(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162605
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】ロッド錠
(51)【国際特許分類】
E05C 9/12 20060101AFI20231101BHJP
E05B 63/14 20060101ALI20231101BHJP
E05C 9/04 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
E05C9/12
E05B63/14 C
E05C9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073045
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000119449
【氏名又は名称】磯川産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000169329
【氏名又は名称】アトムリビンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】弁理士法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】大出 育生
(72)【発明者】
【氏名】荒川 周也
(72)【発明者】
【氏名】折原 諒
(57)【要約】
【課題】操作レバーの回動操作によって上下2つのロッドを同時に出没移動させることのできる、ロッド錠を提供する。
【解決手段】ロッド錠1は、扉枠91の上下に1つずつ設けられた2つの受け孔21、22と、扉体92に設けられて、2つの受け孔21、22にそれぞれ出没可能に挿入される第1ロッド31及び第2ロッド32と、第1ロッド31及び第2ロッド32を出没移動させるための操作レバー4と、第1ロッド31及び第2ロッド32と操作レバー4とを連結する連結機構5であって、操作レバー4の回動操作によって、第1ロッド31及び第2ロッド32を同時に出没移動させるように構成されている、連結機構5と、から構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉枠の上下に1つずつ設けられた2つの受け孔と、
扉体に設けられて、前記2つの受け孔にそれぞれ出没可能に挿入される第1ロッド及び第2ロッドと、
前記第1ロッド及び前記第2ロッドを出没移動させるための操作レバーと、
前記第1ロッド及び前記第2ロッドと前記操作レバーとを連結する連結機構であって、前記操作レバーの回動操作によって、前記第1ロッド及び前記第2ロッドを同時に出没移動させるように構成されている、連結機構と、
を備える、ロッド錠。
【請求項2】
前記連結機構は、
前記操作レバーに固定される第1ピニオンギヤと、
前記第1ロッドに固定される第1ラックギヤであって、前記第1ピニオンギヤと噛み合う、第1ラックギヤと、
前記第1ラックギヤの背面に形成される第2ラックギヤと、
前記第2ラックギヤと噛み合う第2ピニオンギヤと、
前記第2ロッドに固定される第3ラックギヤであって、前記第2ピニオンギヤと噛み合う、第3ラックギヤと、
から構成される、請求項1に記載された、ロッド錠。
【請求項3】
前記第1ロッド又は前記第2ロッドのうち、いずれか上側に配置される一方が、下側に配置される他方よりも長く形成されている、請求項2に記載された、ロッド錠。
【請求項4】
前記操作レバーは、前記第1ロッド及び前記第2ロッドが最大限に突出する施錠位置と、前記第1ロッド及び前記第2ロッドが最大限に没入する解錠位置と、前記施錠位置と前記解錠位置の中央の中立位置と、の3つの位置で静止できるようになっている、請求項2又は請求項3に記載された、ロッド錠。
【請求項5】
前記操作レバーが中立位置にされた状態で、前記第1ロッドと前記第1ラックギヤ及び前記第2ラックギヤを木口側から固定できるようにされるとともに、前記第2ロッドと前記第3ラックギヤを木口側から固定できるようにされている、請求項4に記載された、ロッド錠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、両開きの扉(ドア)の子扉側に搭載される、ロッド錠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、フランス落し装置(ロッド錠)として、両開きドアに適用したものが知られている。このような両開きドアでは、フランス落し装置のロッドが子扉に収容され、このロッドに対応して、フランス落しの受け孔が扉枠に設けられている。そして、ロッドの上端はレバーに固定されているため、レバーの回動操作によって、ロッドの先端部が受け孔(落し壺)に挿入されて、子扉が扉枠にロックされるようになっている。
【0003】
このようなロッド錠として、例えば特許文献1には、落し棒ガイド10のガイド孔16の基端側を拡開させて傾斜面16aを形成し、落し棒9の先端部に、落し棒ガイド10の傾斜面16aと相補的形状を有すると共に、挿入位置で傾斜面16aに密接する傾斜部18bを形成するようにされた、ロッド錠が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を含む従来のロッド錠は、レバーの回動操作によって1つのロッドを出没移動させるように構成されたものであった。そのため、レバーの回動操作では、上下2つのロッドを同時に出没移動させることはできなかった。
【0006】
そこで、本発明は、操作レバーの回動操作によって上下2つのロッドを同時に出没移動させることのできる、ロッド錠を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のロッド錠は、扉枠の上下に1つずつ設けられた2つの受け孔と、扉体に設けられて、前記2つの受け孔にそれぞれ出没可能に挿入される第1ロッド及び第2ロッドと、前記第1ロッド及び前記第2ロッドを出没移動させるための操作レバーと、前記第1ロッド及び前記第2ロッドと前記操作レバーとを連結する連結機構であって、前記操作レバーの回動操作によって、前記第1ロッド及び前記第2ロッドを同時に出没移動させるように構成されている、連結機構と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明のロッド錠は、扉枠の上下に1つずつ設けられた2つの受け孔と、扉体に設けられて、2つの受け孔にそれぞれ出没可能に挿入される第1ロッド及び第2ロッドと、第1ロッド及び第2ロッドを出没移動させるための操作レバーと、第1ロッド及び第2ロッドと操作レバーとを連結する連結機構であって、操作レバーの回動操作によって、第1ロッド及び第2ロッドを同時に出没移動させるように構成されている、連結機構と、を備えている。このような構成であれば、レバーの回動操作によって連結機構が作動することで、上下2つのロッドを同時に出没移動させることのできる、ロッド錠となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】扉構造の全体構成を説明する斜視図である。(a)はロックオン(施錠)状態であり、(b)はロックオフ(解錠)状態である。
【
図2】扉構造の全体構成を説明する断面図である。(a)はロックオン(施錠)状態であり、(b)はロックオフ(解錠)状態である。
【
図3】ロッド錠の構成について説明する断面図である。
【
図4】ロッド錠の組付け状態について説明する分解図である。
【
図5】ロッド錠を構成する部品について説明する部品分解図である。
【
図6】第1プッシュラックの説明図である。(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【
図7】第2プッシュラックの説明図である。(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【
図8】ブラケットの説明図である。(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【
図9】ロッド錠の施錠作用/解錠作用について説明する断面図である。(a)はロックオン(施錠)状態であり、(b)はロックオフ(解錠)状態である。
【
図10】ロッド錠の組付け時の作用について説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成要素は例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例0011】
(全体構成)
まず、
図1(a)、(b)及び
図2(a)、(b)を用いて、本実施例のロッド錠1を備える扉構造90の全体構成を説明する。本実施例の扉構造90は、
図1(a)、(b)に示すように、玄関を含む出入口等の開口部において、図中右側に設置される子扉であり、図中左側に設置される親扉と異なり、普段は施錠状態(開閉不能)とされている。図示しないが、図中の左側には、親扉が、図中左側縁に設置されるヒンジ構造(不図示)を中心として、開閉自在に設置される。
【0012】
ここでは子扉である扉構造90は、
図2(a)、(b)に示すように、親扉側の側縁の下端面と上端面から突出する第1ロッド31及び第2ロッド32が、上下方向に進退移動して受け孔21、22に嵌入することによって、子扉である扉構造90が施錠状態(開閉不能)又は解錠状態(開閉可能)となる。
【0013】
すなわち、扉体92には、下と上に挿通孔92b、92cが形成され、第1ロッド31及び第2ロッド32が上下方向にスライド移動自在に挿入されている(
図3参照)。後述するように、第1ロッド31の上端は第1プッシュラック51に、第2ロッド32の下端は第2プッシュラック52に、それぞれ固定されている。
【0014】
したがって、
図2(a)に示すように、レバー4が上(12時の位置)に位置する施錠状態では、第1ロッド31及び第2ロッド32が受け孔21、22に嵌入しているため、扉構造90は施錠状態(開閉不能;回転不能)となる。
【0015】
一方、
図2(b)に示すように、レバー4が下(6時の位置)に位置する解錠状態では、第1ロッド31及び第2ロッド32が受け孔21、22から離脱して(抜けて)いるため、扉構造90は図中右側縁に設置されるヒンジ構造(不図示)を中心として開閉可能(解錠状態;回転可能)となる。
【0016】
(ロッド錠の構成)
次に、
図3~
図8を用いて、本実施例のロッド錠1の構成について説明する。
図4に示すように、ロッド錠1は、扉体92の木口(側端面)に設けた凹部92aに嵌め込まれて、上下のビス81、81によって、扉体92に固定されている。第2ロッド32は、扉体92の上端面に設けた挿通孔92cから挿入されて下端がビス82、82によって第2プッシュラック52に固定されている。同様に、第1ロッド31は、扉体92の下端面に設けた挿通孔92bから挿入されて上端がビス82、82によって第1プッシュラック51に固定されている。
【0017】
そして、本実施例のロッド錠1は、
図3~
図5に示すように、扉枠91の下と上に1つずつ設けられた2つの受け孔21、22と、扉体92に設けられて、2つの受け孔21、22にそれぞれ出没可能に挿入される第1ロッド31及び第2ロッド32と、第1ロッド31及び第2ロッド32を出没移動させるための操作レバー4と、第1ロッド31及び第2ロッド32と操作レバー4とを連結する連結機構5であって、操作レバー4の回動操作によって、第1ロッド31及び第2ロッド32を同時に出没移動させるように構成されている、連結機構5と、から構成されている。
【0018】
受け孔21、22は、上と下の扉枠91、91に形成された円柱孔に挿入されて固定される、いわゆる壺受けである。この受け孔21、22の内径は、第1ロッド31及び第2ロッド32の外径と略同一か、少し大きく形成されている。そして、受け孔21、22にそれぞれ第1ロッド31と第2ロッド32が挿入されることで、扉体91の開閉移動(回転移動)が規制される。
【0019】
第1ロッド31は、円柱形乃至円筒形の棒状の部材である。第1ロッド31は、その上端が第1プッシュラック51(第1ラックギヤ71と一体)に固定されているため、第1ピニオンギヤ61に回転に伴って、上下方向に移動するようになっている。第2ロッド32は、円柱形乃至円筒形の棒状の部材である。第2ロッド32は、その下端が第2プッシュラック52(第3ラックギヤ73と一体)に固定されているため、第2ピニオンギヤ62に回転に伴って、上下方向に移動するようになっている。
【0020】
操作レバー4は、連結機構5のケース50に回転軸63を介して回転可能に取り付けられている。そして、操作レバー4と一体に(同軸上に)ピニオンギヤ61が配置されている。したがって、操作レバー4を回動操作することによって、一体のピニオンギヤ61も回動するようになっている。なお、ピニオンギヤ61の正面側には、カバー42が取り付けられている。
【0021】
さらに、操作レバー4の基端部(回転軸63の近傍)には、ボールラッチ43が設置されており、ケース50に設けた3つの孔50a(6時の位置)、50b(9時の位置)、50c(12時の位置)の位置で、操作レバー4にクリック感を付与するとともに、操作レバー4の位置を保持できるようになっている。
【0022】
(連結機構の構成)
そして、本実施例の連結機構5は、第1ロッド31及び第2ロッド32と操作レバー4とを連結する連結機構5であって、操作レバー4の回動操作によって、第1ロッド31及び第2ロッド32の両方を同時に出没移動させるように構成されている。
【0023】
具体的に言うと、連結機構5は、操作レバー4に固定される第1ピニオンギヤ61と、第1ロッド31に固定される第1ラックギヤ71であって、第1ピニオンギヤ61と噛み合う、第1ラックギヤ71と、第1ラックギヤ71の背面に形成される第2ラックギヤ72と、第2ラックギヤ72と噛み合う第2ピニオンギヤ62と、第2ロッド32に固定される第3ラックギヤ73であって、第2ピニオンギヤ62と噛み合う、第3ラックギヤ73と、から構成されている。
【0024】
これを部品別に説明すれば以下のようになる。すなわち、
図5に示すように、ロッド錠1は、ケース50と、ケース50に回転軸63、64を介して回転可能に支持される第1ピニオンギヤ61及び第2ピニオンギヤ62と、第1ピニオンギヤ61と一体に成形される操作レバー4と、ケース50と上下のブラケット53、53の間のスペースに配置される第1プッシュラック51及び第2プッシュラック52と、から主に構成されている。このうち、第1プッシュラック51及び第2プッシュラック52は、ケース50とブラケット53の間の空間で上下方向にスライド移動できるように配置されている。
【0025】
第1プッシュラック51は、第1ラックギヤ71及び第2ラックギヤ72を有する。すなわち、第1プッシュラック51は、
図6(a)、(b)に示すように、挿通孔51a及び取付孔51bを有する本体部から、第1ラックギヤ71及び第2ラックギヤ72が棒状に延びて形成されている。そして、第1ロッド31の上端が、挿通孔51aに挿入された状態で、横からビス82、82によって固定される。
【0026】
したがって、操作レバー4を回動操作すると、これと一体のピニオンギヤ61が回動するため、第1ラックギヤ71を有する第1プッシュラック51が移動する。結果として、第1ピニオンギヤ61が回転することで、第1プッシュラック51に固定された第1ロッド31も移動することになる。
【0027】
さらに、第1プッシュラック51が移動すると、これと一体の第2ラックギヤ72も移動するため、第2ピニオンギヤ62が回転(逆回転)する。第2ピニオンギヤ62が回転すると、第3ラックギヤ73を有する第2プッシュラック52が移動する。
【0028】
すなわち、第2プッシュラック52は、
図7(a)、(b)に示すように、挿通孔52a及び取付孔52bを有する本体部から、第3ラックギヤ73が棒状に延びて形成されている。さらに、第3ラックギヤ73と平行に、スライド移動をガイドするガイド部材も延びている。そして、第2ロッド32の下端が、挿通孔52aに挿入された状態で、横からビス82、82によって固定される。結果として、第2ピニオンギヤ62が回転することで、第2プッシュラック52に固定された第2ロッド32も移動することになる。
【0029】
なお、第1プッシュラック51及び第2プッシュラック52が移動する際には、中間に第2ピニオンギヤ62を介在させているため、互いに反対方向に移動することになる。すなわち、第1プッシュラック51が下向きに移動すれば、第2プッシュラック52は上向きに移動する。逆に、第1プッシュラック51が上向きに移動すれば、第2プッシュラック52は下向きに移動する。
【0030】
また、ブラケット53は、
図8(a)、(b)に示すように、操作レバー4を収容する溝状の正面部から、挿通孔53aを有する背面部が突出するように形成されている。溝状の正面部には、扉体92に対する取付孔53cと、前述したように各ロッド31、32の端部をビス82、82で固定するための孔53b、53bと、が形成されている。
【0031】
(作用)
次に、
図9(a)、(b)及び
図10を用いて、実施例のロッド錠1の作用について説明する。まず、
図9(a)、(b)を用いて、ロッド錠1の施錠作用/解錠作用について説明する。
【0032】
解錠状態から施錠状態へ状態変化する際には、操作レバー4を下(
図9(b)の状態;6時の位置)から上(
図9(a)の状態;12時の位置)に時計回りに回動操作する。この際には、操作レバー4の位置が、6時の位置と、9時の位置と、12時の位置と、において、ボールラッチ43によるクリック感が得られる。
【0033】
そうすると、操作レバー4と一体の第1ピニオンギヤ61も時計回りに回転する。この第1ピニオンギヤ61の時計回りの回転によって、第1ラックギヤ71及び第1プッシュラック51は下方に移動する。すなわち、第1ロッド31は下方に移動する。
【0034】
同時に、第1プッシュラック51と一体の第2ラックギヤ72も下方に移動するとともに、第2ピニオンギヤ62は反時計回りに回転する。そして、第2ピニオンギヤ62が反時計回りに回転すると、第3ラックギヤ73及び第2プッシュラック52は上方に移動する。すなわち、第2ロッド32は上方に移動する。
【0035】
このようにして、操作レバー4を下(6時の位置)から上(12時の位置)に時計回りに回動操作すると、第1ロッド31及び第2ロッド32が扉体92から突出して、受け孔21、22に挿入される。すなわち、解錠状態から施錠状態へと状態変化する。
【0036】
反対に、施錠状態から解錠状態へ状態変化する際には、操作レバー4を上(
図9(a)の状態;12時の位置)から下(
図9(b)の状態;6時の位置)に反時計回りに回動操作する。この際には、操作レバー4の位置が、12時の位置と、9時の位置と、6時の位置と、において、ボールラッチ43によるクリック感が得られる。
【0037】
そうすると、操作レバー4と一体の第1ピニオンギヤ61も反時計回りに回転する。この第1ピニオンギヤ61の反時計回りの回転によって、第1ラックギヤ71及び第1プッシュラック51は上方に移動する。すなわち、第1ロッド31は上方に移動する。
【0038】
同時に、第1プッシュラック51と一体の第2ラックギヤ72も上方に移動するとともに、第2ピニオンギヤ62は時計回りに回転する。そして、第2ピニオンギヤ62が時計回りに回転すると、第3ラックギヤ73及び第2プッシュラック52は下方に移動する。すなわち、第2ロッド32は下方に移動する。
【0039】
このようにして、操作レバー4を上(12時の位置)から下(6時の位置)に反時計回りに回動操作すると、第1ロッド31及び第2ロッド32が扉体92に埋没して、受け孔21、22から抜かれる。すなわち、施錠状態から解錠状態へと状態変化する。
【0040】
次に、
図10を用いて、ロッド錠1の組付け時の作用について説明する。ロッド錠1の組み付け時には、操作レバー4を水平(9時の位置)に位置させる。操作レバー4が、9時の位置になると、ボールラッチ43によるクリック感が得られ、さらに操作レバー4の位置が水平に保持される。
【0041】
この9時の位置であれば、操作レバー4自体がブラケット53の孔53b、53bを塞いでしまうことがない。さらに、操作レバー4がこの位置にある状態で、ブラケット53の孔53b、53bのちょうど正面に、背面側に配置されている第1プッシュラック51の取付孔51b、51bと第2プッシュラック52の取付孔52b、52bが位置するように調整されている。
【0042】
したがって、操作レバー4を9時の位置にすることによって、ビス82、82を用いて第1ロッド31及び第2ロッド32を、第1プッシュラック51及び第2プッシュラック52にそれぞれ固定することができる。
【0043】
(効果)
次に、本実施例のロッド錠1の奏する効果を列挙して説明する。
【0044】
(1)上述してきたように、本実施例のロッド錠1は、扉枠91の上下に1つずつ設けられた2つの受け孔21、22と、扉体92に設けられて、2つの受け孔21、22にそれぞれ出没可能に挿入される第1ロッド31及び第2ロッド32と、第1ロッド31及び第2ロッド32を出没移動させるための操作レバー4と、第1ロッド31及び第2ロッド32と操作レバー4とを連結する連結機構5であって、操作レバー4の回動操作によって、第1ロッド31及び第2ロッド32を同時に出没移動させるように構成されている、連結機構5と、を備えている。このような構成であれば、操作レバー4の回動操作によって連結機構5が作動することで、上下2つのロッド31、32を同時に出没移動させることのできる、ロッド錠1となる。
【0045】
さらに、このように上下2つのロッド31、32を1つの操作レバー4によって同時に駆動できれば、それぞれのレバーを2回操作しなくてもよい。加えて、扉体92の高さが大きい場合であっても、上側のロッド(32)を駆動させることができる。
【0046】
(2)また、連結機構5は、操作レバー4に固定される第1ピニオンギヤ61と、第1ロッド31に固定される第1ラックギヤ71であって、第1ピニオンギヤ61と噛み合う、第1ラックギヤ71と、第1ラックギヤ71の背面に形成される第2ラックギヤ72と、第2ラックギヤ72と噛み合う第2ピニオンギヤ62と、第2ロッド32に固定される第3ラックギヤ73であって、第2ピニオンギヤ62と噛み合う、第3ラックギヤ73と、から構成されている。このように連結機構5を構成することによって、割合に簡易な構成によって第1ロッド31と第2ロッド32を同調させ、2つのロッド31、32を同じタイミングで同じ量だけ突出させることが可能となる。
【0047】
(3)ここにおいて、第1ロッド31又は第2ロッド32のうち、いずれか上側に配置される一方が、下側に配置される他方よりも長く形成されていることが好ましい。例えば、本実施例では、第2ロッド32が第1ロッド31よりも、長いことが好ましい。このように上側のロッドを長くしておけば、操作レバー4を保持させるラッチ機構が故障しても、開錠状態になるため、使用上の不便が少ない。つまり、ロッド錠1の連結機構5は、ロッド31、32の自重の影響を受けるため、ロッド31、32の長さが、上下均等になっていなければ、施錠または開錠のどちらかに回転しようとする。したがって、あらかじめ開錠状態になるような重量バランスにしておくことが好ましいのである。
【0048】
(4)また、操作レバー4は、第1ロッド31及び第2ロッド32が最大限に突出する施錠位置と、第1ロッド31及び第2ロッド32が最大限に没入する解錠位置と、施錠位置と解錠位置の中央の中立位置と、の3つの位置で静止できるようになっていることが好ましい。このように構成すれば、使用上において状態を保持したい3つの位置に操作レバー4を保持し、施錠状態、中立状態、解錠状態をそれぞれ保持することができる。
【0049】
(5)さらに、操作レバー4が中立位置にされた状態で、第1ロッド31と第1ラックギヤ71及び第2ラックギヤ72を木口側から固定できるようにされるとともに、第2ロッド32と第3ラックギヤ73を木口側から固定できるようにされていることが好ましい。このように構成すれば、組付け(組立て)の際に、操作レバー4を中立位置に保持することで、連結機構5を全体として正しい位置に組み付けることができる。
【0050】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。