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特開2023-162687電波情報管理システム、電波情報管理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162687
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】電波情報管理システム、電波情報管理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/00 20090101AFI20231101BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20231101BHJP
   H04W 16/18 20090101ALI20231101BHJP
【FI】
H04W24/00
G05D1/02 H
H04W16/18 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073224
(22)【出願日】2022-04-27
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2020年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先導研究(委託)/リアルタイムクラウドロボティクス技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 竜馬
(72)【発明者】
【氏名】内田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】高谷 聡
(72)【発明者】
【氏名】旦代 智哉
(72)【発明者】
【氏名】西川 浩行
【テーマコード(参考)】
5H301
5K067
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD06
5H301DD07
5H301DD17
5H301HH01
5H301KK08
5H301KK19
5K067AA33
(57)【要約】
【課題】複数台の無線機で測定したデータを基に電波の受信強度を推定しつつ、時間経過に伴い受信強度情報の取捨選択を行うことができる電波情報管理システムを提供する。
【解決手段】実施形態によれば、電波情報管理システムは、情報保持部と、電波情報決定部と、経路設定部と、を具備する。情報保持部は、電波情報と、電波情報に対応づけられた位置情報および時刻情報と、を保持する。電波情報決定部は、位置情報および時刻情報の少なくとも一方に基づき、電波情報に対して信頼度情報を設定する。経路設定部は、信頼度情報に基づき、移動体の経路を設定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波情報と、前記電波情報に対応づけられた位置情報および時刻情報と、を保持する情報保持部と、
前記位置情報および前記時刻情報の少なくとも一方に基づき、前記電波情報に対して信頼度情報を設定する電波情報決定部と、
前記信頼度情報に基づき、移動体の経路を設定する経路設定部と、
を具備する電波情報管理システム。
【請求項2】
前記電波情報は、1以上の移動体によって取得される請求項1に記載の電波情報管理システム。
【請求項3】
前記電波情報を受信する受信部を具備する請求項1に記載の電波情報管理システム。
【請求項4】
前記電波情報決定部は、前記時刻情報に基づき、前記電波情報の信頼度を、時間の経過に伴って低下させる請求項1に記載の電波情報管理システム。
【請求項5】
前記電波情報決定部は、前記位置情報に基づき、複数の電波情報が取得された位置について、時間の経過に伴う電波情報の信頼度の低下度合いを小さくする請求項4に記載の電波情報管理システム。
【請求項6】
前記電波情報は、実測された電波情報と、前記実測された電波情報を用いて推測された電波情報と、を含み、
前記電波情報決定部は、前記推測された電波情報の前記信頼度情報と比較して、前記実測された電波情報について、時間の経過に伴う電波情報の信頼度の低下度合いを小さくする請求項4に記載の電波情報管理システム。
【請求項7】
前記電波情報は、基地局からの電波を受信する複数の移動体によって取得され、
前記電波情報決定部は、前記位置情報および前記時刻情報に基づき、基地局と第1移動体との間に第2移動体が介在する状況の下で前記第1移動体によって取得された電波情報を採用しないことを決定する、
請求項1記載の電波情報管理システム。
【請求項8】
前記電波情報は、基地局からの電波を受信する複数の移動体によって取得され、
前記電波情報決定部は、前記位置情報に基づき、基地局と第1移動体との間に第2移動体が介在する状況の下で前記第1移動体によって取得された電波情報の信頼度を低く設定する請求項1に記載の電波情報管理システム。
【請求項9】
前記電波情報決定部は、前記位置情報および前記時刻情報に基づき、一定時間内に差分が閾値以下の2つ以上の電波情報が取得された位置について、前記2つ以上の電波情報の中の最大値から最小値までの範囲のいずれかの値を採用することを決定する請求項1に記載の電波情報管理システム。
【請求項10】
前記2つ以上の電波情報の中の最大値から最小値までの範囲のいずれかの値は、前記2つ以上の電波情報の平均値である請求項9に記載の電波情報管理システム。
【請求項11】
前記電波情報決定部は、同一位置かつ一定時間内に複数の電波情報が取得された場合であって、前記複数の電波情報の差分が閾値を越える場合、前記複数の電波情報を採用しないことを決定する請求項1に記載の電波情報管理システム。
【請求項12】
前記電波情報は、基地局からの電波を受信する複数の移動体によって取得され、
前記電波情報決定部は、前記位置情報および前記時刻情報に基づき、同一位置の電波情報が一定時間内に3つ以上の移動体によって取得され、前記3つ以上の移動体の中の2以上の移動体が取得した電波情報が所定範囲内であり、かつ、その他の1以上の移動体が取得した電波情報が所定範囲外である状況が発生した場合、前記その他の1以上の移動体が取得する電波情報の信頼度を低下させる請求項1に記載の電波情報管理システム。
【請求項13】
前記電波情報決定部は、前記電波情報の取得に使用される電波の波長に基づき、前記位置情報の最小単位を決定する請求項1に記載の電波情報管理システム。
【請求項14】
電波情報と、前記電波情報に対応づけられた位置情報および時刻情報と、を保持し、
前記位置情報および前記時刻情報の少なくとも一方に基づき、前記電波情報に対して信頼度情報を設定し、
前記信頼度情報に基づき、移動体の経路を設定する、
電波情報管理方法。
【請求項15】
コンピュータに、
電波情報と、前記電波情報に対応づけられた位置情報および時刻情報と、を保持し、
前記位置情報および前記時刻情報の少なくとも一方に基づき、前記電波情報に対して信頼度情報を設定し、
前記信頼度情報に基づき、移動体の経路を設定する、
ことを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電波情報管理システム、電波情報管理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線信号の電波強度を推定する技術として、たとえば、複数回同じ地点で電波の受信強度を測定し、複数回測定した受信強度を統計情報として扱い、マルチパスによるものなのか恒常的な値なのかを判定する無線信号受信状態評価装置が提案されている。また、たとえば、信頼区間と標準偏差とを基に、シャドウイングの影響を考慮した位置に対する受信強度の範囲を表示するエリア評価表示装置が提案されている。さらに、たとえば、建築物の構造や間取りを考慮して受信電力を推定する受信電力推定装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4343131号公報
【特許文献2】特許第4677864号公報
【特許文献3】特許第6120002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の技術では、測定した電波の受信強度や環境を考慮した上で、電波強度を推定しているものの、複数台の無線機で測定したデータを基に電波の受信強度を推定することや、時間経過に伴う環境の変化に対応することはできない。
【0005】
本発明の1つの実施形態は、複数台の無線機で測定したデータを基に電波の受信強度を推定しつつ、時間経過に伴い受信強度情報の取捨選択を行うことができる電波情報管理システム、電波情報管理方法およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、電波情報管理システムは、情報保持部と、電波情報決定部と、経路設定部と、を具備する。情報保持部は、電波情報と、電波情報に対応づけられた位置情報および時刻情報と、を保持する。電波情報決定部は、位置情報および時刻情報の少なくとも一方に基づき、電波情報に対して信頼度情報を設定する。経路設定部は、信頼度情報に基づき、移動体の経路を設定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の電波情報管理装置のブロック図。
図2】第1実施形態の電波情報管理装置を適用するシステムの一例を示す図。
図3】第1実施形態の電波情報管理装置を適用する運行管理システムのブロック図。
図4】第2実施形態の電波情報管理装置における電波情報決定部による電波の受信強度情報の決定方法を説明するための図。
図5】第2実施形態の電波情報管理装置における電波情報決定部の動作手順を示すフローチャート。
図6】第3実施形態の電波情報管理装置における電波情報決定部による電波の受信強度情報の決定方法を説明するための図。
図7】第3実施形態の電波情報管理装置における電波情報決定部の動作手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。
【0010】
図1は、第1実施形態の電波情報管理装置10のブロック図である。電波情報管理装置10は、情報保持部11と、電波情報決定部12とを有する。電波情報管理装置10は、たとえば、自律移動ロボット(AMR:Autonomous Mobile Robot)などの移動体に搭載されるものであってもよいし、図示されない、移動体を制御するサーバ装置上に構築されるものであってもよい。
【0011】
情報保持部11は、たとえば、無線機を搭載する移動体で測定した、基地局からの電波の受信強度(電波情報)を、測定した時刻および位置とともに保持する。情報保持部11は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの様々な記憶装置を適用することができる。なお、電波情報管理装置10は、当該情報保持部11で保持されるべき電波情報、時刻および位置を無線または有線で受信する図示されない受信部を有している。
【0012】
電波情報決定部12は、情報保持部11で保持されている情報を基に、所定の地理的範囲の各地点(位置)における電波の受信強度およびその信頼度を決定する。電波情報決定部12は、たとえば、プロセッサがプログラムを実行することによって実現されるものであってもよいし、電子回路などのハードウェアとして実現されるものであってもよい。
【0013】
図2は、電波情報管理装置10を適用するシステムの一例を示す図である。このシステムは、1台の基地局1と、基地局1からの電波を受信可能な無線機21を搭載する2台のAMR(AMR[1]、AMR[2])2とを含む。
【0014】
システムは、AMR2に搭載されている無線機21で基地局1からの電波を受信し、受信強度を測定する。このとき、システムは、位置情報と時刻情報とを併せて取得する。位置情報の取得方法は、たとえばGNSS(Global Navigation Satellite System)やタコジェネレータによる測位があるが、これらの方法に限るものではない。また、時刻情報の取得方法は、前述のGNSSやNTP(Netowork Time Protocol)による時刻同期をした上で、たとえばAMR2上で動作するOS(Operating System)から時刻を取得する方法などがあるが、これらの方法に限るものではない。
【0015】
電波情報管理装置10は、AMR2で測定した受信強度(電波情報)を、併せて取得した時刻情報および位置情報と対応づけて、AMR2ごとに情報保持部11で保持する。電波情報管理装置10がAMR2以外にある場合、これらの情報は、たとえば、AMR2に搭載の無線機21から無線通信で電波情報管理装置10に送信される。電波情報管理装置10がAMR2以外にある場合とは、たとえば、前述の、移動体(ここでは、AMR2)を制御する図示されないサーバ装置にある場合である。
【0016】
そして、電波情報管理装置10は、情報保持部11で保持されている複数のAMR2の電波情報を基に、電波情報決定部12で、所定の地理的範囲の各地点(位置)における電波の受信強度およびその信頼度を決定する。
【0017】
ここで、電波の受信強度の信頼度は、総じて、電波を取得してからの経過時間に応じて低下する性質を持つ。そこで、第1実施形態の電波情報管理装置10においては、電波情報決定部12が、電波の受信強度の信頼度を、電波を取得してからの経過時間に応じて低下させる。
【0018】
また、AMR2で何回か走行し、電波の受信強度を取得している際に、同じ地点で電波の受信強度を取得する場合がある。このような場合は、その場所での電波の受信強度は時間経過による変動が少ないので、電波情報決定部12は、信頼度の低下度合いを小さくしてもよい。
【0019】
また、電波情報決定部12は、信頼度に応じて電波情報の取捨選択をしてもよい。たとえば、電波情報決定部12は、複数台のAMR2で同じ地点の電波の受信強度を取得した場合に、信頼度の高い受信強度情報のみを残してもよい。
【0020】
また、電波情報決定部12は、取得した電波の受信強度情報を基に、測定していない地点の受信強度を推定または線形や非線形で補完する場合、信頼度の低下度合いに差をつけてもよい。たとえば、測定によって得られた地点の受信強度情報について、電波情報決定部12は、推定や補完によって得られた地点の受信強度情報と比較して、信頼度の低下度合いを小さくしてもよい。
【0021】
また、電波の受信強度情報を保持する1地点の最小単位については、様々な方法が考えられる。たとえば、AMR2の移動速度と電波の受信強度の取得間隔とから算出される値でもよいし、受信強度を取得する電波の波長に関係する値でもよい。
【0022】
このように、第1実施形態の電波情報管理装置10は、電波の受信強度情報に対して、時間経過による信頼度を設ける。これにより、電波情報管理装置10を適用するシステムにおいては、時間経過による環境変化に対応した電波の受信強度情報の取り扱いが可能となる。
【0023】
(応用例)
以上では、電波情報管理装置10による電波情報の管理方法について述べたが、管理された電波情報を活用して、たとえば、AMR2の運行管理に活用しても良い。ここで、電波情報管理装置10の一応用例として、電波情報管理装置10を適用するシステムであって、前述のように信頼度が管理される電波情報を基にした、AMR2の運行管理システムについて述べる。
【0024】
図3は、電波情報管理装置10を適用する運行管理システム30のブロック図である。
【0025】
運行管理システム30は、運行経路決定部31を有する。運行管理システム30においては、この運行経路決定部31が、電波情報管理装置10の電波情報決定部12からの情報を基に、AMR2の運行経路を決定する。運行経路決定部31は、たとえば、プロセッサがプログラムを実行することによって実現されるものであってもよいし、電子回路などのハードウェアとして実現されるものであってもよい。
【0026】
運行経路決定部31は、AMR2の運行管理をする。たとえば、電波の受信強度を取得できていない箇所を優先的にAMR2の運行経路として設定し、積極的に電波の受信強度情報を取得する。そのために、運行経路決定部31は、複数台のAMR2の運行経路の間で重複する箇所をなるべく減らし、電波の受信強度を取得したい地点を満遍なくAMR2が通るように、AMR2の運行経路を決定してもよい。また、運行経路決定部31は、前述のように、電波情報決定部12から信頼度を持つ電波情報を受け取る。そこで、運行経路決定部31は、積極的に電波の受信強度情報を取得するために、信頼度の下がった受信強度情報のある地点を含む経路を優先的にAMR2の運行経路として決定してもよい。
【0027】
このように、電波情報管理装置10を適用する運行管理システム30は、電波の信頼度に応じたAMR2の運行管理を行うことで、AMR2の運行と、電波の受信強度情報の取得とを連動させることが可能となる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
【0029】
第1実施形態では、複数台のAMR2を用い、電波の受信強度情報に対し、時間経過による信頼度を設けることで、時間経過による環境変化に対応した電波の受信強度情報の取り扱いが可能となる例を説明した。しかし、複数台のAMR2で電波の受信強度を取得している場合、ある1台のAMR2と基地局1との間に他のAMR2が存在し、電波が遮蔽される可能性もある。電波が遮蔽される場合、電波の受信強度が大きく変動するので、電波が遮蔽されていない場合と受信強度情報の取り扱い方法を変える必要がある。
【0030】
そこで、第2実施形態では、AMR2が電波の遮蔽物になる場合における信頼度情報を含む電波の受信強度情報の決定方法について説明する。
【0031】
図4は、基地局1とAMR[2]2との間にAMR[1]2が存在し、電波が遮蔽されている状況を示している。以下、このような状況下における、第2実施形態の電波情報決定部12の動作について、図5のフローチャートを使って説明する。
【0032】
電波情報決定部12は、まず、2台のAMR2の電波情報を保存する(S101)。次に、電波情報決定部12は、電波情報に対応づけられた時刻および位置から、2台のAMR2間の距離を算出する(S102)。
【0033】
2台のAMR2間の距離が一定距離より離れている場合(S102:No)、電波情報決定部12は、これら2台のAMR2で測定した電波情報は信頼度を下げず、そのまま採用する(S105)。ここで、一定距離とは、たとえば、電波の波長と関係する値であってもよいし、予め決定されている値であってもよい。一定距離は、これらに限られず、様々な方法で値を導き出し得る。
【0034】
一方、2台のAMR2間の距離が一定距離以内である場合(S102:Yes)、電波情報決定部12は、基地局1とAMR2との間に別のAMR2が存在するかどうか判定する(S103)。
【0035】
基地局1とAMR2との間に別のAMR2が存在しない場合(S103:No)、電波情報決定部12は、これら2台のAMR2で測定した電波情報は信頼度を下げず、そのまま採用する(1505)。
【0036】
一方、基地局1とAMR2との間に別のAMR2が存在する場合には(S103:Yes)、電波情報決定部12は、別のAMR2を遮蔽物として扱い、その電波情報を採用しない(S104)。または、電波情報決定部12は、その電波情報を、信頼度を下げて採用してもよい。また、電波情報決定部12は、信頼度は下げず、時間経過による信頼度の低下度合いを大きくして、その電波情報を採用しても良い。
【0037】
このように、第2実施形態の電波情報管理装置10は、AMR2の位置関係に応じて、電波の受信強度情報の信頼度を決定するといった、電波の遮蔽状況を考慮した受信強度情報の信頼度の決定を行うことができる。
【0038】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。
【0039】
第2実施形態では、複数台のAMR2で電波の受信強度を測定する場合に、電波の経路に他のAMR2が遮蔽物として存在する際の電波情報の決定方法について説明した。ところで、複数台のAMR2が所定の地理的範囲を走行する場合、あるAMR2を別のAMR2が追従して走行するケースも多く発生する。そのような場合には、同一地点の電波の受信強度が複数のAMR2で測定されることもあり得る。
【0040】
そこで、第3実施形態では、複数のAMR2で同一地点の電波の受信強度を取得する場合における電波の受信強度情報の決定方法について説明する。
【0041】
図6は、AMR[2]2がAMR[1]2を追従走行し、電波の受信強度を取得している状況を示している。図6中、「AMR[1]-nn」の「nn」は、AMR[1]2で取得された電波の受信強度であり、「AMR[2]-nn」の「nn」は、AMR[2]2で取得された電波の受信強度である。この例では、電波の受信強度の単位をdBmとしているが、他の単位を用いて、電波の受信強度情報を保持しても良い。この「AMR[1]-nn」と「AMR[2]-nn」とが記載されている各枠は、電波の受信強度情報が保持される1地点の最小単位を表している。また、これらの枠のうち、符号a1、a2で示される、ハッチングが施された枠は、2台のAMR2で測定された2つの電波の受信強度が大きく異なっている地点を示している。以下、このような状況下における、第3実施形態の電波情報決定部12の動作について、図7のフローチャートを使って説明する。
【0042】
電波情報決定部12は、まず、複数台のAMR2で取得した同一地点の電波の受信強度情報の中で、所定時間以内に取得したものがあるか検索する(S201)。ここで、所定時間とは、たとえば、AMR2の移動速度や、電波の受信強度情報の位置の分解能などによって予め決定されたものでよい。所定時間は、これらに限られず、様々な方法で決定され得る。
【0043】
電波情報決定部12は、所定時間以内に取得した複数の電波の受信強度情報について、その差分が閾値以内かどうか判定する(S202)。ここで、閾値とは、たとえば、一定時間以内に測定した受信強度の統計情報、電波の波長やAMR2の移動速度に応じた理論式、電波の受信強度情報の位置の分解能などから算出されるものでよい。閾値は、これらに限られず、様々な方法で算出され得る。
【0044】
複数のAMR2で測定された同一地点の電波の受信強度が閾値以内である場合(S202:Yes)、電波情報決定部12は、各情報を平均化して採用し、信頼度情報を下げない(S203)。このとき、電波情報決定部12は、同一地点で取得したAMR2の台数が多いほど、信頼度情報の時間経過による低下度合いを小さくしてもよい。
【0045】
一方、複数のAMR2で測定された同一地点の電波の受信強度が閾値を超える場合(S202:No)、電波情報決定部12は、電波情報を採用しない(S204)。または、電波情報決定部12は、いずれかの電波の受信強度を採用する場合でも、その信頼度を低く設定し、もしくは、信頼度を低く設定しないが、信頼度の時間経過による低下度合いを大きく設定する。
【0046】
さらに、3台以上のAMR2で測定した場合、電波情報決定部12は、統計的に大きく外れた電波の受信強度を取得したAMR2については、そのAMR2で取得した情報を常に信頼度を低く設定し、もしくは、信頼度の時間経過による低下度合いを大きく設定してもよい。
【0047】
また、周囲の場所で測定された電波の受信強度に対して、電波の受信強度が大きく外れている場合、電波情報決定部12は、その電波の受信強度情報を採用しないようにしてもよい。あるいは、電波情報決定部12は、電波の受信強度情報を採用する場合でも、信頼度を低く設定し、もしくは、信頼度を低く設定しないが、信頼度の時間経過による低下度合いを大きく設定してもよい。
【0048】
このように、第3実施形態の電波情報管理装置10は、複数のAMR2で同一地点の電波の受信強度が取得され得る場合において、より確度の高い電波の受信強度情報および信頼度を決定することができる。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…基地局、2…AMR、10…電波情報管理装置、11…情報保持部、12…電波情報決定部、21…無線機、30…運行管理システム、31…運行経路決定部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7