(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162752
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】シェルアンドプレート式熱交換器および冷凍装置
(51)【国際特許分類】
F28F 3/04 20060101AFI20231101BHJP
F28D 9/00 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
F28F3/04 A
F28D9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073351
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内海 大地
(72)【発明者】
【氏名】沼田 光春
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健
(72)【発明者】
【氏名】宇多 全史
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103DD12
(57)【要約】
【課題】シェルアンドプレート式熱交換器の性能を向上させる。
【解決手段】熱交換器(10)のプレート積層体(40)には、冷媒流路(41)と熱媒体流路(42)とが形成される。プレート積層体(40)の各伝熱プレート(50)には、上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)とが形成される。上側貫通孔(95)は、熱媒体流路(42)に連通する上側連通路(43)を形成する。下側貫通孔(96)は、熱媒体流路(42)に連通する下側連通路(44)を形成する。各伝熱プレート(50)には、冷媒流路(41)を流れる冷媒を上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)の間に導くガイド構造(100)が形成される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間(21)を形成するシェル(20)と、
横方向に積層されて互いに接合された複数の伝熱プレート(50)を有して上記シェル(20)の上記内部空間(21)に収容されるプレート積層体(40)とを備え、
上記プレート積層体(40)には、上記シェル(20)の上記内部空間(21)に連通して冷媒が流れる冷媒流路(41)と、上記シェル(20)の上記内部空間(21)から遮断されて熱媒体が流れる熱媒体流路(42)とが、上記伝熱プレート(50)を挟んで隣り合うように複数ずつ形成され、
上記プレート積層体(40)の上記冷媒流路(41)において冷媒を蒸発させるシェルアンドプレート式熱交換器(10)であって、
複数の上記伝熱プレート(50)のそれぞれには、互いに間隔をおいて上下に並んで配置された上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)とが形成され、
上記プレート積層体(40)では、
複数の上記伝熱プレート(50)の上記上側貫通孔(95)によって、上記熱媒体流路(42)に連通し且つ上記冷媒流路(41)から遮断される上側連通路(43)が形成されると共に、
複数の上記伝熱プレート(50)の上記下側貫通孔(96)によって、上記熱媒体流路(42)に連通し且つ上記冷媒流路(41)から遮断される下側連通路(44)が形成され、
複数の上記伝熱プレート(50)のそれぞれには、上記冷媒流路(41)を流れる冷媒を上記上側貫通孔(95)と上記下側貫通孔(96)の間に導くガイド構造(100)が形成される
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項2】
上記ガイド構造(100)は、互いに平行な直線状の複数のリッジ部(80a,80b)によって構成され、
複数の上記リッジ部(80a,80b)のそれぞれは、上記伝熱プレート(50)を隆起させることによって形成される
請求項1に記載のシェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項3】
上記伝熱プレート(50)は、第1プレート(50a)と第2プレート(50b)とを含み、
上記プレート積層体(40)では、上記第1プレート(50a)と上記第2プレート(50b)が交互に積層され、
上記第1プレート(50a)と上記第2プレート(50b)のそれぞれには、上記ガイド構造(100)を構成する複数の上記リッジ部(80a,80b)を含むガイド領域(61a,61b,71a,71b)が形成され、
上記プレート積層体(40)では、上記第1プレート(50a)の上記ガイド領域(61a,71a)と、上記第2プレート(50b)の上記ガイド領域(71b,61b)とが、上記伝熱プレート(50)の積層方向において重なり合う
請求項2に記載のシェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項4】
上記第1プレート(50a)と上記第2プレート(50b)のそれぞれにおいて、上記ガイド領域(61a,61b,71a,71b)は、上記上側貫通孔(95)と上記下側貫通孔(96)の間の部分から該部分の外側にわたっている
請求項3に記載のシェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項5】
上記第1プレート(50a)と上記第2プレート(50b)のそれぞれにおいて、上記ガイド領域(61a,61b,71a,71b)は、上記下側貫通孔(96)の右側と左側に少なくとも一つずつ形成される
請求項4に記載のシェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項6】
上記ガイド領域(61a,61b,71a,71b)の上端は、上記伝熱プレート(50)のうち上記上側貫通孔(95)と上記下側貫通孔(96)の間の部分に位置し、
上記ガイド領域(61a,61b,71a,71b)は、該ガイド領域(61a,61b,71a,71b)の上端から斜め下方に向かって延びる
請求項5に記載のシェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項7】
上記第1プレート(50a)の上記ガイド領域(61a,71a)に含まれる上記リッジ部が第1リッジ部(81a,82a)であり、
上記第2プレート(50b)の上記ガイド領域(71b,61b)に含まれる上記リッジ部が第2リッジ部(82b,81b)であり、
上記第1リッジ部(81a,82a)と上記第2リッジ部(82b,81b)のなす鈍角の二等分線(L1)と、上記第1リッジ部(81a,82a)と上記第2リッジ部(82b,81b)のなす鋭角の二等分線(L2)のうち、鉛直方向となす鋭角の小さい方が、上に行くほど上記伝熱プレート(50)の幅方向の中央に近づくように傾斜する
請求項5又は6に記載のシェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項8】
複数の上記伝熱プレート(50)のそれぞれにおいて、上記ガイド領域(53a,53b)は、左右方向に延びて上記上側貫通孔(95)と上記下側貫通孔(96)の間の部分を横断する
請求項3に記載のシェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項9】
上記第1プレート(50a)の上記ガイド領域(53a,53b)に含まれる上記リッジ部が第1リッジ部(83a)であり、
上記第2プレート(50b)の上記ガイド領域(53a,53b)に含まれる上記リッジ部が第2リッジ部(83b)であり、
上記第1リッジ部(83a)と上記第2リッジ部(83b)とは、それぞれの伸長方向が互いに異なり、且つそれぞれの伸長方向と水平方向のなす鋭角が45°以下である
請求項8に記載のシェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項10】
請求項1,2,3,4,5,6,8又は9に記載のシェルアンドプレート式熱交換器(10)と、
上記シェルアンドプレート式熱交換器(10)が設けられ、冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う冷媒回路(205)とを備えた
冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シェルアンドプレート式熱交換器および冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、シェルアンドプレート式熱交換器が知られている。シェルアンドプレート式熱交換器では、筒状のシェルの内部空間に、プレート積層体が収容される。特許文献1には、蒸発器として用いられるシェルアンドプレート式熱交換器が開示されている。
【0003】
プレート積層体では、冷媒流路と熱媒体流路が伝熱プレートを挟んで形成される。シェルアンドプレート式熱交換器によって構成された蒸発器では、シェル内の冷媒がプレート積層体の冷媒流路へ流入し、熱媒体流路を流れる水等の熱媒体と熱交換して蒸発する。その結果、熱媒体流路を流れる熱媒体が冷却される。
【0004】
特許文献1の熱交換器の各伝熱プレートには、その左右方向の中央に、二つの貫通孔が上下に並んで形成される。下側の貫通孔は、熱媒体流路に熱媒体を導入する導入通路を形成する。上側の貫通孔は、熱媒体流路から熱媒体を導出する導出通路を形成する。熱媒体が流れる導入通路と導出通路は、冷媒が流れる冷媒流路から仕切られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シェルアンドプレート式熱交換器のプレート積層体の冷媒流路では、液冷媒が蒸発してガス冷媒になる。冷媒流路において発生したガス冷媒は、浮力によって上方へ向かって流れる。そのため、冷媒流路では、全体として下から上へ向かう冷媒の流れが生じる。
【0007】
一方、上述したように、冷媒流路は、熱媒体が流れる導入通路と導出通路から仕切られている。そのため、冷媒流路を上向きに流れる冷媒は、導入通路と導出通路を避けて流れる。その結果、冷媒流路では、導入通路と導出通路の間の部分に流入する液冷媒の量が少なくなる。
【0008】
冷媒流路のうち導入通路と導出通路の間の部分に流入する液冷媒の量が少ないと、各伝熱プレートでは、上下に並んだ貫通孔の間の領域のうち液冷媒と接触する部分の面積が小さくなる。そのため、伝熱プレートの伝熱面のうち液冷媒と熱媒体の熱交換が行われる部分の面積が小さくなり、シェルアンドプレート式熱交換器における冷媒と熱媒体の熱交換量が少なくなる。
【0009】
本開示の目的は、シェルアンドプレート式熱交換器の性能を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の第1の態様は、内部空間(21)を形成するシェル(20)と、横方向に積層されて互いに接合された複数の伝熱プレート(50)を有して上記シェル(20)の上記内部空間(21)に収容されるプレート積層体(40)とを備え、上記プレート積層体(40)には、上記シェル(20)の上記内部空間(21)に連通して冷媒が流れる冷媒流路(41)と、上記シェル(20)の上記内部空間(21)から遮断されて熱媒体が流れる熱媒体流路(42)とが、上記伝熱プレート(50)を挟んで隣り合うように複数ずつ形成され、上記プレート積層体(40)の上記冷媒流路(41)において冷媒を蒸発させるシェルアンドプレート式熱交換器(10)である。複数の上記伝熱プレート(50)のそれぞれには、互いに間隔をおいて上下に並んで配置された上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)とが形成される。上記プレート積層体(40)では、複数の上記伝熱プレート(50)の上記上側貫通孔(95)によって、上記熱媒体流路(42)に連通し且つ上記冷媒流路(41)から遮断される上側連通路(43)が形成されると共に、複数の上記伝熱プレート(50)の上記下側貫通孔(96)によって、上記熱媒体流路(42)に連通し且つ上記冷媒流路(41)から遮断される下側連通路(44)が形成される。複数の上記伝熱プレート(50)のそれぞれには、上記冷媒流路(41)を流れる冷媒を上記上側貫通孔(95)と上記下側貫通孔(96)の間に導くガイド構造(100)が形成される。
【0011】
第1の態様のシェルアンドプレート式熱交換器(10)において、冷媒は、プレート積層体(40)の冷媒流路(41)に流入し、熱媒体流路(42)を流れる熱媒体と熱交換して蒸発する。冷媒流路(41)において発生したガス冷媒は、浮力によって上方へ向かって流れる。そのため、冷媒流路(41)では、冷媒が概ね下から上に向かって流れる。冷媒流路(41)において、上向きに流れる冷媒の一部は、ガイド構造(100)によって上側連通路(43)と下側連通路(44)の間に導かれる。そのため、伝熱プレート(50)では、上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)の間の部分とその部分の外側の両方が、液冷媒と接触し、液冷媒との熱交換を行う。その結果、シェルアンドプレート式熱交換器(10)における冷媒と熱媒体の熱交換量が増加し、シェルアンドプレート式熱交換器(10)の性能が向上する。
【0012】
本開示の第2の態様は、上記第1の態様において、上記ガイド構造(100)は、互いに平行な直線状の複数のリッジ部(80a,80b)によって構成され、複数の上記リッジ部(80a,80b)のそれぞれは、上記伝熱プレート(50)を隆起させることによって形成されるシェルアンドプレート式熱交換器である。
【0013】
第2の態様では、複数のリッジ部(80a,80b)がガイド構造(100)を構成する。リッジ部(80a,80b)は、伝熱プレート(50)を隆起させることによって形成された部分であり、冷媒流路(41)に向かって膨出する。そのため、冷媒流路(41)における冷媒の流れの方向が、ガイド構造(100)を構成するリッジ部(80a,80b)によって変更される。
【0014】
本開示の第3の態様は、上記第2の態様において、上記伝熱プレート(50)は、第1プレート(50a)と第2プレート(50b)とを含み、上記プレート積層体(40)では、上記第1プレート(50a)と上記第2プレート(50b)が交互に積層され、上記第1プレート(50a)と上記第2プレート(50b)のそれぞれには、上記ガイド構造(100)を構成する複数の上記リッジ部(80a,80b)を含むガイド領域(61a,61b,71a,71b)が形成され、上記プレート積層体(40)では、上記第1プレート(50a)の上記ガイド領域(61a,71a)と、上記第2プレート(50b)の上記ガイド領域(71b,61b)とが、上記伝熱プレート(50)の積層方向において重なり合うシェルアンドプレート式熱交換器である。
【0015】
第3の態様のプレート積層体(40)では、各伝熱プレート(50)のガイド領域(61a,61b,71a,71b)が、伝熱プレート(50)の積層方向において重なり合う。プレート積層体(40)の冷媒流路(41)を流れる冷媒は、重なり合ったガイド領域(61a,61b,71a,71b)に含まれるリッジ部(80a,80b)によって、上側連通路(43)と下側連通路(44)の間に導かれる。
【0016】
本開示の第4の態様は、上記第3の態様において、上記第1プレート(50a)と上記第2プレート(50b)のそれぞれにおいて、上記ガイド領域(61a,61b,71a,71b)は、上記上側貫通孔(95)と上記下側貫通孔(96)の間の部分から該部分の外側にわたっているシェルアンドプレート式熱交換器である。
【0017】
第4の態様の各伝熱プレート(50)では、ガイド領域(61a,61b,71a,71b)が、上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)の間の部分から該部分の外側にわたって配置される。そのため、プレート積層体(40)の冷媒流路(41)では、上側連通路(43)と下側連通路(44)の間の部分へ、その部分の外側を流れる冷媒の一部が、ガイド領域(61a,61b,71a,71b)に含まれるリッジ部(80a,80b)によって導かれる。
【0018】
本開示の第5の態様は、上記第4の態様において、上記第1プレート(50a)と上記第2プレート(50b)のそれぞれにおいて、上記ガイド領域(61a,61b,71a,71b)は、上記下側貫通孔(96)の右側と左側に少なくとも一つずつ形成されるシェルアンドプレート式熱交換器である。
【0019】
第5の態様のプレート積層体(40)において、冷媒流路(41)を流れる冷媒は、下側連通路(44)の右側と左側のそれぞれに設けられたガイド領域(61a,61b,71a,71b)のリッジ部(80a,80b)によって、上側連通路(43)と下側連通路(44)の間の部分へ導かれる。
【0020】
本開示の第6の態様は、上記第5の態様において、上記ガイド領域(61a,61b,71a,71b)の上端は、上記伝熱プレート(50)のうち上記上側貫通孔(95)と上記下側貫通孔(96)の間の部分に位置し、上記ガイド領域(61a,61b,71a,71b)は、該ガイド領域(61a,61b,71a,71b)の上端から斜め下方に向かって延びるシェルアンドプレート式熱交換器である。
【0021】
第6の態様の各伝熱プレート(50)において、ガイド領域(61a,61b,71a,71b)は、上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)の間の部分から斜め下方に向かって延びる。そのため、冷媒流路(41)のうち下側連通路(44)の側方の部分を上向きに流れる冷媒が、ガイド領域(61a,61b,71a,71b)に含まれるリッジ部(80a,80b)によって、上側連通路(43)と下側連通路(44)の間の部分に導かれる。
【0022】
本開示の第7の態様は、上記第5又は第6の態様において、上記第1プレート(50a)の上記ガイド領域(61a,71a)に含まれる上記リッジ部が第1リッジ部(81a,82a)であり、上記第2プレート(50b)の上記ガイド領域(71b,61b)に含まれる上記リッジ部が第2リッジ部(82b,81b)であり、上記第1リッジ部(81a,82a)と上記第2リッジ部(82b,81b)のなす鈍角の二等分線(L1)と、上記第1リッジ部(81a,82a)と上記第2リッジ部(82b,81b)のなす鋭角の二等分線(L2)のうち、鉛直方向となす鋭角の小さい方が、上に行くほど上記伝熱プレート(50)の幅方向の中央に近づくように傾斜するシェルアンドプレート式熱交換器である。
【0023】
第7の態様において、冷媒流路(41)のうち各伝熱プレート(50)のガイド領域(61a,61b,71a,71b)に挟まれた部分を流れる冷媒は、“第1リッジ部(81a,82a)と第2リッジ部(82b,81b)のなす鈍角の二等分線(L1)”と“第1リッジ部(81a,82a)と第2リッジ部()12のなす鋭角の二等分線(L2)”のうち鉛直方向となす鋭角の小さい方の二等分線に沿った方向へ流れやすい。冷媒流路(41)を流れるガス冷媒には、鉛直上向きに浮力が作用するからである。
【0024】
第7の態様では、鉛直方向となす鋭角の小さい方の二等分線が、上に行くほど伝熱プレート(50)の幅方向の中央に近づくように傾斜する。そのため、冷媒流路(41)のうち各伝熱プレート(50)のガイド領域(61a,61b,71a,71b)に挟まれた部分を流れる冷媒は、第1リッジ部(81a,82a)と第2リッジ部(82b,81b)とによって、上側連通路(43)と下側連通路(44)の間に導かれる。
【0025】
本開示の第8の態様は、上記第3の態様において、複数の上記伝熱プレート(50)のそれぞれにおいて、上記ガイド領域(53a,53b)は、左右方向に延びて上記上側貫通孔(95)と上記下側貫通孔(96)の間の部分を横断するシェルアンドプレート式熱交換器である。
【0026】
第8の態様では、上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)の間の部分を横断するガイド領域(53a,53b)によって、冷媒流路(41)を流れる冷媒が上側連通路(43)と下側連通路(44)の間に導かれる。
【0027】
本開示の第9の態様は、上記第8の態様において、上記第1プレート(50a)の上記ガイド領域(53a,53b)に含まれる上記リッジ部が第1リッジ部(83a)であり、上記第2プレート(50b)の上記ガイド領域(53a,53b)に含まれる上記リッジ部が第2リッジ部(83b)であり、上記第1リッジ部(83a)と上記第2リッジ部(83b)とは、それぞれの伸長方向が互いに異なり、且つそれぞれの伸長方向と水平方向のなす鋭角が45°以下であるシェルアンドプレート式熱交換器である。
【0028】
第9の態様において、上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)の間の部分を横断するガイド領域(53a,53b)に含まれるリッジ部(83a,83b)は、その伸長方向と水平方向のなす鋭角が45°以下である。そのため、冷媒流路(41)では、上向きに流れてガイド領域(53a,53b)に到達した冷媒が、ガイド領域(53a,53b)に含まれるリッジ部(83a,83b)によって、上側連通路(43)と下側連通路(44)の間に導かれる。
【0029】
本開示の第10の態様は、上記第1~第9のいずれか一つの態様のシェルアンドプレート式熱交換器(10)と、上記シェルアンドプレート式熱交換器(10)が設けられ、冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う冷媒回路(205)とを備えた冷凍装置である。
【0030】
第10の態様では、冷凍サイクルを行う冷媒回路(205)に、シェルアンドプレート式熱交換器(10)が設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、実施形態1の冷凍装置の冷媒回路を示す配管図である。
【
図2】
図2は、実施形態1のシェルアンドプレート式熱交換器の側面図とII-II断面図である
【
図3】
図3は、
図2のIII-III断面を示すシェルアンドプレート式熱交換器の断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1のプレート積層体の断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態1の第1プレート(伝熱プレート)の正面図である。
【
図6】
図6は、実施形態1の第2プレート(伝熱プレート)の正面図である。
【
図7】
図7は、実施形態1のプレート積層体の要部の拡大図である。
【
図8】
図8は、冷媒流路における冷媒の流れを示す実施形態1の第1プレートの概略の正面図である。
【
図9】
図9は、熱媒体流路における熱媒体の流れを示す実施形態1の第2プレートの概略の正面図である。
【
図10】
図10は、実施形態2の第1プレート(伝熱プレート)の正面図である。
【
図11】
図11は、実施形態2の第2プレート(伝熱プレート)の正面図である。
【
図12】
図12は、実施形態2のプレート積層体の要部の拡大図である。
【
図13】
図13は、冷媒流路における冷媒の流れを示す実施形態2の第1プレートの概略の正面図である。
【
図14】
図14は、実施形態2の変形例の第1プレート(伝熱プレート)の正面図である。
【
図15】
図15は、実施形態2の変形例の第2プレート(伝熱プレート)の正面図である。
【
図16】
図16は、実施形態3の第1プレート(伝熱プレート)の正面図である。
【
図17】
図17は、実施形態3の第2プレート(伝熱プレート)の正面図である。
【
図18】
図18は、実施形態3の変形例の第1プレート(伝熱プレート)の正面図である。
【
図19】
図19は、実施形態3の変形例の第2プレート(伝熱プレート)の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
《実施形態1》
実施形態1について説明する。本実施形態は、シェルアンドプレート式熱交換器(10)を備えた冷凍装置(200)である。
【0033】
-冷凍装置-
図1に示すように、本実施形態の冷凍装置(200)は、冷媒回路(205)を備える。冷媒回路(205)は、圧縮機(206)と、凝縮器(207)と、膨張弁(208)と、蒸発器(209)とを順に配管で接続することによって構成された閉回路である。冷媒回路(205)には、冷媒が充填される。この冷凍装置(200)では、蒸発器(209)がシェルアンドプレート式熱交換器(10)である。
【0034】
冷媒回路(205)は、冷媒を循環させることによって冷凍サイクルを行う。圧縮機(206)が作動すると、冷媒回路(205)において冷媒が循環する。圧縮機(206)から吐出された冷媒は、凝縮器(207)において水等の冷却媒体に放熱して凝縮する。凝縮器(207)から流出した冷媒は、膨張弁(208)を通過する際に減圧され、その後に蒸発器(209)へ流入する。蒸発器(209)において、冷媒は、水等の熱媒体から吸熱して蒸発する。蒸発器(209)から流出した冷媒は、圧縮機(206)へ吸入されて圧縮される。圧縮機(206)は、圧縮した冷媒を吐出する。
【0035】
-シェルアンドプレート式熱交換器-
本実施形態のシェルアンドプレート式熱交換器(10)(以下では、「熱交換器」という)は、満液式の蒸発器である。本実施形態の熱交換器(10)は、熱媒体を冷媒と熱交換させることによって冷却する。熱媒体としては、水とブラインが例示される。
【0036】
図2に示すように、本実施形態の熱交換器(10)は、シェル(20)と、プレート積層体(40)とを備える。プレート積層体(40)は、シェル(20)の内部空間(21)に収容される。
【0037】
-シェル-
シェル(20)は、両端が閉塞された円筒状に形成される。シェル(20)は、その長手方向が横方向となる姿勢で設置される。
【0038】
シェル(20)の底部には、シェル(20)の内部空間(21)へ冷媒を導入するための冷媒入口(22)が設けられる。冷媒入口(22)は、配管を介して膨張弁(208)に接続される。シェル(20)の頂部には、シェル(20)の内部空間(21)から冷媒を導出するための冷媒出口(23)が設けられる。冷媒出口(23)は、配管を介して圧縮機(206)に接続される。
【0039】
シェル(20)には、熱媒体入口(24)と、熱媒体出口(25)とが設けられる。熱媒体入口(24)と熱媒体出口(25)のそれぞれは、管状の部材である。熱媒体入口(24)と熱媒体出口(25)のそれぞれは、シェル(20)の一方の端部を貫通し、プレート積層体(40)に接続する。熱媒体入口(24)は、プレート積層体(40)の下側連通路(44)に接続し、熱媒体をプレート積層体(40)へ供給する。熱媒体出口(25)は、プレート積層体(40)の上側連通路(43)に接続し、プレート積層体(40)から熱媒体を導出する。
【0040】
-プレート積層体-
図2に示すように、プレート積層体(40)は、積層された複数の伝熱プレート(50)によって構成される。プレート積層体(40)は、伝熱プレート(50)の積層方向が横方向となる姿勢で、シェル(20)の内部空間(21)に収容される。プレート積層体(40)は、シェル(20)の内部空間(21)の下部に配置される。
【0041】
図3に示すように、プレート積層体(40)を構成する伝熱プレート(50)は、概ね台形状の板状の部材である。伝熱プレート(50)において、台形の上底に相当する上縁(91)は、台形の下底に相当する下縁(92)よりも長い。伝熱プレート(50)の左右の側縁(93)は、シェル(20)の内面に沿った下向きの円弧状である。伝熱プレート(50)の四つの角部は、それぞれが円弧状である。
【0042】
図4に示すように、プレート積層体(40)には、第1プレート(50a)と第2プレート(50b)とが、伝熱プレートとして設けられる。第2プレート(50b)は、第1プレート(50a)の表裏を反転させたものである。第1プレート(50a)及び第2プレート(50b)の詳細な構造は、後述する。
【0043】
プレート積層体(40)は、第1プレート(50a)と第2プレート(50b)とを複数ずつ備える。プレート積層体(40)では、第1プレート(50a)と第2プレート(50b)が交互に積層される。プレート積層体(40)は、伝熱プレート(50)の上縁(91)及び下縁(92)が実質的に水平になる姿勢で、シェル(20)内に設置される。
【0044】
〈伝熱プレート〉
伝熱プレートである第1プレート(50a)及び第2プレート(50b)について、
図4~
図6を参照しながら説明する。以下の説明では、第1プレート(50a)と第2プレート(50b)のそれぞれについて、
図4における左側の面を表(おもて)面とし、
図4における右側の面を裏面とする。
【0045】
図5に示すように、第1プレート(50a)には、上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)とが形成される。上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)のそれぞれは、比較的大きな円形の貫通孔である。上側貫通孔(95)の直径と、下側貫通孔(96)の直径とは、実質的に等しい。上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)とは、第1プレート(50a)の左右方向の中央部に、上下に並んで配置される。上側貫通孔(95)の中心と、下側貫通孔(96)の中心とは、第1プレート(50a)の幅方向の中央線の上に位置する。
【0046】
第1プレート(50a)には、上側周縁部(95a)と下側周縁部(96a)とが形成される。上側周縁部(95a)は、上側貫通孔(95)の周縁に沿った円環状の部分である。下側周縁部(96a)は、下側貫通孔(96)の周縁に沿った円環状の部分である。上側周縁部(95a)と下側周縁部(96a)のそれぞれは、第1プレート(50a)の表(おもて)面側に膨出する(
図4を参照)。
【0047】
第1プレート(50a)には、仕切り部(97)が形成される。仕切り部(97)は、第1プレート(50a)の上縁(91)及び下縁(92)と実質的に平行な線状の平坦な部分である。仕切り部(97)は、上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)の間を横断するように配置される。仕切り部(97)の長さは、第1プレート(50a)の上縁(91)よりも短く、第1プレート(50a)の下縁(92)よりも長い。
【0048】
第1プレート(50a)の伝熱面には、多数のリッジ部(80a)が形成される。リッジ部(80a)は、第1プレート(50a)の一部を隆起させることによって形成された直線状の部分である。第1プレート(50a)のリッジ部(80a)は、第1プレート(50a)の表(おもて)面側に隆起する(
図4を参照)。
【0049】
上述したように、第2プレート(50b)は、第1プレート(50a)の表裏を反転させたものである。
図6に示すように、第2プレート(50b)には、第1プレート(50a)と同様に、上側貫通孔(95)と、下側貫通孔(96)と、上側周縁部(95a)と、下側周縁部(96a)と、仕切り部(97)とが形成される。第2プレート(50b)において、上側貫通孔(95)、下側貫通孔(96)、上側周縁部(95a)、下側周縁部(96a)、及び仕切り部(97)の形状と配置は、第1プレート(50a)と同じである。ただし、第2プレート(50b)の上側周縁部(95a)及び下側周縁部(96a)は、第2プレート(50b)の裏面側に膨出する(
図4を参照)。
【0050】
第2プレート(50b)の伝熱面には、第1プレート(50a)と同様に、多数のリッジ部(80b)が形成される。第2プレート(50b)のリッジ部(80b)は、第2プレート(50b)の裏面側に隆起する(
図4を参照)。
【0051】
〈冷媒流路、熱媒体流路〉
図4に示すように、プレート積層体(40)では、伝熱プレート(50)を挟んで冷媒流路(41)と熱媒体流路(42)とが複数ずつ形成される。冷媒流路(41)と熱媒体流路(42)は、伝熱プレート(50)によって互いに仕切られる。
【0052】
冷媒流路(41)は、第1プレート(50a)の表(おもて)面と第2プレート(50b)の裏面に挟まれた流路である。冷媒流路(41)は、シェル(20)の内部空間(21)に連通する。熱媒体流路(42)は、第1プレート(50a)の裏面と第2プレート(50b)の表(おもて)面に挟まれた流路である。熱媒体流路(42)は、シェル(20)の内部空間(21)から遮断され、シェル(20)に取り付けられた熱媒体入口(24)及び熱媒体出口(25)と連通する。
【0053】
〈上側連通路、下側連通路〉
プレート積層体(40)において、各第1プレート(50a)の周縁部は、その第1プレート(50a)の裏面側に隣接する第2プレート(50b)の周縁部と、溶接またはロウ付けによって全周に亘って接合される。また、プレート積層体(40)では、各第1プレート(50a)の上側貫通孔(95)が、その第1プレート(50a)の表(おもて)面側に隣接する第2プレート(50b)の上側貫通孔(95)と重なり合い、重なり合った二つの上側貫通孔(95)の縁部が溶接またはロウ付けによって全周に亘って接合される。また、プレート積層体(40)では、各第1プレート(50a)の下側貫通孔(96)が、その第1プレート(50a)の表(おもて)面側に隣接する第2プレート(50b)の下側貫通孔(96)と重なり合い、重なり合った二つの下側貫通孔(96)の縁部が溶接またはロウ付けによって全周に亘って接合される。
【0054】
プレート積層体(40)では、各伝熱プレート(50)の上側貫通孔(95)と上側周縁部(95a)とによって、上側連通路(43)が形成される。また、プレート積層体(40)では、各伝熱プレート(50)の下側貫通孔(96)と下側周縁部(96a)とによって、下側連通路(44)が形成される。
【0055】
上側連通路(43)と下側連通路(44)のそれぞれは、プレート積層体(40)における伝熱プレート(50)の積層方向に延びる通路である。上側連通路(43)は、シェル(20)の内部空間(21)から遮断された通路であり、全ての熱媒体流路(42)に連通し、全ての熱媒体流路(42)を熱媒体出口(25)に接続する。下側連通路(44)は、シェル(20)の内部空間(21)から遮断された通路であり、全ての熱媒体流路(42)に連通し、全ての熱媒体流路(42)を熱媒体入口(24)に接続する。
【0056】
-第1プレートの伝熱面-
図5に示すように、第1プレート(50a)の伝熱面は、上部領域(51a)と、下部領域(52a)と、第1ガイド領域(61a)と、第1側方下領域(62a)と、第1側方領域(63a)と、第1側方上領域(64a)と、第2ガイド領域(71a)と、第2側方下領域(72a)と、第2側方領域(73a)と、第2側方上領域(74a)とに区分される。これらの領域(51a,52a,61a~64a,71a~74a)のそれぞれには、複数のリッジ部(80a)が形成される。
【0057】
なお、第1プレート(50a)の伝熱面の説明において用いる「右」「左」「上」「下」は、それぞれ
図5に示す第1プレート(50a)における「右」「左」「上」「下」である。また、この説明において示す角度の値は、単なる一例である。
【0058】
〈上部領域〉
上部領域(51a)は、仕切り部(97)の上側に位置する長方形状の領域である。上部領域(51a)は、仕切り部(97)から第1プレート(50a)の伝熱面の上端にわたって形成される。上部領域(51a)の長辺の長さは、仕切り部(97)の長さと概ね等しい。上側貫通孔(95)は、上部領域(51a)の左右方向の中央に形成される。
【0059】
上部領域(51a)に形成されたリッジ部(80a)は、右上がりに傾斜している。上部領域(51a)のリッジ部(80a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね45°である。
【0060】
〈下部領域〉
下部領域(52a)は、仕切り部(97)の下側に位置する等脚台形状の領域である。下部領域(52a)は、仕切り部(97)から第1プレート(50a)の伝熱面の下端にわたって形成される。下部領域(52a)は、台形の上底に相当する辺の長さが、台形の下底に相当する辺の長さよりも短い。また、下部領域(52a)は、台形の上底に相当する辺の長さが、上側貫通孔(95)及び下側貫通孔(96)の直径よりも短い。下側貫通孔(96)は、下部領域(52a)の左右方向の中央に形成される。
【0061】
下部領域(52a)に形成されたリッジ部(80a)は、右上がりに傾斜している。下部領域(52a)のリッジ部(80a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね45°である。
【0062】
〈第1ガイド領域〉
第1ガイド領域(61a)は、下部領域(52a)の右側の斜辺に沿った領域である。第1ガイド領域(61a)は、仕切り部(97)から第1プレート(50a)の伝熱面の下端にわたって形成される。第1ガイド領域(61a)の幅は、第1ガイド領域(61a)の上端から下端にわたって、概ね一定である。
【0063】
第1ガイド領域(61a)の上端は、第1プレート(50a)における上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)に挟まれた部分(
図8におけるドットを付した領域)に位置する。第1ガイド領域(61a)は、その上端から右斜め下方へ延びている。第1ガイド領域(61a)は、第1プレート(50a)における上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)に挟まれた部分と、その部分の外側の両方にわたって形成される。
【0064】
第1ガイド領域(61a)のリッジ部(81a)は、左上がりに傾斜している。第1ガイド領域(61a)のリッジ部(81a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね5°である。
【0065】
〈第1側方下領域〉
第1側方下領域(62a)は、第1ガイド領域(61a)の右側に位置する領域である。第1側方下領域(62a)は、仕切り部(97)から第1プレート(50a)の伝熱面の側端にわたって形成される。第1側方下領域(62a)の右側の辺は、仕切り部(97)の右端から右斜め下方へ延びる。
【0066】
第1側方下領域(62a)のリッジ部(80a)は、左上がりに傾斜している。第1側方下領域(62a)のリッジ部(80a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね85°である。
【0067】
〈第1側方領域〉
第1側方領域(63a)は、第1側方下領域(62a)の右側に位置する領域である。第1側方領域(63a)は、仕切り部(97)の右端から第1プレート(50a)の伝熱面の側端にわたって形成される。第1側方領域(63a)の形状は、仕切り部(97)の右端から第1プレート(50a)の側縁(93)に向かって広がる三角形状である。
【0068】
第1側方領域(63a)のリッジ部(80a)は、左上がりに傾斜している。第1側方領域(63a)のリッジ部(80a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね45°である。
【0069】
〈第1側方上領域〉
第1側方上領域(64a)は、上部領域(51a)と第1側方領域(63a)に挟まれた領域である。第1側方上領域(64a)は、仕切り部(97)の右端から第1プレート(50a)の伝熱面の上端にわたって形成される。第1側方上領域(64a)の形状は、仕切り部(97)の右端から第1プレート(50a)の上縁(91)に向かって広がる三角形状である。
【0070】
第1側方上領域(64a)のリッジ部(80a)は、右上がりに傾斜している。第1側方上領域(64a)のリッジ部(80a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね10°である。
【0071】
〈第2ガイド領域〉
第2ガイド領域(71a)は、下部領域(52a)の左側の斜辺に沿った領域である。第2ガイド領域(71a)は、仕切り部(97)から第1プレート(50a)の伝熱面の下端にわたって形成される。第2ガイド領域(71a)の幅は、第2ガイド領域(71a)の上端から下端にわたって、概ね一定である。
【0072】
第2ガイド領域(71a)の上端は、第1プレート(50a)における上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)に挟まれた部分(
図8におけるドットを付した領域)に位置する。第2ガイド領域(71a)は、その上端から左斜め下方へ延びている。第2ガイド領域(71a)は、第1プレート(50a)における上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)に挟まれた部分と、その部分の外側の両方にわたって形成される。
【0073】
第2ガイド領域(71a)のリッジ部(82a)は、左上がりに傾斜している。第2ガイド領域(71a)のリッジ部(82a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね75°である。
【0074】
〈第2側方下領域〉
第2側方下領域(72a)は、第2ガイド領域(71a)の左側に位置する領域である。第2側方下領域(72a)は、仕切り部(97)から第1プレート(50a)の伝熱面の側端にわたって形成される。第2側方下領域(72a)の左側の辺は、仕切り部(97)の左端から左斜め下方へ延びる。
【0075】
第2側方下領域(72a)のリッジ部(80a)は、右上がりに傾斜している。第2側方下領域(72a)のリッジ部(80a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね5°である。
【0076】
〈第2側方領域〉
第2側方領域(73a)は、第2側方下領域(72a)の左側に位置する領域である。第2側方領域(73a)は、仕切り部(97)の左端から第1プレート(50a)の伝熱面の側端にわたって形成される。第2側方領域(73a)の形状は、仕切り部(97)の左端から第1プレート(50a)の側縁(93)に向かって広がる三角形状である。
【0077】
第2側方領域(73a)のリッジ部(80a)は、左上がりに傾斜している。第2側方領域(73a)のリッジ部(80a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね45°である。
【0078】
〈第2側方上領域〉
第2側方上領域(74a)は、上部領域(51a)と第2側方領域(73a)に挟まれた領域である。第2側方上領域(74a)は、仕切り部(97)の左端から第1プレート(50a)の伝熱面の上端にわたって形成される。第2側方上領域(74a)の形状は、仕切り部(97)の左端から第1プレート(50a)の上縁(91)に向かって広がる三角形状である。
【0079】
第2側方上領域(74a)のリッジ部(80a)は、左上がりに傾斜している。第2側方上領域(74a)のリッジ部(80a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね80°である。
【0080】
-第2プレートの伝熱面-
図6に示すように、第2プレート(50b)の伝熱面は、第1プレート(50a)と同様に、上部領域(51b)と、下部領域(52b)と、第1ガイド領域(61b)と、第1側方下領域(62b)と、第1側方領域(63b)と、第1側方上領域(64b)と、第2ガイド領域(71b)と、第2側方下領域(72b)と、第2側方領域(73b)と、第2側方上領域(74b)とに区分される。
【0081】
なお、第2プレート(50b)の伝熱面の説明において用いる「右」「左」「上」「下」は、それぞれ
図6に示す第2プレート(50b)における「右」「左」「上」「下」である。
【0082】
上述したように、第2プレート(50b)は、第1プレート(50a)の表裏を反転させたものである。従って、第2プレート(50b)では、上側貫通孔(95)及び下側貫通孔(96)の右側に、第2ガイド領域(71b)と、第2側方下領域(72b)と、第2側方領域(73b)と、第2側方上領域(74b)とが形成される。また、第2プレート(50b)では、上側貫通孔(95)及び下側貫通孔(96)の左側に第1ガイド領域(61b)と、第1側方下領域(62b)と、第1側方領域(63b)と、第1側方上領域(64b)とが形成される。
【0083】
-第1プレートの各領域と第2プレートの各領域との対応関係-
上述したように、プレート積層体(40)では、第1プレート(50a)と第2プレート(50b)が交互に積層される。従って、プレート積層体(40)では、第1プレート(50a)の上部領域(51a)と第2プレート(50b)の上部領域(51b)が重なり合い、第1プレート(50a)の下部領域(52a)と第2プレート(50b)の下部領域(52b)が重なり合う。
【0084】
上述したように、第2プレート(50b)は、第1プレート(50a)の表裏を反転させたものである。従って、プレート積層体(40)では、第1プレート(50a)の第1ガイド領域(61a)と第2プレート(50b)の第2ガイド領域(71b)が重なり合い、第1プレート(50a)の第1側方下領域(62a)と第2プレート(50b)の第2側方下領域(72b)が重なり合い、第1プレート(50a)の第1側方領域(63a)と第2プレート(50b)の第2側方領域(73b)が重なり合い、第1プレート(50a)の第1側方上領域(64a)と第2プレート(50b)の第2側方上領域(74b)が重なり合う。また、プレート積層体(40)では、第1プレート(50a)の第2ガイド領域(71a)と第2プレート(50b)の第1ガイド領域(61b)が重なり合い、第1プレート(50a)の第2側方下領域(72a)と第2プレート(50b)の第1側方下領域(62b)が重なり合い、第1プレート(50a)の第2側方領域(73a)と第2プレート(50b)の第1側方領域(63b)が重なり合い、第1プレート(50a)の第2側方上領域(74a)と第2プレート(50b)の第1側方上領域(64b)が重なり合う。
【0085】
プレート積層体(40)では、第1プレート(50a)の仕切り部(97)と第2プレート(50b)の仕切り部(97)が互いに重なり合う。第1プレート(50a)の仕切り部(97)と第2プレート(50b)の仕切り部(97)は、それぞれの全長にわたって、ロウ付け等によって互いに接合される。なお、第1プレート(50a)の仕切り部(97)と第2プレート(50b)の仕切り部(97)は、互いに接合されていなくてもよい。
【0086】
-ガイド構造-
第1プレート(50a)の第1ガイド領域(61a)のリッジ部(81a)と第2ガイド領域(71a)のリッジ部(82a)とは、第1プレート(50a)に設けられた第1リッジ部であり、ガイド構造(100)を構成する。また、第2プレート(50b)の第1ガイド領域(61b)のリッジ部(81b)と第2ガイド領域(71b)のリッジ部(82b)とは、第2プレート(50b)に設けられた第2リッジ部であり、ガイド構造(100)を構成する。ガイド構造(100)は、冷媒流路(41)を流れる冷媒を上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)の間に導くための構造である。
【0087】
図7に示すように、プレート積層体(40)では、第1プレート(50a)の第1ガイド領域(61a)が、第2プレート(50b)の第2ガイド領域(71b)と重なり合う。第1プレート(50a)の第1ガイド領域(61a)のリッジ部(81a)と、第2プレート(50b)の第2ガイド領域(71b)のリッジ部(82b)とは、互いに交差する。
図7では、第1プレート(50a)の第1ガイド領域(61a)のリッジ部(81a)を実線で示し、第2プレート(50b)の第2ガイド領域(71b)のリッジ部(82b)を破線で示す。
【0088】
“第1プレート(50a)の第1ガイド領域(61a)のリッジ部(81a)”と“第2プレート(50b)の第2ガイド領域(71b)のリッジ部(82b)”のなす鈍角の二等分線を、第1二等分線(L1)とする。第1二等分線(L1)と鉛直線のなす角度がθ1である。
【0089】
“第1プレート(50a)の第1ガイド領域(61a)のリッジ部(81a)”と“第2プレート(50b)の第2ガイド領域(71b)のリッジ部(82b)”のなす鋭角の二等分線を、第2二等分線(L2)とする。第2二等分線(L2)と鉛直線のなす角度がθ2である。
【0090】
本実施形態のプレート積層体(40)では、角度θ
1が角度θ
2よりも小さい(θ
1<θ
2)。このプレート積層体(40)では、第1二等分線(L1)が、
図7における左側に傾斜する。言い換えると、第1二等分線(L1)は、上に行くほど伝熱プレート(50)の幅方向の中央に近づくように傾斜する。
【0091】
また、プレート積層体(40)では、第1プレート(50a)の第2ガイド領域(71a)が、第2プレート(50b)の第1ガイド領域(61b)と重なり合う。第1プレート(50a)の第2ガイド領域(71a)のリッジ部(82a)と、第2プレート(50b)の第1ガイド領域(61b)のリッジ部(81b)とは、互いに交差する。
【0092】
“第1プレート(50a)の第2ガイド領域(71a)のリッジ部(82a)”と“第2プレート(50b)の第1ガイド領域(61b)のリッジ部(81b)”のなす鈍角の二等分線と鉛直線のなす角度は、θ1である。“第1プレート(50a)の第2ガイド領域(71a)のリッジ部(82a)”と“第2プレート(50b)の第1ガイド領域(61b)のリッジ部(81b)”のなす鋭角の二等分線と鉛直線のなす角度は、θ2である。
【0093】
上述したように、角度θ1は、角度θ2よりも小さい(θ1<θ2)。本実施形態のプレート積層体(40)では、“第1プレート(50a)の第2ガイド領域(71a)のリッジ部(82a)”と“第2プレート(50b)の第1ガイド領域(61b)のリッジ部(81b)”のなす鈍角の二等分線が、上に行くほど伝熱プレートの幅方向の中央に近づくように傾斜する。
【0094】
-熱交換器における冷媒と熱媒体の流れ-
本実施形態の熱交換器(10)における冷媒と熱媒体の流れについて説明する。熱交換器(10)では、プレート積層体(40)において冷媒と熱媒体が熱交換する。
【0095】
〈冷媒の流れ〉
熱交換器(10)には、膨張弁(208)を通過した気液二相状態の冷媒が流入する。冷媒は、冷媒入口(22)を通ってシェル(20)の内部空間(21)へ流入する。
【0096】
シェル(20)の内部空間(21)では、プレート積層体(40)の大部分が液冷媒に浸かっており、プレート積層体(40)の冷媒流路(41)へ冷媒が流入する。冷媒流路(41)へ流入した液冷媒は、伝熱プレート(50)と接触し、熱媒体流路(42)を流れる熱媒体から吸熱して蒸発する。冷媒流路(41)において生じたガス冷媒は、上方へ流れて冷媒流路(41)から流出し、冷媒出口(23)を通ってシェル(20)の外部へ流出する。
【0097】
冷媒流路(41)における冷媒の流れについて、
図8を参照しながら説明する。
【0098】
冷媒流路(41)では、液冷媒が蒸発してガス冷媒になる。冷媒流路(41)において発生したガス冷媒は、浮力によって上昇する。そのため、冷媒流路(41)では、下から上に向かう冷媒の流れが生じる。
【0099】
冷媒流路(41)は、熱媒体が流れる下側連通路(44)及び上側連通路(43)から仕切られている。冷媒流路(41)を上向きに流れる冷媒は、下側連通路(44)及び上側連通路(43)を避けて流れる。そのため、対策を講じない場合、冷媒流路(41)では、主に下側連通路(44)及び上側連通路(43)の側方の部分を冷媒が上向きに流れ、下側連通路(44)と上側連通路(43)の間の部分には冷媒が流入しにくくなる。
【0100】
これに対し、本実施形態の伝熱プレート(50)では、下側貫通孔(96)の左右にガイド領域(61a,61b,71a,71b)が一つずつ形成されている。そして、本実施形態のプレート積層体(40)では、第1プレート(50a)の第1ガイド領域(61a)と第2プレート(50b)の第2ガイド領域(71b)が重なり合い、第1プレート(50a)の第2ガイド領域(71a)と第2プレート(50b)の第1ガイド領域(61b)が重なり合う。
【0101】
冷媒流路(41)において、下側連通路(44)の右側方を上向きに流れる冷媒の一部は、第1ガイド領域(61a)のリッジ部(81a)と第2ガイド領域(71b)のリッジ部(82b)とによって案内されて、下側連通路(44)と上側連通路(43)の部分に流入する。また、冷媒流路(41)において、下側連通路(44)の左側方を上向きに流れる冷媒の一部は、第2ガイド領域(71a)のリッジ部(82a)と第1ガイド領域(61b)のリッジ部(81b)とによって案内されて、下側連通路(44)と上側連通路(43)の部分に流入する。冷媒流路(41)における下側連通路(44)と上側連通路(43)の部分に流入した液冷媒は、伝熱プレート(50)と接触して熱媒体と熱交換する。
【0102】
〈熱媒体の流れ〉
熱交換器(10)へ供給される熱媒体は、熱媒体入口(24)を通ってプレート積層体(40)の下側連通路(44)へ流入し、各熱媒体流路(42)へ分配される。
【0103】
図9に示すように、熱媒体流路(42)へ流入した熱媒体は、下側貫通孔(96)から上側貫通孔(95)へ向かって、伝熱プレート(50)の仕切り部(97)を迂回して流れる。具体的に、熱媒体流路(42)へ流入した熱媒体は、左右に分かれて伝熱プレート(50)の側縁(93)に向かって流れる。その後、熱媒体は、伝熱プレート(50)の側縁(93)に沿って仕切り部(97)の上側に回り込み、上側貫通孔(95)へ向かって流れる。
【0104】
熱媒体流路(42)を流れる過程で、熱媒体は、冷媒流路(41)を流れる冷媒へ放熱する。その結果、熱媒体の温度が低下する。熱媒体流路(42)において冷却された熱媒体は、各熱媒体流路(42)から上側連通路(43)へ流入して合流し、その後に熱媒体出口(25)を通ってシェル(20)の外部へ流出する。
【0105】
-実施形態1の特徴(1)-
本実施形態のシェルアンドプレート式熱交換器(10)では、複数の伝熱プレート(50)を備えたプレート積層体(40)が、シェル(20)の内部空間(21)に設置される。プレート積層体(40)には、冷媒流路(41)と熱媒体流路(42)とが複数ずつ形成される。各伝熱プレート(50)には、上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)とが形成される。プレート積層体(40)では、各伝熱プレート(50)の上側貫通孔(95)が、熱媒体流路(42)に連通する上側連通路(43)を形成する。また、プレート積層体(40)では、各伝熱プレート(50)の下側貫通孔(96)が、熱媒体流路(42)に連通する下側連通路(44)を形成する。各伝熱プレート(50)には、冷媒流路(41)を流れる冷媒を上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)の間に導くガイド構造(100)が形成される。
【0106】
本実施形態のシェルアンドプレート式熱交換器(10)において、冷媒は、プレート積層体(40)の冷媒流路(41)に流入し、熱媒体流路(42)を流れる熱媒体と熱交換して蒸発する。冷媒流路(41)において発生したガス冷媒は、浮力によって上方へ向かって流れる。そのため、冷媒流路(41)では、冷媒が概ね下から上に向かって流れる。
【0107】
冷媒流路(41)において、上向きに流れる冷媒の一部は、ガイド構造(100)によって上側連通路(43)と下側連通路(44)の間に導かれる。そのため、伝熱プレート(50)は、上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)の間の部分とその部分の外側の両方が、液冷媒と接触し、液冷媒との熱交換を行う。その結果、シェルアンドプレート式熱交換器(10)における冷媒と熱媒体の熱交換量が増加し、シェルアンドプレート式熱交換器(10)の性能が向上する。
【0108】
-実施形態1の特徴(2)-
伝熱プレート(50)のガイド構造(100)は、互いに平行な直線状の複数のリッジ部(80a,80b)によって構成される。リッジ部(80a,80b)は、伝熱プレート(50)を隆起させることによって形成され、冷媒流路(41)に向かって膨出する。そのため、冷媒流路(41)における冷媒流れの方向が、ガイド構造(100)を構成するリッジ部(80a,80b)によって変更される。
【0109】
-実施形態1の特徴(3)-
本実施形態のプレート積層体(40)では、各伝熱プレート(50)のガイド領域(61a,61b,71a,71b)が、伝熱プレート(50)の積層方向において重なり合う。プレート積層体(40)の冷媒流路(41)を流れる冷媒は、重なり合ったガイド領域(61a,61b,71a,71b)に含まれるリッジ部(80a,80b)によって、上側連通路(43)と下側連通路(44)の間に導かれる。
【0110】
-実施形態1の特徴(4)-
本実施形態の各伝熱プレート(50)では、ガイド領域(61a,61b,71a,71b)が、上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)の間の部分から該部分の外側にわたって配置される。そのため、プレート積層体(40)の冷媒流路(41)では、上側連通路(43)と下側連通路(44)の間の部分へ、その部分の外側を流れる冷媒の一部が、ガイド領域(61a,61b,71a,71b)に含まれるリッジ部(80a,80b)によって導かれる。
【0111】
-実施形態1の特徴(5)-
本実施形態のプレート積層体(40)において、冷媒流路(41)を流れる冷媒は、下側連通路(44)の右側と左側のそれぞれに設けられたガイド領域(61a,61b,71a,71b)のリッジ部(80a,80b)によって、上側連通路(43)と下側連通路(44)の間の部分へ導かれる。
【0112】
-実施形態1の特徴(6)-
本実施形態の各伝熱プレート(50)において、ガイド領域(61a,61b,71a,71b)は、上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)の間の部分から斜め下方に向かって延びる。そのため、冷媒流路(41)のうち下側連通路(44)の側方の部分を上向きに流れる冷媒が、ガイド領域(61a,61b,71a,71b)に含まれるリッジ部(80a,80b)によって、上側連通路(43)と下側連通路(44)の間の部分に導かれる。
【0113】
-実施形態1の特徴(7)-
本実施形態の熱交換器(10)において、冷媒流路(41)のうち各伝熱プレート(50)のガイド領域(61a,61b,71a,71b)に挟まれた部分を流れる冷媒は、“第1リッジ部(81a,82a)と第2リッジ部(82b,81b)のなす鈍角の二等分線(L1)”と“第1リッジ部(81a,82a)と第2リッジ部()12のなす鋭角の二等分線(L2)”のうち鉛直方向となす鋭角の小さい方の二等分線に沿った方向へ流れやすい。冷媒流路(41)を流れるガス冷媒には、鉛直上向きに浮力が作用するからである。
【0114】
本実施形態の熱交換器(10)では、鉛直方向となす鋭角の小さい方の二等分線である第1二等分線(L1)が、上に行くほど伝熱プレート(50)の幅方向の中央に近づくように傾斜する。そのため、冷媒流路(41)のうち各伝熱プレート(50)のガイド領域(61a,61b,71a,71b)に挟まれた部分を流れる冷媒は、ガイド領域(61a,61b,71a,71b)のリッジ部(81a,82a,81b,82b)によって、上側連通路(43)と下側連通路(44)の間に導かれる。
【0115】
《実施形態2》
実施形態2について説明する。本実施形態の冷凍装置(200)は、シェルアンドプレート式熱交換器(10)の構成が実施形態1と異なる。ここでは、本実施形態のシェルアンドプレート式熱交換器(10)について、実施形態1と異なる点を説明する。
【0116】
本実施形態のシェルアンドプレート式熱交換器(10)は、プレート積層体(40)を構成する伝熱プレート(50)が、実施形態1と異なる。本実施形態の伝熱プレート(50)は、伝熱面の構成が実施形態1と異なる。本実施形態の伝熱プレート(50)の外形は、実施形態1と同じである。また、本実施形態の伝熱プレート(50)において、上側貫通孔(95)、下側貫通孔(96)、上側周縁部(95a)、及び下側周縁部(96a)の形状と位置は、実施形態1と同じである。
【0117】
-第1プレートの伝熱面-
図10に示すように、第1プレート(50a)の伝熱面は、上部領域(51a)と、下部領域(52a)と、中間ガイド領域(53a)と、第1側方下領域(62a)と、第1側方領域(63a)と、第1接続領域(65a)と、第1側方上領域(64a)と、第2側方下領域(72a)と、第2側方領域(73a)と、第2接続領域(75a)と、第2側方上領域(74a)とに区分される。これらの領域(51a~53a,62a~65a, 72a~75a)のそれぞれには、複数のリッジ部(80a)が形成される。第1プレート(50a)に仕切り部(97)は形成されない。
【0118】
このように、本実施形態の第1プレート(50a)は、第1ガイド領域(61a)、第2ガイド領域(71a)、及び仕切り部(97)が省略され、中間ガイド領域(53a)、第1接続領域(65a)、及び第2接続領域(75a)が設けられる点において、実施形態1の第1プレート(50a)と異なる。
【0119】
なお、第1プレート(50a)の伝熱面の説明において用いる「右」「左」「上」「下」は、それぞれ
図10に示す第1プレート(50a)における「右」「左」「上」「下」である。また、この説明において示す角度の値は、単なる一例である。
【0120】
〈中間ガイド領域〉
中間ガイド領域(53a)は、実施形態1の仕切り部(97)に代えて設けられる。中間ガイド領域(53a)は、横長の長方形状の領域である。中間ガイド領域(53a)は、第1プレート(50a)の上下方向の中央付近に位置する。中間ガイド領域(53a)は、第1プレート(50a)における上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)に挟まれた部分(
図13におけるドットを付した領域)を横断する。中間ガイド領域(53a)の長さ(左右方向の長さ)は、実施形態1の仕切り部(97)の長さと概ね等しい。中間ガイド領域(53a)の幅(上下方向の長さ)は、実施形態1の仕切り部(97)の幅よりも広い。
【0121】
中間ガイド領域(53a)に形成されたリッジ部(83a)は、左上がりに傾斜している。中間ガイド領域(53a)のリッジ部(83a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね30°である。
【0122】
〈上部領域〉
上部領域(51a)は、中間ガイド領域(53a)の上側に位置する長方形状の領域である。上部領域(51a)は、中間ガイド領域(53a)から第1プレート(50a)の伝熱面の上端にわたって形成される。上部領域(51a)の長辺の長さは、中間ガイド領域(53a)の長さと概ね等しい。上側貫通孔(95)は、上部領域(51a)の左右方向の中央に形成される。
【0123】
上部領域(51a)に形成されたリッジ部(80a)は、左上がりに傾斜している。上部領域(51a)のリッジ部(80a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね45°である。
【0124】
〈下部領域〉
下部領域(52a)は、中間ガイド領域(53a)の下側に位置する長方形状の領域である。下部領域(52a)は、中間ガイド領域(53a)から第1プレート(50a)の伝熱面の下端にわたって形成される。下部領域(52a)の長辺の長さは、中間ガイド領域(53a)の長さと概ね等しい。下側貫通孔(96)は、下部領域(52a)の左右方向の中央に形成される。
【0125】
下部領域(52a)に形成されたリッジ部(80a)は、左上がりに傾斜している。下部領域(52a)のリッジ部(80a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね45°である。
【0126】
〈第1側方下領域〉
第1側方下領域(62a)は、下部領域(52a)の右側に位置する領域である。第1側方下領域(62a)は、下部領域(52a)の右端から第1プレート(50a)の伝熱面の側端にわたって形成される。第1側方下領域(62a)の形状は、中間ガイド領域(53a)の右端から第1プレート(50a)の側縁(93)に向かって広がる三角形状である。
【0127】
第1側方下領域(62a)のリッジ部(80a)は、左上がりに傾斜している。第1側方下領域(62a)のリッジ部(80a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね85°である。
【0128】
〈第1側方領域〉
第1側方領域(63a)は、第1側方下領域(62a)の上側に位置する領域である。第1側方領域(63a)は、中間ガイド領域(53a)の右端から第1プレート(50a)の伝熱面の側端にわたって形成される。第1側方領域(63a)の形状は、中間ガイド領域(53a)の右端から第1プレート(50a)の側縁(93)に向かって広がる三角形状である。
【0129】
第1側方領域(63a)のリッジ部(80a)は、右上がりに傾斜している。第1側方領域(63a)のリッジ部(80a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね10°である。
【0130】
〈第1接続領域〉
第1接続領域(65a)は、第1側方領域(63a)の上側に位置する領域である。第1接続領域(65a)は、中間ガイド領域(53a)の右端から第1プレート(50a)の伝熱面の右上の角部にわたって形成される。第1接続領域(65a)の形状は、中間ガイド領域(53a)の右端から第1プレート(50a)の上縁(91)に向かって広がる三角形状である。
【0131】
第1接続領域(65a)のリッジ部(80a)は、左上がりに傾斜している。第1接続領域(65a)のリッジ部(80a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね10°である。
【0132】
〈第1側方上領域〉
第1側方上領域(64a)は、上部領域(51a)の右側に位置し、上部領域(51a)と第1接続領域(65a)に挟まれた領域である。第1側方上領域(64a)は、中間ガイド領域(53a)の右端から第1プレート(50a)の伝熱面の上端にわたって形成される。第1側方上領域(64a)の形状は、中間ガイド領域(53a)の右端から第1プレート(50a)の上縁(91)に向かって広がる三角形状である。
【0133】
第1側方上領域(64a)のリッジ部(80a)は、右上がりに傾斜している。第1側方上領域(64a)のリッジ部(80a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね45°である。
【0134】
〈第2側方下領域〉
第2側方下領域(72a)は、下部領域(52a)の左側に位置する領域である。第2側方下領域(72a)は、下部領域(52a)の左端から第1プレート(50a)の伝熱面の側端にわたって形成される。第2側方下領域(72a)の形状は、中間ガイド領域(53a)の左端から第1プレート(50a)の側縁(93)に向かって広がる三角形状である。
【0135】
第2側方下領域(72a)のリッジ部(80a)は、右上がりに傾斜している。第2側方下領域(72a)のリッジ部(80a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね5°である。
【0136】
〈第2側方領域〉
第2側方領域(73a)は、第2側方下領域(72a)の上側に位置する領域である。第2側方領域(73a)は、中間ガイド領域(53a)の左端から第1プレート(50a)の伝熱面の側端にわたって形成される。第2側方領域(73a)の形状は、中間ガイド領域(53a)の左端から第1プレート(50a)の側縁(93)に向かって広がる三角形状である。
【0137】
第2側方領域(73a)のリッジ部(80a)は、右上がりに傾斜している。第2側方領域(73a)のリッジ部(80a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね80°である。
【0138】
〈第2接続領域〉
第2接続領域(75a)は、第2側方領域(73a)の上側に位置する領域である。第2接続領域(75a)は、中間ガイド領域(53a)の左端から第1プレート(50a)の伝熱面の左上の角部にわたって形成される。第2接続領域(75a)の形状は、中間ガイド領域(53a)の左端から第1プレート(50a)の上縁(91)に向かって広がる三角形状である。
【0139】
第2接続領域(75a)のリッジ部(80a)は、左上がりに傾斜している。第1接続領域(65a)のリッジ部(80a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね70°である。
【0140】
〈第2側方上領域〉
第2側方上領域(74a)は、上部領域(51a)の左側に位置し、上部領域(51a)と第2接続領域(75a)に挟まれた領域である。第2側方上領域(74a)は、中間ガイド領域(53a)の左端から第1プレート(50a)の伝熱面の上端にわたって形成される。第2側方上領域(74a)の形状は、中間ガイド領域(53a)の左端から第1プレート(50a)の上縁(91)に向かって広がる三角形状である。
【0141】
第2側方上領域(74a)のリッジ部(80a)は、右上がりに傾斜している。第2側方上領域(74a)のリッジ部(80a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね70°である。
【0142】
-第2プレートの伝熱面-
図11に示すように、第2プレート(50b)の伝熱面は、第1プレート(50a)と同様に、上部領域(51b)と、下部領域(52b)と、中間ガイド領域(53b)と、第1側方下領域(62b)と、第1側方領域(63b)と、第1接続領域(65b)と、第1側方上領域(64b)と、第2側方下領域(72b)と、第2側方領域(73b)と、第2接続領域(75b)と、第2側方上領域(74b)とに区分される。
【0143】
なお、第2プレート(50b)の伝熱面の説明において用いる「右」「左」「上」「下」は、それぞれ
図11に示す第2プレート(50b)における「右」「左」「上」「下」である。
【0144】
実施形態1と同様に、第2プレート(50b)は、第1プレート(50a)の表裏を反転させたものである。従って、第2プレート(50b)では、上部領域(51b)、下部領域(52b)、及び中間ガイド領域(53b)の右側に、第2側方下領域(72b)と、第2側方領域(73b)と、第2接続領域(75b)と、第2側方上領域(74b)とが形成される。また、第2プレート(50b)では、上部領域(51b)、下部領域(52b)、及び中間ガイド領域(53b)の左側に、第1側方下領域(62b)と、第1側方領域(63b)と、第1接続領域(65b)と、第1側方上領域(64b)とが形成される。
【0145】
-第1プレートの各領域と第2プレートの各領域との対応関係-
上述したように、プレート積層体(40)では、第1プレート(50a)と第2プレート(50b)が交互に積層される。従って、プレート積層体(40)では、第1プレート(50a)の上部領域(51a)と第2プレート(50b)の上部領域(51b)が重なり合い、第1プレート(50a)の下部領域(52a)と第2プレート(50b)の下部領域(52b)が重なり合い、第1プレート(50a)の中間ガイド領域(53a)と第2プレート(50b)の中間ガイド領域(53b)が重なり合う。
【0146】
上述したように、第2プレート(50b)は、第1プレート(50a)の表裏を反転させたものである。従って、プレート積層体(40)では、第1プレート(50a)の第1側方下領域(62a)と第2プレート(50b)の第2側方下領域(72b)が重なり合い、第1プレート(50a)の第1側方領域(63a)と第2プレート(50b)の第2側方領域(73b)が重なり合い、第1プレート(50a)の第1接続領域(65a)と第2プレート(50b)の第2接続領域(75b)が重なり合い、第1プレート(50a)の第1側方上領域(64a)と第2プレート(50b)の第2側方上領域(74b)が重なり合う。また、プレート積層体(40)では、第1プレート(50a)の第2側方下領域(72a)と第2プレート(50b)の第1側方下領域(62b)が重なり合い、第1プレート(50a)の第2側方領域(73a)と第2プレート(50b)の第1側方領域(63b)が重なり合い、第1プレート(50a)の第2接続領域(75a)と第2プレート(50b)の第1接続領域(65b)が重なり合い、第1プレート(50a)の第2側方上領域(74a)と第2プレート(50b)の第1側方上領域(64b)が重なり合う。
【0147】
-ガイド構造-
第1プレート(50a)の中間ガイド領域(53a)のリッジ部(83a)は、第1プレート(50a)に設けられた第1リッジ部であり、ガイド構造(100)を構成する。また、第2プレート(50b)の中間ガイド領域(53b)のリッジ部(83b)は、第2プレート(50b)に設けられた第2リッジ部であり、ガイド構造(100)を構成する。ガイド構造(100)は、冷媒流路(41)を流れる冷媒を上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)の間に導くための構造である。
【0148】
図12に示すように、プレート積層体(40)では、第1プレート(50a)の中間ガイド領域(53a)が、第2プレート(50b)の中間ガイド領域(53b)と重なり合う。第1プレート(50a)の中間ガイド領域(53a)のリッジ部(83a)と、第2プレート(50b)の中間ガイド領域(53b)のリッジ部(83b)とは、互いに交差する。
図12では、第1プレート(50a)の中間ガイド領域(53a)のリッジ部(83a)を実線で示し、第2プレート(50b)の中間ガイド領域(53b)のリッジ部(83b)を破線で示す。
【0149】
上述したように、第1プレート(50a)の中間ガイド領域(53a)において、リッジ部(83a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね30°である。従って、リッジ部(83a)の伸長方向と水平方向のなす鋭角は、45°以下である。更に、リッジ部(83a)の伸長方向と水平方向のなす鋭角は、下部領域(52a)のリッジ部(80a)の伸長方向と水平方向のなす鋭角よりも小さい。
【0150】
上述したように、第2プレート(50b)は、第1プレート(50a)の表裏を反転させたものである。従って、第2プレート(50b)において、中間ガイド領域(53b)のリッジ部(83b)の伸長方向と水平方向のなす鋭角は、45°以下であり、下部領域(52b)のリッジ部(80b)の伸長方向と水平方向のなす鋭角よりも小さい。
【0151】
-熱交換器における冷媒と熱媒体の流れ-
本実施形態の熱交換器(10)における冷媒と熱媒体の流れについて説明する。熱交換器(10)では、プレート積層体(40)において冷媒と熱媒体が熱交換する。
【0152】
〈冷媒の流れ〉
実施形態1と同様に、冷媒入口(22)を通ってシェル(20)の内部空間(21)へ流入した冷媒は、プレート積層体(40)の冷媒流路(41)へ冷媒が流入し、熱媒体流路(42)を流れる熱媒体から吸熱して蒸発する。冷媒流路(41)において生じたガス冷媒は、上方へ流れて冷媒流路(41)から流出し、冷媒出口(23)を通ってシェル(20)の外部へ流出する。
【0153】
冷媒流路(41)における冷媒の流れについて、
図13を参照しながら説明する。
【0154】
冷媒流路(41)では、液冷媒が蒸発してガス冷媒になる。冷媒流路(41)において発生したガス冷媒は、浮力によって上昇する。そのため、冷媒流路(41)では、下から上に向かう冷媒の流れが生じる。
【0155】
下側連通路(44)の側方を上方へ向かう冷媒の流れは、伝熱プレート(50)の中間ガイド領域(53a,53b)のリッジ部(83a,83b)に当たって左右に拡散する。そのため、冷媒流路(41)では、下側連通路(44)の側方を上向きに流れる冷媒の一部が、中間ガイド領域(53a,53b)のリッジ部(83a,83b)によって案内されて、下側連通路(44)と上側連通路(43)の部分に流入する。冷媒流路(41)における下側連通路(44)と上側連通路(43)の部分に流入した液冷媒は、伝熱プレート(50)と接触して熱媒体と熱交換する。
【0156】
〈熱媒体の流れ〉
熱交換器(10)へ供給される熱媒体は、熱媒体入口(24)を通ってプレート積層体(40)の下側連通路(44)へ流入し、各熱媒体流路(42)へ分配される。熱媒体流路(42)へ流入した熱媒体は、下側貫通孔(96)から上側貫通孔(95)へ向かって流れる。熱媒体の流れは、伝熱プレート(50)の中間ガイド領域(53a,53b)のリッジ部(83a,83b)に当たって左右に拡散する。そして、熱媒体は、伝熱プレート(50)の側縁(93)に沿って中間ガイド領域(53a,53b)の上側に回り込み、上側貫通孔(95)へ向かって流れる。
【0157】
実施形態1と同様に、熱媒体は、熱媒体流路(42)を流れる過程で冷却される。各熱媒体流路(42)から上側連通路(43)へ流入した熱媒体は、熱媒体出口(25)を通ってシェル(20)の外部へ流出する。
【0158】
-実施形態2の特徴(1)-
本実施形態の熱交換器(10)において、各伝熱プレート(50)に設けられたガイド領域(53a,53b)は、左右方向に真っ直ぐ延びて上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)の間の部分を横断する。冷媒流路(41)を流れる冷媒は、このガイド領域(53a,53b)によって、上側連通路(43)と下側連通路(44)の間に導かれる。
【0159】
-実施形態2の特徴(2)-
本実施形態の熱交換器(10)において、上側貫通孔(95)と下側貫通孔(96)の間を横断するガイド領域(53a,53b)に含まれるリッジ部(83a,83b)は、その伸長方向と水平方向のなす鋭角が45°以下である。そのため、冷媒流路(41)では、上向きに流れてガイド領域(53a,53b)に到達した冷媒が、ガイド領域(53a,53b)に含まれるリッジ部(83a,83b)によって、上側連通路(43)と下側連通路(44)の間に導かれる。
【0160】
-実施形態2の変形例-
本実施形態の熱交換器(10)では、第1プレート(50a)と第2プレート(50b)のそれぞれに、仕切り部(97)が形成されていてもよい。
【0161】
図14及び
図15に示すように、第1プレート(50a)と第2プレート(50b)のそれぞれにおいて、仕切り部(97)は、中間ガイド領域(53a,53b)の上下方向の中央付近に位置する直線状の領域である。仕切り部(97)は、中間ガイド領域(53a,53b)の左端から右端にわたって形成され、中間ガイド領域(53a,53b)を横断する。実施形態1と同様に、第1プレート(50a)の仕切り部(97)は、第1プレート(50a)の表(おもて)面側に膨出し、第2プレート(50b)の仕切り部(97)は、第2プレート(50b)の裏面側に膨出する。そして、実施形態1と同様に、隣接する第1プレート(50a)の仕切り部(97)と第2プレート(50b)の仕切り部(97)は、ロウ付け等によって接合される。
【0162】
本変形例の熱交換器(10)において、熱媒体流路(42)へ流入した熱媒体は、下側貫通孔(96)から上側貫通孔(95)へ向かって、伝熱プレート(50)の仕切り部(97)を迂回して流れる。具体的に、熱媒体流路(42)へ流入した熱媒体は、左右に分かれて伝熱プレート(50)の側縁(93)に向かって流れる。その後、熱媒体は、伝熱プレート(50)の側縁(93)に沿って仕切り部(97)の上側に回り込み、上側貫通孔(95)へ向かって流れる。
【0163】
《実施形態3》
実施形態3について説明する。本実施形態の冷凍装置(200)は、シェルアンドプレート式熱交換器(10)の構成が実施形態1と異なる。ここでは、本実施形態のシェルアンドプレート式熱交換器(10)について、実施形態1と異なる点を説明する。
【0164】
本実施形態のシェルアンドプレート式熱交換器(10)は、プレート積層体(40)を構成する伝熱プレート(50)が、実施形態1と異なる。本実施形態の伝熱プレート(50)は、伝熱面の構成が実施形態1と異なる。本実施形態の伝熱プレート(50)の外形は、実施形態1と同じである。また、本実施形態の伝熱プレート(50)において、上側貫通孔(95)、下側貫通孔(96)、上側周縁部(95a)、及び下側周縁部(96a)の形状と位置は、実施形態1と同じで在る。
【0165】
-第1プレートの伝熱面-
図16に示すように、第1プレート(50a)の伝熱面は、上部領域(51a)と、下部領域(52a)と、中間ガイド領域(53a)と、第1ガイド領域(61a)と、第1側方下領域(62a)と、第1側方領域(63a)と、第1側方上領域(64a)と、第2ガイド領域(71a)と、第2側方下領域(72a)と、第2側方領域(73a)と、第2側方上領域(74a)とに区分される。これらの領域(51a~53a,61a~64a, 71a~74a)のそれぞれには、複数のリッジ部(80a)が形成される。
【0166】
なお、第1プレート(50a)の伝熱面の説明において用いる「右」「左」「上」「下」は、それぞれ
図16に示す第1プレート(50a)における「右」「左」「上」「下」である。また、この説明において角度の値は、単なる一例である。また、第1プレート(50a)に仕切り部(97)は形成されない。
【0167】
〈中間ガイド領域〉
中間ガイド領域(53a)は、実施形態1の仕切り部(97)に代えて設けられる。中間ガイド領域(53a)は、横長の長方形状の領域である。中間ガイド領域(53a)は、第1プレート(50a)の上下方向の中央付近に位置する。中間ガイド領域(53a)の長さ(左右方向の長さ)は、実施形態1の仕切り部(97)の長さと概ね等しい。中間ガイド領域(53a)の幅(上下方向の長さ)は、実施形態1の仕切り部(97)の幅よりも広い。
【0168】
中間ガイド領域(53a)に形成されたリッジ部(83a)は、右上がりに傾斜している。中間ガイド領域(53a)のリッジ部(83a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね5°である。
【0169】
〈上部領域〉
上部領域(51a)は、中間ガイド領域(53a)の上側に位置する長方形状の領域である。上部領域(51a)は、中間ガイド領域(53a)から第1プレート(50a)の伝熱面の上端にわたって形成される。上部領域(51a)の長辺の長さは、中間ガイド領域(53a)の長さと概ね等しい。上側貫通孔(95)は、上部領域(51a)の左右方向の中央に形成される。
【0170】
上部領域(51a)に形成されたリッジ部(80a)は、左上がりに傾斜している。上部領域(51a)のリッジ部(80a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね45°である。
【0171】
〈第1,第2ガイド領域〉
第1ガイド領域(61a)と第2ガイド領域(71a)とは、中間ガイド領域(53a)の下方に位置する。第1ガイド領域(61a)及び第2ガイド領域(71b)の形状と位置は、実施形態1と同じである。また、第1ガイド領域(61a)のリッジ部(81a)の形状と、第2ガイド領域(71a)のリッジ部(82a)の形状とは、それぞれ実施形態1と同じである。
【0172】
〈第1,第2側方下領域〉
第1側方下領域(62a)と第2側方下領域(72a)とは、中間ガイド領域(53a)の下方に位置する。第1側方下領域(62a)及び第2側方下領域(72a)の形状と位置は、実施形態1と同じである。また、第1側方下領域(62a)のリッジ部(80a)の形状と、第2側方下領域(72a)のリッジ部(80a)の形状とは、それぞれ実施形態1と同じである。
【0173】
〈第1,第2側方領域〉
第1側方領域(63a)は、中間ガイド領域(53a)の右側に位置する。第2側方領域(73a)は、中間ガイド領域(53a)の左側に位置する。第1側方領域(63a)及び第2側方領域(73a)の形状および位置は、実施形態1と同じである。また、第1側方領域(63a)のリッジ部(80a)の形状と、第2側方領域(73a)のリッジ部(80a)の形状とは、それぞれ実施形態1と同じである。
【0174】
〈第1,第2側方上領域〉
第1側方上領域(64a)は、上部領域(51a)及び中間ガイド領域(53a)の右側に位置する。第2側方上領域(74a)は、上部領域(51a)及び中間ガイド領域(53a)の左側に位置する。第1側方上領域(64a)及び第2側方上領域(74a)の形状と位置は、実施形態1と同じである。また、第1側方上領域(64a)のリッジ部(80a)の形状と、第2側方上領域(74a)のリッジ部(80a)の形状とは、それぞれ実施形態1と同じである。
【0175】
-第2プレートの伝熱面-
図17に示すように、第2プレート(50b)の伝熱面は、第1プレート(50a)と同様に、上部領域(51b)と、下部領域(52b)と、中間ガイド領域(53b)と、第1ガイド領域(61b)と、第1側方下領域(62b)と、第1側方領域(63b)と、第1側方上領域(64b)と、第2ガイド領域(71b)と、第2側方下領域(72b)と、第2側方領域(73b)と、第2側方上領域(74b)とに区分される。
【0176】
なお、第2プレート(50b)の伝熱面の説明において用いる「右」「左」「上」「下」は、それぞれ
図17に示す第2プレート(50b)における「右」「左」「上」「下」である。
【0177】
実施形態1と同様に、第2プレート(50b)は、第1プレート(50a)の表裏を反転させたものである。従って、第2プレート(50b)では、上側貫通孔(95)及び下側貫通孔(96)の右側に、第2ガイド領域(71b)と、第2側方下領域(72b)と、第2側方領域(73b)と、第2側方上領域(74b)とが形成される。また、第2プレート(50b)では、上側貫通孔(95)及び下側貫通孔(96)の左側に第1ガイド領域(61b)と、第1側方下領域(62b)と、第1側方領域(63b)と、第1側方上領域(64b)とが形成される。
【0178】
-第1プレートの各領域と第2プレートの各領域との対応関係-
プレート積層体(40)では、第1プレート(50a)の中間ガイド領域(53a)と第2プレート(50b)の中間ガイド領域(53b)が重なり合う。第1プレート(50a)の他の各領域(51a,52a,61a~64a,71a~74a)と、第2プレート(50b)の他の各領域(51b,52b,61b~64b,71b~74b)との対応関係は、実施形態1と同様である。
【0179】
-ガイド構造-
本実施形態の第1プレート(50a)では、第1ガイド領域(61a)のリッジ部(81a)と、第2ガイド領域(71a)のリッジ部(82a)と、中間ガイド領域(53a)のリッジ部(83a)とが、ガイド構造(100)を構成する。また、第2プレート(50b)では、第1ガイド領域(61b)のリッジ部(81b)と、第2ガイド領域(71b)のリッジ部(82b)と、中間ガイド領域(53b)のリッジ部(83b)とが、ガイド構造(100)を構成する。
【0180】
本実施形態のプレート積層体(40)では、実施形態1と同様に、“第1プレート(50a)の第1ガイド領域(61a)のリッジ部(81a)”と“第2プレート(50b)の第2ガイド領域(71b)のリッジ部(82b)”のなす鈍角の二等分線である第1二等分線(L1)が、上に行くほど伝熱プレート(50)の幅方向の中央に近づくように傾斜する。また、本実施形態のプレート積層体(40)では、実施形態1と同様に、“第1プレート(50a)の第2ガイド領域(71b)のリッジ部(82a)”と“第2プレート(50b)の第1ガイド領域(61b)のリッジ部(81b)”のなす鈍角の第1二等分線(L1)が、上に行くほど伝熱プレート(50)の幅方向の中央に近づくように傾斜する。
【0181】
上述したように、第1プレート(50a)の中間ガイド領域(53a)において、リッジ部(83a)の伸長方向と水平方向のなす角度は、概ね5°である。従って、このリッジ部(83a)の伸長方向と水平方向のなす鋭角は、45°以下である。
【0182】
実施形態1と同様に、第2プレート(50b)は、第1プレート(50a)の表裏を反転させたものである。従って、第2プレート(50b)において、中間ガイド領域(53b)のリッジ部(83b)の伸長方向と水平方向のなす鋭角は、45°以下である。
【0183】
-熱交換器における冷媒と熱媒体の流れ-
本実施形態の熱交換器(10)における冷媒と熱媒体の流れについて説明する。熱交換器(10)では、プレート積層体(40)において冷媒と熱媒体が熱交換する。
【0184】
〈冷媒の流れ〉
実施形態1と同様に、冷媒入口(22)を通ってシェル(20)の内部空間(21)へ流入した冷媒は、プレート積層体(40)の冷媒流路(41)へ冷媒が流入し、熱媒体流路(42)を流れる熱媒体から吸熱して蒸発する。冷媒流路(41)において生じたガス冷媒は、上方へ流れて冷媒流路(41)から流出し、冷媒出口(23)を通ってシェル(20)の外部へ流出する。
【0185】
冷媒流路(41)における冷媒の流れを説明する。冷媒流路(41)では、液冷媒が蒸発してガス冷媒になる。冷媒流路(41)において発生したガス冷媒は、浮力によって上昇する。そのため、冷媒流路(41)では、下から上に向かう冷媒の流れが生じる。
【0186】
冷媒流路(41)において、下側連通路(44)の右側方を上向きに流れる冷媒の一部は、第1プレート(50a)の第1ガイド領域(61a)のリッジ部(81a)と、第2プレート(50b)の第2ガイド領域(71b)のリッジ部(82b)とによって案内されて、下側連通路(44)と上側連通路(43)の部分に流入する。また、冷媒流路(41)において、下側連通路(44)の左側方を上向きに流れる冷媒の一部は、第1プレート(50a)の第2ガイド領域(71a)のリッジ部(82a)と、第2プレート(50b)の第1ガイド領域(61b)のリッジ部(81b)とによって案内されて、下側連通路(44)と上側連通路(43)の部分に流入する。
【0187】
更に、下側連通路(44)の側方を上方へ向かう冷媒の流れは、中間ガイド領域(53a,53b)のリッジ部(83a,83b)に当たって左右に拡散する。そのため、冷媒流路(41)では、下側連通路(44)の側方を上向きに流れる冷媒の一部が、中間ガイド領域(53a,53b)のリッジ部(83a,83b)によって案内されて、下側連通路(44)と上側連通路(43)の部分に流入する。
【0188】
〈熱媒体の流れ〉
熱交換器(10)へ供給される熱媒体は、熱媒体入口(24)を通ってプレート積層体(40)の下側連通路(44)へ流入し、各熱媒体流路(42)へ分配される。熱媒体流路(42)へ流入した熱媒体は、下側貫通孔(96)から上側貫通孔(95)へ向かって流れる。熱媒体の流れは、伝熱プレート(50)の中間ガイド領域(53a,53b)のリッジ部(83a,83b)に当たって左右に拡散する。そして、熱媒体は、伝熱プレート(50)の側縁(93)に沿って中間ガイド領域(53a,53b)の上側に回り込み、上側貫通孔(95)へ向かって流れる。
【0189】
実施形態1と同様に、熱媒体は、熱媒体流路(42)を流れる過程で冷却される。各熱媒体流路(42)から上側連通路(43)へ流入した熱媒体は、熱媒体出口(25)を通ってシェル(20)の外部へ流出する。
【0190】
-実施形態3の変形例-
本実施形態の熱交換器では、第1プレート(50a)と第2プレート(50b)のそれぞれに、仕切り部(97)が形成されていてもよい。
【0191】
図18及び
図19に示すように、第1プレート(50a)と第2プレート(50b)のそれぞれにおいて、仕切り部(97)は、中間ガイド領域(53a,53b)の上下方向の中央付近に位置する直線状の領域である。仕切り部(97)は、中間ガイド領域(53a,53b)の左端から右端にわたって形成され、中間ガイド領域(53a,53b)を横断する。実施形態1と同様に、第1プレート(50a)では仕切り部(97)が第1プレート(50a)の表(おもて)面側に膨出し、第2プレート(50b)では仕切り部(97)が第2プレート(50b)の裏面側に膨出する。そして、実施形態1と同様に、隣接する第1プレート(50a)の仕切り部(97)と第2プレート(50b)の仕切り部(97)は、ロウ付け等によって接合される。
【0192】
本変形例の熱交換器(10)において、熱媒体流路(42)へ流入した熱媒体は、下側貫通孔(96)から上側貫通孔(95)へ向かって、伝熱プレート(50)の仕切り部(97)を迂回して流れる。具体的に、熱媒体流路(42)へ流入した熱媒体は、左右に分かれて伝熱プレート(50)の側縁(93)に向かって流れる。その後、熱媒体は、伝熱プレート(50)の側縁(93)に沿って仕切り部(97)の上側に回り込み、上側貫通孔(95)へ向かって流れる。
【0193】
《その他の実施形態》
-第1変形例-
実施形態1、実施形態3、又は実施形態3の変形例の熱交換器(10)では、各伝熱プレート(50)における下側貫通孔(96)の右側と左側のそれぞれに、ガイド領域(61a,61b,71a,71b)が複数ずつ形成されていてもよい。
【0194】
-第2変形例-
実施形態2、実施形態2の変形例、実施形態3、又は実施形態3の変形例の熱交換器(10)において、各伝熱プレート(50)に形成された中間ガイド領域(53a,53b)の形状は、左右方向に真っ直ぐに伸びる形状に限定されない。中間ガイド領域(53a,53b)の形状は、例えば、折れ線状や、湾曲した曲線状であってもよい。
【0195】
-第3変形例-
実施形態1、実施形態2の変形例、又は実施形態3の変形例の熱交換器(10)において、各伝熱プレート(50)に形成された仕切り部(97)の形状は、左右方向に真っ直ぐに伸びる形状に限定されない。仕切り部(97)の形状は、例えば、折れ線状や、湾曲した曲線状であってもよい。
【0196】
-第4変形例-
上記の各実施形態の熱交換器(10)では、プレート積層体(40)の上側連通路(43)が熱媒体入口(24)に接続し、プレート積層体(40)の下側連通路(44)が熱媒体出口(25)に接続していてもよい。この場合、プレート積層体(40)の熱媒体流路(42)では、伝熱プレート(50)の上側貫通孔(95)から熱媒体が流入し、伝熱プレート(50)の下側貫通孔(96)へ熱媒体が流出してゆく。
【0197】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態に係る要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。また、明細書および特許請求の範囲の「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0198】
以上説明したように、本開示は、シェルアンドプレート式熱交換器および冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0199】
10 シェルアンドプレート式熱交換器
20 シェル
21 内部空間
40 プレート積層体
41 冷媒流路
42 熱媒体流路
43 上側連通路
44 下側連通路
50 伝熱プレート
50a 第1プレート
50b 第2プレート
53a,53b 中間ガイド領域(ガイド領域)
61a,61b 第1ガイド領域(ガイド領域)
71a,71b 第2ガイド領域(ガイド領域)
80a (第1プレートの)リッジ部
80b (第2プレートの)リッジ部
81a (第1プレートの第1ガイド領域の)リッジ部(第1リッジ部)
82a (第1プレートの第2ガイド領域の)リッジ部(第1リッジ部)
81b (第2プレートの第1ガイド領域の)リッジ部(第2リッジ部)
82b (第2プレートの第2ガイド領域の)リッジ部(第2リッジ部)
83a (第1プレートの中間ガイド領域の)リッジ部(第1リッジ部)
83b (第2プレートの中間ガイド領域の)リッジ部(第2リッジ部)
95 上側貫通孔
96 下側貫通孔
100 ガイド構造
200 冷凍装置
205 冷媒回路