(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162773
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 11/70 20060101AFI20231101BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
B41J11/70
B41J29/38 202
B41J29/38 206
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073397
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】中野 靖大
【テーマコード(参考)】
2C058
2C061
【Fターム(参考)】
2C058AB08
2C058AC07
2C058AE02
2C058AF51
2C058LA03
2C058LC12
2C058LC24
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AR03
2C061AS02
2C061CK01
2C061HJ03
2C061HJ04
2C061HJ10
2C061HK15
2C061HK23
(57)【要約】
【課題】両面印刷時の印刷時間を短縮することを目的とする。
【解決手段】印刷装置1は、印刷媒体をn等分に切断する切断部(10)と、制御部(100)と、を備え、制御部(100)は、印刷データに含まれるページ画像のページ数が2nにより割り切れない場合、前記印刷データの最後のページ番号に相当するページ画像である最終ページ画像が印刷される印刷媒体を、第1搬送処理の際に切断部(10)に切断させる第1切断処理と、を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1ページ分の画像データであるページ画像が複数含まれる印刷データに基づいて、印刷媒体に前記ページ画像を印刷する画像印刷部と、
前記画像印刷部にて前記ページ画像が印刷された印刷媒体を排出部へ排出する方向である第1搬送方向に沿って搬送する第1搬送部と、
印刷媒体を前記第1搬送方向とは反対の第2搬送方向に搬送する第2搬送部と、
前記画像印刷部よりも前記第1搬送方向の下流に配置され、印刷媒体をn等分(nは2以上の整数)に切断する切断部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第1搬送部により印刷媒体を前記第1搬送方向に搬送させ、印刷媒体の表面に前記ページ画像を印刷するための第1搬送処理と、
前記第1搬送処理の後、前記第2搬送部により印刷媒体を前記第2搬送方向に搬送させ、印刷媒体の裏面に前記ページ画像を印刷するための第2搬送処理と、
前記排出部に排出された切断後の印刷媒体の表裏に印刷される前記ページ画像が、前記印刷データにより指定されたページ番号順であり、前記排出部に排出される順序に従い前記ページ画像のページ番号が順次小さくなるように、印刷媒体の表面及び裏面に前記ページ画像を前記画像印刷部に印刷させる画像印刷処理と、
前記印刷データに含まれる前記ページ画像のページ数が2nにより割り切れない場合、前記印刷データの最後のページ番号に相当する前記ページ画像である最終ページ画像が印刷される印刷媒体を、前記第1搬送処理の際に前記切断部に切断させる第1切断処理と、を実行する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記ページ数が2n+1以上である場合、前記印刷データを受信後、前記最終ページ画像が印刷される印刷媒体に後続する印刷媒体を、第2搬送処理の際に前記切断部にてn等分に切断させる第2切断処理を更に実行することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記画像印刷処理にて、印刷媒体の表面に前記最終ページ画像を印刷することを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記画像印刷処理にて、印刷媒体に対して印刷する前記ページ画像の数が2である場合、前記最終ページ画像が印刷される印刷媒体については、n番目に排出される切断後の印刷媒体に対応する部分の表面に前記最終ページ画像を印刷する、ことを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1切断処理にて切断された印刷媒体を、前記第1搬送部により前記排出部に排出させる排出処理、を更に実行し、
前記n番目に排出される印刷媒体については、前記第2搬送処理を行った後、前記排出処理を実行することを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記画像印刷処理にて、印刷媒体に対して印刷する前記ページ画像の数が3である場合、前記最終ページ画像が印刷される印刷媒体については、n-1番目に排出される切断後の印刷媒体に対応する部分の表面に前記最終ページ画像の印刷を行い、n番目に排出される切断後の印刷媒体に対応する部分の表面には前記最終ページ画像の1つ前のページ番号に相当する前記ページ画像を印刷する、ことを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第1切断処理にて切断された印刷媒体を、前記第1搬送部により前記排出部に排出させる排出処理、を更に実行し、
前記n番目に排出される印刷媒体については、前記第2搬送処理を行った後、前記排出処理を実行することを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第1切断処理にて切断された印刷媒体を、前記第1搬送部により、前記排出部に排出させる排出処理、を更に実行し、
前記画像印刷処理にて、印刷媒体に対して印刷する前記ページ画像の数が1である場合、n番目に排出される切断後の印刷媒体に対応する部分の表面に前記最終ページ画像を印刷し、
前記第1切断処理によりn等分に切断された印刷媒体について、前記第2搬送処理を行わずに、前記排出処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記第1切断処理にて切断された印刷媒体を、前記第1搬送部により前記排出部に排出させる排出処理、を更に実行し、
前記第1切断処理にて切断され、表面に前記ページ画像が印刷されていない印刷媒体については、前記第2搬送処理を行わずに前記排出処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記画像印刷処理にて、前記印刷データに含まれる複数の前記ページ画像のうち、最後のページ番号に相当する前記ページ画像が、空白の画像データである空白ページ画像である場合、前記空白ページ画像の1つ前のページ番号の前記ページ画像を前記最終ページ画像とみなして、印刷媒体に前記ページ画像を印刷することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項11】
1ページ分の画像データであるページ画像が複数含まれる印刷データに基づいて、印刷媒体に前記ページ画像を印刷する画像印刷部と、前記画像印刷部にて前記ページ画像が印刷された印刷媒体を排出部へ排出する方向である第1搬送方向に沿って搬送する第1搬送部と、印刷媒体を前記第1搬送方向とは反対の第2搬送方向に搬送する第2搬送部と、前記画像印刷部よりも前記第1搬送方向の下流に配置され、印刷媒体をn等分(nは2以上の整数)に切断する切断部と、制御部と、を備える印刷装置の制御方法であって、
前記第1搬送部により印刷媒体を前記第1搬送方向に搬送させ、印刷媒体の表面に前記ページ画像を印刷するための第1搬送処理と、
前記第1搬送処理の後、前記第2搬送部により印刷媒体を前記第2搬送方向に搬送させ、印刷媒体の裏面に前記ページ画像を印刷するための第2搬送処理と、
前記排出部に排出された切断後の印刷媒体の表裏に印刷される前記ページ画像が、前記印刷データにより指定されたページ番号順であり、前記排出部に排出される順序に従い前記ページ画像のページ番号が順次小さくなるように、印刷媒体の表面及び裏面に前記ページ画像を前記画像印刷部に印刷させる画像印刷処理と、
印刷媒体に印刷される前記ページ画像のページ数が2nにより割り切れない場合、前記印刷データの最後のページ番号に相当する前記ページ画像である最終ページ画像が印刷される印刷媒体を、前記第1搬送処理の際に前記切断部に切断させる第1切断処理と、
を実行することを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項12】
1ページ分の画像データであるページ画像が複数含まれる印刷データに基づいて、印刷媒体に前記ページ画像を印刷する画像印刷部と、前記画像印刷部にて前記ページ画像が印刷された印刷媒体を排出部へ排出する方向である第1搬送方向に沿って搬送する第1搬送部と、印刷媒体を前記第1搬送方向とは反対の第2搬送方向に搬送する第2搬送部と、前記画像印刷部よりも前記第1搬送方向の下流に配置され、印刷媒体をn等分(nは2以上の整数)に切断する切断部と、制御部と、を備える印刷装置を制御するためのプログラムであって、
前記第1搬送部により印刷媒体を前記第1搬送方向に搬送させ、印刷媒体の表面に前記ページ画像を印刷するための第1搬送処理と、
前記第1搬送処理の後、前記第2搬送部により印刷媒体を前記第2搬送方向に搬送させ、印刷媒体の裏面に前記ページ画像を印刷するための第2搬送処理と、
前記排出部に排出された切断後の印刷媒体の表裏に印刷される前記ページ画像が、前記印刷データにより指定されたページ番号順であり、前記排出部に排出される順序に従い前記ページ画像のページ番号が順次小さくなるように、印刷媒体の表面及び裏面に前記ページ画像を前記画像印刷部に印刷させる画像印刷処理と、
印刷媒体に印刷される前記ページ画像のページ数が2nにより割り切れない場合、前記印刷データの最後のページ番号に相当する前記ページ画像である最終ページ画像が印刷される印刷媒体を、前記第1搬送処理の際に前記切断部に切断させる第1切断処理と、
を前記制御部に実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷装置、印刷装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置等の印刷装置には、印刷媒体を切断する切断部を実装したものがある。また、特許文献1には、印刷媒体に印刷処理を実行した後、切断部にて切断することにより、各々印刷処理された、2つの印刷媒体を生成して、排紙する印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1には、印刷媒体の表面(オモテ面)と裏面との両面に印刷処理を施す両面印刷については開示されていなかった。
【0005】
本開示の一態様は、両面印刷時の印刷時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る印刷装置は、1ページ分の画像データであるページ画像が複数含まれる印刷データに基づいて、印刷媒体に前記ページ画像を印刷する画像印刷部と、前記画像印刷部にて前記ページ画像が印刷された印刷媒体を排出部へ排出する方向である第1搬送方向に沿って搬送する第1搬送部と、印刷媒体を前記第1搬送方向とは反対の第2搬送方向に搬送する第2搬送部と、前記画像印刷部よりも前記第1搬送方向の下流に配置され、印刷媒体をn等分(nは2以上の整数)に切断する切断部と、制御部と、を備える。前記制御部は、前記第1搬送部により印刷媒体を前記第1搬送方向に搬送させ、印刷媒体の表面に前記ページ画像を印刷するための第1搬送処理と、前記第1搬送処理の後、前記第2搬送部により印刷媒体を前記第2搬送方向に搬送させ、印刷媒体の裏面に前記ページ画像を印刷するための第2搬送処理と、前記排出部に排出された切断後の印刷媒体の表裏に印刷される前記ページ画像が、前記印刷データにより指定されたページ番号順であり、前記排出部に排出される順序に従い前記ページ画像のページ番号が順次小さくなるように、印刷媒体の表面及び裏面に前記ページ画像を前記画像印刷部に印刷させる画像印刷処理と、前記印刷データに含まれる前記ページ画像のページ数が2nにより割り切れない場合、前記印刷データの最後のページ番号に相当する前記ページ画像である最終ページ画像が印刷される印刷媒体を、前記第1搬送処理の際に前記切断部に切断させる第1切断処理と、を実行する。
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る印刷装置の制御方法は、1ページ分の画像データであるページ画像が複数含まれる印刷データに基づいて、印刷媒体に前記ページ画像を印刷する画像印刷部と、前記画像印刷部にて前記ページ画像が印刷された印刷媒体を排出部へ排出する方向である第1搬送方向に沿って搬送する第1搬送部と、印刷媒体を前記第1搬送方向とは反対の第2搬送方向に搬送する第2搬送部と、前記画像印刷部よりも前記第1搬送方向の下流に配置され、印刷媒体をn等分(nは2以上の整数)に切断する切断部と、制御部と、を備える印刷装置の制御方法であって、前記第1搬送部により印刷媒体を前記第1搬送方向に搬送させ、印刷媒体の表面に前記ページ画像を印刷するための第1搬送処理と、前記第1搬送処理の後、前記第2搬送部により印刷媒体を前記第2搬送方向に搬送させ、印刷媒体の裏面に前記ページ画像を印刷するための第2搬送処理と、前記排出部に排出された切断後の印刷媒体の表裏に印刷される前記ページ画像が、前記印刷データにより指定されたページ番号順であり、前記排出部に排出される順序に従い前記ページ画像のページ番号が順次小さくなるように、印刷媒体の表面及び裏面に前記ページ画像を前記画像印刷部に印刷させる画像印刷処理と、印刷媒体に印刷される前記ページ画像のページ数が2nにより割り切れない場合、前記印刷データの最後のページ番号に相当する前記ページ画像である最終ページ画像が印刷される印刷媒体を、前記第1搬送処理の際に前記切断部に切断させる第1切断処理と、を実行する。
【0008】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係るプログラムは、1ページ分の画像データであるページ画像が複数含まれる印刷データに基づいて、印刷媒体に前記ページ画像を印刷する画像印刷部と、前記画像印刷部にて前記ページ画像が印刷された印刷媒体を排出部へ排出する方向である第1搬送方向に沿って搬送する第1搬送部と、印刷媒体を前記第1搬送方向とは反対の第2搬送方向に搬送する第2搬送部と、前記画像印刷部よりも前記第1搬送方向の下流に配置され、印刷媒体をn等分(nは2以上の整数)に切断する切断部と、制御部と、を備える印刷装置を制御するためのプログラムであって、前記第1搬送部により印刷媒体を前記第1搬送方向に搬送させ、印刷媒体の表面に前記ページ画像を印刷するための第1搬送処理と、前記第1搬送処理の後、前記第2搬送部により印刷媒体を前記第2搬送方向に搬送させ、印刷媒体の裏面に前記ページ画像を印刷するための第2搬送処理と、前記排出部に排出された切断後の印刷媒体の表裏に印刷される前記ページ画像が、前記印刷データにより指定されたページ番号順であり、前記排出部に排出される順序に従い前記ページ画像のページ番号が順次小さくなるように、印刷媒体の表面及び裏面に前記ページ画像を前記画像印刷部に印刷させる画像印刷処理と、印刷媒体に印刷される前記ページ画像のページ数が2nにより割り切れない場合、前記印刷データの最後のページ番号に相当する前記ページ画像である最終ページ画像が印刷される印刷媒体を、前記第1搬送処理の際に前記切断部に切断させる第1切断処理と、を前記制御部に実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、両面印刷時の印刷時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係る印刷装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示した印刷装置の内部構成を示す断面図である。
【
図3】
図1に示した印刷装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】切断前の用紙と切断後の第1用紙および第2用紙を示す図である。
【
図5】印刷データに4ページ分のページ画像が含まれる場合の印刷方法の概要を示す図である。
【
図6】印刷データに3ページ分のページ画像が含まれる場合の印刷方法の概要を示す図である。
【
図7】印刷データに2ページ分のページ画像が含まれる場合の印刷方法の概要を示す図である。
【
図8】印刷データに5ページ分のページ画像が含まれる場合の印刷方法の概要を示す図である。
【
図9】印刷データの内容と、用紙に対して印刷するページ画像の順序とを示す図である。
【
図10】実施形態1に係る印刷装置の制御部による制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔一実施形態〕
以下、本開示の実施形態1について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係る印刷装置1の外観を示す斜視図である。
図2は、
図1に示した印刷装置1の内部構成を示す断面図である。なお、以下の説明では、印刷装置1として、モノクロ画像の画像印刷処理を行うモノクロプリンタを例示するが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、フルカラー画像の画像印刷処理を行うカラープリンタであってもよい。
【0012】
また、印刷装置1は、例えば、スキャン機能、プリント機能、コピー機能、及びファックス機能などの複数の機能を有する複合機(MFP:Multifunction Printer)である。また、以下の説明では、印刷装置1が使用可能に設置された
図1の状態を基準として、印刷装置1の上下、左右および前後の各方向を定義している。
【0013】
〔印刷装置1の概要〕
図1に示すように、印刷装置1は、概略直方体形状の外容器を有している。また、印刷装置1は、本開示の印刷媒体の一例である用紙Pに対して、印刷ジョブにより指定される印刷データを、例えば、インクを吐出することにより、画像印刷処理を施すインクジェット方式のプリンタを構成している。なお、この説明以外に、印刷装置1は、例えば、電子写真方式にて用紙Pに画像を記録するレーザプリンタであってもよい。また、印刷媒体としては、用紙Pなどの紙媒体に限らず、他にも、例えばOHPシート等のプラスチックからなる樹脂媒体であってもよい。
【0014】
〔印刷装置1の構成〕
図1に示すように、印刷装置1の前面には、開口20が形成されている。この開口20には、給送トレイ21と、排出トレイ22とが、着脱自在に配置される。給送トレイ21は、複数枚の用紙Pを収容するためのトレイであり、上面が開放している。
図1に示す例では、2つの給送トレイ21が上下に並んで配置されている。上側の給送トレイ21には、例えばA4サイズの用紙Pが収容される。一方、下側の給送トレイ21には、例えばA3サイズの用紙Pが収容される。
【0015】
図2にも示すように、上側の給送トレイ21の上方には、排出部の一例である排出トレイ22が配置されている。排出トレイ22は、搬送ローラ66によって排出された用紙P、第1用紙P1、及び第2用紙P2を収容するためのトレイであり、上面が開放している。なお、
図2に示す例では、説明の便宜上、下側の給送トレイ21を図示省略している。
【0016】
また、印刷装置1の前面には、
図1に示すように、表示画面を有する設定部122が設けられている。設定部122は、例えば、タッチパネルからなり、ユーザのタッチ操作により、印刷装置1の印刷に関する各種の設定を行うことが可能な構成となっている。設定部122は、用紙Pのサイズ、及び切断処理を実行するか否かの設定を受け付ける。設定部122により設定された情報は、制御部100(
図3参照)へ出力される。
【0017】
図2に示すように、印刷装置1は、給送ローラ23と、第1搬送路R1と、搬送ローラ60,62,64,66,68と、第1フラップ46と、第2フラップ48と、第2搬送路R2と、切断部10とを備えている。搬送ローラ60,62,64,66は、第1搬送部の一例である。また、搬送ローラ64,66,68は、第2搬送部の一例である。また、第1搬送路R1及び第2搬送路R2に設けられる各ローラの数は、適宜変更可能であり、例えば搬送ローラ66はなくてもよい。
【0018】
給送ローラ23は、給送トレイ21に収容された用紙Pを、第1搬送路R1の搬送開始位置Vへ給送するためのローラである。給送ローラ23は、給送アーム24の前端部に回転可能に支持されている。給送アーム24は、印刷装置1のフレームに支持された軸25に回動可能に支持されている。給送ローラ23は、給送モータ107(
図3)が駆動することにより正回転する。給送ローラ23が正回転することにより、給送トレイ21に収容された用紙Pが1枚ずつ第1搬送路R1の搬送開始位置Vへ給送される。
【0019】
第1搬送路R1は、給送トレイ21の後端部から上方に延び、ガイド部材41,42で区画される領域にて湾曲し、印刷部3の位置を経由して、ガイド部材43,44,45で区画される領域にて直線状に延び、排出トレイ22に至る経路である。本願において、第1搬送方向D1は、印刷部3により画像が印刷された用紙Pが、排出トレイ22に排出される方向、即ち、印刷部3から排出トレイ22へ向かう方向をいう。また、第2搬送方向D2は、第1搬送方向D1と反対方向における用紙Pの搬送方向をいう。
【0020】
即ち、第1搬送路R1は、用紙Pを第1搬送方向D1へ搬送するための搬送路であり、第2搬送路R2は、第1搬送路R1からスイッチバックされた用紙Pを第2搬送方向D2へ搬送するための搬送路である。第2搬送方向D2に搬送された用紙Pは、合流位置Wにおいて表裏を1回反転させた状態で第1搬送路R1へ搬送される。これにより、印刷部3により、用紙Pの裏面にページ画像を印刷することができる。なお、以下の説明において、用紙Pを第2搬送方向D2に搬送する処理のことをスイッチバック処理SBと称する場合がある。スイッチバック処理SBは、本開示における第2搬送処理の一部の処理である。
【0021】
第1搬送路R1における印刷部3よりも第1搬送方向D1の上流側には、搬送ローラ60が配置されている。搬送ローラ60の下部と対向する位置には、ピンチローラ61が配置されている。搬送ローラ60は、搬送モータ108(
図3参照)によって駆動される。ピンチローラ61は、搬送ローラ60の回転に伴って回転する。搬送ローラ60及びピンチローラ61が正回転することにより、用紙Pは、搬送ローラ60及びピンチローラ61に挟持されて、印刷部3まで搬送される。
【0022】
印刷部3は、第1搬送路R1において、搬送ローラ60と搬送ローラ62との間に設けられ、用紙Pに画像を印刷する。印刷部3は、画像印刷部の一例である。印刷部3は、キャリッジ31と、記録ヘッド32と、ノズル33と、プラテン34とを有している。記録ヘッド32は、キャリッジ31に搭載される。記録ヘッド32の下面には、複数のノズル33が設けられている。記録ヘッド32は、ノズル33からインク滴を吐出する。プラテン34は、用紙Pが載置される矩形板状の部材である。プラテン34に支持された用紙Pに対して、キャリッジ31が移動する過程において、ノズル33がインク滴を選択的に吐出することによって、用紙Pに画像が印刷される。
【0023】
キャリッジ31は、キャリッジモータ109(
図3)の駆動力が伝達されて、第1搬送方向D1に対して直交する方向、即ち、用紙Pの幅方向に往復移動する。制御部100は、用紙Pの搬送が停止している状態でキャリッジ31を用紙Pの幅方向に移動させながらノズル33からインクを吐出させ、1行分の画像を用紙Pに印刷させる画像印刷処理と、搬送ローラ60,62を駆動させて用紙Pを所定の改行量だけ搬送する改行処理とを繰り返すことによって、用紙Pへの画像の印刷を行う。
【0024】
図2に示すように、第1搬送路R1における印刷部3より第1搬送方向D1の下流側には、搬送ローラ62が配置されている。搬送ローラ62の上部と対向する位置には、拍車ローラ63が配置されている。搬送ローラ62は、搬送モータ108(
図3)によって駆動される。拍車ローラ63は、搬送ローラ62の回転に伴って回転する。搬送ローラ62及び拍車ローラ63が正回転することにより、用紙Pは、搬送ローラ62及び拍車ローラ63に挟持されて、第1搬送方向D1の下流側へ搬送される。
【0025】
また、第1搬送路R1における搬送ローラ62よりも第1搬送方向D1の下流側には、搬送ローラ64が配置されている。搬送ローラ64の上部と対向する位置には、拍車ローラ65が配置されている。搬送ローラ64は、搬送モータ108によって駆動される。拍車ローラ65は、搬送ローラ64の回転に伴って回転する。搬送ローラ64及び拍車ローラ65が正回転することで、用紙Pは、搬送ローラ64及び拍車ローラ65に挟持されて、切断部10側へ搬送される。一方、搬送ローラ64及び拍車ローラ65が逆回転することで、用紙Pは、搬送ローラ64及び拍車ローラ65に挟持されると共に、第1フラップ46の下面に沿って、第2搬送路R2へ搬送される。
【0026】
第1搬送路R1における搬送ローラ62と搬送ローラ64との間には、第1フラップ46が設けられている。第1フラップ46は、ガイド部材43に対向した分岐位置Yの付近に配置されている。第1フラップ46は、プラテン34によって第1状態及び第2状態の間を回動可能に支持されている。第1フラップ46は、
図2に実線で示される第1状態では、ガイド部材43と当接して第1搬送路R1を閉塞させる。一方、第1フラップ46は、
図2に点線で示される第2状態では、第1状態よりも下方に位置して、ガイド部材43から離間して第1搬送方向D1に搬送される用紙Pを通過させる。
【0027】
また、第1フラップ46は、コイルバネ47によって上方へ付勢されている。コイルバネ47は、その一端が第1フラップ46に接続され、他端がプラテン34に接続されている。第1フラップ46は、コイルバネ47に付勢されることで第1状態となり、その前端がガイド部材43に当接する。
【0028】
切断部10は、第1搬送路R1において、搬送ローラ64と搬送ローラ66との間に配置されている。切断部10は、第1搬送方向D1において、印刷部3よりも下流に配置されている。切断部10は、周知のカッター機構であり、上下一対のブレードと、カッターキャリッジとを有し、上下のブレードによって用紙Pを切断する。具体的には、切断部10は、カッターキャリッジを用紙Pの幅方向に移動させることで、用紙Pの所定位置を幅方向に切断する。切断部10は、用紙Pをn等分に切断する。なお、切断部10は、上側又は下側のいずれか一方のブレードだけを有する構成であってもよい。
【0029】
第1搬送路R1における切断部10より第1搬送方向D1の下流側には、搬送ローラ66が配置されている。搬送ローラ66の上部と対向する位置には、拍車ローラ67が配置されている。搬送ローラ66は、搬送モータ108(
図3)によって駆動される。拍車ローラ67は、搬送ローラ66の回転に伴って回転する。搬送ローラ66及び拍車ローラ67が正回転することにより、用紙P、第1用紙P1、及び第2用紙P2は、搬送ローラ66に搬送されて、排出トレイ22へ排出される。
【0030】
図2に示すように、第1搬送路R1と第2搬送路R2との合流位置Wには、第2フラップ48が、回動可能に配置されている。具体的には、第2フラップ48は、
図2に実線で示される第1状態と、
図2に点線で示される第2状態との間で回動可能になっている。第2フラップ48が第1状態のとき、第2フラップ48及びガイド部材42により、第2搬送路R2の一部が構成される。また、第2フラップ48が第2状態のとき、第2フラップ48及びガイド部材41により、第1搬送路R1の一部が構成される。
【0031】
第1搬送路R1における搬送ローラ60の上流側には、レジセンサ120が設けられている。レジセンサ120は、用紙Pの前端又は後端が搬送ローラ60との当接位置を通過することを検知するセンサである。レジセンサ120としては、用紙Pが当接することで揺動するアクチュエータを有するセンサや、光センサ等を用いることができる。
【0032】
レジセンサ120は、用紙Pがレジセンサ120の位置を通過している状態でオン信号を出力し、用紙Pがレジセンサ120の位置を通過していない状態でオフ信号を出力する。即ち、用紙Pの前端がレジセンサ120の位置に到達したタイミングから用紙Pの後端がレジセンサ120の位置を通過するまでの間はオン信号を出力し、それ以外の間はオフ信号を出力する。レジセンサ120による検知信号は、制御部100へ出力される。
【0033】
また、搬送ローラ60には、搬送ローラ60の回転を検出するロータリエンコーダ121(
図3)が設けられている。ロータリエンコーダ121は、搬送ローラ60の回転に応じてパルス信号を制御部100へ出力する。ロータリエンコーダ121は、エンコーダディスクと、光学センサとを有する。エンコーダディスクは、搬送ローラ60の回転と共に回転する。光学センサは、回転するエンコーダディスクを読み取ってパルス信号を生成し、生成したパルス信号を制御部100に出力する。
【0034】
第2搬送路R2は、ガイド部材71,72,73と、搬送ローラ68及びピンチローラ69等によって区画される経路である。第2搬送路R2は、第1搬送路R1における搬送ローラ64よりも上流側の分岐位置Yから分岐し、第1搬送路R1における印刷部3よりも第1搬送方向D1の上流側にある合流位置Wに接続されている。これにより、用紙Pの両面に対して、画像を印刷する両面印刷が可能となる。
【0035】
〔印刷装置1の電気的構成〕
図3は、
図1に示した印刷装置1の電気的構成を示すブロック図である。
図3に示すように、印刷装置1は、上述した各部に加え、給送モータ107と、搬送モータ108と、キャリッジモータ109と、制御部100と、通信部110とを備えている。
【0036】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、EEPROM104(登録商標)、及びASIC105を有し、これらが内部バス106によって接続されている。ROM102には、CPU101が各種動作を制御するためのプログラム等が格納されている。RAM103は、CPU101が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、又はデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM104には、電源オフ後も保持すべき設定情報が格納される。制御部100は、ROM102から読み出した制御プログラムに基づいて、給送モータ107、搬送モータ108、キャリッジモータ109、記録ヘッド32、及び切断部10等を制御する。
【0037】
ASIC105には、給送モータ107、搬送モータ108、キャリッジモータ109、記録ヘッド32、切断部10、通信部110、レジセンサ120、ロータリエンコーダ121、及び設定部122が接続されている。ASIC105は、給送モータ107、搬送モータ108、及びキャリッジモータ109に駆動電流を供給する。制御部100は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)制御によって、給送モータ107、搬送モータ108、及びキャリッジモータ109の回転を制御する。
【0038】
また、制御部100は、記録ヘッド32の振動素子に駆動電圧を印加することによって、ノズル33からインク滴を吐出させる。また、ASIC105には、レジセンサ120及びロータリエンコーダ121が接続されている。そして、制御部100は、レジセンサ120及びロータリエンコーダ121から出力される信号に基づいて、印刷装置1の状態を検知する。
【0039】
具体的には、制御部100は、レジセンサ120から出力される検出信号に基づいて、用紙Pが搬送ローラ60との当接位置を通過したことを検知する。制御部100は、ロータリエンコーダ121から出力されるパルス信号に基づいて搬送ローラ60の回転量を検知する。また、制御部100は、レジセンサ120からオン信号が出力された後にロータリエンコーダ121から出力されるパルス信号に基づいて、用紙Pの第1搬送路R1における搬送量を推定する。
【0040】
通信部110は、例えば、USBインターフェースと、LANインターフェースと、通信インターフェースとを備えている。USBインターフェースには、USBメモリ、USBケーブル等が接続される。LANインターフェースには、LANケーブルを介して印刷装置1の外部機器(例えば、コンピュータ端末)が接続される。通信インターフェースには、無線形式のネットワークを介して携帯情報端末などの外部機器が接続される。
【0041】
制御部100は、通信部110を介して、印刷ジョブを受信すると、印刷装置1の各部を制御することで、印刷ジョブにより指定される印刷データを用紙Pに印刷する画像印刷処理を実行する。また、制御部100は、受信した印刷ジョブに従って、用紙Pの切断処理、両面印刷を実現する画像印刷処理等を実行する。
【0042】
〔印刷装置1の動作例〕
次に、
図4~
図9を参照して、印刷装置1の動作例について説明する。なお、以下の説明では、印刷用紙Pを切断する切断処理と、印刷用紙Pに対して両面印刷を実現する画像印刷処理とについて主に説明する。また、以下の説明では、切断処理により、A4サイズの用紙PをA5サイズの第1用紙P1及び第2用紙P2に切断する場合を例示して説明する。即ち、本実施形態において、切断部10は、用紙Pを2等分(n=2)するものとして説明する。
【0043】
(切断処理について)
図4は、切断前の用紙Pと切断後の第1用紙P1および第2用紙P2を示す図である。
図4には、第2搬送方向D2に搬送していない用紙Pを第1用紙P1と、第2用紙P2とに切断する例が示されている。
図4の矢印は、第1搬送方向D1を示す。
図4に示すように、用紙Pは、切断部10にて切断されることにより、第1搬送方向D1における前半部分に対応する第1用紙P1と第1搬送方向D1における後半部分に対応する第2用紙と分けられる。以下の説明において、用紙Pを第1用紙P1と、第2用紙P2とに切断する処理を切断処理CUと称することがある。
【0044】
図4の紙面上手前に示されている用紙AP、第1用紙AP1、及び第2用紙AP2は、それぞれ用紙P、第1用紙P1、及び第2用紙P2の表面を示している。
図4の紙面上奥に示されている用紙PP、第1用紙PP1、及び第2用紙PP2は、それぞれ用紙P、第1用紙P1、及び第2用紙P2の裏面を示している。ここで、本願において表面とは、給送トレイ21から搬送された用紙Pに対して印刷部3によりページ画像が印刷される面をいう。即ち、表面は、スイッチバック処理SBを行わずに、印刷部3にて印刷することができる面である。本願において、裏面とは、表面とは反対側の面である。即ち、裏面は、スイッチバック処理SBを行うことにより、印刷部3にて印刷することができる面である。
【0045】
用紙Pには、表面に2ページ分、裏面に2ページ分のページ画像を印刷することが可能である。即ち、1つの用紙Pに対して、4ページ(2n)分のページ画像を印刷することが可能である。用紙Pは、1ページ分のページ画像が印刷可能な印刷領域F1~F4を有している。各印刷領域F1~F4は、A5サイズの大きさに相当する。各印刷領域F1~F4について、以下のように規定する。
【0046】
図4に示すように、第1印刷領域F1及び第2印刷領域F2は、用紙Pの表面の領域である。第1印刷領域F1は、スイッチバック処理SBを行っていない用紙Pにおいて、第1搬送方向D1における前半部分に対応する領域である。第2印刷領域F2は、スイッチバック処理SBを行っていない用紙Pにおいて、第1搬送方向D1における後半部分に対応する領域である。
【0047】
第3印刷領域F3及び第4印刷領域F4は、用紙Pの裏面の領域である。第3印刷領域F3は、スイッチバック処理SBを行っていない用紙Pにおいて、第1搬送方向D1における後半部分に対応する領域である。第3印刷領域F3は、第2印刷領域F2の真裏に相当する領域である。また、第4印刷領域F4は、スイッチバック処理SBを行っていない用紙Pにおいて、第1搬送方向D1における前半部分に対応する領域である。第4印刷領域F4は、第1印刷領域F1の真裏に相当する領域である。
【0048】
(画像印刷処理について)
印刷装置1が実施する画像印刷処理における印刷方法について説明する。印刷部3は、印刷データに基づいて、用紙Pにページ画像を印刷する。印刷データには、1ページ分の画像データであるページ画像が複数含まれている。印刷データに含まれる複数のページ画像は、ページ番号の順序に対応している。ここで、本願において、ページ番号とは、印刷データに含まれるページ画像の順序を示す。ページ番号は、用紙Pに印刷される番号を示すものではない。
【0049】
印刷装置1は、受信した印刷データに基づき、排出トレイ22に排出された第1用紙P1及び第2用紙P2の表裏に印刷されるページ画像が、印刷データにより指定されたページ番号順であり、排出トレイ22に排出される順序に従いページ画像のページ番号が順次小さくなるように、用紙Pの表面及び裏面に前記ページ画像を印刷部3に印刷させる(以下、この印刷方法を両面逆順印刷と称する)。この両面逆順印刷では、最後に排出される第2用紙P2の裏面に印刷データの1ページ目が印刷されるように、用紙Pの各印刷領域F1~F4に対して印刷されるページ画像が決定される。このような両面逆順印刷によれば、排出トレイ22に積層される一番上の第2用紙P2に印刷データの1ページ目の画像を印刷することができる。また、この両面逆順印刷によれば、排出トレイ22に排出された第1用紙P1及び第2用紙の表裏に印刷されているページ画像が、上からページ番号順となるように印刷されている。そのため、ユーザは、排出トレイ22に排出された用紙Pをページ番号順に並べ替える必要がない。
【0050】
本開示における両面逆順印刷の印刷方法について、
図5~
図8を参照して、詳細に説明する。なお、
図5~
図8において、説明の便宜上、切断処理CUは、用紙Pの表面又は裏面に対してページ画像を印刷する画像印刷処理が終わった後に行われるものとして説明する。しかし、切断処理CUと画像印刷処理との関係において、
図5~
図8に示した順序に限られるものではない。また、
図5~
図8において、印刷データの1ページ目のページ画像をページ画像G1と、2ページ目のページ画像をページ画像G2と、3ページ目のページ画像をページ画像G3と、4ページ目のページ画像をページ画像G4、5ページ目のページ画像をページ画像G5として、以下説明する。
【0051】
図5を参照して、印刷データに4ページ分のページ画像が含まれる場合の印刷方法について説明する。
図5は、印刷データに4ページ分のページ画像が含まれる場合の印刷方法の概要を示す図である。印刷データには、1ページ~4ページに対応するページ画像G1~G4が含まれている。
【0052】
先ず、印刷部3は、給送トレイ21から搬送された用紙Pの表面に対して、ページ画像G2及びページ画像G4の印刷を行う。印刷部3は、第1印刷領域F1にページ画像G2を印刷する。即ち、用紙Pに対して最初にページ画像G2が印刷される。その後、印刷部3は、第2印刷領域F2にページ画像G4を印刷する。用紙Pの表面には、印刷データの最後のページ番号に相当するページ画像(以下、最終ページ画像と称する)であるページ画像G4が印刷されている。
【0053】
用紙Pの表面にページ画像が印刷された後、スイッチバック処理SBが行われる。印刷部3は、スイッチバック処理SBの後、用紙Pの裏面に対してページ画像G1及びページ画像G3の印刷を行う。印刷部3は、第3印刷領域F3にページ画像G3を印刷する。その後、印刷部3は、第4印刷領域F4にページ画像G1を印刷する。即ち、用紙Pに対して最後にページ画像G1が印刷される。
【0054】
用紙Pの裏面にページ画像G1が印刷された後、切断処理CUが行われる。第1用紙P1は、第2用紙P2よりも先に排出トレイ22に排出される。即ち、第1用紙P1は1番目に排出される。第2用紙P2は、第1用紙P1に続いて排出トレイ22に排出される。即ち、第2用紙P2は2番目(n番目)に排出される。第1用紙P1及び第2用紙P2の表裏に印刷されるページ画像G1~G4は、ページ番号順となるように、且つ排出トレイ22に排出されるに従いページ番号が順次小さくなるように印刷されている。換言すれば、排出トレイ22に積層された第1用紙P1及び第2用紙P2の両面に印刷されたページ画像は、上からページ番号順となっている。
【0055】
図5に示した例は、換言すれば、1つの用紙Pに4ページ分のページ画像が印刷される場合に相当する。即ち、印刷データに含まれるページ画像のページ数が5ページ(2n+1)以上である場合、印刷ジョブを受信した後、給送トレイから搬送される2枚目以降の用紙Pに対しては、
図5に示した印刷方法によりページ画像が印刷される。この場合、1ページ目のページ画像は用紙Pに印刷される最もページ番号が小さいページ画像であり、2ページ目~4ページ目のページ画像は最も小さいページ番号から続くページ番号のページ画像である。
【0056】
上記構成によれば、表面印刷時に用紙Pが切断されることがない。そのため、切断後の用紙Pの裏面印刷時に、間隔を空けて切断後の第1用紙P1と第2用紙P2が搬送されることがない。これにより、両面印刷時の印刷時間を短縮することができる。
【0057】
図6を参照して、印刷データに3ページ分のページ画像が含まれる場合について説明する。
図6は、印刷データに3ページ分のページ画像が含まれる場合の印刷方法の概要を示す図である。
図6の符号1000は、本実施形態に係る印刷方法の概要を示す図である。印刷データには、1ページ~3ページに対応するページ画像G1~G3が含まれている。
【0058】
図6の符号1000に示すように、先ず、印刷部3は、給送トレイ21から搬送された用紙Pの表面に対して、ページ画像G2及びページ画像G3の印刷を行う。印刷部3は、第1印刷領域F1にページ画像G3を印刷する。即ち、用紙Pに対して最初にページ画像G3が印刷される。印刷部3は、第2印刷領域F2にページ画像G2を印刷する。用紙Pの表面には、印刷データの最後のページ番号に相当するページ画像G3が印刷されている。
【0059】
用紙Pの表面にページ画像が印刷された後、切断処理CUが行われる。第1用紙P1は、第2用紙P2よりも先に排出トレイ22に排出される。即ち、第1用紙P1は、1番目に排出される。第1用紙P1が排出された後、スイッチバック処理SBが行われる。印刷部3は、スイッチバック処理SBの後、第2用紙Pの裏面に対してページ画像G1の印刷を行う。印刷部3は、第3印刷領域F3にページ画像G1を印刷する。即ち、用紙P(第2用紙P2)に対して最後にページ画像G1が印刷される。第2用紙P2にページ画像G1が印刷された後、第2用紙P2は排出トレイ22に排出される。即ち、第2用紙P2は、2番目(n番目)に排出される。
【0060】
第1用紙P1及び第2用紙P2の表裏に印刷されるページ画像G1~G3は、ページ番号順となるように、排出トレイ22に排出されるに従いページ番号が順次小さくなるように印刷されている。換言すれば、排出トレイ22に積層された第1用紙P1及び第2用紙P2の両面に印刷されたページ画像は、上からページ番号順となっている。
【0061】
図6に示した例は、用紙Pに対して印刷するページ画像の数が3である場合の印刷方法である。換言すれば、2分割(n=2)する場合において、印刷データに含まれるページ画像のページ数が4で割ったときの余りが3であるときであって、最後のページ番号に相当するページ画像が印刷される用紙Pに対する印刷方法に相当する。即ち、印刷ジョブを受信した後、給送トレイ21から最初に搬送される用紙Pに対しての印刷方法である。
【0062】
図7を参照して、印刷データに2ページ分のページ画像が含まれる場合について説明する。
図7は、印刷データに2ページ分のページ画像が含まれる場合の印刷方法の概要を示す図である。
図7の符号1002は、本実施形態に係る印刷方法の概要を示す図である。印刷データには、1ページ目のページ画像G1及び2ページ目のページ画像G2が含まれている。
【0063】
図7の符号1002に示すように、先ず、印刷部3は、給送トレイ21から搬送された用紙Pの表面に対して、ページ画像G2の印刷を行う。印刷部3は、第2印刷領域F2にページ画像G2を印刷する。即ち、用紙Pに対して最初にページ画像G2が印刷される。用紙Pの表面には、印刷データの最後のページ番号に相当するページ画像G2が印刷されている。
【0064】
用紙Pの表面にページ画像G2が印刷された後、切断処理CUが行われる。第1用紙P1は、第2用紙P2よりも先に排出トレイ22に排出される。即ち、表面にページ画像が印刷されていない第1用紙P1は1番目に排出される。第1用紙P1の表面及び裏面にはページ画像が印刷されていない。第1用紙P1が排出された後、第2用紙P2についてスイッチバック処理SBが行われる。その後、印刷部3は、第2用紙P2の裏面に対してページ画像G1の印刷を行う。印刷部3は、第3印刷領域F3にページ画像G1を印刷する。即ち、用紙P(第2用紙P2)に対して最後にページ画像G1が印刷される。
【0065】
第2用紙P2の裏面にページ画像G1が印刷された後、第2用紙P2は排出トレイ22に排出される。第2用紙P2は、2番目(n番目)に排出される。排出トレイ22に排出された第2用紙P2の表裏に印刷されるページ画像G1,G2は、ページ番号順となるように、且つ排出トレイ22に排出されるに従いページ番号が順次小さくなるように印刷されている。
【0066】
図7に示した例は、用紙Pに対して印刷するページ画像の数が2である場合の印刷方法である。換言すれば、2分割(n=2)する場合において、印刷データに含まれるページ画像のページ数が4で割ったときの余りが2であるとき、最後のページ番号に相当するページ画像が印刷される用紙Pに相当する。即ち、印刷ジョブを受信した後、給送トレイ21から最初に搬送される用紙Pに対しての印刷方法である。
【0067】
図8を参照して、印刷データに5ページ分のページ画像が含まれる場合について説明する。
図8は、印刷データに5ページ分のページ画像が含まれる場合の印刷方法の概要を示す図である。
図8の符号1004、本実施形態に係る印刷方法の概要を示す図である。印刷データには、1ページ~5ページに対応するページ画像G1~G5が含まれている。
【0068】
図8の符号1004に示すように、先ず、印刷部3は、印刷ジョブ受信後、給送トレイ21から最初に搬送された用紙P(以下、
図8において用紙FPと称する)の表面に対して、ページ画像G5の印刷を行う。印刷部3は、用紙FPの第2印刷領域F2にページ画像G5を印刷する。用紙FPの表面には、印刷データの最後のページ番号に相当するページ画像G5が印刷されている。
【0069】
用紙FPの表面にページ画像G5が印刷された後、切断処理CUが行われる。第1用紙FP1は、第2用紙FP2よりも先に排出トレイ22に排出される。即ち、表面にページ画像が印刷されていない第1用紙FP1は1番目に排出される。第1用紙P1が排出された後、続いて第2用紙FP2が排出される。即ち。第2用紙FP2は2番目(n番目)に排出される。第1用紙FP1及び第2用紙FP2は、スイッチバック処理SBされずに排出されている。
【0070】
第2用紙FP2が排出された後、給送トレイ21から用紙Pが搬送される。以下、
図8において、用紙FPに続いて搬送される用紙Pを用紙SPと称する。用紙SPには、印刷データの残りのページ画像、即ちページ画像G1~G4が印刷される。用紙SPに対するページ画像の印刷方法について、
図5に示した方法と同じであるため、説明は省略する。
【0071】
第2用紙FP2の表面に印刷されたページ画像G5、第1用紙SP1及び第2用紙SP2の表裏に印刷されるページ画像G1~G4は、ページ番号順となるように、且つ排出トレイ22に排出されるに従いページ番号が順次小さくなるように印刷されている。換言すれば、排出トレイ22に積層された第1用紙P1及び第2用紙P2の両面に印刷されたページ画像は、上からページ番号順となっている。
【0072】
上述した両面逆順印刷は、印刷データに含まれるページ画像を特定の順序にて印刷することにより、実現することができる。印刷するページ画像の数により、印刷するページ画像の順序は異なる。また、印刷装置1が受信する印刷データの形式の違いによっても、印刷するページ画像の順序が異なる。このような場合、印刷装置1の内部の処理にて、印刷するページ画像の順序を並べ替える処理を行う必要がある。
【0073】
図9を用いて、両面逆順印刷を実現するために制御部100が行う処理について説明する。
図9は、印刷データの内容と、用紙Pに対して印刷するページ画像の順序とを示す図である。なお、
図9において、印刷データには5ページ分のページ画像が含まれているものとして説明する。また、本実施形態(n=2のとき)において、5ページ目、2ページ目、4ページ目、3ページ目、1ページ目の順にページ画像を印刷することにより、両面逆順印刷を実現することができる(
図8参照)。以下、搬送されてくる用紙Pに対して、印刷データに含まれるページ画像を印刷する順序のことを印刷順序と称する。
【0074】
図9の符号1006には、ページ番号順に並んだページ画像を含む印刷データが示されている。符号1006の左側に示す印刷データDA1は、印刷装置1が受信する印刷ジョブに含まれる印刷データの一例である。符号1006に示すように、印刷データDA1には、画像データA~Eが含まれている。画像データAは1ページ目のページ画像であり、画像データBは2ページ目のページ画像であり、画像データCは3ページ目のページ画像であり、画像データDは4ページ目のページ画像であり、画像データEは5ページ目のページ画像である。即ち、印刷データDA1の画像データA~Eは、ページ番号順に並んだデータである。
【0075】
制御部100は、印刷データDA1の内容を解析する。制御部100は、解析結果から、印刷データDA1に含まれるページ画像のページ数、及び印刷データDA1に含まれるページ画像のページ番号を取得する。制御部100は、取得したページ数に基づき、印刷データDA1における画像データA~Eの順序が両面逆順印刷に適した印刷順序となっているかを判定する。印刷データDA1の画像データA~Eの順序は、両面逆順印刷に適した順序ではないため、制御部100は印刷データDA1の画像データA~Eを両面逆順印刷に適した印刷順序に並べ替える。
【0076】
図9の符号1006の右側に示すように、制御部100は、印刷データDA1の画像データA~Eを両面逆順印刷に適した印刷順序PO1に設定する。即ち、制御部100は、画像データE、画像データB、画像データD、画像データC、画像データAの順に印刷順序を並べ替える。これにより、両面逆順印刷を実現することができる。
【0077】
図9の符号1007には、両面逆順印刷の印刷順序に適した順序に並ぶページ画像を含んだ印刷データが示されている。符号1007の左側に示す印刷データDA2は、印刷装置1が受信する印刷ジョブに含まれる印刷データの一例である。印刷データDA2には、画像データA~Eが含まれている。画像データAは5ページ目のページ画像であり、画像データBは2ページ目のページ画像であり、画像データCは4ページ目のページ画像であり、画像データDは3ページ目のページ画像であり、画像データEは1ページ目のページ画像である。即ち、印刷データDA2の画像データA~Eは、両面逆順印刷の印刷順序に適した順序に並んだデータである。
【0078】
制御部100は、印刷データDA2の内容を解析し、印刷データDA2に含まれるページ画像のページ数、及び印刷データDA1に含まれるページ画像のページ番号を取得する。印刷データDA2の画像データA~Eの順序は両面逆順印刷に適した印刷順序であるため、制御部100は印刷データDA2の画像データA~Eの順序を印刷順序PO2として設定する。即ち、制御部100は、印刷順序を並べ替える処理を行っていない。
【0079】
図9の符号1008には、複数のページ画像が1つの画像データに含まれている場合の印刷データが示されている。符号1008の左側に示す印刷データDA3は、印刷装置1が受信する印刷ジョブに含まれる印刷データの一例である。本実施形態において、印刷データDA3含まれる画像データA~CはA4サイズの用紙に対応した画像データである。画像データAには、1ページ目のページ画像及び2ページ目のページ画像が含まれている。画像データBには、3ページ目のページ画像及び4ページ目のページ画像が含まれている。画像データCには、5ページ目のページ画像及び空白の画像が含まれている。画像データA~Cに含まれる1ページ目~5ページ目のページ画像は、A5サイズの用紙に対応した画像データである。空白の画像は、印刷データに印刷する画像が含まれていない部分を意味する。
【0080】
印刷データDA3制御部100は、画像データA~Cのそれぞれには複数のページ画像が含まれているため、画像データA~Cのそれぞれに含まれているページ画像を分割する処理を行う。制御部100は、画像データAを、画像データA1(1ページ目のページ画像)と画像データA2(2ページ目のページ画像)とに分割する。制御部100は、画像データB及び画像データCについても同様に、画像データBを画像データB1(3ページ目のページ画像)と画像データB2(4ページ目のページ画像)とに、画像データCを画像データC1(5ページ目のページ画像)と画像データC2(空白の画像)とに、分割する。
【0081】
制御部100は、印刷データDA3の内容を解析し、印刷データDA3に含まれるページ画像のページ数、及び印刷データDA1に含まれるページ画像のページ番号を取得する。印刷データDA3の画像データA~Cに含まれるページ画像はページ番号順に並んだデータである。そのため、制御部100は、印刷データDA1の画像データA~Cに含まれるページ画像を両面逆順印刷に適した印刷順序に並べ替える必要がある。
【0082】
制御部100は、印刷データDA3の画像データA~Cを上述のように分割し、分割した画像データを両面逆順印刷に適した印刷順序PO3に設定する。即ち、制御部100は、画像データC1、画像データA2、画像データB2、画像データB1、画像データA1の順に印刷順序を設定する。これにより、両面逆順印刷を実現することができる。
【0083】
なお、制御部100は、印刷データに含まれる最終ページ画像が空白のページ画像であるか否かを解析してもよい。印刷データのページ画像には、印刷する画像が含まれていない空白のページ画像が含まれている場合がある。制御部100は、印刷データの最終ページ画像が空白のページ画像であると解析した場合、空白のページ画像を除いて印刷順序を設定する。即ち、制御部100は、空白のページ画像を除いて印刷を行う。空白のページ画像の1つ前のページが、印刷データの最後のページとみなされる。
【0084】
一例として、印刷データDA4(図示せず)には6ページ分のページ画像が含まれているものとする。印刷データDA4に含まれるページ画像には、1ページ目~5ページ目には印刷する画像が含まれており、6ページ目には印刷する画像が含まれていないものとする。この場合、制御部100は、印刷データDA4を解析し、最後のページである6ページ目のページ画像については除いて印刷順序の並べ替えを行う。即ち、印刷データDA4の最終ページは5ページ目とみなされる。印刷データDA4のページ画像は、5ページ目、2ページ目、4ページ目、3ページ目、1ページ目の順に印刷される。
【0085】
上記構成によれば、画像印刷処理において、印刷データに含まれる空白ページを除いたページ画像が用紙Pに印刷される。そのため、空白ページを搬送する分だけ時間を短縮することができる。これにより、両面印刷時の印刷時間を短縮することができる。なお、印刷装置1は、上述した印刷データ受信する前に予め印刷データに含まれるページ画像のページ数を取得してもよい。
【0086】
(印刷時間の短縮について)
上述したように両面逆順印刷では、印刷データに含まれるページ画像のページ数が4(2n)の倍数ではない場合、印刷データの最終ページ画像が印刷される用紙Pには、ページ画像が印刷されない空白部分が存在する。当該空白部分については、用紙Pの無駄な搬送であり、印刷時間が増加する。以下の比較例にて示すが、用紙Pを無駄に搬送することにより、印刷時間のスイッチバック処理の回数が増加することも考えられる。そのため、搬送モータ108の劣化や、紙紛の増加などの懸念点もある。この点、両面逆順印刷において、改善する余地があった。
【0087】
本開示の印刷方法により可能となる印刷時間の短縮について、
図6~
図8に示した比較例と比較して説明する。
図6の符号1001は、比較例としての印刷方法の概要を示す図である。
図7の符号1003は、比較例としての印刷方法の概要を示す図である。
図8の符号1005は、比較例としての印刷方法の概要を示す図である。
【0088】
上述した図面に記載された比較例では、印刷領域F1~F4に印刷されるページ画像が決まっている。より詳細には、印刷領域F1には用紙Pに対して印刷されるページ画像のうち2番目にページ番号が小さいページ画像が印刷される。印刷領域F2には用紙Pに対して印刷されるページ画像のうち4番目にページ番号が小さいページ画像が印刷される。印刷領域F3には用紙Pに対して印刷されるページ画像のうち3番目にページ番号が小さいページ画像が印刷される。印刷領域F4には用紙Pに対して印刷されるページ画像のうちページ番号が1番小さいページ画像が印刷される。
【0089】
比較例において、用紙Pの印刷領域F1には、ページ画像G2が印刷される。用紙Pの印刷領域F2には、ページ画像G4が印刷される。用紙Pの印刷領域F3には、ページ画像G3が印刷される。用紙Pの印刷領域F4には、ページ画像G1が印刷される。
【0090】
図6の符号1001を参照して、印刷データに3ページ分のページ画像が含まれる場合の比較例について説明する。用紙Pの表面の印刷領域F1にページ画像G2を印刷した後、スイッチバック処理SBが実行される。スイッチバック処理SBの後、用紙Pの裏面の印刷領域F3及びF4に、ページ画像G3及びG1がそれぞれ印刷される。その後、切断処理CUが実行され、第1用紙P1及び第2用紙P2は、排出トレイ22に排出される。
【0091】
上述したように各印刷領域F1~F4には、印刷されるページ画像が決定されている。
図6の符号1001に示した比較例では、スイッチバック処理SBを実行した後でなければ、切断処理SBを実行することができない。そのため、ページ画像が印刷されない印刷領域F2の搬送は無駄な搬送であり、印刷時間を長くする原因でもある。
【0092】
これに対し、
図6の符号1000に示す本実施形態の印刷方法によれば、スイッチバック処理SBを実行する前に切断処理CUを実行している。上記構成によれば、2番目に排出される第2用紙P2のみ第2搬送処理を行うことができる。そのため、2番目に排出される第2用紙P2よりも前に搬送される第1用紙P1について、第2搬送処理を実行する必要がない。即ち、用紙Pの搬送量が印刷領域F4(符号1001の印刷領域F2に相当)分だけ少なくなっている。これにより、両面印刷時間の短縮をすることができる。
【0093】
図7の符号1003及び
図8の符号1005に示した比較例についても
図6の符号1001と同様である。
図7の符号1003に示すように、スイッチバック処理SBが実行された後に、切断処理CUが実行されている。これに対し、
図7の符号1002に示す本実施形態の印刷方法によれば、スイッチバック処理SBを実行する前に、切断処理CUが実行されている。また、用紙Pに対して、第2用紙P2に対応する部分の表面にページ画像G2が印刷されている。上記構成によれば、2番目に排出される第2用紙P2の表面の印刷領域に、ページ画像G2が印刷される。そのため、2番目に排出される第2用紙P2よりも前に搬送される第1用紙P1について、第2搬送処理を実行する必要がない。即ち、用紙Pの搬送量が印刷領域F4(符号1003の印刷領域F2に相当)分だけ少なくなっている。これにより、両面印刷時間の短縮をすることができる。
【0094】
図8の符号1005において、用紙SPに対するページ画像G1~G4の印刷方法については、符号1004に示す本実施形態における印刷方法と同じである。異なるのは、用紙FPに対するページ画像G5の印刷方法である。
図8の符号1005において、ページ画像G5は、用紙Pに対して印刷されるページ画像のうちページ番号が1番小さいページ画像である。そのため、ページ画像G5は、印刷領域F4に印刷される。
【0095】
図8の符号1005に示すように、用紙FPについて、スイッチバック処理SBが実行された後に、切断処理CUが実行されている。これに対し、
図8の符号1004に示す本実施形態の印刷方法によれば、用紙FPの印刷領域F2にページ画像G5を印刷した後、切断処理CUが実行されている。また、本実施形態の印刷方法によれば、用紙Pに対して、第2用紙P2に対応する部分の表面にページ画像G5が印刷されている。上記構成によれば、2等分された第1用紙P1及び第2用紙P2については第2搬送処理を行うことなく、排出トレイ22に排出することができる。そのため、第2搬送処理分だけ搬送量を少なくすることができる。即ち、用紙Pの搬送量が印刷領域F3及び印刷領域F4分(符号1005の印刷領域F1及び印刷領域F2に相当)だけ少なくなっている。これにより、両面印刷時の印刷時間を短縮することができる。
【0096】
また、本実施形態の構成によれば、最終ページが用紙Pの表面に印刷される。即ち、最終ページ画像が印刷された用紙Pを表面印刷時において切断することができる。そのため、第1ページが印刷された第1用紙P1又は第2用紙P2について、第2搬送処理を行うことなく排出することができる。これにより、両面印刷時の印刷時間を短縮することができる。
【0097】
また、本実施形態の構成によれば、用紙Pに対して2ページ分又は3ページ分のページ画像が印刷される場合、裏面にページ画像の印刷が必要な2番目に排出される第2用紙P2についてのみ第2搬送処理が行われる。そのため、裏面にページ画像を印刷する必要のない第1用紙P1について、第2搬送処理を行わずに排出トレイ22に排出することができる。これにより、両面印刷時の印刷時間を短縮することができる。
【0098】
また、本実施形態の構成によれば、表面にページ画像が印刷されていない第1用紙P1については、第2搬送処理されずに排出トレイ22に排出される。そのため、第1用紙P1の第2搬送処理分だけ搬送量を少なくすることができる。これにより、両面印刷時の印刷時間を短縮することができる。
【0099】
〔制御部による制御の流れ〕
印刷装置1の制御部100による制御の流れについて、
図10~
図14のフローチャートを参照して説明する。
図10は、印刷装置1の制御部100による制御の流れを示すフローチャートである。
図11は、
図10の第1印刷処理S2を示すフローチャートである。
図12は、
図10の第2印刷処理S4を示すフローチャートである。
図13は、
図10の第3印刷処理S6を示すフローチャートである。
図14は、
図10の第4印刷処理S7を示すフローチャートである。
【0100】
なお、以下のフローチャートの説明では、1つの用紙Pに印刷されるページ画像について、最もページ番号が小さいページ画像は1ページ目のページ画像と称し、前記1ページ目の画像に続くページ画像は2ページ目のページ画像と称し、前記2ページ目のページ画像に続くページ画像は3ページ目のページ画像と称し、前記3ページ目のページ画像に続くページ画像は4ページ目のページ画像と称する。
【0101】
図10に示すように、先ず、制御部100は、印刷ジョブを受信すると、印刷ジョブの印刷データに含まれるページ画像のページ数が、4の倍数(2n)であるか否かを判定する(S1)。ページ数が4の倍数である場合(S1:YES)、第1印刷処理に進む(S2)。第1印刷処理S2は、用紙Pに対して印刷されるページ画像の数が4である場合の印刷方法に相当する。
【0102】
図11を参照して、第1印刷処理S2について説明する。
図11に示すように、制御部100は、給送モータ107及び搬送モータ108を制御し、給送トレイ21に収容されている用紙Pの搬送を開始する(S11)。ステップS11により、用紙Pは、印刷部3へ搬送される。
【0103】
次に、制御部100は、印刷部3を制御し、用紙Pの表面の第1印刷領域F1に2ページ目のページ画像の印刷を行う(S12)。S12の後、制御部100は、印刷部3を制御し、用紙Pの表面の第2印刷領域に4ページ目のページ画像の印刷を実行する(S13)。なお、本開示における第1搬送処理は、ステップS11からステップS13までの流れの処理に相当する。
【0104】
次に、制御部100は、搬送モータ108を制御し、用紙Pを第2搬送方向D2に搬送する(S14)。次に、制御部100は、印刷部3を制御し、用紙Pの裏面の第3印刷領域F3に3ページ目のページ画像の印刷を行う(S15)。ステップS15の後、制御部100は、切断部10を制御し、用紙Pを切断位置CLにて切断する(S16)。なお、ステップS16は、本開示における第2切断処理に相当する。続いて、制御部100は、ステップS15により切断された用紙Pの第1用紙P1と第2用紙P2うち、第1用紙P1を排出トレイ22に排出する(S17)。
【0105】
次に、制御部100は、用紙Pの裏面の第4印刷領域F4に1ページ目の画像を印刷する(S18)。なお、本開示における第2搬送処理は、ステップS14からステップS18までの流れの処理に相当する。ステップS18の後、制御部100は、第2用紙P2を排出トレイ22に排出する(S19)。なお、本開示における排出処理は、ステップS17及びステップS19の処理に相当する。ステップS19の後、第1印刷処理S2を終了する。
図10に戻り、第1印刷処理S2の後、ステップS8に進む。ステップS8の詳細については後述する。
【0106】
図10に示すように、ステップS1においてページ数が4の倍数ではない場合(S1:NO)、ステップS3に進む。ステップS3において、制御部100は、印刷ジョブの印刷データに含まれるページ画像のページ数を4で割ったとき、余りが3であるか否かを判定する。ステップS3においてページ数を4で割ったときの余りが3である場合(S3:YES)、第2印刷処理S4に進む。第2印刷処理S4は、用紙Pに対して印刷されるページ画像の数が3である場合の印刷方法に相当する。
【0107】
図12を参照して、第2印刷処理S4について説明する。
図12に示すように、制御部100は、給送モータ107及び搬送モータ108を制御し、給送トレイ21に収容されている用紙Pの搬送を開始する(S21)。ステップS21は、上述したステップS11と同様の処理である。
【0108】
次に、制御部100は、印刷部3を制御し、用紙Pの表面の第1印刷領域F1に3ページ目のページ画像の印刷を行う(S22)。ステップS22において、第1印刷領域F1には、奇数ページのページ画像の印刷が行われている。ステップS22の後、制御部100は、切断部10を制御し、用紙Pを切断位置CLにて切断する(S23)。なお、ステップS23は、本開示における第1切断処理に相当する。続いて、制御部100は、ステップS23により切断された用紙Pの第1用紙P1と第2用紙P2うち、第1用紙P1を排出トレイ22に排出する(S24)。
【0109】
次に、制御部100は、印刷部3を制御し、用紙Pの表面の第2印刷領域F2に2ページ目のページ画像の印刷を行う(S25)。なお、本開示における第1搬送処理は、ステップS21からステップS25までの流れの処理に相当する。次に、制御部100は、搬送モータ108を制御し、第2用紙P2を第2搬送方向D2に搬送する(S26)。ステップS26にて、第2用紙P2はスイッチバックされ、第2搬送方向D2に搬送される。
【0110】
次に、制御部100は、印刷部3を制御し、用紙Pの裏面の第3印刷領域F3に1ページ目のページ画像の印刷を行う(S27)。なお、本開示における第2搬送処理は、ステップS26からステップS27までの流れの処理に相当する。ステップS27の後、制御部100は、第2用紙P2を排出トレイ22に排出する(S28)。なお、本開示における排出処理は、ステップS24及びステップS28の処理に相当する。ステップS28の後、第2印刷処理S4を終了する。
図10に戻り、第2印刷処理S4の後、後述するステップS8に進む。
【0111】
図10に示すように、ステップS3においてページ数を4で割ったときの余りが3ではない場合(S3:NO)、ステップ5に進む。ステップ5において、制御部100は、印刷ジョブの印刷データに含まれるページ画像のページ数を4で割ったとき、余りが2であるか否かを判定する。S5においてページ数を4で割ったときの余りが2である場合(S5:YES)、第3印刷処理S6に進む。第3印刷処理S6は、用紙Pに対して印刷されるページ画像の数が2である場合の印刷方法に相当する。
【0112】
図13を参照して、第3印刷処理S6について説明する。
図13に示すように、制御部100は、給送モータ107及び搬送モータ108を制御し、給送トレイ21に収容されている用紙Pの搬送を開始する(S31)。ステップS31において、用紙Pの切断位置CLが、切断部10における切断位置Xに位置するように、用紙Pが搬送される。即ち、用紙Pの第1印刷領域F1にはページ画像の印刷がされない。
【0113】
次に、制御部100は、切断部10を制御し、用紙Pを切断位置CLにて切断する(S32)。なお、ステップS32は、本開示における第1切断処理に相当する。続いて、制御部100は、ステップS32により切断された用紙Pの第1用紙P1と第2用紙P2のうち、第1用紙P1を排出トレイ22に排出する(S33)。続いて、制御部100は、印刷部3を制御し、用紙Pの表面の第2印刷領域F2に2ページ目のページ画像の印刷を行う(S34)。なお、本開示における第1搬送処理は、ステップS31からステップS34までの流れの処理に相当する。
【0114】
次に、制御部100は、搬送モータ108を制御し、第2用紙P2を第2搬送方向D2に搬送する(S35)。ステップS35は、第2印刷処理S4のステップS26と同様の処理である。次に、制御部100は、印刷部3を制御し、用紙Pの裏面の第3印刷領域F3に1ページ目のページ画像の印刷を行う(S36)。なお、本開示における第2搬送処理は、ステップS35からステップS36までの流れの処理に相当する。ステップS36の後、制御部100は、第2用紙P2を排出トレイ22に排出する(S37)。なお、本開示における排出処理は、ステップS33及びステップS37の処理に相当する。ステップS37の後、第3印刷処理S6を終了する。
図10に戻り、第3印刷処理S6の後、後述するステップS8に進む。
【0115】
図10に示すように、ステップS5においてページ数を4で割ったときの余りが2ではない場合(S5:NO)、第4印刷処理S7に進む。第4印刷処理S7は、用紙Pに対して印刷されるページ画像の数が1である場合の印刷方法に相当する。
図14を参照して、第4印刷処理S7について説明する。
【0116】
図14に示すように、先ず、制御部100は、給送モータ107及び搬送モータ108を制御し、給送トレイ21に収容されている用紙Pの搬送を開始する(S41)。ステップS41は、第3印刷処理S6のステップS31と同様の処理である。次に、制御部100は、切断部10を制御し、用紙Pを切断位置CLにて切断する(S42)。なお、ステップS42は、本開示における第1切断処理に相当する。続いて、制御部100は、ステップS42により切断された用紙Pの第1用紙P1と第2用紙P2うち、第1用紙P1を排出トレイ22に排出する(S43)。
【0117】
次に、制御部100は、印刷部3を制御し、用紙Pの表面の第2印刷領域F2に1ページ目のページ画像の印刷を行う(S44)。なお、本開示における第1搬送処理は、ステップS41からステップS44までの流れの処理に相当する。ステップS44の後、制御部100は、第2用紙P2を排出トレイ22に排出する(S45)。なお、本開示における排出処理は、ステップS43及びステップS45の処理に相当する。ステップS45の後、第4印刷処理S7は終了する。
図10に戻り、第4印刷処理S7の後、ステップS8に進む。
【0118】
図10に示すように、ステップS8において、制御部100は印刷データに含まれる全てのページ画像が印刷されたか否かを判定する(S8)。全てのページ画像が印刷されていない場合(S8:NO)、制御部100は第1印刷処理S2を実行する。全てのページ画像が印刷された場合(S8:YES)、制御部100は処理を終了する。
【0119】
上記構成によれば、裏面にページ画像を印刷する必要が無い切断後の第1用紙P及び第2用紙P2については第2搬送処理を行わずに排出トレイ22に排出することができ、裏面にページ画像を印刷する必要がある切断後の第1用紙P1及び第2用紙P2については第2搬送処理を実行することができる。そのため、裏面にページ画像を印刷する必要が無い切断後の第1用紙P1及び第2用紙P2の分だけ、搬送量を少なくすることができる。これにより、両面印刷時の印刷時間を短縮することができる。
【0120】
〔ソフトウェアによる実現例〕
印刷装置1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部100に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0121】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0122】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0123】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0124】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0125】
1 印刷装置、3 印刷部、10 切断部、60,62,64,66,68搬送ローラ、100 制御部