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特開2023-162624システム始動制御装置及びシステム始動制御方法
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  • 特開-システム始動制御装置及びシステム始動制御方法 図1
  • 特開-システム始動制御装置及びシステム始動制御方法 図2
  • 特開-システム始動制御装置及びシステム始動制御方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162624
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】システム始動制御装置及びシステム始動制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60L 15/20 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
B60L15/20 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073089
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(74)【代理人】
【識別番号】100183438
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】後藤 怜
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA03
5H125AC07
5H125AC11
5H125BB00
5H125DD05
5H125EE44
(57)【要約】
【課題】再度の始動操作の手数を抑制すること。
【解決手段】本開示の一態様に係るシステム始動制御装置は、移動体1に搭載されたシステムを始動させるための操作である始動操作を受け付ける受付部150と、移動体1の状態を取得する取得部151と、移動体1の状態に基づいて、システムを始動するための条件である始動条件が満たされるか否かを判定する判定部152と、システムを始動させる始動処理を実行する始動部154と、を備える。始動部154は、始動処理が完了するまでの間において、始動条件が満たされなくなった場合に始動処理を継続させ、始動条件が満たされるまで始動処理の完了を保留させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されたシステムを始動させるための操作である始動操作を受け付ける受付部と、
前記移動体の状態を取得する取得部と、
前記移動体の状態に基づいて、前記システムを始動するための条件である始動条件が満たされるか否かを判定する判定部と、
前記システムを始動させる始動処理を実行する始動部と、を備え、
前記始動部は、前記始動処理が完了するまでの間において、前記始動条件が満たされなくなった場合に前記始動処理を継続させ、前記始動条件が満たされるまで前記始動処理の完了を保留させる、
システム始動制御装置。
【請求項2】
前記取得部は、シフトの状態、パーキングブレーキの状態及びフットブレーキの状態を前記移動体の状態として取得し、
前記判定部は、前記シフトの状態がパーキングである場合、前記シフトの状態がニュートラルであり、且つ前記パーキングブレーキの状態が作動状態である場合、又は前記フットブレーキの状態が作動状態である場合のいずれかが満たされることによって、前記始動条件が満たされると判定する、
請求項1記載のシステム始動制御装置。
【請求項3】
移動体に搭載されたシステムを始動させるための操作である始動操作を受け付けるステップと、
前記移動体の状態を取得するステップと、
前記移動体の状態に基づいて、前記システムを始動するための条件である始動条件が満たされるか否かを判定するステップと、
前記システムを始動させる始動処理を実行するステップと、を備え、
前記始動処理を実行するステップは、前記始動処理が完了するまでの間において、前記始動条件が満たされなくなった場合に前記始動処理を継続させ、前記始動条件が満たされるまで前記始動処理の完了を保留させる、
システム始動制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一態様は、システム始動制御装置及びシステム始動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車等の移動体に搭載されたシステムを始動する際に、始動条件を確認する技術が知られている(例えば特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-265429号公報
【特許文献2】特許第6156086号公報
【特許文献3】特許第3584625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
システムの始動処理には時間がかかるため、処理中に始動条件を満たさなくなる場合がある。例えば、処理中にドライバがシフト操作を行うことにより、始動条件を満たさなくなる場合等が有り得る。この場合、ドライバは再度の始動操作を行う必要があるため、手数が発生していた。
【0005】
本開示は、再度の始動操作の手数を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るシステム始動制御装置は、移動体に搭載されたシステムを始動させるための操作である始動操作を受け付ける受付部と、移動体の状態を取得する取得部と、移動体の状態に基づいて、システムを始動するための条件である始動条件が満たされるか否かを判定する判定部と、システムを始動させる始動処理を実行する始動部と、を備える。始動部は、始動処理が完了するまでの間において、始動条件が満たされなくなった場合に始動処理を継続させ、始動条件が満たされるまで始動処理の完了を保留させる。
【0007】
本開示の一態様に係るシステム始動制御方法は、移動体に搭載されたシステムを始動させるための操作である始動操作を受け付けるステップと、移動体の状態を取得するステップと、移動体の状態に基づいて、システムを始動するための条件である始動条件が満たされるか否かを判定するステップと、システムを始動させる始動処理を実行するステップと、を備える。始動処理を実行するステップは、始動処理が完了するまでの間において、始動条件が満たされなくなった場合に始動処理を継続させ、始動条件が満たされるまで始動処理の完了を保留させる。
【0008】
本開示の一態様に係るシステム始動制御装置及びシステム始動制御方法では、始動操作を受け付けると、移動体の状態に基づく始動条件の成立に従って、移動体に搭載されたシステムが始動される。そして、システムの始動処理中に始動条件が非成立になった場合に始動処理が継続し、再度始動条件が成立するまでシステムの始動が完了しない。このような構成によれば、システムの始動処理中に始動条件が非成立になっても、始動処理が中断されないため、再度の始動操作が必要とされない。これにより、再度の始動操作の手数を抑制することができる。また、システムの準備が整っていれば、始動条件が成立することをトリガとしてシステムの始動処理を完了させることができるため、ドライバの利便性を向上させることができる。
【0009】
システム始動制御装置において、取得部は、シフトの状態、パーキングブレーキの状態及びフットブレーキの状態を移動体の状態として取得する。判定部は、シフトの状態がパーキングである場合、シフトの状態がニュートラルであり、且つパーキングブレーキの状態が作動状態である場合、又はフットブレーキの状態が作動状態である場合のいずれかが満たされることによって、始動条件が満たされると判定する。移動体の状態のバリエーションが考慮された始動条件により、安全性を担保しつつドライバの利便性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様によれば、再度の始動操作の手数を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】移動体の基本構成を示した図である。
図2】本実施形態に係るECUに関連する機能構成の一例を示す図である。
図3】ECUの処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を付すこととし、同一又は相当の部分に対する重複した説明は省略する。
【0013】
本実施形態に係るシステム始動制御装置は、移動体に搭載される。移動体は、例えば走行用の駆動力を出力するモータを備える電気自動車である。システム始動制御装置は、移動体に搭載されたシステムの始動を制御する。システムの始動が完了すると、移動体が走行可能な状態になる。
【0014】
図1は、移動体1の基本構成を示した図である。なお、図1においては、移動体1の基本構成の一部(駆動輪、デファレンシャル装置、ギヤ機構等)が省略されている。移動体1は、例えば荷物を輸送する商用車である。
【0015】
図1に示されるように、移動体1は、蓄電装置11と、インバータ12と、電動機13と、燃料電池14と、ECU15(Electronic Control Unit)と、操作スイッチ16と、シフト17と、パーキングブレーキ18と、フットブレーキ19と、を備えている。
【0016】
蓄電装置11は、電動機13を駆動する電力を供給する駆動エネルギー源(バッテリ)である。蓄電装置11は、ECU15へ温度や出力制限値を含む蓄電装置11の状態を通知してもよい。
【0017】
インバータ12は、例えばIGBT及びダイオードを有する三相ブリッジ回路である。インバータ12は、ECU15からの制御信号に応じてIGBTのオン/オフ状態を切り替え、力行制御又は回生制御を行う。
【0018】
電動機13は、走行用の駆動力を出力する動力源(駆動モータ)である。電動機13は、例えば交流同期型であり、電動機として機能すると共に発電機として機能する。電動機13は、永久磁石からなるロータと、3相巻線が巻回されたステータと、を有する。ロータには、ギヤ機構(不図示)及びデファレンシャル装置(不図示)を介して駆動輪(不図示)が連結されている。
【0019】
燃料電池14は、ECU15からの制御信号に応じて電動機13を駆動する電力を供給する。移動体1は、燃料電池14を備えていなくてもよい。なお、移動体1は、電動機13を駆動する電力を供給する電力供給部として、エンジン及び発電機を含んでいてもよい。
【0020】
ECU15は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、バックアップRAMと、入出力インターフェースと、通信インターフェースとを含んでいる。ECU15は、各構成を制御する制御部である。本実施形態において、ECU15は、システム始動制御装置として機能する。
【0021】
操作スイッチ16は、例えばキーシリンダのスタータスイッチである。操作スイッチ16は、ドライバによるキーの挿入及び回転、又はボタン押下等の操作を受け付け、スイッチのON状態及びOFF状態を切り替える。
【0022】
シフト17は、例えばレバー、ノブ、トグル、又はスイッチである。シフト17は、ドライバによるレンジ(又はシフトポジション)の切替操作を受け付け、移動体1のギヤ機構の状態を切り替える。
【0023】
パーキングブレーキ18は、例えば移動体1の停止を補助するための電動ブレーキである。パーキングブレーキ18は、ドライバの操作を受け付け、パーキングブレーキ機構(不図示)の作動状態及び解除状態を切り替える。
【0024】
フットブレーキ19は、例えば移動体1を減速又は停止させるための電動ブレーキである。フットブレーキ19は、ドライバの操作を受け付け、フットブレーキ機構(不図示)の作動状態及び解除状態を切り替える。
【0025】
移動体1では、電動機13からの回生電力が、インバータ12を介して蓄電装置11に供給可能とされている。
【0026】
図2は、実施形態に係るECU15に関連する機能構成の一例を示す図である。ECU15は、機能要素として受付部150と、取得部151と、判定部152と、報知部153と、始動部154と、を備えている。
【0027】
受付部150は、移動体1に搭載されたシステムを始動させるための操作である始動操作を受け付ける。例えば、受付部150は、操作スイッチ16を介して、ドライバからの始動操作を受け付ける。この始動操作は、システムの始動のトリガとなる。
【0028】
取得部151は、移動体1の状態を取得する。移動体1の状態としては、シフト17のレンジ、パーキングブレーキ18の状態、及びフットブレーキ19の状態が挙げられる。具体的には、取得部151は、シフト17のレンジが「パーキング(P)」、「ニュートラル(N)」、「リバース(R)」又は「ドライブ(D)」等のいずれであるかに関する情報をシフト17から取得する。取得部151は、パーキングブレーキ18の状態が作動状態であるか、又は解除状態であるかに関する情報をパーキングブレーキ18から取得する。取得部151は、フットブレーキ19の状態が作動状態であるか、又は解除状態であるかに関する情報をフットブレーキ19から取得する。
【0029】
判定部152は、移動体1の状態に基づいて、システムを始動するための条件である始動条件が満たされるか否かを判定する。始動条件は、システムの始動が完了した際に意図しない急加速等を防止するために設定され得る。例えば、判定部152は、移動体1の状態として取得されたシフト17のレンジ、パーキングブレーキ18の状態、及びフットブレーキ19の状態の一つ又はそれらの組合せに基づいて、始動条件が満たされるか否かを判定する。一例では、判定部152は、シフト17の状態がパーキングである場合、シフト17の状態がニュートラルであり、且つパーキングブレーキ18の状態が作動状態である場合、又はフットブレーキ19の状態が作動状態である場合のいずれかが満たされることによって、始動条件が満たされると判定する。判定部152は、シフト17の状態がニュートラルであり、且つフットブレーキ19の状態が作動状態である場合に、始動条件が満たされると判定してもよい。
【0030】
報知部153は、移動体1の表示装置(例えばメータ)上にメッセージを表示させることにより、ドライバに対し情報を提供する。メッセージは、例えばドライバが行うべき操作内容を示す。報知部153は、ブザー音等をさらに用いて、ドライバに対し注意を喚起してもよい。
【0031】
始動部154は、システムを始動させる始動処理(又は始動シーケンス)を実行する。始動処理は、開始から完了までに所定の時間を要する。始動処理では、例えばプリチャージ、モータインバータの準備及びイモビライザーの照合等が実行される。始動部154は、始動処理が完了するまでの間において、始動条件が満たされなくなった場合に始動処理を継続させ、始動条件が満たされるまで始動処理の完了を保留させる。
【0032】
[システム始動制御装置の動作]
図3を参照して、システム始動制御装置によるシステム始動制御方法の一例を説明する。システム始動制御方法は、ECU15が各機能要素を制御することにより実行される。図3は、ECU15の処理の一例を示すフローチャートである。
【0033】
ステップS1において、受付部150は、移動体1に搭載されたシステムを始動させるための操作である始動操作を受け付ける。例えば、受付部150は、操作スイッチ16を介して、ドライバからの始動操作を受け付ける。
【0034】
ステップS2において、取得部151は、移動体1の状態を取得する。例えば、取得部151は、シフト17のレンジ、パーキングブレーキ18の状態、及びフットブレーキ19の状態を移動体1の状態として取得する。
【0035】
ステップS3において、判定部152は、移動体1の状態に基づいて、始動条件が満たされるか否かを判定する。例えば、判定部152は、移動体1の状態として取得されたシフト17のレンジ、パーキングブレーキ18の状態、及びフットブレーキ19の状態の一つ又はそれらの組合せに基づいて、始動条件が満たされるか否かを判定する。一例では、判定部152は、シフト17の状態がパーキングである場合、シフト17の状態がニュートラルであり、且つパーキングブレーキ18の状態が作動状態である場合、又はフットブレーキ19の状態が作動状態である場合のいずれかが満たされることによって、始動条件が満たされると判定する。判定部152は、シフト17の状態がニュートラルであり、且つフットブレーキ19の状態が作動状態である場合に、始動条件が満たされると判定してもよい。
【0036】
ステップS4において、始動条件が満たされている場合(ステップS4においてYES)、処理はステップS6に進む。ステップS4において、始動条件が満たされていない場合(ステップS4においてNO)、処理はステップS5に進む。
【0037】
ステップS5において、報知部153は、移動体1の表示装置上に第1メッセージを表示させる。第1メッセージとしては、例えば「パーキングプレーキをかけ、PまたはNレンジで始動してください」等の内容が挙げられる。報知部153は、第1メッセージの表示によって、ドライバに対しパーキングブレーキ18、シフト17及び操作スイッチ16の操作を促す。報知部153は、第1メッセージの表示と共にブザー音を用いてもよい。ステップS5の処理後、処理はステップS1に戻る。
【0038】
ステップS6において、始動部154は、システムを始動させる始動処理を実行する。
【0039】
ステップS7において、取得部151は、移動体1の状態を取得する。ステップS7の処理はステップS2の処理と同様である。
【0040】
ステップS8において、判定部152は、移動体1の状態に基づいて、始動条件が満たされるか否かを判定する。ステップS8の処理はステップS3の処理と同様である。
【0041】
ステップS9において、始動条件が満たされている場合(ステップS9においてYES)、処理はステップS11に進む。ステップS9において、始動条件が満たされていない場合(ステップS9においてNO)、処理はステップS10に進む。
【0042】
ステップS10において、報知部153は、移動体1の表示装置上に第2メッセージを表示させる。第2メッセージとしては、例えば「パーキングプレーキをかけ、PまたはNレンジにしてください」等の内容が挙げられる。第2メッセージは、ステップS5における第1メッセージとは異なり、始動操作を要求していない。報知部153は、第2メッセージの表示によって、ドライバに対しパーキングブレーキ18及びシフト17の操作を促す。報知部153は、第2メッセージの表示と共にブザー音を用いてもよい。ステップS10の処理後、処理はステップS7に戻る。
【0043】
ステップS11において、システムの始動処理が完了している場合(ステップS11においてYES)、処理を終了する。ステップS11において、システムの始動処理が完了していない場合(ステップS11においてNO)、システムの始動処理の完了を保留し、ステップS11の判定を繰り返す。
【0044】
ステップS11に関連して、システムの始動処理が完了していない場合、必要に応じて処理はステップS7に戻ってもよい。ステップS11に関連して、システムの始動処理が完了している場合、必要に応じてステップS7~S10の処理が実行されてもよい。
【0045】
[効果]
以上説明したように、本開示の一態様に係るシステム始動制御装置は、移動体1に搭載されたシステムを始動させるための操作である始動操作を受け付ける受付部150と、移動体1の状態を取得する取得部151と、移動体1の状態に基づいて、システムを始動するための条件である始動条件が満たされるか否かを判定する判定部152と、システムを始動させる始動処理を実行する始動部154と、を備える。始動部154は、始動処理が完了するまでの間において、始動条件が満たされなくなった場合に始動処理を継続させ、始動条件が満たされるまで始動処理の完了を保留させる。
【0046】
本開示の一態様に係るシステム始動制御方法は、移動体1に搭載されたシステムを始動させるための操作である始動操作を受け付けるステップと、移動体1の状態を取得するステップと、移動体1の状態に基づいて、システムを始動するための条件である始動条件が満たされるか否かを判定するステップと、システムを始動させる始動処理を実行するステップと、を備える。始動処理を実行するステップは、始動処理が完了するまでの間において、始動条件が満たされなくなった場合に始動処理を継続させ、始動条件が満たされるまで始動処理の完了を保留させる。
【0047】
本開示の一態様に係るシステム始動制御装置及びシステム始動制御方法では、始動操作を受け付けると、移動体1の状態に基づく始動条件の成立に従って、移動体1に搭載されたシステムが始動される。そして、システムの始動処理中に始動条件が非成立になった場合に始動処理が継続し、再度始動条件が成立するまでシステムの始動が完了しない。このような構成によれば、システムの始動処理中に始動条件が非成立になっても、始動処理が中断されないため、再度の始動操作が必要とされない。これにより、再度の始動操作の手数を抑制することができる。また、システムの準備が整っていれば、始動条件が成立することをトリガとしてシステムの始動処理を完了させることができるため、ドライバの利便性を向上させることができる。
【0048】
特に、大型のシステムを有する商用の電気自動車では、システムの始動処理に時間がかかるため、始動処理中に始動条件を満たさなくなるケースに陥りやすい。また、商用の電気自動車等では、配送用途などにより始動停止の機会が多く、且つ始動してからすぐにシフトを操作して走り出すようなケースが多い。システム始動制御装置及びシステム始動制御方法は、特にこのような商用の電気自動車等に適用されることにより、始動操作の手数をより効果的に抑制することができる。
【0049】
システム始動制御装置において、取得部151は、シフト17の状態、パーキングブレーキ18の状態及びフットブレーキ19の状態を移動体1の状態として取得する。判定部152は、シフト17の状態がパーキングである場合、シフト17の状態がニュートラルであり、且つパーキングブレーキ18の状態が作動状態である場合、又はフットブレーキ19の状態が作動状態である場合のいずれかが満たされることによって、始動条件が満たされると判定する。移動体1の状態のバリエーションが考慮された始動条件により、安全性を担保しつつドライバの利便性を向上させることができる。
【0050】
以上、本開示の実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。本開示は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0051】
システム始動制御方法の処理手順は上記実施形態での例に限定されない。例えば、上述したステップ(処理)の一部が省略されてもよいし、別の順序で各ステップが実行されてもよい。また、上述したステップのうちの任意の2以上のステップが組み合わされてもよいし、ステップの一部が修正または削除されてもよい。あるいは、上記の各ステップに加えて他のステップが実行されてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…移動体、11…蓄電装置、12…インバータ、13…電動機、14…燃料電池、15…ECU、16…操作スイッチ、17…シフト、18…パーキングブレーキ、19…フットブレーキ、150…受付部、151…取得部、152…判定部、153…報知部、154…始動部。

図1
図2
図3