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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162738
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20231101BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20231101BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20231101BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20231101BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
B41J29/38 202
B41J29/38 201
B41J29/46 Z
H04N1/00 Z
B41J5/30 Z
B41J21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073335
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】山本 俊介
【テーマコード(参考)】
2C061
2C187
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061HK05
2C061HN06
2C061HN15
2C061HN29
2C187AC06
2C187AC08
2C187AD14
2C187BF41
2C187BG03
2C187BG05
2C187DB02
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC22
5C062AC34
5C062AC58
5C062AC60
5C062AF15
(57)【要約】
【課題】IPPに従って画像データを印刷可能な画像形成装置において、送信されてきた印刷ジョブデータの複数部印刷について、使い勝手のよい画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】コントローラ23は、蓄積印刷処理において、受信されたIPPに従った印刷ジョブデータに、複数部数分の画像データが含まれており、1部当たりのページ数を示す特定パラメータが含まれていない場合に、受信されたIPPに従った印刷ジョブデータに含まれている、複数部数分の画像データをメモリ28に蓄積し、ユーザIF22を介した部数指示の受け付けを制限する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザインタフェースと、
プリンタと、
コントローラと、
メモリと、
を備え、
前記コントローラは、
IPPに従った印刷ジョブデータを受信し、受信した前記印刷ジョブデータを前記メモリに蓄積しておき、前記ユーザインタフェースを介して受け付けた指示に応じて、前記メモリに蓄積された前記印刷ジョブデータに含まれる画像データを印刷する蓄積印刷処理を実行可能であり、前記蓄積印刷処理では、前記ユーザインタフェースを介して、印刷部数を示す部数指示を受け付けると、前記メモリに蓄積された前記印刷ジョブデータに基づいて、前記部数指示により示される印刷部数分の印刷を実行することが可能であり、
前記蓄積印刷処理では、
受信されたIPPに従った前記印刷ジョブデータに、複数部数分の画像データと、1部当たりのページ数を示す特定パラメータとが含まれている場合に、
受信されたIPPに従った前記印刷ジョブデータに含まれている複数部数分の画像データのうち、前記特定パラメータにより示されている1部当たりのページ数の画像データを前記メモリに蓄積し、
蓄積された前記1部当たりのページ数分の画像データを、前記部数指示により示された印刷部数に応じた回数印刷し、
受信されたIPPに従った前記印刷ジョブデータに、複数部数分の画像データが含まれており、前記1部当たりのページ数を示す前記特定パラメータが含まれていない場合に、
受信されたIPPに従った前記印刷ジョブデータに含まれている、複数部数分の前記画像データを前記メモリに蓄積し、
前記ユーザインタフェースを介した前記部数指示の受け付けを制限する、構成とされた画像形成装置。
【請求項2】
ユーザインタフェースと、
プリンタと、
コントローラと、
メモリと、
を備え、
前記コントローラは、
IPP(Internet Printing Protocol)に従った印刷ジョブデータを受信し、受信した前記印刷ジョブデータを前記メモリに蓄積しておき、前記ユーザインタフェースを介して受け付けた指示に応じて、前記メモリに蓄積された前記印刷ジョブデータに含まれる画像データを印刷する蓄積印刷処理を実行可能であり、前記蓄積印刷処理では、前記ユーザインタフェースを介して、印刷部数を示す部数指示を受け付けると、前記メモリに蓄積された前記印刷ジョブデータに基づいて、前記部数指示により示される印刷部数分の印刷を実行することが可能であり、
前記蓄積印刷処理では、
受信されたIPPに従った前記印刷ジョブデータに、複数部数分の画像データと、1部当たりのページ数を示す特定パラメータとが含まれている場合に、
受信されたIPPに従った前記印刷ジョブデータに含まれている、複数部数分の前記画像データのうち、前記特定パラメータにより示されている1部当たりのページ数の画像データを前記メモリに蓄積し、
蓄積された前記1部当あたりのページ数分の画像データを、前記部数指示により示された印刷部数に応じた回数印刷し、
受信されたIPPに従った前記印刷ジョブデータに、複数部数分の画像データが含まれており、前記1部当たりのページ数を示す前記特定パラメータが含まれていない場合に
受信されたIPPに従った前記印刷ジョブデータに含まれている、複数部数分の前記画像データを前記メモリに蓄積し、
前記部数指示に関する警告を前記ユーザインタフェースに表示させる、構成とされた画像形成装置。
【請求項3】
ユーザインタフェースと、
プリンタと、
コントローラと、
メモリと、
を備え、
前記コントローラは、
IPP(Internet Printing Protocol)に従った印刷ジョブデータを受信し、受信した前記印刷ジョブデータを前記メモリに蓄積しておき、前記ユーザインタフェースを介して受け付けた指示に応じて、前記メモリに蓄積された前記印刷ジョブデータに含まれる画像データを印刷する蓄積印刷処理を実行可能であり、前記蓄積印刷処理では、前記ユーザインタフェースを介して、印刷部数を示す部数指示を受け付けると、前記メモリに蓄積された前記印刷ジョブデータに基づいて、前記部数指示により示される印刷部数分の印刷を実行することが可能であり、
前記ユーザインタフェースを介して、前記蓄積印刷処理について、第1動作および第2動作のいずれを有効とするかを指示する操作を受け付け、受付けた操作に従って、有効とする動作を示す設定値を前記メモリに記憶しておくことが可能であり、
前記蓄積印刷処理では、
受信されたIPPに従った前記印刷ジョブデータに、複数部数分の画像データと、1部当たりのページ数を示す特定パラメータとが含まれているが場合に、
受信されたIPPに従った前記印刷ジョブデータに含まれている、複数部数分の画像データのうち、前記特定パラメータにより示されている1部当たりのページ数の画像データを前記メモリに蓄積し、
蓄積された前記1部当あたりのページ数分の画像データを、前記部数指示により示された印刷部数に応じた回数印刷し、
受信されたIPPに従った前記印刷ジョブデータに、複数部数分の画像データが含まれており、前記1部当たりのページ数を示す前記特定パラメータが含まれていない場合に、
受信されたIPPに従った前記印刷ジョブデータに含まれている、複数部数分の前記画像データを前記メモリに蓄積し、
前記メモリに前記第1動作が有効であることを示す前記設定値が記憶されていれば、前記ユーザインタフェースを介した前記部数指示の受け付けを制限し、
前記メモリに前記第2動作が有効であることを示す前記設定値が記憶されていれば、前記部数指示に係る警告を前記ユーザインタフェースに表示させる、構成とされた画像形成装置。
【請求項4】
前記蓄積印刷処理では、
受信されたIPPに従った前記印刷ジョブデータに、前記特定パラメータが含まれていない場合であっても、部数分の画像データとして1ページ分の画像データが含まれていれば、
受信されたIPPに従った前記印刷ジョブデータに含まれる前記1ページ分の画像データを前記メモリに蓄積し、
蓄積された前記1ページ分の画像データを、前記部数指示により示された印刷部数に応じた回数印刷する、構成とされた請求項1~3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記蓄積印刷処理では、
受信された前記印刷ジョブデータがIPP以外のプロトコルに従っている場合に、
受信されたIPP以外のプロトコルに従った前記印刷ジョブデータに含まれる複数部数分の前記画像データを前記メモリに蓄積し、
蓄積された前記複数部数分の画像データを、前記部数指示により示された印刷部数に応じた回数印刷する、構成とされた請求項1~3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記蓄積印刷処理では、
前記ユーザインタフェースに、印刷部数を示す操作アイコンを表示し、前記操作アイコンに対する操作に応じて前記部数指示を受け付け可能であり、
受信されたIPPに従った前記印刷ジョブデータに、複数部数分の画像データと、前記1部当たりのページ数を示す前記特定パラメータとが含まれている場合に、
前記ユーザインタフェースに、前記特定パラメータにより示される印刷部数を初期値として示す前記操作アイコンを表示し、
前記操作アイコンに対する操作に応じて、前記部数指示の変更を受け付けると、蓄積された前記1部当たりのページ数分の画像データを、前記操作アイコンにより示された印刷部数に応じた回数印刷する、構成とされた請求項1~3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
ユーザインタフェースと、
プリンタと、
コントローラと、
メモリと、
を備え、
IPP(Internet Printing Protocol)に従った印刷ジョブデータを受信し、受信した前記印刷ジョブデータを前記メモリに蓄積しておき、前記ユーザインタフェースを介して受け付けた指示に応じて、前記メモリに蓄積された前記印刷ジョブデータに含まれる画像データを印刷する蓄積印刷処理を実行可能であり、前記蓄積印刷処理では、前記ユーザインタフェースを介して、印刷部数を示す部数指示を受け付けると、前記メモリに蓄積された前記印刷ジョブデータに基づいて、前記部数指示により示される印刷部数分の印刷を実行することが可能であり、
前記蓄積印刷処理では、
受信されたIPPに従った前記印刷ジョブデータに、複数部数分の前記画像データが含まれており、1部当たりのページ数を示す特定パラメータが含まれていない場合に、
受信されたIPPに従った前記印刷ジョブデータに含まれる複数部数分の前記画像データを前記メモリに蓄積し、
前記ユーザインタフェースを介した前記部数指示の受け付けを制限し、
受信されたIPPに従った前記印刷ジョブデータに、1ページ分の画像データが含まれており、前記1部当たりのページ数を示す前記特定パラメータが含まれていない場合に、
前記印刷ジョブデータに含まれる前記1ページ分の画像データを前記メモリに蓄積し、
蓄積された前記1ページ分の画像データを、前記部数指示により示された印刷部数に応じた回数印刷する、構成とされた画像形成装置。
【請求項8】
ユーザインタフェースと、
プリンタと、
コントローラと、
メモリと、
を備え、
前記コントローラは、
IPP(Internet Printing Protocol)に従った印刷ジョブデータを受信し、受信した前記印刷ジョブデータを前記メモリに蓄積しておき、前記ユーザインタフェースを介して受け付けた指示に応じて、前記メモリに蓄積された前記印刷ジョブデータに含まれる画像データを印刷する蓄積印刷処理を実行可能であり、前記蓄積印刷処理では、前記ユーザインタフェースを介して、印刷部数を示す部数指示を受け付けると、前記メモリに蓄積された前記印刷ジョブデータに基づいて、前記部数指示により示される印刷部数分の印刷を実行することが可能であり、
前記蓄積印刷処理では、
受信されたIPPに従った前記印刷ジョブデータに、複数部数分の前記画像データが含まれており、1部当たりのページ数を示す特定パラメータが含まれていない場合に、
受信されたIPPに従った前記印刷ジョブデータに含まれる複数部数分の前記画像データを前記メモリに蓄積し、
前記部数指示に関する警告を前記ユーザインタフェースに表示させ、
受信されたIPPに従った前記印刷ジョブデータに、1ページ分の前記画像データが含まれており、前記1部当たりのページ数を示す前記特定パラメータが含まれていない場合に、
受信されたIPPに従った前記印刷ジョブデータに含まれる前記1ページ分の画像データを前記メモリに蓄積し、
蓄積された前記1ページ分の画像データを、前記部数指示により示された印刷部数に応じた回数印刷する、構成とされた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IPP(Internet Printing Protocol)に従って印刷を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、IPPに従って、印刷ジョブデータを受信し、受信された印刷ジョブデータに基づいて印刷を行う画像形成装置が記載されている。画像形成装置は、IPPに従って印刷ジョブデータを印刷する場合、特定のドライバプログラムが不要となる。
【0003】
画像形成装置は、受信された印刷ジョブデータをメモリに蓄積しておき、ユーザインタフェースを介して受け付けた指示に応じて、蓄積された印刷ジョブデータに含まれる画像データを印刷する蓄積印刷処理を実行可能なものがある。蓄積印刷処理では、ユーザインタフェースを介して印刷部数の指示を受け付けると、メモリに蓄積された画像データを、受け付けた部数分だけ印刷することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-185568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、画像形成装置が、IPPに従って、蓄積印刷処理を行う場合について、何ら記載されていない。
【0006】
IPPに従って画像データを印刷可能な画像形成装置において、送信されてきた印刷ジョブデータの複数部印刷について、使い勝手のよい画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本明細書で開示された画像形成装置は、ユーザインタフェースと、プリンタと、コントローラと、メモリと、を備えている。コントローラは、IPP(Internet Printing Protocol)に従った印刷ジョブデータを受信し、受信した印刷ジョブデータをメモリに蓄積しておき、ユーザインタフェースを介して受け付けた指示に応じて、メモリに蓄積された印刷ジョブデータに含まれる画像データを印刷する蓄積印刷処理を実行可能である。蓄積印刷処理では、ユーザインタフェースを介して、印刷部数を示す部数指示を受け付けると、メモリに蓄積された印刷ジョブデータに基づいて、部数指示により示される印刷部数分の印刷を実行することが可能である。蓄積印刷処理では、受信されたIPPに従った印刷ジョブデータに、複数部数分の画像データと、1部当たりのページ数を示す特定パラメータとが含まれている場合に、受信されたIPPに従った印刷ジョブデータに含まれている複数部数分の画像データのうち、特定パラメータにより示されている1部当たりのページ数の画像データを前記メモリに蓄積し、蓄積された1部当たりのページ数分の画像データを、部数指示により示された印刷部数に応じた回数印刷し、受信されたIPPに従った印刷ジョブデータに、複数部数分の画像データが含まれており、1部当たりのページ数が含まれていない場合に、受信されたIPPに従った前記印刷ジョブデータに含まれている、複数部数分の画像データをメモリに蓄積し、ユーザインタフェースを介した部数指示の受け付けを制限する構成とされている。
【0008】
上記構成では、IPPに従った複数部数分の画像データを含む印刷ジョブデータを受信した場合に、印刷ジョブデータに含まれる画像データと1部当たりのページ数との対応関係が特定パラメータにより明確となっている場合は、ユーザインタフェースを介して受け付けた部数指示に応じた複数部数分の印刷が行われる。一方で、印刷ジョブデータに含まれる画像データと1部当たりのページ数との対応関係が不明確である場合は、ユーザインタフェースを介した部数指示の受け付けが制限される。これにより、複数部印刷について、使い勝手のよい画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像形成システムの構成図である。
図2】印刷ジョブデータを蓄積する処理の手順を説明するフローチャートである。
図3】印刷ジョブデータに含まれる画像データを説明する図である。
図4】印刷ジョブデータに含まれる画像データを説明する図である。
図5】印刷ジョブデータに含まれる画像データを説明する図である。
図6図2のS19で実行される処理の手順を説明するフローチャートである。
図7図6のS31で実行される処理の手順を説明するフローチャートである。
図8】1部当たりのページ数が示されている場合の蓄積印刷処理を説明する図である。
図9】1部当たりのページ数が示されていない場合の蓄積印刷処理を説明する図である。
図10】蓄積された画像データを印刷する処理の手順を説明するフローチャートである。
図11】ユーザIFに表示される画面を説明する図である。
図12】ユーザIFに表示される画面を説明する図である。
図13】ユーザIFに表示される画面を説明する図である。
図14】ユーザIFに表示される画面を説明する図である。
図15】ユーザIFに表示される画面を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態に係る画像形成装置を、MFP20により説明する。MFPは、Multifunction peripheralの略称である。図1に示される画像形成システム100では、MFP20は、ネットワーク200に接続されており、ネットワーク200を通じてPC10と通信可能である。ネットワーク200は、LANや、インターネットである。MFP20は、ネットワーク200へ無線接続、有線接続のいずれで接続してもよい。
【0011】
図2に示されるように、MFP20は、通信IF21、ユーザIF22、コントローラ23、スキャナ24、プリンタ25、バス27、及びメモリ28を備えている。これら各部は、バス27を介して接続されており、互いに通信可能である。なお、「IF」は、インタフェースの略称である。
【0012】
通信IF21は、MFP20をネットワーク200に接続するインタフェースである。プリンタ25は、シートやディスクなどの被記録媒体に画像を印刷する。プリンタ25の記録方式としては、インクジェット方式や、電子写真方式などを採用することができる。スキャナ24は、原稿台にセットされた原稿を読み取り、原稿に応じたスキャンデータを生成する。
【0013】
ユーザIF22は、MFP20を直接操作するユーザと、コントローラ23との間に介在するインタフェースであり、表示部を有するタッチパネルや、物理キーである操作キーを有している。
【0014】
コントローラ23は、CPUや、ASIC(Application Specific Integrated Circuitの略)等により構成されている。メモリ28は、RAM、ROM、SSD、HDD等が組み合わされて構成されている。各種プログラムの実行時に用いられる、コントローラ23が備えるバッファも、メモリ28の一部とみなしてよい。また、メモリ28は、USB等の外部メモリや、コントローラ23が読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コントローラ23が読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0015】
メモリ28には、コントローラ23が実行可能なプログラムとして、不図示の制御プログラムが記憶されている。本実施形態では、主に、プログラムに記述された命令に従ったコントローラ23の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、コントローラ23の処理を表している。なお「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、コントローラ23が要求することなくデータを受信するという処理も、「コントローラ23がデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コントローラに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。
【0016】
次に、PC10の構成を説明する。PC10は、不図示の通信IF、メモリ、コントローラを備えている。各部の構成は、MFP20が備える通信IF、メモリ、コントローラと同様である。PC10のメモリには、OS11や、アプリケーションプログラム12が記憶されている。OS11は、PC10の基本的な動作を実現するためのプログラムである。アプリケーションプログラム12は、IPP(Internet Printing Protocolの略)に従った手順でMFP20に印刷を指示するためのプログラムである。アプリケーションプログラム12は、例えばMFP20のベンダによって提供されるインターネット上のサーバからMFP20にインストールされてもよいし、MFP20とともに出荷されるメディアからMFP20にインストールされてもよい。また、アプリケーションプログラム12は、MFP20のベンダとは異なる事業者によって提供されるインターネット上のサーバからMFP20にインストールされてもよい。
【0017】
図2を用いて、PC10から送信された印刷ジョブデータに対するコントローラ23の処理を説明する。図2の処理は、コントローラ23が印刷ジョブデータを受信したことを契機に開始され、主体は、コントローラである。
【0018】
通信IF21を介して印刷ジョブデータを受信すると、ステップ10(以下、「ステップ」を、単に「S」と記載する。)では、受信された印刷ジョブデータがIPPに従った印刷ジョブデータであるか否かを判断する。具体的には、PC10から、IPPに従った「Validate-Job」(以下では、「VJ」と記載する)コマンドと、「Create-Job」(以下では「CJ」と記載する)コマンドと、「Send-Document」(以下では「SD」と記載する)コマンドと、を受信したか否かを判断する。これらのコマンドを受信する場合に、S10を肯定判断し、S11に進む。
【0019】
VJコマンドには、PC10によって指定された印刷設定情報を含んでいる。具体的には、VJコマンドは、後処理データと、パラメータ「copies」と、パラメータ「job-pages-per-set」とを含みうる。以下では、パラメータ「job-pages-per-set」のことをパラメータ「jpps」と記載する。
【0020】
CJコマンドは、VJコマンドと同じ情報を含む。即ち、VJコマンド及びCJコマンドは、PC10によって指定された印刷設定情報を含んでいる。SDコマンドは、ジョブIDと、データ形式情報と、画像データと、を含み得る。ジョブIDは、ジョブを識別する情報である。データ形式情報は、印刷ジョブデータに含まれる画像データのデータ形式を示す情報である。データ形式情報は、PWG(Printer Working Groupの略称)ラスタ形式、PDF(Portable Document Formatの略称)形式、「AUTO」のいずれかである。
【0021】
S11では、VJコマンドに含まれるパラメータ「jpps」により、1部当たりのページ数が示されているか否かを判断する。図3図5を用いて、印刷ジョブデータに含まれる画像データ、及びパラメータの違いを説明する。図3図5はいずれも、PC10から1部当たり3ページの画像データを2部印刷する印刷指定を受けた場合の、印刷ジョブデータに含まれる画像データとパラメータとを示しているが、画像データのデータ形式に応じて、「copies」の値や、何ページ分の画像データが含まれるか、が異なっている。
【0022】
図3に示されるように、データ形式情報が「PWGラスタ形式」である場合、PC10から送信される印刷ジョブデータには、全印刷部数のページ数に応じた画像データが含まれている。この例では、印刷ジョブデータには、6ページ分(3ページ×2部)の画像データが含まれている。この場合において、パラメータ「jpps」は、部数である「2」と、1部当たりのページ数である「3」とを示す値「2 copies of 3 pages」である。また、パラメータ「copies」は、印刷ジョブデータに含まれる画像データの複製回数を示す「1」を示している。
【0023】
一方、図4に示されるように、印刷ジョブデータにおいて、データ形式情報が「PWGラスタ形式」であり、パラメータ「jpps」が「NULL」を示す場合がある。この場合にも、印刷ジョブデータには、6ページ分(3ページ×2部)の画像データが含まれている。また、パラメータ「copies」は、印刷ジョブデータに含まれる画像データの複製回数を示す値「1」を示している。
【0024】
更に、図5に示されるように、データ形式情報が「PDF形式」である場合、PC10から送信される印刷ジョブデータには、1部当たりのページ数に応じた画像データが含まれている。この例では、印刷ジョブデータには、3ページ(3ページ×1部)分の画像データのみが含まれ、PC10により指定された全部数分の画像データは含まれていない。パラメータ「jpps」は、部数である「2」と、1部当たりのページ数である「3」とを示す値「2 copies of 3 pages」である。また、パラメータ「copies」は、印刷ジョブデータに含まれる画像データの複製回数を示す値「2」を示している。
【0025】
S11を肯定判断した場合、S12に進み、パラメータ「jpps」で指定された部数、及び1部当たりのページ数をメモリ28に記憶する。S13では、1をメモリ28に記憶された変数Cに代入する。言い換えると、S13では、VJコマンドに含まれるパラメータ「copies」が2部を示す場合であっても、メモリ28には、「1」を示す変数Cが記憶される。
【0026】
パラメータ「jpps」が「NULL」である場合(S11:NO)、S14に進み、NULLフラグをメモリ28に記憶する。S15では、パラメータ「copies」での指定があるか否かを判断する。パラメータ「copies」が指定されていれば(S15:YES)、S16に進み、パラメータ「copies」で示された複製回数を変数Cに代入する。一方、パラメータ「copies」が指定されていなければ(S15:NO)、S17に進み、デフォルト値を変数Cに代入する。デフォルト値は、印刷ジョブデータに部数が指定されていない場合に用いる値であり、予めメモリ28に記憶されている。MFP20の工場出荷時のデフォルト値は「1」である。なお、デフォルト値は、ユーザIFを介した操作によって、2以上の、別の値に変更しておくことも可能である。
【0027】
S18では、PC10からの指示によりセキュアプリントが指定されているか否かを判断する。本実施形態では、印刷ジョブデータに、認証情報を示すパラメータ「job―password」が含まれている場合に、PC10からの指示によりセキュアプリントが指定されていると判断する。セキュアプリントは、印刷ジョブデータがメモリ28に蓄積された後、「job-password」で指定されたパスワードが、ユーザIF22を介して入力されたことを条件に、印刷ジョブデータの印刷を許可する機能である。印刷ジョブデータに、パスワード「job―password」が含まれていれば、S19に進み、印刷ジョブデータに含まれる画像データをメモリ28に蓄積する蓄積処理を行う。
【0028】
図6は、図2のS19で実行される処理の手順を示すフローチャートである。S30では、IPPに従った印刷ジョブデータを受信しているか否か、すなわち、図2のS10をYESと判断したか否か、を判断する。この例では、印刷ジョブデータはIPPに従っているため、S31に進み、印刷ジョブデータに含まれる画像データのデータ形式を判断するラスタデータ判断処理を行う。
【0029】
図7は、S31で実行される処理の手順を説明するフローチャートである。S50では、印刷ジョブデータが、画像データの形式を指定しないパラメータ「Auto」を含んでいるか否かを判断する。SDコマンドにより「PWGラスタ形式」又は「PDF形式」のいずれかが指定されていれば(S50:NO)、S51に進む。
【0030】
S51では、SDコマンドにより、「PWGラスタ形式」が指定されているか否かを判断する。S51を肯定判断すると、S52に進み、印刷ジョブデータに含まれる画像データの形式が「PWGラスタ形式」であると設定する。一方、SDコマンドにより、「PDF形式」が指定されている場合(S51:NO)、S55に進み、画像データの形式を「ラスタ形式以外」として設定する。
【0031】
S50で、SDコマンドが画像データの形式を指定しない「Auto」であれば(S50:YES)、S53に進み、印刷ジョブデータに含まれる画像データを直接解析する。S54で、画像データから、「PWGラスタ形式」であることを示す情報を検出した場合、例えば、「Raster」を示す文字列を検出した場合、S52に進み、画像データの形式が「PWGラスタ形式」であると設定する。一方、画像データ内に、「PWGラスタ形式」であることを示す情報を検出しない場合、S55に進み、画像データの形式を「ラスタ形式以外」として設定する。S52又はS55の処理を終了すると、図6のS32に進む。
【0032】
図6のS32では、画像データの形式をPWGラスタ形式として判断していれば(S32:YES)、S33に進み、図2のS14の処理によりNULLフラグがメモリ28に記憶されているか否かを判断する。NULLフラグが記憶されていなければ(S33:NO)、パラメータ「jpps」により、部数や1部当たりのページ数が指定されているため、S34に進む。
【0033】
S34では、S12で記憶された値が示すページ数の画像データをメモリ28に蓄積する。具体的には、図8に示されるように、印刷ジョブデータに含まれるパラメータ「jpps」が「2 copies of 3 pages」を示している場合、印刷ジョブデータに含まれる画像データから1部当たりのページ数である3ページ分の画像データを特定し、メモリ28に保存する。このとき、印刷ジョブデータに含まれる複数の画像データのうち、先頭から3ページ分の画像データを、1部当たりのページ数に対応する画像データとして取得する。
【0034】
S34の処理は、少なくとも、受信した印刷ジョブデータに含まれる画像データを保存すればよく、印刷ジョブデータに含まれるパラメータの全てをそのまま保存しなくともよい。「印刷ジョブデータに含まれる画像データを保存する」という概念は、画像データをそのままメモリ28に保存する場合の他、画像データを異なる形式のデータに変換して保存してもよい。後述するS37,S43の処理においても同様である。
【0035】
本実施形態では、部数や1部当たりのページ数を示すパラメータ「jpps」が、1部当たりのページ数を示す特定パラメータの一例である。一方、パラメータ「jpps」が「NULL」であることが、印刷ジョブデータに1部当たりのページ数を示す特定パラメータが含まれていないことの一例である。これ以外にも、印刷ジョブデータにパラメータ「jpps」そのものが含まれていないことを、印刷ジョブデータに1部当たりのページ数を示す特定パラメータが含まれていないとして、S33を否定判断してもよい。
【0036】
S35では、S12でメモリ28に記憶された部数を、S34で蓄積された1部当たりのページ数に応じた画像データに関連付けて保存する。図8に示す例では、S12でパラメータ「jpps」の値に応じて、「部数:2」を記憶しているため、S35では、画像データに関連づけて、「部数:2」を保存する。
【0037】
S36では、特殊処理フラグを「オフ」を示す値に設定する。特殊処理フラグは、蓄積印刷処理において、ユーザIF22を介した部数指示の受け付けを制限するか否かを示すフラグである。後述するように、特殊処理フラグが「オン」であれば、蓄積印刷処理において、ユーザIF22を介した部数指示の受付けが制限される。一方、特殊処理フラグが「オフ」であれば、蓄積印刷処理において、ユーザIF22を介した部数指示の受付けが制限されない。
【0038】
NULLフラグが記憶されており(S33:YES)、パラメータ「jpps」での部数及び1部当たりのページ数が示されていない場合、S37に進み、印刷ジョブデータに含まれる全ての画像データをメモリ28に蓄積する。図9の例では、印刷ジョブデータに含まれる全部数(すなわち、2部)の画像データである、6ページ分の画像データをメモリ28に蓄積する。
【0039】
S38では、S16又はS17で変数Cに代入された値から部数を特定し、S37で保存された画像データに関連づけてメモリ28に保存する。図9の例では、変数Cは「1」であるため、画像データに関連づけて「部数:1」が記憶される。
【0040】
S39では、印刷ジョブデータに1ページ分の画像データのみが含まれているか否かを判断する。NULLフラグが記憶されていても(S33:YES)、印刷ジョブデータに1ページ分の画像データのみが含まれている場合がある。印刷ジョブデータに1ページ分の画像データが含まれていれば(S39:YES)、S36に進み、特殊処理フラグを「オフ」に設定する。一方、印刷ジョブデータに複数ページ分の画像データが含まれていれば(S39:NO)、S40に進み、特殊処理フラグを「オン」に設定する。S36又はS40の処理を終了すると、図2に戻り処理を終了する。
【0041】
印刷ジョブデータに1ページ分の画像データのみが含まれている場合であっても、S38の処理を実行した後に、S40に進み、特殊処理フラグを「オン」に設定する、という構成でもよい。この場合、S39の処理を省略すればよい。
【0042】
図2における、S15~S17の各処理を省略し、代わりに、図6のS37の処理とS38の処理との間で、図2のS15~S17の各処理を実行する構成でもよい。すなわち、S15~S17の実行タイミングを変更した構成でもよい。
【0043】
S32で、データ形式情報が「PDF形式」を示していれば(S32:NO)、S41に進み、印刷ジョブデータに含まれる全ての画像データをメモリ28に蓄積する。S42では、S16又はS17で変数Cに代入された値により、部数を特定し、S41で保存された画像データに関連づけて保存する。S43では、特殊処理フラグを「オフ」に設定する。
【0044】
図2のS15~S17の処理を省略したのと同様に、図2において、S22~S24の処理を省略し、代わりに、S41の処理とS42の処理との間で、S22~S24の処理を実行する構成でもよい。
【0045】
図2のS18で、PC10からのセキュアプリントの指定がされていない場合(S18:NO)、S20に進み、画像データに対して印刷処理を実行する。この場合、印刷ジョブデータに含まれる画像データをメモリ28に蓄積するのではなく、印刷を行う。
【0046】
図2において、S10の判断の直後に、S18での判断を行い、S18を肯定判断したならば、S19に進み蓄積処理を実行する構成でもよい。この場合、図6のS33に代えて、図2のS11でのパラメータ「jpps」での指定の有無を判断し、S34,S35で、S12で記憶された値の代わりに、パラメータ「jpps」の値を直接参照してもよい。また、S37の処理とS38の処理との間で、図2のS15~S17の各処理を実行してもよい。
【0047】
次に、MFP20が、IPPに従っていない印刷ジョブデータを受信した場合を説明する。図2のS10を否定判断すると、S21に進み、パラメータ「jpps」での指定なしを設定する。S22では、印刷ジョブデータに含まれるパラメータによって、パラメータ「copies」と同様のパラメータにより複製回数が指定されているか否かを判断する。複製回数が指定されていれば(S22:YES)、S16と同様、パラメータ「copies」と同様のパラメータで指定された複製回数を変数Cに代入する(S23)。一方、複製回数が指定されていなければ(S22:NO)、S17と同様、S24で、デフォルト値を変数Cに代入する。S24で変数Cに代入されるデフォルト値は、S17で変数Cに代入される値と同様の値であってもよい。
【0048】
S25では、S18と同様、印刷ジョブデータに対して、セキュアプリントが指定されているか否かを判断する。S25を肯定判断すると、S19に進み、蓄積処理を実行する。IPPに従っていない印刷ジョブデータを受信した場合のS19での処理は、PDF形式の印刷ジョブデータを受信した場合と同様の処理S41~S43が行われ、S43において、特殊処理フラグが「オフ」に設定される。なお、この場合において、S42で、図2のS23、S24のいずれかで変数Cに代入された値が、S41で蓄積された画像データに関連付けて保存される。
【0049】
次に、図10を用いて、メモリ28に蓄積された画像データを印刷する場合の処理の手順を説明する。図10に示される処理は、ユーザが、ユーザIF22に表示された待機画面で、蓄積印刷処理の開始を指示する操作を行ったことを条件に、コントローラ23により実行される処理である。コントローラ23は、蓄積印刷処理の開始指示を受け付けると、図11に示されるジョブ選択画面40をユーザIF22に表示させる。ジョブ選択画面40は、メモリ28に蓄積された印刷ジョブデータのうち、印刷対象となる印刷ジョブデータの選択操作を受け付ける画面である。ジョブ選択画面40には、メモリ28に蓄積された印刷ジョブデータの選択操作を受け付ける選択アイコン41A,41Bが含まれている。図11の例では、メモリ28に2つの印刷ジョブデータに対応する画像データ等が蓄積されているため、各印刷ジョブデータに対応する2つの選択アイコン41A,41Bが表示されている。
【0050】
まずは、ジョブ選択画面40上で、データ形式情報が「PWGラスタ形式」であり、特殊処理フラグが「オフ」に設定されている印刷ジョブデータが選択された場合を例に説明を行う。S60では、ユーザIF22を介して受け付けた操作により、印刷ジョブデータの選択指示を受け付ける。S61では、後述する設定画面における部数の初期値を、S60で選択された印刷ジョブデータに関連付けて保存されている部数に設定する。具体的には、図6のS35,S38,S42のいずれかで、画像データに関連づけて保存された部数を、初期値として設定する。
【0051】
S62では、特殊処理フラグがオフに設定されているか否かを判断する。この例では特殊処理フラグが「オフ」に設定されているため(S62:YES)、S67に進む。S67では、ユーザIF22に設定画面を表示させる。図12に示されるように、設定画面50は、蓄積印刷処理における各種設定に対する操作を受け付ける画面である。
【0052】
設定画面50には、名称表示欄51と、部数表示アイコン52と、削除アイコン53と、開始アイコン54とを含んでいる。名称表示欄51には、ジョブ選択画面40で選択された印刷ジョブの名称が表示される欄である。部数表示アイコン52は、印刷ジョブにおける現在の部数を表示する部数欄52Aや、部数の増減操作を受け付けるアイコン52B,52Cを含んでいる。ここで、部数欄52Aに表示される部数の初期値(図12では、2を示す)は、S61で設定された値である。本実施形態では、部数表示アイコン52が、パラメータにより示される印刷を初期値として示す操作アイコンの一例である。
【0053】
削除アイコン53は、名称表示欄51に表示された印刷ジョブデータのうち、選択された印刷ジョブデータをメモリ28から削除する指示操作を受け付けるアイコンである。開始アイコン54は、名称表示欄51に表示された印刷ジョブのうち、選択された印刷ジョブデータに対する印刷の開始操作を受け付けるアイコンである。
【0054】
S69では、設定画面50に対する操作に応じた指示を受け付ける。ユーザが、アイコン52B,52Cを操作して、部数欄52Aに表示された部数を増減させると、画像データに関連付けてメモリ28に記憶された部数の値を変更する。例えば、コントローラ23は、図12で示す設定画面50上で、アイコン52Bの操作を検出した場合、部数を「2」からアイコン52Bの操作回数に応じた値に変更する。ここでは、設定画面50上で、部数の変更がされなかったものとして、説明を続ける。
【0055】
設定画面50の開始アイコン54に対する開始操作を行ったことを検出すると(S70:YES)、S71に進み、メモリ28に記憶された画像データのうち、設定画面50で選択された画像データを用いて、部数分の印刷を開始する。なお、本実施形態では、開始アイコン54の操作により、図13に示される印刷継続中画面55をユーザIF22に表示させる。この例では、データ形式情報が「PWGラスタデータ」であり、特殊処理フラグが「オフ」に設定されているため、図8に示されるように、メモリ28に記憶された1部当たりの画像データを、この画像データに関連づけて保存された部数に応じた回数(2回)の印刷が行われる。なお、S69で、部数が「2」から「3」に変更されていれば、S71では、メモリ28に蓄積された1部当たりの画像データを用いて、部数で指定された回数(3回)の印刷が行われる。S71の処理を終了すると蓄積印刷処理を終了する。
【0056】
次に、ジョブ選択画面40で、データ形式情報が「PWGラスタ形式」であり、特殊処理フラグが「オン」に設定されている印刷ジョブデータが選択された場合を例に説明を行う。特殊処理フラグがオンに設定されているため(S62:NO)、S63に進む。
【0057】
S63では、部数の変更が可能であるか否かを判断する。本実施形態では、メモリ28に記憶された設定値30が、部数の変更を許可する値を示している場合にS63を肯定判断し、設定値30が、部数の変更を許可しない値を示している場合にS63を否定判断する。メモリ28に記憶された設定値30の値は、ユーザIF22に表示された不図示の画面でその値を変更することができる。MFP20の工場出荷時には、設定値30の値は、部数の変更を許可する値に設定されている。なお、設定値30を、ユーザIF22を介した操作によって、部数の変更を許可しない値に変更しておくことも可能である。これに限らず、設定値30の値は、MFP20の工場出荷時、部数の変更を許可しない値であってもよい。
【0058】
設定値30が部数の変更を許可する値であれば(S63:YES)、S64に進み、警告画面をユーザIF22に表示する。図14に示されるように、警告画面60は、PC10により指定されている部数をユーザIF22の操作により変更することをユーザに警告する警告文が示された画面である。これは、パラメータ「jpps」により、1部当たりのページ数が示されておらず、又、メモリ28には全部数分の画像データが蓄積されており、部数を変更してしまうと、ユーザの意図しない枚数の印刷が行われる場合があるためである。
【0059】
コントローラ23が、S64で実行する処理が、「警告をユーザIF22に表示する」ことの一例である。S64において、警告文ではなく、警告するため図形や、警告するための色の表示を行ってもよい。
警告の表示は、設定画面50を表示する前ではなく、設定画面50の中に表示してもよい。後述する、S68で実行される部数表示アイコン52のグレーアウトは、設定画面50の中に表示される、警告するための、色の表示の一例でもある。
【0060】
警告画面60に含まれる、クローズアイコン61が操作されると(S65:YES)、警告画面60を非表示にし、S67に進む。
【0061】
メモリ28に記憶された設定値30が部数の変更を許可しない値であれば(S63:NO)、S66に進み、設定画面50に対する操作による部数の変更を不可に設定する。S68では、ユーザIFに設定画面50を表示させる。S68でユーザIF22に表示される設定画面50は、図15に示されるように、部数表示アイコン52がグレーアウト表示され、ユーザIF22による部数の変更操作を受け付け不可能な状態になっている。この場合において、S69では、ユーザが、名称表示欄51に表示された印刷ジョブに対して、削除アイコン53や、開始アイコン54を操作した場合にのみ、操作を受け付ける。
【0062】
本実施形態では、コントローラ23が実行するS64,S66,S68の処理が、「ユーザIF22を介した部数指示を制限する」ことの一例である。これ以外にも、ユーザIF22を介した操作を受け付けるが、部数の変更を行わない構成や、部数の変更操作を受け付けるものの、印刷するときは、操作に関係なく、印刷ジョブデータに含まれる画像データを、印刷ジョブデータに含まれるパラメータ「copies」で指定された部数分印刷することも含まれる。S67,S68で設定画面50の部数表示アイコン52をグレーアウトすることが第1動作の一例であり、S64でユーザIF22に警告画面60を表示させることが第1動作の一例である。
【0063】
ユーザIF22を介した部数指示の制限として、S64での警告画面60の表示と、S68での部数表示アイコン52のグレーアウト表示のいずれかのみを実行してもよい。この場合において、特殊処理フラグが「オフ」に設定されていれば(S62:NO)、S64に進み、警告画面60を表示させてもよい。また、S62を否定判断して、そのままS66に進んでもよい。
【0064】
設定画面50に対する開始操作を検出すると(S70:YES)、S71に進み印刷ジョブデータに対して、メモリ28に記憶された画像データを用いて、部数分の印刷を開始する。この例では、データ形式情報が「PWGラスタデータ」であり、特殊処理フラグが「オン」に設定されているため、図9に示されるように、メモリ28に記憶された全部数分の画像データを、この画像データに関連づけて保存された部数に応じた回数(1回)の印刷が行われる。
【0065】
次に、データ形式情報が「PDF形式」であり、特殊処理フラグが「オフ」に設定されている印刷ジョブデータを蓄積印刷する場合を例に説明を行う。特殊処理フラグが「オフ」に設定されているため(S62:YES)、S67に進み、設定画面50をユーザIF22に表示させる。S69では、設定画面50に対する操作に応じた指示を受け付ける。ユーザが設定画面50の開始アイコン54を操作したことにより開始操作を行ったことを検出すると(S70:YES)、S71に進み印刷ジョブに対して、部数分の印刷を開始する。この例では、データ形式情報が「PDF形式」であるため、メモリ28には、1部当たりの画像データが記憶されている。コントローラ23は、メモリ28に記憶された1部当たりの画像データを用いて、現在の部数に応じた回数の印刷を行う。
【0066】
なお、IPPに従っていない印刷ジョブデータを蓄積印刷する場合、特殊処理フラグは「オフ」に設定されており、データ形式情報が「PDF形式」の印刷ジョブデータの場合と同様、S60~S62、S67,S69~S71の処理を実行すればよいため、説明を省略する。
【0067】
以上説明した本実施形態では以下の効果を奏することができる。
MFP20のコントローラ23は、IPPに従った複数部数分の画像データを含む印刷ジョブデータを受信した場合に、複数の画像データと1部当たりのページ数との対応関係がパラメータ「jpps」により明確となっている場合は、ユーザIF22を介して受け付けた部数指示に応じた複数部数分の印刷が行われる。一方で、画像データと1部当たりのページ数との対応関係が不明確である場合は、ユーザIF22を介した部数指示の受け付けが制限される。その結果、複数部印刷について、使い勝手のよいMFP20を提供することができる。
【0068】
コントローラ23は、印刷ジョブデータに、複数部数分の画像データが含まれており、パラメータ「jpps」により1部当たりのページ数が明確になっていない場合に、複数部数分の画像データの全てをメモリ28に蓄積し、部数指示に関する警告をユーザIF22に表示させる。これにより、複数部印刷について、使い勝手のよいMFP20を提供することができる。
【0069】
コントローラ23は、メモリ28に記憶された設定値30に応じて、部数指示された印刷の実行に対する制限と、ユーザIF22による警告の表示とを切換えることができる。これにより、複数部印刷について、使い勝手のよいMFP20を提供することができる。
【0070】
コントローラ23は、印刷ジョブデータに含まれる、パラメータ「jpps」が「NULL」を示している場合でも、印刷ジョブデータに1ページ分の画像データのみが含まれている場合は、部数指示に対して制限を設けないこととした。これにより、蓄積印刷処理において、部数指示によりMFP20から出力される部数が変更されない場面では、部数指示に対する制限を行わないことで、使い勝手のよいMFP20を提供することができる。
【0071】
受信された印刷ジョブデータがIPP以外のプロトコルに従っている場合に、ユーザIF22による部数指示に対して制限を設けないこととした。これにより、蓄積印刷処理において、部数指示によりMFP20から出力される部数が変更されない場面では、部数指示に対する制限を行わないことで、使い勝手のよいMFP20を提供することができる。
【0072】
コントローラ23は、ユーザIF22に、パラメータにより示される部数を初期値として示す部数表示アイコン52を表示し、部数表示アイコン52に対する操作に応じて、部数指示の変更を受け付けると、蓄積された1部当たりのページ数分の画像データを、部数表示アイコン52により示された部数に応じた回数印刷する。これにより、パラメータ「jpps」により、1部当たりのページ枚数が示される場面においても、印刷される部数を示す部数表示アイコン52がユーザIF22に表示されることで、ユーザに部数を把握させることができる。
【0073】
本明細書で開示される技術は、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができる。画像形成装置として、MFP20を例に説明したことは一例である。これ以外にも、画像形成装置は、スキャナ24を備えていなくともよい。
【符号の説明】
【0074】
10…PC、20…MFP(画像形成装置)、22…ユーザIF、23…コントローラ、25…プリンタ、28…メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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