(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162603
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】テープ止め型吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/53 20060101AFI20231101BHJP
A61F 13/56 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
A61F13/53 200
A61F13/56 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073043
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】蓑田 哲宏
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200CA02
3B200CA06
3B200DB11
(57)【要約】
【課題】インナーパッドを圧迫感なく収納でき、アウターとして使用できるテープ止め型吸収性物品の提供。
【解決手段】前身頃60と股部70と後見頃80とを連接した外装体91と、吸収体20と、ファスニングテープ64と、固定手段とを有し、長さ700mm以上1100mm以下、最大幅700mm以上1500mm以下であり、後身頃80において吸収体20は切り欠き部90を有し、最大幅が300mm以上600mm以下、長さが180mm以上375mm以下、かつ面積が380cm
2以上1000cm
2以下であり、切り欠き部90は、後身頃80での吸収体20幅の40%以上75%以下の幅を有し、後身頃80での吸収体20長さの30%以上60%以下の長さを有し、吸収体20の後身頃80側の縁辺から股部に向けて幅が次第に狭まるように設けた、テープ止め型吸収性物品50。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウターとして使用するテープ止め型吸収性物品であって、
着用者の主に下腹部に当接する前身頃と、着用者の主に股間部に当接する股部と、着用者の主に臀部に当接する後見頃と、が長さ方向にこの順に連接された外装体と、前記外装体の肌側表面で支持される吸収体と、前記後見頃に幅方向両側から外方に突出するファスニングテープと、これに係合可能な固定手段と、を有し、
前記テープ止め型吸収性物品の長さが700mm以上1100mm以下、最大部の幅が700mm以上1500mm以下であり、
前記後身頃における前記吸収体は、前記吸収体の前記後身頃側の縁辺から前記股部に向けて拡がる切り欠き部を有し、最大幅が300mm以上600mm以下であり、長さが180mm以上375mm以下であり、かつ面積が380cm2以上1000cm2以下であり、
前記切り欠き部は、
前記後身頃における前記吸収体の幅に対して40%以上75%以下の幅を有し、
前記後身頃における前記吸収体の長さに対して30%以上60%以下の長さを有し、
前記吸収体の前記後身頃側の前記縁辺から前記股部に向かうにつれて前記幅が次第に狭まるよう設けられるテープ止め型吸収性物品。
【請求項2】
前記後身頃における前記吸収体の面積と、前記切り欠き部の面積との比が100:7以上100:75以下である、請求項1に記載のテープ止め型吸収性物品。
【請求項3】
前記切り欠き部は、長さ方向前記股部側の前端と、長さ方向の前記後身頃側の後端と、を有し、前記後端の幅と前記前端の幅との比が100:0~100:65である、請求項1に記載のテープ止め型吸収性物品。
【請求項4】
前記切り欠き部の平面視形状が、前記後身頃から前記股部に向けて幅寸法が連続的に減少する台形又は三角形である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のテープ止め型吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ止め型吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
重度の介護においてテープ止め型吸収性物品をアウターに、尿とりパッドをインナーにして併用する形態の紙おむつが使われている。介護現場の人手不足が常態化している昨今では紙おむつの十分な交換頻度を確保しにくいため、とくに夜間に装着するインナーパッドの高吸収量化、大型化が顕著に進んでいる。従来のアウターであるテープ止め型吸収性物品に厚く高吸収なインナーパッドを収納した場合、股部を挟みこみ、前見頃・股部・後見頃にかかる長さ方向へU字型に屈曲させた装着形状をとり、体圧をかけた場合に、臀部への圧迫感は大変高い状態になっている。圧迫感は肌ダメージにもつながり介護者、被介護者、双方への相当な心理的肉体的負担になっている。さらに体勢変換によりシワや偏りが生じ、凹凸のゴワゴワ感で極めて不快な着用感となる。現状では吸収性物品は汎用されており、種々の提案がなされている。
【0003】
特許文献1には、前ウエスト域と、後ウエスト域と、これらの間に配置されたクロッチパネルで構成されたクロッチ域とを備え、各域が着用者の肌に対向する肌対向面と、着衣に対向する着衣対向面とを有し、クロッチパネルにおける体液吸収性の芯材を含む吸収体が前ウエスト域及び後ウエスト域に延在し、前ウエスト域及び後ウエスト域の少なくとも一方は、肌対向面の一部を形成していて横方向の中央部分が横方向へ弾性的に収縮する弾性バンド部を有し、少なくとも一方のウエスト域において、弾性バンド部の中央部分における横方向への弾性的収縮量は、中央部分の厚さ方向において中央部分に接合することなく対向する部位の横方向への弾性的収縮量よりも大きく、少なくとも一方のウエスト域における芯材には、弾性バンド部と交差する方向へ延びる芯材の横方向における湾曲を容易にする変形誘導部が形成された使い捨ての吸収性物品が記載されている(請求項1)。また、特許文献1によれば、弾性バンド部の横方向への弾性的な収縮に伴い、前後ウエスト域の少なくとも一方は、芯材の変形誘導部と共に外側に凸状に湾曲し、その変形誘導部と着用者の肌との間には、排泄物の流入可能な空間を形成することができると記載されている(段落0009)。
【0004】
特許文献2には、前胴回り域と、後胴回り域と、これらの間に位置する股下域と、股下域を跨いで、前胴回り域及び後胴回り域の少なくとも一方に延びる吸収体と、前胴回り域及び後胴回り域を製品幅方向に延びて、使い捨て紙おむつを着用者の身体に保持する胴回り保持部と、後胴回り域から製品幅方向外側に延出し、前胴回り域に止着する一対のファスニングテープと、を備え、前胴回り域内で、製品幅方向の中心で且つ製品長手方向の端部を含む領域に形成された前切欠き部と、後胴回り域内で、製品幅方向の中心で且つ製品長手方向の端部を含む領域に形成された後切欠き部と、をさらに有し、後切欠き部は、胴回り保持部よりも製品長手方向外側にて、胴回り保持部と離間して設けられ、後切欠き部と胴回り保持部との間には、少なくとも製品幅方向に伸縮する伸縮部が設けられ、伸縮部と後切欠き部は製品長手方向において離間している、使い捨ておむつが記載されている(請求項1)。特許文献2によれば、 着用者のおへそを保護しつつ、着用者の腹の膨らみを適切に覆うことができる使い捨ておむつが提供されると記載されている(段落0010)。
【0005】
特許文献3には、吸収性物品の外形輪郭部のうち、長手方向の前端部であり且つ短手方向の一方側に設けられる谷部と、吸収体の長手方向の前方領域のうち、短手方向の一方側に設けられる、内方に切り込まれたスリットと、を有し、スリットは、他方側縁と、他方側縁よりも一方側に位置する一方側縁とを有し、他方側縁に沿った接線よりも一方側に、谷部の最も深い箇所が位置し、一方側縁と、他方側縁は、これらに沿う吸収体の部位の厚さよりも幅が広い幅広部を有し、スリットの幅方向の中央線に沿う方向における幅広部の長さが、吸収体の部位の厚さよりも長い、吸収性物品が記載されている(請求項1)。特許文献3によれば、着用者の下腹部にフィットする吸収性物品が提供されると記載されている(段落0006)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5946568号公報
【特許文献2】特許第6181407号公報
【特許文献3】特許第6353871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のパンツ型吸収性物品は、ウエストの幅方向の伸縮により、吸収体が変形しやすいように、吸水体にスリットを設けたものである。特許文献2に記載の紙おむつは、ベビー用テープ止め吸収性物品であり、へそを保護するため製品外形の幅方向中央部、長さ方向端部に切り欠き部を設けたものである。さらに、吸収体に切り欠き部を設けることも記載されている。特許文献3に記載の生理用品は、フィット性付与のために、幅方向中央の折り線と吸収体後部のスリットを設けたものである。
【0008】
以上のように、特許文献1乃至3に記載の吸収性物品や紙おむつは、構成要素として切り欠き部やスリットを含むものの、これらの特許文献には、テープ止め吸収性物品等の大型の介護用アウターへ高吸収なインナーパッドを併用するときに収納性を解決するために切り欠き部を利用することは記載されておらず、これらの特許文献から自明でもない。
【0009】
本発明の目的は、大型厚型の高吸収なインナーパッドを圧迫感なく収納できる、大型の介護用アウターとしてのテープ止め型吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、前身頃と、股部と、後身頃と、吸収体とを構成要素として備えるアウター用テープ型吸収性物品において、各構成要素の寸法を所定の範囲に調整した上で、吸収体に所定の切り欠き部を設けることで、アウターとインナーとを総合した体液吸収能力を損なうことなく、所望のテープ止め型吸収性物品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、下記のテープ止め型吸収性物品に係る。
【0011】
(1)アウターとして使用するテープ止め型吸収性物品であって、
着用者の主に下腹部に当接する前身頃と、着用者の主に股間部に当接する股部と、着用者の主に臀部に当接する後見頃と、が長さ方向にこの順に連接された外装体と、前記外装体の肌側表面で支持される吸収体と、前記後見頃に幅方向両側から外方に突出するファスニングテープと、これに係合可能な固定手段と、を有し、
前記テープ止め型吸収性物品の長さが700mm以上1100mm以下、最大部の幅が700mm以上1500mm以下であり、
前記後身頃における前記吸収体は、前記吸収体の前記後身頃側の縁辺から前記股部に向けて拡がる切り欠き部を有し、最大幅が300mm以上600mm以下であり、長さが180mm以上375mm以下であり、かつ面積が380cm2以上1000cm2以下であり、
前記切り欠き部は、
前記後身頃における前記吸収体の幅に対して40%以上75%以下の幅を有し、
前記後身頃における前記吸収体の長さに対して30%以上60%以下の長さを有し、
前記吸収体の前記後身頃側の前記縁辺から前記股部に向かうにつれて前記幅が次第に狭まるよう設けられるテープ止め型吸収性物品。
(2)前記後身頃における前記吸収体の面積と、前記切り欠き部の面積との比が100:7以上100:75以下である、上記(1)のテープ止め型吸収性物品。
(3)前記切り欠き部は、長さ方向前記股部側の前端と、長さ方向の前記後身頃側の後端と、を有し、前記後端の幅と前記前端の幅との比が100:0~100:65である、上記(1)のテープ止め型吸収性物品。
(4)前記切り欠き部の平面視形状が、前記後身頃から前記股部に向けて幅寸法が連続的に減少する台形又は三角形である、上記(1)乃至(3)のいずれかのテープ止め型吸収性物品。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、大型厚型の高吸収なインナーパッドを圧迫感なく収納できる、大型の介護用アウターとしてのテープ止め型吸収性物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係るテープ止め型吸収性物品の構成を模式的に示す平面図である。(a)はテープ止め型吸収性物品の模式平面図であり、(b)は切り欠き部の模式平面図である。
【
図2】
図1に示すX-X切断線における模式断面図である。
【
図3】別の切り欠き部を有するテープ止め型吸収性物品を示す模式平面図である。(a)は本実施形態の切り欠き部を有し、(b)は比較例の切り欠き部を有する。
【
図4】(a)(b)とも本実施形態の切り欠き部の変形例を示す模式平面図である。
【
図5】(a)(b)とも比較例の切り欠き部の変形例を示す模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において、吸収性物品の着用とは、体液の吸収前後を問わず、吸収性物品を身体に着用した状態をいう。吸収性物品において、長さ方向とは吸収性物品を身体に着用したときに着用者の股間部を介して身体の前後に亘る、図中Yに示す方向であり、幅方向とは長さ方向に対して直交する、図中Xに示す方向であり、厚さ方向とは各構成部材又は構成要素を積層する、図中Zに示す方向である。肌側表面とは、吸収性物品を着用したときに、着用者の肌に当接する表面及び肌を臨む表面であり、非肌側表面とは、着用者の衣服に接触する表面又は衣服を臨む表面である。体液とは、尿や血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。
【0015】
<テープ止め型吸収性物品>
以下、図面を参照しつつ、本実施形態のテープ止め型吸収性物品50について説明する。
図1及び
図2はテープ止め型吸収性物品50、及び切り欠き部90を示す。
図3は、テープ止め型吸収性物品50の変形例を示す。
図4及び
図5は、切り欠き部90の変形例を示す。これらの図面は吸収性物品50中の各構成部材の形状や寸法、大小関係等を規定するものではない。
【0016】
本実施形態のテープ止め型吸収性物品50は、着用者の主に下腹部に当接する前身頃60と、着用者の主に股間部に当接する股部70と、着用者の主に臀部に当接する後身頃80とが長手方向にこの順に連接された外装体91で構成されたテープ止めタイプ吸収性物品(アウター)50である。外装体91の主に股部70及び後身頃80の肌側表面に吸収体20が配置され、外装体91の肌側表面の幅方向両側には、長さ方向を前身頃60から股部70を経て後身頃80に延びる一対の立体ギャザー40が配置されている。また、本実施形態のテープ止め型吸収性物品50は、長さが700mm以上1100mm以下、最大幅が700mm以上1500mm以下である。この寸法サイズはテープ止め型吸収性物品50のS、M、Lの商品サイズに相当するものである。
【0017】
また、本実施形態のテープ止め型吸収性物品50において、主に股部70に支持され、後身頃80の肌側表面又は前身頃60及び後身頃80の各肌側表面に支持された吸収体20は、後身頃80の領域において切り欠き部90を有している。切り欠き部90は、吸収体20の後身頃80側の縁辺から股部70の方向に向かうにつれて幅が連続的に狭まり、後身頃80の領域における吸収体20の幅に対して40%以上75%以下の幅、及び後身頃80の領域における吸収体20の長さに対して30%以上60%以下の長さになるように設けられる。また、後身頃80の領域において吸収体20の最大幅は300mm以上600mm以下であり、長さは180mm以上375mm以下であり、面積は380cm2以上1000cm2以下である。
【0018】
本実施形態によれば、テープ止め型吸収性物品50、及び後身頃80の領域における吸収体20の各寸法を所定の範囲に設定した上で、後身頃80の領域の吸収体20において、前述した所定の切り欠き部90を設けることで、大型大容量インナーパッドを収納しても、通常であれば後身頃80が厚くなってテープ止め型吸収性物品内に収まりにくい状態になり、着用感が低下する上に、着用者とテープ止め型吸収性物品との間に隙間が生じ易くなる場合でも、大型大容量インナーパッド(大型大容量尿取りパッド)を装着性良くかつ圧迫感なく収納することができ、インナーパッドの定着性や、着用者の肌とテープ止め型吸収性物品50との密着性を高めることができる。その結果、尿量が多い着用者が長時間着用しても、体液モレが顕著に改善される。
【0019】
本実施形態のテープ止め型吸収性物品50は、前述のように、前身頃60と、股部70と、後身頃80とが、長手方向にこの順に連接された外装体91から外形を構成され、外装体91の肌側表面にトップシート10、吸収体20、バックシート30及び立体ギャザー40を有する。また、本実施形態のテープ止め型吸収性物品50は、後身頃80の幅方向両端から外方に延出された一対のサイドフラップ62と、サイドフラップ62の幅方向途中部に固定され、幅方向両外方に延出された一対のサイドパネル63と、サイドパネル63の2股に分かれたつまみしろに配設された一対のファスニングテープ64と、前身頃60の長さ方向端部付近において幅方向中央付近に帯状に設けられ、テープ止め型吸収性物品50を着用するときにファスニングテープ64が固定されるターゲットテープ(固定部材)65と、を含む。吸収体20は、主に股部70の肌側表面に支持され、着用者の股間部を身体の前後から覆う長さ方向に細長い形態を有している。本実施形態では、前身頃60から股部70を介して後身頃80に至る一体化した外装体91によりテープ止め型吸収性物品50の外形を構成しているが、これに限定されず、前身頃60、及び後身頃80を別体とし、これらを吸収体20により連結して一体化したテープ止め型吸収性物品50としてもよい。また、本実施形態のテープ止め型吸収性物品50は、幅方向両側の一対の立体ギャザー40の長手方向両端部に、立体ギャザー40のトップシート10への固定性を向上させるために、エンドシール部を設けてもよい。
【0020】
前身頃60の幅方向の寸法は例えば380mm以上790mm以下の範囲であり、後身頃80の幅方向の寸法(最大幅寸法)は例えば300mm以上500mm以下の範囲であり、股部70の幅方向の寸法は例えば250mm以上320mm以下の範囲、又は270mm以上310mm以下の範囲である。前身頃60、股部70及び後身頃80の各寸法を上述の範囲に調整することで、インナーパッドを適正に収納できるテープ止めタイプのテープ止め型吸収性物品50が得られる。
【0021】
以下、各構成部材について、前身頃60、股部70、後身頃80、サイドフラップ62、ターゲットテープ65、及び吸収体20の順でさらに詳しく説明する。
【0022】
<前身頃、股部、及び後身頃>
前身頃60及び後身頃80は、吸収体20の前側端部(腹側端部)及び後方端部(背側端部)に、それぞれ、不織布等を含む外装体素材により形成されたものである。また、股部70は、前身頃60と後身頃80との間に介在し、これらと同様に、不織布等を含む外装体素材により形成されたものである。
【0023】
本実施形態では、前身頃60、股部70及び後身頃80は、それぞれ、着用者の非肌側に位置する外装不織布シート(不図示)と、着用者の肌側に位置するバックシートフィルム(不図示)と、を備える。外装不織布シート及びバックシートフィルムからなる外装体素材を、吸収体20が内側となるように吸収体20の中心線で股部70を二つ折りにして、下腹部及び臀部の両側縁が接続される。これにより、外装不織布シートは、伸縮性のウエスト開口部と、一対の脚開口部とを形成し、テープ止め型吸収性物品50を全体として着脱可能なパンツ状に構成する。そして、吸収性物品50を着用すると、前身頃60が着用者の腹側で腰部を覆い、後身頃80が着用者の背側で腰部を覆う。
【0024】
外装不織布シートの内側には、例えば、バックシートフィルムが積層されており、前身頃60、後身頃80及び股部70の強度を高めている。外装不織布シートには、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂からなる繊維を含む不織布を使用できる。該不織布の具体例としては、例えば、サーマルボンド不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。これらの中でも、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等が好ましい。不織布の坪量は、例えば、15g/m2以上40g/m2以下の範囲である。バックシートフィルムとしては樹脂フィルムを特に限定なく使用でき、例えば、ポリエチレンフィルム等が挙げられる。バックシートフィルムの坪量は、例えば、10g/m2)以上40g/m2)以下である。
【0025】
<サイドフラップ及びターゲットテープ>
本実施形態のテープ型吸収性物品50は、バックシートフィルムの下腹部及び臀部の幅方向両側端部に形成された一対のサイドフラップ62と、後身頃80における各サイドフラップ62の、幅方向の外側端部である、自由端側の幅方向側端部に設けられたサイドパネル63と、サイドパネル63の幅方向の外側端部である、自由端側の幅方向側端部に設けられた2股のファスニングテープ64とを有している。
【0026】
本実施形態のテープ止め型吸収性物品50は、サイドフラップ62、サイドパネル63及びファスニングテープ64を有しない実施形態をも包含する。また、サイドパネル63とファスニングテープ64とは、別々の部材により形成されたものでも、両者が一体となって形成されたものでもよい。また、本実施形態において、一のサイドパネル63上の2つのファスニングテープ64は、テープ止め型吸収性物品50の長手方向に離間して設けられていてもよい。ファスニングテープ64は肌側表面に、下腹部と背側部とを締結するための面ファスナーを構成するフック部材からなる締結手段を備えるとともに、各ファスニングテープ64の幅方向の外側端部の先端部には、2股に分かれたつまみしろを設けてもよい。サイドパネル63には分割可能となるミシン目を付与してもよい。一方、下腹部の衣類側表面には、面ファスナーを構成するループ部材で形成されたターゲットテープ65を設けてもよい。
【0027】
着用者がテープ止め型吸収性物品50を着用するときは、各ファスニングテープ64が、締結手段としてループ部材で構成されたターゲットテープ65に固定される。これに限定されず、ウエスト部において前身頃60と後身頃80とを幅方向端部で連結し、パンツ状に一体化したテープ止め型吸収性物品50としてもよい。また、サイドパネル63上の略長さ方向中央又はその近傍を手で切断分割できるミシン目66を付与することができる。これによりミシン目66からタブ部を長く分割することができ、係合位置をより広く自由に選択することが可能になる。体型により吸収性物品50と着用者の身体とを適切に密着させる張力を着用時に発現させることができる。
【0028】
なお、サイドフラップ62の基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等からなる不織布が挙げられ、これらの基材を単独で、又は複数組み合わせてもよい。また、サイドパネル63及びファスニングテープ64の基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等からなる樹脂フィルムや不織布が挙げられ、これらの基材を単独で、又は複数組み合わせてもよい。また、フック部材とは、面ファスナーを構成する部材のうち、フック状突起からなる部材を指し、ループ部材とは、フック部材と対を成す部材であって、ループ状に密集して起毛された部材を指す。面ファスナーは、このフック部材とループ部材とが対となって構成されている。吸収性物品50は、例えば、後身頃80を着用者の臀部及び背部にあてた状態で、前身頃60を着用者の腹部側に持っていき、ファスニングテープ64をターゲットテープ65に締結することで、着用できる。また、ミシン目66はサイドパネル63の長さ方向略中央に等間隔の切れ目を入れて設けることができる。
【0029】
<エンドシール部>
テープ止め型吸収性物品50の肌側表面の長手方向端部近傍、より具体的には一対の立体ギャザー40の各端部(四隅)には、エンドシール部を設けることができる。エンドシール部は、例えば、トップシート10及び/又は吸収体20の各肌側表面に対し立体ギャザー40を固定する。エンドシール部は、例えば、ホットメルト接着剤等で構成される。エンドシール部の平面視形状としては、例えば、方形(四角形)、円形、三角形、六角形等が挙げられる。
【0030】
<トップシート>
トップシート10は、吸収体20に向けて体液を速やかに通過させる液透過性のシート状基材である。トップシート10は、着用者の肌に当接する場合あることから、柔らかな感触で、肌に刺激を与えない基材が好ましい。該基材としては、例えば、親水性シート、同種又は異種の親水性シートの積層体である複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム等が挙げられる。親水性シートとしては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂からなる合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維等を用いて作製された、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。
【0031】
トップシート10には、液透過性を向上させる観点から、エンボス加工や穿孔加工を表面に施してもよい。トップシート10は、肌への刺激を低減させる観点から、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等の1種又は2種以上を含有してもよい。トップシート10の坪量は、強度、加工性及び液戻り量の観点から、例えば、15g/m2以上40g/m2以下の範囲である。トップシート10の形状は特に制限されず、漏れがないように体液を吸収体20へと誘導するために必要とされる、吸収体20の一部又は全部を覆う形状であればよい。
【0032】
<吸収体>
吸収体20は、
図2に示すように、肌側に位置するトップシート10と、非肌側に位置するバックシート30との間に配置されるものであり、トップシート10を透過してきた体液を吸収及び保持する。本実施形態の吸収体は、主に外装体91の股部70の肌側表面に支持され、後身頃80の肌側表面に延在し、前身頃60の肌側表面に延在していてもよい。本実施形態において、吸収体20の後身頃80に延在する領域は、最大幅が300mm以上600mm以下であり、長さ方向の長さが180mm以上375mm以下であり、かつ面積が380cm
2以上1000cm
2以下である。最大幅、長さ、及び面積の少なくとも1つが前述の範囲外であれば、後述する切り欠き部90を有していても、インナーパッドの収納性が十分に向上せず、着用者の着用感が低下したり、着用者の肌との間に隙間が生じたり、着用者の動きを妨げたり、テープ止め型吸収性物品50とインナーパッドとを総合した体液吸収量が低下したりする傾向がある。
【0033】
上述の最大幅、長さ、及び面積を有する、吸収体20の後身頃80に延在する領域には、切り欠き部90が設けられている。切り欠き部90は、吸収体20の後身頃80側の縁辺から股部70に向けて連続的に幅寸法が小さくなる平面視形状を有している。本実施形態の切り欠き部90は、
図1(a)(b)特に
図1(b)に示すように、平面視ほぼ台形状の平面視形状を有している。切り欠き部90の幅方向に延びる縁辺が台形形状の上底であり、切り欠き部90の、対向して斜め方向及び逆斜め方向に延びる2つの縁辺が台形形状の斜辺であり、吸収体20の後身頃80側の切り欠かれた幅方向に延びる縁辺が台形形状の下底に相当する。
【0034】
切り欠き部90は、後身頃80に延在する吸収体20の最大幅に対して40%以上75%以下の幅W(
図1(b)、以下単に「幅W」ともいう)を有し、後身頃80に延在する吸収体20の長さに対して30%以上60%以下の長さL(
図1(b)、以下単に「長さL」ともいう)を有する。このように構成することで、吸収体20の全体としての剛性が保持され、切り欠き部90へのインナーパッドの装着性が高水準に維持され、着用者の動作によるインナーパッドのズレも起こり難く、着用者の肌とテープ止め型吸収性物品50との密着性や着用感が高水準に維持される。切り欠き部90の幅Wが40%未満及び/又は切り欠き部90の長さLが30%未満であると(例えば
図5(a)に示す切り欠き部92X)、インナーパッドの装着性が低下し、インナーパッドのズレや着用感の低下等が起こり易くなる傾向がある。切り欠き部90の幅Wが75%を超えるか及び/又は切り欠き部90の長さLが60%を超えると(例えば
図5(b)に示す切り欠き部92X)、吸収体20の剛性が低下して全体としての体液吸収能力が低下する傾向がある。
【0035】
好ましい実施形態では、後身頃80における吸収体20の面積と、切り欠き部90の面積との比が100:7以上100:75以下に構成される。このように構成することで、吸収体20の剛性が保持され、着用後に吸収体20が変形したり、つぶれたりすることがなく、インナーパッドとテープ止め型吸収性物品50との全体としての体液吸収能力が高い状態に維持される。
【0036】
さらに好ましい実施形態では、切り欠き部90は、長さ方向股部70側の前端と、長さ方向の後身頃80側の後端と、を有し、後端の幅と前端の幅との比が100:0~100:65である。これは、切り欠き部90の平面視形状が三角形又は台形である場合に、吸収体20が切り欠き部90を有していても、吸収体20の剛性があまり低下せず、その形状維持性や体液吸収能力が実用上良好に保持されることを示している。前端の幅が「0」であると、切り欠き部90の平面視形状は三角形であり、前端の幅が「0」以外であると平面視形状は台形である。
【0037】
図3は、吸収体20の後身頃領域に切り欠き部93、92を有するテープ止め型吸収性物品51、52を示している。
図3(a)に示す切り欠き部93は、平面視形状が股部70に向けて突出する三角形であり、後身頃80側から股部70側に向けて幅が連続的に小さくなるように構成され、本実施形態の変形例である。また、
図3(b)に示す切り欠き部92は、平面視形状が股部70に向けて突出する半円形であり、後身頃80側から股部70側に向けて幅が徐々に小さくなるように構成されているため、本実施形態の変形例である。従って、テープ止め型吸収性物品52でも、本実施形態に特有の効果を得ることができる。
【0038】
図4は、(a)(b)とも本実施形態の切り欠き部の変形例93、92を示す模式平面図である。
図4(a)に示す切り欠き部93は、幅W1及び長さが前述の数値範囲を満たした上で、長さ方向股部70側の前端と、長さ方向の後身頃80側の後端と比が0:100のものである。
図4(b)示す切り欠き部92は、幅W2及び長さが前述の数値範囲を満たした上で、長さ方向股部70側の前端と、長さ方向の後身頃80側の後端と比が65:100のものである。後身頃80に切り欠き部93、92を有する吸収体20は、その剛性が十分に維持され、インナーパッドと併用してテープ止め型吸収性物品50を着用しても、吸収体20の型崩れや変形が起こり難く、良好な着用感と高い体液吸収性が両立し、体液漏れを防止できる。
【0039】
図5(a)(b)とも比較例の切り欠き部の変形例93X、92Xを示す。切り欠き部93X、92Xの変形例93X、92Xは、平面視形状がそれぞれ三角形又は台形であるものの、寸法が小さすぎる又は大きすぎるため、前述の幅W及び長さLの数値範囲の範囲外であり、かつ後身頃80における吸収体20の面積と、切り欠き部90の面積との比である100:7以上100:75以下の範囲からも外れる。このため、切り欠き部93Xを含む吸収体20を用いたテープ止め型吸収性物品では、インナーパッドとの併用により、着用感が大きく低下し、切り欠き部92Xを含む吸収体20を用いたテープ止め型吸収性物品では、吸収体20の剛性低下に伴う吸収体20の変形や型崩れが起こり易くなり、着用感及び体液吸収能力が低下する。
【0040】
吸収体20は、その長手方向の寸法(最大長さ)が、例えば、100mm以上800mm以下の範囲、150mm以上500mm以下の範囲、又は270mm以上500mm以下の範囲である。吸収体20の幅方向の寸法(最大幅)は、例えば、50mm以上500mm以下の範囲、60mm以上400mm以下の範囲、又は70mm以上105mm以下の範囲である。また、吸収体20の平面視形状が砂時計型である場合は、長手方向寸法が180mm以上800mm以下の範囲、着用者の腹部及び背部にそれぞれ当接する腹側部及び背側部の幅方向寸法がともに60mm以上400mm以下の範囲であり、着用者の股間部に当接する股部の幅方向寸法が90mm以上250mm以下の範囲である。吸収体20の全面又は一部にエンボス加工を施してもよい。吸収体20の平面視形状としては、例えば、砂時計型、Iの字状、長方形、4角が丸まった角丸四角形、長円等が挙げられる。吸収体20は、上層(肌側)に配置された上層吸収体と、下層(非肌側)に配置された下層吸収体との積層体でもよい。
【0041】
吸収体20は、例えば、吸収基材として、吸収性繊維と、高吸収性ポリマー(以下「SAP」ともいう)と、を含有する。
【0042】
(吸収性繊維)
吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ(以下単に「フラッフ」ともいう)、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュー、吸収紙、親水性不織布等が挙げられる。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプが好ましい。フラッフパルプとしては、木材パルプ(例えば、サウザンパインやダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ(N-BKP))、合成繊維、樹脂繊維、非木材パルプ等の綿状解繊物等が挙げられる。吸収体20に吸収性繊維としてフラッフパルプを用いた場合、吸収性繊維の坪量は、例えば100g/m2以上800g/m2以下の範囲又は325g/m2以上615g/m2以下の範囲である。これにより、肌触りを損なわずに、より多くの体液を吸収できる。
【0043】
(高吸収性ポリマー)
高吸収性ポリマーとしては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等が挙げられる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸アルカリ金属塩がより好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムが更に好ましい。高吸収性ポリマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0044】
高吸収性ポリマーは、例えば、粒子状、繊維状等の形態で用いられるが、取扱い易さ等の観点から好ましくは粒子状で用いられる。このとき、粉体としての流動性が悪い微粉末の高吸収性ポリマーの使用を避け、中位粒子径を有する高吸収性ポリマーを用いることにより、吸収に関する基本性能を高め、かつ、吸収体20が硬くなることにより発生するごつごつとした触感を低減することができる。高吸収性ポリマーの中位粒子径は、例えば、50μm以上600μm以下の範囲又は100μm以上500μm以下の範囲である。
【0045】
吸収体20中のSAPの坪量は、例えば、60g/m2以上450g/m2以下の範囲、又は245g/m2以上445g/m2以下の範囲である。SAPの坪量を前述の数値範囲内とすることで、吸収体20におけるゲルブロッキングを防止し、かつ、吸収体20に多量の体液を吸収させることができる。また、吸収体20において、吸収体20全体の重量に対する、高吸収性ポリマーの重量の比率である、高吸収性ポリマーの重量/吸収体20全体の重量×100(%)は、例えば、15重量%以上の範囲、又は15重量%以上70重量%以下の範囲である。
【0046】
吸収体20において、吸収性繊維及びSAPの形態は、吸収性繊維中にSAP粒子を混合して形成したものでもよく、吸収性繊維間にSAP粒子を固着したSAPシートでもよい。
【0047】
(バックシート)
バックシート30は、吸収体20が保持する体液が衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成されればよく、該基材としては、例えば、樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体である複合シート等が挙げられる。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等の単層不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布積層体、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体等の複合不織布、これらの複合材料等が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
【0048】
バックシート30の坪量は、強度及び加工性の点から、例えば15g/m2以上60g/m2以下の範囲である。また、着用時の蒸れを防止するため、バックシート30には、通気性を持たせることが好ましい。バックシート30に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート30にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。
【0049】
<立体ギャザー>
立体ギャザー40は、例えば、テープ止め型吸収性物品50の着用者が排泄した体液の横漏れを防止するために、吸収体20の幅方向両端付近で吸収体20の長さ方向に沿ってトップシート10の体表側表面に固定される。立体ギャザー40は、弾性伸縮部材40aと、撥水性及び/又は防水性のシート部材40bと、を含む。
【0050】
弾性伸縮部材40aは、シート部材40bの自由端(他端)付近に長さ方向に沿って配設され、該自由端に起立性を付与し、シート部材40bの自由端及びその近傍領域を着用者の体型に合わせて変形可能にする。シート部材40bは、本実施形態では幅方向一端(固定端)がバックシート30の肌側面の幅方向両端付近に固定され、幅方向途中部がトップシート10の肌側面の幅方向両端付近に固定され、幅方向他端が起立性を有する自由端である。シート部材40bの固定端(幅方向一端)の固定位置は、本実施形態に限定されず、例えば、バックシート30の非肌側面、内部に吸収体20を収納したトップシート10とバックシート30との各縁辺の全部又は一部接合体の肌側面又は非肌側面の幅方向両端付近、トップシート10の肌側面の幅方向両端付近等が挙げられる。
【0051】
シート部材40bは撥水性及び/又は防水性を有するシートであり、例えば不織布から構成される。ここで不織布としては、疎水性繊維にて形成された撥水性及び/又は防水性(液不透過性)の不織布を特に限定なく使用でき、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体である複合不織布(SMS不織布)等が挙げられる。シート部材40bの目付は、例えば、13g/m2以上20g/m2以下の範囲である。弾性伸縮部材40aとしては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン等からなる、糸状、紐状、帯状のものを適宜使用することができる。
【0052】
<吸収体の製造方法>
吸収体1は、公知の製造方法により製造できるが、例えば、トップシート10とバックシート30との間に吸収体20を配置する工程と、トップシート10の縁辺とバックシート30の縁辺とを一部又は全周に亘ってホットメルト接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等を用いて固定する工程と、を含む製造方法が挙げられる。必要に応じて、レッグギャザー、ウエストギャザー、サイドフラップ等を設けることができる。
【0053】
<吸収性物品の製造方法>
吸収性物品50の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用でき、例えば、前身頃60、股部70、及び後身頃80の所定の形状を有する外装不織布シート及びバックシートフィルムを用意する工程と、外装不織布シートとバッグシートフィルムとを含む外装体素材の肌側表面に吸収体20を配設し、さらに立体キャザー40を配設する工程と、前身頃60のターゲットテープ65と後身頃80のファスニングテープ64とを接続する工程と、を含む製造方法等が挙げられる。ファスニングテープ64は、あらかじめ、サイドパネル63の基材表面に締結手段を接着し、所定の形状に切断してサイドパネル63とし、これをサイドフラップ62に接合してもよい。
【0054】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態や実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【実施例0055】
以下に実施例及び比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に説明する。
【0056】
(実施例1~4及び比較例1~5)
表1に示す構成を有するアウター用のテープ止めタイプ吸収性物品(外装体:スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド不織布、トップシート:スパンボンド不織布)、表2に示す構成を有するインナーパッド(夜間用大型パッド)をそれぞれ作製し、パネラー10組に使用してもらい、次のモニター評価に供した。パネラーには、アウターとしてテープ止め吸収性物品を、インナーとして尿取りパッドを普段使いする要介護者、及びその介護スタッフを1組として、協力を受けた。結果を表3に示す。
【0057】
10組のパネラーの要介護者10名に、大型高吸収ワイドパッドとテープ止め型吸収性物品とを1週間併用して着用してもらい、介護者にはモレの有無、パッドのズレ・ヨレについての回答を得、被介護者には着用感(圧迫感、ゴワゴワ感、痛み)の回答を得、以下の基準で評価した。結果を表4に示す。
〇:「漏れ、ズレ、ヨレが見られなかった」「圧迫感、ゴワゴワ感、痛みを感じなかった」が8人以上10人以下のとき
△:「漏れ、ズレ、ヨレが見られなかった」「圧迫感、ゴワゴワ感、痛みを感じなかった」が5人以上7人以下のとき
×:「漏れ、ズレ、ヨレが見られなかった」「圧迫感、ゴワゴワ感、痛みを感じなかった」が4人以下のとき
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
実施例1~4及び比較例1~5は、実際には次のようであった。
(実施例1)良好なモニター結果を得た。吸収体の後部切り欠き部の形状により大型インナーパッドを保持しずれることなく臀部の圧迫感が軽減され、モレ・着用感ともに良好であった。
(実施例2乃至4)後部切り欠き部の形状を変更してもモレ・着用感ともに良好な結果が得られた。
(比較例1)従来の切り欠き部なしのテープ止め型吸収性物品である。厚い大型インナーパッドとの併用により特に臀部の圧迫感が生じた。
(比較例2)切り欠き部が規定値より大きいサイズとなっており、アウターの吸収体が不足し、アウターとインナーとの全体としての体液吸収能力が低下して体液モレが生じた。着用感は問題なかった。
(比較例3)切り欠き部が規定よりも小さすぎて機能せず、比較例1と同様に圧迫感が生じた。
(比較例4)切り欠き部が幅方向に一定の方形となっており、テープ止め型吸収性物品の吸収体がくずれてしまい、アウターとインナーとの全体としての体液吸収能力が低下して体液モレが生じた。またインナーパッドズレによる違和感が生じた。
(比較例5)切り欠き部が実施例1とは逆向きの台形となっていることから、テープ止め型吸収性物品の吸収体がくずれてしまい、体液モレ、違和感が生じた。