(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162745
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】トイレ用部品
(51)【国際特許分類】
A47K 17/00 20060101AFI20231101BHJP
E03D 9/08 20060101ALI20231101BHJP
A47K 10/32 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
A47K17/00
E03D9/08 A
A47K10/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073344
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】兵藤 俊介
(72)【発明者】
【氏名】相川 芳範
(72)【発明者】
【氏名】近藤 拓司
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
【Fターム(参考)】
2D037EA00
2D038JC03
(57)【要約】
【課題】抗ウイルス性を容易に付加可能なトイレ用部品を提供する。
【解決手段】トイレ室に設置されるトイレ用部品10A,10Bであって、基材25と、前記基材25の表面に設けられ、抗ウイルス剤を含有する表面層26と、を備えている。このような構成によれば、抗ウイルス性をトイレ用部品10に容易に付加できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ室に設置されるトイレ用部品であって、
基材と、
前記基材の表面に設けられ、抗ウイルス剤を含有する表面層と、を備えている、トイレ用部品。
【請求項2】
接触して操作される操作面を有し、
前記表面層は、前記操作面に備えられている、請求項1に記載のトイレ用部品。
【請求項3】
触覚記号及び点字のいずれかを有するタッチ面を有し、
前記表面層は、前記タッチ面に備えられている、請求項1に記載のトイレ用部品。
【請求項4】
ケースと、前記ケースに備えられた操作ボタンと、を有し、
前記表面層は、前記操作ボタンに設けられている、請求項1から請求項3までの何れか一項に記載のトイレ用部品。
【請求項5】
前記ケースには、穴部が形成され、
前記操作ボタンは、前記穴部に対して出入りするものであり、
前記表面層は、前記操作ボタンのうち前記ケースに入り込まない部分に設けられている、請求項4に記載のトイレ用部品。
【請求項6】
前記表面層は、前記基材のうち前記トイレに設置した状態において上側になる面に設けられている、請求項1から請求項3までの何れか一項に記載のトイレ用部品。
【請求項7】
前記表面層は、前記基材の表面に塗装された塗料によって形成され、
前記表面層の厚さ寸法は、5μmから30μmである、請求項1から請求項3までの何れか一項に記載のトイレ用部品。
【請求項8】
前記表面層は、前記基材の表面に貼り付けられたシートによって形成され、
前記シートは、前記基材の表面に対して脱着可能である、請求項1から請求項3までの何れか一項に記載のトイレ用部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トイレ用部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレ室に設置されるトイレ用部品が知られている。トイレ用部品は、例えば下記特許文献1に記載されているように、トイレットペーパーホルダやリモコン等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トイレ用部品の材料全体に抗ウイルス剤を含有させることで、トイレ用部品に抗ウイルス性を付加することは難しかった。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、抗ウイルス性を容易に付加可能なトイレ用部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のトイレ用部品は、トイレ室に設置されるトイレ用部品であって、基材と、前記基材の表面に設けられ、抗ウイルス剤を含有する表面層と、を備えているものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1におけるトイレ用部品の一例を示す正面図
【
図3】操作ボタンにおける表面層の形成範囲を概略的に示すトイレ用部品の一部拡大断面図
【
図4】実施形態2におけるトイレ用部品を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態1>
トイレ用部品は、
図1及び
図2に示すように、トイレ室に設置されるリモコン10A,10Bである。リモコン10A,10Bによって、図示しない便器装置を遠隔操作できる。リモコン10Aは、局部洗浄装置用のリモコンであり、リモコン10Bは、便器洗浄装置用のリモコンである。リモコン10A,10Bは、トイレ室の壁面に固定される。リモコン10A,10Bは、トイレ室の壁面に固定された状態においてトイレ室の壁面に沿った薄い板状をなす。
【0009】
以下、各構成部材において、トイレ室に設置された状態における上側を上側、下側を下側、トイレ室の室内側を前側、その反対側を後側、トイレ用部品を前側から見て右側を右側、左側を左側として説明する。各図においてX軸の正方向側は右側、X軸の負方向側は左側、Y軸の正方向側は上側、Y軸の負方向側は下側、Z軸の正方向側は前側、Z軸の負方向側は後側を示す。
【0010】
リモコン10A,10Bは、ケース11と、操作部12と、を有している。操作部12は、使用者によって押し操作される各種の操作ボタン13を有している。操作ボタン13は、ケース11に保持されている。操作ボタン13は、リモコン10Aにおいて5つ備えられている。5つの操作ボタン13は、左右方向に一列に並んで配置されている。操作ボタン13は、リモコン10Bにおいて1つ備えられている。1つの操作ボタン13は、リモコン10Bの中央に配置されている。
【0011】
各操作ボタン13は、前側から見ると円形状をなしている。各操作ボタン13の前面は、押し操作される操作面14である。各操作ボタン13の操作面14には、各操作ボタン13の機能が印刷等によって表示されている。特定の操作ボタン13の操作面14には、触覚記号15が設けられている。触覚記号15が設けられている特定の操作ボタン13の操作面14は、タッチ面を構成している。各操作ボタン13の操作面14は、触覚記号15を除き平坦な面である。各操作ボタン13には、操作面14の外縁に沿ってR面16が形成されている(
図3参照)。R面16は、操作ボタン13の操作面14と周面17との間の角部を丸くした面である。R面16は、操作面14の全周に連続して形成されている。
【0012】
ケース11は、前側から見ると方形状をなしている。ケース11の前面には、点字部18が設けられている。ケース11の前面における点字部18は、タッチ面を構成している。点字部18は、操作部12の上側に配置されている。点字部18には、各操作ボタン13の機能を示す点字19が記載されている。点字19は、各操作ボタン13の真上に設けられている。各操作ボタン13の点字19は、リモコン10Aにおいて左右方向に一列に並んでいる。
【0013】
各操作ボタン13は、
図3に示すように、ケース11の前面板21に形成された穴部22に嵌っている。穴部22は、前面板21を前後方向に貫通している。穴部22は、各操作ボタン13の外形に沿った形状をなしている。
【0014】
各操作ボタン13は、ケース11の穴部22に対して出入りする。各操作ボタン13は、図示しない弾性部材によって支持されている。各操作ボタン13は、常には第一位置に配置され、押し操作されることによって、第一位置から第二位置に変位する。
図3では、第一位置の操作ボタン13を二点鎖線で表し、第二位置の操作ボタン13を実線で表す。第二位置において操作ボタン13から手指を離すと、操作ボタン13は、弾性部材の弾性力によって、第二位置から第一位置に戻る。第二位置に配置された操作ボタン13の操作面14及びR面16は、ケース11の前面よりも前側に位置している。各操作ボタン13の周面17と各穴部22の周面23との間には、クリアランス24が設けられている。クリアランス24は、穴部22に対して各操作ボタン13の出入りに必要な大きさを有している。
【0015】
リモコン10A,10Bは、基材25と、表面層26と、を備えている。基材25は、リモコン10A,10Bに適したものを選択してよい。例えば基材25は、合成樹脂や金属であり、抗ウイルス剤を含有していなくてよい。
【0016】
表面層26は、抗ウイルス剤を含有している。抗ウイルス剤は、銀など汎用の物質であってよい。表面層26は、基材25の表面に塗装された塗料によって形成されている。塗料は、塗りやすくて透明なものを用いてよい。表面層26の厚さ寸法は、5μmから30μmであり、より好ましくは10μmから20μmである。
【0017】
表面層26は、
図1及び
図2に示すように、リモコン10A,10Bの操作部12及び点字部18に設けられている。表面層26は、
図1及び
図2において網掛けで示す。
【0018】
操作部12の表面層26Aは、操作ボタン13に個別に設けられている。操作部12の表面層26Aは、
図3に示すように、各操作ボタン13の基材25Aの表面の一部に設けられている。操作部12の表面層26Aは、各操作ボタン13の操作面14及びR面16に設けられている。触覚記号15が設けられている特定の操作ボタン13の表面層26Aは、触覚記号15を覆っている。
【0019】
操作部12の表面層26Aは、第二位置においてケース11の前面よりも前側に位置している。操作部12の表面層26Aは、操作ボタン13の基材25Aの表面に沿って一定の厚さ寸法で形成されている。操作部12の表面層26Aは、表面層26を通して操作面14の表示を視認可能な透明性を有している。操作部12の表面層26Aは、表面層26の前側から触って触覚記号15を識別できる厚さ寸法を有している。
【0020】
点字部18の表面層26Bは、
図1及び
図2に示すように、全ての点字19を覆っている。点字部18の表面層26Bは、ケース11の基材25Bの表面の一部に設けられている。点字部18の表面層26Bは、リモコン10Aにおいて左右方向に長く延びている。点字部18の表面層26Bは、ケース11の基材25Bの表面に沿って一定の厚さ寸法で形成されている。点字部18の表面層26Bは、表面層26の前側から点字部18を触って点字19を読める厚さ寸法を有している。
【0021】
上記のように構成された実施形態によれば、以下の効果を奏する。リモコン10A,10Bは、トイレ室に設置されるトイレ用部品である。リモコン10A,10Bは、基材25と、表面層26と、を備えている。表面層26は、基材25の表面に設けられ、抗ウイルス剤を含有している。この構成によれば、基材25に関わらず、抗ウイルス性をリモコン10A,10Bに付加できる。
【0022】
リモコン10A,10Bは、押して操作される操作面14を有している。表面層26は、操作面14に備えられている。この構成によれば、手指が触れるところに抗ウイルス性を付加できるから、効果的である。
【0023】
リモコン10A,10Bは、触覚記号15を有する操作面14、及び点字19を有するケース11の点字部18を有している。表面層26は、触覚記号15を有する操作面14、及び点字19を有するケース11の点字部18に備えられている。この構成によれば、指先が触れるところに抗ウイルス性を付加できるから、効果的である。
【0024】
リモコン10A,10Bは、ケース11と、ケース11に備えられた操作ボタン13と、を有している。表面層26は、操作ボタン13に設けられている。この構成によれば、手指が触れやすいところに抗ウイルス性を付加できる。抗ウイルス性をケース11に付加しなくてよいから、加工費を低減できる。操作ボタン13の表面層26に傷が付いたりした場合には、操作ボタン13のみを交換できるから、容易にメンテナンスできる。
【0025】
ケース11には、穴部22が形成されている。操作ボタン13は、穴部22に対して出入りする。表面層26は、操作ボタン13のうちケース11に入り込まない部分に設けられている。この構成によれば、穴部22の大きさは、操作ボタン13に表面層26を設けない場合と同等の大きさでよい。表面層26は、操作ボタン13の操作時に穴部22に入り込まないから厚くできる。
【0026】
表面層26は、基材25の表面に塗装された塗料によって形成されている。表面層26の厚さ寸法は、5μmから30μmである。塗装によって形成される表面層26は、基材25の表面に抗ウイルスシートを貼り付けて形成されるよりも、表面層26と基材25との間に空気を入りにくくできる。
【0027】
塗料は、5μmよりも薄い場合塗りにくい。これに対し、表面層26は5μmよりも厚いから塗りやすい。30μmよりも厚い塗料は、抗ウイルス剤が基材側に沈殿しやすい。これに対し、表面層26は30μmよりも薄いから、抗ウイルス剤が基材25側に沈殿しにくく、抗ウイルス機能を発揮しやすい。
【0028】
<実施形態2>
次に、本開示を具体化した実施形態2に係るトイレ用部品を
図4によって説明する。本実施形態のトイレ用部品は、棚付きペーパーホルダ40である点で、実施形態1と相違する。なお、実施形態1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0029】
本実施形態に係るトイレ用部品は、実施形態1と同様に、基材47と、表面層46と、を備えている。基材47は、実施形態1と同様、抗ウイルス剤を含有していない。表面層46は、実施形態1と同様、抗ウイルス剤を含有している。表面層46は、基材47の表面に貼り付けられたシートによって形成されている。シートは、抗ウイルス性を有する市販のシートを用いてもよい。シートは、汚れたり損傷したりしたときに貼り替えできる。
【0030】
棚付きペーパーホルダ40は、左右に並んだ2つのペーパーホルダ41と、棚42と、を有している。ペーパーホルダ41はそれぞれ、紙切板43と、紙支持バー44と、を備えている。紙切板43の基材47Aは、ステンレス等の金属である。紙切板43は、紙支持バー44にセットされたロールペーパの上側を覆う。紙切板43は、ロールペーパの上面に沿うように緩く湾曲している。紙支持バー44の基材47Bは、合成樹脂である。紙支持バー44は、各ペーパーホルダ41に左右一対ずつ設けられている。紙支持バー44は、ロールペーパの芯材の左右開口から芯材内に挿入される。
【0031】
棚42の基材47Cは、合成樹脂である。棚42は、平らな厚板状をなしている。棚42は、平面視において、左右方向に長い長方形状をなしている。棚42の上面は、平坦面である。棚42は、2つのペーパーホルダ41の上側に配置されている。棚42は、紙切板43の上面の後部を覆っている。棚42は、ペーパーホルダ41を支持するホルダ支持部45を備えている。ホルダ支持部45は、棚42の下面から垂下している。
【0032】
表面層46は、基材47のうちトイレに設置した状態において上側になる面に設けられている。具体的には、表面層46は、棚42の基材47Cの上面及び紙切板43の基材47Aの上面に設けられている。棚42の表面層46は、棚42の基材47Cの上面の全体に形成されている。棚42の表面層46は、棚42の基材47Cの上面を除く他の面には設けられていない。
【0033】
紙切板43の表面層46は、紙切板43の基材47Aの上面の全体に設けられている。紙切板43の表面層46は、紙切板43の上面のうち棚42に覆われる部分にも設けられている。紙切板43の表面層26は、紙切板43の基材47Aの前端から基材47Aの下面に連続して設けても良い。
【0034】
以上のように本実施形態においては、実施形態1と同様、基材47と、表面層46と、を備えているから、基材47に関わらず、抗ウイルス性を棚付きペーパーホルダ40に付加できる。
【0035】
表面層46は、紙切板43の基材47Aの上面、及び棚42の基材47Cの上面に設けられている。この構成によれば、手指が触れやすいところに抗ウイルス性を付加できるから、基材47の全体に抗ウイルス性を付加しなくてよい。したがって、加工費を低減しながら効果的に抗ウイルス性を棚付きペーパーホルダ40に付加できる。
【0036】
表面層46は、紙切板43の基材47Aの上面、及び棚42の基材47Cの上面に貼り付けられたシートによって形成されている。シートは、紙切板43の基材47Aの上面、及び棚42の基材47Cの上面に対して脱着可能である。この構成によれば、シートは、汚れたり損傷したりしたときに貼り替えできるから、容易にメンテナンスできる。
【0037】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、トイレ用部品がリモコン10A,10B及び棚付きペーパーホルダ40である場合をそれぞれ例示した。これに限らず、トイレ用部品は、便座、便蓋、洗浄レバーなど、トイレ室に設置される各種部品であってもよい。便座や便蓋においては、それぞれの基材の上面のみに表面層を設けてもよい。洗浄レバーにおいては、洗浄レバーの基材のうち操作時に手で触る部分のみに表面層を設けてもよい。
(2)上記実施形態1におけるリモコン10A,10Bは、操作部12及び点字部18を前面に有している。これに限らず、リモコンは、操作部及び点字部を上面に有するものであってもよい。この場合、表面層は、リモコンの上面の全体に設けてもよいし、操作部及び点字部のみに設けても良い。
(3)上記実施形態1において操作部12は、使用者によって押し操作される操作ボタン13を有している。これに限らず、操作部は、使用者の手指が触れることによって操作されるタッチパネル式の操作ボタンや回転式の操作ボタンを有していてもよい。
(4)上記実施形態1において操作部12の表面層26Aは、操作部12の基材25Aの表面に塗装された塗料によって形成されている。これに限らず、操作部の表面層は、基材の表面にシートを貼り付けて形成してもよい。この場合、表面層は、操作面のみに設け、R面に設けない方が良い。
(5)上記実施形態2における棚付きペーパーホルダ40は、棚42とペーパーホルダ41とを一体に有している。これに限らず、トイレ用部品は、棚のみであってもよいし、ペーパーホルダのみであってもよい。
(6)上記実施形態2において表面層46は、基材47の表面に貼り付けられたシートによって形成されている。これに限らず、表面層は、基材の表面に塗料を塗装して形成してもよい。
【符号の説明】
【0038】
10A,10B…リモコン(トイレ用部品)、11…ケース、12…操作部、13…操作ボタン、14…操作面(タッチ面)、15…触覚記号、18…点字部(タッチ面)、19…点字、22…穴部、25,47…基材、26,46…表面層、40…棚付きペーパーホルダ(トイレ用部品)