(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162672
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】識別システム、識別方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
F23G 5/50 20060101AFI20231101BHJP
F23G 5/02 20060101ALI20231101BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20231101BHJP
【FI】
F23G5/50 G
F23G5/50 Z
F23G5/02 D
G06T7/00 300F
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073173
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】308024395
【氏名又は名称】荏原環境プラント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100207561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳元 八大
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】森澤 伸哉
(72)【発明者】
【氏名】都丸 春幸
(72)【発明者】
【氏名】町田 隼也
【テーマコード(参考)】
3K062
3K065
5L096
【Fターム(参考)】
3K062AA24
3K062AB01
3K062AC01
3K062CA08
3K062CB01
3K062DA03
3K062DA05
3K062DA35
3K062DB30
3K065AA24
3K065AB01
3K065AC01
3K065BA01
3K065CA04
5L096CA05
5L096CA17
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】廃棄物等の識別精度を向上する識別システムを提供する。
【解決手段】識別システムは、廃棄物を貯留するごみピットに光を照射する光源と、カメラと、識別装置と、を備え、前記光源は、可視光領域外の光を照射し、前記識別装置は、前記ごみピットにおける、前記可視光領域外の光が当たった部分を前記カメラによって撮影した画像を取得する取得部と、前記画像に基づいて、前記部分に堆積された廃棄物を識別する識別部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を貯留するごみピットに光を照射する光源と、
カメラと、
識別装置と、
を備え、
前記光源は、可視光領域外の光を照射し、
前記識別装置は、
前記ごみピットにおける、前記可視光領域外の光が当たった部分を前記カメラによって撮影した画像を取得する取得部と、
前記画像に基づいて、前記部分に堆積された廃棄物を識別する識別部と、
を備える識別システム。
【請求項2】
前記取得部は、
前記光の照射条件と前記カメラの撮影条件のうちの少なくとも1つを異ならせて撮影された前記画像を複数取得し、
前記識別部は、複数の前記画像に基づいて、廃棄物を識別する、
請求項1に記載の識別システム。
【請求項3】
前記撮影条件は、カメラの撮影位置であって、
前記取得部は、前記ごみピットの一部分へ1つの位置から前記光源が照射した光に対し、複数の異なる位置から前記カメラによって前記一部分を撮影した前記画像を取得し、
前記識別部は、前記画像に基づいて廃棄物を識別する、
請求項2に記載の識別システム。
【請求項4】
前記照射条件は、光の照射位置であって、
前記取得部は、前記ごみピットの一部分へ複数の異なる照射位置から前記光源が照射した光に対して、前記カメラによって前記一部分を撮影した前記照射位置ごとの前記画像を取得し、
前記識別部は、前記画像に基づいて廃棄物を識別する、
請求項2に記載の識別システム。
【請求項5】
前記照射条件は、光の照射範囲であり、
前記撮影条件は、撮影位置であって、
前記取得部は、前記ごみピットの一部分に対して、複数の異なる照射位置から前記光源が照射したスポット光に対する前記位置ごとの反射光および/または散乱光を撮影した前記画像を取得し、
前記識別部は、前記画像に基づいて廃棄物を識別する、
請求項3に記載の識別システム。
【請求項6】
前記照射条件は、光の照射範囲であり、
前記撮影条件は、撮影位置であって、
前記取得部は、前記光源が照射した平行光に対して、前記光源と対向する位置で撮影した画像を取得し、
前記識別部は、前記画像に基づいて廃棄物を識別する、
請求項3または請求項5に記載の識別システム。
【請求項7】
前記照射条件は、光の照射範囲であり、
前記撮影条件は、撮影位置であって、
前記取得部は、前記光源が照射したスポット光と前記スポット光を内側に含むリング状の光に対する反射光を撮影した前記画像を取得し、
前記識別部は、前記画像に基づいて、前記リング状の光が当たった部分の廃棄物を識別する、
請求項2に記載の識別システム。
【請求項8】
前記照射条件は、光の強弱であって、
前記取得部は、前記光源が複数の異なる強度の光を照射した場合に、前記強度別に撮影された前記画像を取得し、
前記識別部は、前記強度別の前記画像と、前記ごみピット深さ方向の廃棄物の複数の層の組成ごとの当該複数の層を有する廃棄物に異なる強度の光を照射して撮影した画像から得られる特徴量と、に基づいて、前記光源が照射した光が当たった部分に堆積された複数の層の廃棄物を識別する、
請求項2に記載の識別システム。
【請求項9】
前記照射条件は、光の波長であって、
前記取得部は、前記光源が所定の波長の光を照射した場合に、撮影された前記画像を取得し、
前記識別部は、前記画像と、廃棄物の性情ごとの前記廃棄物に前記所定の波長の光を照射して撮影した画像から得られる特徴量と、に基づいて、前記部分に堆積された廃棄物の性情を識別する、
請求項2に記載の識別システム。
【請求項10】
前記取得部は、紫外線領域の波長の光を照射して撮影された前記画像を取得し、
前記識別部は、前記性情として紫外線増白剤を含む廃棄物を識別する、
請求項9に記載の識別システム。
【請求項11】
前記取得部は、赤外線領域の波長の光を照射して撮影された前記画像を取得し、
前記識別部は、前記性情として水分を含む廃棄物を識別する、
請求項9に記載の識別システム。
【請求項12】
異なる位置で撮影された前記画像に基づいて、前記ごみピットの所定の範囲に堆積した前記廃棄物によって形成される前記廃棄物の表面形状を識別するごみ山形状推定部、
をさらに備える請求項1または請求項2に記載の識別システム。
【請求項13】
超音波を照射する発振器と、
超音波を受信する受信器と、
をさらに備え、
前記識別部は、前記画像と前記受信器が受信した超音波とに基づいて廃棄物を識別する、
請求項1または請求項2に記載の識別システム。
【請求項14】
廃棄物を貯留するごみピットに可視光領域外の光を照射し、
前記可視光領域外の光が当たった部分を撮影した画像を取得し、
前記画像に基づいて、前記部分に堆積された廃棄物を識別する、
識別方法。
【請求項15】
コンピュータを、
廃棄物を貯留するごみピットに可視光領域外の光を照射して、前記光が当たった部分を撮影した画像を取得する手段、
前記画像に基づいて、前記部分に堆積された廃棄物を識別する手段、
として機能させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、識別システム、識別方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物処理プラントでは、家庭ごみや粗大ごみ、剪定枝、汚泥など、様々な種類の廃棄物がごみピット内に投入される。投入された廃棄物を安定した状態で焼却するために、運転員が、安定燃焼に適した状態の廃棄物を識別し、クレーンを操縦して、ごみ焼却炉のホッパへ投入する作業などを行っている。特許文献1には、ごみピット内を撮影した画像を入力として、機械学習により生成された識別アルゴリズムによって、画像に写った廃棄物を識別する技術が開示されている。廃棄物の自動識別により、運転員間のばらつきの抑制や、自動運転などの省力化が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
廃棄物等の識別精度を向上する技術が求められている。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決することのできる識別システム、識別方法およびコンピュータプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、識別システムは、廃棄物を貯留するごみピットに光を照射する光源と、カメラと、識別装置と、を備え、前記光源は、可視光領域外の光を照射し、前記識別装置は、前記ごみピットにおける、前記可視光領域外の光が当たった部分を前記カメラによって撮影した画像を取得する取得部と、前記画像に基づいて、前記部分に堆積された廃棄物を識別する識別部とを備える。
【0007】
本発明の一態様によれば、前記取得部は、前記光の照射条件と前記カメラの撮影条件のうちの少なくとも1つを異ならせて撮影された前記画像を複数取得し、前記識別部は、複数の前記画像に基づいて、廃棄物を識別する。
【0008】
本発明の一態様によれば、前記撮影条件は、カメラの撮影位置であって、前記取得部は、前記ごみピットの一部分へ1つの位置から前記光源が照射した光に対し、複数の異なる位置から前記カメラによって前記一部分を撮影した前記画像を取得し、前記識別部は、前記画像に基づいて廃棄物を識別する。
【0009】
本発明の一態様によれば、前記照射条件は、光の照射位置であって、前記取得部は、前記ごみピットの一部分へ複数の異なる照射位置から前記光源が照射した光に対して、前記カメラによって前記一部分を撮影した前記照射位置ごとの前記画像を取得し、前記識別部は、前記画像に基づいて廃棄物を識別する。
【0010】
本発明の一態様によれば、前記照射条件は、光の照射範囲であり、前記撮影条件は、撮影位置であって、前記取得部は、前記ごみピットの一部分に対して、複数の異なる照射位置から前記光源が照射したスポット光に対する前記位置ごとの反射光および/または散乱光を撮影した前記画像を取得し、前記識別部は、前記画像に基づいて廃棄物を識別する。
【0011】
本発明の一態様によれば、前記照射条件は、光の照射範囲であり、前記撮影条件は、撮影位置であって、前記取得部は、前記光源が照射した平行光に対して、前記光源と対向する位置で撮影した画像を取得し、前記識別部は、前記画像に基づいて廃棄物を識別する。
【0012】
本発明の一態様によれば、前記照射条件は、光の照射範囲であり、前記撮影条件は、撮影位置であって、前記取得部は、前記光源が照射したスポット光と前記スポット光を内側に含むリング状の光に対する反射光を撮影した前記画像を取得し、前記識別部は、前記画像に基づいて、前記リング状の光が当たった部分の廃棄物を識別する。
【0013】
本発明の一態様によれば、前記照射条件は、光の強弱であって、前記取得部は、前記光源が複数の異なる強度の光を照射した場合に、前記強度別に撮影された前記画像を取得し、前記識別部は、前記強度別の前記画像と、前記ごみピット深さ方向の廃棄物の複数の層の組成ごとの当該複数の層を有する廃棄物に異なる強度の光を照射して撮影した画像から得られる特徴量と、に基づいて、前記光源が照射した光が当たった部分に堆積された複数の層の廃棄物を識別する。
【0014】
本発明の一態様によれば、前記照射条件は、光の波長であって、前記取得部は、前記光源が所定の波長の光を照射した場合に、撮影された前記画像を取得し、前記識別部は、前記画像と、廃棄物の性情ごとの前記廃棄物に前記所定の波長の光を照射して撮影した画像から得られる特徴量と、に基づいて、前記部分に堆積された廃棄物の性情を識別する。
【0015】
本発明の一態様によれば、前記取得部は、紫外線領域の波長の光を照射して撮影された前記画像を取得し、前記識別部は、前記性情として紫外線増白剤を含む廃棄物を識別する。
【0016】
本発明の一態様によれば、前記取得部は、赤外線領域の波長の光を照射して撮影された前記画像を取得し、前記識別部は、前記性情として水分を含む廃棄物を識別する。
【0017】
本発明の一態様によれば、前記識別システムは、異なる位置で撮影された前記画像に基づいて、前記ごみピットの所定の範囲に堆積した前記廃棄物によって形成される前記廃棄物の表面形状を識別するごみ山形状推定部、をさらに備える。
【0018】
本発明の一態様によれば、超音波を照射する発振器と、超音波を受信する受信器と、をさらに備え、前記識別部は、前記画像と前記受信器が受信した超音波とに基づいて廃棄物を識別する。
【0019】
本発明の一態様によれば、識別方法では、廃棄物を貯留するごみピットに可視光領域外の光を照射し、前記可視光領域外の光が当たった部分を撮影した画像を取得し、前記画像に基づいて、前記部分に堆積された廃棄物を識別する。
【0020】
本発明の一態様によれば、コンピュータプログラムは、コンピュータに、廃棄物を貯留するごみピットに可視光領域外の光を照射して、前記光が当たった部分を撮影した画像を取得する手段、前記画像に基づいて、前記部分に堆積された廃棄物を識別する手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ごみピット内の廃棄物を識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態に係る廃棄物処理プラントの要部の概略図である。
【
図2】実施形態に係る廃棄物の識別に用いる電磁波の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る深さ方向に堆積された廃棄物の識別について説明する図である。
【
図4】実施形態に係る光源の位置と撮影の位置の関係を示す第1の図である。
【
図5】実施形態に係る光源の位置と撮影の位置の関係を示す第2の図である。
【
図6】実施形態に係る光の照射形状の一例を示す第1の図である。
【
図7】実施形態に係る光の照射形状の一例を示す第2の図である。
【
図8】実施形態に係る光の照射形状の一例を示す第3の図である。
【
図9】実施形態に係る物性情報ライブラリの一例を示す図である。
【
図10】実施形態に係る廃棄物の識別処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】実施形態に係るごみ山形状の推定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態>
以下、本開示の一実施形態による廃棄物の識別システムについて
図1~
図11を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る廃棄物処理プラントの要部の概略図である。
図1に示すように廃棄物処理プラント100は、ごみピット1と、ホッパ2と、ドローン8と、識別装置20と、ごみピット制御装置30と、クレーン制御装置40と、ドローン制御装置50などを備えている。ごみピット1では、廃棄物処理プラント100に運搬されてきた廃棄物が投入され、貯留される。ごみピット1は、廃棄物が貯留された廃棄物層1aと、その上側の空間1bを含む。空間1bには、クレーン3が設けられている。ごみピット1の壁には、カメラ6a~6c、光源7a~7cが設けられている。
図1では、カメラ6a~6c、光源7a~7cが記載されているが、カメラや光源の数、設置位置は、図示するものに限定されない。例えば、カメラと光源は、ごみピット1の壁面における紙面の手前方向および奥行き方向に所定の間隔で設置されていてもよい。カメラ6a~6c、光源7a~7cは、ごみピット制御装置30によって制御される。例えば、ごみピット制御装置30は、カメラ6a~6cによる撮影、光源7a~7cからの光の照射を制御する。ごみピット制御装置30は、識別装置20と通信可能に接続されている。ごみピット制御装置30は、カメラ6a~6cが撮影した画像を、その画像を撮影したカメラの位置情報と共に識別装置20へ送信する。ごみピット制御装置30は、光源7a~7cに関する情報、例えば、照射する光の強度や波長、光の照射形状、照射角度、光源7a~7cの位置情報などを識別装置20へ送信する。
【0024】
クレーン3は、ピット1内の廃棄物を掴むバケット3aを有しており、バケット3aが掴んだ廃棄物をホッパ2へ搬送して投入する。ホッパ2は、クレーン3によって搬送および投入された廃棄物を一時的に貯留し、図示しない焼却炉へ廃棄物を供給する。バケット3aには、カメラ4と光源5が設けられている。
図1では、カメラ4、光源5が記載されているが、バケット3aに設けられるカメラや光源の数、設置位置は、図示するものに限定されない。例えば、バケット3aには、複数のカメラや光源が設けられてもよい。クレーン3、バケット3a、カメラ4、光源5は、クレーン制御装置40によって制御される。クレーン制御装置40は、識別装置20と通信可能に接続されている。クレーン制御装置40は、カメラ4が撮影した画像を、その画像を撮影したカメラ4の位置情報と共に識別装置20へ送信する。クレーン制御装置40は、光源5に関する情報、例えば、照射する光の強度や波長、光の照射形状、照射角度、位置情報などを識別装置20へ送信する。
【0025】
ドローン8は、遠隔操作式又は自律飛行式の無人航空機である。ドローン8には、カメラ9と光源10が設けられている。ドローン8は、空間1bを飛行し、様々な位置および角度から廃棄物層1aへ光を照射し、廃棄物層1aを撮影する。ドローン8には、複数のカメラや光源が設けられてもよい。例えば、ドローン8には、光源がリング状に設けられていてもよい。ドローン8、カメラ9、光源10は、ドローン制御装置50によって制御される。ドローン制御装置50は、識別装置20と通信可能に接続されており、カメラ9が撮影した画像を、カメラ9の位置情報(ドローン8の位置情報)と共に識別装置20へ送信する。ドローン制御装置50は、光源10に関する情報、例えば、照射する光の強度や波長、光の照射形状、照射角度、位置情報などを識別装置20へ送信する。また、
図1には、ドローン8が1台記載されているが、ドローンは複数台設けられていてもよい。
【0026】
ここで、光源5、光源7a~7c、光源10は、可視光領域以外の光(電磁波)、例えば、赤外線、紫外線、マイクロ波を照射し、光の強度を調節することができる。また、光源5、光源7a~7c、光源10は、光を1点に集めるようにして照射されるスポット光、又は、所定の幅を持った光線として照射される平行光を照射するものであってもよい。また、カメラ4、6a~6c、カメラ9は、一般的なカメラであってもよいし、可視光領域以外の光を検知できるカメラであってもよい。
【0027】
また、
図1では、ごみピット1の壁、バケット3a、ドローン8のそれぞれにカメラと光源を設けることとしたが、ごみピット1の壁のみに複数のカメラ6a等および光源7a等を設けることとしてもよいし、バケット3aのみにカメラ4および光源5を設けることとしてもよいし、ドローン8のみにカメラ9および光源10を設けることとしてもよい。あるいは、ごみピット1の壁に複数のカメラ6a等を設け、光源については、バケット3aおよび/又はドローン8に設けることとしてもよいし、ごみピット1の壁に複数の光源7a等を設け、カメラについては、バケット3aおよび/又はドローン8に設けることとしてもよい。又は、ごみピット1の壁には、カメラ、光源を設けず、ドローン8に光源10を設け、バケット3aにカメラ4を設けるようにしてもよい。全ての組合せについては記載しないが、ごみピット1の壁、バケット3a、ドローン8の何れかには可視光領域以外の光源が設けられ、ごみピット1の壁、バケット3a、ドローン8の何れかにはカメラが設けられる。さらにごみピット1の壁、バケット3a、ドローン8の何れかには、可視光領域以外の光源に代えて/加えて可視光を照射する光源が設けられていてもよい。
【0028】
また、ごみピット1の壁、バケット3a、ドローン8の何れかには超音波を照射する発振器が設けられ、ごみピット1の壁、バケット3a、ドローン8の何れかには超音波を受信する受信器が設けられていてもよい。
【0029】
また、一例として、カメラ4が撮影した画像がクレーン制御装置40を介して識別装置20へ送信され、カメラ6a~6cが撮影した画像がごみピット制御装置30を介して識別装置20へ送信され、カメラ9が撮影した画像がドローン制御装置50を介して識別装置20へ送信されることとして説明を行うが、各カメラと識別装置20が通信可能に接続され、各カメラが撮影した画像は、直接、識別装置20へ送信されてもよい。
【0030】
識別装置20は、ごみピット制御装置30と、クレーン制御装置40と、ドローン制御装置50の少なくとも1つから画像を取得し、その画像に含まれる廃棄物の種類を識別したり、廃棄物層1aに貯留されたごみ山の形状を推定したりする。識別装置20は、データ取得部21と、廃棄物識別部22と、ごみ山形状推定部23、出力部24と、記憶部25とを備える。
【0031】
データ取得部21は、ごみピット制御装置30、クレーン制御装置40、ドローン制御装置50の少なくとも1つから、画像とカメラの位置情報と光源の情報とを取得する。例えば、ドローン制御装置50から取得する場合、データ取得部21は、カメラ9が撮影した画像、画像を撮影したときのカメラ9の位置情報、光源10が照射する光の強度や波長、光の照射形状、照射角度、光源10の位置情報をドローン制御装置50から取得する。
【0032】
廃棄物識別部22は、データ取得部21が取得した画像に基づいて、画像に含まれる廃棄物を識別する。例えば、廃棄物識別部22は、取得した画像を学習済みのモデルに入力して、画像に含まれる廃棄物を識別する。学習済みのモデルは、例えば、種類が分かっているごみに可視光領域以外の光を当てて撮影した画像に廃棄物の種類をラベルとして付したデータを学習データとして、機械学習により生成されたモデルである。学習データには、様々な強度、様々な波長の光を、種類が分かっている廃棄物に対して、様々な角度から照射したときに、様々な角度から撮影した画像が含まれていてもよい。ある種類の廃棄物に対して可視光領域以外の光を照射して画像を撮影することで、通常の状態でごみピット1の廃棄物を撮影した場合に得られる画像、つまり可視光を照射して撮影した画像では得られない異なる特性が含まれた画像を撮影できる可能性がある。また、光を照射する位置と照射された光が当たる位置とその光を撮影する位置の関係を様々に異ならせて画像を撮影することで、廃棄物の種類に応じた様々な特性が含まれた画像を撮影できる可能性がある。例えば、ある波長の光を透過しやすい廃棄物と、透過しにくい廃棄物がある場合、透過しやすい廃棄物では、その廃棄物の内部からも反射が起こるため、透過しにくい廃棄物に比べて、反射光には広がりが生じるなどの特性が生じることが考えられる。廃棄物識別部22は、様々な画像を学習して生成された学習済みモデルに基づいて、画像に含まれる廃棄物の種類を識別する。
【0033】
あるいは、廃棄物識別部22は、種類が分かっている廃棄物に可視光領域以外の光を当てて撮影した画像の特徴量とその画像を撮影したときの撮影条件や光の照射条件を対応付けてデータベース化した物性情報ライブラリに基づいて、画像に含まれる廃棄物の種類を識別してもよい。物性情報ライブラリの一例については、後述する。
【0034】
あるいは、廃棄物識別部22は、種類が分かっている廃棄物に可視光領域以外の光を当てて撮影した画像の特徴量とその画像を撮影したときの撮影条件や光の照射条件の関係を表したモデル式に基づいて、画像に含まれる廃棄物の種類を識別してもよい。例えば、ある種類の廃棄物に対して、ある強度の紫外線を当ててその反射光を撮影した場合、その強度と画像に表示される輝度の関係性をある数式でモデル化できるような場合、廃棄物識別部22は、データ取得部21によって取得された紫外線の強度と、データ取得部21によって取得された画像の輝度と、モデル化に用いられる数式によって、画像に写った対象が、上述の“ある種類の廃棄物”であるかどうかを識別してもよい。
【0035】
ごみ山形状推定部23は、廃棄物層1aの表面を上側から撮影した画像に基づいて、ごみピット1に堆積したごみ山の形状を推定する。例えば、ごみ山形状推定部23は、航空機から撮影した画像を使って地形を測量する際に用いられる空中三角測量などの技術を用いて、ごみ山の形状を推定する。あるいは、ごみ山形状推定部23は、廃棄物層1aのある部分に対して、様々な角度から撮影した画像から、ごみ山の形状を推定してもよい。例えば、ドローン8を制御して、
図1のαで囲った部分に対し、α1の方向から光を照射して、その反射光を撮影した画像とα2の方向から光を照射してその反射光を撮影した画像に基づいて(例えば、画像に写る影に基づいて)、α部分のごみ山形状を推定してもよい。簡単な例では、様々なごみ山形状に対して、様々な角度から光を照射して撮影した画像のデータベースを作成しておき、そのデータベースに蓄積された画像に写る影と、ドローン8から撮影した画像の影とをマッチングし、影のできる位置や形状が近い画像を選択することによって、ごみ山の形状を推定してもよい。
【0036】
出力部24は、廃棄物識別部22が識別した廃棄物の種類や、ごみ山形状推定部23が推定した形状を、識別装置20に接続された表示装置等に出力する。
記憶部25は、データ取得部21が取得したデータ、学習済みモデル、物性情報ライブラリ、モデル式などを記憶する。
【0037】
上記のとおり、廃棄物処理プラント100は、可視光領域以外の光を照射する1台又は複数台の光源と、1台又は複数台のカメラとを備えている。例えば、特許文献1に開示があるように、カメラで撮影した画像に基づいて、廃棄物を識別する技術は提供されている。(1)これに対して、廃棄物処理プラント100では、可視光領域以外の光を照射して画像を撮影し、撮影した画像に基づいて、廃棄物を識別する。(2)また、廃棄物処理プラント100では、様々な位置・角度から光(可視光を含む)を照射して、その光が当たった部分を様々な角度から撮影した複数の画像を用いて、廃棄物を識別する。このように様々な観点から撮影した画像を利用することで、廃棄物の識別精度を向上する。
【0038】
図2に、実施形態に係る廃棄物の識別に用いる電磁波の一例を示す。
図2のNo1に示すように、光源5、7a~7c、10が照射する光の波長は、紫外線であってもよい。廃棄物の中には、例えば、紙ごみ、衣類ごみのように蛍光増白剤が含まれているものがある。これらの廃棄物に紫外線を当てて、その反射光や散乱光をカメラで撮影すると、特定の色(白色)が画像に写る。この性質を利用すると、識別対象の廃棄物が、蛍光増白剤が用いられる種類の廃棄物かどうかを判別することができる。
【0039】
図2のNo2に示すように、光源5、7a~7c、10が照射する光の波長は、赤外線であってもよい。廃棄物の中には、食品のように水分を含むものがあり、このような廃棄物に赤外線を当てると温度が上昇する。従って、その反射光や散乱光を赤外線カメラで撮影し、温度を検出することにより、識別対象の廃棄物が、水分を含む種類の廃棄物かどうかを判別することができる。
【0040】
図2のNo3に示すように、光源5、7a~7c、10が照射する光の波長は、マイクロ波であってもよい。廃棄物の中には、食品のように水分を含むものがあり、このような廃棄物にマイクロ波を当てると温度が上昇する。従って、その反射光や散乱光を赤外線カメラで撮影し、温度を検出することにより、識別対象の廃棄物が、水分を含む種類の廃棄物かどうかを判別することができる。また、廃棄物の中には、金属のようにマイクロ波をほとんど通さずに反射するものがある。このような廃棄物にマイクロ波を当てて、その反射光や散乱光をマイクロ波カメラで撮影することにより、識別対象の廃棄物が、金属などのマイクロ波を反射する種類の廃棄物かどうかを判別することができる。また、廃棄物にマイクロ波を当てて、その透過光をマイクロ波カメラで撮影することにより、識別対象の廃棄物が、プラスチックなどのマイクロ波を透過する種類の廃棄物かどうかを判別することができる。
【0041】
例えば、廃棄物の種類別に紫外線、赤外線、マイクロ波を照射して撮影した画像から得られる特徴量を物性情報ライブラリに登録しておく。そして、例えば、バケット3aの光源5から紫外線を照射して、その反射波をカメラ4で撮影する。廃棄物識別部22は、カメラ4が撮影した画像を解析して特徴量を抽出する。そして、廃棄物識別部22は、物性情報ライブラリに登録した特徴量と、画像から週出した特徴量を照合することにより、ごみを識別する。
【0042】
また、可視光領域以外の光に代えて/加えて超音波を廃棄物へ照射し、反射波や透過波を検出してもよい。廃棄物には、超音波を反射する性質のもの、透過する性質のものがある。廃棄物の種類別に超音波を照射したときの反射波や透過波の特性を物性情報ライブラリに登録しておき、超音波を照射したときの反射波や透過波を受信して、物性情報ライブラリに登録されている特性と照合することで、超音波を照射した廃棄物の種類を識別してもよい。
【0043】
なお、
図2に例示した紫外線、赤外線、マイクロ波、超音波は併用することができる。例えば、光源5が紫外線を照射し、光源10が赤外線を照射し、カメラ10が赤外線カメラであってもよい。そして、例えば、光源5から紫外線を位置P(図示せず)へ照射して、位置Pからの反射光を一般的なカメラ4で撮影する。次に同じ位置Pへ光源10から赤外線を照射し、その反射光を赤外線カメラ9で撮影する。これにより、位置Pに存在する廃棄物について、紫外線を当てたときの画像と、赤外線を当てたときの画像を得ることができる。廃棄物識別部22が、これらの画像に基づいて廃棄物を識別することにより、より多くの情報に基づいて廃棄物を識別することができ、廃棄物の識別精度を向上することができる。
【0044】
また、
図2に例示した紫外線、赤外線、マイクロ波又は超音波と可視光とを併用することができる。例えば、特許文献1に記載の方法で、位置Pの廃棄物が「紙ごみ」と識別されたとする。これに加えて、位置Pに紫外線を照射し、その反射光を撮影することにより、蛍光増白剤が含まれていることを示す画像が得られたならば、位置Pの廃棄物が「紙ごみ」である可能性が高い。可視光による廃棄物の推定と紫外線による廃棄物の推定とを組み合わせることによって、より確度が高い推定結果を得ることができる。
【0045】
また、廃棄物層1aの表面を撮影した画像に基づいて、廃棄物を識別する場合には、色や形状に基づいて、廃棄物層1a表面に存在する廃棄物の識別を行うこととなる。表面の廃棄物が識別できたとしても、バケット3aで掴んだ廃棄物には、表面より下側に堆積されたごみが含まれるため、廃棄物の内容を把握することにより、安定した燃焼に適した廃棄物を選択してホッパ2へ投入するという観点からは情報が十分ではない可能性がある。燃焼に適した廃棄物を選択する為には、深さ方向の廃棄物の情報を識別できることが好ましい。次に
図3を参照して、表面より下側に堆積された廃棄物を識別する方法について説明する。
【0046】
図3に、実施形態に係る深さ方向に堆積された廃棄物の識別について説明する図である。
ここでは、バケット3aに設けられたカメラ4と光源5を使用する場合を例に説明を行う。クレーン制御装置40は、光源5が照射する光の強度を調節する。例えば、光源5は、ある波長Xの光を、強度を変化させて廃棄物層1aの表面へ照射する。光の強度は、レベル1~3の3段階であるとする。カメラ4は、レベル1の強度の光を照射したときの画像、レベル2の強度の光を照射したときの画像、レベル3の強度の光を照射したときの画像をそれぞれ撮影する。光の強度を変更することによって、光がごみ山の表面から下側へ向けて透過する度合いが変化し、それに伴い、下層の廃棄物から反射又は散乱される光の強度が変化する。照射する光の強度の変化と反射又は散乱される光の強度との関係に基づいて、廃棄物層1a表面の下側に堆積された廃棄物の種類を識別する。
【0047】
例えば、1番上の層にある厚さで「紙ごみ」が存在し、その下の2番目の層にある厚さで「汚泥」が存在するとする。このような廃棄物の層に対して、真上から波長Xでレベル1~3の強度の光を照射し、それぞれの強度の光が照射された場合の反射光を撮影する。そして撮影された画像を所定の方法により解析し、特徴量を抽出する。レベル1の光については「特徴量1」が抽出され、レベル2の光については「特徴量2」が抽出され、レベル3の光については「特徴量3」が抽出されたとする。同様に、1番上の層にある厚さで「ごみ袋未破袋ごみ」が存在し、その下の2番目の層にある厚さで「紙ごみ」が存在するごみ山に対し、波長Xでレベル1~3の強度の光を照射し、強度別に画像を撮影し、強度別の画像を解析して特徴量を抽出する。レベル1の光については「特徴量4」が抽出され、レベル2の光については「特徴量5」が抽出され、レベル3の光については「特徴量6」が抽出されたとする。様々な種類の廃棄物層に対して、同様の処理を繰り返すと、
図3に例示するようなデータベースが得られる。
図3に例示するデータベースを記憶部25に登録しておく。そして、バケット3aの光源5から波長Xでレベル1~3の強度の光を照射し、カメラ4によって、照射する光の強度別に画像を撮影する。廃棄物識別部22は、カメラ4によって撮影された画像を解析して特徴量を抽出し、記憶部25に登録されたデータベースと照合する。例えば、レベル1,2,3の強度の光に対して、「特徴量1」、「特徴量2」、「特徴量3」が抽出されたとする。すると、廃棄物識別部22は、バケット3aの下に堆積された廃棄物の表面は「紙ごみ」、その下の層は「汚泥」であると識別する。このようにして、ごみ山の深さ方向に堆積された廃棄物を識別することができる。なお、光の強度は2段階で変化させてもよいし、4段階以上で変化させてもよい。あるいは、照射する光の強度は連続的に変化させてもよい。また、1つの種類の廃棄物層(例えば「紙ごみ」と「汚泥」)に対して、複数の波長(例えば、紫外線と赤外線)を用いて、それぞれの光の強度を変化させて
図3に例示するデータベースを作成してもよい。また、識別する廃棄物層の数は表面から2層ではなく、3層以上であってもよい。
図3に例示するデータベースは、物性情報ライブラリの一例である。
【0048】
図2、
図3を参照して、廃棄物層1aに照射する光の波長や強度を工夫して廃棄物を識別する方法について説明した。次に光源とカメラの位置関係を変更して撮影した複数の画像に基づいて、廃棄物を識別する方法について説明する。
【0049】
図4は、実施形態に係る光源の位置と撮影の位置の関係を示す第1の図である。
図4に示すように、例えば、ある位置に設けられた光源60から、ごみ80へ光を照射する。そして、光源60の近傍に設けられたカメラ70によって反射光を撮影する。また、光源60から照射される光の進行方向における光源60と対向する位置に設けられたカメラ73によって、ごみ80を透過した透過光を撮影する。また、光源60から照射される光の進行方向と所定の角度に設置されたカメラ71、72によって、ごみ80によって散乱された散乱光を撮影する。例えば、
図1の例では、光源7Cから光を照射し、透過光をカメラ6Cで撮影する。また、例えば、散乱光をカメラ6a、6b、カメラ4によって撮影する。反射光については、例えば、ドローン8を制御して光源7Cの近傍へ移動させて、カメラ9によって撮影する。反射光、散乱光、透過光のうちの複数を撮影した画像に基づいて、廃棄物を識別することにより、廃棄物の識別精度を向上することができる。例えば、反射光だけでは見分けがつきにくい2種類の廃棄物が存在し、一方の廃棄物にある波長の光を照射するとその多くが透過し、他方の廃棄物に同じ光を照射すると、その多くが内部で様々な方向に散乱するとする。このような場合、反射光と散乱光、又は、反射光と透過光、又は、散乱光と透過光、あるいは、反射光と散乱光と透過光の全てを用いて識別を行うことにより、正確に廃棄物を識別することができる。また、複数の位置のカメラによって画像を撮影することによって、例えば、バケット3aによって、カメラの視線が遮られて、廃棄物層1aの表面の画像を撮影することができないような状況であっても、確実に何枚かの画像を撮影することができる。
【0050】
図5は、実施形態に係る光源の位置と撮影の位置の関係を示す第2の図である。
図5に示すように、例えば、複数の位置に設けられた光源61~63その各々から順番にごみ80へ光を照射する。そして、ある位置に設けられたカメラ74によって、光源61~63ごとに画像を撮影する。これにより、光源とカメラの位置関係を異ならせて撮影された複数の画像を得ることができる。例えば、
図1の例では、光源7aから光を照射し、カメラ6bで撮影する。次に光源7bから光を照射し、カメラ6bで撮影する。また、ドローン8を制御して任意の位置で光源10から光を照射し、カメラ6bで撮影する。
図4を用いて説明したように、光源とカメラの位置関係が異なる複数の画像に基づいて廃棄物を識別することにより、廃棄物の識別精度を向上することができる。また、光源とカメラの位置関係を変更して画像を撮影することによって、例えば、バケット3aによって、照射した光が遮られて、廃棄物層1aの表面の画像を撮影することができないような状況であっても、確実に何枚かの画像を撮影することができる。
【0051】
また、光の照射形状を変更することによっても、廃棄物の識別精度の向上に寄与する画像を撮影できる可能性がある。
図6は、実施形態に係る光の照射形状の一例を示す第1の図である。例えば、光源64から照射する光をレンズ81で集光し、所定の直径以下のスポット光にしてごみ80に照射し、その反射光等をカメラ75で撮影する。これにより、光を当てた位置の廃棄物に絞ってその特性を表す画像を撮影することができる。これにより、光を当てた位置の廃棄物の情報をより精度よく識別できる可能性がある。
【0052】
図7は、実施形態に係る光の照射形状の一例を示す第2の図である。例えば、光源65から所定の幅を有する平行光をごみ80に照射し、その透過光をカメラ76で撮影する。これにより、照射された幅の光の進路に存在する廃棄物層の断面の情報を得ることができる。例えば、平行光の進路に透過率の異なる廃棄物が存在する場合、透過率の異なる廃棄物の境界を解析することができる。なお、光源65を移動させて、平行光によって所定範囲をスキャンするようにしてもよい。
【0053】
図8は、実施形態に係る光の照射形状の一例を示す第3の図である。
図8に例示する光源66a~66lのように、リング状に光源を配置し、その中心に光源67を配置してもよい。そして、光源67から廃棄物層1aに光を照射し、その反射光をカメラで撮影する。撮影した画像は、廃棄物識別部22により解析される。また、光源66a~66lから廃棄物層1aに光を照射し、その反射光をカメラで撮影する。撮影した画像は、廃棄物識別部22により解析される。これにより、光源67を照射したときに撮影した画像と光源66a~66lを照射したときに撮影した画像により、それぞれの光が当たった部分の廃棄物を識別することができる。また、光源67を照射したときに撮影した画像と光源66a~66lを照射したときに撮影した画像を比較することで、光源67の照射範囲と光源66a~66lの照射範囲の境界付近での反射光・拡散光の情報を得ることが可能となり、境界付近の廃棄物の識別情報として活用できる。
【0054】
図9に、実施形態に係る物性情報ライブラリの一例を示す。例えば、物性情報ライブラリには、波長(
図9の「波長」)、光の強度(
図9の「強度」)、光の照射形状(
図9の「照射形状」)、反射光を撮影した画像の特徴量(
図9の「反射光」)、透過光を撮影した画像の特徴量、散乱光の角度ごとに散乱光を撮影した画像の特徴量(
図9の「散乱光1」、「散乱光2」、・・・)、廃棄物の種類(
図9の「廃棄物の種類」)の各情報が対応付けて登録されている。物性情報ライブラリに登録されている情報は、種類の分かっている廃棄物に各種光を照射して、様々な位置から撮影した画像を解析してえられたものである。物性情報ライブラリには、可視光領域以外の光だけではなく、可視光を照射して撮影された画像の特徴量(
図9の「特徴量19~22」)と廃棄物の種類が対応付けて登録されていてもよい。また、物性情報ライブラリには、発振器から超音波を照射したときに受信機で受信した超音波を解析して得られた特徴量(
図9の「特徴量23~26」)と廃棄物の種類が対応付けて登録されていてもよい。また、物性情報ライブラリは、
図9に示した項目以外にも光の照射角度などの項目を有していてもよい。例えば、光源5から強度レベル1、直径xcmの紫外線のスポット光(又は平行光)を照射して、カメラ4によって、その反射光を撮影する。廃棄物識別部22が、撮影された画像を解析して特徴量を抽出すると、「特徴量7」が得られたとする。すると、廃棄物識別部22は、画像に写った廃棄物を「紙ごみ」と識別する。
【0055】
(動作)
図10は、実施形態に係る廃棄物の識別処理の一例を示すフローチャートである。
ごみピット1では、次の(1)~(3)のうちの少なくとも1つが実行される。(1)ごみピット制御装置30は、カメラ6a~6c、光源7a~7cを制御して、例えば、複数の位置から廃棄物層1aの表面に光を照射して、複数のカメラでそれを撮影する。(2)また、クレーン制御装置40は、光源5を制御して、廃棄物層1aの表面に光を照射し、カメラ4で光を照射した位置を撮影する。(3)ドローン制御装置50は、光源10を制御して、廃棄物層1aの表面に光を照射し、カメラ9で光を照射した位置を撮影する。データ取得部21は、光源の情報とカメラの情報と画像を取得する(ステップS1)。例えば、データ取得部21は、カメラ4、6a~6c、9によって撮影された画像と、カメラ4、6a~6c、9の位置情報と、光源5、7a~7c、10の位置情報、これらの光源が照射した光の波長、強度、照射形状などの情報を取得する。次に廃棄物識別部22が、物性情報ライブラリ等により廃棄物を識別する(ステップS2)。例えば、カメラ4、6a~6bが赤外線カメラであって、光源5からレベル1、直径Xcmの赤外線を照射し、カメラ4によって反射光を撮影し、カメラ6a~6bによって散乱光を撮影したとする。廃棄物識別部22は、カメラ4、6a~6bの位置情報と光源5の位置情報から、カメラ4によって反射光を撮影し、カメラ6a~6bによって
図9に例示する物性情報ライブラリの散乱光1、2に相当する位置で散乱光が撮影できることを算出する。また、廃棄物識別部22は、カメラ4、6a~6bが撮影した各画像から特徴量を抽出する。すると、廃棄物識別部22は、
図9に例示する物性情報ライブラリを参照して、廃棄物の識別を行う。例えば、カメラ4によって撮影した画像の特徴量が「特徴量15」、カメラ6a~6bによって撮影した画像の特徴量がそれぞれ「特徴量17」、「特徴量18」であったとすると、廃棄物を食品と識別する。また、廃棄物識別部22は、照射した光の波長や強度と、反射光を撮影した画像の特徴量と、散乱光を撮影した画像の特徴量と、廃棄物の種類との対応関係を学習した学習済みモデルに基づいて、廃棄物を識別してもよい。あるいは、廃棄物識別部22は、照射した光の波長や強度と反射光や散乱光を撮影した画像の輝度等との関係を表すモデル式に基づいて、廃棄物を識別してもよい。また、
図8に例示するリング状の光が照射された場合、廃棄物識別部22は、中心部とその周辺に存在する廃棄物を識別してもよい。また、強度の異なる光を照射して画像を撮影した場合、廃棄物識別部22は、深さ方向に積層された廃棄物を識別してもよい。また、可視光を照射して、複数の異なる位置から撮影した画像に基づいて、廃棄物を識別してもよい。また、可視光を照射して撮影した画像と、可視光領域以外の光又は超音波を照射して撮影した画像又は受信した超音波とに基づいて、廃棄物を識別してもよい。次に出力部24が、廃棄物識別部22によって識別された廃棄物の種類と、その位置情報を表示装置に出力する(ステップS3)。
【0056】
上記説明したように、本実施形態によれば、可視光領域以外の光を照射して撮影した画像によって、および/又は光の照射条件(波長、強度、照射形状、位置、角度)とカメラの撮影条件(位置)のうちの少なくとも1つを異ならせて撮影された複数の画像によって、廃棄物を識別することにより、廃棄物の識別精度を向上することができる。
【0057】
図11は、実施形態に係るごみ山形状の推定処理の一例を示すフローチャートである。
ごみピット1では、次の(1)~(2)のうちの少なくとも1つが実行される。(1)クレーン制御装置40は、クレーン3を制御して所定の範囲でバケット3aを移動させる。このとき、バケット3aを水平方向に移動させるだけではなく、上下方向(高さ方向)を変更してもよい。移動中、クレーン制御装置40は、光源5を制御して、廃棄物層1aの表面に光を照射し、カメラ4で光を照射した位置を撮影する。(2)ドローン制御装置50は、ドローン8を制御して所定の範囲内を移動させる。このとき、ドローン8を水平方向に移動させるだけではなく、上下方向(高さ方向)や傾きを変更し、様々な位置、角度から画像が撮影できるようにしてもよい。移動中、ドローン制御装置50は、光源10を制御して、廃棄物層1aの表面に光を照射し、カメラ9で光を照射した位置を撮影する。データ取得部21は、複数の位置で撮影された画像等を取得する(ステップS11)。データ取得部21は、例えば、クレーン3やドローン8の移動中に撮影された画像と画像を撮影した位置の位置情報(例えば、XYZの3次元座標情報)を取得する。次にごみ山形状推定部23は、ごみ山形状を推定する。例えば、航空写真から地形の立体形状を推定する技術を適用して、クレーン3やドローン8を移動した範囲に堆積した廃棄物によって形成される廃棄物の表面形状(ごみ山形状)を推定する(ステップS12)。次に出力部24が、廃棄物識別部22によって識別されたごみ山形状と、その位置情報を表示装置に出力する(ステップS13)。これにより、ごみピットのごみ山形状を推定することができる。ごみ山形状を推定することにより、クレーン3を操作して、廃棄物の撹拌などを効率よく行うことができる。
【0058】
識別装置20における各処理の過程は、例えば識別装置20が有するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムを実行することによって実現できる。識別装置20によって実行されるプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録され、この記録媒体に記録されたプログラムを読み出して実行することによって実現してもよい。なお、識別装置20は、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、コンピュータが読み取り可能な記録媒体は、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)等の可搬媒体、識別装置20に内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、コンピュータが読み取り可能な記録媒体には、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0059】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0060】
100・・・廃棄物処理プラント
1・・・ごみピット
1a・・・廃棄物層
1b・・・空間
2・・・ホッパ
3・・・クレーン
3a・・・バケット
4・・・カメラ
5・・・光源
6a~6c・・・カメラ
7a~7c・・・光源
8・・・ドローン
9・・・カメラ
10・・・光源
20・・・識別装置
21・・・データ取得部
22・・・廃棄物識別部
23・・・ごみ山形状推定部
24・・・出力部
25・・・記憶部
30・・・ごみピット制御装置
40・・・クレーン制御装置
50・・・ドローン制御装置