(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162653
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】検出システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01G 19/03 20060101AFI20231101BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20231101BHJP
G01B 11/16 20060101ALI20231101BHJP
G01G 9/00 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
G01G19/03
G01B11/00 H
G01B11/16 H
G01G9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073141
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タダゲ アペクシャ
(72)【発明者】
【氏名】平田 哲郎
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA09
2F065AA24
2F065AA65
2F065BB15
2F065CC13
2F065DD03
2F065FF04
2F065JJ03
2F065QQ03
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ29
2F065QQ31
2F065RR05
2F065UU05
(57)【要約】
【課題】車両の過積載をより正しく判定することができる検出システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】検出システム1は、車両における所定の基準位置を検出する第1検出部(制御部31)と、無積載時の車両における基準位置と、荷物積載時の車両における基準位置の高さ方向の変化量(荷重変化量)を算出する算出部(制御部31)と、算出部により算出された変化量に基づいて、車両の積載量を判定する判定部(制御部31)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両における所定の基準位置を検出する第1検出部と、
無積載時の前記車両における前記基準位置と、荷物積載時の前記車両における前記基準位置の高さ方向の変化量を算出する算出部と、
前記算出部により算出された前記変化量に基づいて、前記車両の積載量を判定する判定部と、
を備える検出システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記変化量に基づいて、前記車両の積載量を算出する請求項1に記載の検出システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記変化量が過積載閾値より大きい場合、前記車両は過積載であると判定する請求項1に記載の検出システム。
【請求項4】
前記基準位置は、前記車両が有するタイヤまたはリムにおける所定位置である請求項1から3のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項5】
前記基準位置は、前記タイヤの中心、前記タイヤの上端、前記リムの中心、前記リムの上端及び前記リムの下端のいずれかである請求項4に記載の検出システム。
【請求項6】
前記第1検出部は、前記車両の側面を撮影した画像データに基づいて前記基準位置を検出する請求項1から3のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項7】
前記車両が第1の位置を通過したときに前記画像データの撮影を開始させ、前記車両が第2の位置を通過したときに前記撮影を終了させる撮影制御部を備える請求項6に記載の検出システム。
【請求項8】
複数の前記画像データから、前記基準位置が写っている前記画像データを抽出する抽出部を備える請求項7に記載の検出システム。
【請求項9】
前記抽出部は、複数の前記画像データから、前記基準位置が画像の中心にある前記画像データを抽出する請求項8に記載の検出システム。
【請求項10】
前記車両が前記第1の位置及び前記第2の位置を通過したことを検知する検知部を備える請求項7に記載の検出システム。
【請求項11】
前記車両の識別情報を検出する第2検出部と、
無積載時の前記車両を撮影した画像データ、及び荷物積載時の前記車両を撮影した画像データのそれぞれに前記識別情報を対応付ける対応付け部と、を備え、
前記算出部は、同じ前記識別情報が対応付けられている無積載時の前記車両を撮影した画像データ、及び荷物積載時の前記車両を撮影した画像データに基づいて、前記変化量を算出する請求項1から3のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項12】
検出システムが備えるコンピューターを、
車両における所定の基準位置を検出する第1検出部、
無積載時の前記車両における前記基準位置と、荷物積載時の前記車両における前記基準位置の高さ方向の変化量を算出する算出部、
前記算出部により算出された前記変化量に基づいて、前記車両の積載量を判定する判定部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、検出システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影装置を備え、トラックなどの貨物車両による過積載を検出するシステムが知られている。
【0003】
これに関連して、特許文献1には、撮影装置が車両のタイヤを撮影した画像データに基づいて当該タイヤの地面に接する部分の長さを検知し、当該長さに基づいてタイヤの変形量を算出して、車両の過積載を判定する検出システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の発明において、タイヤと地面の色が似ている場合や、タイヤのトレッドパターンの形状が車種によって異なる場合等では、タイヤの地面に接する部分の長さを精度良く検知することが難しいため、車両の過積載を正しく判定することが難しかった。
【0006】
この発明の目的は、車両の過積載をより正しく判定することができる検出システム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明の検出システムは、
車両における所定の基準位置を検出する第1検出部と、
無積載時の前記車両における前記基準位置と、荷物積載時の前記車両における前記基準位置の高さ方向の変化量を算出する算出部と、
前記算出部により算出された前記変化量に基づいて、前記車両の積載量を判定する判定部と、
を備える。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の検出システムにおいて、
前記判定部は、前記変化量に基づいて、前記車両の積載量を算出する。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の検出システムにおいて、
前記判定部は、前記変化量が過積載閾値より大きい場合、前記車両は過積載であると判定する。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の検出システムにおいて、
前記基準位置は、前記車両が有するタイヤまたはリムにおける所定位置である。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の検出システムにおいて、
前記基準位置は、前記タイヤの中心、前記タイヤの上端、前記リムの中心、前記リムの上端及び前記リムの下端のいずれかである。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の検出システムにおいて、
前記第1検出部は、前記車両の側面を撮影した画像データに基づいて前記基準位置を検出する。
【0013】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の検出システムにおいて、
前記車両が第1の位置を通過したときに前記画像データの撮影を開始させ、前記車両が第2の位置を通過したときに前記撮影を終了させる撮影制御部を備える。
【0014】
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の検出システムにおいて、
複数の前記画像データから、前記基準位置が写っている前記画像データを抽出する抽出部を備える。
【0015】
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の検出システムにおいて、
前記抽出部は、複数の前記画像データから、前記基準位置が画像の中心にある前記画像データを抽出する。
【0016】
また、請求項10に記載の発明は、請求項7に記載の検出システムにおいて、
前記車両が前記第1の位置及び前記第2の位置を通過したことを検知する検知部を備える。
【0017】
また、請求項11に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の検出システムにおいて、
前記車両の識別情報を検出する第2検出部と、
無積載時の前記車両を撮影した画像データ、及び荷物積載時の前記車両を撮影した画像データのそれぞれに前記識別情報を対応付ける対応付け部と、を備え、
前記算出部は、同じ前記識別情報が対応付けられている無積載時の前記車両を撮影した画像データ、及び荷物積載時の前記車両を撮影した画像データに基づいて、前記変化量を算出する。
【0018】
また、請求項12に記載の発明のプログラムは、
検出システムが備えるコンピューターを、
車両における所定の基準位置を検出する第1検出部、
無積載時の前記車両における前記基準位置と、荷物積載時の前記車両における前記基準位置の高さ方向の変化量を算出する算出部、
前記算出部により算出された前記変化量に基づいて、前記車両の積載量を判定する判定部、
として機能させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に従うと、車両の過積載をより正しく判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態の検出システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図2】赤外線センサー及び撮影装置の設置位置を示す図である。
【
図3】本実施形態の過積載検出処理を示すフローチャートである。
【
図4】本実施形態の撮影処理を示すフローチャートである。
【
図5】変形例1の検出システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図6】変形例1の過積載検出処理を示すフローチャートである。
【
図7】変形例2の過積載検出処理を示すフローチャートである。
【
図8】変形例3の過積載検出処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
<検出システムの構成>
図1は、本実施形態の検出システム1の機能構成を示すブロック図である。この検出システム1は、車両を撮影した画像データに基づいて、車両の積載量を判定するシステムである。
検出システム1は、検知部としての赤外線センサー10A,10Bと、撮影装置20A,20Bと、検出装置30と、表示装置40を備える。
検出システム1において、赤外線センサー10A,10B、撮影装置20A,20B、及び表示装置40は、それぞれ検出装置30と通信可能に接続されている。
【0023】
図2は、赤外線センサー10A,10B、及び撮影装置20A,20Bの設置位置を示す図である。
赤外線センサー10Aは、
図2に示すように、車両の側面を撮影するための撮影領域aの入り口部分に設置され、車両が撮影領域aに進入したことを検知する。つまり、赤外線センサー10Aは、車両が第1の位置(撮影領域aの入り口)を通過したことを検知する。
また、
図1に示すように赤外線センサー10Aは、検知部11Aと、通信部12Aを備える。
検知部11Aは、赤外線を撮影領域aの入り口に投光し、車両が赤外線を遮って通過したときの信号出力に基づいて、車両の撮影領域aへの進入を検知する。
通信部12Aは、検出装置30と通信を行うための制御を行う。通信部12Aは、例えば、ネットワークカードであり、検知部11Aによる車両の撮影領域aへの進入の検知結果に応じた信号を検出装置30に出力する。
【0024】
赤外線センサー10Bは、
図2に示すように、車両の側面を撮影するための撮影領域aの出口部分に設置され、車両が撮影領域aから出たことを検知する。つまり、赤外線センサー10Bは、車両が第2の位置(撮影領域aの出口)を通過したことを検知する。
また、
図1に示すように赤外線センサー10Bは、検知部11Bと、通信部12Bを備える。
検知部11Bは、赤外線を撮影領域aの出口に投光し、車両が赤外線を遮って通過したときの信号出力に基づいて、車両が撮影領域aから出たことを検知する。
通信部12Bは、検出装置30と通信を行うための制御を行う。通信部12Bは、例えば、ネットワークカードであり、検知部11Bによる車両が撮影領域aから出たことである検知結果に応じた信号を検出装置30に出力する。
【0025】
図2に示すように、撮影装置20A,20Bは、車両の走行路の両側において、それぞれ少なくともタイヤを含む車両の側面を撮影できるように配置されている。
また、
図1に示すように、撮影装置20A,20Bは、それぞれ撮影部21A,21Bと、通信部22A,22Bを備える。
撮影部21A,21Bは、外部から入力された可視光を各画素位置に導く光学装置(図示なし)と、各画素位置でRGB各色の入射光量を検出する検出部(図示なし)などを備える。検出部は、ここでは、各画素位置の画素値(例えば、RGB各色の光量(輝度値))が取得可能に撮像面上に撮像素子が二次元配列されて、二次元撮影画像データを取得する。撮影部21A,21Bによる撮影は、動画あるいは、所定時間間隔での静止画像の連続撮影としてなされる。
通信部22A,22Bは、検出装置30と通信を行うための制御を行う。通信部22A,22Bは、例えば、ネットワークカードであり、撮影部21A,21Bの動作により得られた画像データを検出装置30に出力する。
【0026】
検出装置30は、制御部31と、記憶部32と、通信部33等を備える。
【0027】
制御部31は、検出装置30の動作を統括制御するプロセッサーである。制御部31は、各種演算処理を行うCPU311(Central Processing Unit)と、CPU311に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶するRAM312(Random Access Memory)などを備える。
【0028】
また、制御部31は、車両における所定の基準位置(例えば、タイヤの中心)を検出する。ここで、制御部31は第1検出部として機能する。
また、制御部31は、無積載時の車両における基準位置と、荷物積載時の車両における基準位置の高さ方向の変化量(後述する荷重変化量)を算出する。ここで、制御部31は算出部として機能する。
また、制御部31は、算出部により算出された荷重変化量に基づいて、車両の積載量を判定する。ここで、制御部31は判定部として機能する。
また、制御部31は、車両が第1の位置(撮影領域aの入り口)を通過したときに、撮影装置20A,20Bによる画像データの撮影を開始させ、車両が第2の位置(撮影領域aの出口)を通過したときに撮影を終了させる。ここで、制御部31は撮影制御部として機能する。
また、制御部31は、撮影装置20A,20Bにより撮影された複数の画像データから、基準位置が写っている画像データを抽出する。ここで、制御部31は抽出部として機能する。
【0029】
記憶部32は、各種プログラム、設定データ、記録画像データやその解析結果などを記憶する。記憶部32としては、読み書き更新可能なフラッシュメモリーなどの不揮発性メモリー、及びHDD(Hard Disk Drive)などが用いられ得る。
【0030】
また、記憶部32は、積載量換算テーブル321、及び最大積載量テーブル322を備える。
積載量換算テーブル321は、制御部31により算出されたタイヤの中心座標の高さ方向における変化量(荷重変化量)に係るパラメーターを積載量に換算するためのテーブルデータ(荷重変化量と車両の積載量との対応関係)である。このテーブルは、一種類に限られず、タイヤのサイズ、種別や車両の種別などに応じて各々別個に保持されていてよい。ここでいう積載量には、積荷の重量だけではなく、荷台を含む車体重量が含まれる。
最大積載量テーブル322は、車両の最大積載量(車体重量を含む)をタイヤや車両の種別ごとなどに記憶するテーブルである。トラック等の貨物車両の積載量が当該最大積載量より重い場合、過積載の状態となる。
【0031】
通信部33は、赤外線センサー10A,10B、撮影装置20A,20B、表示装置40及び他の外部装置(外部機器)と通信を行うための制御を行う。通信部43は、例えば、ネットワークカードであり、赤外線センサー10Aから車両の撮影領域aへの進入の検知結果を受信する。
また、通信部33は、赤外線センサー10Bから車両が撮影領域aから出たことである検知結果を受信する。
また、通信部33は、撮影装置20A,20Bから画像データを受信する。
また、通信部33は、制御部31による車両の積載量の判定結果に応じた信号を表示装置40に出力する。
【0032】
表示装置40は、
図2に示す撮影領域aを通過する車両の乗員が、表示装置40の表示部41を視認できる位置に配置される。例えば、撮影領域aの近傍である。
また、表示装置40は、
図1に示すように、表示部41と、通信部42を備える。
表示部41は、表示画面を備え、検出装置30より受信する表示制御信号に基づいて、当該画面上に各種情報の表示を行う。表示部41は、例えば、検出装置30による車両の積載量の判定結果を表示する。
通信部42は、検出装置30と通信を行うための制御を行う。通信部42は、例えば、ネットワークカードであり、検出装置30からの表示制御信号を受信する。
【0033】
<検出システムの動作>
(過積載検出処理)
次に、本実施形態の検出システム1による過積載検出処理について説明する。
図3に過積載検出処理のフローチャートを示す。
過積載検出処理は、車両の積載量の判定を行う処理であり、制御部31のCPU311と記憶部32に記憶されているプログラムとの協働によって実現される。
【0034】
まず、制御部31は、
図4に示す撮影処理を実行する(ステップS1)。
1回目の撮影処理において撮影される車両は、荷物を積んでいない状態(無積載状態)である。
【0035】
(撮影処理)
撮影処理において、まず、制御部31は、赤外線センサー10Aにより車両の撮影領域aへの進入が検知されたか否かを判断する(ステップA1)。
車両の撮影領域aへの進入が検知されない場合(ステップA1;NO)、制御部31は、本処理をステップA1に戻す。つまり、車両の撮影領域aへの進入が検知されるまで待機する。
【0036】
また、車両の撮影領域aへの進入が検知された場合(ステップA1;YES)、制御部31は、撮影装置20A,20Bを制御し、撮影領域a内をそれぞれ撮影させ、その画像データを通信部33を介して取得する(ステップA2)。
次に、制御部31は、赤外線センサー10Bにより車両が撮影領域aから出たことが検知されたか否かを判断する(ステップA3)。
車両が撮影領域aから出たことが検知されない場合(ステップA3;NO)、制御部31は、本処理をステップA3に戻す。撮影装置20A,20Bによる撮影は、動画あるいは、所定時間間隔での静止画像の連続撮影であるため、制御部31は、車両が撮影領域aから出たことが検知されるまで撮影及び画像データの取得を続ける。
また、車両が撮影領域aから出たことが検知された場合(ステップA3;YES)、制御部31は、本処理を終了する、つまり、撮影装置20A,20Bによる撮影を終了させる。
【0037】
図3に戻り、制御部31は、ステップS1において取得した、撮影装置20A,20Bにより撮影された画像データをそれぞれハフ変換等することにより円を検出することでタイヤを検出する(ステップS2)。タイヤの検出には、AIなどの技術を使用しても良い。つまり、制御部31は、撮影装置20A,20Bにより撮影された複数の画像データから、基準位置としてのタイヤの中心が写っている画像データを抽出する。
次に、制御部31は、ステップS2においてタイヤが検出された画像データから、タイヤの中心が画像の中心にある対象画像データを、撮影装置ごとに抽出して、記憶部32に記憶する(ステップS3)。
次に、制御部31は、ステップS3において抽出した対象画像データにおいて、タイヤの中心座標を、撮影装置ごとに検出して、記憶部32に記憶する(ステップS4)。
【0038】
次に、制御部31は、ステップS1~S4の処理を2回実行したか否かを判断する(ステップS5)。
ステップS1~S4の処理を2回実行していない場合(ステップS5;NO)、制御部31は、本処理をステップS1に移行する。
1回目の撮影処理において撮影された車両は、1回目の撮影処理後に荷物を積み、再び撮影領域aに進入する。つまり、2回目の撮影処理において撮影される車両は、荷物を積んでいる状態(荷物積載状態)である。
【0039】
ステップS1~S4の処理を2回実行した場合(ステップS5;YES)、制御部31は、ステップS3において記憶した対象画像データに基づいて、車両やタイヤの種別を判別する(ステップS6)。制御部31は、対象画像データにおけるタイヤのサイズに基づいて判別を行ってもよいし、直接タイヤや車両に記載されている文字や記号などの標識に基づいて判別を行ってもよいし、タイヤや車体の形状のパターンマッチングに基づいて判別を行ってもよい。
【0040】
次に、制御部31は、1回目のステップS4において検出した無積載状態でのタイヤの中心座標と、2回目のステップS4において検出した荷物積載状態でのタイヤの中心座標における高さ方向の差分である荷重変化量を撮影装置ごとに算出する(ステップS7)。
次に、制御部31は、車両の積載量を算出する(ステップS8)。
具体的には、制御部31は、撮影装置20Aにより撮影された画像データに基づく荷重変化量と、撮影装置20Bにより撮影された画像データに基づく荷重変化量を比較し、大きい方の荷重変化量を、積載量換算テーブル321を用いて積載量に変換する。
なお、制御部31は、撮影装置20Aにより撮影された画像データに基づく荷重変化量と、撮影装置20Bにより撮影された画像データに基づく荷重変化量を平均した値を積載量に変換してもよい。
【0041】
次に、制御部31は、最大積載量テーブル322を参照して、ステップS6において判別した車両またはタイヤの種別に応じた最大積載量を取得し、ステップS8において算出した積載量は最大積載量より重いか、つまり、車両は過積載であるかを判定する(ステップS9)。
次に、制御部31は、表示装置40を制御して、表示部41にステップS9の判定結果、及びステップS8において算出した積載量を表示させ(ステップS10)、本処理を終了する。
なお、車両が過積載である場合、ステップS10において、制御部31は、表示部41に警告を表示してもよい。また、この場合、制御部31は、表示部41にステップS8において算出した積載量から最大積載量を差し引いた、超過量を表示させてもよい。
【0042】
(変形例1)
次に、上記実施形態の変形例1について説明する。以下では、上記実施形態の検出システム1と異なる点を主に説明する。
【0043】
本変形例において、
図5に示すように、検出装置30の記憶部32は、過積載閾値テーブル323を備える。
過積載閾値テーブル323は、車両の重量が最大積載量(車体重量を含む)である場合の荷重変化量である過積載閾値を、タイヤや車両の種別ごとなどに記憶するテーブルである。
また、本変形例において、制御部31は、荷重変化量は過積載閾値より大きいかを判断する。
図6は、本変形例の過積載検出処理を示すフローチャートである。
【0044】
本変形例の過積載検出処理において、まず、制御部31は、上記実施形態のステップS1~S7と同様のステップS11~S17を実施する。
次に、制御部31は、車両は過積載であるかを判定する(ステップS18)。
具体的には、制御部31は、過積載閾値テーブル323を参照して、ステップS16において判別した車両またはタイヤの種別に応じた過積載閾値を取得する。
そして、制御部31は、撮影装置20Aにより撮影された画像データに基づく荷重変化量と、撮影装置20Bにより撮影された画像データに基づく荷重変化量を比較し、大きい方の荷重変化量は、過積載閾値より大きいかを判断する。
そして、荷重変化量が過積載閾値より大きい場合、制御部31は、車両は過積載であると判定する。また、荷重変化量が過積載閾値以下である場合、制御部31は、車両は過積載でないと判定する。
なお、制御部31は、撮影装置20Aにより撮影された画像データに基づく荷重変化量と、撮影装置20Bにより撮影された画像データに基づく荷重変化量を平均した値は、過積載閾値より大きいかを判断することにより過積載であるかを判定してもよい。
【0045】
次に、制御部31は、表示装置40を制御して、表示部41にステップS18の判定結果を表示させ(ステップS19)、本処理を終了する。
なお、車両が過積載である場合、ステップS19において、制御部31は、表示部41に警告を表示してもよい。
【0046】
(変形例2)
次に、上記実施形態の変形例2について説明する。以下では、上記実施形態の検出システム1と異なる点を主に説明する。
【0047】
本変形例において、制御部31は、車両の識別情報(例えば車両番号)を検出する。ここで、制御部31は第2検出部として機能する。
また、制御部31は、無積載時の車両を撮影した画像データ、及び荷物積載時の車両を撮影した画像データのそれぞれに識別情報を対応付ける。ここで、制御部31は対応付け部として機能する。
図7は、本変形例の過積載検出処理を示すフローチャートである。
【0048】
本変形例の過積載検出処理において、まず、制御部31は、上記実施形態のステップS1と同様のステップS21を実施する。
次に、制御部31は、ステップS21において取得した画像データを画像解析し、車両のナンバープレート(自動車登録番号標)から識別情報としての車両番号(ナンバープレート番号)を取得する(ステップS22)。
なお、識別情報は、車両を識別できる情報であれば車両番号に限らない。
また、制御部31は、タイヤや車両に記載されている文字や記号などの標識に基づいて車両の識別情報を取得してもよい。
【0049】
次に、制御部31は、上記実施形態のステップS2と同様のステップS23を実施する。
次に、制御部31は、ステップS23においてタイヤが検出された画像データから、タイヤの中心が画像の中心にある対象画像データを撮影装置ごとに抽出する。そして、制御部31は、当該対象画像データを、ステップS22において取得した車両番号と対応付けて記憶部32に記憶する(ステップS24)。
次に、制御部31は、ステップS24において抽出した対象画像データにおいて、タイヤの中心座標を撮影装置ごとに検出する。そして、制御部31は、当該中心座標の情報を、ステップS22において取得した車両番号と対応付けて記憶部32に記憶する(ステップS25)。
【0050】
次に、制御部31は、同じ車両についてステップS21~S25の処理を2回実行したか否かを判断する(ステップS26)。具体的には、制御部31は、記憶部32に同じ車両番号が対応付けられている対象画像データが撮影装置ごとに2枚ずつ記憶されているか、または同じ車両番号が対応付けられている中心座標の情報が撮影装置ごとに2つずつ記憶されているかを判断する。
同じ車両についてステップS21~S25の処理を2回実行していない場合(ステップS26;NO)、制御部31は、本処理を終了する。
【0051】
また、同じ車両についてステップS21~S25の処理を2回実行した場合(ステップS26;YES)、制御部31は、記憶部32に記憶された同じ車両番号が対応付けられている対象画像データ、及び中心座標の情報に基づいて、上記実施形態のステップS6~S10と同様のステップS27~S31を実施し、本処理を終了する。
【0052】
(変形例3)
次に、上記実施形態の変形例3について説明する。以下では、上記実施形態の変形例2の検出システム1と異なる点を主に説明する。
【0053】
本変形例において、検出装置30の記憶部32は、上記変形例1と同様に、過積載閾値テーブル323を備える。
また、本変形例において、制御部31は、荷重変化量は過積載閾値より大きいかを判断する。
図8は、本変形例の過積載検出処理を示すフローチャートである。
【0054】
本変形例の過積載検出処理において、まず、制御部31は、上記実施形態の変形例2のステップS21~S28と同様のステップS41~S48を実施する。
次に、制御部31は、上記実施形態の変形例1のステップS18と同様に、車両は過積載であるかを判定する(ステップS49)。
次に、制御部31は、表示装置40を制御して、表示部41にステップS49の判定結果を表示させ(ステップS50)、本処理を終了する。
なお、車両が過積載である場合、ステップS50において、制御部31は、表示部41に警告を表示してもよい。
【0055】
上記実施の形態及び変形例において、制御部31は過積載検出処理を実行することにより、車両の積載量を判定する。車両の積載量を判定するとは、車両の積載量を算出すること、及び車両は過積載であるかを判定することを含む。
【0056】
なお、本発明は、上記実施の形態及び変形例に限られるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、過積載検出処理のステップS4,S14,S25,S45において、制御部31は、タイヤの中心が画像の中心にある対象画像データにおいて、基準位置としてタイヤの中心座標を検出するとしたがこれに限らない。基準位置は、例えば、車両が有するタイヤまたはリムにおける所定位置である。より具体的には、タイヤの中心座標の代わりに、タイヤの上端座標、リムの中心座標、リムの上端座標、またはリムの下端座標を検出してもよい。また、タイヤ、リム以外の車両の所定位置(例えば、サイドミラー)を基準位置としてもよい。
【0057】
以上のように、本実施形態の検出システム1は、車両における所定の基準位置を検出する第1検出部(制御部31)と、無積載時の車両における基準位置と、荷物積載時の車両における基準位置の高さ方向の変化量(荷重変化量)を算出する算出部(制御部31)と、算出部により算出された変化量に基づいて、車両の積載量を判定する判定部(制御部31)と、を備える。
したがって、荷物を積載する前後の基準位置に基づいてより正確に荷重変化量を算出することができるため、車両の過積載をより正しく判定することができる。
【0058】
また、本実施形態の検出システム1において、判定部は、変化量に基づいて、車両の積載量を算出する。
したがって、荷物を積載する前後の基準位置に基づいてより正確に荷重変化量を算出することができるため、車両の積載量をより正確に算出することができる。
【0059】
また、本実施形態の検出システム1において、判定部は、変化量が過積載閾値より大きい場合、車両は過積載であると判定する。
したがって、荷物を積載する前後の基準位置に基づいてより正確に荷重変化量を算出することができるため、車両の過積載をより正しく判定することができる。
【0060】
また、本実施形態の検出システム1において、基準位置は、車両が有するタイヤまたはリムにおける所定位置である。
また、基準位置は、タイヤの中心、タイヤの上端、リムの中心、リムの上端及びリムの下端のいずれかである。
したがって、タイヤまたはリムにおいて検出しやすい位置を基準位置とすることができる。
【0061】
また、本実施形態の検出システム1において、第1検出部は、車両の側面を撮影した画像データに基づいて基準位置を検出する。
したがって、車両の側面における基準位置に基づいて、荷重変化量を算出することができる。
【0062】
また、本実施形態の検出システム1は、車両が第1の位置を通過したときに画像データの撮影を開始させ、車両が第2の位置を通過したときに撮影を終了させる撮影制御部(制御部31)を備える。
したがって、車両の側面をより効率的に撮影することができる。
【0063】
また、本実施形態の検出システム1は、複数の画像データから、基準位置が写っている画像データを抽出する抽出部(制御部31)を備える。
したがって、基準位置が写っている画像データに基づいて、より容易に荷重変化量を算出することができる。
【0064】
また、本実施形態の検出システム1において、抽出部は、複数の画像データから、基準位置が画像の中心にある画像データ(対象画像データ)を抽出する。
したがって、基準位置をより正確に検出することができるため、より正確に荷重変化量を算出することができる。
【0065】
また、本実施形態の検出システム1は、車両が第1の位置及び第2の位置を通過したことを検知する検知部(赤外線センサー10A,10B)を備える。
したがって、車両が第1の位置及び第2の位置を通過したことを容易に検知することができる。
【0066】
また、本実施形態の検出システム1は、車両の識別情報を検出する第2検出部(制御部31)と、無積載時の車両を撮影した画像データ、及び荷物積載時の車両を撮影した画像データのそれぞれに識別情報を対応付ける対応付け部(制御部31)と、を備え、算出部は、同じ識別情報が対応付けられている無積載時の車両を撮影した画像データ、及び荷物積載時の車両を撮影した画像データに基づいて、変化量を算出する。
したがって、同じ車両における荷重変化量を算出することができるため、車両の積載量をより正確に算出することができる。
【0067】
なお、本発明は、上記実施の形態及び変形例に限られるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、車両が走行しているものとして説明したが、渋滞などにより車両が一時停止している間に撮影された画像を用いることを除外するものではない。すなわち、停車している状況も車両の走行状況に含まれる。
【0068】
また、上記実施の形態及び変形例では、車両の撮影領域aへの進入の検知は赤外線センサー10Aが実施し、車両が撮影領域aから出たことの検知は赤外線センサー10Bが実施するとしたがこれに限らない。赤外線センサー以外の所定のセンサーにより、車両の撮影領域aへの進入の検知及び車両が撮影領域aから出たことの検知を行ってもよい。
また、撮影領域aの入り口において、車両のナンバープレートを認識するアプリケーションなどを利用することによって、車両の撮影領域aへの進入を検知しても良い。また、同様に、撮影領域aの出口において、車両のナンバープレートを認識するアプリケーションなどを利用することによって、車両が撮影領域aを出たことを検知しても良い。
【0069】
また、上記実施の形態及び変形例では、検出システム1は、車両の積載量を判定するための撮影システムであるが、その他の用途で使用される撮影システムを検出システム1として使用してもよい。例えば、監視カメラによる対象物の監視や、速度の計測等の計測を主用途とした撮影システムを検出システム1として使用することができる。
【0070】
また、上記実施の形態及び変形例では、検出システム1は、撮影装置20A,20Bの二つの撮影装置を備えるとしたがこれに限らない。検出システム1は、どちらか一方の撮影装置のみを備えるとしてもよい。
【0071】
また、検出システム1において、制御部31は、無積載時の車両における基準位置を検出する度、繰り返し記憶部32に記憶してもよい。これにより、検出される度に記憶された基準位置の推移に基づいて、基準位置としてのタイヤの所定位置における異常(パンクなど)を発見または検出することができる。
具体的には、制御部31が、検出される度に記憶された基準位置の推移を表示部41に表示し、車両の乗員等が表示部41を目視することにより、基準位置における異常な変化(例えば、急激に基準位置が下がっている、など)を発見することができる。
また、制御部31は、検出される度に記憶された基準位置の推移を解析することによって、基準位置における異常な変化を検出可能とし、異常な変化を検出した場合に、表示部41に車両の乗員等への警告を表示してもよい。
【0072】
また、上記実施の形態及び変形例の過積載検出処理のステップS10,S19,S31,S50において、制御部31は、表示装置40の表示部41に積載量の判定結果を表示させるとしたがこれに限らない。制御部31は、検出システム1の管理者が所有する外部装置宛てに積載量の判定結果をメールで送信してもよいし、他の外部装置に備えられたデータベースに情報を保存してもよい。
【0073】
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成、動作の内容や手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 検出システム
10A 赤外線センサー(検知部)
11A 検知部
12A 通信部
10B 赤外線センサー(検知部)
11B 検知部
12B 通信部
20A 撮影装置
21A 撮影部
22A 通信部
20B 撮影装置
21B 撮影部
22B 通信部
30 検出装置
31 制御部(第1検出部、第2検知部、算出部、判定部、撮影制御部、抽出部、対応付け部)
311 CPU
312 RAM
32 記憶部
321 積載量換算テーブル
322 最大積載量テーブル
323 過積載閾値テーブル
33 通信部
40 表示装置
41 表示部
42 通信部