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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162676
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】錠装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 9/08 20060101AFI20231101BHJP
   E05B 65/08 20060101ALI20231101BHJP
   E05C 3/04 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
E05B9/08 H
E05B65/08 P
E05C3/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073182
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】▲節▼ 世名
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 行宏
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏隆
(57)【要約】
【課題】意匠性の低下及びコスト増を招くことなく、容易に取り付け位置を調整できる錠装置を提供する。
【解決手段】軸を中心として回転するハンドルと、軸を支持する支持孔を有し第1方向に延びる台座部と、プレート本体と延出部を有し第1方向に移動可能な取付プレートと、取付ねじと、軸の端部に固定された座金を有する。台座部は、取付プレートの移動をガイドする第1面と、第1方向に延びる第1長孔部と、プレート本体の第2方向の端部に軸方向の他方側から係合可能な第1係合部と、延出部に軸方向の他方側から係合可能な第2係合部を有する。取付プレートは、第2方向に延びる第2長孔部を有し、第1位置と第2位置との間を移動可能である。第1位置は、プレート本体が第1係合部と軸方向に係合し、延出部が第2係合部から第1方向に離れ、第2位置は、プレート本体が第1係合部から第1方向に離れ、延出部が軸方向で第2係合部及び座金と係合する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
係合部を有し軸を中心として回転するハンドルと、
前記ハンドルに対して前記軸が延びる軸方向の一方側に配置され、前記軸が挿し通されたときに前記軸を回転可能に支持する支持孔を有し、前記軸方向と直交する第1方向に延びる台座部と、
前記台座部において前記支持孔を挟んだ前記第1方向の両側にそれぞれ設けられ、プレート本体と、前記プレート本体から前記第1方向の前記支持孔に向かう側に延出する延出部とを有し、前記第1方向に移動可能な取付プレートと、
前記台座部及び前記取付プレートに前記軸方向の他方側から挿し通される取付ねじと、
前記支持孔に挿し通された前記軸の前記軸方向の一方側の端部に固定された座金と、
を有し、
前記台座部は、
前記軸方向の他方側に臨み前記取付プレートの移動を前記軸方向の一方側からガイドする第1面と、
前記支持孔を挟んだ前記第1方向の両側にそれぞれ配置され、前記取付プレートにおける前記軸方向と前記第1方向とに直交する第2方向の幅よりも小さい幅で前記第1方向に延び前記第1面に開口して前記軸方向に貫通する第1長孔部と、
前記第1面よりも前記軸方向の他方側に位置し、前記プレート本体における前記第2方向の端部に前記軸方向の他方側から係合可能な第1係合部と、
前記第1面よりも前記軸方向の他方側に位置し、前記延出部に前記軸方向の他方側から係合可能な第2係合部と、
を有し、
前記取付プレートは、
前記第1方向に貫通して前記第1長孔部と連通し前記第2方向に延びる第2長孔部を有し、前記第1方向において前記支持孔から最も離れた第1位置と、前記支持孔に最も近い第2位置との間を移動可能であり、
前記第1位置は、前記プレート本体が前記第1係合部と前記軸方向に係合し、前記延出部が前記第2係合部から前記第1方向に離れた位置であり、
前記第2位置は、前記プレート本体が前記第1係合部から前記第1方向に離れ、前記延出部が前記軸方向において前記第2係合部及び前記座金と係合する位置である、錠装置。
【請求項2】
前記台座部は、前記第1面の前記第2方向の両側において、前記第1面から前記軸方向の他方側に突出して前記第1方向に延び、前記取付プレートの移動を前記第2方向の外側からガイドするガイド壁を有する、
請求項1記載の錠装置。
【請求項3】
前記第1係合部は、前記ガイド壁から前記第2方向の内側に延びる、
請求項2記載の錠装置。
【請求項4】
前記延出部は、前記プレート本体における前記第2方向の一方側の端部から前記第1方向の前記支持孔に向かう側に延出し、
前記取付プレートは、前記プレート本体における前記第2方向の他方側の端部から前記第1方向の前記支持孔に向かう側に延出する第2延出部を有し、
前記台座部は、前記延出部が前記第1方向に沿って挿入される第1開口部と、前記第2延出部が前記第1方向に沿って挿入される第2開口部と、
を有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の錠装置。
【請求項5】
前記座金は、前記軸にカシメられたカシメ体である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の錠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
係合部を有するハンドルを回動して開閉操作を行うクレセント錠及びグレモン錠等の錠装置がある。特許文献1には、錠装置としてクレセント錠が開示されている。錠装置は、取付ねじを用いて台座部を介して框に取り付けられている。
【0003】
既存の錠装置を交換する際に、交換可能で他種の錠装置を用いる場合、取付ねじの上下方向の位置及び見込み方向の位置を調整する必要がある。特許文献1のクレセント錠は、上下方向に延びる長孔を有する取付板と、上板及び下板を有するクレセント枠体と有し、取付板が見込み方向の任意の位置において上板と下板に固定される。特許文献1のクレセント錠においては、取付板の見込み方向の位置と、取付板の長孔に挿入された取付ねじの上下方向の位置を調整したときに、既存の框に取り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭54-074200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のクレセント錠は、部品点数が多くコスト増加となる。特許文献1のクレセント錠は、取付板の見込み方向の位置を調整するビスが露出しているため、意匠性が低下するという問題が生じる。
【0006】
本開示は、以上のような点を考慮してなされたもので、意匠性の低下及びコスト増を招くことなく、容易に取り付け位置を調整できる錠装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、係合部を有し軸を中心として回転するハンドルと、前記ハンドルに対して前記軸が延びる軸方向の一方側に配置され、前記軸が挿し通されたときに前記軸を回転可能に支持する支持孔を有し、前記軸方向と直交する第1方向に延びる台座部と、前記台座部において前記支持孔を挟んだ前記第1方向の両側にそれぞれ設けられ、プレート本体と、前記プレート本体から前記第1方向の前記支持孔に向かう側に延出する延出部とを有し、前記第1方向に移動可能な取付プレートと、前記台座部及び前記取付プレートに前記軸方向の他方側から挿し通される取付ねじと、前記支持孔に挿し通された前記軸の前記軸方向の一方側の端部に固定された座金と、を有し、前記台座部は、前記軸方向の他方側に臨み前記取付プレートの移動を前記軸方向の一方側からガイドする第1面と、前記支持孔を挟んだ前記第1方向の両側にそれぞれ配置され、前記取付プレートにおける前記軸方向と前記第1方向とに直交する第2方向の幅よりも小さい幅で前記第1方向に延び前記第1面に開口して前記軸方向に貫通する第1長孔部と、前記第1面よりも前記軸方向の他方側に位置し、前記プレート本体における前記第2方向の端部に前記軸方向の他方側から係合可能な第1係合部と、前記第1面よりも前記軸方向の他方側に位置し、前記延出部に前記軸方向の他方側から係合可能な第2係合部と、を有し、前記取付プレートは、前記第1方向に貫通して前記第1長孔部と連通し前記第2方向に延びる第2長孔部を有し、前記第1方向において前記支持孔から最も離れた第1位置と、前記支持孔に最も近い第2位置との間を移動可能であり、前記第1位置は、前記プレート本体が前記第1係合部と前記軸方向に係合し、前記延出部が前記第2係合部から前記第1方向に離れた位置であり、前記第2位置は、前記プレート本体が前記第1係合部から前記第1方向に離れ、前記延出部が前記軸方向において前記第2係合部及び前記座金と係合する位置である、錠装置である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の錠装置が召し合わせ框に取り付けられた正面図である。
図2】本開示の錠装置を示す分解斜視図である。
図3】取付プレートが台座部に取り付けられた平面図である。
図4】錠装置の中心軸を含む位置におけるY軸と直交する断面図である。
図5図3におけるA-A断面図である。
図6図3におけるB-B断面図である。
図7】取付プレートが第1位置にある錠装置の斜視図である。
図8】取付プレートが第2位置にある錠装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の錠装置の実施の形態を、図1から図8を参照して説明する。以下の実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0010】
図1に示すように、錠装置1は、サッシにおける内障子の召し合わせ框2に取り付けられる。錠装置1は、二つの取付ねじ3を用い召し合わせ框2に対してねじ止めしたときに固定される。錠装置1は、クレセント錠である。
【0011】
図2に示すように、錠装置1は、クレセント本体10と台座部20と取付プレート30とねじカバー40を有する。クレセント本体10は、ハンドル11と係合部12と軸13と座金14を有する。
【0012】
ハンドル11は、軸13を中心とし台座部20に対して回転する。軸13は、中心軸Jの軸方向に延び、ハンドル11から下側に突出する。ハンドル11は、軸方向と直交する方向に延びる。係合部12は、ハンドル11に設けられている。係合部12は、軸方向に見て三日月状である。係合部12は、サッシにおける外障子のフックに係合したときに、内障子と外障子とを連結する。係合部12は、フックに係合したときに、サッシを閉じた状態に保持する。
【0013】
以下の図において適宜示すZ軸方向は、正の側を「上側」とし、負の側を「下側」とする上下方向である。各図に適宜示す中心軸Jは、Z軸方向と平行であり、上下方向に延びる仮想線である。以下の説明においては、中心軸Jの軸方向である上下方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。「下側」は、軸方向の一方側に対応する。「上側」は、軸方向の他方側に対応する。中心軸Jと直交する方向であり、台座部20の長辺と平行な方向を単に「X方向」と呼ぶ。中心軸Jと直交する方向であり、台座部20の短辺と平行な方向を単に「Y方向」と呼ぶ。「X方向」及び「Y方向」のそれぞれにおいて、構成要素の中央から離れる側を外側と呼び、中央に向かう側を内側と呼ぶ。「X方向」の内側は、後述する支持孔に向かう側に対応する。「X方向」は、第1方向に対応する。「Y方向」は、第2方向に対応する。「Y方向」のうち、「+Y側」は第2方向の一方側に対応し、「-Y側」は第2方向の他方側に対応する。
【0014】
上記の上下方向、上側、および下側とは、単に各部の配置関係等を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0015】
台座部20は、軸方向に見てX方向に延びる矩形状である。台座部20は、ハンドル11に対して下側に配置される。図3及び図4に示すように、台座部20は、支持台部21と第1面22とガイド壁23と端壁24と第1係合部25と第2係合部26と第1長孔部27と第1開口部28と第2開口部29を有する。
【0016】
支持台部21は、台座部20におけるX方向の中央部分に設けられている。支持台部21は、上側に突出する柱状である。支持台部21の上面は、ハンドル11を下側から回転自在に支持する。支持台部21は、支持孔21aと凹部21bを有する。支持孔21aは、支持台部21を軸方向に貫通する。支持孔21aには、軸13が上側から挿し通される。支持孔21aは、挿し通された軸13を回転可能に支持する。凹部21bは、支持台部21の下側から上側に窪んでいる。凹部21bの底部には、段部21cが設けられている。段部21cは、第1面22と面一である。
【0017】
第1面22は、上側に臨んでいる。第1面22は、支持台部21を挟んだX方向の両側にそれぞれ配置されている。第1面22は、支持台部21からX方向の外側に延びている。第1面22は、取付プレート30のX方向の移動を下側からガイドする。第1長孔部27は、支持台部21を挟んだX方向の両側にそれぞれ配置される。第1長孔部27は、支持孔21aを挟んだX方向の両側にそれぞれ配置される。第1長孔部27は、台座部20を軸方向に貫通し、第1面22に開口している。第1長孔部27のY方向の中心位置は、第1面22のY方向の中心位置と同一である。第1長孔部27は、第1面22のY方向の幅よりも小さい幅でX方向に延びている。第1長孔部27には、取付ねじ3が上側から挿し通される。
【0018】
ガイド壁23は、X方向に延びている。ガイド壁23は、第1面22におけるY方向の両側において上側に突出する。ガイド壁23は、互いに平行に配置される。ガイド壁23は、支持台部21を挟んだX方向の両側に配置されている。ガイド壁23は、第1面22に支持された取付プレート30のY方向外側に位置する。ガイド壁23は、取付プレート30のX方向の移動をY方向の外側からガイドする。
【0019】
端壁24は、台座部20におけるX方向の両端に配置される。端壁24は、第1面22におけるX方向の外側端部から上側に突出する。端壁24は、ガイド壁23におけるX方向の外側端部同士を繋ぐ。端壁24は、取付プレート30のX方向の移動における外側のストッパーとして機能する。
【0020】
図3に示すように、第1係合部25は、ガイド壁23にX方向に間隔をあけて複数配置されている。第1係合部25は、4つのガイド壁23にそれぞれX方向に間隔をあけて2つずつ配置されている。ガイド壁23に2つずつ配置された第1係合部25の1つは、X方向における支持台部21と端壁24の間の中央付近に配置される。第1係合部25の他の1つは中央付近に配置された第1係合部25よりもX方向の外側に配置されている。図5に示すように、第1係合部25は、第1面22よりも上側に位置する。第1係合部25は、ガイド壁23からY方向の内側に延びる。第1係合部25は、第1面22に支持された取付プレート30におけるY方向の端部と上側から対向可能である。第1係合部25は、取付プレート30と上側から対向したときに、取付プレート30におけるY方向の端部に上側から係合可能である。第1係合部25がY方向の端部に上側から係合する取付プレート30は、第1面22と第1係合部25との間で軸方向に保持される。取付プレート30は第1面22と第1係合部25との間で軸方向に保持されるとともに、ガイド壁23にY方向の端部を外とされた状態でX方向に移動可能である。本実施形態では、第1係合部25は、4つのガイド壁23にそれぞれX方向に間隔をあけて2つずつ配置されている場合を図示したが、これに限られず、4つのガイド壁23にそれぞれ1つずつ配置するようにしてもよい。
【0021】
第1開口部28は、支持台部21においてX方向の外側に向く側面21dに開口する。図6に示すように、第1開口部28は、支持台部21のX方向の外側と凹部21bを繋ぐ。図5に示すように、第1開口部28は、X方向に見て矩形状である。第1開口部28は、第1面22と+Y側の第1係合部25との間の軸方向の空間を含む範囲に亘る軸方向の大きさで開口している。第1開口部28の軸方向の寸法は、取付プレート30の軸方向の寸法よりも長い。第1開口部28は、取付プレート30における+Y側の端部と、取付プレート30における+Y側の端部よりもY方向内側の空間を含む範囲に亘るY方向の大きさで開口している。第1開口部28のY方向の寸法は、取付プレート30における後述する延出部32の軸方向の寸法よりも長い。第1開口部28は、後述する延出部32がX方向に挿入される大きさで開口している。
【0022】
第2開口部29は、支持台部21においてX方向の外側に向く側面21dに開口する。第2開口部29は、支持台部21のX方向の外側と凹部21bを繋ぐ。第2開口部29は、X方向に見て矩形状である。第2開口部29は、第1面22と-Y側の第1係合部25との間の軸方向の空間を含む範囲に亘る軸方向の大きさで開口している。第2開口部29の軸方向の寸法は、取付プレート30の軸方向の寸法よりも長い。第2開口部29は、取付プレート30における-Y側の端部と、取付プレート30における-Y側の端部よりもY方向内側の空間を含む範囲に亘るY方向の大きさで開口している。第2開口部29のY方向の寸法は、取付プレート30における後述する第2延出部33のY方向の寸法よりも長い。第2開口部29は、後述する第2延出部33がX方向に挿入される大きさで開口している。
【0023】
第2係合部26は、第1開口部28を形成する上側の面である。第2係合部26は、第1面22よりも上側に位置する。図6に示すように、第2係合部26は、後述する延出部32に上側から係合可能である。
【0024】
座金14は、支持孔21aに挿し通された軸13における軸方向の端部に固定される。一例として、座金14は、カシメられて軸13に固定される。座金14は、軸13にカシメられたカシメ体である。座金14は、カシメの他にねじ止め又は接着剤を用いて軸13に固定してもよい。軸13に固定された座金14における上面の軸方向の位置は、第1面22よりも下側である。
【0025】
取付プレート30は、第1面22に沿ってX方向に移動可能である。取付プレート30は、支持台部21を挟んだX方向の両側にそれぞれ設けられている。図2に示すように、取付プレート30は、プレート本体31と延出部32と第2延出部33と第2長孔部34を有する。
【0026】
プレート本体31は、軸方向にみて矩形状である。プレート本体31のY方向の幅は、Y方向両側に配置されたガイド壁23間の隙間幅よりも小さい。プレート本体31のY方向の幅は、第1面22のY方向の幅よりも小さい。プレート本体31のY方向の幅がガイド壁23間の隙間幅よりも小さいことによって、プレート本体31は、ガイド壁23にガイドされ第1面22に沿ってX方向に移動可能である。プレート本体31のX方向の長さは、支持台部21における側面21dと、X方向内側に位置する第1係合部25との間の隙間寸法よりも短い。プレート本体31のX方向の長さが、側面21dと第1係合部25との間の隙間寸法よりも短いことによって、プレート本体31の下面が第1面22に接することができる。
【0027】
延出部32は、プレート本体31からX方向の内側に延出する。延出部32は、プレート本体31における+Y側の端部からX方向の内側に延出する。延出部32は、X方向において第1開口部28と対向する。延出部32の軸方向の寸法は、プレート本体31の軸方向の寸法と同一である。延出部32の軸方向の寸法は、第1開口部28の軸方向の寸法よりも短い。延出部32のY方向の幅は、プレート本体31のY方向の幅よりも短い。延出部32のY方向の幅は、第1開口部28のY方向の幅よりも短い。延出部32における軸方向の寸法が第1開口部28の軸方向の寸法よりも短く、延出部32におけるY方向の幅が第1開口部28のY方向の幅よりも短いことによって、延出部32は、X方向外側から第1開口部28に挿入可能である。プレート本体31が側面21dに接して最もX方向内側に位置したときに、図6に示すように、第1開口部28に挿入された延出部32に対しては、第2係合部26が上側から係合する。図3に示すように、第1開口部28に挿入された延出部32は、座金14と軸方向に重なり、支持孔21aとは重ならない。延出部32が軸方向に支持孔21aと重ならないことによって、延出部32は軸13と非干渉となる。第1開口部28に挿入された延出部32に対しては、座金14が下側から係合可能である。
【0028】
延出部32における+Y側の側面は、プレート本体31における+Y側の側面と面一である。延出部32における+Y側の側面が、プレート本体31における+Y側の側面と面一であることによって、延出部32はプレート本体31とともに+Y側に位置するガイド壁23にガイドされ第1面22に沿ってX方向に円滑に移動可能である。
【0029】
第2延出部33は、プレート本体31からX方向の内側に延出する。第2延出部33は、プレート本体31における-Y側の端部からX方向の内側に延出する。第2延出部33は、X方向において第2開口部29と対向する。第2延出部33の軸方向の寸法は、プレート本体31の軸方向の寸法と同一である。取付プレート30は、軸方向の寸法が一定の板状である。第2延出部33の軸方向の寸法は、第2開口部29の軸方向の寸法よりも短い。第2延出部33のY方向の幅は、プレート本体31のY方向の幅よりも短い。第2延出部33のY方向の幅は、第2開口部29のY方向の幅よりも短い。第2延出部33における軸方向の寸法が第2開口部29の軸方向の寸法よりも短く、第2延出部33におけるY方向の幅が第2開口部29のY方向の幅よりも短いことによって、第2延出部33は、X方向外側から第2開口部29に挿入可能である。
【0030】
第2延出部33における-Y側の側面は、プレート本体31における-Y側の側面と面一である。第2延出部33における-Y側の側面が、プレート本体31における-Y側の側面と面一であることによって、第2延出部33はプレート本体31とともに-Y側に位置するガイド壁23にガイドされ第1面22に沿ってX方向に円滑に移動可能である。
【0031】
第2長孔部34は、プレート本体31を軸方向に貫通する。第2長孔部34は、図2に示すように、Y方向に延びる長孔である。第2長孔部34におけるY方向の最大寸法は、第1長孔部27におけるY方向の最大寸法と同一である。図4に示すように、第2長孔部34は、第1長孔部27と軸方向に連通する。第2長孔部34には、取付ねじ3が上側から挿し通される。取付ねじ3は、第2長孔部34及び第1長孔部27に上側から挿し通される。第2長孔部34及び第1長孔部27に上側から挿し通された取付ねじ3のヘッド部は、取付プレート30に上側から係合する。取付ねじ3は、台座部20及び取付プレート30に上側から挿し通される。台座部20及び取付プレート30に上側から挿し通された取付ねじ3が、召し合わせ框2に対してねじ止めされることによって、取付プレート30を介して台座部20が召し合わせ框2に固定される。
【0032】
ねじカバー40は、台座部20における支持台部21のX方向両側にそれぞれ着脱自在に取り付けられる。ねじカバー40は、ガイド壁23及び端壁24に上側から接して取り付けられる。ねじカバー40を台座部20から取り外したときに、取付プレート30及び取付ねじ3を露出させることができる。露出した取付ねじ3に対しては、取付プレート30を介してX方向の位置及びY方向の位置を調整できる。X方向の位置及びY方向の位置を調整した取付ねじ3をねじ込むことによって、取付プレート30を介して台座部20を召し合わせ框2に固定できる。ねじカバー40を台座部20に取り付けることによって、取付プレート30及び取付ねじ3を上側から覆うことができる。取付プレート30及び取付ねじ3を上側から覆うことによって、錠装置1における意匠性を向上させることができる。
【0033】
上記構成の錠装置1の組み立てにおいて、台座部20への取付プレート30の装着は、軸13に座金14をカシメ固定する前に行われる。軸13を支持孔21aに挿し通してハンドル11を装着する作業は、台座部20への取付プレート30の装着前に行ってもよいし、台座部20への取付プレート30の装着後に行ってもよい。
【0034】
取付プレート30を台座部20に装着する際には、図6に二点鎖線で示すように、X方向の外側が上側に位置し、X方向の内側が下側に位置する姿勢に取付プレート30を斜めに傾かせた状態とする。取付プレート30におけるX方向の外側は、第1係合部25よりも上側で第1係合部25に接触しない位置である。斜めに傾かせた取付プレート30は、図6中に矢印で示すX方向内側に向く斜め方向に移動させる。取付プレート30のうち、延出部32は第1開口部28から凹部21b内に挿入され、第2延出部33は第2開口部29から凹部21b内に挿入される。延出部32が凹部21b内に挿入された際には、座金14は軸13に固定されていないため、延出部32は座金14と干渉することなく凹部21b内に挿入される。
【0035】
延出部32及び第2延出部33が凹部21b内に挿入され、プレート本体31が側面21dに接して最もX方向内側に位置すると、斜めに傾かせた姿勢の取付プレート30を、図6中、時計回り方向に回転させて、図6に実線で示すように、プレート本体31の下面を第1面22によって下側から支持させ、延出部32の上面を第2係合部26によって上側から係合させる。プレート本体31のX方向の長さは、支持台部21における側面21dと、X方向内側に位置する第1係合部25との間の隙間寸法よりも短いため、プレート本体31は第1係合部25と干渉することなく第1面22に支持される。延出部32の上面を第2係合部26によって上側から係合させることによって、取付プレート30が台座部20から上側に外れることを阻止できる。
【0036】
取付プレート30を台座部20に装着すると、軸13を支持孔21aに挿し通していない場合には軸13を支持孔21aに挿し通した後に、軸13の端部に座金14をカシメ固定する。軸13の端部に座金14が固定されない場合、取付プレート30が二点鎖線で示したように、斜めに傾いて台座部20から外れる可能性がある。軸13に固定された座金14は、下側から延出部32に係合可能であるため、取付プレート30が斜めに傾き台座部20から外れることを抑制できる。座金14が軸13にカシメ固定されると、台座部20にねじカバー40を取り付けることによって、錠装置1の組み立てが完了する。
【0037】
組み立てられた錠装置1における取付プレート30は、図7に示すように、X方向において支持台部21から最も離れた第1位置P1と、図8に示すように、支持台部21に最も近い第2位置P2との間を移動可能である。
【0038】
第1位置P1は、プレート本体31が第1係合部25と軸方向に係合し、延出部32が図6に示した第2係合部26及び第1開口部28からX方向外側に離れた位置である。第2位置P2は、プレート本体31が第1係合部25からX方向内側に離れ、延出部32が軸方向において第2係合部26及び座金14と係合する位置である。
【0039】
錠装置1を召し合わせ框2に固定する際には、台座部20からねじカバー40を取り外した後に、召し合わせ框2におけるX方向のねじ位置に取付プレート30をX方向に移動させる。取付プレート30のX方向の移動によって、第1長孔部27に挿し通された取付ねじ3は取付プレート30を介して第1長孔部27内を召し合わせ框2におけるX方向のねじ位置に移動する。召し合わせ框2におけるX方向のねじ位置に移動した取付ねじ3を、第2長孔部34に沿って召し合わせ框2におけるY方向のねじ位置に移動させる。召し合わせ框2におけるX方向及びY方向のねじ位置に移動した取付ねじ3をねじ込むことによって、錠装置1を召し合わせ框2に固定できる。召し合わせ框2に固定された錠装置1にねじカバー40を取り付けることによって、召し合わせ框2への錠装置1の取り付けが完了する。
【0040】
実施形態の錠装置1を用いたときには、第1位置P1では、第1係合部25を用いて取付プレート30が台座部20から外れることを抑制し、取付プレート30が第1係合部25から離れた第2位置P2では、延出部32と軸方向に係合する第2係合部26及び座金14を用いて取付プレート30が台座部20から外れることを抑制できる。錠装置1を用いたときには、取付ねじ3の位置を調整する部材が露出することなく、ハンドル11の固定に用いられる座金14を用いて取付ねじ3の位置を調整できる。錠装置1を用いたときには、意匠性の低下及びコスト増を招くことなく、容易に取り付け位置を調整することができる。
【0041】
錠装置1を用いたときには、第1係合部25がガイド壁23に設けられているため、別途第1係合部を設けた場合と比較して、台座部20の小型化及び低価格化を実現することができる。
【0042】
以上、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態について説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0043】
実施形態では、取付プレート30が延出部32及び第2延出部33を有する構成を例示したが、この構成に限定されず、延出部32のみを有する構成であってもよい。取付プレート30が延出部32及び第2延出部33を有する構成の場合、傾けたプレート本体31を回転させる際に、取付プレート30が+Y側に配置された延出部32のみを有する構成と比較してバランスよく安定して回転させることができる。
【0044】
錠装置1としてクレセント錠の実施形態を例示したが、本開示はクレセント錠に限定されない。錠装置1としてグレモン錠等、他の錠に適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…錠装置、3…取付ねじ、11…ハンドル、12…係合部、13…軸、14…座金、20…台座部、21a…支持孔、22…第1面、23…ガイド壁、25…第1係合部、26…第2係合部、27…第1長孔部、28…第1開口部、29…第2開口部、30…取付プレート、31…プレート本体、32…延出部、33…第2延出部、34…第2長孔部、P1…第1位置、P2…第2位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8