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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162778
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/06 20060101AFI20231101BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20231101BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20231101BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20231101BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20231101BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20231101BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20231101BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
H01L27/06 311C
H01L27/06 102A
H01L27/06 311A
H01L27/06 311B
H01L27/04 H
H01L29/78 653C
H01L29/78 652M
H01L29/78 652P
H01L29/78 657E
H01L29/78 652C
H01L29/78 652S
H01L29/78 652F
H01L29/78 655A
H01L29/78 657A
H01L29/91 L
H01L29/78 652T
H01L29/91 F
H01L29/91 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073407
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大隅 悠史
【テーマコード(参考)】
5F038
5F048
【Fターム(参考)】
5F038AR09
5F038AV04
5F038AV05
5F038AV06
5F038BH02
5F038BH07
5F038BH13
5F038CA02
5F048AA09
5F048AB10
5F048AC06
5F048AC10
5F048BA02
5F048BA14
5F048BA15
5F048BB02
5F048BB05
5F048BB09
5F048BB19
5F048BC03
5F048BC07
5F048BC12
5F048BD07
5F048BF02
5F048BF07
5F048BF15
5F048BH04
5F048CA03
5F048CA09
5F048CB07
5F048CC02
5F048CC04
5F048CC06
5F048CC08
5F048CC10
5F048CC11
(57)【要約】
【課題】半導体装置を容易に製造すること。
【解決手段】半導体装置は、第1導電型の半導体層33を有し、パワートランジスタを駆動する制御回路と、半導体層33と電気的に接続され、制御回路の動作電圧が印加可能に構成された電源端子と、制御回路と電気的に接続された接地端子と、電源端子と接地端子との双方に電気的に接続され、電源端子に印加する静電気に起因する電流から制御回路を保護するESD保護回路50と、を備える。ESD保護回路50は、半導体層33を用いた保護トランジスタ51を有する。保護トランジスタ51は、半導体層33と、半導体層33の表面33sに形成された第2導電型の第1ウェル領域61と、第1ウェル領域61の表面に形成された第1導電型の第2ウェル領域62と、によって構成されたバイポーラトランジスタである。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体層を有し、出力用トランジスタを駆動する制御回路と、
前記半導体層と電気的に接続され、前記制御回路の動作電圧が印加可能に構成された電源端子と、
前記制御回路と電気的に接続された接地端子と、
前記電源端子と前記接地端子との双方に電気的に接続され、前記電源端子に印加する静電気に起因する電流から前記制御回路を保護する保護回路と、
を備え、
前記保護回路は、前記半導体層を用いた保護トランジスタを有し、
前記保護トランジスタは、
前記半導体層と、
前記半導体層の表面に形成された第2導電型の第1ウェル領域と、
前記第1ウェル領域の表面に形成された第1導電型の第2ウェル領域と、
によって構成されたバイポーラトランジスタである
半導体装置。
【請求項2】
前記制御回路は、制御用トランジスタを含み、
前記制御用トランジスタは、横型のトランジスタである
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記保護回路は、前記第1ウェル領域と前記接地端子とに電気的に接続された抵抗を有する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記抵抗は、導電性のポリシリコンによって形成されている
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体層の表面上に形成された絶縁層を備え、
前記抵抗は、前記絶縁層上に設けられている
請求項3または4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記保護回路は、前記第2ウェル領域と前記接地端子とに電気的に接続されたツェナーダイオードを有する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記ツェナーダイオードは、
前記半導体層の表面に形成された第2導電型のウェル領域と、
前記ウェル領域の表面に形成された第1導電型の第1ダイオード側コンタクト領域と、
前記ウェル領域の表面のうち前記第1ダイオード側コンタクト領域とは異なる位置に形成された第2導電型の第2ダイオード側コンタクト領域と、
を含む
請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ツェナーダイオードは、
平面視で前記ウェル領域を囲むダイオード側分離トレンチと、
前記ダイオード側分離トレンチの内壁に沿って形成されたダイオード側絶縁層と、
前記ダイオード側絶縁層に埋め込まれたダイオード側埋め込み電極と、
をさらに含む
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記保護回路は、
前記第1ウェル領域と電気的に接続された第1トランジスタ側コンタクト部と、
前記第2ダイオード側コンタクト領域と電気的に接続された第2ダイオード側コンタクト部と、
前記第1トランジスタ側コンタクト部と電気的に接続されたトランジスタ側接続配線と、
前記第2ダイオード側コンタクト部と電気的に接続されたダイオード側配線と、
を有し、
前記トランジスタ側接続配線と前記ダイオード側配線とは、互いに電気的に接続されている
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記保護回路は、
前記第1ウェル領域と前記接地端子とに電気的に接続され、第1端子および第2端子を含む抵抗と、
前記第1ダイオード側コンタクト領域と電気的に接続された第1ダイオード側コンタクト部と、
前記ダイオード側埋め込み電極と電気的に接続された第2分離側コンタクト部と、
前記第2端子と電気的に接続された第2抵抗側コンタクト部と、
前記第1ダイオード側コンタクト部、前記第2分離側コンタクト部、および前記第2抵抗側コンタクト部と電気的に接続されたダイオード側接続配線と、
を有する
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記保護トランジスタは、
平面視で前記第1ウェル領域を囲むトランジスタ側分離トレンチと、
前記トランジスタ側分離トレンチの内壁に沿って形成されたトランジスタ側絶縁層と、
前記トランジスタ側絶縁層に埋め込まれたトランジスタ側埋め込み電極と、
をさらに含む
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1ウェル領域の表面のうち前記第2ウェル領域よりも外側の領域に形成された第2導電型の第1トランジスタ側コンタクト領域と、
前記第2ウェル領域の表面に形成された第1導電型の第2トランジスタ側コンタクト領域と、
をさらに含む
請求項1または11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記保護回路は、
前記第1ウェル領域の表面のうち前記第2ウェル領域よりも外側の領域に形成された第2導電型の第1トランジスタ側コンタクト領域と、
前記第2ウェル領域の表面に形成された第1導電型の第2トランジスタ側コンタクト領域と、
前記第1ウェル領域と前記接地端子とに電気的に接続され、第1端子および第2端子を含む抵抗と、
前記第2トランジスタ側コンタクト領域と電気的に接続された第2トランジスタ側コンタクト部と、
前記トランジスタ側埋め込み電極と電気的に接続された第1分離側コンタクト部と、
前記第1端子と電気的に接続された第1抵抗側コンタクト部と、
前記第2トランジスタ側コンタクト部、前記第1分離側コンタクト部、および前記第1抵抗側コンタクト部と電気的に接続されたトランジスタ側接続配線と、
を有する
請求項11に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記保護回路は、
前記第1ウェル領域と前記接地端子とに電気的に接続された抵抗と、
前記第2ウェル領域と前記接地端子とに電気的に接続されたツェナーダイオードと、
を有し、
前記保護トランジスタと前記ツェナーダイオードは、平面視で第1方向に互いに離隔して配列されており、
前記保護トランジスタと前記抵抗は、平面視で前記第1方向と直交する第2方向に互いに離隔して配列されており、
前記ツェナーダイオードと前記抵抗は、前記第1方向に互いに離隔して配列されている
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記出力用トランジスタを含む出力用チップと、
前記出力用チップとは個別に設けられており、前記制御回路を含む制御回路チップと、
を備え、
前記出力用チップと前記制御回路チップとは、接続部材によって電気的に接続されている
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記出力用トランジスタが形成された第1領域と、
前記制御回路が形成された第2領域と、
を含む共通チップを備える
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記出力用トランジスタは、縦型のトランジスタである
請求項2に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パワートランジスタと、パワートランジスタの動作を制御する制御回路と、を備える半導体装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1の半導体装置は、静電気放電(ESD:electrostatic discharge)から保護するESD保護回路を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-136288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、半導体装置の製造工程において、ESD保護回路を形成するための専用の工程を有する場合、半導体装置の製造工程が複雑化してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による半導体装置は、第1導電型の半導体層を有し、出力用トランジスタを駆動する制御回路と、前記半導体層と電気的に接続され、前記制御回路の動作電圧が印加可能に構成された電源端子と、前記制御回路と電気的に接続された接地端子と、前記電源端子と前記接地端子との双方に電気的に接続され、前記電源端子に印加する静電気に起因する電流から前記制御回路を保護する保護回路と、を備え、前記保護回路は、前記半導体層を用いた保護トランジスタを有し、前記保護トランジスタは、前記半導体層と、前記半導体層の表面に形成された第2導電型の第1ウェル領域と、前記第1ウェル領域の表面に形成された第1導電型の第2ウェル領域と、によって構成されたバイポーラトランジスタである。
【発明の効果】
【0006】
本開示の半導体装置によれば、半導体装置を容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、半導体装置の一実施形態の例示的な概略平面図である。
図2図2は、図1の半導体装置の回路構成を示す概略回路図である。
図3図3は、図1の半導体装置のパワートランジスタチップの一部の概略断面図である。
図4図4は、図1の半導体装置の制御回路チップにおけるESD保護回路の概略断面図である。
図5図5は、ESD保護回路の概略平面図である。
図6図6は、ESD保護回路の配線の概略平面図である。
図7図7は、ESD保護回路の概略回路図である。
図8図8は、ESD保護回路のTLP測定に基づくV-I特性を示す特性図である。
図9図9は、ESD保護回路の抵抗の抵抗値とトリガ電圧との関係を示すグラフである。
図10図10は、変更例の半導体装置の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本開示における半導体装置の実施形態を説明する。なお、説明を簡単かつ明確にするために、図面に示される構成要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。また、理解を容易にするために、断面図では、ハッチング線が省略されている場合がある。添付の図面は、本開示の実施形態を例示するに過ぎず、本開示を制限するものとみなされるべきではない。
【0009】
以下の詳細な記載は、本開示の例示的な実施形態を具体化する装置、システム、および方法を含む。この詳細な記載は本来説明のためのものに過ぎず、本開示の実施形態またはこのような実施形態の適用および使用を限定することを意図していない。
【0010】
(半導体装置の全体構成)
図1は、実施形態の一例に係る半導体装置10の概略平面構造を示している。図1では、半導体装置10の内部構造を示すため、後述する封止樹脂13を二点鎖線で示している。
【0011】
半導体装置10は、複数の外部端子11と、ダイパッド12と、ダイパッド12に搭載されるパワートランジスタチップ20および制御回路チップ30と、各外部端子11の一部、ダイパッド12、および各チップ20,30を封止する封止樹脂13と、を備える。
【0012】
ダイパッド12は、平板状に形成されている。ダイパッド12の厚さ方向から視たダイパッド12の形状は長手方向および短手方向を有する矩形状である。ダイパッド12は、たとえば銅(Cu)、アルミニウム(Al)等の金属材料によって形成されている。以降の説明において、ダイパッド12の厚さ方向を「z方向」とし、z方向と直交する方向のうち互いに直交する2方向を「x方向」および「y方向」とする。本実施形態では、ダイパッド12の長手方向がx方向となり、ダイパッド12の短手方向がy方向となる。また、z方向から視ることを「平面視」という。z方向は、封止樹脂13の厚さ方向、換言すると半導体装置10の厚さ方向であるともいえる。本実施形態では、x方向が「第2方向」に対応しており、y方向が「第1方向」に対応している。
【0013】
複数の外部端子11は、平面視においてダイパッド12の周囲に配置されている。本実施形態では、複数の外部端子11のうちダイパッド12のx方向の両側に配置された外部端子11は、ダイパッド12に対して対称形状となる。複数の外部端子11のうちダイパッド12のy方向の両側に配置された外部端子11は、ダイパッド12に対して対称形状となる。なお、複数の外部端子11の形状および配置態様の各々は、任意に変更可能である。
【0014】
制御回路チップ30は、パワートランジスタチップ20とは個別に設けられている。パワートランジスタチップ20および制御回路チップ30は、ダイパッド12上にx方向に並んで配置されている。一例では、パワートランジスタチップ20および制御回路チップ30は、はんだペーストまたはAg(銀)ペースト等の導電性接合材SDによってダイパッド12に接合されている。本実施形態では、平面視において、パワートランジスタチップ20の面積は、制御回路チップ30の面積よりも大きい。平面視におけるパワートランジスタチップ20の形状は正方形である。平面視における制御回路チップ30の形状は、y方向が長手方向となり、x方向が短手方向となる矩形状である。つまり、制御回路チップ30の短手方向は、パワートランジスタチップ20および制御回路チップ30の配列方向と一致している。なお、平面視におけるパワートランジスタチップ20の面積は、設定されたオン抵抗に応じて適宜変更可能である。
【0015】
パワートランジスタチップ20は、パワートランジスタ21を含む。一例では、パワートランジスタ21は、絶縁ゲート型のトランジスタの一例としてのパワーMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)が用いられている。制御回路チップ30は、パワートランジスタ21を駆動する制御回路31を含む。パワートランジスタ21および制御回路31の詳細な構成は後述する。ここで、本実施形態では、パワートランジスタ21は「出力用トランジスタ」に対応している。パワートランジスタチップ20は「出力用チップ」に対応している。
【0016】
パワートランジスタチップ20と制御回路チップ30とは、複数本のワイヤWRによって接続されている。これにより、パワートランジスタ21と制御回路31とが電気的に接続されている。ここで、本実施形態では、ワイヤWRは「接続部材」に対応している。なお、接続部材は、パワートランジスタチップ20と制御回路チップ30とを電気的に接続することができれば、ワイヤWRに限られない。一例では、接続部材は、リボンであってもよい。
【0017】
封止樹脂13は、エポキシ樹脂等の絶縁材料によって形成されている。本実施形態では、ダイパッド12の全体を封止しているが、これに限られない。たとえば、封止樹脂13は、ダイパッド12の各チップ20,30が搭載される表面とは反対側の裏面が露出するようにダイパッド12を封止してもよい。
【0018】
図2は、半導体装置10の概略回路構成を示している。図2の半導体装置10は、たとえばインバータ回路のハイサイド側のスイッチング素子(パワートランジスタ21)と、このスイッチング素子の駆動を制御する制御用集積回路(制御回路31)と、を含む構成として説明する。
【0019】
半導体装置10は、外部端子11として、電源端子11A、接地端子11B、入力端子11C、出力端子11D、イネーブル端子11E、およびセンス端子11Fを備える。電源端子11A、接地端子11B、入力端子11C、イネーブル端子11E、およびセンス端子11Fは、制御回路31に電気的に接続されている。電源端子11Aおよび出力端子11Dは、パワートランジスタ21に電気的に接続されている。
【0020】
電源端子11Aは、パワートランジスタ21および制御回路31の動作電圧(電源電圧VBB)が印加可能に構成されている。電源電圧VBBは、たとえば10V以上20V以下である。接地端子11Bは、グランドに接続される。
【0021】
入力端子11Cは、たとえばMCU(Micro Controller Unit)、DC/DCコンバータ、LDO(Low Drop Out)等に電気的に接続される。入力端子11Cは、制御回路31に入力電圧を供給する。入力電圧は、たとえば1V以上10V以下である。出力端子11Dは、半導体装置10が電力を供給する負荷Lに接続される。
【0022】
イネーブル端子11Eは、MCUに電気的に接続されてもよい。イネーブル端子11Eには、たとえば制御回路31の一部または全部の機能を有効または無効にするための電気信号が入力される。センス端子11Fは、抵抗器に電気的に接続されてもよい。抵抗器は、たとえば導電性のポリシリコンによって形成される。制御回路31は、抵抗器を有するともいえる。
【0023】
パワートランジスタ21は、ドレイン、ソース、およびゲートを含む。パワートランジスタ21のドレインは電源端子11Aに電気的に接続されており、ソースは出力端子11Dおよび制御回路31に電気的に接続されており、ゲートは制御回路31に電気的に接続されている。
【0024】
制御回路31は、センサMISFET41、入力回路42、電流電圧制御回路43、保護回路44、ゲート制御回路45、アクティブクランプ回路46、電流検出回路47、電源逆接保護回路48、および異常検出回路49を含む。なお、図2では、アクティブクランプ回路46は、「ACL」として示している。また、図2では、センサMISFET41のドレインおよびパワートランジスタ21のドレインを「D」として示し、ソースを「S」として示し、ゲートを「G」として示している。
【0025】
センサMISFET41のゲートはゲート制御回路45に電気的に接続されており、ドレインは電源端子11Aに電気的に接続されており、ソースは電流検出回路47に電気的に接続されている。センサMISFET41は、たとえば横型のトランジスタである。また、パワートランジスタ21のゲートもゲート制御回路45に電気的に接続されている。
【0026】
入力回路42は、電源端子11Aおよび入力端子11Cと、電流電圧制御回路43とに電気的に接続されている。入力回路42は、たとえばシュミットトリガ回路を含む。入力回路42は、入力端子11Cに印加された電気信号の波形を生成する。入力回路42によって生成された信号は、電流電圧制御回路43に入力される。
【0027】
電流電圧制御回路43は、保護回路44、ゲート制御回路45、電源逆接保護回路48、および異常検出回路49に電気的に接続されている。電流電圧制御回路43は、たとえばロジック回路を含む。電流電圧制御回路43は、入力回路42からの電気信号および保護回路44からの電気信号に応じて、種々の電圧を生成する。一例では、電流電圧制御回路43は、駆動電圧生成回路、第1定電圧生成回路、第2定電圧生成回路、および基準電圧・基準電流生成回路を含む。
【0028】
駆動電圧生成回路は、ゲート制御回路45を駆動するための駆動電圧を生成する。駆動電圧は、ゲート制御回路45に供給される。第1定電圧生成回路は、保護回路44を駆動するための第1定電圧を生成する。第2定電圧生成回路は、保護回路44を駆動するための第2定電圧を生成する。第1定電圧および第2定電圧は、保護回路44に供給される。基準電圧・基準電流生成回路は、各種回路の基準電圧および基準電流を生成する。基準電圧および基準電流は、各種回路に供給される。
【0029】
第1定電圧生成回路はたとえばツェナーダイオードおよびレギュレータ回路の一方を含み、第2定電圧生成回路はたとえばツェナーダイオードおよびレギュレータ回路の他方を含む。基準電圧・基準電流生成回路は、たとえばコンパレータを含む。
【0030】
保護回路44は、ゲート制御回路45、電流検出回路47、異常検出回路49、パワートランジスタ21のソース、およびセンサMISFET41のソースに電気的に接続されている。保護回路44は、過電流保護回路、負荷オープン検出回路、過熱保護回路、および低電圧誤動作抑制回路を含む。
【0031】
過電流保護回路は、過電流からパワートランジスタ21を保護する。過電流保護回路は、電流モニタ回路を含んでもよい。過電流保護回路によって生成された信号は、ゲート制御回路45に入力される。負荷オープン検出回路は、負荷のショート状態およびオープン状態を検出する。負荷オープン検出回路によって生成された信号は、電流電圧制御回路43に入力される。過熱保護回路は、パワートランジスタ21の温度を監視し、過度な温度上昇からパワートランジスタ21を保護する。過熱保護回路は、たとえば感温ダイオード、サーミスタ等の感温デバイスを含む。過熱保護回路によって生成された信号は、電流電圧制御回路43に入力される。低電圧誤動作抑制回路は、電源電圧VBBが所定値未満である場合にパワートランジスタ21が誤動作することを抑制する。低電圧誤動作抑制回路によって生成された信号は、電流電圧制御回路43に入力される。
【0032】
ゲート制御回路45は、パワートランジスタ21のオン状態およびオフ状態と、センサMISFET41のオン状態およびオフ状態を制御する。ゲート制御回路45は、パワートランジスタ21のゲートおよびセンサMISFET41のゲートにゲート制御信号を供給する。より詳細には、ゲート制御回路45は、電流電圧制御回路43からの電気信号および保護回路44からの電気信号に応じて、ゲート制御信号を生成する。生成されたゲート制御信号は、パワートランジスタ21のゲートおよびセンサMISFET41のゲートに入力される。
【0033】
ゲート制御回路45は、一例では、発振回路、チャージポンプ回路、および駆動信号出力回路を含む。
発振回路は、電流電圧制御回路43からの電気信号に応じて発振し、所定の電気信号を生成する。発振回路によって生成された電気信号は、チャージポンプ回路に入力される。チャージポンプ回路は、発振回路からの電気信号を昇圧させる。チャージポンプ回路によって昇圧された電気信号は、駆動信号出力回路に入力される。駆動信号出力回路は、チャージポンプ回路からの電気信号および保護回路44(具体的には、過電流保護回路)からの電気信号に応じてゲート制御信号を生成する。ゲート制御信号は、パワートランジスタ21のゲートおよびセンサMISFET41のゲートに入力される。
【0034】
駆動信号出力回路は、1または複数のトランジスタを含む。各トランジスタは、横型のトランジスタである。ここで、本実施形態では、駆動信号出力回路のトランジスタは「制御用トランジスタ」に対応している。また、センサMISFET41が「制御用トランジスタ」に対応していていてもよい。つまり、制御回路31は、制御用トランジスタを含む。
【0035】
ゲート制御回路45は、静電気放電(ESD:Electro-Static Discharge)に対応するESD保護回路50をさらに含む。つまり、半導体装置10は、ESD保護回路50を備えるともいえる。図示していないが、ESD保護回路50は、電源端子11Aと接地端子11Bとの双方に電気的に接続されている。ESD保護回路50は、電源端子11Aに印加する静電気に起因する電流から制御回路31を保護する。ここで、本実施形態では、ESD保護回路50は「保護回路」に対応している。なお、ESD保護回路50の詳細な構成については後述する。
【0036】
アクティブクランプ回路46は、逆起電力からパワートランジスタ21を保護する。アクティブクランプ回路46は、電源端子11A、パワートランジスタ21のゲート、およびセンサMISFET41のゲートに電気的に接続されている。アクティブクランプ回路46は、たとえば複数のダイオードを含む。複数のダイオードは、pn接合ダイオードおよびツェナーダイオードの少なくとも一方を含んでもよい。
【0037】
電流検出回路47は、パワートランジスタ21およびセンサMISFET41に流れる電流を検出する。電流検出回路47は、パワートランジスタ21のソースおよびセンサMISFET41のソースに電気的に接続されている。また、電流検出回路47は、異常検出回路49に電気的に接続されている。電流検出回路47は、パワートランジスタ21によって生成された電気信号およびセンサMISFET41によって生成された電気信号に応じて、電流検出信号を生成する。電流検出信号は、異常検出回路49に入力される。
【0038】
電源逆接保護回路48は、電源が逆接続された際に、逆電圧から電流電圧制御回路43、パワートランジスタ21等を保護する。電源逆接保護回路48は、接地端子11Bおよび電流電圧制御回路43に電気的に接続されている。
【0039】
異常検出回路49は、保護回路44の電圧を監視する。異常検出回路49は、イネーブル端子11Eおよびセンス端子11Fと電気的に接続されている。過電流保護回路、負荷オープン検出回路、過熱保護回路、および低電圧誤動作抑制回路のいずれかに異常(電圧の変動等)が生じた場合、異常検出回路49は、保護回路44の電圧に応じた異常検出信号を生成する。異常検出信号は、たとえばセンス端子11Fを介して半導体装置10の外部に出力される。
【0040】
異常検出回路49は、一例では、第1マルチプレクサ回路および第2マルチプレクサ回路を含む。
第1マルチプレクサ回路は、2つの入力部、1つの出力部、および1つの選択制御入力部を含む。第1マルチプレクサ回路の2つの入力部には、保護回路44および電流検出回路47が個別に電気的に接続されている。第1マルチプレクサ回路の出力部には第2マルチプレクサ回路が電気的に接続されている。第1マルチプレクサ回路の選択制御入力部には、電流電圧制御回路43が電気的に接続されている。
【0041】
第1マルチプレクサ回路は、電流電圧制御回路43からの電気信号、保護回路44からの電気信号、および電流検出回路47からの電流検出信号に応じて、異常検出信号を生成する。異常検出信号は、第2マルチプレクサ回路に入力される。
【0042】
第2マルチプレクサ回路は、2つの入力部および1つの出力部を含む。第2マルチプレクサ回路の2つの入力部には、第1マルチプレクサ回路の出力部およびイネーブル端子11Eが個別に電気的に接続されている。第2マルチプレクサ回路の出力部には、センス端子11Fが電気的に接続されている。
【0043】
イネーブル端子11EにMCUが電気的に接続され、センス端子11Fに抵抗器が電気的に接続されている場合、MCUからイネーブル端子11Eにオン信号が入力され、センス端子11Fから異常検出信号が取り出される。異常検出信号は、センス端子11Fに電気的に接続された抵抗器によって電気信号に変換される。半導体装置10の状態異常は、この電気信号に基づいて検出される。
【0044】
(パワートランジスタの構成)
図3は、パワートランジスタ21の素子断面構造の一例を示している。
パワートランジスタチップ20は、n型の半導体基板22およびn型のドリフト層23を含む。ドリフト層23は、半導体基板22上に積層されている。
【0045】
半導体基板22は、z方向が厚さ方向となる平板状に形成されている。半導体基板22は、表面22sと、表面22sとは反対側の裏面22rと、を含む。半導体基板22の厚さは、たとえば50μm以上450μm以下である。なお、半導体基板22の厚さは任意に変更可能であり、たとえば50μm以上150μm以下、150μm以上250μm以下、250μm以上350μm以下、または350μm以上450μm以下であってもよい。半導体基板22は、シリコン(Si)を含む材料によって形成されている。なお、半導体基板22は、炭化シリコン(SiC)または窒化ガリウム(GaN)を含む材料によって形成されていてもよい。
【0046】
ドリフト層23は、半導体基板22の表面22sにおいてエピタキシャル成長させることによって形成されている。ドリフト層23の厚さは、半導体基板22の厚さよりも薄い。ドリフト層23の厚さは、たとえば半導体基板22の厚さの1/10以下である。ドリフト層23の厚さは、たとえば5μm以上20μm以下である。ドリフト層23の厚さは任意に変更可能であり、たとえば5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、または15μm以上20μm以下であってもよい。一例では、ドリフト層23の厚さは、5μm以上15μm以下である。
【0047】
ドリフト層23は、半導体基板22のn型不純物濃度未満のn型不純物濃度を有する。半導体基板22のn型不純物濃度は、たとえば1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下である。ドリフト層23のn型不純物濃度は、たとえば1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下である。
【0048】
ドリフト層23の表層部には、p型のボディ領域23Aが形成されている。ボディ領域23Aは、パワートランジスタ21の基礎となる領域である。ボディ領域23Aのp型不純物濃度は、たとえば1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下である。ボディ領域23Aの底部は、ドリフト層23の底部(ドリフト層23と半導体基板22との境界部分)よりもドリフト層23の表面23s寄りの位置に形成されている。ここで、ドリフト層23の表面23sは、半導体基板22の表面22sと同じ側を向く面である。ボディ領域23Aの厚さは、たとえば0.5μm以上2μm以下である。ボディ領域23Aの厚さは任意に変更可能であり、たとえば0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または1.5μm以上2μm以下であってもよい。
【0049】
パワートランジスタチップ20は、ドリフト層23の表面23sに形成された複数のトレンチ24を含む。複数のトレンチ24は、x方向において互いに離隔して配列されている。各トレンチ24は、側壁24Aおよび底壁24Bを有するとともに、y方向に沿って延びている。各トレンチ24は、ボディ領域23Aを貫通してドリフト層23に達している。したがって、各トレンチ24の底壁24Bは、ドリフト層23に隣接している。ここで、各トレンチ24の深さ方向はz方向に相当する。各トレンチ24の深さは、たとえば1μm以上10μm以下である。各トレンチ24の深さは任意に変更可能であり、たとえば1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または8μm以上10μm以下であってもよい。一例では、各トレンチ24の深さは、2μm以上6μm以下である。
【0050】
図3においては、各トレンチ24の側壁24Aは、ドリフト層23の表面23sに対して略垂直な方向(z方向)に延びるものとして描かれている。しかし、側壁24Aは、ドリフト層23の表面23sに対して略垂直な方向に延びていなくてもよい。たとえば、各トレンチ24は、底壁24Bに近くなるにつれて小さい幅を有するようなテーパ状に形成されていてもよい。また、図3において、各トレンチ24の底壁24Bは、そのx方向の両端部が半導体基板22に向けて凸となる湾曲状に形成されたものとして描かれている。しかし、底壁24Bの形状は任意に変更可能である。たとえば、各トレンチ24の底壁24Bは、z方向に直交する平坦面であってもよいし、底壁24Bの全体が半導体基板22に向けて凸となる湾曲状に形成されてもよい。
【0051】
パワートランジスタチップ20は、各トレンチ24内に形成されたフィールドプレート電極25FPおよびゲート電極25Gと、フィールドプレート電極25FPおよびゲート電極25Gを相互に分離するとともに各トレンチ24の側壁24Aおよび底壁24Bを覆う絶縁層26と、をさらに含む。
【0052】
ゲート電極25Gは、トレンチ24内においてフィールドプレート電極25FPよりも上方に配置されている。フィールドプレート電極25FPの幅は、ゲート電極25Gの幅よりも小さい。ここで、フィールドプレート電極25FPの幅は、フィールドプレート電極25FPのx方向の大きさによって定義できる。ゲート電極25Gの幅は、ゲート電極25Gのx方向の大きさによって定義できる。
【0053】
ゲート電極25Gおよびフィールドプレート電極25FPの双方は、たとえば、導電性ポリシリコン、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)のうち少なくとも1種を含む。本実施形態では、ゲート電極25Gおよびフィールドプレート電極25FPの双方は、導電性ポリシリコンによって形成されている。
【0054】
絶縁層26は、ゲート電極25Gおよびフィールドプレート電極25FPの各々を覆うように設けられている。また、絶縁層26は、ドリフト層23の表面23sを覆うように設けられている。絶縁層26は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)、および酸化タンタル(Ta)のうち少なくとも1種を含む。絶縁層26は、1種の単層構造であってもよいし、2種以上の積層構造であってもよい。本実施形態では、絶縁層26は、SiO層の単層構造によって構成されている。
【0055】
パワートランジスタチップ20は、ボディ領域23Aの表層部に形成されたn型の第1ソース領域23Bおよびp型の第2ソース領域23Cを含む。第1ソース領域23Bおよび第2ソース領域23Cは、x方向において隣り合うトレンチ24の間のボディ領域23Aに形成されている。第1ソース領域23Bおよび第2ソース領域23Cは、x方向に並んで形成されている。第1ソース領域23Bと第2ソース領域23Cとは、x方向において隣接している。第1ソース領域23Bと第2ソース領域23Cとは一体化されている。つまり、図3では、便宜上、第1ソース領域23Bと第2ソース領域23Cとを境界線によって区分しているが、第1ソース領域23Bと第2ソース領域23Cとの間の領域には、実際には明確な境界線はない。
【0056】
第1ソース領域23Bおよび第2ソース領域23Cのn型不純物濃度は、ドリフト層23のn型不純物濃度よりも高い。第1ソース領域23Bおよび第2ソース領域23Cのn型不純物濃度は、たとえば1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下である。
【0057】
パワートランジスタチップ20は、絶縁層26上に設けられた層間絶縁層27と、第1ソース領域23Bおよび第2ソース領域23Cに接するコンタクト電極28と、を含む。また、パワートランジスタチップ20は、層間絶縁層27上に形成されたソース電極25Sと、半導体基板22の裏面22rに形成されたドレイン電極25Dと、を含む。
【0058】
層間絶縁層27は、平面視において絶縁層26の略全域を覆っている。層間絶縁層27は、SiO、SiN、Al、ZrO、およびTaのうち少なくとも1種を含む。層間絶縁層27は、たとえばSiOの一例としてUSG(Undoped Silica Glass)層を含む。層間絶縁層27は、平坦化された表面27sを有してもよい。層間絶縁層27の表面27sは、たとえばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって研削された研削面である。層間絶縁層27は、たとえばSiOの一例としてPSG(Phosphor Silica Glass)およびBPSG(Boron Phosphor Silicate Glass)のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0059】
コンタクト電極28は、z方向において層間絶縁層27を貫通している。コンタクト電極28は、第1ソース領域23Bおよび第2ソース領域23Cと電気的に接続されている。コンタクト電極28は、たとえばタングステン(W)を含む材料によって形成されている。
【0060】
ソース電極25Sは、層間絶縁層27の表面27sに形成されている。ソース電極25Sは、コンタクト電極28と電気的に接続されている。また、ソース電極25Sは、フィールドプレート電極25FPと電気的に接続されている。ソース電極25Sは、パワートランジスタチップ20の表面に形成されているともいえる。ソース電極25Sは、たとえばAl-Si-Cu合金、Al-Si合金、およびAl-Cu合金のうち少なくとも1種を含む。なお、フィールドプレート電極25FPは、ゲート電極25Gと電気的に接続されていてもよい。つまり、フィールドプレート電極25FPは、ゲート電位であってもよい。
【0061】
パワートランジスタチップ20は、層間絶縁層27上に形成されたゲート配線29Aと、ゲート配線29Aとゲート電極25Gとを電気的に接続するゲートコンタクト電極29Bと、をさらに含む。ゲート配線29Aは、層間絶縁層27の表面27sに形成されている。ゲート電極25Gは、たとえばポリシリコンによって形成されている。ゲートコンタクト電極29Bは、層間絶縁層27をz方向に貫通しており、ゲート配線29Aとゲート電極25Gとの双方と接している。ゲートコンタクト電極29Bは、たとえばコンタクト電極28と同じ材料によって形成されている。
【0062】
ドレイン電極25Dは、半導体基板22の裏面22rの全面にわたり形成されている。ドレイン電極25Dは、パワートランジスタチップ20の裏面に形成されているともいえる。このように、パワートランジスタ21は、トレンチゲート型の縦型のトランジスタを構成している。ドレイン電極25Dは、たとえばチタン(Ti)、ニッケル(Ni)、金(Au)、Ag、およびAlのうち少なくとも1つを含む。ドレイン電極25Dは、Ti、Ni、Au、Ag、およびAlのいずれかを含む単層構造であってもよいし、複数を含む積層構造であってもよい。ドレイン電極25Dは、図1のダイパッド12と電気的に接続されている。ダイパッド12は、図2の電源端子11Aと電気的に接続されている。これにより、ドレイン電極25Dは、電源端子11Aと電気的に接続されている。
【0063】
なお、本開示において、n型を第1導電型、およびp型を第2導電型ともいう。n型不純物は、例えば、リン(P)、ヒ素(As)などであってよい。また、p型不純物は、例えば、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)などであってよい。
【0064】
(ESD保護回路の構成)
図4図7を参照して、制御回路チップ30、特にESD保護回路50の詳細な構成について説明する。図4は、制御回路チップ30のうちESD保護回路50の概略断面構造を示している。図5は、制御回路チップ30のうちESD保護回路50の概略平面構造を示している。図6は、ESD保護回路50の配線の概略平面構造を示している。図7は、ESD保護回路50の概略回路構成を示している。
【0065】
図4に示すように、制御回路チップ30は、n型の半導体基板32と、n型の半導体層33と、層間絶縁層34と、を含む。半導体層33は、半導体基板32上に積層されている。層間絶縁層34は、半導体層33上に積層されている。
【0066】
半導体基板32は、z方向が厚さ方向となる平板状に形成されている。半導体基板32は、表面32sと、表面32sとは反対側の裏面32rと、を含む。半導体基板32の厚さは、たとえば50μm以上450μm以下である。なお、半導体基板32の厚さは任意に変更可能であり、たとえば50μm以上150μm以下、150μm以上250μm以下、250μm以上350μm以下、または350μm以上450μm以下であってもよい。半導体基板32は、シリコン(Si)を含む材料によって形成されている。
【0067】
半導体層33は、半導体基板32の表面32sにおいてエピタキシャル成長させることによって形成されている。半導体層33は、半導体基板32の表面32sと同じ側を向く表面33sを含む。半導体層33の厚さは、半導体基板32の厚さよりも薄い。半導体層33の厚さは、たとえば半導体基板32の厚さの1/10以下である。半導体層33の厚さは、たとえば5μm以上20μm以下である。半導体層33の厚さは任意に変更可能であり、たとえば5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、または15μm以上20μm以下であってもよい。一例では、半導体層33の厚さは、5μm以上15μm以下である。
【0068】
半導体層33は、半導体基板32のn型不純物濃度未満のn型不純物濃度を有する。半導体基板32のn型不純物濃度は、たとえば1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下である。半導体層33のn型不純物濃度は、たとえば1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下である。
【0069】
層間絶縁層34は、半導体層33の表面33sに接している。層間絶縁層34は、制御回路チップ30の各種配線と半導体層33とを絶縁している。層間絶縁層34は、平面視において半導体層33の表面33sの略全域を覆っている。層間絶縁層34は、SiO、SiN、Al、ZrO、およびTaのうち少なくとも1種を含む。層間絶縁層34は、たとえばSiOの一例としてUSG層を含む。層間絶縁層34は、平坦化された表面34sを有してもよい。層間絶縁層34の表面34sは、たとえばCMP法によって研削された研削面である。層間絶縁層34は、たとえばSiOの一例としてPSGおよびBPSGのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0070】
半導体基板32の裏面32rには、裏面電極35が形成されている。裏面電極35は、図1の導電性接合材SDによってダイパッド12に接合されている。ダイパッド12は図2の電源端子11Aに電気的に接続されているため、裏面電極35は、電源端子11Aと電気的に接続されている。これにより、制御回路チップ30は、電源端子11Aと電気的に接続されている。このため、裏面電極35には、電源電圧VBBが供給される。裏面電極35は、たとえばTi、Ni、Au、Ag、およびAlのうち少なくとも1つを含む。裏面電極35は、Ti、Ni、Au、Ag、およびAlのいずれかを含む単層構造であってもよいし、複数を含む積層構造であってもよい。
【0071】
裏面電極35は、n型の半導体基板32を介して半導体層33と電気的に接続されている。このため、半導体層33は、半導体基板32、裏面電極35、導電性接合材SD、およびダイパッド12を介して電源端子11Aと電気的に接続されている。
【0072】
ESD保護回路50は、半導体層33を含めて構成されている。このため、ESD保護回路50は、半導体層33を有しているといえる。ESD保護回路50は、制御回路31(図2参照)の一部であるため、制御回路31は、半導体層33を有するといえる。
【0073】
ESD保護回路50は、半導体層33を用いた保護トランジスタ51を有する。図7に示すように、保護トランジスタ51は、バイポーラトランジスタである。保護トランジスタ51は、ベース、コレクタ、およびエミッタを含む。図7では、保護トランジスタ51のベースを「B」、コレクタを「C」、エミッタを「E」として示している。保護トランジスタ51のコレクタは電源端子11Aに電気的に接続され、保護トランジスタ51のエミッタは、グランドに電気的に接続されている。保護トランジスタ51のベースはエミッタに電気的に接続されている。
【0074】
ESD保護回路50は、保護トランジスタ51のベースと接地端子11Bとの間に設けられた抵抗52と、保護トランジスタ51のエミッタと接地端子11Bとの間に設けられたツェナーダイオード53と、をさらに含む。ツェナーダイオード53のカソードは保護トランジスタ51のエミッタと電気的に接続され、ツェナーダイオード53のアノードは接地端子11Bと電気的に接続されている。抵抗52は、ツェナーダイオード53のアノードと電気的に接続されているともいえる。
【0075】
図5に示すように、ESD保護回路50は、ESD保護回路50が形成される領域を区画した素子分離部54および電極パッド55を含む。素子分離部54は、x方向において互いに離間した第1分離部54Aおよび第2分離部54Bと、第1分離部54Aおよび第2分離部54Bをx方向に連結する第3分離部54Cと、を含む。第1分離部54Aおよび第2分離部54Bは、たとえばy方向に延びている。第3分離部54Cは、たとえばx方向に沿って延びている。電極パッド55は、第1分離部54Aおよび第2分離部54Bとのx方向の間に設けられた部分を含む。第3分離部54Cは、電極パッド55に対してy方向に離間して配置されている。平面視において、第1分離部54A、第2分離部54B、第3分離部54C、および電極パッド55によって囲まれた矩形状の領域は、ESD保護回路50が形成される領域となる。電極パッド55は、接地端子11Bと同電位であってもよい。
【0076】
保護トランジスタ51は、平面視で第1分離部54Aおよび第3分離部54Cに隣接するように形成されている。一方、保護トランジスタ51は、平面視で第2分離部54Bに対してx方向に離隔して形成されている。また、保護トランジスタ51は、平面視で電極パッド55に対してy方向に離隔して形成されている。保護トランジスタ51は、平面視において矩形状に形成されている。
【0077】
保護トランジスタ51と抵抗52とは、平面視でx方向に互いに離隔して配列されている。より詳細には、抵抗52は、保護トランジスタ51よりも第2分離部54B寄りに配置されている。抵抗52は、y方向において第2ウェル領域62の第2コンタクト領域65からずれて配置されている。図5の例では、抵抗52は、第2コンタクト領域65よりもツェナーダイオード53寄りに配置されている。抵抗52は、x方向から視て、第1ウェル領域61と重なる位置に配置されている。
【0078】
抵抗52は、x方向に延びている。抵抗52は第1端子52Aおよび第2端子52Bを含む。第1端子52Aおよび第2端子52Bは、y方向において互いに揃った状態でx方向において互いに離間して配置されている。第1端子52Aは、x方向において第2端子52Bよりも保護トランジスタ51寄りに配置されている。
【0079】
抵抗52と第3分離部54Cとのy方向の間には、複数の抵抗52を配置するための抵抗用領域56が形成されている。本実施形態では、抵抗52は1つであるが、複数の抵抗52が必要な場合、抵抗用領域56に抵抗52を配置することができる。
【0080】
保護トランジスタ51とツェナーダイオード53とは、平面視でy方向に互いに離隔して配列されている。より詳細には、ツェナーダイオード53は、y方向において保護トランジスタ51および抵抗52の双方よりも電極パッド55寄りに配置されている。ツェナーダイオード53は、保護トランジスタ51とy方向に隣り合う位置に配置されている。ツェナーダイオード53は、x方向に延びている。図5の例では、ツェナーダイオード53は、第1分離部54Aと第2分離部54Bとの間のx方向の全体にわたり形成されている。
【0081】
以下、図4図6を用いて、保護トランジスタ51、抵抗52、およびツェナーダイオード53の詳細な構成について説明する。ここで、図4は、保護トランジスタ51、抵抗52、およびツェナーダイオード53の電気的な接続関係を説明する関係上、保護トランジスタ51、抵抗52、およびツェナーダイオード53を一列に配置するように示している。このため、説明の便宜上、図4の保護トランジスタ51、抵抗52、およびツェナーダイオード53の配置関係と、図5および図6の保護トランジスタ51、抵抗52、およびツェナーダイオード53の配置関係とは異なっている。また、図4の保護トランジスタ51、抵抗52、およびツェナーダイオード53のサイズ関係と、図5および図6の保護トランジスタ51、抵抗52、およびツェナーダイオード53のサイズ関係とは異なっている。
【0082】
(保護トランジスタ)
図4に示すように、保護トランジスタ51は、半導体層33と、半導体層33の表面33sに形成されたp型の第1ウェル領域61と、第1ウェル領域61の表面に形成されたn型の第2ウェル領域62とによって構成されたバイポーラトランジスタである。半導体層33はバイポーラトランジスタのコレクタを構成し、第1ウェル領域61はバイポーラトランジスタのベースを構成し、第2ウェル領域62はバイポーラトランジスタのエミッタを構成している。
【0083】
図5に示すように、第1ウェル領域61は、素子分離部63によって区画された領域に形成されている。第1ウェル領域61は、平面視で矩形状に形成されている。図4に示すように、第1ウェル領域61の底部は、半導体層33と隣接している。
【0084】
第1ウェル領域61のp型不純物濃度は、半導体層33のn型不純物濃度よりも高い。第1ウェル領域61のp型不純物濃度は、たとえば1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下である。
【0085】
第1ウェル領域61の表面には、複数のp型の第1コンタクト領域64が形成されている。第1コンタクト領域64は、第1ウェル領域61のうち第2ウェル領域62とは異なる領域に形成されている。第1コンタクト領域64は、たとえば平面視で互いに離隔して複数形成されている。複数の第1コンタクト領域64は、たとえば平面視で第2ウェル領域62を囲むように配置されている。つまり、複数の第1コンタクト領域64は、第1ウェル領域61の表面のうち第2ウェル領域62よりも外側の領域に形成されている。第1コンタクト領域64のp型不純物濃度は、第1ウェル領域61のp型不純物濃度よりも高い。第1コンタクト領域64のp型不純物濃度は、たとえば1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下である。
【0086】
素子分離部63は、半導体層33の表面33sに形成されたトランジスタ側分離トレンチ63Aと、トランジスタ側分離トレンチ63A内に形成されたトランジスタ側埋め込み電極63Bと、トランジスタ側分離トレンチ63Aの側壁63AAおよび底壁63ABを覆うトランジスタ側絶縁層63Cと、を含む。
【0087】
トランジスタ側分離トレンチ63Aは、平面視で第1ウェル領域61を囲んでいる。換言すると、第1ウェル領域61は、平面視でトランジスタ側分離トレンチ63Aによって囲まれた領域に形成されている。トランジスタ側分離トレンチ63Aは、側壁63AAおよび底壁63ABを有するとともに、平面視で矩形枠状に形成されている。トランジスタ側分離トレンチ63Aの底壁63ABは、半導体層33に隣接している。ここで、トランジスタ側分離トレンチ63Aの深さ方向はz方向に相当する。トランジスタ側分離トレンチ63Aの深さは、たとえば1μm以上10μm以下である。トランジスタ側分離トレンチ63Aの深さは任意に変更可能であり、たとえば1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または8μm以上10μm以下であってもよい。一例では、トランジスタ側分離トレンチ63Aの深さは、2μm以上6μm以下である。トランジスタ側分離トレンチ63Aの底壁63ABは、第1ウェル領域61の底部よりも半導体基板32寄りに位置している。
【0088】
図4においては、トランジスタ側分離トレンチ63Aの側壁63AAは、半導体層33の表面33sに対して略垂直な方向(z方向)に延びるものとして描かれている。しかし、側壁63AAは、半導体層33の表面33sに対して略垂直な方向に延びていなくてもよい。たとえば、トランジスタ側分離トレンチ63Aは、底壁63ABに近くなるにつれて小さい幅を有するようなテーパ状に形成されていてもよい。また、図4において、トランジスタ側分離トレンチ63Aの底壁63ABは、全体がz方向に直交する平坦面として描かれている。しかし、底壁63ABの形状は任意に変更可能である。たとえば、トランジスタ側分離トレンチ63Aの底壁63ABは、その全体が半導体基板32に向けて凸となる湾曲状に形成されてもよい。
【0089】
トランジスタ側埋め込み電極63Bは、図4の断面視においてz方向に延びている。トランジスタ側埋め込み電極63Bは、たとえば、導電性ポリシリコン、W、Al、Cuのうち少なくとも1種を含む。本実施形態では、トランジスタ側埋め込み電極63Bは、導電性ポリシリコンによって形成されている。なお、トランジスタ側埋め込み電極63Bの形状は任意に変更可能である。トランジスタ側埋め込み電極63Bは、トランジスタ側分離トレンチ63Aの内壁(側面63AAおよび底壁63AB)に形成されたトランジスタ側絶縁層63Cによって形成された凹部の形状に応じて形成される。
【0090】
トランジスタ側絶縁層63Cは、トランジスタ側埋め込み電極63Bを覆うように設けられている。トランジスタ側絶縁層63Cは、トランジスタ側分離トレンチ63Aの内壁(側面63AAおよび底壁63AB)に沿って形成されている。また、トランジスタ側絶縁層63Cは、半導体層33の表面33sを覆うように設けられている。このため、トランジスタ側埋め込み電極63Bは、トランジスタ側分離トレンチ63A内においてトランジスタ側絶縁層63Cに埋め込まれているともいえる。トランジスタ側絶縁層63Cは、SiO、SiN、Al、ZrO、およびTaのうち少なくとも1種を含む。トランジスタ側絶縁層63Cは、1種の単層構造であってもよいし、2種以上の積層構造であってもよい。本実施形態では、トランジスタ側絶縁層63Cは、SiO層の単層構造によって構成されている。
【0091】
図5に示すように、第2ウェル領域62は、素子分離部63からx方向およびy方向において離隔して形成されている。第2ウェル領域62は、平面視で矩形状に形成されている。図4に示すように、第2ウェル領域62の底部は、第1ウェル領域61の底部よりも第1ウェル領域61の表面寄りに形成されている。第2ウェル領域62のn型不純物濃度は、半導体層33のn型不純物濃度よりも高い。第2ウェル領域62のn型不純物濃度は、たとえば1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下である。
【0092】
第2ウェル領域62の表面には、n型の第2コンタクト領域65が形成されている。図5に示すように、第2コンタクト領域65は、平面視で第2ウェル領域62よりも一回り小さい矩形状に形成されている。第2コンタクト領域65のn型不純物濃度は、第2ウェル領域62のn型不純物濃度よりも高い。第2コンタクト領域65のn型不純物濃度は、たとえば1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下である。
【0093】
図4に示すように、ESD保護回路50は、第1コンタクト領域64に電気的に接続された複数の第1コンタクト部66と、第2コンタクト領域65に電気的に接続された複数の第2コンタクト部67と、トランジスタ側埋め込み電極63Bに電気的に接続された複数の素子分離側コンタクト部63Dと、を備える。第1コンタクト領域64が第1ウェル領域61に電気的に接続されているため、第1コンタクト部66は、第1ウェル領域61と電気的に接続されているともいえる。第2コンタクト領域65が第2ウェル領域62に電気的に接続されているため、第2コンタクト部67は、第2ウェル領域62に電気的に接続されているともいえる。ここで、本実施形態では、素子分離側コンタクト部63Dは「第1分離側コンタクト」に対応している。
【0094】
各第1コンタクト部66、各第2コンタクト部67、および各素子分離側コンタクト部63Dは、層間絶縁層34をz方向に貫通している。各第1コンタクト部66、各第2コンタクト部67、および各素子分離側コンタクト部63Dは、たとえばタングステン(W)、Ti、および窒化チタン(TiN)のうち少なくとも1つによって形成されている。
【0095】
ここで、本実施形態では、第1コンタクト部66は「第1トランジスタ側コンタクト部」に対応し、第2コンタクト部67は「第2トランジスタ側コンタクト部」に対応している。また、第1コンタクト領域64は「第1トランジスタ側コンタクト領域」に対応し、第2コンタクト領域65は「第2トランジスタ側コンタクト領域」に対応している。
【0096】
ESD保護回路50は、第1コンタクト部66に電気的に接続されたトランジスタ側接続配線68と、第2コンタクト部67に電気的に接続されたトランジスタ側配線69と、を備える。つまり、第1コンタクト部66は、トランジスタ側接続配線68と第1コンタクト領域64とを電気的に接続している。第2コンタクト部67は、トランジスタ側配線69と第2コンタクト領域65とを電気的に接続している。これにより、第1ウェル領域61はトランジスタ側接続配線68と電気的に接続され、第2ウェル領域62はトランジスタ側配線69と電気的に接続されている。
【0097】
トランジスタ側接続配線68およびトランジスタ側配線69の双方は、層間絶縁層34の表面34s上に形成されている。トランジスタ側接続配線68は、素子分離側コンタクト部63Dによってトランジスタ側埋め込み電極63Bと電気的に接続されている。このため、第1ウェル領域61は、トランジスタ側埋め込み電極63Bと電気的に接続されている。トランジスタ側接続配線68およびトランジスタ側配線69の双方は、たとえばTi、Ni、Au、Ag、Cu、Al、Cu合金、およびAl合金のうち少なくとも1つによって形成されている。なお、トランジスタ側埋め込み電極63Bは、接地端子11B(図1参照)と電気的に接続されていてもよい。
【0098】
(抵抗)
図4に示すように、抵抗52は、トランジスタ側絶縁層63C上に設けられている。より詳細には、抵抗52は、トランジスタ側絶縁層63Cのうち半導体層33の表面33sを覆う部分の上に設けられている。このため、抵抗52は、半導体層33と絶縁されている。抵抗52は、たとえば導電性のポリシリコンによって形成されている。ここで、トランジスタ側絶縁層63Cのうち半導体層33の表面33sを覆う部分は「半導体層の表面上に形成された絶縁層」に対応している。
【0099】
ESD保護回路50は、抵抗52の第1端子52Aに電気的に接続された第1抵抗側コンタクト部71と、抵抗52の第2端子52Bに電気的に接続された第2抵抗側コンタクト部72と、第2抵抗側コンタクト部72に電気的に接続されたダイオード側接続配線73と、を備える。
【0100】
第1抵抗側コンタクト部71および第2抵抗側コンタクト部72の双方は、層間絶縁層34をz方向に貫通している。第1抵抗側コンタクト部71および第2抵抗側コンタクト部72の双方は、たとえば、W、Ti、TiNのうち少なくとも1つによって形成されている。
【0101】
第1抵抗側コンタクト部71は、トランジスタ側接続配線68と電気的に接続されている。このため、抵抗52の第1端子52Aは、第1抵抗側コンタクト部71、トランジスタ側接続配線68、および第1コンタクト部66を介して第1コンタクト領域64に電気的に接続されている。換言すると、抵抗52の第1端子52Aは、第1ウェル領域61(保護トランジスタ51のベース)に電気的に接続されている。
【0102】
ダイオード側接続配線73は、層間絶縁層34の表面34s上に形成されている。ダイオード側接続配線73は、たとえばトランジスタ側接続配線68と同じ材料によって形成されている。ダイオード側接続配線73は、接地端子11Bと電気的に接続されている。このため、抵抗52の第2端子52Bは、第2抵抗側コンタクト部72およびダイオード側接続配線73を介して接地端子11Bと電気的に接続されている。このように、抵抗52は、第1ウェル領域61と接地端子11Bとに電気的に接続されている。
【0103】
(ツェナーダイオード)
図4に示すように、ツェナーダイオード53は、半導体層33の表面33sに形成されたp型のウェル領域81と、ウェル領域81の表面に形成されたp型の第1コンタクト領域82と、ウェル領域81の表面に形成されたn型の第2コンタクト領域83と、を含む。これにより、第1コンタクト領域82がアノードとなり、第2コンタクト領域83がカソードとなるダイオードが構成されている。ここで、本実施形態では、第1コンタクト領域82は「第1ダイオード側コンタクト領域」に対応し、第2コンタクト領域83は「第2ダイオード側コンタクト領域」に対応している。
【0104】
図5に示すように、ツェナーダイオード53は、素子分離部84によって囲まれた領域に形成されている。図4に示すように、素子分離部84は、保護トランジスタ51の素子分離部63と同様に、ダイオード側分離トレンチ84Aと、ダイオード側埋め込み電極84Bと、ダイオード側絶縁層84Cと、を含む。ダイオード側分離トレンチ84Aは、平面視でウェル領域81を囲んでいる。ダイオード側絶縁層84Cは、ダイオード側分離トレンチ84Aの内壁に沿って形成されている。ダイオード側埋め込み電極84Bは、ダイオード側絶縁層84Cに埋め込まれている。ダイオード側分離トレンチ84Aは素子分離部63のトランジスタ側分離トレンチ63Aと同じ構成であり、ダイオード側埋め込み電極84Bはトランジスタ側埋め込み電極63Bと同じ構成であり、ダイオード側絶縁層84Cはトランジスタ側絶縁層63Cと同じ構成である。
【0105】
図5に示すように、ウェル領域81は、平面視で素子分離部63によって囲まれた領域の全体にわたり形成されている。ウェル領域81のp型不純物濃度は、半導体層33のn型不純物濃度よりも高い。また、本実施形態では、ウェル領域81のp型不純物濃度は、保護トランジスタ51の第1ウェル領域61のp型不純物濃度よりも高い。なお、ウェル領域81のp型不純物濃度は任意に変更可能である。一例では、ウェル領域81のp型不純物濃度は、第1ウェル領域61のp型不純物濃度と等しくてもよいし、第1ウェル領域61のp型不純物濃度よりも低くてもよい。
【0106】
第1コンタクト領域82および第2コンタクト領域83の各々は複数形成されている。第1コンタクト領域82および第2コンタクト領域83の各々は、x方向に延びている。第1コンタクト領域82および第2コンタクト領域83は、y方向において交互に配置されている。なお、図4では説明の便宜上、2つの第1コンタクト領域82と1つの第2コンタクト領域83が示されているが、実際は図5のようにさらに多くの第1コンタクト領域82および第2コンタクト領域83が形成されている。なお、第1コンタクト領域82および第2コンタクト領域83の各々の個数は任意に変更可能である。
【0107】
図4に示すように、ESD保護回路50は、第1コンタクト領域82に電気的に接続された第1ダイオード側コンタクト部85と、第2コンタクト領域83に電気的に接続された第2ダイオード側コンタクト部86と、第2ダイオード側コンタクト部86に電気的に接続されたダイオード側配線87と、を備える。また、ESD保護回路50は、素子分離部84のダイオード側埋め込み電極84Bと電気的に接続された素子分離側コンタクト部88を含む。ここで、本実施形態では、素子分離側コンタクト部88は「第2分離側コンタクト部」に対応している。
【0108】
第1ダイオード側コンタクト部85、第2ダイオード側コンタクト部86、および素子分離側コンタクト部88の各々は、層間絶縁層34をz方向に貫通している。第1ダイオード側コンタクト部85、第2ダイオード側コンタクト部86、および素子分離側コンタクト部88の各々は、たとえば、W、Ti、TiNのうち少なくとも1つによって形成されている。
【0109】
第1ダイオード側コンタクト部85および素子分離側コンタクト部88の双方は、ダイオード側接続配線73と電気的に接続されている。つまり、ダイオード側接続配線73には、第1ダイオード側コンタクト部85、素子分離側コンタクト部88、および第2抵抗側コンタクト部72と電気的に接続されている。このため、第1コンタクト領域82は、第1ダイオード側コンタクト部85、ダイオード側接続配線73、および第2抵抗側コンタクト部72を介して抵抗52の第2端子52Bと電気的に接続されている。また、ダイオード側接続配線73は、接地端子11B(図2参照)と電気的に接続されているため、第1コンタクト領域82(ツェナーダイオード53のアノード)は、接地端子11Bと電気的に接続されているともいえる。また、第1コンタクト領域82は、第1ダイオード側コンタクト部85、ダイオード側接続配線73、および素子分離側コンタクト部88を介して素子分離部84のダイオード側埋め込み電極84Bと電気的に接続されている。
【0110】
ダイオード側配線87は、層間絶縁層34の表面34s上に形成されている。ダイオード側配線87は、たとえばトランジスタ側接続配線68と同じ材料によって形成されている。ダイオード側配線87とトランジスタ側配線69とは、互いに電気的に接続されている。このため、第2コンタクト領域83は、第2ダイオード側コンタクト部86、ダイオード側配線87、トランジスタ側配線69、および第2コンタクト部67を介して第2コンタクト領域65と電気的に接続されている。つまり、第2コンタクト領域83(ツェナーダイオード53のカソード)は、保護トランジスタ51の第2ウェル領域62と電気的に接続されているともいえる。このように、ツェナーダイオード53は、第2ウェル領域62と接地端子11Bとに電気的に接続されている。
【0111】
(配線)
次に、図6を参照して、ESD保護回路50の配線について説明する。
保護トランジスタ51の第1ウェル領域61と電気的に接続されたトランジスタ側接続配線68は、平面視で第2ウェル領域62を囲むように形成された枠状配線部68Aと、枠状配線部68Aのコーナ部分からx方向に延びる延長配線部68Bと、を含む。複数の第1コンタクト部66は、平面視で第2ウェル領域62を囲むように枠状配線部68Aに配置されている。延長配線部68Bは、抵抗52の第1端子52Aと接続されている。
【0112】
図示していないが、複数の第1コンタクト部66および複数の素子分離側コンタクト部63Dは、平面視で第2ウェル領域62を囲むように配置されている。複数の第2コンタクト部67は、平面視で第2コンタクト領域65と重なる位置においてx方向およびy方向において互いに離隔して配置されている。一例では、複数の第2コンタクト部67は、格子状に配置されている。
【0113】
抵抗52の第2端子52Bに接続されたダイオード側接続配線73は、平面視で保護トランジスタ51およびツェナーダイオード53の双方を囲むように形成されている。ダイオード側接続配線73は、電極パッド55に接続されている。ダイオード側接続配線73は、抵抗用領域56を覆っている。ダイオード側接続配線73は、保護トランジスタ51とツェナーダイオード53とのy方向の間においてx方向に延びる中間配線部73Aを含む。
【0114】
また、ダイオード側接続配線73は、ツェナーダイオード53の第1コンタクト領域82と接続するダイオード接続配線部73Bを含む。ダイオード接続配線部73Bは、電極パッド55に電気的に接続されている。ダイオード接続配線部73Bは、平面視で櫛歯状に形成されている。より詳細には、ダイオード接続配線部73Bは、ツェナーダイオード53と電極パッド55とのy方向の間に配置された第1部分と、平面視で各第1コンタクト領域82を覆う複数の第2部分と、を含む。第1部分は、x方向に沿って延びる帯状に形成されている。複数の第2部分は、x方向において互いに離間して配列されている。各第2部分は、第1部分に接続されている。
【0115】
図示していないが、複数の第1ダイオード側コンタクト部85および複数の素子分離側コンタクト部88は、ツェナーダイオード53に対して第1分離部54A寄り、第2分離部54B寄り、および電極パッド55寄りの各々に配置されている。つまり、複数の第1ダイオード側コンタクト部85および素子分離側コンタクト部88は、ツェナーダイオード53に対して第3分離部54C寄りに配置されていない。
【0116】
ダイオード側配線87は、ツェナーダイオード53に対して保護トランジスタ51寄りに配置されている。ダイオード側配線87は、平面視で櫛歯状に形成されている。より詳細には、ダイオード側配線87は、ツェナーダイオード53と保護トランジスタ51とのy方向の間に配置された第1部分と、平面視で各第2コンタクト領域83を覆う複数の第2部分と、を含む。第1部分は、x方向に沿って延びる帯状に形成されている。複数の第2部分は、x方向において互いに離間して配列されている。各第2部分は、第1部分に接続されている。ダイオード側配線87の第2部分と、ダイオード接続配線部73Bの第2部分とは、x方向において1つずつ交互に配置されている。
【0117】
保護トランジスタ51の第2ウェル領域62と電気的に接続されたトランジスタ側配線69は、平面視で第2ウェル領域62の全面を覆うように形成されている。平面視においてトランジスタ側配線69は、矩形状に形成されている。トランジスタ側配線69は、接続配線89(図4参照)によってダイオード側配線87と電気的に接続されている。
【0118】
図示していないが、複数の第1ダイオード側コンタクト部85は、第1コンタクト領域82と重なる位置において、y方向に互いに離隔して一列に配列されている。複数の第2ダイオード側コンタクト部86は、第2コンタクト領域83と重なる位置において、y方向に互いに離隔して一列に配列されている。
【0119】
(作用)
本実施形態の半導体装置10の作用について説明する。
制御回路31は、たとえばツェナーダイオードを含むアクティブクランプ回路46、第1定電圧生成回路、および第2定電圧生成回路を含む。ESD保護回路50のツェナーダイオード53は、これら回路のツェナーダイオードと共通の工程で形成できる。この際、ESD保護回路50の保護トランジスタ51の第1ウェル領域61は、ツェナーダイオード53のウェル領域81と共通の工程で形成できる。
【0120】
制御回路31は、1または複数のトランジスタを含む駆動信号出力回路を有する。各トランジスタは、横型のトランジスタである。このため、トランジスタは、制御回路チップ30の半導体層33に、縦型のトランジスタのようにボディ領域を形成せずに、たとえばソース領域およびドレイン領域を半導体層33の表層部に形成する。ここで、たとえば保護トランジスタ51の第2ウェル領域62は、上記ソース領域およびドレイン領域と同じ工程で形成される。
【0121】
制御回路31は、センス端子11Fに接続された抵抗器を有する。抵抗器は、たとえば導電性のポリシリコンによって形成される。ESD保護回路50の抵抗52は、この抵抗器と共通の工程で形成できる。
【0122】
このように、保護トランジスタ51、抵抗52、およびツェナーダイオード53の各々は、制御回路31のESD保護回路50以外の回路を形成する工程と共通の工程で形成できる。つまり、ESD保護回路50を形成するための専用の工程を必要としない。
【0123】
図8は、ESD保護回路50のTLP(Transmission Line Pulse)測定の一例を示したI-V特性を示す特性図である。保護トランジスタ51のコレクタ電圧VPの電圧が上昇して所定の電圧VTに達すると、スナップバックしてコレクタ電圧VPが低下する。ここで、コレクタ電圧VPが電圧VTに達したとき、保護トランジスタ51に電流が流れることによってスナップバックする。この電圧VTをトリガ電圧VTと称する。そして、スナップバックすることによってコレクタ電圧VPは、所定の電圧VHまで低下する。この電圧VHをホールド電圧VHと称する。その後、コレクタ電圧VPに応じた電流が保護トランジスタ51に流れる。
【0124】
抵抗52の抵抗値に応じてESD保護回路50のトリガ電圧VTが変化することを見出した。図9は、ESD保護回路50のトリガ電圧VTと抵抗52の抵抗値との関係を示すグラフである。図9に示すように、抵抗52の抵抗値が大きくなるにつれてトリガ電圧VTが低下する。これにより、抵抗52の抵抗値を変更することによって、ESD保護回路50のトリガ電圧VTが所望の電圧になるように調整できる。
【0125】
さらに、本願発明者は、ツェナーダイオード53を保護トランジスタ51と直列接続することによって、ホールド電圧VHを高くすることができることを見出した。より詳細には、ツェナーダイオード53のブレークダウン電圧が大きくなるにつれてホールド電圧VHが高くなる。これは、ツェナーダイオード53のカソードを保護トランジスタ51のエミッタに電気的に接続することによって、ツェナーダイオード53のブレークダウン電圧分だけホールド電圧VHがかさ上げされたことに起因すると考えられる。これにより、ツェナーダイオード53のブレークダウン電圧を変更することによって、ESD保護回路50のホールド電圧VHが所望の電圧になるように調整できる。
【0126】
(効果)
本実施形態の半導体装置10によれば、以下の効果が得られる。
(1)半導体装置10は、第1導電型の半導体層33を有し、パワートランジスタ21を駆動する制御回路31と、半導体層33と電気的に接続され、制御回路31の動作電圧が印加可能に構成された電源端子11Aと、制御回路31と電気的に接続された接地端子11Bと、電源端子11Aと接地端子11Bとの双方に電気的に接続され、電源端子11Aに印加する静電気に起因する電流から制御回路31を保護するESD保護回路50と、を備える。ESD保護回路50は、半導体層33を用いた保護トランジスタ51を有する。保護トランジスタ51は、半導体層33と、半導体層33の表面33sに形成された第2導電型の第1ウェル領域61と、第1ウェル領域61の表面に形成された第1導電型の第2ウェル領域62と、によって構成されたバイポーラトランジスタである。
【0127】
この構成によれば、保護トランジスタ51が半導体層33、第1ウェル領域61、および第2ウェル領域62によって構成されたバイポーラトランジスタであるため、保護トランジスタ51がたとえば縦型のトランジスタによって構成される場合と比較して、保護トランジスタ51を容易に製造できる。したがって、半導体装置10を容易に製造できる。
【0128】
(2)制御回路31は、複数のトランジスタを含む。複数のトランジスタは、横型のトランジスタである。
この構成によれば、保護トランジスタ51の第1ウェル領域61および第2ウェル領域62は制御回路31の複数のトランジスタの構成要素と共通する。このため、半導体層33、第1ウェル領域61、および第2ウェル領域62によって構成されたバイポーラトランジスタである保護トランジスタ51は、制御回路チップ30の製造時において、制御回路31の複数のトランジスタの構成要素と共通の工程で形成できる。したがって、制御回路チップ30の工程数の増加を抑制できる。つまり、半導体装置10の総工程数の増加を抑制できる。
【0129】
(3)ESD保護回路50は、第1ウェル領域61と接地端子11Bとに電気的に接続された抵抗52を有する。
この構成によれば、抵抗52の抵抗値を変更することによってESD保護回路50のトリガ電圧VTを変更できる。したがって、抵抗52を用いてトリガ電圧VTを所望の電圧となるように調整できる。
【0130】
(4)抵抗52は、導電性のポリシリコンによって形成されている。
この構成によれば、制御回路チップ30を製造する工程において、抵抗52は、センス端子11Fに接続された抵抗器と共通の工程で製造できる。したがって、抵抗52を形成するために専用の工程が不要となるため、制御回路チップ30の工程数の増加を抑制できる。
【0131】
(5)半導体装置10は、半導体層33の表面33s上に形成されたトランジスタ側絶縁層63Cを備える。抵抗52は、トランジスタ側絶縁層63C上に設けられている。
この構成によれば、素子分離部63のトランジスタ側絶縁層63Cによって半導体層33と抵抗52とが絶縁されるため、半導体層33と抵抗52との絶縁のための専用の部品が不要となる。したがって、制御回路チップ30の部品点数の増加および工程数の増加の双方を抑制できる。
【0132】
(6)ESD保護回路50は、第2ウェル領域62と接地端子11Bとに電気的に接続されたツェナーダイオード53を有する。
この構成によれば、ツェナーダイオード53のブレークダウン電圧を変更することによってESD保護回路50のホールド電圧VHを変更できる。したがって、ツェナーダイオード53を用いてホールド電圧VHを所望の電圧となるように調整できる。
【0133】
(7)半導体装置10は、パワートランジスタ21を含むパワートランジスタチップ20と、パワートランジスタチップ20とは個別に設けられており、制御回路31を含む制御回路チップ30と、を備える。パワートランジスタチップ20と制御回路チップ30とは、接続部材としてのワイヤWRによって電気的に接続されている。制御回路31は、制御用トランジスタを含む。パワートランジスタ21は、縦型のトランジスタであり、制御用トランジスタは、横型のトランジスタである。
【0134】
たとえば、パワートランジスタ21と制御回路31とが共通のチップに形成された構成の場合、ESD保護回路50の保護トランジスタ51は、パワートランジスタ21と同じ縦型のトランジスタとして構成されていてもよい。しかし、パワートランジスタ21と制御回路31とが個別のチップに形成された場合、保護トランジスタ51がパワートランジスタ21と同じ縦型のトランジスタとして構成されると、保護トランジスタ51を形成するための専用の工程が必要となる。
【0135】
この点、本実施形態では、上記(1)で述べたとおり、保護トランジスタ51は制御回路31のうちESD保護回路50とは別の回路と共通の工程で形成できるため、保護トランジスタ51を形成するための専用の工程が不要である。このため、制御回路チップ30の工程数の増加を抑制できる。
【0136】
[変更例]
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、上記実施形態および以下の各変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0137】
・パワートランジスタ21の構成は、任意に変更可能である。一例では、パワートランジスタ21は、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect-Transistor)またはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であってもよい。また、パワートランジスタ21は、横型のトランジスタであってもよい。
【0138】
・抵抗52は、導電性のポリシリコンに限られず、たとえばチップ抵抗であってもよい。この場合、抵抗52は、トランジスタ側絶縁層63C上に実装される。
・抵抗52は、保護トランジスタ51の素子分離部63のうちのトランジスタ側絶縁層63C上に設けられていたが、これに限られない。たとえば、抵抗52は、半導体層33の表面33sにおいてトランジスタ側絶縁層63Cとは個別に設けられた絶縁層上に設けられていてもよい。一例では、抵抗52は、ツェナーダイオード53の素子分離部84のうちのダイオード側絶縁層84C上に設けられていてもよい。また、一例では、抵抗52は、トランジスタ側絶縁層63Cおよびダイオード側絶縁層84Cの双方とは異なり、半導体層33の表面33s上に形成された絶縁層上に設けられていてもよい。
【0139】
・抵抗52の配置位置は任意に変更可能である。一例では、抵抗52は、層間絶縁層34の表面34s上に形成されていてもよい。
・ツェナーダイオード53では、x方向に延びる複数の第1コンタクト領域82および複数の第2コンタクト領域83がy方向において交互に配列されていたが、第1コンタクト領域82および第2コンタクト領域83の配列態様はこれに限られない。一例では、y方向に延びる複数の第1コンタクト領域82および複数の第2コンタクト領域83がx方向において交互に配列されていてもよい。
【0140】
・ESD保護回路50における保護トランジスタ51、抵抗52、およびツェナーダイオード53の配置構成は任意に変更可能である。一例では、平面視において、保護トランジスタ51とツェナーダイオード53とのx方向の間に抵抗52が配置されていてもよい。
【0141】
・ESD保護回路50の構成は任意に変更可能である。一例では、ESD保護回路50から抵抗52を省略してもよい。また一例では、ESD保護回路50からツェナーダイオード53を省略してもよい。また一例では、ESD保護回路50から抵抗52およびツェナーダイオード53の両方を省略してもよい。
【0142】
・パワートランジスタチップ20内の各領域の導電型は、反転されてもよい。すなわち、p型領域がn型領域とされ、n型領域がp型領域とされてもよい。
・制御回路チップ30内の各領域の導電型は、反転されてもよい。すなわち、p型領域がn型領域とされ、n型領域がp型領域とされてもよい。
【0143】
・半導体装置10は、パワートランジスタチップ20および制御回路チップ30を備えていたが、これに限られず、図10に示すように、半導体装置10は、1つのチップにパワートランジスタ21および制御回路31が形成された構成であってもよい。より詳細には、半導体装置10は、共通チップ90を備える。共通チップ90は、パワートランジスタ21が形成された第1領域91と、制御回路31が形成された第2領域92と、を含む。第1領域91は、パワートランジスタ21のトレンチ24と第1ソース領域23Bおよび第2ソース領域23Cとが形成されたアクティブ領域と、アクティブ領域を取り囲む外周領域と、を含む。外周領域には、たとえばガードリングが設けられている。平面視において、第1領域91の面積は、第2領域92の面積よりも大きい。第2領域92にはESD保護回路50が形成されている。
【0144】
パワートランジスタ21と制御回路31とは、配線93によって電気的に接続されている。配線93は、たとえば、共通チップ90のチップ表面90sに形成されている。配線93は、チップ表面90sのうち第1領域91と第2領域92とのx方向の間においてx方向に延びている。
【0145】
本明細書において、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」とは、「Aのみ、または、Bのみ、または、AおよびBの両方」を意味するものとして理解されるべきである。
本明細書で使用される「~上に」という用語は、文脈によって明らかにそうでないことが示されない限り、「~上に」と「~の上方に」の意味を含む。したがって、「第1層が第2層上に形成される」という表現は、或る実施形態では第1層が第2層に接触して第2層上に直接配置され得るが、他の実施形態では第1層が第2層に接触することなく第2層の上方に配置され得ることが意図される。すなわち、「~上に」という用語は、第1層と第2層との間に他の層が形成される構造を排除しない。
【0146】
本明細書で使用される「垂直」、「水平」、「上方」、「下方」、「上」、「下」、「前方」、「後方」、「縦」、「横」、「左」、「右」、「前」、「後」などの方向を示す用語は、説明および図示された装置の特定の向きに依存する。本開示においては、様々な代替的な向きを想定することができ、したがって、これらの方向を示す用語は、狭義に解釈されるべきではない。
【0147】
例えば、本明細書で使用されるz方向は必ずしも鉛直方向である必要はなく、鉛直方向に完全に一致している必要もない。例えば、x方向が鉛直方向であってもよく、またはy方向が鉛直方向であってもよい。
【0148】
[付記]
本開示から把握できる技術的思想を以下に記載する。なお、限定する意図ではなく理解の補助のために、付記に記載される構成要素には、実施形態中の対応する構成要素の参照符号が付されている。参照符号は、理解の補助のために例として示すものであり、各付記に記載された構成要素は、参照符号で示される構成要素に限定されるべきではない。
【0149】
(付記1)
第1導電型の半導体層(33)を有し、出力用トランジスタ(21)を駆動する制御回路(31)と、
前記半導体層(33)と電気的に接続され、前記制御回路(31)の動作電圧が印加可能に構成された電源端子(11A)と、
前記制御回路(31)と電気的に接続された接地端子(11B)と、
前記電源端子(11A)と前記接地端子(11B)との双方に電気的に接続され、前記電源端子(11A)に印加する静電気に起因する電流から前記制御回路(31)を保護する保護回路(50)と、
を備え、
前記保護回路(50)は、前記半導体層(33)を用いた保護トランジスタ(51)を有し、
前記保護トランジスタ(51)は、
前記半導体層(33)と、
前記半導体層(33)の表面(33s)に形成された第2導電型の第1ウェル領域(61)と、
前記第1ウェル領域(61)の表面に形成された第1導電型の第2ウェル領域(62)と、
によって構成されたバイポーラトランジスタである
半導体装置(10)。
【0150】
(付記2)
前記制御回路(31)は、制御用トランジスタを含み、
前記制御用トランジスタは、横型のトランジスタである
付記1に記載の半導体装置。
【0151】
(付記3)
前記保護回路(50)は、前記第1ウェル領域(61)と前記接地端子(11B)とに電気的に接続された抵抗(52)を有する
付記1または2に記載の半導体装置。
【0152】
(付記4)
前記抵抗(52)は、導電性のポリシリコンによって形成されている
付記3に記載の半導体装置。
【0153】
(付記5)
前記半導体層(33)の表面(33s)上に形成された絶縁層(63C)を備え、
前記抵抗(52)は、前記絶縁層(63C)上に設けられている
付記3または4に記載の半導体装置。
【0154】
(付記6)
前記保護回路(50)は、前記第2ウェル領域(62)と前記接地端子(11B)とに電気的に接続されたツェナーダイオード(53)を有する
付記1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0155】
(付記7)
前記ツェナーダイオード(53)は、
前記半導体層(33)の表面(33s)に形成された第2導電型のウェル領域(81)と、
前記ウェル領域(81)の表面に形成された第1導電型の第1ダイオード側コンタクト領域(82)と、
前記ウェル領域(81)の表面のうち前記第1ダイオード側コンタクト領域(82)とは異なる位置に形成された第2導電型の第2ダイオード側コンタクト領域(83)と、
を含む
付記6に記載の半導体装置。
【0156】
(付記8)
前記ツェナーダイオード(53)は、
平面視で前記ウェル領域(81)を囲むダイオード側分離トレンチ(84A)と、
前記ダイオード側分離トレンチ(84A)の内壁に沿って形成されたダイオード側絶縁層(84C)と、
前記ダイオード側絶縁層(84C)に埋め込まれたダイオード側埋め込み電極(84B)と、
をさらに含む
付記7に記載の半導体装置。
【0157】
(付記9)
前記保護回路(50)は、
前記第1ウェル領域(61)と電気的に接続された第1トランジスタ側コンタクト部(66)と、
前記第2ダイオード側コンタクト領域(66)と電気的に接続された第2ダイオード側コンタクト部(67)と、
前記第1トランジスタ側コンタクト部(66)と電気的に接続されたトランジスタ側接続配線(68)と、
前記第2ダイオード側コンタクト部(86)と電気的に接続されたダイオード側接続配線(73)と、
を有し、
前記トランジスタ側接続配線(68)と前記ダイオード側接続配線(73)とは、互いに電気的に接続されている
付記7に記載の半導体装置。
【0158】
(付記10)
前記保護回路(50)は、
前記第1ウェル領域(61)と前記接地端子(11B)とに電気的に接続され、第1端子(52A)および第2端子(52B)を含む抵抗(52)と、
前記第1ダイオード側コンタクト領域(65)と電気的に接続された第1ダイオード側コンタクト部(66)と、
前記ダイオード側埋め込み電極(63B)と電気的に接続された第2分離側コンタクト部(63D)と、
前記第2端子(52B)と電気的に接続された第2抵抗側コンタクト部(72)と、
前記第1ダイオード側コンタクト部(65)、前記第2分離側コンタクト部(63D)、および前記第2抵抗側コンタクト部(72)と電気的に接続されたトランジスタ側配線(69)と、
を有する
付記8に記載の半導体装置。
【0159】
(付記11)
前記保護トランジスタ(51)は、
平面視で前記第1ウェル領域(61)を囲むトランジスタ側分離トレンチ(63A)と、
前記トランジスタ側分離トレンチ(63A)の内壁(63AA,63AB)に沿って形成されたトランジスタ側絶縁層(63C)と、
前記トランジスタ側絶縁層(63C)に埋め込まれたトランジスタ側埋め込み電極(63B)と、
をさらに含む
付記1~10のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0160】
(付記12)
前記第1ウェル領域(61)の表面のうち前記第2ウェル領域(62)よりも外側の領域に形成された第2導電型の第1トランジスタ側コンタクト領域(64)と、
前記第2ウェル領域(62)の表面に形成された第1導電型の第2トランジスタ側コンタクト領域(65)と、
をさらに含む
付記1~11のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0161】
(付記13)
前記保護回路(50)は、
前記第1ウェル領域(61)の表面のうち前記第2ウェル領域(62)よりも外側の領域に形成された第2導電型の第1トランジスタ側コンタクト領域(64)と、
前記第2ウェル領域(62)の表面に形成された第1導電型の第2トランジスタ側コンタクト領域(65)と、
前記第1ウェル領域(61)と前記接地端子(11B)とに電気的に接続され、第1端子(52A)および第2端子(52B)を含む抵抗(52)と、
前記第2トランジスタ側コンタクト領域(65)と電気的に接続された第2トランジスタ側コンタクト部(67)と、
前記トランジスタ側埋め込み電極(63B)と電気的に接続された第1分離側コンタクト部(63D)と、
前記第1端子(52A)と電気的に接続された第1抵抗側コンタクト部(71)と、
前記第2トランジスタ側コンタクト部(67)、前記第1分離側コンタクト部(63D)、および前記第1抵抗側コンタクト部(63D)と電気的に接続されたトランジスタ側接続配線(68)と、
を有する
付記11に記載の半導体装置。
【0162】
(付記14)
前記保護回路(50)は、
前記第1ウェル領域(61)と前記接地端子(11B)とに電気的に接続された抵抗(52)と、
前記第2ウェル領域(62)と前記接地端子(11B)とに電気的に接続されたツェナーダイオード(53)と、
を有し、
前記保護トランジスタ(51)と前記ツェナーダイオード(53)は、平面視で第1方向(y方向)に互いに離隔して配列されており、
前記保護トランジスタ(51)と前記抵抗(52)は、平面視で前記第1方向(y方向)と直交する第2方向(x方向)に互いに離隔して配列されており、
前記ツェナーダイオード(53)と前記抵抗(52)は、前記第1方向(y方向)に互いに離隔して配列されている
付記1に記載の半導体装置。
【0163】
(付記15)
前記出力用トランジスタ(21)を含む出力用チップ(20)と、
前記出力用チップ(20)とは個別に設けられており、前記制御回路(31)を含む制御回路チップ(30)と、
を備え、
前記出力用チップ(20)と前記制御回路チップ(30)とは、接続部材(WR)によって電気的に接続されている
付記1~14のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0164】
(付記16)
前記出力用トランジスタ(21)が形成された第1領域(91)と、
前記制御回路(31)が形成された第2領域(92)と、
を含む共通チップ(90)を備える
付記1~14のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0165】
(付記17)
前記出力用トランジスタ(21)は、縦型のトランジスタである
付記1~16のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0166】
(付記18)
第1導電型の半導体層(33)を有する制御回路(31)を保護可能に構成された保護回路(50)であって、
前記保護回路(50)は、前記制御回路(31)の動作電圧が印加可能に構成された前記半導体層(33)を用いた保護トランジスタ(51)を有し、
前記保護トランジスタ(51)は、
前記半導体層(33)と、
前記半導体層(33)の表面(33s)に形成された第2導電型の第1ウェル領域(61)と、
前記第1ウェル領域(61)の表面に形成された第1導電型の第2ウェル領域(62)と、
によって構成されたバイポーラトランジスタである
保護回路(50)。
【0167】
(付記19)
前記第1ウェル領域(61)と前記接地端子(11B)とに電気的に接続された抵抗(52)をさらに有する
付記18に記載の保護回路。
【0168】
(付記20)
前記第2ウェル領域(62)と前記接地端子(11B)とに電気的に接続されたツェナーダイオード(53)をさらに有する
付記18または19に記載の保護回路。
【0169】
以上の説明は単に例示である。本開示の技術を説明する目的のために列挙された構成要素および方法(製造プロセス)以外に、より多くの考えられる組み合わせおよび置換が可能であることを当業者は認識し得る。本開示は、特許請求の範囲を含む本開示の範囲内に含まれるすべての代替、変形、および変更を包含することが意図される。
【符号の説明】
【0170】
10…半導体装置
11…外部端子
11A…電源端子
11B…接地端子
11C…入力端子
11D…出力端子
11E…イネーブル端子
11F…センス端子
12…ダイパッド
13…封止樹脂
20…パワートランジスタチップ
21…パワートランジスタ
22…半導体基板
22s…表面
22r…裏面
23…ドリフト層
23s…表面
23A…ボディ領域
23B…第1ソース領域
23C…第2ソース領域
24…トレンチ
24A…側壁
24B…底壁
25D…ドレイン電極
25FP…フィールドプレート電極
25G…ゲート電極
25S…ソース電極
26…絶縁層
27…層間絶縁層
27s…表面
28…コンタクト電極
29A…ゲート配線
29B…ゲートコンタクト電極
30…制御回路チップ
31…制御回路
32…半導体基板
32s…表面
32r…裏面
33…半導体層
33s…表面
34…層間絶縁層
34s…表面
35…裏面電極
41…センサMISFET
42…入力回路
43…電流電圧制御回路
44…保護回路
45…ゲート制御回路
46…アクティブクランプ回路
47…電流検出回路
48…電源逆接保護回路
49…異常検出回路
50…ESD保護回路
51…保護トランジスタ
52…抵抗
52A…第1端子
52B…第2端子
53…ツェナーダイオード
54…素子分離部
54A…第1分離部
54B…第2分離部
54C…第3分離部
55…電極パッド
56…抵抗用領域
61…第1ウェル領域
62…第2ウェル領域
63…素子分離部
63A…トランジスタ側分離トレンチ
63AA…側壁
63AB…底壁
63B…トランジスタ側埋め込み電極
63C…トランジスタ側絶縁層
63D…素子分離側コンタクト部
64…第1コンタクト領域
65…第2コンタクト領域
66…第1コンタクト部
67…第2コンタクト部
68…トランジスタ側接続配線
68A…枠状配線部
68B…延長配線部
69…トランジスタ側配線
71…第1抵抗側コンタクト部
72…第2抵抗側コンタクト部
73…ダイオード側接続配線
73A…中間配線部
73B…ダイオード接続配線部
81…ウェル領域
82…第1コンタクト領域
83…第2コンタクト領域
84…素子分離部
84A…ダイオード側分離トレンチ
84B…ダイオード側埋め込み電極
84C…ダイオード側絶縁層
85…第1ダイオード側コンタクト部
86…第2ダイオード側コンタクト部
87…ダイオード側配線
88…素子分離側コンタクト部
89…接続配線
90…共通チップ
90s…チップ表面
91…第1領域
92…第2領域
93…配線
WR…ワイヤ
SD…導電性接合材
L…負荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10