(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162756
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】巻取装置
(51)【国際特許分類】
B65H 67/06 20060101AFI20231101BHJP
B65H 67/04 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
B65H67/06 Z
B65H67/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073357
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】502455511
【氏名又は名称】TMTマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】近田 秀和
【テーマコード(参考)】
3F112
【Fターム(参考)】
3F112AA06
3F112CA03
3F112EA04
3F112EA07
3F112EB02
3F112EB03
3F112ED02
3F112GC06
3F112VC02
(57)【要約】
【課題】巻取装置の高さ寸法が大きくなることを抑制する。
【解決手段】巻取装置21は、クレードルアーム30と、解放位置にあるクレードルアーム30に支持されたボビンホルダ70の軸心を通る鉛直面Fを境にして一方側に配置されたパッケージ貯留部50と、鉛直面Fを境にして他方側に配置されたストッカー60と、ストッカー60を待機位置と供給位置との間で移動させる移動機構80とを含む。移動機構80は、待機位置と供給位置との間でストッカー60を直線的に移動させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボビンホルダを回転自在に支持可能であって、前記ボビンホルダに把持されたボビンに糸が巻き取られることでパッケージを形成し、前記パッケージを前記ボビンホルダの把持から解放することが可能なクレードルと、
前記クレードルから解放された前記パッケージを貯留するパッケージ貯留部と、
前記クレードルに供給するための前記ボビンを貯留するストッカーと、
前記ストッカーを、待機位置と、前記ボビンホルダによる前記パッケージの把持が解放される解放位置にある前記クレードルに前記ボビンを供給する供給位置との間で移動させる移動機構と、を備え、
前記パッケージ貯留部は、前記解放位置にある前記クレードルに支持された前記ボビンホルダの軸心を通る鉛直面を境にして一方側に配置され、
前記待機位置にある前記ストッカーは、前記鉛直面を境にして他方側に配置され、
前記移動機構は、前記待機位置と前記供給位置との間で前記ストッカーを直線的に移動させることを特徴とする巻取装置。
【請求項2】
前記ストッカーのうち、前記解放位置にある前記クレードルに近い前端部には、前記ストッカーに貯留されている前記ボビンが前記ストッカーから脱落することを防止する規制状態と、前記規制状態が解除された解放状態との間で切り替え可能な規制部が設けられており、
前記規制部は、前記ストッカーが前記供給位置に到達したときに前記解放状態となることを特徴とする請求項1に記載の巻取装置。
【請求項3】
前記ストッカーは、前記ボビンホルダの軸方向に沿った第1回転軸を有し、
前記規制部は、
前記解放位置にある前記クレードルに支持された前記ボビンホルダと当接可能な当接部分を有し、
前記ストッカーが前記待機位置から前記供給位置に移動するのに伴って、前記当接部分が前記ボビンホルダに押されることで、前記第1回転軸を中心に第1方向に回転して前記規制状態から前記解放状態に切り替わり、
前記ストッカーが前記供給位置から前記待機位置に移動するのに伴って、前記当接部分と前記ボビンホルダとの接触が解除されることで、前記第1回転軸を中心に前記第1方向と反対向きの第2方向に回転して前記解放状態から前記規制状態に切り替わることを特徴とする請求項2に記載の巻取装置。
【請求項4】
前記ストッカーは、前記第1方向に回転する前記規制部が当接可能なストッパーを有しており、
前記ストッカーが供給位置に到達したときに、前記当接部分が前記ボビンホルダに押されることで前記第1方向に回転する前記規制部は、前記ストッパーに当接することでさらなる前記第1方向への回転が規制されることを特徴とする請求項3に記載の巻取装置。
【請求項5】
前記ストッカーが前記供給位置に到達し、前記規制部が前記解放状態となったときに、前記ストッカーに貯留されている前記ボビンが前記ボビンホルダを越えて飛び出すことを抑える第2規制部が、前記ストッカーに設けられていることを特徴とする請求項2~4の何れか1項に記載の巻取装置。
【請求項6】
前記ストッカーのうち、前記解放位置にある前記クレードルに近い前端部分には、前記ボビンを下方から支持する前端支持部が設けられており、
前記前端支持部は、前記ストッカーから前記ボビンが脱落することを防止する規制姿勢を取ることが可能であり、且つ、前記ボビンホルダの軸方向に沿った第2回転軸を中心に回転可能であって、
前記ストッカーは、前記前端支持部を前記規制姿勢とするように付勢する付勢部材をさらに有し、
前記前端支持部は、前記ストッカーが前記供給位置から前記待機位置に移動するときに、前記解放位置にある前記クレードルに支持された前記ボビンに押されることで、前記付勢部材による付勢に逆らって前記第2回転軸を中心に当該ボビンを避けるように回転することを特徴とする請求項1~5に記載の巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、給糸部から供給された糸に仮撚りを付与する仮撚装置と、仮撚りが付与された糸を巻き取る巻取装置と、を有する仮撚加工機が開示されている。巻取装置は、一組のボビンホルダを回転自在に支持するクレードルを有しており、ボビンホルダに装着されたボビン(特許文献1の紙管)に糸を巻き取ってパッケージを形成する。
【0003】
このような巻取装置において満巻きのパッケージが形成されると、パッケージがクレードルから取り外され、新しいボビンがクレードルに供給される。特許文献2には、クレードルから取り外されたパッケージを支持するパッケージ貯留部(特許文献2のガイドレール)と、クレードルに供給する空ボビンを複数本並べた状態で収容するストッカー(特許文献2の紙管ストッカ)とを有する巻取装置(特許文献2のドッフィング装置)が記載されている。
【0004】
特許文献2の巻取装置では、ストッカーは、支持ブラケットを介して、ストッカーの下方に設けられた回転軸に揺動自在に支持されている。ストッカーは、糸の巻き取り時にはパッケージ貯留部の上方にある待機位置(
図2に示される位置)に位置しており、クレードルにボビンを供給する際には、回転軸を中心に揺動することによって待機位置よりも下方且つ特許文献2の
図2の紙面右側(以下、単に右側と言う。また、紙面左側を単に左側と言う)の供給位置に移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-47074号公報
【特許文献2】特開平9-86799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の装置では、
図2に示すように、ストッカーが待機位置に位置するときは、ストッカーを支持する支持ブラケットが回転軸から斜め左上に傾いた状態となる。一方、ストッカーが供給位置に位置するときは、
図2に示す状態から支持ブラケットは時計回りに揺動し、支持ブラケットが回転軸から斜め右上に傾いた状態となる。つまり、ストッカーが待機位置から供給位置に移動する過程で、支持ブラケットは斜め左上に傾いた状態から、一旦鉛直向きとなった後に、斜め右上に傾いた状態となる。そうすると、支持ブラケットに接続されたストッカーは、待機位置から供給位置に移動する途中で、待機位置及び供給位置の両方よりも上側の位置を通ることになる。このため、待機位置から供給位置に移動する過程でストッカーが他の部材と干渉しないように、巻取装置の上方にスペースを確保する必要がある。しかしながら、このようなスペースを確保することで、巻取装置の実質的な高さ寸法は大きくなってしまう。
【0007】
本発明は、巻取装置の高さ寸法が大きくなることを抑制することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の巻取装置は、ボビンホルダを回転自在に支持可能であって、前記ボビンホルダに把持されたボビンに糸が巻き取られることでパッケージを形成し、前記パッケージを前記ボビンホルダの把持から解放することが可能なクレードルと、前記クレードルから解放された前記パッケージを貯留するパッケージ貯留部と、前記クレードルに供給するための前記ボビンを貯留するストッカーと、前記ストッカーを、待機位置と、前記ボビンホルダによる前記パッケージの把持が解放される解放位置にある前記クレードルに前記ボビンを供給する供給位置との間で移動させる移動機構と、を備え、前記パッケージ貯留部は、前記解放位置にある前記クレードルに支持された前記ボビンホルダの軸心を通る鉛直面を境にして一方側に配置され、前記待機位置にある前記ストッカーは、前記鉛直面を境にして他方側に配置され、前記移動機構は、前記待機位置と前記供給位置との間で前記ストッカーを直線的に移動させることを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、ストッカーは、直線的に移動することによって待機位置から供給位置に移動可能である。このため、ストッカーが待機位置から供給位置に移動する途中で、待機位置及び供給位置の両方よりも上側の位置を通ることがなく、巻取装置の上方に別途スペースを確保する必要がない。ただし、ストッカーを直線的に移動させる場合でも、例えば、特許文献2のようにパッケージ貯留部の上方にストッカーが配置されていると、ストッカーの位置が高くなってしまい、巻取装置の高さ寸法の低減には限界がある。これは、クレードルから解放されたパッケージがストッカーの下方を通ってパッケージ貯留部に送られるため、ストッカーとパッケージ貯留部との間の距離をパッケージが通過可能な程度に大きくする必要があるからである。この点、本発明では、ストッカーを、上記鉛直面を境にしてパッケージ貯留部の反対側に配置している。したがって、ストッカーを低い位置に配置しつつ、ストッカーが待機位置及び供給位置の両方よりも上側の位置を通らないようにすることができるので、巻取装置の高さを効果的に抑制することができる。
【0010】
本発明の巻取装置において、前記ストッカーのうち、前記解放位置にある前記クレードルに近い前端部には、前記ストッカーに貯留されている前記ボビンが前記ストッカーから脱落することを防止する規制状態と、前記規制状態が解除された解放状態との間で切り替え可能な規制部が設けられており、前記規制部は、前記ストッカーが前記供給位置に到達したときに前記解放状態となることが好ましい。
【0011】
本発明によれば、ストッカーが供給位置に到達するまでは、規制状態の規制部によって、ストッカーからボビンが脱落することを防止することができる。さらに、ストッカーが供給位置に到達したときに規制部は解放状態となるため、ストッカーからクレードルへのボビンの供給が規制部によって阻害されることはない。これにより、ストッカーによるボビンの貯留を確実に行いつつ、ストッカーからクレードルへのボビンの供給を適切に行うことができる。
【0012】
本発明の巻取装置において、前記ストッカーは、前記ボビンホルダの軸方向に沿った第1回転軸を有し、前記規制部は、前記解放位置にある前記クレードルに支持された前記ボビンホルダと当接可能な当接部分を有し、前記ストッカーが前記待機位置から前記供給位置に移動するのに伴って、前記当接部分が前記ボビンホルダに押されることで、前記第1回転軸を中心に第1方向に回転して前記規制状態から前記解放状態に切り替わり、前記ストッカーが前記供給位置から前記待機位置に移動するのに伴って、前記当接部分と前記ボビンホルダとの接触が解除されることで、前記第1回転軸を中心に前記第1方向と反対向きの第2方向に回転して前記解放状態から前記規制状態に切り替わることが好ましい。
【0013】
本発明によれば、ストッカーの移動に伴い当接部分とボビンホルダとが接触するか否かによって、規制部の解放状態と規制状態とを切り替えることができる。このため、規制部の状態を切り替えるための駆動源が不要となる。
【0014】
本発明の巻取装置において、前記ストッカーは、前記第1方向に回転する前記規制部が当接可能なストッパーを有しており、前記ストッカーが供給位置に到達したときに、前記当接部分が前記ボビンホルダに押されることで前記第1方向に回転する前記規制部は、前記ストッパーに当接することでさらなる前記第1方向への回転が規制されることが好ましい。
【0015】
本発明によれば、ストッカーの移動に伴って第1方向に回転する規制部は、ストッパーとの当接することでさらなる第1方向への回転が規制される。このため、ボビンホルダによって規制部の当接部分がさらに押されることが規制され、すなわち、ストッカーのさらなる移動が規制される。これによって、ストッカーが供給位置を越えてさらに移動してしまうことを回避することができ、ストッカーからクレードルへのボビンの供給を適切に行うことができる。
【0016】
本発明の巻取装置において、前記ストッカーが前記供給位置に到達し、前記規制部が前記解放状態となったときに、前記ストッカーに貯留されている前記ボビンが前記ボビンホルダを越えて飛び出すことを抑える第2規制部が、前記ストッカーに設けられていることが好ましい。
【0017】
ストッカーが待機位置から供給位置に移動するとき、ボビンには慣性の力が働く。このため、ストッカーが供給位置に到達した後においても、ボビンは、ストッカーが移動する方向に沿って解放位置にあるクレードルを越えて移動しようとする。しかしながら、ストッカーが供給位置に到達したとき、規制部は解放状態となっているため、ボビンの移動を規制することができない。このため、ストッカーに貯留されたボビンがクレードルを越えて移動してしまうおそれがある。この場合、クレードルへのボビンの供給を適切に行うことができない。本発明によれば、第2規制部が設けられているため、ストッカーが供給位置に到達したときに、慣性力によって、ボビンが解放位置にあるクレードルを越えて移動することを抑制することができる。これにより、ストッカーからクレードルへのボビンの供給をより確実に行うことができる。
【0018】
本発明の巻取装置において、前記ストッカーのうち、前記解放位置にある前記クレードルに近い前端部分には、前記ボビンを下方から支持する前端支持部が設けられており、前記前端支持部は、前記ストッカーから前記ボビンが脱落することを防止する規制姿勢を取ることが可能であり、且つ、前記ボビンホルダの軸方向に沿った第2回転軸を中心に回転可能であって、前記ストッカーは、前記前端支持部を前記規制姿勢とするように付勢する付勢部材をさらに有し、前記前端支持部は、前記ストッカーが前記供給位置から前記待機位置に移動するときに、前記解放位置にある前記クレードルに支持された前記ボビンに押されることで、前記付勢部材による付勢に逆らって前記第2回転軸を中心に当該ボビンを避けるように回転することが好ましい。
【0019】
本発明では、前端支持部が設けられていることによって、ストッカーに貯留されたボビンがストッカーから脱落することが防止される。一方で、ストッカーからクレードルへのボビンの供給が完了した後にストッカーが待機位置に戻ろうとするとき、ボビンの脱落を防止しようとする前端支持部と、クレードルに支持されたボビンとが引っかかって、ストッカーの移動が阻害されてしまうおそれがある。本発明によれば、ストッカーが供給位置から待機位置に戻るときに、前端支持部がクレードルに支持されたボビンを避けるように回転する。このため、前端支持部とクレードルに支持されたボビンとが引っかかって、ストッカーの待機位置への移動が阻害されてしまうことを回避できる。よって、ストッカーを、クレードルへのボビンの供給後にスムーズに待機位置に戻すことができ、その後の糸の巻き取り動作を速やかに実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態に係る仮撚加工機の概略側面図である。
【
図3】クレードルアームが解放位置に移動したときの巻取装置の模式図である。
【
図4】ストッカーが供給位置に移動したときの巻取装置の模式図である。
【
図5】ストッカーの前部分の構成を示す部分斜視図である。
【
図6】待機位置から供給位置に向かう途中のストッカーを示す図である。
【
図7】供給位置に到達したときのストッカーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0022】
(仮撚加工機1の全体構成)
図1は、本実施形態に係る仮撚加工機1の概略構成を示す側面図である。以下、
図1の紙面垂直方向を機台長手方向とし、紙面左右方向を機台幅方向とする。機台長手方向と機台幅方向の両方が直交する方向を、重力の作用する鉛直方向とする。以下、上記の方向語を適宜使用して説明する。
【0023】
仮撚加工機1は、例えばナイロン(ポリアミド系繊維)等の合成繊維からなる糸Yを仮撚加工可能に構成されている。仮撚加工機1は、糸Yを供給するための給糸部2と、給糸部2から供給された糸Yを仮撚加工する加工部3と、加工部3によって加工された糸YをボビンBwに巻き取る巻取部4と、を含んでいる。給糸部2、加工部3及び巻取部4が有する各構成要素は、給糸部2から加工部3を通って巻取部4に至る糸道が配置される糸の走行面(
図1の紙面)と直交する機台長手方向において、複数配列されている。
【0024】
(給糸部2)
給糸部2は、複数の給糸パッケージPsを保持するクリールスタンド7を有し、加工部3に複数の糸Yを供給する。加工部3は、糸走行方向の上流側から順に、第1フィードローラ11、撚止ガイド12、第1加熱装置13、冷却装置14、仮撚装置15、第2フィードローラ16、交絡装置17、第3フィードローラ18、第2加熱装置19、第4フィードローラ20が配置された構成となっている。巻取部4は、加工部3で仮撚加工された糸Yを巻取装置21でボビンBwに巻き取って巻取パッケージPwを形成する。
【0025】
また、仮撚加工機1は、機台幅方向に間隔を置いて配置された主機台8及び巻取台9を有する。主機台8及び巻取台9は、機台長手方向に略同じ長さに延設されており、互いに対向するように配置されている。主機台8の上部と巻取台9の上部とは、支持フレーム10によって連結されている。加工部3を構成する各装置は、主に主機台8や支持フレーム10に取り付けられている。主機台8と巻取台9と支持フレーム10とによって、作業者が各装置に対して糸掛け等の作業を行うための作業空間22が形成されている。糸道は、糸Yが主に作業空間22の周りを走行するように形成されている。
【0026】
仮撚加工機1は、互いに対向配置された1組の主機台8及び巻取台9を含むスパンと呼ばれる単位ユニットを有する。1つのスパンでは、機台長手方向に並んだ状態で走行する複数の糸Yに対して、同時に仮撚加工を施すことができるように各装置が配置されている。一例として、1つのスパンに含まれる巻取台9には、4段4列の計16個の巻取装置21が設けられている。そして、仮撚加工機1は、このスパンが、主機台8の機台幅方向の中心線Cを対称軸として、紙面左右対称に配置される(主機台8は左右のスパンで共通のものとなっている)とともに、機台長手方向に複数配列された構成となっている。
【0027】
(加工部の構成)
次に、加工部3の各構成要素について説明する。第1フィードローラ11は、給糸部2から供給された糸Yを第1加熱装置13へ送るためのものである。第1フィードローラ11は、巻取台9の上方に配置されている(
図1参照)。第1フィードローラ11は、機台長手方向に1列に配列されている。
【0028】
撚止ガイド12は、後述する仮撚装置15で糸Yに付与された撚りが、撚止ガイド12よりも糸走行方向上流側に伝播しないようにするためのものである。撚止ガイド12は、第1フィードローラ11の糸走行方向下流側、且つ、第1加熱装置13の糸走行方向上流側に配置されている。撚止ガイド12は、例えば、給糸部2から供給される複数の糸Yに対して個別に設けられており、機台長手方向に1列に配列されている。
【0029】
第1加熱装置13は、第1フィードローラ11から送られてきた糸Yを加熱するためのものであり、支持フレーム10に設置されている(
図1参照)。第1加熱装置13は、給糸部2から供給される複数の糸Yに対して複数設けられており、機台長手方向に1列に配列されている。
【0030】
冷却装置14は、第1加熱装置13で加熱された糸Yを冷却するためのものである。冷却装置14は、第1加熱装置13の糸走行方向下流側、且つ、仮撚装置15の糸走行方向上流側に配置されている。冷却装置14は、給糸部2から供給される複数の糸Yに対して複数設けられており、機台長手方向に1列に配列されている。
【0031】
仮撚装置15は、糸Yに撚りを付与するための装置である。仮撚装置15は、冷却装置14の糸走行方向におけるすぐ下流側に配置されている。仮撚装置15は、機台長手方向において複数配列されている。例えば、仮撚装置15は、1つのスパンにつき16個設けられている。
【0032】
第2フィードローラ16は、仮撚装置15で撚りが付与された糸Yを、交絡装置17に向けて送るローラである。第2フィードローラ16は、主機台8において仮撚装置15の糸走行方向下流側に配置されている。第2フィードローラ16による糸Yの搬送速度は、第1フィードローラ11による糸Yの搬送速度よりも速い。このため、糸Yは、第1フィードローラ11と第2フィードローラ16との間で延伸される。
【0033】
交絡装置17は、糸Yに対して空気を噴射することによって交絡を付与する装置である。交絡装置17は、主機台8において第2フィードローラ16の下方に配置されている。
【0034】
第3フィードローラ18は、交絡装置17によって交絡が付与された糸Yを、第2加熱装置19に向けて送るローラである。第3フィードローラ18は、主機台8において交絡装置17の下方に配置されている。第3フィードローラ18による糸Yの搬送速度は、第2フィードローラ16による糸Yの搬送速度よりも遅い。このため、糸Yは、第2フィードローラ16と第3フィードローラ18との間で弛緩される。
【0035】
第2加熱装置19は、第3フィードローラ18から送られてきた糸Yを加熱するための装置である。第2加熱装置19は、主機台8において第3フィードローラ18の下方に配置されている。第2加熱装置19は、上下方向に沿って延びており、1つのスパンに1つずつ設けられている。
【0036】
第4フィードローラ20は、第2加熱装置19によって熱処理された糸Yを、巻取装置21に向けて送るローラである。第4フィードローラ20は、巻取台9の下部に配置されている。第4フィードローラ20による糸Yの搬送速度は、第3フィードローラ18による糸Yの搬送速度よりも遅い。このため、糸Yは、第3フィードローラ18と第4フィードローラ20との間で弛緩される。
【0037】
以上のように構成された加工部3では、第1フィードローラ11と第2フィードローラ16との間で延伸された糸Yに、仮撚装置15によって撚りが付与される。仮撚装置15によって形成される撚りは、撚止ガイド12までは伝播するが、撚止ガイド12よりも糸走行方向上流側には伝播しない。延伸されつつ撚りが付与された糸Yは、第1加熱装置13で加熱されて熱固定された後、冷却装置14で冷却される。仮撚装置15から下流では糸Yは解撚されるが、上記の熱固定によって各フィラメントが波状に仮撚りされた状態が維持される。仮撚装置15によって仮撚りが施された糸Yは、第2フィードローラ16と第3フィードローラ18との間で弛緩されながら、交絡装置17によって交絡が付与され、糸走行方向における下流側へ案内される。さらに、糸Yは、第3フィードローラ18と第4フィードローラ20との間で弛緩されながら、第2加熱装置19で熱固定される。最後に、第4フィードローラ20から送られた糸Yは、巻取装置21によって巻き取られ、巻取パッケージPwが形成される。
【0038】
(巻取部4の構成)
巻取部4は、複数の巻取装置21を有する。巻取装置21は、第4フィードローラ20から送られる糸YをボビンBwに巻き取って巻取パッケージPw(本発明のパッケージ)を形成するための装置である。ボビンBwは例えば筒状の部材である。
【0039】
図2に示すように、巻取装置21は、一対のクレードルアーム30(本発明のクレードル)と、接触ローラ40と、パッケージ貯留部50と、ストッカー60と、移動機構80とを含む。
図2では、巻取装置21によって巻取パッケージPwを形成している途中の様子を示している。
【0040】
一対のクレードルアーム30は、機台長手方向に対向して配置されている。一対のクレードルアーム30のそれぞれは、ボビンホルダ70を回転自在に支持可能である。一対のクレードルアーム30は、ボビンホルダ70を介してボビンBwを挟持可能に構成されている。クレードルアーム30は、ボビンホルダ70に把持されたボビンBwに糸が巻き取られることで巻取パッケージPwを形成する。また、一対のクレードルアーム30は、機台長手方向に開くことで、巻取パッケージPw(またはボビンBw)をボビンホルダ70の把持から解放することが可能である。一対のクレードルアーム30は、ボビンホルダ70の軸方向である機台長手方向に延びる揺動軸31を中心に回転することで巻取位置と解放位置との間を移動可能である。巻取位置は、
図2に示すように、ボビンホルダ70に装着されたボビンBwに糸Yが巻き取られ巻取パッケージPwの形成が行われる位置である。クレードルアーム30は、クレードルアーム30に支持された巻取パッケージPwのパッケージ径が大きくなるにつれて、巻取パッケージPwの中心x1が機台幅方向の他方側から一方側に移動するように構成されている。言い換えれば、クレードルアーム30の巻取位置は、巻き取り中の巻取パッケージPwのパッケージ径が大きくなるにつれて、機台幅方向の他方側から一方側に向かって移動する。解放位置は、
図3に示すように、ボビンホルダ70による巻取パッケージPwの把持が解放されるときのクレードルアーム30の位置であって、解放された巻取パッケージPwをパッケージ貯留部50に送り出すことが可能な位置である。なお、クレードルアーム30に支持された巻取パッケージPwの中心x1は、ボビンホルダ70の軸心と略一致している。
【0041】
接触ローラ40は、ボビンBw又は巻取パッケージPwの外周面に接触しつつ一定方向に回転駆動され、これによってボビンBwを回転させて糸Yを巻き取ることができるように構成されている。この接触ローラ40は、各巻取装置21に共通の、すなわち複数錘に共通の駆動軸に接続されたいわゆるライン駆動形式であり、不図示のモータによって駆動される。
図3に示すように、接触ローラ40は、解放位置にあるクレードルアーム30に支持されたボビンホルダ70の軸心を通る鉛直面Fを境にして他方側に配置されている。本実施形態において、鉛直面Fは、鉛直方向及び機台長手方向と平行な面である。本実施形態において、鉛直面Fを境にして他方側とは、鉛直面Fよりも機台幅方向の他方側(
図3の紙面右側)のことである。
図3に示すように、接触ローラ40は、鉛直方向においてストッカー60よりも低い位置に配置されている。
【0042】
パッケージ貯留部50は、解放位置にあるクレードルアーム30から解放された巻取パッケージPwを貯留する。本実施形態において、パッケージ貯留部50は、最大で2個の巻取パッケージPwを貯留可能である。
図3に示すように、パッケージ貯留部50は、鉛直面Fを境にして一方側に配置されている。本実施形態において、鉛直面Fを境にして一方側とは、鉛直面Fよりも機台幅方向の一方側(
図3の紙面左側)のことである。
【0043】
図2に示すように、パッケージ貯留部50は、機台長手方向に対向して配置された2つのレール53を有する。
図2では、機台長手方向においてパッケージ貯留部50に貯留された巻取パッケージPwよりも紙面手前側に配置されたレール53のみ図示しているが、実際には、機台長手方向においてパッケージ貯留部50に貯留された巻取パッケージPwよりも紙面奥側にもレール53が配置されている。2つのレール53の機台長手方向における間隔は、ボビンBwの機台長手方向における幅よりも若干狭く、ボビンBwに糸Yが巻き取られて形成された巻取パッケージPwの機台長手方向における幅よりも大きい。パッケージ貯留部50に送られた巻取パッケージPwは、2つのレール53の上面51によって下方から支持される。より詳細には、2つのレール53の上面51によって、巻取パッケージPwが形成されているボビンBwの両端部分が下方から支持される。
【0044】
パッケージ貯留部50は、
図3に示すように、鉛直面Fから一方側に向かう方向、すなわち、機台幅方向の他方側(
図3の紙面右側)から一方側(
図3の紙面左側)に向かって下方に傾斜している。パッケージ貯留部50のレール53も同様に、機台幅方向の他方側から一方側に向かって下方に傾斜している。このため、クレードルアーム30から解放された巻取パッケージPwは、下方に傾斜したレール53の上面51に沿って機台幅方向の他方側から一方側へと転がる。なお、パッケージ貯留部50の機台幅方向の一方側の端部には、巻取パッケージPwが機台幅方向の一方側にそれ以上転がるのを防ぐための部材(不図示)が形成されている。
【0045】
パッケージ貯留部50には、満巻きとなった巻取パッケージPwの他、巻取装置21による糸Yの巻き取りの途中で糸切れが起きた場合の糸Yの巻き取りの途中の巻取パッケージPwが貯留される。
【0046】
ストッカー60は、クレードルアーム30に供給するためのボビンBwを貯留する。本実施形態において、ストッカー60は、最大で4個のボビンBwを貯留可能である。ストッカー60に貯留されるボビンBwは糸Yが巻かれていない状態の空のボビンBwである。
図2に示すように、ストッカー60は、機台幅方向における一方側の前端部が他方側の後端部よりも下方となるように延在している。以下、ストッカー60の延びる方向を延在方向と称する(
図5参照)。
図2に示すように、ストッカー60は、鉛直方向においてパッケージ貯留部50及び接触ローラ40よりも高い位置に配置されている。ストッカー60の詳細な構成については、後述する。
【0047】
移動機構80は、ストッカー60を待機位置と供給位置との間で直線的に移動させるためのものである。待機位置は、ストッカー60からクレードルアーム30へのボビンBwの供給が行われていないときにおいてストッカー60が待機している位置である(
図2及び
図3参照)。具体的には、待機位置は、クレードルアーム30に支持されたボビンBwに糸Yが巻き取られているときや、解放位置にあるクレードルアーム30から巻取パッケージPwが解放されてパッケージ貯留部50に送られているときにストッカー60が待機している位置である。待機位置にあるストッカー60は、クレードルアーム30に支持されたボビンBw又は巻取パッケージPwとの接触を回避可能である。
図3に示すように、待機位置にあるストッカー60は、鉛直面Fを境にして他方側に配置されている。供給位置は、解放位置にあるクレードルアーム30に支持されたボビンホルダ70であって且つ巻取パッケージPwが形成されたボビンBwが取り外された状態のボビンホルダ70にボビンBwを供給するためストッカー60の位置である(
図4参照)。
図4に示すように、ストッカー60が供給位置にあるとき、ストッカー60に貯留された複数のボビンBwのうちの機台幅方向の最も一方側にあるボビンBwの軸心と、解放位置にあるクレードルに支持されたボビンホルダ70の軸心とは一致するように構成されている。
【0048】
移動機構80は、例えば、ストッカー60と接続されたアクチュエータであって、アクチュエータが駆動することによってストッカー60を待機位置と供給位置との間で直線的に移動させる。本実施形態では、移動機構80の下方にストッカー60が取り付けられている。
【0049】
(ストッカー60の構成)
続いて、ストッカー60の詳細な構成について、
図2~
図7を参照しつつ以下に説明する。ストッカー60は、支持面61と、規制部62と、ストッパー63と、第2規制部64と、前端支持部65と、回転軸66(本発明の第1回転軸及び第2回転軸に相当)とを含む。
【0050】
支持面61は、ストッカー60に貯留された複数のボビンBwを下方から支持する。
図2に示すように、支持面61は、機台幅方向における一方側の端部が、機台幅方向における他方側の端部より下方となるように傾斜している。換言すれば、支持面61は、ストッカー60の延在方向に沿って延びている。このため、ストッカー60に貯留されるボビンBwは、支持面61の傾斜に沿って機台幅方向の他方側から一方側に向かって移動する。
【0051】
図2に示すように、回転軸66は、ボビンホルダ70の軸方向、すなわち機台長手方向に沿った回転軸である。回転軸66は、ストッカー60の機台幅方向における一方側の端部分であって下方部分に形成されている。
【0052】
規制部62は、ストッカー60に貯留されているボビンBwがストッカー60から脱落することを防止するための部材である。規制部62は、機台長手方向に対向配置されている。対向配置された規制部62の機台長手方向における間隔は、ボビンBwの機台長手方向における幅よりも大きい。
規制部62は、ストッカー60に貯留されているボビンBwがストッカー60から脱落することを防止する規制状態(
図2、
図3及び
図6の状態)と、規制状態が解除された解放状態(
図4及び
図7の状態)との間で切り替え可能に構成されている。規制部62は、ストッカー60が待機位置から供給位置に移動するのに伴って、回転軸66を中心に第1方向D1(
図6の実線矢印参照)に回転して規制状態から解放状態に切り替わる。第1方向D1とは、
図6における時計回りの向きである。規制部62は、ストッカー60が供給位置から待機位置に移動するのに伴って、回転軸66を中心に第1方向D1と反対向きの第2方向に回転して解放状態から規制状態に切り替わる。第2方向とは、
図6における反時計回りの向きである。規制部62の状態の切り替わりについては、後述にて詳細を説明する。
図5に示すように、規制部62は、機台長手方向に対向して2つ配置されている。2つの規制部62の機台長手方向における間隔は、ボビンBwの機台長手方向における幅よりも若干大きい。
【0053】
図5に示すように、規制部62は、爪部62a、アーム部62b、当接部分62cを含む。爪部62aは、ストッカー60に貯留されているボビンBwが支持面61に沿って機台幅方向の他方側から一方側に移動することを規制することで、ボビンBwがストッカー60から脱落することを防止する。爪部62aは、アーム部62bを介して回転軸66と接続されている。爪部62aは、板状形状である。
【0054】
図2及び
図5に示すように、爪部62aは、アーム部62bの回転軸66と接続されている側とは反対の先端部分から機台幅方向の一方側且つ下方側に向かって延びている。
図2及び
図6に示すように、規制部62が規制状態のとき、爪部62aは、ストッカー60に貯留されている複数のボビンBwのうちの、機台幅方向の最も一方側にあるボビンBwの機台幅方向の一方側且つ上側の部分と接触する。これにより、爪部62aは、傾斜した支持面61に沿ったボビンBwの移動を規制することができる。また、
図4及び
図7に示すように、規制部62が解放状態のとき、爪部62aは、ストッカー60に貯留されたボビンBwとの接触が回避される。これにより、爪部62aによるボビンBwの移動の規制は解除される。
【0055】
アーム部62bは、回転軸66及び爪部62aと接続されている。アーム部62bは、ストッカー60に貯留された複数ボビンBwのうちの、機台幅方向の最も一方側にあるボビンBwの機台長手方向への移動を規制可能である。具体的には、機台長手方向における紙面手前側の規制部62のアーム部62bは、ストッカー60に貯留されたボビンBwの機台長手方向における紙面手前側への移動を規制する。また、機台長手方向における紙面奥側の規制部62のアーム部62bは、ストッカー60に貯留されたボビンBwの機台長手方向における紙面奥側への移動を規制する。
【0056】
当接部分62cは、解放位置にあるクレードルアーム30に支持されたボビンホルダ70と当接可能な部分である。
図5に示すように、当接部分62cは、アーム部62bの機台幅方向における一方側に形成されている。当接部分62cは、ストッカー60が待機位置から供給位置に移動するのに伴って、解放位置にあるクレードルアーム30に支持されたボビンホルダ70と当接する。
【0057】
ストッパー63は、第1方向D1に回転する規制部62が当接可能な部分である。具体的には、ストッパー63は、機台幅方向におけるアーム部62bの他方側且つ上部分が当接可能な部分である。ストッパー63は、機台長手方向に対向配置されている。ストッパー63は、ストッカー60の上部に形成されている。より詳細には、ストッカー60に4つのボビンBwが収容された場合において、機台幅方向の一方側にあるボビンBwから順に1~4番目のボビンBwとした場合、2番目のボビンBwの上部分にストッパー63が形成されている。
図4及び
図7に示すように、ストッカー60が供給位置に到達したときに、第1方向D1に回転する規制部62がストッパー63と当接することによって、規制部62のさらなる第1方向D1への回転が規制される。
【0058】
第2規制部64は、ストッカー60が供給位置に到達し、規制部62が解放状態となったときに、ストッカー60に貯留されているボビンBwがボビンホルダ70を越えて飛び出すことを抑える部材である。
図5に示すように、第2規制部64は、機台幅方向におけるストッカー60の一方側の端部付近且つ上部分から機台幅方向の一方側かつ鉛直方向の下方に向かって延びている。また、第2規制部64は、例えば、板バネのような弾性部材である。クレードルアーム30へのボビンBwの受け渡しを終えたストッカー60が供給位置から待機位置に移動する際に、第2規制部64は、クレードルアーム30に支持されたボビンBwに引っ掛かって、ストッカー60の移動が阻害されるおそれがある。この点、弾性部材である第2規制部64は、供給位置から待機位置へのストッカー60の移動に伴って、クレードルアーム30に支持されたボビンBwと接触すると、ボビンBwによって上方に押されて撓む。これにより、ストッカー60が供給位置から待機位置に移動する際に、第2規制部64とクレードルアーム30に支持されたボビンBwとが引っ掛かることを抑制することができる。また、
図5に示すように、第2規制部64は、機台長手方向において、ストッカー60の中央部分よりも両外側であって2つの規制部62よりも内側の部分に2つ配置されている。
【0059】
前端支持部65は、ストッカー60に貯留された複数のボビンBwのうちの、機台幅方向の最も一方側にあるボビンBwを下方から支持する。
図2及び
図5に示すように、前端支持部65は、ストッカー60のうち、解放位置にあるクレードルアーム30に近い前端部分且つ下部分に設けられている。また、
図5に示すように、前端支持部65は、機台長手方向に延びている。さらに、
図6及び
図7に示すように、機台長手方向から見たとき、機台幅方向における前端支持部65の一方側の部分は、V字に屈曲した形状となっている。前端支持部65は、例えば、板金や樹脂製である。
【0060】
前端支持部65は、ストッカー60からボビンBwが脱落することを防止する規制姿勢を取ることが可能である。前端支持部65が規制姿勢のとき、前端支持部65のV字に屈曲した部分にボビンBwがはまり込むことによって、ストッカー60からボビンBwが脱落することが防止される(
図6及び
図7を参照)。また、規制姿勢の前端支持部65のV字に屈曲した部分にボビンBwがはまり込むことで、ボビンBwの位置決めを正確に行うことができる。これにより、ストッカー60が供給位置に到達したときに、解放位置にあるクレードルアーム30に支持されたボビンホルダ70へのボビンBwの受け渡しを正確に行うことができる。また、前端支持部65は、回転軸66を中心に回転可能である。なお、本実施形態において、規制部62と前端支持部65の回転軸66は共通である。
【0061】
さらに、ストッカー60は、付勢部材67を含む。付勢部材67は、回転軸66を中心に回転可能な前端支持部65を規制姿勢とするように付勢する部材である。付勢部材67は、例えば、バネ部材である。なお、本実施形態において、付勢部材67は、回転軸66を中心に回転可能な規制部62を規制状態とするように付勢する役割も有する。
【0062】
(ストッカー60からクレードルアーム30へのボビンBwの供給動作)
続いて、クレードルアーム30へのボビンBwの供給時において、待機位置と供給位置との間を移動するストッカー60と、それに伴う各構成部分の動作について、以下に説明する。
【0063】
上述したように、巻取装置21による糸Yの巻き取り中、及び、解放位置にあるクレードルアーム30から巻取パッケージPwが解放されてパッケージ貯留部50に送られる際には、ストッカー60は待機位置にある(
図2及び
図3参照)。ストッカー60が待機位置にあるとき、規制部62は規制状態であって、前端支持部65は規制姿勢をとっている(
図2及び
図3参照)。
【0064】
解放位置にあるクレードルアーム30から巻取パッケージPwが解放されてパッケージ貯留部50に送られると、移動機構80は、ストッカー60を待機位置から供給位置に向かって直線的に移動させる。本実施形態においては、待機位置にあるストッカー60は、機台幅方向における一方側且つ下方に向かう斜め方向(
図3における紙面の左斜め下向きの方向)に向かって直線的に移動する。本実施形態では、ストッカー60の延在方向と、ストッカー60の移動する方向とは略一致している。なお、
図6は、待機位置から供給位置に向かう途中のストッカー60を示している。
【0065】
ストッカー60は、待機位置から供給位置に移動する途中で、当接部分62cは解放位置にあるクレードルアーム30に支持されたボビンホルダ70と接触する。より具体的には、
図3及び
図4などにおいて、機台長手方向の紙面奥側に配置された規制部62の当接部分62cが機台長手方向の紙面奥側に配置されたボビンホルダ70と接触し、機台長手方向の紙面手前側に配置された規制部62の当接部分62cが機台長手方向の紙面手前側に配置されたボビンホルダ70と接触する。当接部分62cとボビンホルダ70とが接触した状態からストッカー60がさらに供給位置に移動するのに伴って、当接部分62cはボビンホルダ70に押される。これにより、ストッカー60の規制部62は第1回転軸66を中心に第1方向D1(
図6参照)に回転して規制状態から解放状態に切り替わる。そして、ストッカー60が供給位置に到達したときに、規制部62は解放状態となる(
図4及び
図7参照)。なお、
図6及び
図7では、説明のため、機台長手方向の紙面手前側のクレードルアーム30及びボビンホルダ70の記載を省略している。
【0066】
図7に示すように、ストッカー60が供給位置に到達したとき、規制部62はストッパー63と当接する。これによって、規制部62は、さらなる第1方向D1への回転が規制される。言い換えれば、規制部62が解放位置にあるクレードルアーム30に支持されたボビンホルダ70とストッパー63とに挟み込まれることによって、規制部62の回転が規制されるとともに、ストッカー60が供給位置を越えてさらに移動することが規制される。
【0067】
ストッカー60が供給位置に到達すると、ストッカー60に貯留された複数のボビンBwのうち、前端支持部65によって下方から支持されているボビンBwが解放位置にあるクレードルアーム30に支持されたボビンホルダ70に装着される。より詳細に説明すると、ストッカー60が供給位置に到達しているとき規制部62は解放状態となっているため、前端支持部65に下方から支持されているボビンBwの機台長手方向における両側は、アーム部62bによる規制が解除されている(
図7参照)。この状態で、筒状のボビンBwの中空部分に対して、機台長手方向におけるボビンBwの両側からボビンホルダ70が機台長手方向の内側に閉じられることで、ボビンホルダ70によってボビンBwが挟み込まれる。
【0068】
クレードルアーム30にボビンBwが支持されると、移動機構80は、ストッカー60を供給位置から待機位置に向かって直線的に移動させる。ストッカー60は、供給位置から待機位置に移動するのに伴って、解放位置にあるクレードルアーム30から機台幅方向の他方側に離れていく。これにより、当接部分62cが解放位置にあるクレードルアーム30に支持されたボビンホルダ70と接触している規制部62は、回転軸66を中心に第1方向D1と反対向きの第2方向に回転して解放状態から規制状態に切り替わる。そして、当接部分62cとボビンホルダ70との接触が解除されることで、規制部62は、付勢部材67による付勢によって規制状態に戻る。
【0069】
また、前端支持部65のV字部分は、ストッカー60が供給位置から待機位置に移動するとき、解放位置にあるクレードルアーム30に支持されたボビンBwに押される。これにより、前端支持部65は、付勢部材67による付勢に逆らって回転軸66を中心にボビンBwを避けるように回転する。換言すれば、前端支持部65は、付勢部材67による付勢に逆らって回転軸66を中心に、先端部分が回転軸66に接続された基端部分よりも下方となるように回転する。そして、ストッカー60がさらに待機位置に向かって移動し、前端支持部65とボビンBwとが接触しなくなると、前端支持部65は、付勢部材67による付勢によって規制姿勢に戻る。なお、ストッカー60が供給位置から待機位置に戻る途中で、ストッカー60に残ったボビンBwは傾斜した支持面61に沿って移動する。そして、ストッカー60に残った複数のボビンBwのうちの、機台幅方向の最も一方側にあるボビンBwは、規制姿勢に戻った前端支持部65によって下方から支持される。
【0070】
以上の動作によって、ストッカー60からクレードルアーム30へのボビンBwの供給動作が完了する。
【0071】
(効果)
本実施形態の巻取装置21は、鉛直面Fを境にして一方側に配置されたパッケージ貯留部50と、鉛直面Fを境にして他方側に配置されたストッカー60と、ストッカー60を待機位置と供給位置との間で移動させる移動機構80とを含む。移動機構80は、待機位置と供給位置との間でストッカー60を直線的に移動させる。これによれば、ストッカー60が待機位置から供給位置に移動する途中で、待機位置及び供給位置の両方よりも上側の位置を通ることがなく、巻取装置21の上方に別途スペースを確保する必要がない。ただし、ストッカー60を直線的に移動させる場合でも、例えば、前述した特許文献2のようにパッケージ貯留部50の上方にストッカー60が配置されていると、ストッカー60の位置が高くなってしまい、巻取装置21の高さ寸法の低減には限界がある。これは、クレードルアーム30から解放された巻取パッケージPwがストッカー60の下方を通ってパッケージ貯留部50に送られるため、ストッカー60とパッケージ貯留部50との間の距離を巻取パッケージPwが通過可能な程度に大きくする必要があるからである。この点、本実施形態では、ストッカー60を、鉛直面Fを境にしてパッケージ貯留部50の反対側に配置している。したがって、ストッカー60を低い位置に配置しつつ、ストッカー60が待機位置及び供給位置の両方よりも上側の位置を通らないようにすることができるので、巻取装置21の高さを効果的に抑制することができる。
【0072】
本実施形態の巻取装置21では、ストッカー60には、規制状態と解放状態との間で切り替え可能な規制部62が設けられている。規制部62は、ストッカー60が供給位置に到達したときに解放状態となる。これによれば、ストッカー60が供給位置に到達するまでは、規制状態の規制部62によって、ストッカー60からボビンBwが脱落することを防止することができる。さらに、ストッカー60が供給位置に到達したときに規制部62は解放状態となるため、ストッカー60からクレードルアーム30へのボビンBwの供給が規制部62によって阻害されることはない。これにより、ストッカー60によるボビンBwの貯留を確実に行いつつ、ストッカー60からクレードルアーム30へのボビンBwの供給を適切に行うことができる。
【0073】
本実施形態の巻取装置21では、規制部62は、解放位置にあるクレードルアーム30に支持されたボビンホルダ70と当接可能な当接部分62cを有する。規制部62は、ストッカー60が待機位置から供給位置に移動するのに伴って、当接部分62cがボビンホルダ70に押されることで、回転軸66を中心に第1方向D1に回転して規制状態から解放状態に切り替わる。また、規制部62は、ストッカー60が供給位置から待機位置に移動するのに伴って、当接部分62cとボビンホルダ70との接触が解除されることで、回転軸66を中心に第1方向D1と反対向きの第2方向に回転して解放状態から規制状態に切り替わる。これによれば、ストッカー60の移動に伴い当接部分62cとボビンホルダ70とが接触するか否かによって、規制部62の解放状態と規制状態とを切り替えることができる。このため、規制部62の状態を切り替えるための駆動源が不要となる。
【0074】
本実施形態の巻取装置21では、ストッカー60は、第1方向D1に回転する規制部62が当接可能なストッパー63を有している。ストッカー60が供給位置に到達したときに、当接部分62cがボビンホルダ70に押されることで第1方向D1に回転する規制部62は、ストッパー63に当接することでさらなる第1方向D1への回転が規制される。これによれば、ボビンホルダ70によって規制部62の当接部分62cがさらに押されることが規制され、すなわち、ストッカー60のさらなる移動が規制される。これによって、ストッカー60が供給位置を越えてさらに移動してしまうことを回避することができ、ストッカー60からクレードルアーム30へのボビンBwの供給を適切に行うことができる。
【0075】
また、本実施形態の巻取装置21では、ストッカー60が供給位置に到達し、規制部62が解放状態となったときに、ストッカー60に貯留されているボビンBwがボビンホルダ70を越えて飛び出すことを抑える第2規制部64が、ストッカー60に設けられている。ストッカー60が待機位置から供給位置に移動するとき、ボビンBwには慣性の力が働く。このため、ストッカー60が供給位置に到達した後においても、ボビンBwは、ストッカー60が移動する方向に沿って解放位置にあるクレードルアーム30を越えて移動しようとする。しかしながら、ストッカー60が供給位置に到達したとき、規制部62は解放状態となっているため、ボビンBwの移動を規制することができない。このため、ストッカー60に貯留されたボビンBwがクレードルアーム30を越えて移動してしまうおそれがある。この場合、クレードルアーム30へのボビンBwの供給を適切に行うことができない。本実施形態によれば、第2規制部64が設けられているため、ストッカー60が供給位置に到達したときに、慣性力によって、ボビンBwが解放位置にあるクレードルアーム30を越えて移動することを抑制することができる。これにより、ストッカー60からクレードルアーム30へのボビンBwの供給をより確実に行うことができる。
【0076】
本実施形態の巻取装置21では、ストッカー60のうち、解放位置にあるクレードルアーム30に近い前端部には、ボビンBwを下方から支持する前端支持部65が設けられている。前端支持部65は、ストッカー60からボビンBwが脱落することを防止する規制姿勢を取ることが可能であり、且つ、回転軸66を中心に回転可能である。さらに、ストッカー60は前端支持部65を規制姿勢とするように付勢する付勢部材67をさらに有する。前端支持部65は、ストッカー60が供給位置から待機位置に移動するときに、解放位置にあるクレードルアーム30に支持されたボビンBwに押されることで、付勢部材67による付勢に逆らって回転軸66を中心に当該ボビンを避けるように回転する。本実施形態では、前端支持部65が設けられていることによって、ストッカー60に貯留されたボビンBwがストッカー60から脱落することが防止される。一方で、ストッカー60からクレードルアーム30へのボビンBwの供給が完了した後にストッカー60が待機位置に戻ろうとするとき、ボビンBwの脱落を防止しようとする前端支持部65と、クレードルに支持されたボビンBwとが引っかかって、ストッカー60の移動が阻害されてしまうおそれがある。本実施形態によれば、ストッカー60が供給位置から待機位置に戻るときに、前端支持部65がクレードルアーム30に支持されたボビンBwを避けるように回転する。このため、前端支持部65とクレードルアーム30に支持されたボビンBwとが引っかかって、ストッカー60の待機位置への移動が阻害されてしまうことを回避できる。よって、ストッカー60を、クレードルアーム30へのボビンBwの供給後にスムーズに待機位置に戻すことができ、その後の糸Yの巻き取り動作を速やかに実行することができる。
【0077】
(変形例)
以下に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0078】
上記実施形態では、規制部62は、ストッカー60が待機位置から供給位置に移動するのに伴って、当接部分62cがボビンホルダ70に押されることで、規制状態から解放状態に切り替える構成である。しかしながら、規制状態と解放状態との間で切り替え可能な規制部62は、上記構成に限られない。例えば、規制部62は、伝動モータによって規制状態と解放状態との間で切り替え可能なものでもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、規制部62は、回転軸66を中心に回転することで規制状態と解放状態との間で切り替え可能である。しかしながら、規制部62は、回転軸66を中心に回転する構成に限られない。例えば、規制部62は、ストッカー60の延在方向と交差する方向にスライドすることによって、規制状態と解放状態との間で切り替え可能な構成であってもよい。
【0080】
上記実施形態では、待機位置にあるストッカー60は、ストッカー60の延在方向と略一致する方向であって、機台幅方向における一方側且つ下方に向かう斜め方向(
図3における紙面の左斜め下方向)に向かって直線的に移動する。しかしながら、待機位置にあるストッカー60は、機台幅方向における一方側且つ上方に向かう斜め方向(例えば、
図3における紙面の左斜め上向きの方向)や水平方向に向かって直線的に移動するものでもよい。この場合、ストッカー60に貯留されたボビンBwを、延在方向においてストッカー60の後端部から前端部に向かって押し出すための押出機構等がストッカー60に配置されている。また、ストッカー60の延在方向と、ストッカー60が直線的に移動する方向とは、略一致していなくてもよい。
【0081】
上記実施形態では、1つの回転軸66が、本発明の第1回転軸及び第2回転軸の両方に相当する。しかしながら、規制部62の回転中心である第1回転軸と、前端支持部65の回転中心である第2回転軸とは別に設けられていてもよい。
【0082】
上記実施形態では、ストッカー60は、規制状態と解放状態との間で切り替え可能な規制部62を有している。しかしながら、ストッカー60は、規制部62を有していなくてもよい。この場合、ストッカー60には、待機位置にあるストッカー60、及び、待機位置から供給位置に向かって移動中のストッカー60からボビンBwが脱落することを防止するための部材が設けられていることが好ましい。
【0083】
上記実施形態では、ストッカー60は、規制部62が解放状態となったときに、ストッカー60に貯留されているボビンBwがボビンホルダ70を越えて飛び出すことを抑える第2規制部64を有している。しかしながら、ストッカー60は、第2規制部64を有していなくてもよい。この場合、移動機構80は、待機位置から供給位置に移動するストッカー60の移動速度を、所定の粗速度以下とすることが好ましい。所定の速度とは、供給位置に到達したストッカー60からボビンBwがボビンホルダ70を越えて飛び出すことを抑えることができる速度である。これにより、ストッカー60が待機位置から供給位置に移動するとき、ボビンBwに働く慣性の力を抑制し、ストッカー60からボビンBwが脱落することを抑制することができる。
【0084】
上記実施形態では、第2規制部64は、機台長手方向においてストッカー60の中央部分よりも両外側であって2つの規制部62よりも内側の部分に2つは位置されている。しかしながら、第2規制部64は、2つに限られない。例えば、第2規制部64は、1つ配置されていてもよく、3つ以上配置されていてもよい。
【0085】
上記実施形態では、ストッカー60は、前端支持部65を有している。しかしながら、ストッカー60は、前端支持部65を有していなくてもよい。この場合、ストッカー60には、規制部64が設けられていることが好ましい。
【0086】
上記実施形態の巻取装置21は、仮撚加工機1に適用されるものである。しかしながら、本発明の巻取装置21は、仮撚加工機1に限らず、リワインダの巻取装置にも適用可能である。
【0087】
上記実施形態では、クレードルアーム30は、巻取位置と解放位置との間で移動可能に構成されている。しかしながら、クレードルアームは、巻取位置と解放位置との間を移動するものでなくてもよく、例えば、接触ローラ40が複数錘に共通の駆動軸に接続されているライン駆動形式ではない場合、固定式のクレードルアームであってもよい(特開2015-40116号公報等を参照)。この場合、クレードルアームの巻取位置と解放位置とは、同じ位置となる。
【符号の説明】
【0088】
1 仮撚加工機
21 巻取装置
30 クレードルアーム(クレードル)
40 接触ローラ
50 パッケージ貯留部
60 ストッカー
62 規制部
62c 当接部分
63 ストッパー
64 第2規制部
65 面端支持部
66 回転軸(第1回転軸及び第2回転軸)
67 付勢部材
70 ボビンホルダ
80 移動機構
Bw ボビン
Pw 巻取パッケージ(パッケージ)
Y 糸
【手続補正書】
【提出日】2023-03-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項6】
前記ストッカーのうち、前記解放位置にある前記クレードルに近い前端部には、前記ボビンを下方から支持する前端支持部が設けられており、
前記前端支持部は、前記ストッカーから前記ボビンが脱落することを防止する規制姿勢を取ることが可能であり、且つ、前記ボビンホルダの軸方向に沿った第2回転軸を中心に回転可能であって、
前記ストッカーは、前記前端支持部を前記規制姿勢とするように付勢する付勢部材をさらに有し、
前記前端支持部は、前記ストッカーが前記供給位置から前記待機位置に移動するときに、前記解放位置にある前記クレードルに支持された前記ボビンに押されることで、前記付勢部材による付勢に逆らって前記第2回転軸を中心に当該ボビンを避けるように回転することを特徴とする請求項1~5に記載の巻取装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明によれば、ストッカーの移動に伴って第1方向に回転する規制部は、ストッパーと当接することでさらなる第1方向への回転が規制される。このため、ボビンホルダによって規制部の当接部分がさらに押されることが規制され、すなわち、ストッカーのさらなる移動が規制される。これによって、ストッカーが供給位置を越えてさらに移動してしまうことを回避することができ、ストッカーからクレードルへのボビンの供給を適切に行うことができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本発明の巻取装置において、前記ストッカーのうち、前記解放位置にある前記クレードルに近い前端部には、前記ボビンを下方から支持する前端支持部が設けられており、前記前端支持部は、前記ストッカーから前記ボビンが脱落することを防止する規制姿勢を取ることが可能であり、且つ、前記ボビンホルダの軸方向に沿った第2回転軸を中心に回転可能であって、前記ストッカーは、前記前端支持部を前記規制姿勢とするように付勢する付勢部材をさらに有し、前記前端支持部は、前記ストッカーが前記供給位置から前記待機位置に移動するときに、前記解放位置にある前記クレードルに支持された前記ボビンに押されることで、前記付勢部材による付勢に逆らって前記第2回転軸を中心に当該ボビンを避けるように回転することが好ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
移動機構80は、ストッカー60を待機位置と供給位置との間で直線的に移動させるためのものである。待機位置は、ストッカー60からクレードルアーム30へのボビンBwの供給が行われていないときにおいてストッカー60が待機している位置である(
図2及び
図3参照)。具体的には、待機位置は、クレードルアーム30に支持されたボビンBwに糸Yが巻き取られているときや、解放位置にあるクレードルアーム30から巻取パッケージPwが解放されてパッケージ貯留部50に送られているときにストッカー60が待機している位置である。待機位置にあるストッカー60は、クレードルアーム30に支持されたボビンBw又は巻取パッケージPwとの接触を回避可能である。
図3に示すように、待機位置にあるストッカー60は、鉛直面Fを境にして他方側に配置されている。供給位置は、解放位置にあるクレードルアーム30に支持されたボビンホルダ70であって且つ巻取パッケージPwが形成されたボビンBwが取り外された状態のボビンホルダ70にボビンBwを供給するためストッカー60の位置である(
図4参照)。
図4に示すように、ストッカー60が供給位置にあるとき、ストッカー60に貯留された複数のボビンBwのうちの機台幅方向の最も一方側にあるボビンBwの軸心と、解放位置にある
クレードルアーム30に支持されたボビンホルダ70の軸心とは一致するように構成されている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
ストッパー63は、第1方向D1に回転する規制部62が当接可能な部分である。具体的には、ストッパー63は、機台幅方向におけるアーム部62bの他方側且つ上部分が当接可能な部分である
(図7参照)。ストッパー63は、機台長手方向に対向配置されている。ストッパー63は、ストッカー60の上部に形成されている。より詳細には、ストッカー60に4つのボビンBwが収容された場合において、機台幅方向の一方側にあるボビンBwから順に1~4番目のボビンBwとした場合、2番目のボビンBwの上部分にストッパー63が形成されている。
図4及び
図7に示すように、ストッカー60が供給位置に到達したときに、第1方向D1に回転する規制部62がストッパー63と当接することによって、規制部62のさらなる第1方向D1への回転が規制される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
前端支持部65は、ストッカー60に貯留された複数のボビンBwのうちの、機台幅方向の最も一方側にあるボビンBwを下方から支持する。
図2及び
図5に示すように、前端支持部65は、ストッカー60のうち、解放位置にあるクレードルアーム30に近い
前端部且つ下部分に設けられている。また、
図5に示すように、前端支持部65は、機台長手方向に延びている。さらに、
図6及び
図7に示すように、機台長手方向から見たとき、機台幅方向における前端支持部65の一方側の部分は、V字に屈曲した形状となっている。前端支持部65は、例えば、板金や樹脂製である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
ストッカー60は、待機位置から供給位置に移動する途中で、当接部分62cは解放位置にあるクレードルアーム30に支持されたボビンホルダ70と接触する。より具体的には、
図3及び
図4などにおいて、機台長手方向の紙面奥側に配置された規制部62の当接部分62cが機台長手方向の紙面奥側に配置されたボビンホルダ70と接触し、機台長手方向の紙面手前側に配置された規制部62の当接部分62cが機台長手方向の紙面手前側に配置されたボビンホルダ70と接触する。当接部分62cとボビンホルダ70とが接触した状態からストッカー60がさらに供給位置に移動するのに伴って、当接部分62cはボビンホルダ70に押される。これにより、ストッカー60の規制部62は
回転軸66を中心に第1方向D1(
図6参照)に回転して規制状態から解放状態に切り替わる。そして、ストッカー60が供給位置に到達したときに、規制部62は解放状態となる(
図4及び
図7参照)。なお、
図6及び
図7では、説明のため、機台長手方向の紙面手前側のクレードルアーム30及びボビンホルダ70の記載を省略している。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0076
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0076】
本実施形態の巻取装置21では、ストッカー60のうち、解放位置にあるクレードルアーム30に近い前端部には、ボビンBwを下方から支持する前端支持部65が設けられている。前端支持部65は、ストッカー60からボビンBwが脱落することを防止する規制姿勢を取ることが可能であり、且つ、回転軸66を中心に回転可能である。さらに、ストッカー60は前端支持部65を規制姿勢とするように付勢する付勢部材67をさらに有する。前端支持部65は、ストッカー60が供給位置から待機位置に移動するときに、解放位置にあるクレードルアーム30に支持されたボビンBwに押されることで、付勢部材67による付勢に逆らって回転軸66を中心に当該ボビンを避けるように回転する。本実施形態では、前端支持部65が設けられていることによって、ストッカー60に貯留されたボビンBwがストッカー60から脱落することが防止される。一方で、ストッカー60からクレードルアーム30へのボビンBwの供給が完了した後にストッカー60が待機位置に戻ろうとするとき、ボビンBwの脱落を防止しようとする前端支持部65と、クレードルアーム30に支持されたボビンBwとが引っかかって、ストッカー60の移動が阻害されてしまうおそれがある。本実施形態によれば、ストッカー60が供給位置から待機位置に戻るときに、前端支持部65がクレードルアーム30に支持されたボビンBwを避けるように回転する。このため、前端支持部65とクレードルアーム30に支持されたボビンBwとが引っかかって、ストッカー60の待機位置への移動が阻害されてしまうことを回避できる。よって、ストッカー60を、クレードルアーム30へのボビンBwの供給後にスムーズに待機位置に戻すことができ、その後の糸Yの巻き取り動作を速やかに実行することができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0078】
上記実施形態では、規制部62は、ストッカー60が待機位置から供給位置に移動するのに伴って、当接部分62cがボビンホルダ70に押されることで、規制状態から解放状態に切り替える構成である。しかしながら、規制状態と解放状態との間で切り替え可能な規制部62は、上記構成に限られない。例えば、規制部62は、電動モータによって規制状態と解放状態との間で切り替え可能なものでもよい。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0085
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0085】
上記実施形態では、ストッカー60は、前端支持部65を有している。しかしながら、ストッカー60は、前端支持部65を有していなくてもよい。この場合、ストッカー60には、第2規制部64が設けられていることが好ましい。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
上記実施形態では、クレードルアーム30は、巻取位置と解放位置との間で移動可能に構成されている。しかしながら、クレードルアーム30は、巻取位置と解放位置との間を移動するものでなくてもよく、例えば、接触ローラ40が複数錘に共通の駆動軸に接続されているライン駆動形式ではない場合、固定式のクレードルアームであってもよい(特開2015-40116号公報等を参照)。この場合、クレードルアームの巻取位置と解放位置とは、同じ位置となる。