(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162615
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】行先案内システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20231101BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073063
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】井上 雅博
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB72
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ユーザを、所望の商品売り場に効率的に誘導することのできる行先案内システムを提供する。
【解決手段】行先案内システムにおいて、店にあらかじめ備えられているタブレット等の施設機器100は、相関データと、商品情報データと、レイアウトデータと、を管理する施設内の管理センタに相当する店事務所10から、相関データ、商品情報データ及び売り場レイアウトデータを受信するデータ転送部110、商品情報データを表示する表示部131、表示部131に表示された商品情報データに含まれている商品の中から購入したい商品をユーザに選択させることで選択商品データを生成するHMI装置130並びに選択商品データ、相関データ及びレイアウトデータに基づいて、ユーザにより選択された商品の売り場へユーザを誘導するマップ表示を行うための行先案内表示データを生成する行先設定部140を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内で取り扱っている商品と前記施設内における前記商品の売り場とを関連付けた相関データと、前記施設内で取り扱っている商品に関する商品情報データと、前記施設内における前記商品と売り場とを関連付けたレイアウトデータと、を管理する前記施設内の管理センタから、前記相関データ、前記商品情報データ、および前記売り場レイアウトデータを受信するデータ転送部と、
前記商品情報データを表示する表示部を有し、前記表示部に表示された前記商品情報データに含まれている商品の中から購入したい商品をユーザに選択させることで選択商品データを生成するHMI装置と、
前記選択商品データ、前記相関データ、および前記レイアウトデータに基づいて、ユーザにより選択された商品の売り場へユーザを誘導するマップ表示を行うための行先案内表示データを生成する行先設定部と
を備える本体機器を含んで構成される行先案内システム。
【請求項2】
前記本体機器は、前記施設内における現在の位置を自己位置として検出する自己位置確認部をさらに備え、
前記行先設定部は、前記自己位置確認部で検出された前記自己位置に基づいて、前記マップ表示の中に前記自己位置を重ねて表示させるように前記行先案内表示データを生成する
請求項1に記載の行先案内システム。
【請求項3】
前記本体機器は、前記施設内でユーザが利用可能な施設機器である
請求項1または2に記載の行先案内システム。
【請求項4】
ユーザが所持し、公共回線を用いたデータ通信が可能なユーザ機器をさらに備え、
前記ユーザ機器は、
前記公共回線を介して前記管理センタから前記商品情報データを受信するユーザ機器用データ転送部と、
前記商品情報データに含まれている商品の中から購入したい商品をユーザに選択させることで選択商品データを生成するユーザ機器用HMI装置と
を備え、
前記ユーザ機器用データ転送部は、前記ユーザ機器用HMI装置を用いて生成された前記選択商品データを、前記施設機器内の前記HMI装置に転送する機能を有する
請求項3に記載の行先案内システム。
【請求項5】
前記本体機器は、前記ユーザが所持するユーザ機器である
請求項1または2に記載の行先案内システム。
【請求項6】
前記本体機器とは別の構成として、前記施設内でユーザが買い物を行う際に使用する買い物カートをさらに備え、
前記買い物カートは、
前記本体機器とデータ通信が可能なカート用データ転送部と、
前記買い物カート内にある商品が有する商品情報を読み取る商品読取部と、
前記商品読取部による読取結果に基づいて、前記買い物カート内にある商品に関する商品一覧データを作成する商品一覧作成部と
を有し、
前記本体機器内の前記HMI装置は、前記カート用データ転送部を介して前記商品一覧データを受信し、ユーザによる選択操作に基づいて生成された前記選択商品データと、前記商品一覧データとの比較結果を前記表示部に表示させる
請求項1または2に記載の行先案内システム。
【請求項7】
前記買い物カートは、
前記商品一覧作成部で作成された前記商品一覧データに基づいて決済処理を実行し、決済確認情報を生成する電子決済部と、
前記管理センタにおいて前記決済確認情報が確認できた後に、前記決済処理が完了したことを示すレシートを印字するプリンタと
をさらに有し、
カート用データ転送部は、前記決済確認情報が生成された場合には、生成された前記決済確認情報を、前記カート用データ転送部を介して前記本体機器に転送し、
前記本体機器内の前記データ転送部は、
前記カート用データ転送部を介して前記決済確認情報を受信した場合には、前記管理センタに対して前記決済確認情報を転送し、
前記管理センタから前記決済確認情報に対する返答として決済完了情報を受信した場合には、前記決済完了情報を前記買い物カートに転送し、
前記プリンタは、前記カート用データ転送部を介して前記決済完了情報を受信することで、前記レシートを印字する
請求項6に記載の行先案内システム。
【請求項8】
前記本体機器は、
前記商品一覧作成部で作成された前記商品一覧データを、前記カート用データ転送部を介して取得し、前記商品一覧データに基づいて決済処理を実行し、決済確認情報を生成する電子決済部と、
あらかじめ決められた場所において前記管理センタとデータ通信可能な近距離用データ転送部と
をさらに備え、
前記近距離用データ転送部は、
前記電子決済部により前記決済確認情報が生成され、かつ、前記管理センタとデータ通信可能な場合には、前記管理センタに対して前記決済確認情報を転送し、
前記管理センタから前記決済確認情報に対する返答として決済完了情報を受信した場合には、前記あらかじめ決められた場所に設置されているプリンタを用いて前記決済処理が完了したことを示すレシートを印字する
請求項6に記載の行先案内システム。
【請求項9】
前記本体機器とは別の構成として、前記施設内で買い物を行う際に乗車したユーザを目的地に移動させる機能を有する自走式電動カートをさらに備え、
前記本体機器内の前記行先設定部は、前記行先案内表示データを生成した際に特定した、ユーザにより選択された商品の売り場へユーザを誘導するための経路データを、前記自走式電動カートに転送し、
前記自走式電動カートは、前記経路データに従って前記ユーザを前記目的地に移動させるように自動で走行する
請求項2に記載の行先案内システム。
【請求項10】
前記自走式電動カートは、ユーザが座るための椅子の向きを制御するための椅子回転制御部を有する
請求項9に記載の行先案内システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、施設内において効率の良い商品購入を可能にする行先案内システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化社会が進む中で、自分の行きたい場所が施設内のどこにあるかわからず、目的場所に行くまでに時間がかかり、疲れてしまう場合がある。また、足が弱っている、あるいは不自由な人は、施設内を歩いて移動することが困難な場合がある。すなわち、施設内での高齢者あるいは身体障碍者の移動は、非常に多くの問題を抱えている。
【0003】
電動車両を用いた自動運転としては、以下のような従来技術がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、目的の部屋を特定するための診察情報が記載された診察券を読み取ることで、電動車椅子で患者を目的の部屋まで移動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
特許文献1における電動カートを用いる手法は、高齢者あるいは身体障碍者向けとしては適している。しかしながら、一般的には、健常者全員が電動カートで移動する通路等はなく、徒歩による移動が主流である。そして、徒歩の人も、病院のどの目的の部屋にどの順番で行けばよいか、その部屋がどこにあるか、などがわかりにくい場合が考えられる。
【0006】
また、病院では、病院が決めた行先へ行先案内システムで案内すればよい。しかしながら、スーパーマーケットなどではユーザが購入品を決めるため、行先(売り場)が多岐に渡り、また、同じユーザでも日々異なった売り場に行く場合が多く、病院のように一義的に行先を決めることができない問題があった。
【0007】
また、スーパーマーケットでは、特価品等を通常の売り場でない場所で販売する場合がある。このような場合には、従来技術のシステムを適用したとしても、購入目的の商品を指示して普段の売り場に行くことはできても、特価品売り場には行けないおそれがあった。従って、スーパーマーケットのような施設内において、ユーザにとって効率の良い商品購入を実現することが望まれる。
【0008】
本開示は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、ユーザを、所望の商品売り場に効率的に誘導することのできる行先案内システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る行先案内システムは、施設内で取り扱っている商品と施設内における商品の売り場とを関連付けた相関データと、施設内で取り扱っている商品に関する商品情報データと、施設内における商品と売り場とを関連付けたレイアウトデータと、を管理する施設内の管理センタから、相関データ、商品情報データ、および売り場レイアウトデータを受信するデータ転送部と、商品情報データを表示する表示部を有し、表示部に表示された商品情報データに含まれている商品の中から購入したい商品をユーザに選択させることで選択商品データを生成するHMI装置と、選択商品データ、相関データ、およびレイアウトデータに基づいて、ユーザにより選択された商品の売り場へユーザを誘導するマップ表示を行うための行先案内表示データを生成する行先設定部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ユーザを、所望の商品売り場に効率的に誘導することのできる行先案内システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る行先案内システムの全体構成図である。
【
図2】本開示の実施の形態1に係る行先案内システムが適用される施設内で取り扱っている商品と売り場場所とを関連付けた相関データを示した図である。
【
図3】本開示の実施の形態1に係る行先案内システムで使用される売り場レイアウトデータを示した図である。
【
図4】本開示の実施の形態1に係る行先案内システムで使用される商品情報データを示した図である。
【
図5】本開示の実施の形態1において、階層分けされたHMI表示データの具体例を示した図である。
【
図6】本開示の実施の形態1に係る行先設定部によって生成された行先案内表示データの一例を示した図である。
【
図7】本開示の実施の形態2に係る行先案内システムの全体構成図である。
【
図8】本開示の実施の形態3に係る行先案内システムの全体構成図である。
【
図9】本開示の実施の形態5に係る行先案内システムの全体構成図である。
【
図10】本開示の実施の形態6に係る行先案内システムの全体構成図である。
【
図11】本開示の実施の形態7に係る行先案内システムの全体構成図である。
【
図12】本開示の実施の形態8に係る行先案内システムの全体構成図である。
【
図13】本開示の実施の形態9に係る行先案内システムの全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の行先案内システムの好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
本開示に係る行先案内システムは、ユーザが、表示内容を見ながら所望の商品を選択することで、選択した商品の売り場をマップ表示として視認することができる構成を備えることを技術的特徴とする。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本開示の実施の形態1に係る行先案内システムの全体構成図である。本実施の形態1に係る行先案内システムは、店にあらかじめ備えられているタブレット等の施設機器100を本体機器として使用する場合に相当する。施設内でユーザが利用可能な施設機器100には、管理センタに相当する店事務所10に設置されたデータ転送部11からのデータ転送により、行先案内を可能にする機能がインストールされている。
【0014】
店に来た客(以後、ユーザと称す)は、行先案内の機能がインストールされている施設機器100を使うことで、自分が購入を希望する商品の売り場へ、容易に行くことができる。
【0015】
図2は、本開示の実施の形態1に係る行先案内システムが適用される施設内で取り扱っている商品と売り場場所とを関連付けた相関データを示した図である。
図3は、本開示の実施の形態1に係る行先案内システムで使用される売り場レイアウトデータを示した図である。また、
図4は、本開示の実施の形態1に係る行先案内システムで使用される商品情報データを示した図である。
【0016】
それぞれの売り場は、アルファベットと数字の組合せにより特定されている。商品と売り場場所との関係が、
図2に示す相関データによって特定されるとともに、
図3に示す売り場レイアウトデータによって店内での売り場が特定される。さらに、商品に関する広告内容、詳細情報等が、
図4に示す商品情報データにまとめられている。
【0017】
相関データ、売り場レイアウトデータ、および商品情報データに関しては、最新のデータが店事務所10に相当する管理センタによって管理され、必要に応じてデータ転送部11およびデータ転送手段1Aを介して、施設機器100内のデータ転送部110に転送される。
【0018】
最新のデータを受信したデータ転送部110は、最新の相関データを記憶部121に格納し、最新の売り場レイアウトデータを記憶部122に格納し、最新の商品情報データを記憶部123に格納する。
【0019】
なお、データ転送手段1Aは、USB等の有線であっても、WiFi、ローカル5Gなどの無線であってもよい。有線接続の場合には、運営者側が個々の施設機器100と有線により接続してデータ転送することとなる。一方、無線接続の場合には、店のPCなどからすべての施設機器100に対して、一度の操作でデータ転送が可能になるようにシステム設計をしておくことができ、手間を減らしてすべての施設機器100へのデータ転送が可能となる。
【0020】
また、相関データ、売り場レイアウトデータ、および商品情報データのそれぞれは、施設機器100側において、記憶部121~123によって別々に記憶されて管理されている。例えば、価格変更時には商品情報データのみを更新すればよく、売り場を変更した場合には、相関データのみを変更すればよい。
【0021】
その一方で、売り場レイアウトデータのように、店のレイアウト変更がない限り発生しないデータに関しては、そのまま流用することができる。この結果、転送する最新のデータは、必要最小限になり、データ変更工数および変更データの確認量を少なくすることができ、効率よくデータ更新が実施できるとともに、間違いの発生確率も低く抑えることができる。なお、記憶部としては、必ずしも個別に設ける必要はなく、それぞれのデータを個別管理できれば1つの記憶部を用いてもよい。
【0022】
上述したデータ転送によって事前に準備された施設機器100は、店の入り口などに配置される。ユーザは、店に来た際に、入り口にある施設機器100を手に取り、使用することができる。ユーザによる施設機器100の具体的な使用方法について、
図1に示した施設機器100内の構成に基づいて説明する。
【0023】
施設機器100内のHMI(Human Machine Interface)装置130は、表示部131、入力部132、および記憶部133を備えて構成されている。表示部131は、記憶部123に記憶された商品情報データをHMI表示方法に従って表示する。ユーザは、表示部131に表示された商品の中から、購入したい商品を入力部132からの操作入力によって選択していく。
【0024】
表示部131には、一度に全商品を表示させることはできない。そこで、本実施の形態1に係る表示部131では、表示内容を階層分けして表示させるHMI表示方法を採用している。
図5は、本開示の実施の形態1において、階層分けされたHMI表示データの具体例を示した図である。
【0025】
図5に示したHMI表示方法の具体例では、階層1~階層3の3階層に分けられて階層表示されている。上位層である階層1では、「広告商品」、「通常商品」、「料理メニュー」といった大項目が選択可能となっている。また、中位層である階層2では、階層1による大項目ごとに、上位概念に当たる商品名が選択可能となっている。さらに、下位層である階層3では、階層2の商品をさらに細分化した下位概念に当たる商品名が選択可能となっている。
【0026】
HMI表示方法においてこのような階層表示を行うことで、ユーザは、選択したい商品を見つけやすくなり、入力部132を用いた選択操作により、購入したい商品を容易に選択することができる。例えば、ユーザは、商品「野菜」に関して、「通常商品」に含まれる「野菜」と、「広告商品」に含まれる「野菜」とを区別して選択することで、所望の売り場への誘導を促す経路情報を得ることができる。
【0027】
また、その日のメニューから作りたい「料理メニュー」を階層1でユーザに選択させることで、その料理に必要な食材を自動で選択表示させることができ、ユーザは、表示内容に従って所望の商品を選択できる。
【0028】
また、HMI装置130は、ユーザによって選択された料理メニューに必要な調味料なども、合わせて表示部131に表示させることができる。この結果、買い忘れを防止できるとともに、多忙なユーザの買い物の助けにもなり、効率の良い商品選択ができるシステムを実現することができる。さらに、入力部132を介して人数を入れることで、標準的な材料量の表示もできるようにしておくことで、さらに利便性の向上を図ることができる。
【0029】
HMI装置130は、入力部132を介してユーザにより選択された商品を、記憶部133に選択商品データとして記憶させる。そして、行先設定部140は、記憶部133に記憶された選択商品データと、記憶部121に記憶された相関データと、記憶部122に記憶されたレイアウトデータとに基づいて、ユーザにより選択された商品の売り場へユーザを誘導するマップ表示を行うための行先案内表示データを生成し、表示部131に表示させる。
【0030】
図6は、本開示の実施の形態1に係る行先設定部140によって生成された行先案内表示データの一例を示した図である。
図6に示した行先案内表示データは、ユーザによりポテトチップスとチョコレートと牛乳の3つの商品が選択された際に、ユーザの自己位置とそれぞれの商品売り場とを売り場レイアウトデータ上に重ねてマップ表示させた状態を示している。なお、自己位置を表示させるための具体的な手法については、後述する実施の形態4において詳細に説明する。
【0031】
図6に示した行先案内表示データでは、購入したい商品の売り場の色を変えて表示させ、その売り場で購入する商品の名前、写真、値段なども合わせて表示させている。このような識別表示を行うことで、ユーザは、表示部131に表示された行先案内表示データを見ながら、購入したい商品の売り場へ容易に行くことができる。
【0032】
以上のように、実施の形態1によれば、ユーザは、表示内容を見ながら、所望の商品を選択することで、選択した商品の売り場をマップ表示として視認することができる。このような構成を備えることで、ユーザを、所望の商品売り場に効率的に誘導することのできる行先案内システムを実現することができる。
【0033】
さらに、ユーザに対して詳細な商品情報データを提供することができる。この結果、ユーザは、商品情報データを参照することで、安心して買い物をすることができる。特に、実施の形態1では、店に常備された施設機器を行先案内システムの本体機器として活用する構成を備えている。この結果、来店した客は、本体機器として施設機器を用いることで、直ちに、所望の商品売り場に効率的に誘導してもらえるサービスを受けることができる。
【0034】
実施の形態2.
本実施の形態2では、ユーザが所持するスマートフォン、タブレット等のユーザ機器を、施設機器と併用して行先案内システムを構築する場合について説明する。すなわち、本実施の形態2では、本体機器としての施設機器100と、ユーザが所持するユーザ機器とを併用するシステム構成について説明する。
【0035】
図7は、本開示の実施の形態2に係る行先案内システムの全体構成図である。先の実施の形態1では、ユーザは店に到着後、店に常備された施設機器100を行先案内システムとして使用し、購入したい商品をその場で選択する必要があった。その場合、ユーザは、店に到着後に、施設機器100を用いて購入したい商品を選択するため、直ちに買い物を行うことができず、商品選択を行う分の時間がかかっていた。
【0036】
そこで、本実施の形態2では、来店前に商品選択を実施できるように、ユーザが所持しているユーザ機器200を用いて商品選択できる構成をさらに備えている。具体的には、ユーザは、店側が用意した商品選択用のアプリケーションソフトウェアを、公共回線を用いて、自身が所持するスマートフォン等のユーザ機器200にダウンロードして事前にインストールしておく。
【0037】
また、自身が所持するユーザ機器200と、店に常備された施設機器100との間では、特定のデータ通信が可能な構成となっている。従って、ユーザは、商品選択に関する処理を、来店前に事前にユーザ機器200を用いて実行し、来店時に施設機器100に転送することが可能となる。
【0038】
図7に示したユーザ機器200は、データ転送部210、記憶部223、およびHMI装置230を備えて構成されている。また、HMI装置230は、表示部231、入力部232、および記憶部233を備えている。ここで、データ転送部210はユーザ機器用データ転送部に相当し、HMI装置230はユーザ機器用HMI装置に相当する。
【0039】
ユーザは、上述した商品選択用のアプリケーションソフトウェアをユーザ機器200にダウンロードしておくことにより、先の
図4に示した商品情報データおよび先の
図5に示したHMI表示方法による表示データを、LTEなどの公共回線などから取得し、記憶部223に記憶させる。
【0040】
この際に、HMI表示方法による表示データは、一度ダウンロードしておけば変化がない限り新規にダウンロードする必要がないように設定しておくことで、公共回線でのデータ転送量を減らすことができ、通信量と通信時間の削減ができる。
【0041】
また、商品情報データは、ユーザが必要なタイミングで取得するように設定することができる。あるいは、店として特に広告などの情報をプッシュ情報としてユーザに送信することも可能である。このようなプッシュ情報の送信を行うことで、電子広告をユーザ機器200へタイムリーに転送することができる。
【0042】
この結果、店側は、ユーザ確保および売上向上を図ることができるメリットがある。一方、ユーザ側は、HMI装置230を用いて、従来の新聞折り込みによる紙の広告に赤ペンで〇を付ける感覚で、電子広告をクリックして、購入したい商品を選択することができる。
【0043】
ユーザ機器200は、送られてきた電子広告および商品情報データを記憶部223へ記憶させ、それらのデータをHMI装置230内の表示部231に階層化されたMHI表示方法として表示させる。
【0044】
一方、ユーザは、自宅等でユーザ機器200に階層表示された商品情報データを見ながら、入力部232を用いた選択操作により、購入したい商品を選択し、ユーザ機器200内の記憶部233へ選択した商品を選択商品データとして記憶させる。
【0045】
ここで、記憶部221~223、233等の記憶部は、ユーザ機器200内のメモリの一部を活用できるように、システムを構成することができる。
【0046】
ユーザは、ユーザ機器200を持って店へ出向き、店の入り口付近に置かれた施設機器100内のデータ転送部111と、ユーザ機器200内のデータ転送部210との間で、データ転送手段1Bを用いてデータ転送を行う。この結果、ユーザは、来店時に、ユーザ機器内の記憶部233に事前に記憶された選択商品データを、施設機器100内の記憶部133に直ちに転送することができる。
【0047】
なお、データ転送手段1Bとしては、NFC、ブルートゥース(登録商標)などの近距離通信を用いることで、他機器との干渉防止図ることができる。ただし、具体的な通信方法は、特に限定されない。
【0048】
施設機器100は、先の実施の形態1で説明したように、ユーザ機器200から転送された選択商品データをもとに、行先案内表示データを生成することができる。すなわち、ユーザは、ユーザ機器200を用いて事前に生成しておいた選択商品データを、来店時に施設機器100に転送することで、商品選択を行う分の時間を短縮して、行先案内表示データを視認しながらの買い物を早期に実施することができる。
【0049】
以上のように、実施の形態2によれば、ユーザ機器と施設機器とを併用して行先案内システムを構成している。このような構成を備えることで、ユーザは、あらかじめ自宅等で商品選択をじっくり行うことができ、店に到着後には、店に常備された施設機器に対して事前に作成した選択商品データを転送することができる。この結果、ユーザにとっては、空き時間に選択商品データを事前に生成できるとともに、店到着後、直ちに買い物を開始できるため、買い物時間短縮が可能になる。
【0050】
一方、店側にとっては、ユーザ機器へ広告商品などをプッシュ情報で転送でき、ユーザに対して最新情報に基づく商品選択を行うための十分な時間を提供でき、ユーザ確保および売上げ向上を図ることができる。
【0051】
実施の形態3.
本実施の形態3では、施設機器100を本体機器として用いる代わりに、ユーザが所持するスマートフォン、タブレット等のユーザ機器を本体機器として使用できるように、ユーザ機器に対して本体機器としてのすべての機能を持たせた場合について説明する。
【0052】
図8は、本開示の実施の形態3に係る行先案内システムの全体構成図である。先の実施の形態2では、ユーザ機器200を用いて選択商品データを事前生成できる構成を備えることで、来店後に選択商品データを生成する時間の削減を図っていた。ただし、このような実施の形態2の構成においては、事前生成した選択商品データを施設機器100に対してデータ転送する手間と時間がかかっていた。
【0053】
そこで、本実施の形態3では、
図8に示したように、施設機器100を用いることなく、ユーザ機器200を本体機器として使用し、ユーザ機器200のみで本開示に係る行先案内システムのすべての機能を実現する構成を有している。具体的には、ユーザは、店側が用意した商品選択および行先案内の機能を備えたアプリケーションソフトウェアを、公共回線を用いて、自身が所持するスマートフォン等のユーザ機器200にダウンロードして事前にインストールしておく。
【0054】
この結果、ユーザは、自身が所持するユーザ機器200と、店事務所10に設置されたデータ転送部11との間で特定のデータ通信が可能となる。従って、ユーザは、商品選択機能および行先案内機能を実現するために必要な処理を、来店前に事前にユーザ機器200を用いて実行することが可能となる。
【0055】
図8に示したユーザ機器200は、記憶部221~記憶部223、HMI装置230、行先設定部240、および自己位置確認部250を備えて構成されている。また、HMI装置230は、表示部231、入力部232、および記憶部233を備えている。
【0056】
ここで、
図8におけるユーザ機器200が有する記憶部221~記憶部223、HMI装置230、行先設定部240、および自己位置確認部250は、先の
図1における施設機器100が有する記憶部121~記憶部123、HMI装置130、行先設定部140、および自己位置確認部150と実質的に同等である。従って、本実施の形態3に係るユーザ機器200は、先の実施の形態1における施設機器100の機能を実現できる構成を有している。
【0057】
図8の構成を備えることで、ユーザは、先の
図4に示した商品情報データおよび先の
図5に示したHMI表示データを、LTEなどの公共回線などから取得し、記憶部223に記憶させる。さらに、本実施の形態3に係るユーザ機器200では、ユーザは、先の
図2に示した相関データおよび先の
図3に示した売り場レイアウトデータに関しても、LTEなどの公共回線などから取得し、記憶部221および記憶部222に記憶させる。
【0058】
記憶部221~記憶部223は、ユーザ機器200内のメモリを使用してそれぞれのメモリに対応させるようにプログラミングしておくことで、特にハードウエアとしてのメモリを準備する必要はない。
【0059】
商品情報データは、ユーザが必要なタイミングで取得するように設定することができる。あるいは、店として特に広告などの情報をプッシュ情報としてユーザに送信することも可能である。このようなプッシュ情報の送信を行うことで、電子広告をユーザ機器200へタイムリーに転送することができる。
【0060】
また、本実施の形態3に係るユーザ機器200は、相関データおよび売り場レイアウトデータに関しても、商品情報データと同じ手法、同じタイミングで店事務所10に設置されたデータ転送部11から受信することができる。
【0061】
ただし、相関データおよび売り場レイアウトデータに関しては、前回から変更がない場合にはユーザ機器200に対して転送する必要がなく、データが更新された場合に、商品情報データと同時に転送すればよい。この結果、公共電波のデータ量の削減、および通信時間の削減にも有用である。
【0062】
また、本実施の形態3におけるHMI装置230、行先設定部240、および自己位置確認部250により実行される機能は、先の
図1における施設機器100が有するHMI装置130、行先設定部140、および自己位置確認部150により実行される機能と実質的に同等である。そこで、詳細な説明は省略し、動作概要を以下に説明する。
【0063】
ユーザ機器200は、記憶部223に記憶させた商品情報データをHMI装置230の表示部231にHMI表示方法に従って表示させる。ユーザは、自宅等において、ユーザ機器200に表示された商品情報データを見ながら、入力部232を用いた選択操作により、購入したい商品を選択し、記憶部233へ選択商品データとして記憶させる。
【0064】
そして、行先設定部240は、記憶部233に記憶された選択商品データと、記憶部221に記憶された相関データと、記憶部222に記憶されたレイアウトデータとに基づいて、ユーザにより選択された商品の売り場へユーザを誘導するマップ表示を行うための行先案内表示データを生成し、表示部231に表示させる。
【0065】
表示部231に表示される行先案内表示データは、先の
図6に示したように、購入したい商品の売り場の色が他の場所と異なる色で表示され、その売り場で購入する商品の名前、写真、値段なども合わせて表示される。このような識別表示を行うことで、ユーザは、表示部231に表示された行先案内表示データを見ながら、購入したい商品の売り場へ容易に行くことができる。
【0066】
以上のように、本実施の形態3によれば、ユーザが所持するスマートフォン、タブレット等のユーザ機器が、先の実施の形態1における施設機器に相当する行先案内システムのすべての機能を有した構成となっている。この結果、ユーザは、あらかじめ自宅等で商品選択データを生成しておくことができ、店に到着後、すぐにユーザ機器を用いてマップ表示を視認しながらの買い物を開始できる。従って、先の実施の形態1、2と比較して、無駄なく短時間で商品売り場へ行くことができ、所望の商品売り場に効率的に誘導してもらえるサービスを受けることができる。
【0067】
実施の形態4.
本実施の形態4では、先の
図6に示したように、行先案内表示データの中に自己位置も合わせて表示させるための具体的な手法について説明する。
【0068】
行先案内表示データの中に自己位置が表示されない場合には、ユーザは、表示された行先案内表示データによる店内のレイアウトをもとに自分の場所を自認して、次に行きたい場所への行き方を自身で判断し、目的場所へ向かって進む必要がある。従って、売り場が比較的広い場合、行き慣れていない店の場合などでは、自己位置を自認することが困難なときも考えられる。さらに、これらの場合には、ユーザは、表示された行先案内表示データを視認しただけでは、目的売り場までどのようにして行けばよいかがわからないことも考えられる。
【0069】
そこで、店側は、自己位置を視認できる機能としての「自己位置確認部」を、あらかじめ本体機器にダウンロード(インストール)できるようなシステムを準備する。「自己位置確認部」は、先の
図1および先の
図7においては、本体機器である施設機器100内の自己位置確認部150に相当し、先の
図8においては、本体機器であるユーザ機器200内の自己位置確認部250に相当する。
【0070】
なお、自己位置を視認できる機能を実現するための「自己位置確認部」をダウンロードするためには、店でのWiFi等の無線であってもよく、LTEなどの公共回線であってもよい。
【0071】
また、「自己位置確認部」において用いられる自己位置の取得手法としては、以下のような具体的な構成が挙げられる。
構成1:近年のスマートフォン、タブレット等に一般的に準備されているGPS機能を用いて、自己位置に関する絶対位置を取得する構成。
構成2:建屋内での位置検出として用いられるブルートゥース(登録商標)を用いたビーコン測位などの一般的な方法を用いて、自己位置に関する絶対位置を取得する構成。
【0072】
また、自己位置精度を向上させるために、構成1あるいは構成2に対して、移動速度および加速度から移動方向および距離を求める自立航法手段を付加する構成を採用してもよい。
【0073】
上述した機能を備えた自己位置確認部150あるいは自己位置確認部250により、店内にいるユーザは、店のレイアウトの中で自身がどこにいるかを視認することができる。すなわち、先の
図6に一例を示したように、自己位置確認部150あるいは自己位置確認部250は、自己位置を認識し、表示部131あるいは表示部231に表示させる行先案内表示データの中に★印の位置として、ユーザの自己位置を重ねて表示させることができる。
【0074】
さらに、自己位置確認部150あるいは自己位置確認部250は、自己位置を視認できる付加機能として、自己位置から目的の商品売り場までの適切な経路を認識し、ユーザがどのように移動すれば目的の商品売り場へ確実に到達できるかを視認できるように、経路データを付加した行先案内表示データを作成することができる。
【0075】
また、自己位置確認部150あるいは自己位置確認部250は、自己位置を視認できる付加機能として、時間経過に伴ってユーザが移動することによる自己位置の遷移状態を検出し、適切な経路として示した点線上のどこにユーザが現在いるかをタイムリーに表示させるように行先案内表示データを作成することもできる。
【0076】
これらの付加機能を有することで、ユーザを、確実に目的の商品売り場まで誘導するサービスを提供することができる。
【0077】
また、自己位置確認部150あるいは自己位置確認部250は、経路案内をサポートするための音声機能を備えることもできる。音声機能を備えた自己位置確認部150あるいは自己位置確認部250は、ユーザの移動に伴って、「次の角を右です」「そのまま直進してください」など、音声での行先案内を行うことが可能になる。
【0078】
以上のように、実施の形態4によれば、行先案内表示データの中に自己位置も合わせて表示させる機能を持たせた構成を提供できる。この結果、ユーザは、現在の自己位置および所望の商品売り場の位置をマップ表示として視認した上で、適切な経路に沿って、より確実に、より短い時間で目的地に到達することができる。
【0079】
実施の形態5.
本実施の形態5では、買い物カートをさらに備えた行先案内システムについて説明する。なお、以下の説明では、先の実施の形態3における
図8の構成に対して買い物カートの機能を付加した場合を説明するが、他の実施の形態の構成に対して買い物カートの機能を付加することも可能である。
【0080】
図9は、本開示の実施の形態5に係る行先案内システムの全体構成図である。具体的には、この
図9では、先の実施の形態3における
図8の構成に対して、買い物カート300をさらに付加した構成が例示されている。すなわち、本体機器としてユーザ機器200を使用する行先案内システムにおいて、買い物カート300をさらに付加した構成が例示されている。
【0081】
先の実施の形態1~4では、所望の商品売り場へユーザを効率よく誘導するためのマップ表示を行う行先案内システムについて説明した。これに対して、本実施の形態5では、ユーザがカートに入れた商品を認識して商品の一覧を作成し、現在のカート内の商品、個数、合計金額などを一目で視認できる表示機能をさらに備えた行先案内システムについて説明する。以下では、構成として新たに付加された買い物カート300の機能を中心に説明する。
【0082】
図9に示した買い物カート300は、データ転送部310、商品読取部320、および商品一覧作成部330を備えて構成されている。ここで、データ転送部310はカート用データ転送部に相当する。
【0083】
商品読取部320は、バーコードによる読み取り、電子TAGによる自動読み取りなど、現在もセルフレジなどで活用されている手法を活用して、買い物カート300内の商品情報を読み取る。ここで、商品情報には、商品名、個数、値段、割引率等が含まれる。
【0084】
買い物カート300側には、図示を省略しているが、商品読取部320などの駆動用電源としてバッテリーなどの電源供給部、および読み取った商品の値段を記憶する記憶部が設けられている。
【0085】
商品一覧作成部330は、商品読取部320による読取結果である商品情報に基づいて、買い物カート300内の商品に関する商品一覧を作成する。商品一覧としては、商品名ごとに、個数、値段、割引額などの必要情報が一覧になっている情報である。
【0086】
また、買い物カート300は、ユーザ機器200と通信するためのデータ転送部310を有している。商品一覧作成部330で作成された商品一覧は、データ転送部310を介してユーザ機器200に転送され、HMI装置230内の記憶部233に記憶されるとともに、表示部231に表示される。
【0087】
ユーザは、表示部231に表示された商品一覧を視認することで、買い物カート300内に入れた商品に関する商品一覧を確認でき、購入すべき商品の過不足を容易に把握することができる。
【0088】
以上のように、実施の形態5によれば、ユーザは、買い物カート内に入っている購入予定の商品、金額等を、レジでの支払い前に容易に把握できる。今までは、レジで支払い後のレシートを見ないと商品一覧が確認できなかったが、支払い前に、本実施の形態5の構成により生成される商品一覧を確認することができる。この結果、支払い前の段階で、買い忘れ、買いすぎ等を防止でき、効率のよい買い物サービスを提供することが可能となる。
【0089】
また、記憶部には、もともと、ユーザが購入しようと選択していた選択商品データが記憶されている。そこで、選択商品データと商品一覧データとの電子的な比較結果に基づいて、購入すべき商品の過不足を電子的に把握することができる。この結果、電子的な比較判断に基づいて、支払い前の段階で、買い忘れ、買いすぎ等を防止でき、さらに効率のよい買い物サービスを提供することが可能となる。
【0090】
また、商品一覧データを電子データとして把握できるため、商品一覧データをレジに転送して決済処理に流用することができる。この結果、レジでの1つ1つの商品確認が不要となり、精算処理をスムーズに行うことができる。
【0091】
実施の形態6.
本実施の形態6では、先の実施の形態5で説明した買い物カート300に対して、決済機能をさらに付加した構成について説明する。
【0092】
図10は、本開示の実施の形態6に係る行先案内システムの全体構成図である。具体的には、この
図10では、先の実施の形態5における
図9の構成に対して、買い物カート300内に、電子決済部340およびプリンタ350をさらに付加した構成が例示されている。そこで、電子決済部340およびプリンタ350の機能を中心に、以下に説明する。
【0093】
ユーザは、商品一覧作成部330で作成された商品一覧データにより、買い物カート300内に入っている購入予定の商品を確認できる。そして、ユーザは、確認の結果、問題なければ支払いへと進む。
【0094】
従来なら、レジに並んで支払いを行う必要があった。これに対して、本実施の形態6の構成では、すでに買い物カート300内の商品に関する商品一覧データが作成され、事前にユーザが確認を行うことができる。このため、レジに並ぶ必要はなく、任意の場所で買い物カート300に備わっている電子決済部340で電子決済をすることができる。
【0095】
また、電子決済したレシートは、買い物カート300に備わったプリンタ350で印字することができる。このため、ユーザは、レジに並ぶことなく、所望の購入商品の支払い処理を行うことができ、時間効率のよい買い物サービスを受けることができる。
【0096】
また、
図10の構成とは異なり、ユーザ機器200内に電子決済機能が備わっている場合には、買い物カート300内の電子決済部340を不要とすることができる。具体的には、電子決済機能を備えたユーザ機器200は、データ転送手段1Cを介して受信した、買い物カート300内の商品一覧作成部330で作成された商品一覧データに基づいて電子決済を行うことができる。
【0097】
そして、ユーザ機器200は、電子決済処理を行うことで作成された決済完了情報を、データ転送手段1Cを介して買い物カート300側に返送する。そして、買い物カート300内のプリンタ350を用いることにより、決済完了情報に基づいたレシートを発行することができる。この結果、電子決済部340を買い物カート300側に準備する必要はなく、店側のコスト削減が可能になる。
【0098】
さらに、ユーザ機器200で作成された決済完了情報を、データ転送手段1Dを介して店事務所10に転送することができる。この結果、店側は、受信した決済完了情報に基づいて決済が完了した否かの確認を電子的に行うことができ、万引き防止等の防犯にも役立てることができる。
【0099】
以上のように、実施の形態6によれば、買い物カートに電子決済部およびプリンタが設けられた構成を備えている。この結果、ユーザは、施設内の任意の場所で、決済処理を行うとともにレシートを受け取ることができ、効率的な買い物が実現できる。
【0100】
実施の形態7.
先の実施の形態6では、電子決済を任意の場所で行うことができる構成について説明した。これに対して、本実施の形態7では、所望の商品の購入作業を終えたユーザが、最終的にあらかじめ決められた場所に来た場合にのみ、決済処理を実施できる構成について説明する。
【0101】
図11は、本開示の実施の形態7に係る行先案内システムの全体構成図である。具体的には、この
図11では、先の実施の形態6における
図10の構成に対して、次の2点が相違している。
相違点1:買い物カート300内にあったプリンタ350の機能をなくし、あらかじめ決められた場所に設置されたプリンタを流用する点。
相違点2:店事務所10とユーザ機器200との間のデータ転送手段として、データ転送手段1Dではなくデータ転送手段1Eを用いている点。
【0102】
そこで、これらの相違点を中心に、以下に説明する。先の実施の形態6で説明した
図10の構成を採用して、任意の場所で決済処理が行われた際に、管理センタである店事務所10が受信した決済確認情報に基づいて決済完了情報を返答するためには、データ転送手段1Dとして、ある程度の距離を通信できる手段を選択する必要があった。
【0103】
これに対して、あらかじめ決められた場所でのみ店事務所10とユーザ機器200との間でデータ通信可能とするように制限することで、NFC等の狭域で通信するデータ転送手段1Eを採用することができる。すなわち、データ転送部11およびデータ転送部212として、近距離用データ転送部を用いることができ、より安価なデータ転送構成を構築できる。
【0104】
あらかじめ決められた場所の具体例としては、先の
図3に示したように、レジ係が常駐するレジに相当するR1~R3、あるいはセルフレジに相当するSR4の位置が考えられる。このように、あらかじめ決められた場所として現在活用されているレジを流用することで、プリンタ350を買い物カート300に備える必要がなく、レジに設置されたプリンタを代用することができる。
【0105】
また、店側にとっては、あらかじめ決められた場所をユーザが通過することで決済確認を行う構成を採用することで、設備に係る費用を削減できるばかりでなく、安心確実な決済システムが実現でき、万引き防止等の防犯効果を高めることができる。
【0106】
また、ユーザにとっても、任意の場所で決済処理までは済ますことができ、最終的な決済確認情報をセルフレジにおいて送信することで完了させることができ、効率的に所望の商品の買い物を終了させることができる。
【0107】
なお、
図11の構成とは異なり、ユーザ機器200内に電子決済機能が備わっている場合には、買い物カート300内の電子決済部340を不要とすることができる。
【0108】
以上のように、実施の形態7によれば、決済処理を行う際に、あらかじめ決められた場所をユーザが必ず通過する構成とすることができる。この結果、買い物の利便性向上と、防犯効果向上の両立を図ることができる。
【0109】
実施の形態8.
本実施の形態8では、買い物カート300の代わりに自走式電動カート300Aを用いる場合について説明する。特に、本実施の形態8では、先の実施の形態6で示した
図10の構成における買い物カート300を自走式電動カート300Aに置き換えた場合を一例として詳細に説明する。
【0110】
図12は、本開示の実施の形態8に係る行先案内システムの全体構成図である。具体的には、この
図12では、先の実施の形態6で説明した買い物カート300の代わりに、衝突防止等の安全部が装備された自走式電動カート300Aを用いる構成が例示されている。本実施の形態8に係る自走式電動カート300Aは、先の実施の形態6に係る買い物カート300が備える構成と同様に、データ転送部310、商品読取部320、商品一覧作成部330、電子決済部340、およびプリンタ350を備えるとともに、さらに、自走制御部360を備えている。
【0111】
先の実施の形態4において詳述したように、自己位置確認部150あるいは自己位置確認部250により、ユーザの現在位置から目的の商品売り場までの適切な経路データがすでに作成されている。そこで、自走制御部360は、データ転送手段1Cを介して取得可能な適切な経路データを用いて、ユーザを目的の商品売り場へ自動走行により誘導することができる。
【0112】
自動走行を行う際の周囲の安全については、もともと自走式電動カート300Aが持っているLiDAR等の周囲確認部の情報を基にした走行を行うことで、他カート、人などとの衝突防止を実現できる。
【0113】
自走式電動カート300Aを備えた買い物システムを利用することで、高齢者、障碍者等、自分で歩くことが困難なユーザであっても、目的の商品売り場まで確実に誘導することができる。この結果、補助者等の助けがなくても、1人で買い物を行うことができるシステムを実現できる。
【0114】
なお、ユーザが施設機器100あるいはユーザ機器200を手で持っている場合には、ユーザの動きに合わせて自己位置が変化してしまう。そこで、図示していないが、自走式電動カート300Aには、施設機器100あるいはユーザ機器200を固定するための固定部が設けられている。この固定部を利用して施設機器100あるいはユーザ機器200を自走式電動カート300Aの所定の位置に固定することで、精度のよい自己位置を得ることができる。
【0115】
また、自走式電動カート300Aは、買い物カート300と同等の機能を有しており、買い物カート300を利用した際に得られる同等の機能を得ることができる。
【0116】
以上のように、実施の形態8によれば、自走式電動カートにより、ユーザを所望の売り場に誘導することができ、種々のユーザにとって、買い物の利便性向上および迅速化を図ることができる。
【0117】
なお、自走式電動カート300Aとしては、データ転送部310、および自走制御部360のみを備える構成とし、乗車したユーザを自動走行により、所望の売り場に誘導する機能として活用することに特化することも可能である。
【0118】
実施の形態9.
本実施の形態9では、先の実施の形態8に係る自走式電動カート300Aの構成に対して、さらに椅子回転制御部370を付加した場合について説明する。
【0119】
図13は、本開示の実施の形態9に係る行先案内システムの全体構成図である。本実施の形態9に係る自走式電動カート300Aは、先の実施の形態8に係る買い物カート300が備える構成と同様に、データ転送部310、商品読取部320、商品一覧作成部330、電子決済部340、プリンタ350、および自走制御部360を備えるとともに、さらに、椅子回転制御部370を備えている。
【0120】
椅子回転制御部370は、自走式電動カート300Aの椅子を電動式で回転可能とする。ユーザは、目的の商品売り場へ自走式電動カート300Aが到着した際に、自走式電動カートと商品売り場との位置関係に応じて、椅子を右または左に回転させて所望の方向となるように椅子回転制御部370を操作することができる。このようにして、ユーザは、椅子回転制御部370を操作することで、売り場到着時に椅子に座ったままで、容易に目的の商品を手に取ることができる。
【0121】
また、先の実施の形態8で説明したように、施設機器100あるいはユーザ機器200を固定するための固定部が自走式電動カート300Aに設けられている場合には、高精度にユーザの自己位置を特定することができる。
【0122】
従って、ユーザの自己位置と目的の商品売り場との位置関係を正確に求めることができれば、ユーザの操作を介することなしに、位置関係に応じて椅子回転制御部370を所望の位置に自動で回転させることも可能である。
【0123】
例えば、売り場到着時にその売り場の混雑具合で自走式電動カート300Aが停止できる位置が異なることがあっても、椅子回転制御部370は、その停止した際におけるユーザの自己位置と目的の商品売り場との位置関係に応じて、椅子の回転角度を適切に制御できる。この結果、周囲の混雑状況に左右されずに、ユーザは、自走式電動カート300Aの椅子に座ったままで、より容易に商品を手に取ることができる。
【0124】
以上のように、実施の形態9によれば、自走式電動カートに設けられた椅子の角度を、ユーザの自己位置と目的の商品売り場との位置関係に応じて、手動あるいは自動で容易に変更できる構成を備えている。この結果、ユーザは、自走式電動カートに乗車したまま、所望の商品を手に取ることができ、利便性の向上を図ることができる。
【0125】
なお、上述した実施の形態1~9における店とは、スーパーマーケットには限定されず、ホームセンター、テーマーパーク、アウトドア遊戯場などさまざまな施設が考えられ、このような施設内で本開示に係る行き先案内システムを活用することが可能である。
【符号の説明】
【0126】
10 店事務所(管理センタ)、11 データ転送部、100 施設機器、110、111 データ転送部、121、122、123 記憶部、130 HMI装置、131 表示部、132 入力部、133 記憶部、140 行先設定部、150 自己位置確認部、200 ユーザ機器、210 データ転送部(ユーザ機器用データ転送部)、221、222、223 記憶部、230 HMI装置(ユーザ機器用HMI装置)、231 表示部、232 入力部、233 記憶部、240 行先設定部、250 自己位置確認部、300 買い物カート、300A 自走式電動カート、310 データ転送部(カート用データ転送部)、320 商品読取部、330 商品一覧作成部、340 電子決済部、350 プリンタ、360 自走制御部、370 椅子回転制御部。