(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162677
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】錠装置
(51)【国際特許分類】
E05B 9/08 20060101AFI20231101BHJP
E05B 65/08 20060101ALI20231101BHJP
E05C 3/04 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
E05B9/08 H
E05B65/08 P
E05C3/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073185
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】▲節▼ 世名
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 行宏
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏隆
(57)【要約】
【課題】取り付け作業性が向上する錠装置を提供する。
【解決手段】軸を中心として回転するハンドルと、ハンドルを支持する支持台部を有し第1方向に延びる上台座と、軸方向の一方側に延びる取付ねじと、取付ねじが軸方向に挿し通される挿通孔が配置された下台座と、軸方向で上台座と下台座との間に配置されたときに、係合部と下台座との軸方向の寸法を調整するプレートを備える。プレートは、挿通孔に対して、第2方向の一方側に配置され第1方向に延びる長尺受部と、長尺受部から第2方向の他方側に延び支持台部と軸方向に重なる中央受部と、挿通孔の第1方向の外側の位置において長尺受部から第2方向の他方側に延びる端受部と、中央受部に第2方向に延びる溝部を介してそれぞれ配置され長尺受部から第2方向の他方側に延びるガイド受部を有する。下台座は、軸方向の他方側に突出し溝部に挿入されたときに、プレートを第1方向に位置決めする突起部を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
係合部を有し軸を中心として回転するハンドルと、
前記ハンドルに対して前記軸が延びる軸方向の一方側に位置し前記ハンドルを回転可能に支持する支持台部を有し、前記軸方向と直交する第1方向に延びる上台座と、
前記支持台部を挟んだ前記第1方向の両側にそれぞれ配置され、前記上台座に前記軸方向の他方側から係合し、前記軸方向の一方側に延びる取付ねじと、
前記上台座の軸方向の一方側に位置し、前記取付ねじが前記軸方向に挿し通される挿通孔が前記第1方向に間隔をあけて配置された下台座と、
前記軸方向で前記上台座と前記下台座との間に配置されたときに、前記係合部と前記下台座との前記軸方向の寸法を調整するプレートと、
を備え、
前記プレートは、
前記挿通孔に対して前記軸方向と前記第1方向とに直交する第2方向の一方側に配置され前記第1方向に延びる長尺受部と、
前記挿通孔よりも前記第1方向における内側に位置し、前記長尺受部から前記第2方向の他方側に延び前記支持台部と前記軸方向に重なる中央受部と、
前記挿通孔の前記第1方向における外側の両側の位置においてそれぞれ前記長尺受部から前記第2方向の他方側に延びる端受部と、
前記挿通孔よりも前記第1方向における内側に位置し、前記中央受部よりも前記第1方向の外側に、前記第2方向に延びる溝部を介してそれぞれ配置され前記長尺受部から前記第2方向の他方側に延びるガイド受部と、
を有し、
前記下台座は、前記軸方向の他方側に突出し前記溝部に挿入されたときに、前記プレートを前記第1方向に位置決めする突起部を有する、錠装置。
【請求項2】
前記突起部における少なくとも前記第1方向の一方側は、前記軸方向の他方側に向かうにつれて前記第1方向の他方側に向かう傾斜部を有する、
請求項1に記載の錠装置。
【請求項3】
前記突起部は、前記傾斜部よりも先端側に前記軸方向と平行な平行部を有する、
請求項2に記載の錠装置。
【請求項4】
前記軸方向に見て、前記ガイド受部は、前記第2方向の他方側に向かうにつれて前記第1方向の外側に向かう案内部を有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の錠装置。
【請求項5】
前記プレートは、前記第2方向における一方側の端縁寄りに位置し、前記第1方向の中央から前記第1方向の外側に延びる貫通孔を有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の錠装置。
【請求項6】
前記端受部は、前記軸方向に見て、前記第1方向における外側から内側に窪む切欠部を有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の錠装置。
【請求項7】
前記下台座は、
前記軸方向と直交して配置された底壁と、
前記底壁の側縁から前記軸方向の他方側に延びる側壁と、
を有し、
前記側壁は、前記上台座及び前記プレートを全周に亘って外側から囲っている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の錠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
係合部を有するハンドルを回動して開閉操作を行うクレセント錠及びグレモン錠等の錠装置がある。特許文献1には、錠装置としてクレセント錠が開示されている。錠装置は、取付ねじを用い台座部を介して框に取り付けられている。
【0003】
既存の錠装置を交換する際に、交換可能で他種の錠装置を用いる場合、障子への取付面から係合部までの寸法を調整する必要がある。従来では、厚さの異なる複数枚の調整用プレートを準備し、調整寸法に応じて組み合わせたプレートを錠装置の台座部と框との間に配置し、取付ねじを用いて框に取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
設定した調整高に応じた調整用プレートを配置した後に取付ねじを締結して錠装置を框に取り付けると、係合部の位置が合わない場合がある。この場合には、一旦取付ねじを外した後に調整用プレートを入れ替える必要があり、錠装置の取り付けに要する作業時間が増え煩雑である。
【0006】
本開示は、以上のような点を考慮してなされたもので、取り付け作業性が向上する錠装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、係合部を有し軸を中心として回転するハンドルと、前記ハンドルに対して前記軸が延びる軸方向の一方側に位置し前記ハンドルを回転可能に支持する支持台部を有し、前記軸方向と直交する第1方向に延びる上台座と、前記支持台部を挟んだ前記第1方向の両側にそれぞれ配置され、前記上台座に前記軸方向の他方側から係合し、前記軸方向の一方側に延びる取付ねじと、前記上台座の軸方向の一方側に位置し、前記取付ねじが前記軸方向に挿し通される挿通孔が前記第1方向に間隔をあけて配置された下台座と、前記軸方向で前記上台座と前記下台座との間に配置されたときに、前記係合部と前記下台座との前記軸方向の寸法を調整するプレートと、を備え、前記プレートは、前記挿通孔に対して、前記軸方向と前記第1方向とに直交する第2方向の一方側に配置され前記第1方向に延びる長尺受部と、前記挿通孔よりも前記第1方向における内側に位置し、前記長尺受部から前記第2方向の他方側に延び前記支持台部と前記軸方向に重なる中央受部と、前記挿通孔の前記第1方向における外側の両側の位置においてそれぞれ前記長尺受部から前記第2方向の他方側に延びる端受部と、前記挿通孔よりも前記第1方向における内側に位置し、前記中央受部よりも前記第1方向の外側に、前記第2方向に延びる溝部を介してそれぞれ配置され前記長尺受部から前記第2方向の他方側に延びるガイド受部と、を有し、前記下台座は、前記軸方向の他方側に突出し前記溝部に挿入されたときに、前記プレートを前記第1方向に位置決めする突起部を有する、錠装置である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の錠装置が召し合わせ框に取り付けられた正面図である。
【
図2】ねじカバーを外した本開示の錠装置を上側から見た平面図である。
【
図4】本開示の下台座及びプレートを上側から平面図である。
【
図7】上台座と下台座の間にプレートを着脱する手順を示す斜視図である。
【
図8】上台座と下台座の間にプレートを着脱する手順を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の錠装置の実施の形態を、
図1から
図8を参照して説明する。以下の実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0010】
図1に示すように、錠装置1は、サッシにおける内障子の召し合わせ框2に取り付けられる。錠装置1は、二つの取付ねじ3を用い召し合わせ框2に対してねじ止めしたときに固定される。錠装置1は、クレセント錠である。
【0011】
錠装置1は、クレセント本体10とプレート50とを有する。クレセント本体10は、ハンドル11と係合部12と軸13と上台座20と下台座30とねじカバー40を有する。
【0012】
ハンドル11は、軸13を中心とし上台座20に対して回転する。軸13は、中心軸Jの軸方向に延び、ハンドル11から下側に突出する。ハンドル11は、軸方向と直交する方向に延びる。係合部12は、ハンドル11に設けられている。係合部12は、軸方向に見て三日月状である。係合部12は、サッシにおける外障子のフックに係合したときに、内障子と外障子とを連結する。係合部12は、フックに係合したときに、サッシを閉じた状態に保持する。
【0013】
以下の図において適宜示すZ軸方向は、正の側を「上側」とし、負の側を「下側」とする上下方向である。各図に適宜示す中心軸Jは、Z軸方向と平行であり、上下方向に延びる仮想線である。以下の説明においては、中心軸Jの軸方向である上下方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。「下側」は、軸方向の一方側に対応する。「上側」は、軸方向の他方側に対応する。中心軸Jと直交する方向であり、上台座20の長辺と平行な方向を単に「X方向」と呼ぶ。中心軸Jと直交する方向であり、上台座20において、各構成要素の中央から離れる側を外側と呼び、中央に向かう側を内側と呼ぶ。「X方向」は、第1方向に対応する。「X方向」のうち、「+X側」は第1方向の一方側に対応し、「-X側」は第1方向の他方側に対応する。「Y方向」は、第2方向に対応する。「Y方向」のうち、「+Y側」は第2方向の一方側に対応し、「-Y側」は第2方向の他方側に対応する。
【0014】
上記の上下方向、上側、および下側とは、単に各部の配置関係等を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0015】
図2に示すように、上台座20は、軸方向に見てX方向に延びる矩形状である。上台座20は、ハンドル11に対して下側に配置される。上台座20は、支持台部21と取付プレート22と第1長孔部27を有する。
【0016】
支持台部21は、上台座20におけるX方向の中央部分に設けられている。支持台部21は、上側に突出する柱状である。支持台部21の上面は、ハンドル11を下側から回転可能に支持する。第1長孔部27は、支持台部21を挟んだX方向の両側にそれぞれ配置される。第1長孔部27は、上台座20を軸方向に貫通する。第1長孔部27は、X方向に延びる長孔である。第1長孔部27には、上側から取付ねじ3が挿し通される。
【0017】
取付プレート22は、上台座20に対してX方向に移動可能である。取付プレート22は、支持台部21を挟んだX方向の両側にそれぞれ設けられている。取付プレート22は、Y方向に延びる第2長孔部23を有する。第2長孔部23は、取付プレート22を軸方向に貫通する。第2長孔部23は、第1長孔部27と連通する。第2長孔部23には、上側から取付ねじ3が挿し通される。取付プレート22には、上側から取付ねじ3のヘッド部が係合する。取付プレート22を上台座20に対してX方向に移動させることによって、取付ねじ3を第1長孔部27に沿って移動させ、取付ねじ3のX方向の位置を調整できる。取付ねじ3を第2長孔部23に沿って移動させることによって、取付ねじ3のY方向の位置を調整できる。
【0018】
ねじカバー40は、上台座20における支持台部21のX方向両側にそれぞれ着脱自在に取り付けられる。ねじカバー40を上台座20から取り外したときに、取付プレート22及び取付ねじ3を露出させることができる。露出した取付ねじ3に対しては、取付プレート22を介してX方向の位置及びY方向の位置を調整できる。ねじカバー40を上台座20に取り付けることによって、取付プレート22及び取付ねじ3を上側から覆うことができる。取付プレート22及び取付ねじ3を上側から覆うことによって、錠装置1における意匠性を向上させることができる。
【0019】
図3及び
図4に示すように、下台座30は、上台座20よりも下側に位置する。下台座30は、底壁31と側壁32と挿通孔33と突起部34を有する。底壁31は、軸方向と直交して配置された板状である。底壁31は、上側に向く上面31aを有する。上面31aは、プレート50と接する。側壁32は、底壁31の側縁から上側に延びる。側壁32は、底壁31における側縁に全周に亘って設けられている。下台座30における側壁32は、上台座20及びプレート50を全周に亘って外側から囲っている。側壁32が上台座20及びプレート50を全周に亘って外側から囲っていることによって、プレート50の断面等、非連続な表面が見えなくなるので意匠性の向上に寄与できる。
【0020】
挿通孔33は、底壁31を軸方向に貫通する。挿通孔33は、軸方向に見てX方向に延びる矩形状である。挿通孔33は、X方向に間隔をあけて配置されている。挿通孔33は、上台座20における第1長孔部27と軸方向に対向する。挿通孔33には、第2長孔部23及び第1長孔部27に挿し通された取付ねじ3が挿し通される。X方向の位置及びY方向の位置を調整した取付ねじ3をねじ込むことによって、取付プレート22を介して上台座20、プレート50及び下台座30を召し合わせ框2に固定できる。
【0021】
図5及び
図6に示すように、突起部34は、底壁31から上側に突出する。
図5及び
図6は、X方向を天地方向として図示している。X方向に間隔をあけて配置された突起部34は同様の構成であるため、
図5及び
図6においては+X側に位置する突起部34の符号が示されているが、-X側に位置する突起部34の符号を括弧内に示している。
【0022】
突起部34は、X方向に間隔をあけて配置されている。突起部34の先端は、側壁32の上端よりも上側に位置する。突起部34は、傾斜部34aと平行部34bを有する。傾斜部34aは、突起部34における+X側に設けられる。傾斜部34aは、上側に向かうにつれて-X側に向かう方向に傾斜する。突起部34における-X側は、上側に向かうにつれて+X側に向かう方向に傾斜してもよい。平行部34bは、突起部34における+X側に、傾斜部34aよりも先端側に配置されている。平行部34bは、軸方向と平行である。軸方向が水平方向であるときに、平行部34bは水平である。
【0023】
図3に示すように、プレート50は、上台座20と下台座30との間に配置される。プレート50は、厚さが一定の板状である。プレート50は、上台座20と下台座30との間に配置されたときに、係合部12と下台座30との軸方向の寸法を調整する。プレート50は、取付ねじ3をねじ込むことによって、上台座20、プレート50及び下台座30を召し合わせ框2に固定する際の圧力を受けて圧縮される。取付ねじ3をねじ込んだ際の締結力は、上台座20からプレート50を介して下台座30に伝達される。
図3に示すプレート50は1枚配置されているが、係合部12と下台座30との軸方向の寸法調整量に応じて、複数枚配置してもよい。プレート50を複数枚配置する場合、プレート50の厚さを異ならせてもよい。
【0024】
図4に示すように、プレート50は、長尺受部51と中央受部52と端受部53,54とガイド受部55と貫通孔58を有する。長尺受部51は、挿通孔33に対して+Y側に配置されている。長尺受部51は、X方向に沿って直線状に延びる。長尺受部51のX方向の端部は、挿通孔33におけるX方向の外側よりもX方向の外側に位置する。長尺受部51は、取付ねじ3のねじ込による締結力を底壁31における+Y側において受ける。
【0025】
中央受部52は、挿通孔33よりもX方向における内側に位置する。中央受部52は、長尺受部51から-Y側に延びる。中央受部52は、底壁31における-Y側の端部寄りまで-Y側に延びる。中央受部52は、支持台部21と軸方向に重なる。中央受部52は、取付ねじ3のねじ込による締結力を、底壁31におけるX方向の中央領域において受ける。
【0026】
端受部53は、長尺受部51における+X側の端部から-Y側に延びる。端受部53は、+X側に位置する挿通孔33よりもX方向の外側に位置する。端受部53は、取付ねじ3のねじ込による締結力を、底壁31における+X側の端縁に沿って受ける。端受部53は、切欠部53Aを有する。切欠部53Aは、X方向における外側から内側に窪む。切欠部53Aは、端受部53におけるY方向の端部から離れて設けられている。
【0027】
端受部54は、長尺受部51における-X側の端部から-Y側に延びる。端受部54は、-X側に位置する挿通孔33よりもX方向の外側に位置する。端受部54は、取付ねじ3のねじ込による締結力を、底壁31における-X側の端縁に沿って受ける。端受部54は、切欠部54Aを有する。切欠部54Aは、X方向における外側から内側に窪む。切欠部54Aは、端受部53におけるY方向の端部から離れて設けられている。
【0028】
ガイド受部55は、挿通孔33よりもX方向における内側に位置する。ガイド受部55は、長尺受部51から-Y側に延びる。ガイド受部55は、中央受部52よりもX方向の外側の両側にそれぞれ溝部56を介して配置されている。溝部56は、Y方向に延び-Y側において開口している。ガイド受部55は、溝部56の開口部に臨む案内部57を有する。案内部57は、ガイド受部55の先端に設けられている。案内部57は、軸方向に見て-Y側に向かうにつれてX方向の外側に向かう傾斜面である。ガイド受部55が案内部57を有することによって、溝部56の開口部は、-Y側に向かうにつれて幅が広くなっている。
【0029】
溝部56には、突起部34が挿入される。溝部56に突起部34が挿入されたときに、下台座30とプレート50は、X方向に位置決めされる。
図4に示すように、突起部34が溝部56における+Y側の端部に位置したときに、下台座30とプレート50は、Y方向に位置決めされる。突起部34が溝部56に挿入されて+Y側の端部に位置したときに、下台座30とプレート50は、X方向及びY方向に位置決めされる。
【0030】
貫通孔58は、プレート50を軸方向に貫通する。貫通孔58は、プレート50における+Y側の端縁寄りに位置する。貫通孔58は、プレート50におけるX方向の中央からX方向の外側に延びる。貫通孔58は、軸方向に見てX方向に延びる矩形状である。
【0031】
上記構成の錠装置1において、上台座20と下台座30の間にプレート50を取り付ける手順と、上台座20と下台座30の間のプレート50を取り外す手順について説明する。以下の説明では、X方向を天地方向とし、Y方向を水平方向とし、+X側を天側、-X側を地側として呼ぶ場合がある。
【0032】
上台座20と下台座30の間にプレート50を取り付ける際には、召し合わせ框2に対してねじ止めされた取付ねじ3を緩め、
図7に示すように、上台座20と下台座30の間に軸方向の隙間を形成する。隙間の幅は、取付ねじ3が召し合わせ框2から外れない範囲においてプレート50の厚さよりも広ければよい。
【0033】
上台座20と下台座30の間における隙間に、+Y側から-Y側に向けてプレート50を挿入する。プレート50を挿入する際には、プレート50の溝部56を下台座30の突起部34に挿入させる。突起部34の先端は、側壁32の上端よりも上側に位置し、側壁32から突出していため、側壁32と干渉することなく、プレート50の溝部56を下台座30の突起部34に容易に挿入できる。ガイド受部55の先端に案内部57が設けられ、溝部56の開口部幅が広くなっているため、プレート50の挿入時にプレート50の溝部56を下台座30の突起部34に容易に案内することができる。
【0034】
図5に示すように、プレート50は、天側に位置する溝部56に挿入された突起部34に対してガイド受部55が天側から係合し、地側に位置する溝部56に挿入された突起部34に対して中央受部52が天側から係合することによって、下台座30に天地方向に位置決めされる。突起部34に対して上側から係合したプレート50を-Y側に押し込み、突起部34を溝部56の+Y側の端部に位置させることによって、プレート50を下台座30に天地方向及び水平方向に位置決めする。プレート50を下台座30に対して天地方向及び水平方向に位置決めした後に、取付ねじ3をねじ込むことによって、上台座20が召し合わせ框2に接近し、プレート50の介在によって軸方向の寸法が調整された錠装置1が召し合わせ框2に固定される。
【0035】
上台座20と下台座30の間に介在するプレート50を取り外す際には、召し合わせ框2に対してねじ止めされた取付ねじ3を緩め、
図8に示すように、上台座20と下台座30の間に軸方向の隙間を形成する。上台座20と下台座30の間に隙間を形成した後に、隙間の位置まで下台座30に対してプレート50を移動させる。
【0036】
図6に示すように、プレート50が下台座30の底壁31に近い位置にある場合、プレート50の移動が困難な場合がある。底壁31に近い位置にあり、移動が困難なプレート50に対しては、例えば、マイナスドライバーの先端を貫通孔58及び切欠部53A,54Aのいずれかに挿入して引っ掛けて移動させる方法を採ることができる。隙間が狭い等の理由においてマイナスドライバーの操作が困難な場合には、例えば、下台座30を介してプレート50に振動を付与する方法も採れる。下台座30の底壁31に近い位置にあるプレート50は、突起部34における傾斜部34aに係合している。振動を付与されたプレート50は、自重によって傾斜部34aに沿って隙間に近い側に移動しやすくなる。突起部34は、傾斜部34aよりも先端側に平行部34bを有するため、傾斜部34aに沿って移動したプレート50は、上台座20と下台座30の間の隙間に露出し、摩擦力によって平行部34bに止まりやすくなる。隙間に露出したプレート50は、+Y側に移動させることによって、上台座20と下台座30の間から取り外すことができる。位置の再調整のためにプレート50を外した場合、その後に厚さの異なるプレートを、上述した方法で上台座20と下台座30の間に取り付ければよい。
【0037】
実施形態の錠装置1を用いたときには、プレート50が長尺受部51と、長尺受部51から-Y側に延びる中央受部52、端受部53,54及びガイド受部55を有するため、取付ねじ3を外すことなく、プレート50の取り付け及び取り外しが可能になり作業性が向上する。錠装置1を用いたときには、溝部56に挿入されたときに、プレート50を位置決めする突起部34を有するため、プレート50の取り付け作業及び取り外し作業をさらに向上させることができる。
【0038】
実施形態の錠装置1を用いたときには、突起部34が傾斜部34aを有するため、プレート50を取り出しやすくできる。実施形態の錠装置1を用いたときには、突起部34が平行部34bを有するため、隙間に近い側に移動したプレート50を止めやすくなる。実施形態の錠装置1を用いたときには、プレート50が貫通孔58及び切欠部53A,54Aを有するため、プレート50を取り出しやすくなり作業性が向上する。
【0039】
錠装置1を用いたときには、下台座30の側壁32が上台座20及びプレート50を全周に亘って外側から囲ったときに、プレート50の断面等、非連続な表面が見えなくなるので意匠性の向上に寄与できる。
【0040】
以上、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態について説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0041】
錠装置1としてクレセント錠の実施形態を例示したが、本開示はクレセント錠に限定されない。錠装置1としてグレモン錠等、他の錠に適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1…錠装置、3…取付ねじ、11…ハンドル、12…係合部、13…軸、20…上台座、21…支持台部、27…第1長孔部、30…下台座、31…底壁、32…側壁、33…挿通孔、34…突起部、34a…傾斜部、34b…平行部、51…長尺受部、52…中央受部、53,54…端受部、53A,54A…切欠部、55ガイド受部、56…溝部、57…案内部、58…貫通孔