通部10bを対象物Oに対向させる。尚、超音波素子13の個数は、特に限定されない。本実施形態では、例えば、超音波素子13は、5行5列の配列を構成しているので、超音波素子13の個数は、25個である。
【0014】
第1基板10の材料には、例えば、シリコン(Si)、酸化マグネシウム(MgO)、ランタンアルミネート(LaAlO3)、サファイア、ヒ化ガリウム(GaAs)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、及び酸化アルミニウム(Al23)等が適用される。
振動板10aの材料には、例えば、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化チタン(TiO2)、酸化マグネシウム(MgO)、ランタンアルミネート(LaAlO3)、及び酸化ハフニウム(HfO2)等が適用される。
【0015】
第1基板10上には、振動板10aを介して第1電極11又は第2電極12が配置される。貫通部10bの上方には、超音波素子13が配置される。超音波素子13の下方は、一部が振動板10aに接し、他部が第1電極11に接して配置される。超音波素子13のX方向の両側面及び上方は、第2電極12と接する。即ち、超音波素子13の一端と第1電極11と、及び超音波素子13の他端と第2電極12とは、各々電気的に接続される。超音波素子13の一端が第1電極11に接続され、超音波素子13の他端が第2電極12に接続されるため、超音波素子13を駆動して超音波を発生させたり、超音波を受信させたりすることが可能となる。
【0016】
また、第1基板10上には、図2に示すように、超音波素子13のY方向プラス側に矩形状の2つのギャップ材14が配置され、超音波素子13のY方向マイナス側に後述する開口部21,22を枠状に囲む2つのギャップ材14が配置される。ギャップ材14は、第1基板10又は電極11,12と、第2基板20との間に介在し、第1基板10と第2基板20とを離間させ、超音波素子13が収容される空間を形成する。
【0017】
超音波素子13には、公知の圧電体が適用される。圧電体の材料としては、例えば、ペロブスカイト(ABO3)構造を有する複合酸化物を用いる。具体的には、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの鉛系複合酸化物、鉄酸ビスマス(BFO)系材料及びニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)などの非鉛系複合酸化物が挙げられる。鉛系複合酸化物を用いると、超音波素子13における振動の変位量を確保し易くなる。非鉛系複合酸化物を用いると、環境対応を促進し易くなる。
【0018】
第1電極11及び第2電極12の材料は、導電性を有するものであれば特に限定されない。第1電極11及び第2電極12の材料としては、例えば、Pt(白金)、Ir(イリジウム)、Au(金)、Al、Cu、Ti、ステンレス鋼などの金属材料、酸化インジウム錫(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)などの酸化錫系導電材料、酸化亜鉛系導電材料、ルテニウム系ストロンチウム、ニッケル酸ランタン、元素ドープチタン酸ストロンチウムなどの酸化物導電材料、および導電性ポリマーなどが適用可能である。
【0019】
ギャップ材14は、例えば、光硬化型などの硬化性を有する樹脂によって形成される。これにより、第1基板10と第2基板20との間の、Z方向の間隔が高精度に形成される。
【0020】
第2基板20は、超音波素子13、第1電極11、及び第2電極12に対して、上方でギャップ材14に支持される。第2基板20は、Z方向において、第1基板10と対向する第1面20aと、第1面20aとは反対側の第2面20bと、を有する。第2基板20には、第1基板10と同様な材料が適用される。
【0021】
第2基板20は、第1面20aから第2面20bに貫通する開口部としての第1開口部21及び開口部としての第2開口部22を有する。第1開口部21及び第2開口部22は、超音波素子13のY方向マイナス側に配置された2つの枠状のギャップ材14の各々に対応して配置され、Z方向からの平面視にて、第1電極11及び第2電極12と重なり、超音波素子13とは重ならない。超音波素子13は、第1基板10、第2基板20、及びギャップ材14から形成される空間に配置されるため、超音波素子13が発信又は受信する超音波による振動板10aの振動が妨げられない。
【0022】
ギャップ材14にて枠状に囲まれた領域及び開口部21,22によって上方が開放された空間には、導電性樹脂30が充填され、第1貫通電極31及び第2貫通電極32が形成される。第1貫通電極31は、第1電極11と電気的に接続され、第2貫通電極32は、第2電極12と電気的に接続される。貫通電極31,32は、送受信部100における実装用の接続配線となる。
【0023】
貫通電極31,32は、ギャップ材14にて枠状に囲まれた領域及び開口部21,22に銀ペースト等の導電性樹脂30を充填して固化させることにより形成される。充填する導電性樹脂30の体積をギャップ材14にて枠状に囲まれた領域及び開口部21,22の内容積よりも大きくして、導電性樹脂30の上方の端部を第2基板20から上方に突出させている。導電性樹脂30における上方に突出した部分は、実装が容易で小型の実装用端子となる。
【0024】
超音波素子13のY方向マイナス側に配置されたギャップ材14の詳細な形態について、図2及び図4を参照して説明する。ここで、図2においては、第2基板20に遮蔽される、ギャップ材14、第1電極11、第2電極12、及び超音波素子13等は、第2基板20を透過させて破線で示す。
【0025】
図2に示すように、Z方向からの平面視にて、第1貫通電極31に対応するギャップ材14は、第1開口部21を囲う囲い部15と、囲い部15の一部から延伸し、第1開口部21を大気開放するように第1基板10と第2基板20との間を延伸する連通部としての第1連通部16と、を有する。尚、第1貫通電極31に対応するギャップ材14による第1連通部16は、囲い部15のX方向マイナス側の一部からX方向マイナス側に延伸し、第1連通部16のX方向マイナス側端部からY方向マイナス側に延伸し、第1基板10のY方向マイナス側端部まで延伸している。
【0026】
また、第2貫通電極32に対応するギャップ材14は、第2開口部22を囲う囲い部15と、囲い部15の一部から延伸し、第2開口部22を大気開放するように第1基板10と第2基板20との間を延伸する連通部としての第2連通部17と、を有する。尚、第2貫通電極32に対応するギャップ材14による第2連通部17は、囲い部15のX方向マイナス側の一部からX方向マイナス側に延伸し、第1基板10のX方向マイナス側端部まで延伸している。
【0027】
本実施形態の超音波デバイス1は、ギャップ材14による開口部21,22を囲う囲い部15の一部から開口部21,22を大気開放するように延伸する連通部16,17を有するため、開口部21,22に導電性樹脂30を充填し、貫通電極31,32を形成する際に、囲い部15及び開口部21,22内の空気が連通部16,17から囲い部15及び開口部21,22外に抜け、空隙が生じるのを抑制することができる。
【0028】
また、ギャップ材14は、Z方向からの平面視にて、開口部21,22を囲む枠状に形成されているため、開口部21,22に導電性樹脂30を充填する際に、導電性樹脂30が流れ出て超音波素子13等に接触することが防止される。
【0029】
次に、貫通電極31,32の製造方法について、図5図9を参照して説明する。
【0030】
貫通電極31,32の形成には、ステンシル印刷法が用いられる。ステンシル印刷法は、シルクスクリーン法と同じ漏れ印刷法である。図5に示すように、第2基板20の第2面20bにステンシル40が重ねて配置される。ステンシル40は、第1開口部21及び第2開口部22と同じ形状の穴40aを備える。尚、第1貫通電極31及び第2貫通電極32の形成は特に限定されない。例えば、ディスペンサーを用いて第1貫通電極31及び第2貫通電極32が形成されても良い。
【0031】
X方向マイナス側のステンシル40上にペースト状の導電性樹脂30が載置される。導電性樹脂30は、銀フィラーを含有する糊状の樹脂系接着剤である。導電性樹脂30は、溶媒を含んでおり流動性を有する。導電性樹脂30がスキージ41及びステンシル40に挟まれる。スキージ41は、Y方向に長い板である。プラスX方向を第1摺動方向B1とする。X方向マイナス側のスキージ41がステンシル40に接触した状態でスキージ41が第1摺動方向B1に摺動される。導電性樹脂30は、スキージ41に押されて第1摺動方向B1に移動する。
【0032】
図6に示すように、スキージ41が第2開口部22を通過するとき、導電性樹脂30の一部が穴40aを通って第2開口部22に入る。導電性樹脂30の一部は、第2開口部22及びギャップ材14のX方向プラス側の側壁に沿って第2電極12に達するまで充填される。
【0033】
図7に示すように、スキージ41が第1開口部21を通過するとき、導電性樹脂30の一部が穴40aを通って第1開口部21に入る。導電性樹脂30の一部は、第1開口部21及びギャップ材14のX方向プラス側の側壁に沿って第1電極11に達するまで充填される。
【0034】
その後、スキージ41をマイナスX方向である第2摺動方向B2に移動させる。第2摺動方向B2は、第1摺動方向B1の逆方向である。X方向プラス側のスキージ41がステンシル40に接触した状態でスキージ41が第2摺動方向B2に摺動される。導電性樹脂30は、スキージ41に押されて第2摺動方向B2に移動する。
【0035】
図8に示すように、スキージ41が第1開口部21を通過するとき、導電性樹脂30の一部が穴40aを通って第1開口部21に入る。第2摺動方向B2に移動するスキージ41により、第1開口部21に配置される導電性樹脂30の一部は、第1開口部21及びギャップ材14のX方向マイナス側の側壁に沿って第1電極11に達するまで充填される。尚、ギャップ材14のX方向マイナス側の側壁の一部に第1連通部16が設けられているため、第1開口部21の空気が第1連通部16を介して第1開口部21の外に押し出され、第1貫通電極31に空隙が生じ無い。
【0036】
図9に示すように、スキージ41が第2開口部22を通過するとき、導電性樹脂30の一部が穴40aを通って第2開口部22に入る。第2摺動方向B2に移動するスキージ41により、第2開口部22に配置される導電性樹脂30の一部は、第2開口部22及びギャップ材14のX方向マイナス側の側壁に沿って第2電極12に達するまで充填される。尚、ギャップ材14のX方向マイナス側の側壁の一部に第2連通部17が設けられているため、第2開口部22の空気が第2連通部17を介して第2開口部22の外に押し出され、第2貫通電極32に空隙が生じ無い。
【0037】
尚、本実施形態では、第1摺動方向B1がプラスX方向であり、第2摺動方向B2がマイナスX方向である。そのため、ギャップ材14による開口部21,22を大気開放する連通部16,17は、開口部21,22を囲う囲い部15の一部からマイナスX方向に延伸しているので、スキージ41を第2摺動方向B2に移動する際に、開口部21,22のX方向マイナス側の側壁と電極11,12の上面との間に溜まる空気を開口部21,22外に開放することができる。従って、ギャップ材14による開口部21,22を大気開放する連通部16,17は、囲い部15の一部から第2摺動方向B2に延伸していることが、貫通電極31,32内に空隙を生じさせないために重要である。
【0038】
尚、本実施形態では、超音波デバイス1として対象物Oとの距離Loを計測する超音波センサーを例示したが、超音波デバイス1は、これに限定されない。超音波デバイス1は、例えば、流量センサー、物体検知センサー、画像センサー、及び発電素子等であってもよい。
【0039】
以上述べたように本実施形態の超音波デバイス1は、貫通電極31,32に対応するギャップ材14が開口部21,22を囲う囲い部15と、囲い部15の一部から延伸し、開口部21,22を大気開放するように第1基板10と第2基板20との間を延伸する連通部16,17と、を有する。そのため、貫通電極31,32を製造する際に、開口部21,22内に空隙が生じるのを抑制でき、電極11,12との接触面積の減少による接触抵抗の増加や断線してしまうという虞を低減することができる。
【0040】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態に係る超音波デバイス1aが備える送受信部100aの構造について、図10を参照して説明する。
【0041】
本実施形態の送受信部100aは、第1実施形態の送受信部100に比べ、開口部21,22を囲う囲い部15の一部から延伸する連通部16,17の方向が異なること以外は、第1実施形態の送受信部100と同様である。なお、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項は同じ符号を付してその説明を省略する。
【0042】
本実施形態の超音波デバイス1aの送受信部100aは、図10に示すように、ギャップ材14が開口部21,22を囲う囲い部15と、囲い部15の一部から開口部21,22を大気開放するように第1基板10と第2基板20との間を延伸する連通部16a,17aと、を有する。
【0043】
第1貫通電極31に対応するギャップ材14は、第1開口部21を囲う囲い部15と、囲い部15の一部から延伸し、第1開口部21を大気開放するように第1基板10と第2基板20との間を延伸する第1連通部16aと、を有する。第1貫通電極31に対応するギャップ材14による第1連通部16aは、囲い部15のY方向マイナス側の一部からマイナスY方向に延伸し、第1基板10のY方向マイナス側端部まで延伸している。
【0044】
第2貫通電極32に対応するギャップ材14は、第2開口部22を囲う囲い部15と、囲い部15の一部から延伸し、第2開口部22を大気開放するように第1基板10と第2基板20との間を延伸する第2連通部17aと、を有する。第2貫通電極32に対応するギャップ材14による第2連通部17aは、囲い部15のY方向マイナス側の一部からマイナスY方向に延伸し、第1基板10のY方向マイナス側端部まで延伸している。
【0045】
尚、本実施形態では、開口部21,22及び囲い部15内に導電性樹脂30を充填し、貫通電極31,32を製造する際、第1摺動方向B1をプラスY方向とし、第2摺動方向B2をマイナスY方向とする。これにより、貫通電極31,32内に空隙を生じるのを抑制することができる。
【0046】
このような構成とすることで、第1実施形態の超音波デバイス1と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0047】
1,1a…超音波デバイス、10…第1基板、10a…振動板、10b…貫通部、11…電極としての第1電極、12…電極としての第2電極、13…超音波素子、14…ギャップ材、15…囲い部、16…連通部としての第1連通部、17…連通部としての第2連通部、20…第2基板、20a…第1面、20b…第2面、21…開口部としての第1開口部、22…開口部としての第2開口部、30…導電性樹脂、31…第1貫通電極、32…第2貫通電極、40…ステンシル、40a…穴、41…スキージ、100,100a…送受信部、200…タイマー、B1…第1摺動方向、B2…第2摺動方向、D1…送信方向、D2…受信方向、Lo…距離、O…対象物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10