(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162654
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】絵馬
(51)【国際特許分類】
A47G 33/00 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
A47G33/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073142
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】521289191
【氏名又は名称】有限会社芳美商事
(74)【代理人】
【識別番号】100139996
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 洋子
(72)【発明者】
【氏名】堀江 清隆
(57)【要約】
【課題】 シンプルな構成で容易且つ確実に個人情報の保護を図れるとともに、美観を損なうことない絵馬を提供すること。
【解決手段】
所定の形状を呈する木製の本体部100の表面部120には絵が描かれ、本体部100の裏面部140には願い事及び個人情報が記入される絵馬10であって、所望の模様若しくは図柄が施されたまたは有色のステッカー200を本体部100の裏面部140に貼付可能とし、願い事及び個人情報を視認不能とすることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の形状を呈する木製の本体部の表面部には絵が描かれ、当該本体部の裏面部には願い事及び個人情報が記入されるものであって、
所望の模様若しくは図柄が施されたまたは有色のステッカーを上記本体部の裏面部に貼付可能とし、上記願い事及び個人情報を視認不能とすることを特徴とする絵馬。
【請求項2】
上記ステッカーに施される模様若しくは図柄または色は、予め用意された情報群から四季や行事に合致するよう選択されることを特徴とする請求項1記載の絵馬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏面側に願い事及び住所・氏名等を記入して奉納する絵馬、特に個人情報の保護を考慮した絵馬に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表面側に絵が描かれ裏面側に願い事を記入して奉納する絵馬は、一般的には基材を木製として平面視五角形状を呈しており、種々のものが存在している。いずれの絵馬にあっても、裏面側には願い事とともに住所や氏名を記入することが慣例として行われている。
【0003】
特許文献1には、祈願内容が誰にも見られないよう秘密保持を可能とした絵馬等の祈願具が開示されている。このものにあっては、適所に記載欄や記載用紙収納部を設け、隠蔽手段により閉塞することにより外部からは見えないように構成したものである。
【0004】
特許文献2には、具体的内容を記入する願い事記入欄を密封でき、願い事を他人に勝手に読まれることをなくし、奉納者本人が後から願い事を追加したり封印した願い事を見直しすることが可能な絵馬が開示されている。このものにあっては、一面に所望のものを描いた絵馬本体の他面に願い事記入欄を凹状に形成し、凹状部に落とし込むことができるような蓋体を設け、蓋体を凹状部に雄雌またはヒンジ結合し、蓋体と凹状部との隣接部に開蓋用のコイン嵌入溝を設けるとともにコイン嵌入溝を跨いで蓋体を封緘するための封緘紙を設け、秘密保持と追加記帳が可能なように構成したものである。
【0005】
特許文献3には、願い事の記入スペースを倍増し、記入した願い事を他人に読まれることをなくして秘密性を保持することができる絵馬が開示されている。このものにあっては、厚紙等により一対の所定形状の絵馬片を形成し、これら絵馬片の下端部を折曲自在に連設し、絵馬片の上端中央位置に綴じ紐を取付け、絵馬片の重ね合わせる内面に願い事を記載して綴じ紐により綴じ合わせ、その綴じ紐で吊すよう構成したものである。
【0006】
特許文献4には、記入した願い事が他人に読まれるのを防止できる絵馬が開示されている。このものにあっては、絵馬本体を厚み方向に2分割した形状の一対の分割本体から構成されるとともに、これらの分割本体がヒンジ手段を介して開閉揺動自在に連結され、分割本体の閉じた状態を保持し得る保持手段を備えるようにして、分割本体に記入した願い事をもう一方の分割本体で隠れるようにしたものである。
【0007】
特許文献5には、記入した願い事等の個人的事項を他人に見られないようにすることのできる合わせ絵馬が開示されている。このものにあっては、2枚の板体の端部同士をループ上に結んだ紐で開閉可能に連結し、1枚の板体の内面に願い事等の個人的事項を記入することを可能として、2枚の板体を吊下げ紐で連結して吊り下げると、2枚の板体が閉じ合わさり、板体の内面に記入した願い事等の個人的事項が外から見えなくなるようにしたものである。
【0008】
特許文献6には、絵馬に表示された奉納者の願い事、氏名等が絵馬の表面に露出ないように奉納者のプライバシー保護を考慮した絵馬が開示されている。このものにあっては、奉納者の願い事、氏名等を表示する願い事等表示部を片面に備えた板状体と、板状体の片面側に開閉自在に備えさせた扉に、扉の外面には馬等の絵を表示する絵表示部を備えさせ、扉を閉じたときには板状体の願い事等表示部が扉により隠されるよう構成したものである。
【0009】
特許文献7には、願い事や記載者情報を人目に曝すことがない絵馬が開示されている。このものにあっては、絵馬内部に空間を設けて絵馬片面内部に所定数の突起を設けるとともに、対する対応片面には突起が嵌め込み可能な穴部を設け、互いの接触面に挿入方向と反対方向への返し片を設ける嵌め込み式或いはケース型として絵馬を数枚のスライド構成とし、内側面に願い事を記載する或いは内部空間に願い事を記載した紙を挿入し、または絵馬表面に裏面記載後に貼付して情報を隠すためのシールを予め配設するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開昭58-126785号公報
【特許文献2】実公平1-41351号公報
【特許文献3】特開平9-56570号公報
【特許文献4】特開2000-333820号公報
【特許文献5】実用新案登録第3068620号公報
【特許文献6】実用新案登録第3096922号公報
【特許文献7】特開2009-268758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように願い事等が第三者には分からないように工夫を凝らした種々の絵馬が提案されている。しかし、その構造や特徴は、特殊なものである。
【0012】
特許文献1乃至特許文献7に開示されたものは、特殊または特別で独特な構造や構成のものである。
【0013】
絵馬の裏面側(願い事等を記入した面側)に個人情報保護シールを貼付することも一計ではあるが、裏面とはいえども絵馬の折角の美観を損なう虞がある。
【0014】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、シンプルな構成で容易且つ確実に個人情報の保護を図れる絵馬を提供することを目的とする。
また、本発明は、美観を損なうことのない絵馬を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記目的を達成するために以下の通りの構成とすることを特徴とする。
【0016】
(1) 所定の形状を呈する木製の本体部の表面部には絵が描かれ当該本体部の裏面部には願い事及び個人情報が記入される絵馬であって、
所望の模様若しくは図柄が施されたステッカーまたは有色のステッカーを上記本体部の裏面部に貼付可能とし、上記願い事及び個人情報を視認不能とするよう構成したことを特徴とする。
【0017】
(2) 上記(1)の構成にあって、上記ステッカーに施される模様若しくは図柄または色は、予め用意された情報群から四季や行事に合致するよう選択されることを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、シンプルな構成で容易且つ確実に個人情報の保護を図れる絵馬を提供できるものである。
【0019】
また、上記構成によれば、従来提案されている個人情報保護シールの類いを用いる必要はなく且つ美観を損なうこともなく個人情報の保護を実現できるので、極めて実用性に優れるものである。
【0020】
さらに、上記構成によれば、能率性、生産性及び経済性の面でも優れた効果を期待できるものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、シンプルな構成で容易且つ確実に個人情報の保護を図れるという実用的に有用な効果を奏するものである。
また、本発明は、美観を損なうことがなく個人情報の保護を図れる絵馬を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係わり、表面部側から見た絵馬の全体の構成を模式的に示す図である。
【
図2】同実施形態に係わり、裏面部側から見た絵馬の全体の構成を模式的に示す図であり、ステッカー(二点鎖線にて表示)を貼付する前の状態を示す図である。
【
図3】同実施形態に係わり、裏面部側から見た絵馬の全体の構成を模式的に示す図であり、ステッカーを貼付して願い事及び個人情報(点線にて表示)を視認不能にした状態を示す図である。
【
図4】同実施形態に係わり、ステッカーを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態につき、図を参照して説明する。
本実施形態に係わる絵馬10は、所定の形状を呈する木製の本体部100の表面部120には絵や文字が描かれ、本体部100の裏面部140には願い事及び個人情報等が記入されるものであって、所望の模様若しくは図柄が施されたまたは所望の色が着色されたステッカー200を本体部100の裏面部140に貼付可能とし、記入した願い事及び個人情報を視認不能とすることを特徴とする。
【0024】
また、絵馬10に貼付されるステッカー200に施される模様若しくは図柄または色は、予め用意されて格納された情報群から四季や行事等に合致するよう選択されることを特徴とする。
【0025】
さて、本体部100の基材は木製であり、平面視五角形状を呈する。また、本体部100の頂部100aには、円筒状に穿設された孔部100bを介して吊り下げ紐300が設けられている。
【0026】
本体部100の一面部側、即ち表面部120側は、神馬や干支等が提供者側によって予め描かれる領域である。本実施形態では、これが本体部100の表面部120に一体的になるよう貼付した金属板130に描かれている。しかし、これに限らず、絵や文字を和紙等に描いたものを表面部120に一体的になるよう貼付し、または絵や文字を直接表面部120に描いてもよいことは勿論である。
【0027】
他方、本体部100の他面部側、即ち裏面部140側は、奉納者により願い事並びに氏名及び住所等の個人情報が記入される領域である。
【0028】
ステッカー200は、耐候性及び耐水性に優れた紙製の素材からなる。本体部100の裏面部140に貼付することになる貼付面側は、接着性・粘着性を有するよう加工処理が施されている。ステッカー200の形状は、本体部100の裏面部140と略相似形の関係にある。そして、ステッカー200の大きさは、本体部100の高さをH、その幅をWとし、ステッカー200の高さをhs、その幅をwsとすると、hs<H、ws<Wとなるよう構成されている。
なお、Hは、好ましくは17cm以下であり、Wは、好ましくは20cm以下である。
【0029】
本実施形態のステッカー200は、耐候性及び耐水性を考慮した紙製の素材であるため、SDGs(Sustainnable Development Goals)の観点からも好適なものである。しかし、これに限らずフィルム素材であってもよいことは勿論である。また、室内や店舗等で用いられるシールやラベルに用いる素材であってもよい。
【0030】
また、ステッカー200は、例えばPCのメモリ等に予め格納された模様若しくは図柄または色に関してテーブル形式にて格納された情報群を参照して、所望の模様若しくは所望の図柄が選出されて施され、また所望の色が選出されて着色されるものである。さらに、四季や行事等に合致するよう所望の模様若しくは所望の図柄が選出されて施され、所望の色が選出されて着色されるものでもある。本実施形態では、本体部100と同色で木目調の模様としている。
【0031】
上記構成につき、その作用を説明する。
【0032】
絵馬10に願い事を書き奉納するに際しては、先ず、本体部100の裏面部140に例えば油性マジックペンや筆ペンにて、願い事並びに個人情報等の居住地及び氏名を記入することになる(
図2参照)。
【0033】
記入し終えたら、記入した願い事並びに個人情報等の居住地及び氏名が外部からは視認不能となるようステッカー200を裏面部140に貼付する(
図3参照)。
【0034】
而して個人情報が第三者からは分からない状態にした絵馬10を奉納すればよい。
【0035】
上記実施形態によれば、シンプルな構成で容易且つ確実に個人情報の保護を図れるものである。特に、従来のように耐候性及び耐水性の面並びに美観の面で難がある個人情報保護シールの類いを用いる必要はなく、安全面や実用面で極めて優れるものである。
【0036】
従来、第三者視線を危惧して絵馬の奉納を躊躇していた者に、おおいに安心感を与えることになるので、上記実施形態の絵馬10は、極めて有用なものである。なお、ステッカー200は、本体部100の裏面部140の汚損も防止することができる。
【0037】
また、上記実施形態によれば、能率性、生産性及び経済性の面でも優れた効果を期待できるものである。
【0038】
さらに、上記実施形態によれば、ステッカー200に施される模様、図柄または色は、四季や行事等に応じて適宜変更、選択できるので、種々のステッカーを提供できる。
【0039】
さらに、上記実施形態によれば、自然な素材を利用しているので、SDGsにも貢献できるものである。
【0040】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく、要旨を逸脱しない限り種々の変形が可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0041】
10 …絵馬
100 …本体部
120 …表面部
140 …裏面部
200 …ステッカー