(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162697
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】建物の壁の構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/76 20060101AFI20231101BHJP
E04B 1/80 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
E04B1/76 500F
E04B1/76 200A
E04B1/80 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073252
(22)【出願日】2022-04-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】501252593
【氏名又は名称】株式会社 ホームリサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】久吉 崇敬
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001FA03
2E001GA01
2E001HE10
2E001NA05
2E001NA07
2E001ND01
2E001ND03
2E001ND05
2E001ND06
2E001ND14
2E001ND17
2E001ND26
(57)【要約】
【課題】
近年、高気密、かつ高断熱構造の建物があり、建物では、光熱費削減・生活環境改善と、資源の有効活用・資源節約等による環境改善、又は、生活の質の向上に役立つことが理解されている。そして、この種の高気密、かつ高断熱構造の建物において、壁の断熱材に関し、十分な配慮がなかった。
【解決手段】
本発明は、建物の壁に空間を形成し、空間に段ボール素材で形成した筐体を収容し、筐体内には、水袋を詰め込み、水袋で、壁が断熱効果を確保する構成とした建物の壁の構造である。壁の断熱効果と、経済性・利便性に関し、十分な改良をした発明である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の壁に空間を形成し、
前記空間に筐体を収容し、
前記筐体内には、水袋を詰め込み、
前記水袋で、前記壁の断熱効果を確保する構成とした、建物の壁の構造。
【請求項2】
前記壁は、内壁と、外壁の組合せであり、
前記壁は、空気流通層として機能する構成とした、
請求項1に記載の建物の壁の構造。
【請求項3】
前記筐体は、段ボール素材で形成した、
請求項1に記載の建物の壁の構造。
【請求項4】
建物の床下に一端が設置され、前記建物の天井裏空間に他端が設置されるダクトと、
前記建物の天井に設けられ、前記天井裏空間に開口する第1の換気部材と、
前記天井に設けられ、前記建物の小屋裏に開口する第2の換気部材と、
前記建物の壁に設けた両端が開口した第1の通気層と、
前記第1の通気層の上の開口に繋がる屋根裏に設けた第2の通気層と、
前記第2の通気層に繋がる棟に設けた棟換気部と、
で構成した空調システムにおいて、
前記壁に空間を形成し、
前記空間に段ボール素材で形成した筐体を収容し、
前記筐体内には、水袋を詰め込み、
前記水袋で、前記壁の断熱効果を確保する構成とした、建物の壁の構造。
【請求項5】
前記建物に設けられた部屋の前記壁に第1ファンを備える構成とした、
請求項4に記載の建物の壁の構造。
【請求項6】
建物の基礎の換気口と、
前記建物の内壁及び外壁と、
前記内壁と前記外壁の間に設けた空気流通層と、
前記空気流通層と連通する前記内壁の第1換気孔と、
前記第1換気孔に設けた第2ファンと、
前記建物の天井に設けた通気袋と、
前記空気流通層と連通する、前記通気袋の第2換気孔と、
前記第2換気孔に設けた第3ファンと、
前記建物の天井裏空間に設けた、前記空気流通層と連通する第3換気孔と、
前記第3換気孔に設けた第4ファンと、
で構成した空調システムにおいて、
前記内壁に空間を形成し、
前記空間に段ボール素材で形成した筐体を収容し、
前記筐体内には、水袋を詰め込み、
前記水袋で、前記壁の断熱効果を確保する構成とした、建物の壁の構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エア断熱構造でなる建物に、最適な建物の壁の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、日本を含め全世界で、急激な気候変動が起こり、加えて、石油を始めとする、生活必需品不足、健康管理の要望などの観点、並びにコロナ禍等の、緊急に値する状況下において、健全な住居・生活環境の維持が、各地域、又は全世界において、必須化されている。
【0003】
その改善策として、高気密、かつ高断熱構造の建物があり、この建物では、光熱費の削減・生活環境改善と、資源の有効活用・資源節約等による環境改善、又は、生活の質の向上に役立つことが理解されている。
【0004】
これに関する文献として、次のような発明がある。
【0005】
文献(1)は、特開平10-183791号公報記載の発明で、物の躯体内部の湿潤化を防止、断熱材の劣化や木材の腐朽を防止できる通気路(通気層)と、壁は、構造用面材、内装材、断熱材及び通気層を備え、天井は、内装材、断熱材、及び天井裏空間を備え、壁の通気層と天井の天井裏空間は、室内側に開放され、かつ通気層で繋ぐ構造である。
【0006】
また文献(2)は、特開平11-051440号公報記載の発明で、建物は、湿潤化を防止し得る防湿機能と、気密断熱構造を備えており、気密断熱構造は、外側に向かった、第1の防湿材、断熱材、第2の防湿材及び通気空間を設け、通気空間は、ダンパー装置を介して開閉自在、かつ気密とし、床下と天井との間に、空気循環路(空気通路)を設けた構造である。
【0007】
また文献(3)は、特開2007-163023号公報記載の発明で、床下通気層と、屋根裏の天井板裏の通気層を、連通する内壁裏の通気層(空気通路)を設け、送風ファンとルームヒーター、及び循環促進装置を設けて、天井板裏の通気層、及び内壁裏の通気層を備える構造で、冷暖房空気を循環し、最適な家屋の空気循環を図り、快適な室内環境と、省エネタイプの家屋に関する。
【0008】
更に、文献(4)は、特許第6009111号公報記載の発明で、建物の床下に一端を、建物の天井裏空間に他端を設置したダクトと、建物の天井に設け、かつ天井裏空間に開口した第1の換気部材と、天井に設け、かつ建物の小屋裏に開口した第2の換気部材と、
建物の部屋の壁に配置したファンと、壁に設けた両端が開口した第1の通気層と、第1の通気層の上の開口に繋ぎ、かつ屋根裏の第2の通気層と、第2の通気層に繋ぎ、かつ建物の棟の棟換気部と、でなる空調システム、即ち、文献(3)と同じ特徴であって、エア断構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10-183791号公報
【特許文献2】特開平11-051440号公報
【特許文献3】特開2007-163023号公報
【特許文献4】特許第6009111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述した文献(1)-(4)に於いては、壁に通気路を設け、室内外の空気循環を行い、室内外の換気と、熱の有効利用とを図ることで、冷暖房空気を循環し、家屋の最適な空気循環を図り、快適な室内環境と、省エネタイプの建物の提供を意図する。
【0011】
しかしながら、文献(1)-(3)では内外壁間に、一般的な断熱材を介在することを意図することから、壁としての断熱効果と、経済性・利便性に関しての配慮が、必ずしも、十分でない。尚、文献(4)においては、断熱性マットの使用であり、経済性・利便性に関しての配慮が、必ずしも、十分でない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記に鑑み、本発明では、壁の断熱効果と、経済性・利便性に関し、改良することを意図する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に於いては、
建物の壁に空間を形成し、
前記空間に段ボール素材で形成した筐体を収容し、
前記筐体内には、水袋を詰め込み、
前記水袋で、前記壁の断熱効果を確保する構成とした、建物の壁の構造である。
【0014】
従って、請求項1は、壁の断熱効果と、経済性・利便性に関し、十分に改良された発明である。
【0015】
請求項2に於いては、
前記壁は、内壁と、外壁の組合せであり、
前記壁は、空気流通層として機能する構成とした、
建物の壁の構造である。
【0016】
従って、請求項1に記載した目的達成に寄与できる。
【0017】
請求項3に於いては、
前記筐体は、段ボール素材で形成した、
建物の壁の構造である。
【0018】
従って、請求項1に記載した目的達成に寄与できる。
【0019】
請求項4に於いては、
建物の床下に一端が設置され、前記建物の天井裏空間に他端が設置されるダクトと、
前記建物の天井に設けられ、前記天井裏空間に開口する第1の換気部材と、
前記天井に設けられ、前記建物の小屋裏に開口する第2の換気部材と、
前記建物の壁に設けた両端が開口した第1の通気層と、
前記第1の通気層の上の開口に繋がる屋根裏に設けた第2の通気層と、
前記第2の通気層に繋がる棟に設けた棟換気部と、
で構成した空調システムにおいて、
前記壁に空間を形成し、
前記空間に段ボール素材で形成した筐体を収容し、
前記筐体内には、水袋を詰め込み、
前記水袋で、前記壁の断熱効果を確保する構成とした、建物の壁の構造である。
【0020】
従って、対流による建物の空調方式の建物に対して、請求項1に記載した改良発明と同じ効果を付加できる壁の構造である。
【0021】
請求項5に於いては、
前記建物に設けられた部屋の前記壁に第1ファンを備える構成とした、
建物の壁の構造である。
【0022】
従って、対流による建物の空調方式の建物に対して、請求項4に記載した改良発明と同じ効果を付加できる壁の構造である。
【0023】
請求項6に於いては、
建物の基礎の換気口と、
前記建物の内壁及び外壁と、
前記内壁と前記外壁の間に設けた空気流通層と、
前記空気流通層と連通する前記内壁の第1換気孔と、
前記第1換気孔に設けた第2ファンと、
前記建物の天井に設けた通気袋と、
前記空気流通層と連通する、前記通気袋の第2換気孔と、
前記第2換気孔に設けた第3ファンと、
前記建物の天井裏空間に設けた、前記空気流通層と連通する第3換気孔と、
前記第3換気孔に設けた第4ファンと、
で構成した空調システムにおいて、
前記内壁に空間を形成し、
前記空間に段ボール素材で形成した筐体を収容し、
前記筐体内には、水袋を詰め込み、
前記水袋で、前記壁の断熱効果を確保する構成とした、建物の壁の構造である。
【0024】
従って、天井裏空間の有効利用を含めた対流による建物の空調方式の建物に対して、請求項1に記載した改良発明と同じ効果を付加できる、壁の構造である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】本発明の第1筐体に水袋を充填する初期段階の斜視図
【
図3】本発明の第1筐体に水袋を充填した状態を示す斜視図
【
図5】本発明の第2筐体の組立て図で、(イ)は斜視図、(ロ)は上方から見た斜視図
【
図6】本発明の第2筐体に水袋を充填した状態を示す斜視図
【
図7】第1実施例の本発明の断熱材を利用した建物の断面模式図
【
図9】第2実施例の本発明の断熱材を利用した建物の断面模式図
【
図10】実際の温度変化の計測結果で、外気温と、本発明等の断熱材を使用した際の温度を示した図表(イ)とグラフ(ロ)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の各実施例を説明する。各実施例は、好ましい一例であり、本発明は各実施例の説明及び/又は図面に限定されない。発明の趣旨の範囲において構成の一部を変更する構造、又は同じ特徴と効果を達成できる構造には、本発明の範疇にある。
【0027】
図1~
図3に示した水袋1には、例えば、1リットルの水道水が、充填されている。価格は、袋が43円、水道水は、0.15円であり、略45円に相当する(それぞれ一例である)。極めて、低価格である。第1筐体2は段ボールで製作し、一例として、寸法が、縦350mm、横375mm、幅90mm、価格が104円である(それぞれ一例である)。この場合水袋入り第1筐体2の総重量は約10kgとなる。第1筐体2の寸法は、建物の外壁と内壁で形成した空間Sに、望ましくは、空間Sに無理なく収まる寸法であればよく、これに限定されない。第1筐体2の型崩れ防止のために、帯状の段ボールの補助板200を、第1筐体2のほぼ中心に備える。望ましくは、両側面板201、202に差渡す。図では一枚であるが、限定されない。
【0028】
そして、水袋充填の第1筐体2a~2n(断熱材3)を使用し、壁5を構築する例を示した、
図8において、柱20間の空間S内に、内壁500に添設するように、水袋充填の第1筐体2a~2nを収容する。全ての空間S内であって、建屋Hの全ての内壁500に添設するように、水袋充填の第1筐体2a~2nを収容する。収容された水袋充填の第1筐体2a~2nは、断熱材の役割を担う。
【0029】
この状態において、内壁500に添設するように(空間Sに収まるように)して収容した、水袋充填の第1筐体2a~2nを覆うように、かつ通気層7が形成されるように外壁501を、順次、構築する。詳細には、外壁501は2枚の外壁材(内側外壁及び外側外壁)で構成されており、通気層7はこれらの間に設けられる。この通気層7は、例えば、建屋Hの床下G、地下とか、建屋Hの室内の空気を、屋根裏空間8、及び建屋Hに導入する。またファンなどを用いて、この通気層7で空気を積極的に移動させることによって、熱を常に移動させて滞留させないようにすることで、対流による断熱効果も得ることができる。
【0030】
図4-
図6に示した第2筐体21は、段ボールで製作し、一例として、組立て後の寸法が、縦365mm、横373mm、幅68mmである。展開図に示すように、中心に、一方側壁体21aと、この一方側壁体21aの短手方向の両辺には、折曲げ線(符号なし、以下、線に関するものすべて)を介して左右側壁体21b、21cを繋ぐ。この一方側壁体21aの長手方向の両辺には、折曲げ線を介して、上下覆壁体21a1、21a2を繋ぐ。
【0031】
また、左右側壁体21b、21cの長手方向のそれぞれ端部には、折曲げ線を介して、短手方向において、半截形状の他方側半截壁体21d、21eを繋ぐ。
【0032】
この他方側半截壁体21d、21eの長手方向のそれぞれ端部には、折曲げ線を介して上下覆壁体21d1、21d2、21e1、21e2を繋ぐ。また、この他方側半截壁体21d、21eの短手方向のそれぞれ端部には、それぞれ折曲げ線を介して、半截形状の他方側半截端壁体21f、21gを繋ぐ。この他方側半截壁体21d、21eと他方側半截端壁体21f、21gは、繋ぎ壁体21h、21iが存在する。
【0033】
尚、一方側壁体21aとその上下覆壁体21a1、21a2との繋ぎ箇所には、差込み孔21j、21kを形成する。上下覆壁体21d1、21d2、21e1、21e2には、差込み片21d10、21d20、21e10、21e20を突設する。
【0034】
そこで第1筐体2を組み立てるには、一方側壁体21aを基本として組み立てていく。一例であり、この方法に捉われない。左右の折曲げ線をガイドとして、左右壁体21b、21cを立ち上げる。次に、左右の折曲げ線をガイドとして、一方側壁体21aの上に向かいあうように、他方側半截壁体21d、21eを折曲げていく。そして、他方側半截壁体21d、21eが共に、一方側壁体21aの表面21aa上に重なる(このとき、他方側半截壁体21d、21eは一方側壁体21aに半分ずつ向かい合い、左右の繋ぎ壁体21h、21iを一方側壁体21aの表面21aaに向かって折曲げつつ、左右の繋ぎ壁体21hと21iを折り重ねる。(
図5(ロ)参照。)この際に、左右の繋ぎ壁体21h、21iは、一方側壁体21aの表面21aaと、他方側半截壁体21d、21eの折曲げ側の表面21dd、21eeの間X1(繋ぎ壁体21h、21iの幅と略同じ)であり、かつ他方側半截端壁体21f、21gは、表面21aaに添設される。
図5(イ)の状態となる。
【0035】
尚、この
図5(イ)の状態において、前記間X1は、下覆壁体21a2、21d2、21e2で塞がれている。差込み片21d20、21e20を、差込み孔21j、21kへ差込み支持する。及び下折曲げ体21b2、21c2の内側への折曲げ操作を行う。そして、この
図5(イ)の状態が確保された過程で、
図6の如く、水袋1を所定数収容する。(
図6参照。)
この
図6に示すように、水袋1が充填されたことを確認した後、間X2を上覆壁体21a1、21d1、21e1で塞ぐ。差込み片21d10、21e10を差込み孔21j、21kへ差込み支持、及び上覆壁体21b1、21c1の内側への折曲げ操作を行う。
【0036】
以上の操作で、水袋充填の第2筐体21a~21nが製造、かつ準備される。その他は、前述に準ずる。
【0037】
図7に示した建屋Hは、水切り、又は換気穴等を備えた土台10と、土台10に立設した柱20と、柱20間に設けた胴差し30と、軒桁40と、軒桁40に設けた水袋充填の第1筐体2a~2n(水袋充填の第2筐体21a~21nを含む。以下同じであり、記載を省略する)と、屋根板52とでなる。土台10は複数の角材から構成され、基礎F又はその立上部に差渡し固定される。建屋Hは、前述した複数本の角材の柱20と、柱20に架渡しされた軒桁40と、軒桁40及び建屋Hの頂部に設置された棟木51と、前記屋根50、及び屋根50の開口部50a、及び屋根50を形作る複数本の垂木55及び母屋を備える。
【0038】
前記柱20には、建屋Hの部屋H1の壁面となる内壁500が設けられるとともに、この内壁500から適宜間隔(空間S)を以って外壁501が設けられ、この空間S内に水袋充填の第1筐体2a~2nが配設される。少なくとも内壁500には、部屋H1の空気を、通気層7に導く空気孔(図示しない)を開口する(矢視A)。また、通気層7の下端開口7aは、床下Gの空気が流通する(矢視B)。図の如く、屋根50には、この屋根50の空気層7に通じる空気孔2a1~2n1を形成する(矢視C)。この水袋充填の第1筐体2a~2nは、断熱材として役立つことになる。
【0039】
尚、基礎Fは、地面上にコンクリートが敷き固められてなり、この基礎Fには、床下Gの空気の通気経路となる孔11が複数ケ所設けられている。土台10は、基礎F、又はその立上部に差渡し固定される。複数本の柱20は、土台10上に立設された角材である。胴差し30は、1階と2階等の各階との間における複数の柱20に架渡しされた軒桁40である。軒桁40は、各柱20の上部に差し渡されている。そして、この複数本の軒桁40及び建物Hの頂部に設置された棟木51上には、屋根50が、頂部で開口部50aを形成するように設置される。図中55は、垂木(母屋)55である。
【0040】
図9に示した建屋Hは、基本的には、
図7に準ずるので、その相違点のみ説明する。二階部位及び内壁500の二階部位、床面、並びに第1天井袋4a(天井板14a)で区画された、二階の部屋300a(以降部屋300aとする)でなる二階部分と、部屋300aの上にある第1天井袋4a、建物の屋根50、及び第1天井袋4aと屋根50の間に位置する天井裏空間8でなる、屋根部分を有し、この屋根部分の天井裏空間8の底部には、天井板14aと、一定距離を置いてその上を覆うように設けた仕切板15とによって、天井側の空気経路となる第1天井袋4aが形成される。第1天井袋4aは、仕切板15を頂面、天井板14aを底面とし、内壁500を側面とした、扁平な直方体の空間である。第1天井袋4a(天井側通気層)は、天井板14a(及び仕切板16)の面積に対して高さが低く設定されて、狭い鉛直方向幅の空間を形成し、これが天井に沿った通気層7となる。第1天井袋4aには通気層7と連通する空気孔を設け、空気孔にはファンを適宜設けて、通気層7内の空気の流通を促進させることができる。天井裏空間8には通気層7と連通する天井妻側通気口61を設け、この通気口61には換気扇(ファン)60を適宜設けて、通気層7内の空気の流通を促進させることができる。
【0041】
この例においても、前記柱20の建屋Hの部屋H1となる内壁500が設けられるとともに、この内壁500に適宜間隔(空間S)を以って外壁501が設けられ、この空間S内に水袋充填の第1筐体2a~2nが配設される。加えて、内壁500、及び/又は、外壁501には、部屋H1の空気を、通気層7に導く空気孔を開口する(矢視A)。また、通気層7の下端開口7aは、床下Gの空気が流通する(矢視B)。図の如く、屋根50の空気は、換気扇60の働きで、天井妻側通気口61から建屋H外に排気される(矢視D)。この水袋充填の第1筐体2a~2nは、断熱材として役立つことになる。
【0042】
尚、本発明では、内外壁500、501に配置される水袋1充填の第1筐体2(断熱材3)は、水蒸気(水気)を吸って、カビ発生、又は腐りもなく、安全で、健康な生活が確保できる。
【0043】
図10は、実際の温度変化の計測結果で、即ち、外気温と、本発明等の断熱材を使用した際の温度を示す。グラフは、外気温度を水色で、セルロースファイバー断熱材は、赤色で、本発明の第1筐体2(第2筐体21を含む。以下同じであり、記載を省略する。)は、黄色で、示してある。第1筐体2による断熱効果の向上が示されている。(イ)は、時間の経過と、外気温と、二つの素材の断熱効果温度を示している図表で、(ロ)は、グラフを示している。初期の時間では、三者の間に差が生ずる。即ち、外気温が高い時でも、本発明の水袋1と第1筐体2を使用した断熱材3は、断熱材の温度に変化が生じにくく、断熱効果が高いことがわかる。
【0044】
図11は実験モデルの略図であり、
図10の(イ)、(ロ)のデータを採った際のものである。モデルの図は、左側が、セルロースファイバー断熱材のサンプル図を、右側が第1筐体2に水袋1を詰めた断熱材3のサンプル図であり、両者の中心に時計をセットし、計測した。
【0045】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態、及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0046】
1 水袋
2 第1筐体
2a~2n 水袋充填の第1筐体
21 第2筐体
21a~21n 水袋充填の第2筐体
21a 一方側壁体
21a1 上覆壁体
21a2 下覆壁体
21aa 表面
21b 左側壁体
21c 右側壁体
21b1 上覆壁体
21b2 下差込み壁体
21c1 上差込み壁体
21c2 下差込み壁体
21d 他方側半截壁体
21dd 表面
21d1 上覆壁体
21d2 下覆壁体
21d10 差込み片
21d20 差込み片
21e1 上覆壁体
21e 他方半截壁体
21ee 表面
21e2 下覆壁体
21e10 差込み片
21e20 差込み片
21f 他方半截端壁体
21g 他方半截端壁体
21h 繋ぎ壁体
21i 繋ぎ壁体
21j 差込み孔
21k 差込み孔
200 補助板
201 側面板
202 側面板
3 断熱材
4a 第1天井袋
5 壁
500 内壁
501 外壁
7 通気層
7a 下端開口
8 天井裏空間
10 土台
11 孔
14a 天井板
15 仕切板
20 柱
30 胴差し
300a 二階の部屋
40 軒桁
50 屋根
50a 開口部
51 棟木
52 屋根板
55 垂木
60 換気扇
61 天井妻側通気口
F 基礎
G 床下
S 空間
A~D 矢視
X1 間
X2 間
H 建屋
H1 部屋
2a1~2n1 空気孔
【手続補正書】
【提出日】2022-06-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に水袋を二個以上複数個詰め込み、前記筐体で、複数個の筐体を形成するとともに、前記複数個の筐体を、建物の壁に形成した空間に、順次、収める前記建物の前記壁の構造であって、
前記筐体の一方側壁体(21a)は、前記壁の内壁(500)に添設し、
前記筐体の他方側半截壁体(21d)及び(21e)と、前記壁の外壁(501)の内側間に通気層を形成し、
前記複数個の筐体を、順次、積層し、前記壁を、前記筐体で囲繞し、
前記筐体の前記他方側半截壁体(21d)及び(21e)は、前記通気層を通る空気に接触可能とし、
前記他方側半截壁体(21d)、(21e)と、他方側半截端壁体(21f)、(21g)は、それぞれ繋ぎ壁体(21h)、(21i)を介して繋がり、かつ前記繋ぎ壁体(21h)、(21i)は、前記一方側壁体(21a)と、前記他方側半截壁体(21d)及び(21e)の間(X1)に位置する構成とした、建物の壁の構造。
【請求項2】
前記筐体は、上下覆壁体(21a1)、(21a2)、及び差込み孔(21k)、(21j)を備えた方形の前記一方側壁体(21a)と、前記一方側壁体(21a)の左右側に設けた、上下差込み壁体(21b1)、(21b2)及び上下差込み壁体(21c1)、(21c2)を備えた左右側壁体(21b)、(21c)と、前記左右側壁体(21b)、(21c)に繋がる、上下覆壁体(21d1)、(21d2)、上下覆壁体(21e1)、(21e2)、差込み片(21d10)、(21d20)、及び差込み片(21e10)、(21e20)をそれぞれ備えた前記他方側半截壁体(21d)、(21e)と、前記他方側半截壁体(21d)、(21e)に、前記繋ぎ壁体(21h)、(21i)を介して繋がる前記他方側半截端壁体(21f)、(21g)で形成される、
請求項1に記載の建物の壁の構造。
【請求項3】
前記筐体は、段ボールで製作し、寸法を、縦365mm、横373mm、幅68mmとする構成とした、
請求項1に記載の建物の壁の構造。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項1に於いては、
筐体内に水袋を二個以上複数個詰め込み、筐体で、複数個の筐体を形成するとともに、複数個の筐体を、建物の壁に形成した空間に、順次、収める建物の壁の構造であって、
筐体の一方側壁体(21a)は、壁の内壁(500)に添設し、
筐体の他方側半截壁体(21d)及び(21e)と、壁の外壁(501)の内側間に通気層を形成し、
複数個の筐体を、順次、積層し、壁を、筐体で囲繞し、
筐体の他方側半截壁体(21d)、(21e)は、通気層を通る空気に接触可能とし、
他方側半截壁体(21d)及び(21e)と、他方側半截端壁体(21f)、(21g)は、それぞれ繋ぎ壁体(21h)、(21i)を介して繋がり、かつ繋ぎ壁体(21h)、(21i)は、一方側壁体(21a)と、他方側半截壁体(21d)及び(21e)の間(X1)に位置する構成とした、建物の壁の構造である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項2に於いては、
筐体は、上下覆壁体(21a1)、(21a2)、及び差込み孔(21k)、(21j)を備えた方形の一方側壁体(21a)と、一方側壁体(21a)の左右側に設けた、上下差込み壁体(21b1)、(21b2)及び上下差込み壁体(21c1)、(21c2)を備えた左右側壁体(21b)、(21c)と、左右側壁体(21b)、(21c)に繋がる、上下覆壁体(21d1)、(21d2)、上下覆壁体(21e1)、(21e2)、差込み片(21d10)、(21d20)、及び差込み片(21e10)、(21e20)をそれぞれ備えた他方側半截壁体(21d)、(21e)と、他方側半截壁体(21d)、(21e)に、繋ぎ壁体(21h)、(21i)を介して繋がる他方側半截端壁体(21f)、(21g)で形成される、
建物の壁の構造である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
筐体は、段ボールで製作し、寸法を、縦365mm、横373mm、幅68mmとする構成とした建物の壁の構造である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
尚、この
図5(イ)の状態において、前記間X1は、下覆壁体21a2、21d2、21e2で塞がれている。差込み片21d20、21e20を、差込み孔21j、21kへ差込み支持する。及び下折曲げ体21b2、21c2の内側への折曲げ操作を行う。そして、この
図5(イ)の状態が確保された過程で、
図6の如く、水袋1を所定数収容する。(
図6参照。)
この
図6に示すように、水袋1が充填されたことを確認した後、間X2を上覆壁体21a1、21d1、21e1で塞ぐ。差込み片21d10、21e10を差込み孔21j、21kへ差込み支持、及び
上差込み壁体21b1、21c1の内側への折曲げ操作を行う。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
1 水袋
2 第1筐体
2a~2n 水袋充填の第1筐体
21 第2筐体
21a~21n 水袋充填の第2筐体
21a 一方側壁体
21a1 上覆壁体
21a2 下覆壁体
21aa 表面
21b 左側壁体
21c 右側壁体
21b1 上差込み壁体
21b2 下差込み壁体
21c1 上差込み壁体
21c2 下差込み壁体
21d 他方側半截壁体
21dd 表面
21d1 上覆壁体
21d2 下覆壁体
21d10 差込み片
21d20 差込み片
21e1 上覆壁体
21e 他方側半截壁体
21ee 表面
21e2 下覆壁体
21e10 差込み片
21e20 差込み片
21f 他方半截端壁体
21g 他方半截端壁体
21h 繋ぎ壁体
21i 繋ぎ壁体
21j 差込み孔
21k 差込み孔
200 補助板
201 側面板
202 側面板
3 断熱材
4a 第1天井袋
5 壁
500 内壁
501 外壁
7 通気層
7a 下端開口
8 天井裏空間
10 土台
11 孔
14a 天井板
15 仕切板
20 柱
30 胴差し
300a 二階の部屋
40 軒桁
50 屋根
50a 開口部
51 棟木
52 屋根板
55 垂木
60 換気扇
61 天井妻側通気口
F 基礎
G 床下
S 空間
A~D 矢視
X1 間
X2 間
H 建屋
H1 部屋
2a1~2n1 空気孔
【手続補正13】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正14】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】