(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162703
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】繰出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20231101BHJP
A45D 40/00 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
B65D83/00 C
A45D40/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073261
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】宮入 圭介
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014AC07
(57)【要約】
【課題】使用されずに残ってしまう内容物の残量を減らすことができる繰出容器を提案する。
【解決手段】繰出容器10は、外筒体1と、外筒体1の内側に配置されて中心軸Oに沿って移動可能であって且つ中心軸Oまわりの回転が規制された支持体2と、第一螺旋溝2gに係合する第一係合部5bを有し外筒体1に対して中心軸Oまわりに回転可能に保持される操作体3と、孔部2bを挿通して受皿部2aから突出し内容物Cを保持する凸部6eを有し、中心軸Oに沿って移動可能な保持体6とを備え、外筒体1に対して操作体3を回転させると、支持体2の上昇とともに内容物Cと保持体6が上昇し、更にストッパー6cが操作体3に係合すると保持体6を残して支持体2が上昇することにより凸部6eが受皿部2aに対して沈み込むよう構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒体と、
平坦状の上面で内容物を支持する受皿部、該受皿部を貫通する孔部、及び該受皿部に連結するとともに内周面に第一螺旋溝を有する第一筒部を有し、前記外筒体の内側に配置されて該外筒体の中心軸に沿って移動可能であって且つ該中心軸まわりの回転が規制された支持体と、
前記第一螺旋溝に係合する第一係合部を有し、前記外筒体に対して前記中心軸まわりに回転可能に保持される操作体と、
前記孔部を挿通して前記受皿部から突出し前記内容物を保持する凸部、及び前記操作体に係合するストッパーを有し、該ストッパーが係合するまで前記中心軸に沿って移動可能な保持体と、を備え、
前記外筒体に対して前記操作体を回転させると、前記支持体の上昇とともに前記内容物と前記保持体が上昇し、更に前記ストッパーが前記操作体に係合すると該保持体を残して該支持体が上昇することにより前記凸部が前記受皿部に対して沈み込むよう構成された繰出容器。
【請求項2】
前記凸部の側面に、前記受皿部から突出した状態で該凸部の内側に前記内容物が入り込む開口部が設けられた請求項1に記載の繰出容器。
【請求項3】
前記支持体は、前記受皿部を貫通する充填孔部を有し、
下降した前記支持体の前記受皿部と前記外筒体との間に、前記充填孔部に通じていて、該充填孔部から充填される原料が固化されることで前記内容物が形作られる内側空間を備える請求項1に記載の繰出容器。
【請求項4】
前記操作体は、
前記第一筒部の径方向内側に位置する第二筒部、及び該第二筒部の外周面に設けられる第二係合部を有し、前記外筒体に対して前記中心軸まわりに回転可能に保持される回転体と、
前記第一筒部と前記第二筒部の間に配置され、外周面に前記第一係合部を有し、内周面に前記第二係合部に係合する第二螺旋溝を有する可動筒体と、を備える請求項1~3の何れか一項に記載の繰出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
口紅やリップクリーム、或いはスティックタイプの糊のような棒状の内容物を収容する容器として、下部の操作体を回転させることによって中皿を上昇させ、中皿で保持した棒状の内容物を上部開口から繰り出すことができる繰出容器が既知である(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
この種の繰出容器において中皿は、棒状の内容物を確実に保持できるようにするため、通常、内容物の底面を支持する底壁部と、底壁部の周囲を取り囲んで内容物の下部外周面を保持する周壁部とを備えて有底筒状になるように形作られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63-062016号公報
【特許文献2】特開2013-208154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところでこの種の繰出容器において、内容物の高さは使い続けていくうちに次第に低くなっていく。しかし、周壁部の上端部に至るまで低くなると、それ以上内容物を使うことは難しいため、周壁部の内側に比較的多量の内容物が残ることになる。
【0006】
このような点に鑑み、本発明は、使用されずに残ってしまう内容物の残量を減らすことができる繰出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、外筒体と、
平坦状の上面で内容物を支持する受皿部、該受皿部を貫通する孔部、及び該受皿部に連結するとともに内周面に第一螺旋溝を有する第一筒部を有し、前記外筒体の内側に配置されて該外筒体の中心軸に沿って移動可能であって且つ該中心軸まわりの回転が規制された支持体と、
前記第一螺旋溝に係合する第一係合部を有し、前記外筒体に対して前記中心軸まわりに回転可能に保持される操作体と、
前記孔部を挿通して前記受皿部から突出し前記内容物を保持する凸部、及び前記操作体に係合するストッパーを有し、該ストッパーが係合するまで前記中心軸に沿って移動可能な保持体と、を備え、
前記外筒体に対して前記操作体を回転させると、前記支持体の上昇とともに前記内容物と前記保持体が上昇し、更に前記ストッパーが前記操作体に係合すると該保持体を残して該支持体が上昇することにより前記凸部が前記受皿部に対して沈み込むよう構成された繰出容器である。
【0008】
前記凸部の側面に、前記受皿部から突出した状態で該凸部の内側に前記内容物が入り込む開口部が設けられることが好ましい。
【0009】
前記支持体は、前記受皿部を貫通する充填孔部を有し、
下降した前記支持体の前記受皿部と前記外筒体との間に、前記充填孔部に通じていて、該充填孔部から充填される原料が固化されることで前記内容物が形作られる内側空間を備えることが好ましい。
【0010】
前記操作体は、
前記第一筒部の径方向内側に位置する第二筒部、及び該第二筒部の外周面に設けられる第二係合部を有し、前記外筒体に対して前記中心軸まわりに回転可能に保持される回転体と、
前記第一筒部と前記第二筒部の間に配置され、外周面に前記第一係合部を有し、内周面に前記第二係合部に係合する第二螺旋溝を有する可動筒体と、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の繰出容器は、上記のように受皿部の孔部を挿通する凸部によって内容物を保持している。そして外筒体に対して操作体を回転させると、支持体の上昇とともに内容物と保持体が上昇し、更にストッパーが操作体に係合すると保持体を残して支持体が上昇するため、凸部を受皿部に対して沈み込ませることができる。すなわち、受皿部の上面から突出していた凸部の高さが低くなるため、使用されずに残ってしまう内容物の残量を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る繰出容器の一実施形態を示す側面視での半断面図である。
【
図2】(a)は
図1に示したA-Aに沿う断面図であり、(b)は径方向内側から外側へ向かう視点で抜け止めリブを示した図である。
【
図3】内部空間に内容物の原料を充填する状態について示した図である。
【
図4】ストッパーが操作体に係合して保持体の上昇が停止した状態を示した図である。
【
図5】
図4の状態から更に支持体が上昇した状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明に従う繰出容器の一実施形態(繰出容器10)について説明する。なお、本明細書等において上方とは、
図1に示した外筒体1の中心軸Oに沿う向きを基準として、カバー天壁7aが位置する側であり、下方とは、その逆側である。
【0014】
本実施形態の繰出容器10は、内容物Cを繰り出すものであって、外筒体1、支持体2、操作体3(回転体4と可動筒体5で構成される)、保持体6、及びカバー7で構成される。繰出容器10を構成する各部材は種々の素材で形成可能であるが、本実施形態では合成樹脂で形成されている。また各部材の詳細な形態は後述するが、各部材の中心は何れも中心軸Oと一致している。
【0015】
外筒体1は、中心軸Oを中心とする円筒状の外筒壁1aを備えている。外筒壁1aの下部内周面には、径方向外側に向けて凹状になる保持凹部1bが設けられている。そして外筒壁1aの内周面における上下方向中間部から上端部に至る部位には、径方向内側に向けて突出するとともに上下方向に沿って延在する回り止め凸部1cが設けられている。回り止め凸部1cは、
図2(a)に示すように中心軸Oを挟んで対向するように一対設けられている。外筒壁1aの外周面は、
図1に示すように、上下方向中間部に対して上部が小径になるように形作られている。
【0016】
支持体2は、上面が平坦状になる円板状の受皿部2aを備えている。受皿部2aは、受皿部2aを上下方向に貫通する孔部2bを備えている。孔部2bは、
図2(a)に示すように平面視で矩形状である。また孔部2bは、複数個(本実施形態では4個)設けられていて、これらは中心軸Oを中心として等間隔になるように配置されている。また受皿部2aの中央部には、平面視で円形であって受皿部2aを貫通する孔(充填孔部2c)が設けられている。
【0017】
受皿部2aの下面における外縁部には、下方に向けて延在する円筒状の第一筒部2dが設けられている。受皿部2aと第一筒部2dの外周面には、凹状をなし上下方向に延在して回り止め凸部1cに係合する回り止め凹部2eが設けられている。そして第一筒部2dの内周面には、中心軸Oを中心として螺旋状に延在する第一螺旋溝2gが設けられている。第一螺旋溝2gの下部には、
図1、
図2(b)に示すように、第一螺旋溝2gの溝底から径方向内側に向けて突出する第一抜け止めリブ2fが設けられている。また第一筒部2dの上部内周面には、径方向内側に向けて突出する突起(乗り越え突起2h)が設けられている。
【0018】
回転体4は、円筒状をなし、外筒壁1aの下方に位置する操作筒壁4aを備えている。操作筒壁4aの上端部には、操作筒壁4aよりも小径になる円筒状の中間筒壁4bが設けられている。中間筒壁4bの外周面には、保持凹部1bに係合する保持凸部4cが設けられていて、保持凹部1bに保持凸部4cが係合することにより、回転体4は、外筒体1に対して回転可能且つ抜け出し不能に保持される。
【0019】
中間筒壁4bの上端部には、径方向内側に向けて延在する連結壁4dが設けられていて、連結壁4dの内縁部には、上方に向けて延在する円筒状の第二筒部4eが設けられている。そして第二筒部4eの上部外周面には、径方向外側に向けて突出する部位(第二係合部4f)が設けられている。第二筒部4eの内周面には、円板状の中央壁4gが設けられていて、中央壁4gには、上下方向に中央壁4gを貫通する孔(回転体連通孔4h)が設けられている。
【0020】
可動筒体5は、円筒状をなす可動筒壁5aを備えている。可動筒壁5aは、外径が第一筒部2dの内径よりも小径であり、内径が第二筒部4eよりも大径であって、第一筒部2dと第二筒部4eの間に配置される。可動筒壁5aの上部外周面には、径方向外側に向けて突出する部位(第一係合部5b)が設けられている。図示したように第一係合部5bは、第一螺旋溝2gに係合している。そして可動筒壁5aの内周面には、中心軸Oを中心として螺旋状に延在し、第二係合部4fが係合する第二螺旋溝5cが設けられている。なお第二螺旋溝5cの下部には、第一抜け止めリブ2fと同様の形態になる第二抜け止めリブ5dが設けられている。更に可動筒壁5aは、第二筒部4eの上方に位置する部位から第二筒部4eを越えて径方向内側に向けて突出する可動筒体側係合部5eを備えている。
【0021】
保持体6は、円筒状をなし、可動筒体側係合部5eよりも径方向内側に位置する保持体筒壁6aを備えている。ここで、保持体筒壁6aの径方向内側に位置する貫通孔を保持体連通孔6bと称する。保持体筒壁6aの下部外周面には、径方向外側に突出する保持体側係合部6c(ストッパー)が設けられている。そして保持体筒壁6aの上端部には、径方向外側に向けて延在するリング板状の上壁6dが設けられている。
【0022】
上壁6dには、上方に向けて突出する有蓋筒状の凸部6eが設けられている。本実施形態の凸部6eは、
図2(a)に示すように平面視で矩形状である。凸部6eは、本実施形態では合計4個設けられていて、それぞれの凸部6eは孔部2bに挿通される。また凸部6eの側面には、孔部2bに挿通された凸部6eが受皿部2aから突出した状態において受皿部2aの上方で開口する開口部6fが設けられている。
【0023】
カバー7は、
図1に示すように断面形状が円弧状になるカバー天壁7aを備えている。カバー天壁7aの外縁部には、下方に向けて延在して外筒壁1aの上部に挿入されるカバー周壁7bが設けられている。カバー7は、カバー周壁7bを外筒壁1aの上部に挿入した状態で外筒体1に着脱可能に保持される。
【0024】
ところで本実施形態の内容物Cは、受皿部2aに設けられた充填孔部2cを利用して設けられている。この点を
図1、
図3を参照しながら説明する。まず
図1に示すように、支持体2が下降した状態(第一筒部2dの下端部が連結壁4dに近づいた状態)にしておく。この状態において、受皿部2aとこれを取り囲む外筒壁1aの間には、空間(内部空間N)が区画形成される。そしてカバー7を外筒体1から取り外し、
図3に示したキャップ8を外筒壁1aに取り付ける。キャップ8は、円板状壁8aの外周部に円筒状壁8bを設けたものであり、円筒状壁8bを外筒壁1aに挿入することによって外筒体1に保持される。そして、
図3に示すようにキャップ8が下方に位置するように繰出容器10を反転姿勢に変位させる。
【0025】
更に、不図示の充填機等に内容物Cの原料(内容物Cはこの原料を固化して形成される)を投入しておく。そしてこの充填機のノズルを、回転体連通孔4h及び保持体連通孔6bに挿入し、充填孔部2cから内部空間Nに充填する。その後は、例えば加熱等を行って原料を内部空間Nで固化させる。これにより、
図1に示したように棒状になる内容物Cを繰出容器10に設けることができる。内部空間Nに原料を充填した際、凸部6eの内側には開口部6fから原料が浸入するため、固化した内容物Cは、凸部6eの内側に入り込んだ状態になっている。なおキャップ8は、充填孔部2cから充填した原料が固化するまでの間に必要となるものであって、原料が固化した後は適宜取り外される。
【0026】
本発明における内容物Cは、上記の方法で設けられるものに限られず、例えば充填孔部2cを廃止し、
図1に示したように繰出容器10を正立姿勢に変位させた状態で上方から内部空間Nに原料を充填して設けてもよい。また、半固化状態の原料を準備し、これを内部空間Nに押し込んで固化させることによっても内容物Cを設けることが可能である。
【0027】
このような形態になる繰出容器10を使用するにあたっては、カバー7を取り外し、外筒体1に対して回転体4を回転させる。ここで、回転体4に設けた第二係合部4fは、可動筒体5に設けた第二螺旋溝5cに係合している。また可動筒体5には第一係合部5bが設けられていて、第一係合部5bは第一螺旋溝2gに係合している。従って回転体4を回転させると、第二係合部4fが第二螺旋溝5cに係合していることで回転体4と可動筒体5がともに回転し、更に第一係合部5bが第一螺旋溝2gに対して回転して、これにより支持体2が可動筒体5に対して上昇する(第一上昇パターン)、若しくは、第二係合部4fが第二螺旋溝5cに対して回転し、これにより可動筒体5が回転体4に対して上昇することにより支持体2が上昇する(第二上昇パターン)、又は第一上昇パターンと第二上昇パターンの組み合わせにより支持体2が上昇する。なお、第一上昇パターンと第二上昇パターンの何れが優先して生じるかは、例えば第一係合部5bと第一螺旋溝2gとの摩擦力と第二係合部4fと第二螺旋溝5cとの摩擦力の何れが大きいか等による。このように、第一上昇パターンと第二上昇パターンの何れであっても支持体2が上昇する。ここで、支持体2が上昇する際は、受皿部2aに支持された内容物Cも上昇する。更に、内容物Cには凸部6eが嵌まり込んだ状態になっているため、内容物Cとともに保持体6も上昇する。このように、外筒体1に対して回転体4を回転させることによって内容物Cを外筒体1の上端部から繰り出すことができるため、塗布先に内容物Cを塗布することができる。また内容物Cに対して凸部6eが嵌まり込んだ状態になっているため、塗布する際に内容物Cに対して左右方向の力が作用しても、内容物Cが受皿部2aから外れてしまう不具合を防止することができる。特に本実施形態においては、凸部6eの内側に内容物Cが入り込んでいるため、内容物Cが受皿部2aから外れてしまう不具合を更に有効に防止することができる。
【0028】
そして使用後は、回転体4を逆方向に回転させると、上記の第一上昇パターン、又は第二上昇パターンとは逆の流れで支持体2を下降させることができるため、外筒体1の内側に内容物Cを収容することができる。
【0029】
ところで、使用して高さが低くなる内容物Cを更に繰り出すために回転体4を更に回転させていくと、可動筒体5、支持体2、内容物C、及び保持体6は、
図4に示した状態まで上昇する。この状態において、回転体4の第二係合部4fは、第二抜け止めリブ5dによって第二螺旋溝5cでの進行が阻止されるため、回転体4に対する可動筒体5の上昇が停止する。またこの状態において、保持体側係合部6cは可動筒体側係合部5eに係合するため、保持体6の上昇が停止する。本実施形態において、上昇した保持体6が停止する高さは、外筒体1の上面に対して凸部6eの上面がほぼ揃う位置に設定されている。
【0030】
そして
図4に示した状態において、第一螺旋溝2gに設けた第一抜け止めリブ2fに対して第一係合部5bは係合しておらず、支持体2は可動筒体5に対して上昇可能な状態にある。なお、可動筒体5、支持体2、内容物C、及び保持体6は、上述した第二上昇パターンだけでなく第一上昇パターンでも上昇するため、第一上昇パターンが優先して生じる状況下では、第二係合部4fと第二抜け止めリブ5dが係合する前に第一係合部5bと第一抜け止めリブ2fが係合する(すなわち、可動筒体5が
図4に示した高さよりも低い位置にある状態で、保持体6に対して支持体2が上昇し、その結果、凸部6eに対して受皿部2aが上昇する)可能性が考えられる。しかし、凸部6eは内容物Cに嵌まり込んだ状態になっていて、凸部6eが内容物Cに対して移動する際には比較的大きな抵抗が作用する。従って、第一上昇パターンが優先して生じる状況下においても、
図4に示すように保持体6に対して支持体2が上昇する前に可動筒体5を最後まで上昇させることができる。更に本実施形態においては、支持体2に乗り越え突起2hを設けていて、保持体6に対して支持体2が上昇する際には、上壁6dが乗り越え突起2hを乗り越える際に抵抗が作用する。従って、保持体6に対して支持体2が上昇する前に、可動筒体5を最後まで確実に上昇させることができる。
【0031】
図4に示す状態から更に回転体4を回転させると、回転体4とともに可動筒体5が回転し、これにより第一係合部5bが第一螺旋溝2gに対して回転するため、可動筒体5に対して支持体2が上昇する。このとき保持体6は、保持体側係合部6cが可動筒体側係合部5eに係合して上昇不可の状態にあるため、支持体2は保持体6に対して上昇する。これにより、受皿部2aから突出していた凸部6eは、
図5に示すように受皿部2aに対して沈み込むことになる。すなわち、受皿部2aの上面と受皿部2aの上面の高さの差が小さくなるため、使い切れずに受皿部2aの上面に残ってしまう内容物Cの残量を減らすことができる。なお、本実施形態において第一係合部5bが第一抜け止めリブ2fに係合して支持体2の上昇が停止する高さは、外筒体1の上面に対して受皿部2aの上面がほぼ揃う位置に設定されている。すなわち、
図5に示すように沈み込んだ凸部6eの上面と受皿部2aの上面はほぼ同じ高さにあり、且つこれらは外筒体1の上面ともほぼ同じ高さにあるため、内容物Cの残量を一層減らすことができる。
【0032】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0033】
例えば上述した実施形態においては、操作体3を回転体4と可動筒体5で構成することにより、支持体2の上昇量を確保しつつ(すなわち内容物Cの長さを確保して十分な容量を維持しつつ)繰出容器10の高さを減らすことができるが、回転体4と可動筒体5を一体的に形成した操作体3を用いてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1:外筒体
1a:外筒壁
1b:保持凹部
1c:回り止め凸部
2:支持体
2a:受皿部
2b:孔部
2c:充填孔部
2d:第一筒部
2e:回り止め凹部
2f:第一抜け止めリブ
2g:第一螺旋溝
2h:乗り越え突起
3:操作体
4:回転体
4a:操作筒壁
4b:中間筒壁
4c:保持凸部
4d:連結壁
4e:第二筒部
4f:第二係合部
4g:中央壁
4h:回転体連通孔
5:可動筒体
5a:可動筒壁
5b:第一係合部
5c:第二螺旋溝
5d:第二抜け止めリブ
5e:可動筒体側係合部
6:保持体
6a:保持体筒壁
6b:保持体連通孔
6c:保持体側係合部(ストッパー)
6d:上壁
6e:凸部
6f:開口部
7:カバー
7a:カバー天壁
7b:カバー周壁
8:キャップ
8a:円板状壁
8b:円筒状壁
10:繰出容器
C:内容物
N:内部空間
O:中心軸