(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162729
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】電力変換制御装置、電力変換システム、電力変換制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20231101BHJP
H02H 3/087 20060101ALI20231101BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
H02M3/28 C
H02H3/087
H02J1/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073314
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勇人
(72)【発明者】
【氏名】田 キン浩
(72)【発明者】
【氏名】長竹 洋平
【テーマコード(参考)】
5G004
5G165
5H730
【Fターム(参考)】
5G004AA04
5G004BA04
5G004CA03
5G004DC14
5G165BB04
5G165CA01
5G165DA06
5G165EA06
5G165GA09
5G165NA01
5G165NA03
5G165NA05
5G165NA06
5G165NA09
5H730AA20
5H730AS01
5H730AS17
5H730BB27
5H730BB66
5H730DD04
5H730DD16
5H730EE04
5H730EE07
5H730FD01
5H730FD31
5H730FF09
5H730XX03
5H730XX13
5H730XX15
5H730XX23
5H730XX33
5H730XX35
(57)【要約】
【課題】ユーザーの負担を軽減しつつ電力変換器の動作効率を向上させることが可能な電力変換制御装置、電力変換システム、電力変換制御方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】本開示の電力変換制御装置は、交流電力を直流電力に変換する電力変換器を制御する電力変換制御装置であって、過電流保護部と許可部と制御部とを備える。過電流保護部は電力変換器の出力電流が閾値以上になると、電力変換器の動作を停止する過電流保護を行う。許可部は、電力変換器の出力電圧が低下して過電流保護が行われた場合に限り、過電流保護により停止した電力変換器の動作再開を許可する。制御部は、許可部により電力変換器の動作再開が許可された後、電力変換器の動作を再開させる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力を直流電力に変換する電力変換器を制御する電力変換制御装置であって、
前記電力変換器の出力電流が閾値以上になると、前記電力変換器の動作を停止する過電流保護を行う過電流保護部と、
前記電力変換器の出力電圧が低下して前記過電流保護が行われた場合に限り、前記過電流保護により停止した前記電力変換器の動作再開を許可する許可部と、
前記許可部により前記電力変換器の動作再開が許可された後、前記電力変換器の動作を再開させる制御部と、を備える、
電力変換制御装置。
【請求項2】
前記許可部は、前記電力変換器の出力電圧が所定値以下になって前記過電流保護が行われた場合に限り、前記電力変換器の動作再開を許可する、
請求項1に記載の電力変換制御装置。
【請求項3】
前記許可部は、前記電力変換器の出力電圧の単位時間当たりの減少量が所定量以上になって前記過電流保護が行われた場合に限り、前記電力変換器の動作再開を許可する、
請求項1または2に記載の電力変換制御装置。
【請求項4】
前記過電流保護が行われた場合に、前記電力変換器が動作不能の状態を示すエラーフラグが有効となり、
前記許可部により前記電力変換器の動作再開が許可されると、前記エラーフラグは無効となる、
請求項1に記載の電力変換制御装置。
【請求項5】
交流電力を直流電力に変換する電力変換器と、前記電力変換器を制御する電力変換制御装置と、を備える電力変換システムであって、
前記電力変換器の出力電流が閾値以上になると、前記電力変換器の動作を停止する過電流保護を行う過電流保護部と、
前記電力変換器の出力電圧が低下して前記過電流保護が行われた場合に限り、前記過電流保護により停止した前記電力変換器の動作再開を許可する許可部と、
前記許可部により前記電力変換器の動作再開が許可された後、前記電力変換器の動作を再開させる制御部と、を備える、
電力変換システム。
【請求項6】
交流電力を直流電力に変換する電力変換器を制御する電力変換制御装置による電力制御方法であって、
前記電力変換器の出力電流が閾値以上になると、前記電力変換器の動作を停止する過電流保護を行う過電流保護ステップと、
前記電力変換器の出力電圧が低下して前記過電流保護が行われた場合に限り、前記過電流保護により停止した前記電力変換器の動作再開を許可する許可ステップと、
前記許可ステップにより前記電力変換器の動作再開が許可された後、前記電力変換器の動作を再開させる動作再開ステップと、を含む、
電力変換制御方法。
【請求項7】
交流電力を直流電力に変換する電力変換器を制御する電力変換制御装置に、
前記電力変換器の出力電流が閾値以上になると、前記電力変換器の動作を停止する過電流保護を行う過電流保護ステップと、
前記電力変換器の出力電圧が低下して前記過電流保護が行われた場合に限り、前記過電流保護により停止した前記電力変換器の動作再開を許可する許可ステップと、
前記許可ステップにより前記電力変換器の動作再開が許可された後、前記電力変換器の動作を再開させる動作再開ステップと、を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換制御装置、電力変換システム、電力変換制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両に搭載された蓄電池の充電などに用いられ、外部電源からの交流電力を直流電力に変換する電力変換器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の電力変換器では、出力電流を一定に維持しようとするが、例えば出力電圧が急峻に低下し、電力変換器のフィードバック動作が出力電圧の変化に追いつかない場合は、出力電力が一定のため出力電圧が低下すると出力電流が増大する。その結果、出力電流が閾値を超えると過電流保護が動作し、電力変換器は停止する(電力変換器による蓄電池の充電は停止する)。
【0005】
従来においては、過電流保護により停止した電力変換器の動作再開の許可条件として、特別な処理(例えば一定時間経過後に再度充電動作を実行し、過電流保護が発生しなければ充電動作を継続する処理等)または操作(例えば外部電源系統と電力変換器を接続するためのコネクタを一度取り外し、再度接続する操作等)が必要になっていた。このため、ユーザーの負担が大きくなってしまったり、電力変換器の動作再開にも時間を要することになるので電力変換器の動作効率も悪化するという問題がある。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザーの負担を軽減しつつ電力変換器の動作効率を向上させることが可能な電力変換制御装置、電力変換システム、電力変換制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の電力変換制御装置は、交流電力を直流電力に変換する電力変換器を制御する電力変換制御装置であって、前記電力変換器の出力電流が閾値以上になると、前記電力変換器の動作を停止する過電流保護を行う過電流保護部と、前記電力変換器の出力電圧が低下して前記過電流保護が行われた場合に限り、前記過電流保護により停止した前記電力変換器の動作再開を許可する許可部と、前記許可部により前記電力変換器の動作再開が許可された後、前記電力変換器の動作を再開させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ユーザーの負担を軽減しつつ電力変換器の動作効率を向上させることができる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載された何れかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態の車両の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態の電力変換システムの構成の一例を示す図ある。
【
図3】
図3は、実施形態の電力変換器の動作を説明するための図である。
【
図4】
図4は、実施形態の電力変換器の動作を説明するための図である。
【
図5】
図5は、実施形態の電力変換制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態の電力変換制御装置が有する機能の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態の電力変換制御装置の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態の電力変換制御装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の実施形態に係る電力変換制御装置、電力変換システム、電力変換制御方法およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
図1は、本実施形態の車両1の構成の一例を示す図である。車両1は、電力を動力源として動く移動体の一例である。本実施形態に係る車両1は、電力により駆動される走行モータの動力で走行する電気自動車(Electric Vehicle)である。
【0012】
図1に示すように、車両1は、電力変換システム10、バッテリ20、インバータ30、走行用モータ40を少なくとも備える。
【0013】
電力変換システム10は、外部の電力供給源50から、ケーブル100およびコネクタ110を介して供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力をバッテリ20へ供給する。電力変換システム10の詳細な構成については後述する。
【0014】
電力供給源50は、例えば一般家庭または事業所などに設置されている、単相100Vまたは200Vの商用電源である。なお、例えば電力供給源50は、充電スタンドなどの市街地または路面下等に設けられる、不特定多数の利用を前提とする公共用充電設備であっても構わない。
【0015】
ケーブル100は、車両1に搭載されたバッテリ20を充電する際に、電力供給源50と、車両1とを接続するケーブルである。
図1に示すように、ケーブル100は、電源プラグ101、充電カプラ102、接続ケーブル103を有する。
【0016】
電源プラグ101は、電力供給源50の電源コンセント(差し込み口)51に着脱自在に接続される。充電カプラ102は、コネクタ110を介して、電力変換システム10に含まれる後述の電力変換器210に着脱自在に接続される。接続ケーブル103は、電源プラグ101と充電カプラ102とを接続する。
【0017】
電力変換システム10で変換された直流電力で充電可能なバッテリ20は、例えばリチウムイオンバッテリなどで構成されてもよい。インバータ30は、バッテリ20から出力される電力を交流電力に変換し、走行用モータ40へ供給する。走行用モータ40は、インバータ30から供給される電力で駆動し、車輪を回転させる。
【0018】
次に、電力変換システム10の構成を説明する。
図2は、本実施形態の電力変換システム10の構成の一例を示す図である。
図2に示すように、電力変換システム10は、交流電力を直流電力に変換する電力変換器210と、電力変換器210を制御する電力変換制御装置220と、を含む。
【0019】
図2に示すように、電力変換器210は、一対の入力端子Cin1,Cin2と、第1のスイッチング素子群211と、第2のスイッチング素子群212と、一次側コイル213と、容量素子214と、二次側コイル215と、第1の整流素子群216と、第2の整流素子群217と、容量素子218と、バッテリ20に接続可能な一対の出力端子Cоut1,Cоut2と、を備える。
【0020】
一対の入力端子Cin1,Cin2は、コネクタ110から供給される交流電力を整流する整流回路(不図示)に接続される。一対の入力端子Cin1,Cin2には、コネクタ110からの交流電力に応じた直流電力が入力される。
【0021】
第1のスイッチング素子群211は、互いに直列に接続される第1のスイッチング素子SW1および第2のスイッチング素子SW2を含む。第1のスイッチング素子SW1および第2のスイッチング素子SW2の各々のオンオフ動作は、電力変換制御装置220によって排他的に制御される。つまり、第1のスイッチング素子SW1がオン状態のときは第2のスイッチング素子SW2はオフ状態となり、第1のスイッチング素子SW1がオフ状態のときは第2のスイッチング素子SW2はオン状態となるよう、電力変換制御装置220によって制御される。第1のスイッチング素子SW1および第2のスイッチング素子SW2の各々は、例えばゲートに印加される電圧に応じてオンオフが切り替わるMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)等のトランジスタで構成されてもよい。
【0022】
第1のスイッチング素子群211は、入力端子Cin1,Cin2に対して並列に接続される。より具体的には、第1のスイッチング素子SW1の端子のうち第2のスイッチング素子SW2と接続されない側の端子は、一方の入力端子Cin1に接続され、第2のスイッチング素子SW2の端子のうち第1のスイッチング素子SW1と接続されない側の端子は、他方の入力端子Cin2に接続される。
【0023】
第2のスイッチング素子群212は、互いに直列に接続される第3のスイッチング素子SW3および第4のスイッチング素子SW4を含む。第3のスイッチング素子SW3および第4のスイッチング素子SW4の各々のオンオフ動作は、電力変換制御装置220によって排他的に制御される。つまり、第3のスイッチング素子SW3がオン状態のときは第4のスイッチング素子SW4はオフ状態となり、第3のスイッチング素子SW3がオフ状態のときは第4のスイッチング素子SW4はオン状態となるよう、電力変換制御装置220によって制御される。第3のスイッチング素子SW3および第4のスイッチング素子SW4の各々は、例えばゲートに印加される電圧に応じてオンオフが切り替わるMOSFET等のトランジスタで構成されてもよい。
【0024】
第2のスイッチング素子群212は、第1のスイッチング素子群211よりも後段(出力側)に配置され、入力端子Cin1,Cin2に対して並列に接続される。より具体的には、第3のスイッチング素子SW3の端子のうち第4のスイッチング素子SW4と接続されない側の端子は、一方の入力端子Cin1に接続され、第4のスイッチング素子SW4の端子のうち第3のスイッチング素子SW3と接続されない側の端子は、他方の入力端子Cin2に接続される。
【0025】
図2に示すように、第1のスイッチング素子SW1と第2のスイッチング素子SW2との接続点ND1と、第3のスイッチング素子SW3と第4のスイッチング素子SW4との間の接続点ND2との間には、一次側コイル213および容量素子214が直列に接続される。
【0026】
本実施形態では、電力変換制御装置220は、第1のスイッチング素子SW1と第4のスイッチング素子SW4のオンオフ動作が同期するように制御し、第2のスイッチング素子SW2と第3のスイッチング素子SW3のオンオフ動作が同期するように制御する。電力変換制御装置220は、第1のスイッチング素子SW1と第4のスイッチング素子SW4のオン状態(第2のスイッチング素子SW2と第3のスイッチング素子SW3はオフ状態)と、第2のスイッチング素子SW2と第3のスイッチング素子SW3のオン状態(第1のスイッチング素子SW1と第4のスイッチング素子SW4はオフ状態)と、を交互に切り替えて、一次側コイル213に流れる電流の向きを切り替える。
【0027】
例えば電力変換制御装置220の制御の下、第1のスイッチング素子SW1および第4のスイッチング素子SW4がオン状態、第2のスイッチング素子SW2および第3のスイッチング素子SW3がオフ状態になる場合を想定する。この場合、
図3に示すように、入力端子Cin1から、オン状態の第1のスイッチング素子SW1、一次側コイル213、オン状態の第4のスイッチング素子SW4を介して、入力端子Cin2へ向かう方向へ電流が流れる。
【0028】
一方、例えば電力変換制御装置220の制御の下、第1のスイッチング素子SW1および第4のスイッチング素子SW4がオフ状態、第2のスイッチング素子SW2および第3のスイッチング素子SW3がオン状態になる場合を想定する。この場合、
図4に示すように、入力端子Cin1から、オン状態の第3のスイッチング素子SW3、一次側コイル213、オン状態の第2のスイッチング素子SW4を介して、入力端子Cin2へ向かう方向へ電流が流れる。
【0029】
以上のようにして一次側コイル213に交流電流が流れ、電磁誘導によって二次側コイル215にも交流電流が発生する。
【0030】
図2の説明を続ける。
図2に示すように、一次側コイル213よりも後段(出力側)に配置される第1の整流素子群216は、互いに直列に接続される第1の整流素子D1および第2の整流素子D2を含む。第1の整流素子群216は、出力端子Cоut1,Cоut2に対して並列に接続される。より具体的には、第1の整流素子D1の端子のうち第2の整流素子D2と接続されない側の端子は、一方の出力端子Cоut1に接続され、第2の整流素子D2の端子のうち第1の整流素子D1と接続されない側の端子は、他方の出力端子Cоut2に接続される。この例では、第1の整流素子D1および第2の整流素子D2の各々は、
図2の下から上へ向かう方向へ電流を整流し、例えばダイオードで構成されてもよい。
【0031】
また、
図2に示すように、第2の整流素子群217は、互いに直列に接続される第3の整流素子D3および第4の整流素子D4を含む。第2の整流素子群217は、第1の整流素子群216よりも後段(出力側)に配置され、出力端子Cоut1,Cоut2に対して並列に接続される。より具体的には、第3の整流素子D3の端子のうち第4の整流素子D4と接続されない側の端子は、一方の出力端子Cоut1に接続され、第4の整流素子D4の端子のうち第3の整流素子D3と接続されない側の端子は、他方の出力端子Cоut2に接続される。この例では、第3の整流素子D3および第4の整流素子D4の各々は、
図2の下から上へ向かう方向へ電流を整流し、例えばダイオードで構成されてもよい。
【0032】
図2に示すように、第1の整流素子D1と第2の整流素子D2との接続点ND3と、第3の整流素子D3と第4の整流素子D4との間の接続点ND4との間には、二次側コイル215が接続される。この構成により、二次側コイル215に発生する電流が何れの方向であっても、第1の整流素子群216または第2の整流素子群217から出力される電流(出力電流I
DC)を一定の方向に整流することができる。
【0033】
例えば、二次側コイル215に発生する電流が
図2の下から上へ向かう方向であった場合は、出力電流I
DCの向きは第1の整流素子D1によって規定される方向(
図2の下から上へ向かう方向)となる。一方、二次側コイル215に発生する電流が
図2の上から下へ向かう方向であった場合は、出力電流I
DCの向きは第3の整流素子D3によって規定される方向(
図2の下から上へ向かう方向)となる。このように、二次側コイル215に発生する電流が下から上へ向かう方向、または、上から下へ向かう方向の何れであっても、第1の整流素子群216または第2の整流素子群217により、
図2の下から上へ出力電流I
DCが流れるように整流される。
【0034】
また、
図2に示すように、容量素子218は、第1の整流素子群216および第2の整流素子群217の後段に配置され、出力端子Cоut1,Cоut2に対して並列に接続される。容量素子218を構成する一対の電極のうちの一方の電極は一方の出力端子Cоut1に接続され、他方の電極は他方の出力端子Cоut2に接続される。容量素子218は、第1の整流素子群216および第2の整流素子群217で整流された出力電流I
DCを平滑化する役割を果たす。
【0035】
次に、電力変換制御装置220の構成を説明する。
図5は、電力変換制御装置220のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5に示すように、電力変換制御装置220は、CPU(Central Processing Unit)221と、ROM(Read Only Memory)222と、RAM(Random Access Memory)223と、機器I/F224と、を備える。
【0036】
CPU221は、プログラムを実行することにより、電力変換制御装置220の動作を統括的に制御し、電力変換制御装置220が有する各種の機能を実現する。ROM222は、不揮発性のメモリであり、電力変換制御装置220が有する各種の機能に対応するプログラムを含む各種データを記憶する。RAM223は、CPU221の作業領域を有する揮発性のメモリである。機器I/F224は、電力変換器210等の外部機器と接続するためのインタフェースである。
【0037】
図6は、電力変換制御装置220が有する機能の一例を示す図である。
図5に示すように、電力変換制御装置220は、出力監視部230と、制御部240と、過電流保護部250と、許可部260と、を有する。なお、
図6の例では、電力制御装置220が有する機能の一例を示しているが、電力制御装置220はさらに他の機能を有していてもよい。
【0038】
出力監視部230は、電力変換器210の出力を監視(検知)する。より具体的には、出力監視部230は、電力変換器210の出力電流IDCと、出力端子Cоut1,Cоut2間の出力電圧VDCを監視する。
【0039】
制御部240は、出力監視部230により監視される出力に基づいて、電力変換器210の動作を制御する。この例では、入力端子Cinへ入力される入力電流Iin、および、入力端子Cin1,2間の入力電圧Vinは一定であり、制御部240は、出力電流IDCが一定になるよう、電力変換器210の第1のスイッチング素子SW1~第4のスイッチング素子SW4のオンオフ動作を制御する。この例では、第1のスイッチング素子SW1~第4のスイッチング素子SW4の各々がオン状態を維持する時間(オン時間)は一定である。そのため、制御部240は、第1のスイッチング素子SW1と第4のスイッチング素子SW4のオン状態と、第2のスイッチング素子SW2と第3のスイッチング素子SW3のオン状態と、が切り替わる間隔を可変に切り替えて、スイッチングの周波数を変化させることができる。
【0040】
過電流保護部250は、電力変換器210の出力電流IDCが閾値以上になると、電力変換器210の動作を停止する過電流保護を行う。より具体的には、過電流保護部250は、電力変換器210の出力電流IDCが閾値以上になると、電力変換器210の第1のスイッチング素子SW1~第4のスイッチング素子SW4の各々を全てオフ状態に維持する(スイッチング動作を停止させる)。
【0041】
この例では、電力変換器210の出力電流IDCが閾値以上になると、過電流保護の条件が成立したことを示すOCPフラグが有効(この例ではハイレベル)となる。また、過電流保護が行われた場合に、電力変換器210が動作不能の状態を示すエラーフラグが有効(この例ではハイレベル)となり、後述の許可部260により電力変換器210の動作再開が許可されると、エラーフラグは無効(この例ではローレベル)となる。OCPフラグおよびエラーフラグの各々の有効/無効の切り替えは、過電流保護部250または後述の許可部260が行ってもよいし、他の機能が行ってもよい。
【0042】
許可部260は、電力変換器210の出力電圧VDCが低下して過電流保護が行われた場合に限り、過電流保護により停止した電力変換器210の動作再開を許可する。より具体的には、許可部260は、電力変換器210の出力電圧VDCが所定値以下になって過電流保護が行われた場合に限り、電力変換器210の動作再開を許可する。なお、例えば許可部260は、電力変換器210の出力電圧VDCの単位時間当たりの減少量が所定量以上になって過電流保護が行われた場合に限り、電力変換器210の動作再開を許可する形態であってもよい。さらに、例えば許可部260は、電力変換器210の出力電圧VDCが所定値以下、かつ、出力電圧VDCの単位時間当たりの減少量が所定量以上になって過電流保護が行われた場合に限り、電力変換器210の動作再開を許可する形態であってもよい。
【0043】
制御部240は、許可部260により電力変換器210の動作再開が許可された後、電力変換器210の動作を再開させる。
【0044】
以上に説明した電力変換制御装置220が有する出力監視部230、制御部240、過電流保護部250および許可部260の各々の機能は、CPU221がROM222等に格納されたプログラムを実行することにより実現される。ただし、これに限らず、例えば上述した各部の機能の一部または全部を専用のハードウェア回路で実現する形態であってもよい。また、上述した各部の機能が、複数の装置に分散されて搭載される形態であってもよい。
【0045】
図7は、過電流保護が発生する場合における、電力変換制御装置220の動作例を示すタイミングチャートである。
図7に示すように、出力電圧V
DCが急峻に低下して所定値以下になり、電力変換器210のフィードバック動作(出力電流I
DCを一定に維持するためのスイッチング動作)が出力電圧V
DCの変化に追いつかない場合は、出力電流I
DCが増大する。
【0046】
出力電流IDCが閾値以上になると、過電流保護の条件が成立し、OCPフラグがハイレベルに遷移する。そして、過電流保護部250は過電流保護を行い、電力変換器210の動作は停止(バッテリ30の充電が停止)する。電力変換器210の動作が停止すると、OCPフラグはローレベルに遷移し、充電の可否を示す充電フラグは、充電可能であることを示すハイレベルから、充電不能であることを示すローレベルに遷移する。また、上述のエラーフラグはハイレベルに遷移する。
【0047】
許可部260は、出力電圧VDCが所定値以下になって過電流保護が行われたことを確認すると、電力変換器210の動作再開を許可する。許可部260による許可を受けて、エラーフラグはローレベルに遷移し、充電フラグはハイレベルに遷移し、制御部240は、電力変換器210の動作を再開させることができる。
【0048】
図7の例では、出力電圧V
DCが閾値以下になって過電流保護が行われたので、これは、出力電圧V
DCの急峻な低下による過電流であると判断できる。このため、特別な復旧操作等を必要とせずにエラーフラグを解消できる。
【0049】
例えばエラーフラグを解消する条件(電力変換器210の動作再開を許可する条件)として、コネクタ110を電力変換器210から取り外し、再度接続することを条件とする形態(対比例)も考えられる。この対比例では、上述のような特別な復旧操作等を必要としない(コネクタ110の接続等は関係無い)、出力電圧VDCの急峻な低下による過電流の場合であっても、ユーザーは、エラーフラグを解消するために、コネクタ110を電力変換器210から取り外し、再度接続する操作を行う必要がある。このため、ユーザーの負担が大きい上、電力変換器210の動作再開にも時間を要するので電力変換器210の動作効率も悪化する。
【0050】
これに対して、
図7に示す本実施形態の例では、出力電圧V
DCが所定値以下になって過電流保護が行われた場合には、例えばコネクタ110の再接続などの特別な操作等を必要とせずにエラーフラグが解消されるので、対比例に比べて、電力変換器210の動作再開までの時間を短縮できる。これにより、ユーザーの負担を軽減しつつ電力変換器210の動作効率を向上させることができる。
【0051】
図8は、過電流保護が発生する場合における、電力変換制御装置220の動作例を示すフローチャートである。
図8に示すように、電力変換器210の出力電流I
DCが閾値以上の場合(ステップS10:Yes)、過電流保護部250は過電流保護を行う(ステップS11)。
【0052】
次に、許可部260は、過電流保護のタイミングに対応する出力電圧VDC(過電流保護が行われる直前などの直近のタイミングにおける出力電圧VDC)が所定値以下であるか否かを確認する(ステップS12)。ステップS12の結果が肯定の場合(ステップS12:Yes)、許可部260は、電力変換器210の動作再開を許可する(ステップS13)。一方、ステップS12の結果が否定の場合(ステップS12:Nо)、許可部260は、出力電圧VDCの急峻な低下以外の原因によるエラーフラグを解消するための特別な操作(リセット操作)を受け付けた場合に限り(ステップS14:Yes)、電力変換器210の動作再開を許可する(ステップS13)。
【0053】
ステップS13の後、エラーフラグは解消され、制御部240は、電力変換器210の動作を再開させる(ステップS15)。
【0054】
以上に説明したように、本実施形態の電力変換制御装置220は、電力変換器210の出力電圧VDCが低下して過電流保護が行われた場合に限り、過電流保護により停止した電力変換器210の動作再開を許可する。これにより、電力変換制御装置220自身が過電流発生の要因を特定し、例えばコネクタ110の再接続などの特別な操作等を必要とせずにエラーフラグが解消されるので、電力変換器210の動作再開までの時間を短縮できる。従って、本実施形態によれば、ユーザーの負担を軽減しつつ電力変換器210の動作効率を向上させることができる。
【0055】
以上、本開示の実施形態を説明したが、上述の実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら新規な実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0056】
また、本開示の実施形態においては、電力変換システム10が車両1に適用される例を挙げて説明したが、これに限らず、電力変換システム10は様々な装置に適用可能である。また、本明細書に記載された実施形態における効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 車両
10 電力変換システム
20 バッテリ
30 インバータ
40 走行用モータ
50 電力供給源
210 電力変換器
220 電力変換制御装置
230 出力監視部
240 制御部
250 過電流保護部
260 許可部