(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162771
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】画像形成装置、及び、電子機器
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20231101BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20231101BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20231101BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20231101BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
H04N1/00 350
B41J29/38 104
B41J29/00 T
G06F3/041 570
G06F3/041 510
G09G3/20 612G
G09G3/20 691D
G09G3/20 611A
H04N1/00 885
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073395
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 千春
(72)【発明者】
【氏名】松山 徹
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
5C080
【Fターム(参考)】
2C061AP04
2C061AP07
2C061AQ05
2C061BB08
2C061CQ04
2C061HJ10
2C061HN15
2C061HT06
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA35
5C062AB08
5C062AB20
5C062AB25
5C062AB38
5C062AB41
5C062AB42
5C062AB43
5C062AB44
5C062AB46
5C062AB47
5C062AB49
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AE15
5C062BA06
5C080BB05
5C080DD26
5C080FF03
5C080JJ02
5C080JJ04
5C080JJ06
5C080KK25
(57)【要約】
【課題】タッチパネルに不具合が生じるリスクを低減する。
【解決手段】ディスプレイと、静電容量方式のタッチパネルと、媒体を搬送する搬送部と、媒体に対して色材を付着させて画像を形成する画像形成部と、ディスプレイ、タッチパネル、搬送部、及び、画像形成部に対して電力を供給する電力供給部と、ディスプレイ、タッチパネル、搬送部、画像形成部、及び、電力供給部を制御する制御部と、を備え、制御部は、ディスプレイ、タッチパネル、搬送部、及び、画像形成部へと電力が供給されるように電力供給部を制御する第1モードと、ディスプレイ、搬送部、及び、画像形成部への電力の供給を制限し、タッチパネルへと電力が供給されるように電力供給部を制御する第2モードと、による制御が可能であり、第2モードにおけるタッチパネルへの電力供給量は、第1モードにおけるタッチパネルへの電力供給量よりも小さい、ことを特徴とする画像形成装置。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに対して情報を表示するディスプレイと、
ユーザからの指示を受け付ける静電容量方式のタッチパネルと、
媒体を搬送する搬送部と、
前記媒体に対して色材を付着させて画像を形成する画像形成部と、
前記ディスプレイ、前記タッチパネル、前記搬送部、及び、前記画像形成部に対して電力を供給する電力供給部と、
前記ディスプレイ、前記タッチパネル、前記搬送部、前記画像形成部、及び、前記電力供給部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記電力供給部から、前記ディスプレイ、前記タッチパネル、前記搬送部、及び、前記画像形成部へと電力が供給されるように前記電力供給部を制御する第1モードと、
前記電力供給部から、前記ディスプレイ、前記搬送部、及び、前記画像形成部への電力の供給を制限し、前記電力供給部から、前記タッチパネルへと電力が供給されるように前記電力供給部を制御する第2モードと、
による制御が可能であり、
前記第2モードにおける前記電力供給部から前記タッチパネルへの電力供給量は、
前記第1モードにおける前記電力供給部から前記タッチパネルへの電力供給量よりも小さい、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記タッチパネルは、
複数のパターン配線を備え、
前記第1モードにおいて、
前記複数のパターン配線のうち第1検出数のパターン配線から検出された信号に基づいて、
前記タッチパネルに対するタッチ位置を特定し、
前記第2モードにおいて、
前記複数のパターン配線の中から前記第1検出数よりも少ない第2検出数のパターン配線から検出された信号に基づいて、
前記タッチパネルに対するタッチの有無を特定する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記タッチパネルは、
複数のパターン配線を備え、
前記第1モードにおいて、
前記複数のパターン配線のうち第1基準数のパターン配線の各々を駆動配線として選択し、
前記第1基準数の駆動配線の各々に対して駆動信号を供給した場合に、
前記複数のパターン配線のうち前記駆動配線とは異なる検出配線から検出された信号に基づいて、
前記タッチパネルに対するタッチ位置を特定し、
前記第2モードにおいて、
前記複数のパターン配線のうち前記第1基準数よりも少ない第2基準数のパターン配線の各々を駆動配線として選択し、
前記第2基準数の駆動配線の各々に対して駆動信号を供給した場合に、
前記検出配線から検出された信号に基づいて、
前記タッチパネルに対するタッチの有無を特定する、
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記タッチパネルは、
前記第1モードにおいて、
前記タッチパネルに対するタッチ位置を、第1の周期毎に特定し、
前記第2モードにおいて、
前記タッチパネルに対するタッチの有無を、前記第1の周期よりも長い第2の周期毎に特定する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記タッチパネルは、
複数のパターン配線と、
前記複数のパターン配線のうち検出配線から検出された検出信号に基づいて、
前記タッチパネルに対するタッチの有無を特定する特定回路と、
を備え、
前記特定回路は、
前記検出信号の波形と、
前記タッチパネルに対するタッチが無い場合に前記検出配線から検出される基準信号の波形との、
相違の程度に応じた電位を示す比較信号を生成し、
前記第1モードにおいて、
前記比較信号の示す電位が第1閾値電位以上である場合に、
前記タッチパネルに対するタッチを特定し、
前記第2モードにおいて、
前記比較信号の示す電位が前記第1閾値電位よりも低い第2閾値電位以上である場合に、
前記タッチパネルに対するタッチを特定する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
ユーザに対して情報を表示するディスプレイと、
ユーザからの指示を受け付ける静電容量方式のタッチパネルと、
前記ディスプレイ及び前記タッチパネルに対して電力を供給する電力供給部と、
前記ディスプレイ、前記タッチパネル、及び、前記電力供給部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記電力供給部から、前記ディスプレイ及び前記タッチパネルへと電力が供給されるように、前記電力供給部を制御する第1モードと、
前記電力供給部から前記ディスプレイへの電力の供給を制限し、前記電力供給部から前記タッチパネルへと電力が供給されるように前記電力供給部を制御する第2モードと、
による制御が可能であり、
前記第2モードにおける前記電力供給部から前記タッチパネルへの電力供給量は、
前記第1モードにおける前記電力供給部から前記タッチパネルへの電力供給量よりも小さい、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
前記タッチパネルは、
複数のパターン配線を備え、
前記第1モードにおいて、
前記複数のパターン配線のうち第1検出数のパターン配線から検出された信号に基づいて、
前記タッチパネルに対するタッチ位置を特定し、
前記第2モードにおいて、
前記複数のパターン配線の中から前記第1検出数よりも少ない第2検出数のパターン配線から検出された信号に基づいて、
前記タッチパネルに対するタッチの有無を特定する、
ことを特徴とする、請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記タッチパネルは、
複数のパターン配線を備え、
前記第1モードにおいて、
前記複数のパターン配線のうち第1基準数のパターン配線の各々を駆動配線として選択し、
前記第1基準数の駆動配線の各々に対して駆動信号を供給した場合に、
前記複数のパターン配線のうち前記駆動配線とは異なる検出配線から検出された信号に基づいて、
前記タッチパネルに対するタッチ位置を特定し、
前記第2モードにおいて、
前記複数のパターン配線のうち前記第1基準数よりも少ない第2基準数のパターン配線の各々を駆動配線として選択し、
前記第2基準数の駆動配線の各々に対して駆動信号を供給した場合に、
前記検出配線から検出された信号に基づいて、
前記タッチパネルに対するタッチの有無を特定する、
ことを特徴とする、請求項6または7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記タッチパネルは、
前記第1モードにおいて、
前記タッチパネルに対するタッチ位置を、第1の周期毎に特定し、
前記第2モードにおいて、
前記タッチパネルに対するタッチの有無を、前記第1の周期よりも短い第2の周期毎に特定する、
ことを特徴とする、請求項6に記載の電子機器。
【請求項10】
前記タッチパネルは、
複数のパターン配線と、
前記複数のパターン配線のうち検出配線から検出された検出信号に基づいて、
前記タッチパネルに対するタッチの有無を特定する特定回路と、
を備え、
前記特定回路は、
前記検出信号の波形と、
前記タッチパネルに対するタッチが無い場合に前記検出配線から検出される基準信号の波形との、
相違の程度に応じた電位を示す比較信号を生成し、
前記第1モードにおいて、
前記比較信号の示す電位が第1閾値電位以上である場合に、
前記タッチパネルに対するタッチを特定し、
前記第2モードにおいて、
前記比較信号の示す電位が前記第1閾値電位よりも低い第2閾値電位以上である場合に、
前記タッチパネルに対するタッチを特定する、
ことを特徴とする、請求項6に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体に対して色材を付着させて画像を形成する画像形成装置に対して、ユーザからの指示を受け付けるタッチパネルを搭載することで、画像形成装置に対するユーザの操作性向上を可能とする技術が広く知られている。例えば、特許文献1には、画像形成装置に対して、静電容量方式のタッチパネルを搭載することで、画像形成装置に対するユーザの操作性向上を可能とする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、静電容量方式のタッチパネルを具備する画像形成装置では、媒体に対して色材を付着させる際に、当該色材が画像形成装置内を浮遊し、静電容量方式のタッチパネルに付着することがある。そして、タッチパネルに色材が付着すると、タッチパネルに不具合が生じるリスクが生じる。
【0005】
なお、静電容量方式のタッチパネルを具備する表示装置等、画像形成装置以外の様々な電子機器においても、画像形成装置と同様に、塵埃がタッチパネルに付着して、タッチパネルに不具合が生じるリスクが存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、ユーザに対して情報を表示するディスプレイと、ユーザからの指示を受け付ける静電容量方式のタッチパネルと、媒体を搬送する搬送部と、前記媒体に対して色材を付着させて画像を形成する画像形成部と、前記ディスプレイ、前記タッチパネル、前記搬送部、及び、前記画像形成部に対して電力を供給する電力供給部と、前記ディスプレイ、前記タッチパネル、前記搬送部、前記画像形成部、及び、前記電力供給部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記電力供給部から、前記ディスプレイ、前記タッチパネル、前記搬送部、及び、前記画像形成部へと電力が供給されるように前記電力供給部を制御する第1モードと、前記電力供給部から、前記ディスプレイ、前記搬送部、及び、前記画像形成部への電力の供給を制限し、前記電力供給部から、前記タッチパネルへと電力が供給されるように前記電力供給部を制御する第2モードと、による制御が可能であり、前記第2モードにおける前記電力供給部から前記タッチパネルへの電力供給量は、前記第1モードにおける前記電力供給部から前記タッチパネルへの電力供給量よりも小さい、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る電子機器は、ユーザに対して情報を表示するディスプレイと、ユーザからの指示を受け付ける静電容量方式のタッチパネルと、前記ディスプレイ及び前記タッチパネルに対して電力を供給する電力供給部と、前記ディスプレイ、前記タッチパネル、及び、前記電力供給部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記電力供給部から、前記ディスプレイ及び前記タッチパネルへと電力が供給されるように、前記電力供給部を制御する第1モードと、前記電力供給部から前記ディスプレイへの電力の供給を制限し、前記電力供給部から前記タッチパネルへと電力が供給されるように前記電力供給部を制御する第2モードと、による制御が可能であり、前記第2モードにおける前記電力供給部から前記タッチパネルへの電力供給量は、前記第1モードにおける前記電力供給部から前記タッチパネルへの電力供給量よりも小さい、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る印刷装置100の外観の一例を示す図である。
【
図2】印刷装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】搬送ユニット4の構成の一例を示す図である。
【
図4】ディスプレイ7の構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】タッチパネル8の構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】検出電極層802の構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】駆動電極層804の構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】検出領域800の構成の一例を示す断面図である。
【
図9】タッチパネル8の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図10】タッチパネル8の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図11】検出回路82の構成の一例を示すブロック図である。
【
図12】タッチ特定回路86の構成の一例を示すブロック図である。
【
図13】変形例1に係るタッチパネル8の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図14】変形例2に係るタッチパネル8の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図15】変形例3に係る電子機器100Aの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0010】
<<A.実施形態>>
本実施形態では、印刷装置100を例示して、画像形成装置を説明する。
【0011】
<<1.印刷装置の構成>>
以下、
図1乃至
図3を参照しつつ、本実施形態に係る印刷装置100の構成の概要を説明する。
【0012】
図1は、印刷装置100の外観の一例を示す図である。
図2は、印刷装置100の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0013】
図1及び
図2に示すように、印刷装置100は、印刷装置100を制御する制御ユニット1と、印刷用紙PPに対してインクを吐出して画像を形成する印刷処理を実行する印刷ユニット2と、印刷用紙PPまたはその他の媒体に形成された画像を読み取るスキャン処理を実行するためのスキャナーユニット3と、印刷装置100の内部で印刷用紙PPを搬送するための搬送ユニット4と、印刷装置100の各要素に電力を供給する電源ユニット5と、印刷装置100のユーザに対して各種情報を表示するディスプレイ7、及び、印刷装置100のユーザからのコマンドの入力を受け付ける静電容量方式のタッチパネル8を含むインタフェースユニット6と、印刷用紙PPを収容する収容カセット91が設けられた給紙ユニット9と、印刷装置100の制御プログラム等の各種情報を記憶する記憶ユニット10と、を備える。
【0014】
ここで、制御ユニット1は「制御部」の一例であり、印刷ユニット2は「画像形成部」の一例であり、印刷用紙PPは「媒体」の一例であり、搬送ユニット4は「搬送部」の一例であり、電源ユニット5は「電力供給部」の一例である。なお、本実施形態において、インクには顔料または染料が含まれることとする。そして、本実施形態において、インクに含まれる顔料または染料は「色材」の一例である。
また、以下では、印刷ユニット2が印刷処理において印刷用紙PPに形成する画像を、印刷画像EPと称し、ディスプレイ7が表示する画像を、表示画面EHと称する。
【0015】
図1に示すように、印刷ユニット2は、給紙ユニット9から見てZ1方向に設けられる。また、スキャナーユニット3は、印刷ユニット2から見てZ1方向に設けられる。以下では、Z1方向と、Z1方向とは反対のZ2方向とを、Z軸方向と総称する。Z2方向は、例えば、鉛直方向である。また、Z軸に交差するX軸に沿ったX1方向と、X1方向とは反対のX2方向とを、X軸方向と総称する。また、Z軸及びX軸に交差するY軸に沿ったY1方向と、Y1方向とは反対のY2方向とを、Y軸方向と総称する。本実施形態では、一例として、X軸、Y軸、及び、Z軸が、互いに直交する場合を想定して説明する。但し、本発明はこのような態様に限定されるものではない。X軸、Y軸、及び、Z軸は、互いに交差していればよい。
【0016】
搬送ユニット4は、収容カセット91に収容された印刷用紙PPを、印刷ユニット2に供給する。そして、搬送ユニット4は、印刷ユニット2が印刷用紙PPに対して画像を形成した場合、当該印刷用紙PPを、排出トレイ401に排出する。
【0017】
制御ユニット1は、CPUまたはFPGA等の処理回路を含み、印刷装置100の各要素を制御する。ここで、CPUとは、Central Processing Unitの略称であり、FPGAとは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。
【0018】
図2に示すように、制御ユニット1に設けられた処理回路は、印刷装置100に記憶された印刷装置100の制御プログラムを実行し、当該制御プログラムに従って動作することで、印刷ユニット2を制御する印刷制御部12、スキャナーユニット3を制御するスキャナー制御部13、搬送ユニット4を制御する搬送制御部14、電源ユニット5を制御する電源制御部15、ディスプレイ7を制御する表示制御部17、タッチパネル8を制御するパネル制御部18、及び、制御ユニット1による印刷装置100の制御モードを決定するモード決定部19として機能することができる。
【0019】
本実施形態において、制御ユニット1は、印刷装置100を、通常動作モードと、スリープモードとを含む複数の制御モードにより制御することができる。
【0020】
本実施形態において、通常動作モードとは、印刷装置100がユーザに対して提供する全ての機能を、当該ユーザが利用可能となるように、制御ユニット1が印刷装置100を制御する制御モードである。
具体的には、通常動作モードにおいて、電源制御部15は、制御ユニット1、印刷ユニット2、スキャナーユニット3、搬送ユニット4、ディスプレイ7、タッチパネル8、及び、記憶ユニット10に対して電力が供給されるように、電源ユニット5を制御する。これにより、通常動作モードにおいて、印刷装置100は、印刷ユニット2による印刷処理と、スキャナーユニット3によるスキャン処理と、搬送ユニット4による印刷用紙PPの搬送と、ディスプレイ7による各種情報の表示と、タッチパネル8によるコマンドの入力の受け付けと、を行うことが可能となる。
なお、本実施形態では、通常動作モードにおいて、印刷装置100がユーザに対して提供する全ての機能を、当該ユーザが利用可能となる場合を例示して説明するが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。制御ユニット1は、通常動作モードにおいて、印刷装置100がユーザに対して提供する機能のうちの一部の機能を、当該ユーザが利用可能となるように、印刷装置100を制御してもよい。
【0021】
また、スリープモードとは、印刷装置100がユーザに対して提供する機能のうち、通常動作モードにおいて提供される機能よりも少ない機能を、当該ユーザが利用可能となるように、制御ユニット1が印刷装置100を制御する制御モードである。
具体的には、電源制御部15は、スリープモードにおいて、制御ユニット1、タッチパネル8、及び、記憶ユニット10に対して電力が供給され、印刷ユニット2、スキャナーユニット3、搬送ユニット4、及び、ディスプレイ7に対する電力の供給が停止するように、電源ユニット5を制御する。但し、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、電源制御部15は、スリープモードにおいて、記憶ユニット10に対する電力の供給が停止するように電源ユニット5を制御してもよい。また、例えば、電源制御部15は、スリープモードにおける、印刷ユニット2、スキャナーユニット3、搬送ユニット4、及び、ディスプレイ7の各々に対する電力の供給が制限され、通常動作モードにおける、印刷ユニット2、スキャナーユニット3、搬送ユニット4、及び、ディスプレイ7の各々に対する電力の供給量よりも少なくなるように、電源ユニット5を制御してもよい。
【0022】
本実施形態において、モード決定部19は、印刷装置100の起動後に、制御モードを通常動作モードに決定する。そして、モード決定部19は、制御モードが通常動作モードである場合、タッチパネル8に対するユーザからのコマンドの入力が無いアイドル期間の時間長が、所定時間以上となったときに、制御モードを、通常動作モードからスリープモードに切り替える。また、モード決定部19は、制御モードがスリープモードである場合、タッチパネル8に対するユーザからのコマンドの入力があったとき、または、タッチパネル8に対するユーザのタッチがあったときに、制御モードを、スリープモードから通常動作モードへと切り替える。
【0023】
なお、本実施形態において、通常動作モードは「第1モード」の一例であり、スリープモードは「第2モード」の一例である。
【0024】
図3は、搬送ユニット4の構成の一例を説明するための印刷装置100の概略的な断面図である。
【0025】
図3に示すように、搬送ユニット4は、収容カセット91に収容された印刷用紙PPを供給経路Rt1に沿って搬送することで、印刷用紙PPを印刷ユニット2へと供給する。
次に、搬送ユニット4は、印刷用紙PPを、印刷ユニット2に設けられた印刷経路RtPに沿って搬送する。そして、印刷ユニット2は、印刷経路RtP上を搬送される印刷用紙PPに対して、印刷画像EPを形成する。具体的には、印刷ユニット2は、インクを吐出するヘッドユニット20を備え、ヘッドユニット20が、印刷経路RtP上を搬送される印刷用紙PPに対してインクを吐出することで、印刷用紙PP上に印刷画像EPを形成する。
その後、搬送ユニット4は、印刷画像EPが形成された印刷用紙PPを排出経路Rt2に沿って搬送することで、印刷用紙PPを排出トレイ401へと排出する。
【0026】
供給経路Rt1上には、搬送ローラー対411と、搬送ローラー対412と、搬送ローラー対413とを含む、複数の搬送ローラー対が設けられる。収容カセット91に収容されている印刷用紙PPは、供給経路Rt1上に設けられた複数の搬送ローラー対により、印刷経路RtPへと搬送される。
【0027】
印刷経路RtPは、印刷ユニット2が印刷用紙PPに対して印刷画像EPを形成する際に、印刷用紙PPが搬送される経路であり、搬送ベルト44により規定される経路である。ここで、搬送ベルト44とは、駆動プーリー42と従動プーリー43との間で回転駆動する無端ベルトである。具体的には、搬送ベルト44は、
図3の矢印MV1が示すように、搬送ベルト44のうち駆動プーリー42及び従動プーリー43のZ1方向に位置する上側部分がX2方向に移動し、
図3の矢印MV2が示すように、搬送ベルト44のうち駆動プーリー42及び従動プーリー43のZ2方向に位置する下側部分がX1方向に移動するように、駆動プーリー42により回転駆動される。本実施形態では、駆動プーリー42は、印刷経路RtPのうちヘッドユニット20よりも供給経路Rt1に近い位置に設けられる。搬送ベルト44の内側には、搬送ベルト44の上側部分を支える支持板45が設けられる。
【0028】
図3に示すように、印刷経路RtPの近傍には、帯電ローラー46が、搬送ベルト44の外面に接触するように設けられる。本実施形態では、帯電ローラー46は、印刷経路RtPのうちヘッドユニット20に対向する位置よりも供給経路Rt1に近い位置に設けられる。具体的には、本実施形態では、帯電ローラー46は、駆動プーリー42及び帯電ローラー46により搬送ベルト44を挟むようにして設けられる。
【0029】
帯電ローラー46は、電源ユニット5によって帯電され、搬送ベルト44に所定極性の電荷を供給する。そして、印刷用紙PPは、搬送ベルト44により搬送される場合に、搬送ベルト44に帯電した所定極性の電荷により、搬送ベルト44に吸着する。なお、印刷経路RtPのうち、駆動プーリー42とヘッドユニット20との間には、印刷経路RtPを搬送される印刷用紙PPうち、搬送ベルト44に接触する面とは反対側の面に帯電した電荷を除去するための、除電ブラシ47が設けられる。
【0030】
排出経路Rt2上には、搬送ローラー対414と、搬送ローラー対415と、搬送ローラー対416とを含む、複数の搬送ローラー対が設けられる。印刷経路RtPを搬送された印刷用紙PPは、排出経路Rt2上に設けられた複数の搬送ローラー対により、排出トレイ401へと排出される。
【0031】
<<2.ディスプレイの構成>>
以下、
図4を参照しつつ、本実施形態に係るディスプレイ7の構成の概要を説明する。
【0032】
図4は、ディスプレイ7の構成の一例を示すブロック図である。
【0033】
図4に示すように、ディスプレイ7は、複数の画素Pxが設けられた表示領域700と、表示領域700を駆動する駆動回路70と、を備える。
【0034】
表示領域700は、XD1方向に延在するM行の走査線73と、XD1方向に交差するYD1方向に延在するN列のデータ線74と、M行の走査線73及びN列のデータ線74との(M×N)個の交差に対応し、YD1方向にM行でXD1方向にN列のマトリックス状に設けられた、(M×N)個の画素Pxと、を備える。ここで、値Mは、M≧2を満たす自然数であり、値Nは、N≧2を満たす自然数である。
【0035】
また、以下では、XD1方向と、XD1方向とは反対のXD2方向とを、XD軸方向と総称し、YD1方向と、YD1方向とは反対のYD2方向とを、YD軸方向と総称し、XD軸方向及びYD軸方向と交差するZD1方向と、ZD1方向とは反対のZD2方向とを、ZD軸方向と総称する。本実施形態において、ZD1方向は、例えば、印刷装置100のユーザから表示領域700に向かう方向である。本実施形態では、一例として、XD軸、YD軸、及び、ZD軸が、互いに直交する場合を想定して説明する。但し、本発明はこのような態様に限定されるものではない。XD軸、YD軸、及び、ZD軸は、互いに交差していればよい。
【0036】
駆動回路70は、駆動回路71と、駆動回路72と、を備える。このうち、駆動回路71には、表示制御部17から、駆動回路70を制御するための制御信号CtrHが供給される。また、駆動回路72には、表示制御部17から、駆動回路70を制御するための制御信号CtrHと、表示領域700において表示すべき表示画面EHを示す表示情報DHと、が供給される。
【0037】
駆動回路71は、制御信号CtrHに基づいて、第m行の走査線73を選択するための選択信号Gw[m]を生成する。そして、駆動回路71は、制御信号CtrHにより規定される単位表示期間に含まれるM個の選択期間のうち、m番目の選択期間において、選択信号Gw[m]の信号レベルを、第m行の走査線73を選択するための所定の信号レベルに設定する。これにより、駆動回路71は、単位表示期間において、第1行~第M行の走査線73を順番に選択することができる。ここで、変数mは、1≦m≦Mを満たす自然数である。
【0038】
駆動回路72は、表示情報DHに基づいて、画素Pxにおいて表示すべき階調を指定する階調指定信号Vd[n]を生成し、制御信号CtrHに基づいて決定されるタイミングで、第n列のデータ線74に対して、生成した階調指定信号Vd[n]を出力する。具体的には、駆動回路72は、駆動回路71が第1行~第M行の走査線73を選択しているM個の選択期間の各々において、第n列のデータ線74に対して、階調指定信号Vd[n]を出力する。ここで、変数nは、1≦n≦Nを満たす自然数である。また、表示情報DHは、階調指定信号Vd[1]~Vd[N]を含む信号であってもよい。
【0039】
このように、駆動回路70は、m番目の選択期間において、第m行の走査線73を選択する選択信号Gw[m]を出力するとともに、第n列のデータ線74に対して階調指定信号Vd[n]を出力することで、第m行第n列の画素Pxに対して階調指定信号Vd[n]の指定する階調を表示させることができる。これにより、ディスプレイ7は、M個の選択期間からなる単位表示期間において、表示領域700に対して表示画面EHを表示させることができる。
【0040】
<<3.タッチパネルの概要>>
以下、
図5乃至
図12を参照しつつ、本実施形態に係るタッチパネル8の概要を説明する。
【0041】
図5は、タッチパネル8の構成の一例を示すブロック図である。
図6は、タッチパネル8に設けられた検出電極層802の構成の一例を示すブロック図である。
図7は、タッチパネル8に設けられた駆動電極層804の構成の一例を示すブロック図である。
【0042】
図5に示すように、タッチパネル8は、印刷装置100のユーザによるタッチを検出するための検出領域800と、検出領域800におけるユーザのタッチ位置を特定するための検出制御回路80と、を備える。
【0043】
図5乃至
図7に示すように、検出領域800は、XD1方向に並べられたR列の検出電極SX[1]~SX[R]が設けられた検出電極層802と、YD1方向に並べられたQ行の駆動電極SY[1]~SY[Q]が設けられた駆動電極層804と、を備える。ここで、値Q及び値Rは、Q≧2、及び、R≧2を満たす自然数である。R列の検出電極SX[1]~SX[R]は、検出領域800をZD1方向に見た場合に、Q行の駆動電極SY[1]~SY[Q]と交差するように設けられる。
【0044】
以下では、R列の検出電極SX[1]~SX[R]のうち、r列目の検出電極SXを、検出電極SX[r]と称する。また、以下では、Q行の駆動電極SY[1]~SY[Q]のうち、q行目の駆動電極SYを、駆動電極SY[q]と称する。ここで、変数qは、1≦q≦Qを満たす自然数であり、変数rは、1≦r≦Rを満たす自然数である。
【0045】
本実施形態において、検出電極SX[r]及び駆動電極SY[q]は、例えば、ITO等の光透過性の導電材料から形成される。ここで、ITOとは、Indium Tin Oxideの略称である。また、本実施形態において、検出電極層802のうち、検出電極SX[r]が設けられていない部分と、駆動電極層804のうち、駆動電極SY[q]が設けられたいない部分とは、光透過性の絶縁材料より構成される。
【0046】
図6に示すように、検出電極SX[r]は、YD1方向に並べられたQ個の電極TXと、当該Q個の電極TXを電気的に接続する配線LXと、を含む。以下では、検出電極SX[r]に設けられたQ個の電極TXのうち、q番目の電極TXを、電極TX[q][r]と称する。また、以下では、検出電極SX[r]に設けられた配線LXを、配線LX[r]と称する。
このように、本実施形態では、一例として、検出電極SX[r]がQ個の電極TX[1][r]~TX[Q][r]を含む場合を想定する。但し、本発明はこのような態様に限定されるものではない。検出電極SX[r]は、Q個とは異なる個数の1または複数の電極TXを備えるものであってもよい。
【0047】
図7に示すように、駆動電極SY[q]は、XD1方向に並べられたR個の電極TYと、当該R個の電極TYを電気的に接続する配線LYと、を含む。なお、以下では、駆動電極SY[q]に設けられたR個の電極TYのうち、r番目の電極TYを、電極TY[q][r]と称する。また、以下では、駆動電極SY[q]に設けられた配線LYを、配線LY[q]と称する。
このように、本実施形態では、一例として、駆動電極SY[q]がR個の電極TY[q][1]~TX[q][R]を含む場合を想定するが、但し、本発明はこのような態様に限定されるものではない。駆動電極SY[q]は、R個とは異なる個数の1または複数の電極TYを備えるものであってもよい。
【0048】
図8は、タッチパネル8の構成の一例を示す断面図である。なお、
図8は、
図5において、YD1方向を法線方向とする平面であって、駆動配線SY[q]を通る平面により、検出領域800を切断した場合における、検出領域800の断面を示す断面図である。
【0049】
図8に示すように、検出領域800は、保護層801と、検出電極層802と、絶縁層803と、駆動電極層804と、保護層805と、を備える。
【0050】
このうち、保護層801は、光透過性の絶縁材料より構成される。印刷装置100のユーザは、保護層801のZD2方向の表面にタッチすることで、タッチパネル8に対するコマンドを入力する。
【0051】
また、保護層805は、保護層801よりもZD1方向に設けられ、光透過性の絶縁材料より構成される。また、絶縁層803は、保護層801と保護層805との間に設けられ、光透過性の絶縁材料より構成される。
【0052】
また、検出電極層802は、保護層801と絶縁層803との間に設けられる。上述のとおり、検出電極層802には、複数の電極TX[1][r]~TX[Q][r]と、当該電極TX[1][r]~TX[Q][r]を電気的に接続する配線LX[r]と、を含む検出電極SX[r]が形成される。
【0053】
また、駆動電極層804は、絶縁層803と保護層805との間に設けられる。上述のとおり、駆動電極層804には、複数の電極TY[q][1]~TX[q][R]と、当該電極TY[q][1]~TX[q][R]を電気的に接続する配線LY[q]と、を含む駆動電極SY[q]が形成される。
【0054】
なお、本実施形態では、駆動電極層804が、検出電極層802から見てZD1方向に位置する場合を例示するが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。駆動電極層804が、検出電極層802から見てZD2方向に設けられてもよい。この場合、駆動電極層804は、保護層801と絶縁層803との間に設けられ、検出電極層802は、保護層805と絶縁層803との間に設けられてもよい。
【0055】
説明を、
図5に戻す。
図5に示すように、検出制御回路80は、駆動回路81と、検出回路82と、を備える。
このうち、駆動回路81及び検出回路82には、パネル制御部18から、検出制御回路80を制御するための制御信号CtrTが供給される。ここで、制御信号CtrTとは、垂直同期信号Vsncと、垂直クロック信号CLyと、水平同期信号Hsncと、水平クロック信号CLxと、モード指定信号SigMとを含む信号である。このうち、モード指定信号SigMは、モード決定部19の指定した制御モードを示す信号である。
また、検出回路82からは、検出領域800に対するユーザのタッチの検出結果を示すタッチ検出信号DTが出力される。
【0056】
図9及び
図10は、制御信号CtrTと、検出制御回路80の動作と、を説明するためのタイミングチャートである。このうち、
図9は、通常動作モードにおける検出制御回路80の動作を示している。また、
図10は、スリープモードにおける検出制御回路80の動作を示している。検出制御回路80は、モード指定信号SigMの示す制御モードに応じた態様で動作する。具体的には、検出制御回路80は、モード指定信号SigMが通常動作モードを示す場合、通常動作モードに応じた態様で動作し、モード指定信号SigMがスリープモードを示す場合、スリープモードに応じた態様で動作する。
【0057】
図9及び
図10に示すように、垂直同期信号Vsncは、パルスPLVを含む信号であり、パルスPLVの立ち上がりから次のパルスPLVの立ち上がりまでの期間として、フレーム期間Fを規定する。本実施形態では、一例として、フレーム期間Fが、Q個の水平走査期間Hから構成される場合を想定する。そして、以下では、フレーム期間Fを構成するQ個の水平走査期間Hのうち、q番目の水平走査期間Hを、水平走査期間H[q]と称する。なお、
図9及び
図10では、「Q=6」の場合を例示している。
【0058】
水平同期信号Hsncは、パルスPLHを含む信号であり、パルスPLHの立ち上がりから次のパルスPLHの立ち上がりまでの期間として、水平走査期間Hを規定する。本実施形態では、水平走査期間Hが、R個の検出期間HKから構成される場合を想定する。そして、以下では、水平走査期間Hを構成するR個の検出期間HKのうち、r番目の検出期間HKを、検出期間HK[r]と称する。なお、
図9及び
図10では、「R=6」の場合を例示している。
【0059】
垂直クロック信号CLyは、水平走査期間Hを周期とするパルスを有する信号である。駆動回路81は、垂直クロック信号CLyに基づいて、Q個の駆動電極SY[1]~SY[Q]と1対1に対応するQ個の選択信号GY[1]~GY[Q]を生成する。
【0060】
以下では、Q個の選択信号GY[1]~GY[Q]のうち、q番目の選択信号GYを、選択信号GY[q]と称する。また、通常動作モードにおいて駆動回路81が生成する選択信号GY[q]を、通常時選択信号GY-T[q]と称し、スリープモードにおいて駆動回路81が生成する選択信号GY[q]を、スリープ時選択信号GY-S[q]と称する。
また、以下では、変数q1を、1≦q1≦Qを満たす正の奇数とし、変数q2を、2≦q2≦Qを満たす正の偶数とし、変数r1を、1≦r1≦Rを満たす正の奇数とし、変数r2を、2≦r2≦Rを満たす正の偶数とする。
また、以下では、1≦q1≦Qを満たす奇数q1の個数を、Q1個とし、1≦q2≦Qを満たす偶数q2の個数を、Q2個とし、1≦r1≦Rを満たす奇数r1の個数を、R1個とし、1≦r2≦Rを満たす偶数r2の個数を、R2個とする。
【0061】
図9に示すように、通常時選択信号GY-T[q]は、フレーム期間Fのうち水平走査期間H[q]において、ローレベルからハイレベルへと立ち上がった後に再びローレベルに立ち下がる駆動パルスPLSを有する。また、通常時選択信号GY-T[q]は、フレーム期間Fのうち水平走査期間H[q]以外においてローレベルを維持する。
【0062】
図10に示すように、スリープ時選択信号GY-S[q1]は、フレーム期間Fのうち水平走査期間H[q]において、駆動パルスPLSを有する。また、スリープ時選択信号GY-S[q1]は、フレーム期間Fのうち水平走査期間H[q]以外においてローレベルを維持する。また、スリープ時選択信号GY-S[q2]は、フレーム期間Fにおいてローレベルを維持する。
【0063】
水平クロック信号CLxは、検出期間HKを周期とするパルスを有する信号である。検出回路82は、水平クロック信号CLxに基づいて、R個の検出電極SX[1]~SX[R]と1対1に対応するR個の選択信号GX[1]~GX[R]を生成する。
【0064】
以下では、R個の選択信号GX[1]~GX[R]のうち、r番目の選択信号GXを、選択信号GX[r]と称する。また、通常動作モードにおいて検出回路82が生成する選択信号GX[r]を、通常時選択信号GX-T[r]と称し、スリープモードにおいて検出回路82が生成する選択信号GX[r]を、スリープ時選択信号GX-S[r]と称する。
【0065】
図9に示すように、通常時選択信号GX-T[r]は、水平走査期間H[q]のうち検出期間HK[r]においてハイレベルを維持し、水平走査期間H[q]のうち検出期間HK[r]以外においてローレベルを維持する。
【0066】
図10に示すように、スリープ時選択信号GX-S[r]は、水平走査期間H[q1]のうち検出期間HK[r]においてハイレベルを維持し、水平走査期間H[q1]のうち検出期間HK[r]以外においてローレベルを維持し、水平走査期間H[q2]においてローレベルを維持する。
【0067】
図11は、検出回路82の構成の一例を示すブロック図である。
【0068】
図11に示すように、検出回路82は、R列の配線LX[1]~LX[R]と1対1に対応するR個のスイッチSW[1]~SW[R]と、R個のスイッチSW[1]~SW[R]の各々のオンオフを制御することでR列の配線LX[1]~LX[R]の中から配線LX[r]を選択する選択回路85と、検出領域800に対するユーザのタッチの有無を特定するタッチ特定回路86と、検出領域800に対するユーザのタッチ位置を特定する位置特定回路87と、を備える。
【0069】
スイッチSW[r]は、配線LX[r]と、タッチ特定回路86に電気的に接続された配線820との間の、オンオフを切り替える。スイッチSW[r]がオンする場合、配線LX[r]から、スイッチSW[r]及び配線820を介して、タッチ特定回路86に対して、検出信号Vx[r]が供給される。ここで、検出信号Vx[r]とは、配線LX[r]の電位を示す信号である。
【0070】
選択回路85は、スイッチSW[r]に対して、選択信号GX[r]を出力する。本実施形態では、選択信号GX[r]がハイレベルの場合に、スイッチSW[r]がオンし、選択信号GX[r]がローレベルの場合に、スイッチSW[r]がオフする場合を想定する。
【0071】
タッチ特定回路86は、配線820を介して供給される検出信号Vx[r]と、電源ユニット5から供給される閾値信号Vthと、に基づいて、検出領域800に対するユーザのタッチの有無を特定する。そして、タッチ特定回路86は、当該特定の結果を示すタッチ特定信号TJを出力する。
【0072】
位置特定回路87は、タッチ特定信号TJと、制御信号CtrTとに基づいて、検出電極SX[r]と駆動電極SY[q]に対応する位置Pos[q][r]に対するユーザのタッチの有無を特定する。具体的には、制御信号CtrTの有する水平同期信号Hsncまたは垂直クロック信号CLyから特定されるタイミングが、駆動回路81が選択信号GY[q]に駆動パルスPLSを設定して駆動電極SY[q]が選択されるタイミングとなる場合であって、且つ、制御信号CtrTの有する水平クロック信号CLxから特定されるタイミングが、検出回路82が選択信号GX[r]をハイレベルに設定して検出電極SX[r]が選択されるタイミングとなる場合において、タッチ特定信号TJが、検出領域800に対するユーザのタッチがあることを示すとき、位置特定回路87は、位置Pos[q][r]に対するユーザのタッチがあることを示すタッチ検出信号DTを出力する。
【0073】
図12は、タッチ特定回路86の構成の一例を示すブロック図である。
【0074】
図12に示すように、タッチ特定回路86は、基準信号生成回路861と、減算回路862と、フィルター回路863と、比較回路864と、を備える。
【0075】
基準信号生成回路861は、駆動パルスPLSを有する選択信号GY0に基づいて、基準検出信号Vx0を生成する。ここで、基準検出信号Vx0とは、駆動電極SY[q]が具備する配線LY[q]に対して、駆動パルスPLSを有する選択信号GY[q]が供給された場合であって、検出電極SX[r]と駆動電極SY[q]との交差の近傍にユーザのタッチが無い場合における、検出電極SX[r]の電位の変動を示す波形と、略同じ波形を有する信号である。つまり、基準検出信号Vx0とは、駆動電極SY[q]に対して駆動パルスPLSを有する選択信号GY[q]が供給された場合であって、位置Pos[q][r]に対するユーザのタッチが存在しない場合に、検出電極SX[r]から検出される検出信号Vx[r]である。
ここで、「略同じ」とは、完全に同一である場合の他に、誤差を考慮すれば同一であると看做すことができる場合を含む概念である。例えば、「略同じ」とは、10パーセント以下の誤差を取り除くことで同一とすることができる場合を含む概念であってもよい。
【0076】
減算回路862は、基準検出信号Vx0と検出信号Vx[r]とに基づいて、基準検出信号Vx0と検出信号Vx[r]との差分を示す差分信号Vdf[r]を出力する。
【0077】
上述のとおり、検出領域800をZD1方向に見た場合に、検出電極SX[r]と駆動電極SY[q]とは交差する。よって、検出電極SX[r]と駆動電極SY[q]との間には、容量が形成される。例えば、検出電極SX[r]の有する電極TX[q][r]と駆動電極SY[q]の有する電極TY[q][r]との間には、容量が形成される。このため、駆動電極SY[q]が具備する配線LY[q]に対して、駆動パルスPLSを有する選択信号GY[q]が供給された場合、検出電極SX[r]と駆動電極SY[q]との間に形成された容量を介して、検出電極SX[r]の電位も変動する。
そして、検出電極SX[r]と駆動電極SY[q]との交差の近傍において、印刷装置100のユーザの指等がタッチされた場合、当該ユーザの指等と、検出電極SX[r]または駆動電極SY[q]との間に容量が形成される。このため、駆動電極SY[q]が具備する配線LY[q]に対して、駆動パルスPLSを有する選択信号GY[q]が供給された場合であって、検出電極SX[r]と駆動電極SY[q]との交差の近傍にユーザのタッチがあった場合における、検出電極SX[r]の電位の変動の態様と、配線LY[q]に対して、駆動パルスPLSを有する選択信号GY[q]が供給された場合であって、検出電極SX[r]と駆動電極SY[q]との交差の近傍にユーザのタッチが無い場合における、検出電極SX[r]の電位の変動の態様とは、異なる。
すなわち、駆動電極SY[q]に対して駆動パルスPLSを有する選択信号GY[q]が供給された場合であって、位置Pos[q][r]にユーザのタッチがあった場合における、検出信号Vx[r]の波形と、基準検出信号Vx0の波形とは、異なる。他方、駆動電極SY[q]に対して駆動パルスPLSを有する選択信号GY[q]が供給された場合であって、位置Pos[q][r]にユーザのタッチが無い場合における、検出信号Vx[r]の波形と、基準検出信号Vx0の波形とは、略同じとなる。
【0078】
フィルター回路863は、一端が減算回路862の出力端に電気的に接続され、他端が比較回路864の入力端に電気的に接続される抵抗RFと、一方の電極が抵抗RFの他端に電気的に接続され、他方の電極がグラウンド電位に設定された配線に電気的に接続される容量CFと、を備える。フィルター回路863は、差分信号Vdf[r]のうち、カットオフ周波数以下の低周波成分を、出力信号Vout[r]として出力するローパスフィルターとして機能する。
本実施形態では、一例として、出力信号Vout[r]の電位が高電位である場合に、低電位である場合と比較して、検出信号Vx[r]の有する波形の形状と、基準検出信号Vx0の有する波形の形状との相違の程度が大きいこととする。なお、基準検出信号Vx0は「基準信号」の一例であり、出力信号Vout[r]は「比較信号」の一例である。
【0079】
比較回路864は、出力信号Vout[r]の電位と、閾値信号Vthの電位とを比較する。なお、本実施形態において、閾値信号Vthは、通常動作モードにおいて閾値電位Vth1に設定され、スリープモードにおいて閾値電位Vth2に設定される。ここで、閾値電位Vth1及び閾値電位Vth2は、「0<Vth2<Vth1」を満たす。なお、閾値電位Vth1は「第1閾値電位」の一例であり、閾値電位Vth2は「第2閾値電位」の一例である。
【0080】
そして、比較回路864は、通常動作モードにおいて、出力信号Vout[r]の電位が、閾値信号Vthの示す閾値電位Vth1以上である場合に、検出領域800に対するユーザのタッチがあることを示すタッチ特定信号TJを生成する。また、比較回路864は、通常動作モードにおいて、出力信号Vout[r]の電位が、閾値信号Vthの示す閾値電位Vth1未満である場合に、検出領域800に対するユーザのタッチが無いことを示すタッチ特定信号TJを生成する。他方、比較回路864は、スリープモードにおいて、出力信号Vout[r]の電位が、閾値信号Vthの示す閾値電位Vth2以上である場合に、検出領域800に対するユーザのタッチがあることを示すタッチ特定信号TJを生成する。また、比較回路864は、スリープモードにおいて、出力信号Vout[r]の電位が、閾値信号Vthの示す閾値電位Vth2未満である場合に、検出領域800に対するユーザのタッチが無いことを示すタッチ特定信号TJを生成する。
【0081】
以上のように、本実施形態によれば、駆動回路81は、通常動作モードにおいて、駆動パルスPLSを有するQ個の選択信号GY-Tを生成することで、Q行の配線LYの全てを選択し、Q行の駆動電極SYの全てを駆動する。また、本実施形態によれば、駆動回路81は、スリープモードにおいて、駆動パルスPLSを有するQ1個のスリープ時選択信号GY-Sを生成することで、Q行の配線LYのうちQ1行の配線LYのみを選択し、Q行の駆動電極SYのうちQ1行の駆動電極SYのみを駆動する。このため、本実施形態によれば、スリープモードにおいてQ行の駆動電極SYの全てを駆動する態様と比較して、ヘッドユニット20から吐出された後にミストとなって印刷装置100の内部を浮遊するインクが、検出領域800に付着する可能性を低減することができる。つまり、本実施形態によれば、スリープモードにおいてQ行の駆動電極SYの全てを駆動する態様と比較して、ヘッドユニット20から吐出された後にミストとなって印刷装置100の内部を浮遊するインクに起因して、タッチパネル8に不具合が生じる可能性を低減することができる。
【0082】
また、本実施形態によれば、駆動回路81は、スリープモードにおいて、Q行の駆動電極SYのうちQ1行の駆動電極SYのみを駆動するため、Q行の駆動電極SYの全てを駆動する通常動作モードと比較して、駆動電極SYの駆動に必要な電力が小さくなる。このため、本実施形態において、電源ユニット5は、スリープモードにおけるタッチパネル8に対する電力供給量を、通常動作モードにおけるタッチパネル8に対する電力供給量よりも小さくしている。すなわち、本実施形態によれば、スリープモードにおけるタッチパネル8に対する電力供給量と、通常動作モードにおけるタッチパネル8に対する電力供給量とが等しい態様と比較して、印刷装置100における消費電力を抑制することが可能となる。
【0083】
また、本実施形態によれば、電源ユニット5は、通常動作モードにおいて、閾値信号Vthの電位を閾値電位Vth1に設定し、スリープモードにおいて、閾値信号Vthの電位を閾値電位Vth1よりも低電位の閾値電位Vth2に設定する。このため、本実施形態によれば、スリープモードにおいて、閾値信号Vthの電位が閾値電位Vth1に設定される態様と比較して、印刷装置100における消費電力を抑制することが可能となる。
【0084】
なお、本実施形態では、検出回路82は、スリープモードにおいても、検出領域800に対するユーザのタッチ位置を特定する。但し、本発明はこのような態様に限定されるものではない。検出回路82は、スリープモードにおいて、検出領域800に対するユーザのタッチ位置を特定せず、検出領域800に対するユーザのタッチの有無のみを特定してもよい。この場合、パネル制御部18は、スリープモードにおいて、位置特定回路87に対して制御信号CtrTを供給しなくてもよい。
【0085】
なお、本実施形態において、配線LX[r]及び配線LY[q]は「パターン配線」の一例であり、検出制御回路80は「特定回路」の一例であり、駆動パルスPLSを有する選択信号GYは、「駆動信号」の一例であり、駆動パルスPLSを有する選択信号GYが供給される配線LYは、「駆動配線」の一例であり、通常動作モードにおいて駆動配線として選択される配線LYの個数Qは、「第1基準数」の一例であり、スリープモードにおいて駆動配線として選択される配線LYの個数Q1は、「第2基準数」の一例である。
【0086】
<<4.実施形態の結び>>
以上のように、本実施形態に係る印刷装置100は、ユーザに対して情報を表示するディスプレイ7と、ユーザからの指示を受け付ける静電容量方式のタッチパネル8と、印刷用紙PPを搬送する搬送ユニット4と、印刷用紙PPに対して色材を付着させて印刷画像EPを形成する印刷ユニット2と、ディスプレイ7、タッチパネル8、搬送ユニット4、及び、印刷ユニット2に対して電力を供給する電源ユニット5と、ディスプレイ7、タッチパネル8、搬送ユニット4、印刷ユニット2、及び、電源ユニット5を制御する制御ユニット1と、を備え、制御ユニット1は、電源ユニット5から、ディスプレイ7、タッチパネル8、搬送ユニット4、及び、印刷ユニット2へと電力が供給されるように、電源ユニット5を制御する通常動作モードと、電源ユニット5から、ディスプレイ7、搬送ユニット4、及び、印刷ユニット2への電力の供給を制限し、電源ユニット5から、タッチパネル8へと電力が供給されるように、電源ユニット5を制御するスリープモードと、による制御が可能であり、スリープモードにおける電源ユニット5からタッチパネル8への電力供給量は、通常動作モードにおける電源ユニット5からタッチパネル8への電力供給量よりも小さい、ことを特徴とする。
【0087】
このため、本実施形態によれば、スリープモードにおいても通常動作モードと同様の電力をタッチパネル8に供給する態様と比較して、スリープモードにおいて色材がタッチパネル8に付着する可能性を低減することができる。このため、本実施形態によれば、色材がタッチパネル8に付着することに起因して、タッチパネル8に不具合が生じる可能性を低減することができる。
【0088】
また、本実施形態に係る印刷装置100において、タッチパネル8は、Q行の配線LYとR列の配線LXと備え、通常動作モードにおいて、Q行の配線LYの各々を駆動配線として選択し、Q行の配線LYの各々に対して駆動パルスPLSを有する選択信号GYを供給した場合に、配線LX[r]から検出された検出信号Vx[r]に基づいて、タッチパネル8に対するタッチ位置を特定し、スリープモードにおいて、Q行よりも少ないQ1行の配線LYの各々を駆動配線として選択し、Q1行の配線LYの各々に対して駆動パルスPLSを有する選択信号GYを供給した場合に、配線LX[r]から検出された検出信号Vx[r]に基づいて、タッチパネル8に対するタッチの有無を特定する、ことを特徴としてもよい。
【0089】
このため、本実施形態によれば、スリープモードにおいて、Q行の配線LYの各々を駆動配線として選択する態様と比較して、印刷装置100における消費電力を抑制することができる。
【0090】
また、本実施形態に係る印刷装置100において、タッチパネル8は、Q行の配線LY及びR列の配線LXが設けられた検出領域800と、R列の配線LXのうち配線LX[r]から検出された検出信号Vx[r]に基づいて、タッチパネル8に対するタッチの有無を特定する検出制御回路80と、を備え、検出制御回路80は、検出信号Vx[r]の波形と、タッチパネル8に対するタッチが無い場合に配線LX[r]から検出される波形を有する基準検出信号Vx0の波形との、相違の程度に応じた電位を示す出力信号Vout[r]を生成し、通常動作モードにおいて、出力信号Vout[r]の示す電位が閾値電位Vth1以上である場合に、タッチパネル8に対するタッチを特定し、スリープモードにおいて、出力信号Vout[r]の示す電位が閾値電位Vth1よりも低い閾値電位Vth2以上である場合に、タッチパネル8に対するタッチを特定する、ことを特徴としてもよい。
【0091】
このため、本実施形態によれば、スリープモードにおいても検出制御回路80に対して閾値電位Vth1を有する信号を供給する態様と比較して、印刷装置100における消費電力を抑制することができる。
【0092】
<<B.変形例>>
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。なお、以下に例示する変形例において作用や機能が実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0093】
<<変形例1>>
上述した実施形態では、検出回路82が、スリープモードにおいて、検出領域800に設けられたR列の検出電極SX[1]~SX[R]からR個の検出信号Vx[1]~Vx[R]を検出する場合を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、検出回路82は、スリープモードにおいて、検出領域800に設けられたR列の検出電極SX[1]~SX[R]のうち、一部の検出電極SXから検出信号Vxを検出してもよい。
【0094】
図13は、本変形例に係る検出制御回路80のスリープモードにおける動作を説明するためのタイミングチャートである。なお、本変形例に係る検出制御回路80は、通常動作モードにおいて、
図9に示す実施形態と同様の動作を行うこととする。
【0095】
図13に示すように、本変形例に係る駆動回路81は、スリープモードにおいて、垂直クロック信号CLyに基づいて、水平走査期間H[q]において駆動パルスPLSを有するスリープ時選択信号GY-S[q]を生成する。また、本変形例に係る検出回路82は、スリープモードにおいて、水平クロック信号CLxに基づいて、スリープ時選択信号GX-S[r1]と、スリープ時選択信号GX-S[r2]と、を生成する。ここで、スリープ時選択信号GX-S[r1]は、水平走査期間H[q]のうち検出期間HK[r1]においてハイレベルを維持し、水平走査期間H[q]のうち検出期間HK[r1]以外においてローレベルを維持する。また、スリープ時選択信号GX-S[r2]は、水平走査期間H[q]においてローレベルを維持する。
【0096】
以上のように、本変形例に係る印刷装置100において、タッチパネル8は、Q行の配線LYとR列の配線LXと備え、通常動作モードにおいて、R列の配線LXの各々から検出された検出信号Vx[r]に基づいて、タッチパネル8に対するタッチ位置を特定し、スリープモードにおいて、R列よりも少ないR1列の配線LXの各々から検出された検出信号Vx[r1]に基づいて、タッチパネル8に対するタッチの有無を特定する、ことを特徴としてもよい。
【0097】
このため、本変形例によれば、スリープモードにおいて、R行の配線LXの各々から検出された検出信号Vx[r]に基づいて、タッチパネル8に対するタッチ位置を特定する態様と比較して、印刷装置100における消費電力を抑制することができる。
【0098】
なお、本変形例において、通常動作モードにおいて検出信号Vx[r]の検出の対象となる配線LXの個数Rは、「第1検出数」の一例であり、スリープモードにおいて検出信号Vx[r1]の検出の対象となる配線LXの個数R1は、「第2検出数」の一例である。
【0099】
<<変形例2>>
上述した実施形態及び変形例1では、駆動回路81が、スリープモードにおいて、通常動作モードと同様のフレーム期間Fを周期として、Q行の駆動電極SY[1]~SY[Q]の一部または全部を選択する態様を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、駆動回路81は、スリープモードにおいて、通常動作モードよりも長い期間を周期として、Q行の駆動電極SY[1]~SY[Q]の一部または全部を選択してもよい。
【0100】
図14は、本変形例に係る検出制御回路80のスリープモードにおける動作と、本変形例に係る制御信号CtrTと、を説明するためのタイミングチャートである。なお、本変形例に係る検出制御回路80は、通常動作モードにおいて、
図9に示す実施形態と同様の動作を行うこととする。
【0101】
図14に示すように、本変形例において、制御信号CtrTは、垂直同期信号Vsncと、垂直クロック信号CLyと、水平同期信号Hsncと、水平クロック信号CLxと、モード指定信号SigMとに加えて、スリープ時同期信号Vslpを含む。
【0102】
スリープ時同期信号Vslpは、パルスPLPを含む信号であり、パルスPLPの立ち上がりから次のパルスPLPの立ち上がりまでの期間として、延長フレーム期間Fslpを規定する。本変形例では、一例として、延長フレーム期間Fslpが、(2*Q)個の水平走査期間Hから構成される場合を想定する。つまり、本変形例では、一例として、延長フレーム期間Fslpが、2個のフレーム期間Fから構成される場合を想定する。但し、本発明はこのような態様に限定されるものではない。延長フレーム期間Fslpは、フレーム期間Fよりも長い期間であればよい。
また、以下では、延長フレーム期間Fslpを構成する(2*Q)個の水平走査期間Hの各々を、水平走査期間H[1]、水平走査期間H[2]、…、水平走査期間H[2q-1]、水平走査期間H[2q]、…、水平走査期間H[2Q-1]、及び、水平走査期間H[2Q]と表現する。
【0103】
図14に示すように、本変形例に係る駆動回路81は、スリープモードにおいて、垂直クロック信号CLyに基づいて、延長フレーム期間Fslpのうち水平走査期間H[2q-1]において駆動パルスPLSを有し、延長フレーム期間Fslpのうち水平走査期間H[2q-1]以外においてローレベルを維持するスリープ時選択信号GY-S[q]を生成する。また、本変形例に係る検出回路82は、スリープモードにおいて、水平クロック信号CLx及び垂直クロック信号CLyに基づいて、水平走査期間H[2q-1]のうち検出期間HK[r]においてハイレベルを維持し、水平走査期間H[2q-1]のうち検出期間HK[r]以外においてローレベルを維持し、水平走査期間H[2q]においてローレベルを維持するスリープ時選択信号GX-S[r]を生成する。
【0104】
以上のように、本変形例に係る印刷装置100において、タッチパネル8は、通常動作モードにおいて、タッチパネル8に対するタッチ位置を、フレーム期間F毎に特定し、スリープモードにおいて、タッチパネル8に対するタッチの有無を、フレーム期間Fよりも長い延長フレーム期間Fslp毎に特定する、ことを特徴としてもよい。
【0105】
このため、本変形例によれば、スリープモードにおいて、タッチパネル8に対するタッチの有無をフレーム期間F毎に特定する態様と比較して、印刷装置100における消費電力を抑制することができる。
【0106】
なお、本変形例において、フレーム期間F毎に繰り返される周期は、「第1の周期」の一例であり、延長フレーム期間Fslp毎に繰り返される周期は、「第2の周期」の一例である。
【0107】
<<変形例3>>
上述した実施形態並びに変形例1及び2では、電子機器の一例として、印刷装置100等の画像形成装置を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。本発明は、静電容量方式のタッチパネル8を備えるカメラ、及び、静電容量方式のタッチパネル8を備えるプロジェクター等、静電容量方式のタッチパネル8を備える任意の電子機器に適用することができる。
【0108】
図15は、本変形例に係る電子機器100Aの機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0109】
図15に示すように、電子機器100Aは、電子機器100Aを制御する制御ユニット1Aと、各種処理を実行する処理ユニット2Aと、電子機器100Aの各要素に電力を供給する電源ユニット5と、電子機器100Aのユーザに対して各種情報を表示するディスプレイ7、及び、電子機器100Aのユーザからのコマンドの入力を受け付ける静電容量方式のタッチパネル8を含むインタフェースユニット6と、電子機器100Aの制御プログラム等の各種情報を記憶する記憶ユニット10と、を備える。
【0110】
ここで、処理ユニット2Aとは、例えば、電子機器100Aがカメラである場合には、対象物を撮像する撮像処理を行う撮像ユニットであり、電子機器100Aがプロジェクターである場合には、所望の画像を投射する投射処理を行う投射ユニットである。
【0111】
また、本変形例において、制御ユニット1Aは、CPUまたはFPGA等の処理回路を含み、電子機器100Aの各要素を制御する。具体的には、制御ユニット1Aに設けられた処理回路は、記憶ユニット10に記憶された電子機器100Aの制御プログラムを実行し、当該制御プログラムに従って動作することで、処理ユニット2Aを制御するユニット制御部12A、電源ユニット5を制御する電源制御部15、ディスプレイ7を制御する表示制御部17、タッチパネル8を制御するパネル制御部18、及び、制御ユニット1による電子機器100Aの制御モードを決定するモード決定部19として機能することができる。
【0112】
本変形例においても、上述した実施形態と同様に、制御ユニット1Aは、電子機器100Aを、通常動作モードとスリープモードとを含む複数の制御モードにより制御することができる。なお、通常動作モードによる電子機器100Aの制御、及び、スリープモードによる電子機器100Aの制御は、上述した実施形態並びに変形例1及び2における、通常動作モードによる印刷装置100の制御、及び、スリープモードによる印刷装置100の制御と同様であるため、説明を省略する。
【0113】
以上のように、本変形例に係る電子機器100Aは、ユーザに対して情報を表示するディスプレイ7と、ユーザからの指示を受け付ける静電容量方式のタッチパネル8と、ディスプレイ7及びタッチパネル8に対して電力を供給する電源ユニット5と、ディスプレイ7、タッチパネル8、及び、電源ユニット5を制御する制御ユニット1Aと、を備え、制御ユニット1Aは、電源ユニット5からディスプレイ7及びタッチパネル8へと電力が供給されるように、電源ユニット5を制御する通常動作モードと、電源ユニット5からディスプレイ7への電力の供給を制限し、電源ユニット5からタッチパネル8へと電力が供給されるように、電源ユニット5を制御するスリープモードと、による制御が可能であり、スリープモードにおける電源ユニット5からタッチパネル8への電力供給量は、通常動作モードにおける電源ユニット5からタッチパネル8への電力供給量よりも小さい、ことを特徴とする。
【0114】
このため、本実施形態によれば、スリープモードにおいても通常動作モードと同様の電力をタッチパネル8に供給する態様と比較して、スリープモードにおいて塵埃がタッチパネル8に付着する可能性を低減することができる。このため、本実施形態によれば、塵埃がタッチパネル8に付着することに起因して、タッチパネル8に不具合が生じる可能性を低減することができる。
【符号の説明】
【0115】
1…制御ユニット、2…印刷ユニット、3…スキャナーユニット、4…搬送ユニット、5…電源ユニット、6…インタフェースユニット、7…ディスプレイ、8…タッチパネル、9…給紙ユニット、10…記憶ユニット、12…印刷制御部、13…スキャナー制御部、14…搬送制御部、15…電源制御部、17…表示制御部、18…パネル制御部、19…モード決定部、70…駆動回路、71…駆動回路、72…駆動回路、73…走査線、74…データ線、80…検出制御回路、81…駆動回路、82…検出回路、85…選択回路、86…タッチ特定回路、87…位置特定回路、100…印刷装置、700…表示領域、800…検出領域、801…保護層、802…検出電極層、803…絶縁層、804…駆動電極層、805…保護層、LX[r]…配線、LY[q]…配線、Px…画素、SX[r]…検出電極、SY[q]…駆動電極、TX[q][r]…電極、TY[q][r]…電極。