IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝メディカルシステムズ株式会社の特許一覧

特開2023-162794X線撮影装置、医用情報処理装置、及び医用情報処理プログラム
<>
  • 特開-X線撮影装置、医用情報処理装置、及び医用情報処理プログラム 図1
  • 特開-X線撮影装置、医用情報処理装置、及び医用情報処理プログラム 図2
  • 特開-X線撮影装置、医用情報処理装置、及び医用情報処理プログラム 図3
  • 特開-X線撮影装置、医用情報処理装置、及び医用情報処理プログラム 図4
  • 特開-X線撮影装置、医用情報処理装置、及び医用情報処理プログラム 図5
  • 特開-X線撮影装置、医用情報処理装置、及び医用情報処理プログラム 図6
  • 特開-X線撮影装置、医用情報処理装置、及び医用情報処理プログラム 図7
  • 特開-X線撮影装置、医用情報処理装置、及び医用情報処理プログラム 図8
  • 特開-X線撮影装置、医用情報処理装置、及び医用情報処理プログラム 図9
  • 特開-X線撮影装置、医用情報処理装置、及び医用情報処理プログラム 図10
  • 特開-X線撮影装置、医用情報処理装置、及び医用情報処理プログラム 図11
  • 特開-X線撮影装置、医用情報処理装置、及び医用情報処理プログラム 図12
  • 特開-X線撮影装置、医用情報処理装置、及び医用情報処理プログラム 図13
  • 特開-X線撮影装置、医用情報処理装置、及び医用情報処理プログラム 図14
  • 特開-X線撮影装置、医用情報処理装置、及び医用情報処理プログラム 図15
  • 特開-X線撮影装置、医用情報処理装置、及び医用情報処理プログラム 図16
  • 特開-X線撮影装置、医用情報処理装置、及び医用情報処理プログラム 図17
  • 特開-X線撮影装置、医用情報処理装置、及び医用情報処理プログラム 図18
  • 特開-X線撮影装置、医用情報処理装置、及び医用情報処理プログラム 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162794
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】X線撮影装置、医用情報処理装置、及び医用情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20231101BHJP
   A61B 6/10 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
A61B6/00 320R
A61B6/10 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073437
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠田 勝明
(72)【発明者】
【氏名】菅原 佳祐
(72)【発明者】
【氏名】菅野 光宣
(72)【発明者】
【氏名】田中 智
(72)【発明者】
【氏名】坂田 充
(72)【発明者】
【氏名】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】山下 智史
(72)【発明者】
【氏名】粥川 陽介
(72)【発明者】
【氏名】渕上 航
(72)【発明者】
【氏名】及川 紘奈
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA22
4C093CA34
4C093EE11
4C093EE16
4C093FA35
4C093FB12
4C093FG14
(57)【要約】
【課題】手技中に手技室内に居る各医療スタッフの位置に対応した被ばく線量を表示すること。
【解決手段】実施形態に係るX線撮影装置は、X線照射部と、位置取得部と、線量取得部と、関連付け部と、表示制御部とを有する。X線照射部は、手技室内に配置される。位置取得部は、X線照射部を使用した手技中において、手技室内に居る複数のスタッフの各スタッフの位置情報を順次取得する。線量取得部は、線量計から各スタッフの被ばく線量を順次取得する。関連付け部は、時間情報に、各スタッフの位置情報と、各スタッフの被ばく線量とを関連付けて記憶部に順次記録する。表示制御部は、各スタッフの位置情報と被ばく線量との関係を示す関係情報を表示部に識別可能に表示させる。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手技室内に配置されるX線照射部と、
前記X線照射部を使用した手技中において、前記手技室内に居る複数のスタッフの各スタッフの位置情報を順次取得する位置取得部と、
線量計から前記各スタッフの被ばく線量を順次取得する線量取得部と、
時間情報に、前記各スタッフの前記位置情報と、前記各スタッフの前記被ばく線量とを関連付けて記憶部に順次記録する関連付け部と、
前記各スタッフの前記位置情報と前記被ばく線量との関係を示す関係情報を表示部に識別可能に表示させる表示制御部と、
を有するX線撮影装置。
【請求項2】
前記各スタッフに、前記各スタッフが携帯する線量計の識別情報を対応付けた線量計テーブルを記憶する前記記憶部をさらに有し、
前記関連付け部は、前記線量計テーブルを参照して、前記線量計によって取得された被ばく線量を、前記識別情報に対応するスタッフに関連付ける、
請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項3】
前記手技室内を撮影する光学カメラの動作を制御して光学撮影を実行させることで、前記手技室内を表示する光学画像を順次取得する光学撮影制御部をさらに有し、
前記位置取得部は、前記光学画像上で前記各スタッフの位置情報を順次取得する、
請求項2に記載のX線撮影装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記各スタッフに、前記各スタッフが携帯する位置センサの識別情報を対応付けた位置テーブルを記憶し、
前記位置取得部は、前記位置テーブルを参照して、前記位置センサによって取得された位置情報を、前記識別情報に対応するスタッフに対応させる、
請求項2に記載のX線撮影装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記被ばく線量の大きさにより、前記被ばく線量が多いエリアと、前記被ばく線量が少ないエリアとを分類し、前記手技室を撮影した取得された光学画像に、前記被ばく線量が多いエリアと前記被ばく線量が少ないエリアとを重畳して重畳画像を生成し、前記重畳画像を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記被ばく線量の大きさを示すグラフを前記表示部にさらに表示させる、
請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記時間情報に基づいて、前記関係情報を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、関連付け機能F5は、前記被ばく線量が一定期間で閾値以上上昇した場合と、前記被ばく線量の積算値が閾値を超えた場合と、前記位置情報が示す位置が閾値以上の被ばく線量が見込まれるエリアに入った場合とのうち少なくとも1つが発生した場合に、前記表示部に警告を表示させる、
請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項9】
前記関連付け部は、前記時間情報に、さらにX線照射情報を関連付けて前記記憶部に記録し、
前記表示制御部は、前記X線照射情報に基づく被ばく線量の分布を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項10】
前記線量取得部は、前記スタッフの動き情報と被ばく線量の変化量との関係を学習した学習済モデルの出力に基づいて被ばく線量の変化量を取得し、
前記表示制御部は、被ばく線量の変化量を対応させて前記表示部に表示させる、
請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項11】
手技室内に配置されるX線照射部を使用した手技中において、前記手技室内に居る複数のスタッフの各スタッフの位置情報を順次取得する位置取得部と、
線量計から前記各スタッフの被ばく線量を順次取得する線量取得部と、
時間情報に、前記各スタッフの前記位置情報と、前記各スタッフの前記被ばく線量とを関連付けて記憶部に順次記録する関連付け部と、
前記各スタッフの前記位置情報と前記被ばく線量との関係を示す関係情報を表示部に識別可能に表示させる表示制御部と、
を有する医用情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータに、
手技室内に配置されるX線照射部を使用した手技中において、前記手技室内に居る複数のスタッフの各スタッフの位置情報を順次取得する機能と、
線量計から前記各スタッフの被ばく線量を順次取得する機能と、
時間情報に、前記各スタッフの前記位置情報と、前記各スタッフの前記被ばく線量とを関連付けて記憶部に順次記録する機能と、
前記各スタッフの前記位置情報と前記被ばく線量との関係を示す関係情報を表示部に識別可能に表示させる機能と、
を実現させる医用情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線撮影装置、医用情報処理装置、及び医用情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、X線撮影装置による検査が普及している。透視下におけるカテーテル術であるIVR(Interventional Radiology)を行う手技室内は、常時人が立ち入る区域と規定される。その遮蔽基準は、医療法施行規則により規定されている。透視・撮影中の手技室内はX線照射中であり、放射線の場、空間線量が存在する。その放射線レベルは手技室内のエリアによって異なる。
【0003】
X線撮影装置を使用する手技では、手技室内に居る医療スタッフの被ばく低減の取り組みが行われているが、手技室内の各医療スタッフの位置に対応した被ばく線量を表示する仕組みがないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-213671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、手技中に手技室内に居る各医療スタッフの位置に対応した被ばく線量を表示することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を、他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るX線撮影装置は、X線照射部と、位置取得部と、線量取得部と、関連付け部と、表示制御部とを有する。X線照射部は、手技室内に配置される。位置取得部は、X線照射部を使用した手技中において、手技室内に居る複数のスタッフの各スタッフの位置情報を順次取得する。線量取得部は、線量計から各スタッフの被ばく線量を順次取得する。関連付け部は、時間情報に、各スタッフの位置情報と、各スタッフの被ばく線量とを関連付けて記憶部に順次記録する。表示制御部は、各スタッフの位置情報と被ばく線量との関係を示す関係情報を表示部に識別可能に表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係るX線撮影装置の全体構成を示す概略図。
図2】実施形態に係るX線撮影装置のうち手技室内の構成を示す斜視図。
図3】実施形態に係るX線撮影装置の機能を示すブロック図。
図4】実施形態に係るX線撮影装置の動作をフローチャートとして示す図。
図5】(A)は、実施形態に係るX線撮影装置において、手技室内に6名のスタッフが居る場合の手技室内の状態の一例を示す図、(B)は、(A)の場合において、光学カメラによって取得された光学画像を示す図。
図6】実施形態に係るX線撮影装置において、スタッフに、スタッフの顔情報を対応付けた顔情報テーブルを示す図。
図7】実施形態に係るX線撮影装置において、スタッフに、スタッフが携帯する線量計の識別情報を対応付けた線量計テーブルを示す図。
図8】実施形態に係るX線撮影装置において、各スタッフの位置情報と被ばく線量との関係を示す関係情報の表示例を示す図。
図9】実施形態に係るX線撮影装置において、各スタッフの位置情報と被ばく線量との関係を示す関係情報の表示例を示す図。
図10】実施形態に係るX線撮影装置の第1変形例の機能を示すブロック図。
図11】実施形態に係るX線撮影装置の第1変形例において、スタッフに、スタッフが携帯する位置センサの識別情報を対応付けた位置テーブルを示す図。
図12】実施形態に係るX線撮影装置の第1変形例において、各スタッフの位置情報と被ばく線量との関係を示す関係情報の表示例を示す図。
図13】(A)は、実施形態に係るX線撮影装置の第1変形例において、時刻t0から時刻t1に亘るスタッフの移動を示す図、(B)は、実施形態に係るX線撮影装置の第1変形例において、警告の表示例を示す図。
図14】実施形態に係るX線撮影装置の第3変形例において、照射情報の履歴を示す図。
図15】実施形態に係るX線撮影装置の第3変形例において、各スタッフの位置情報と被ばく線量との関係を示す関係情報の表示例を示す図。
図16】実施形態に係るX線撮影装置の第4変形例において、学習時におけるデータフローの一例を示す説明図。
図17】実施形態に係るX線撮影装置の第4変形例において、運用時におけるデータフローの一例を示す説明図。
図18】実施形態に係るX線撮影装置の第4変形例において、学習時におけるデータフローの一例を示す説明図。
図19】実施形態に係るX線撮影装置の第4変形例において、運用時におけるデータフローの一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、X線撮影装置、医用情報処理装置、及び医用情報処理プログラムの実施形態について詳細に説明する。
【0009】
実施形態に係るX線撮影装置は、被検体に対して手技を施す手技室内に複数の医療スタッフ(以下、単に「スタッフ」と呼ぶ)が居る状態で、X線撮影を行う装置を意味する。X線撮影装置としては、X線装置や、X線CT(Computed tomography)装置などが挙げられる。X線装置は、X線循環器撮影装置(「X線アンジオ装置」とも呼ばれる)やX線TV装置などを含む。X線CT装置では、手技室内にスタッフが居る状態で、CT透視下でIVRを行うことができる。
【0010】
ここで、X線撮影は、X線の照射方法により「撮影」と「透視」に大別される。「撮影」は、比較的高い管電流にてX線を照射する。一方で、「透視」は、比較的低い管電流にてX線を照射する。また、「透視」は、連続透視及びパルス透視に大別される。パルス透視とは、連続透視と異なり、X線のパルスが断続的に繰り返し照射される透視方法を意味する。パルス透視によれば、連続透視に比べ、画像の連続性(フレームレート)がやや劣るが患者に対する被ばく線量を抑えることができる。本明細書で使用される「X線撮影」は、「撮影」と「透視」とのうち少なくとも一方を含むものとする。
【0011】
以下、実施形態に係るX線撮影装置が、X線循環器撮影装置である場合について説明するが、その場合に限定されるものではない。
【0012】
図1は、実施形態に係るX線撮影装置の全体構成を示す概略図である。図2は、実施形態に係るX線撮影装置のうち手技室内の構成を示す斜視図である。
【0013】
図1は、実施形態に係るX線撮影装置1と、光学カメラCと、線量計D(図3に図示)とを示す。図1は、X線撮影装置1が天井走行式、かつ、アンダーチューブタイプのCアームを備える場合を示すが、その場合に限定されるものではない。X線撮影装置1は、天井走行式Ωアーム及び床置き式Cアームを備えてもよいし、天井走行式Ωアームのみを備えてもよいし、床置き式Cアームのみを備えてもよい。また、X線撮影装置1は、オーバーチューブタイプのCアーム又はΩアームを備えてもよい。
【0014】
X線撮影装置1は、大きくは、保持装置2と、高電圧供給装置3と、寝台装置4と、手技室ディスプレイ5と、動作指示装置6と、手技室入力インターフェース(以下、「手技室入力IF」と呼ぶ)7と、実施形態に係る医用情報処理装置8と、光学カメラCとを備える。保持装置2と、高電圧供給装置3と、寝台装置4と、手技室ディスプレイ5と、動作指示装置6と、手技室入力IF7と、光学カメラCとは、被検体、例えば患者Uに対して手技を施す手技室(「血管造影撮影室」、「カテーテル室」、「検査室」とも呼ばれる)内に設置される。一方、医用情報処理装置8は、手技室に隣接する制御室に設置される。
【0015】
保持装置2は、支持部22と、鉛直軸回転部23と、懸垂アーム24と、Cアーム回転部25と、Cアーム26と、X線照射部27と、X線検出部28とを設ける。
【0016】
支持部22は、手技室の天井に支持される。鉛直軸回転部23は、支持部22に回転可能に支持される。鉛直軸回転部23は、動作指示装置6による制御又は手動操作によって、鉛直軸回転方向に動作、すなわち、回転動作を行うことができる。
【0017】
懸垂アーム24は、鉛直軸回転部23によって支持され、鉛直軸回転部23と一体となって動作を行うことができる。
【0018】
Cアーム回転部25は、懸垂アーム24に支持される。Cアーム回転部25は、動作指示装置6による制御又は手動操作によって、水平軸回転方向に沿って動作、すなわち、回転動作を行うことができる。
【0019】
Cアーム26は、Cアーム回転部25によって支持され、X線照射部27とX線検出部28とを、患者Uを中心に対向配置させる。Cアーム26は、Cアーム回転部25に支持される。Cアーム26は、動作指示装置6による制御又は手動操作によって、湾曲レールに沿って湾曲方向に動作、すなわち、円弧動作を行うことができる。
【0020】
X線照射部27は、Cアーム26の一端に設けられる。X線照射部27は、動作指示装置6による制御又は手動操作によって、図示しないX線管の中心とX線検出器の中心とを結ぶ方向(SID(Source Image Distance)方向)に沿って動作、すなわち、前後動作を行うことができる。
【0021】
X線照射部27は、図示しないX線源(例えば、X線管)と、可動絞り装置とを設ける。X線管は、高電圧供給装置3から高電圧電力の供給を受けて、高電圧電力の条件に応じてX線を発生する。可動絞り装置は、動作指示装置6による制御によって、X線管のX線照射口で、X線を遮蔽する物質から構成された絞り羽根を移動可能に支持する。なお、X線管の前面に、X線管によって発生されたX線の線質を調整する線質調整フィルタ(図示省略)を備えてもよい。
【0022】
X線検出部28は、Cアーム26の他端に、X線照射部27に対向するように設けられる。X線検出部28は、動作指示装置6による制御又は手動操作によって、SID方向に沿って動作、すなわち、前後動作を行うことができる。また、X線検出部28は、動作指示装置6による制御又は手動操作によって、SID方向を中心とした回転方向に沿って動作、すなわち、回転動作を行うことができる。
【0023】
X線検出部28は、図示しないFPD(平面検出器:Flat Panel Detector)及びA/D(Analog to Digital)変換回路を備える。FPDは、二次元に配列された複数の検出素子を有する。FPDの各検出素子間は、走査線と信号線とが直交するように配設される。なお、FPDの前面に、グリッド(図示省略)が備えられてもよい。グリッドは、FPDに入射する散乱線を吸収してX線画像のコントラストを改善するために、X線吸収の大きい鉛等によって形成されるグリッド板と透過しやすいアルミニウムや木材等とが交互に配置されて成る。A/D変換回路は、FPDから出力される時系列的なアナログ信号(ビデオ信号)の投影データをデジタル信号に変換し、医用情報処理装置8に出力する。
【0024】
なお、X線検出部28は、I.I.(Image Intensifier)-TV系であってもよい。I.I.-TV系では、患者Uを透過したX線及び直接入射されるX線を可視光に変換し、さらに、光-電子-光変換の過程で輝度の倍増を行なって感度のよい投影データを形成させ、CCD(Charge Coupled Device)撮影素子を用いて光学的な投影データを電気信号に変換する。
【0025】
高電圧供給装置3は、動作指示装置6の制御に従って、X線照射部27のX線管に高電圧電力を供給可能である。
【0026】
寝台装置4は、寝台本体41及び天板42を備える。寝台装置4の下部は床面に支持される。寝台本体41の上部は、動作指示装置6による制御によって、下部に対してY軸方向に沿って動作、すなわち、スライド動作を行うことができる。
【0027】
天板42は、寝台本体41に支持される。天板42は、患者Uを載置可能である。天板42は、寝台本体41の上部のY軸方向に沿った動作によって、Y軸方向に沿って動作、すなわち、スライド動作を行うことができる。天板42は、動作指示装置6による制御によって、X軸方向及びZ軸方向に沿って動作、すなわち、スライド動作を行うことができる。また、天板42は、動作指示装置6による制御によって、ローリング動作や、チルト動作を行うことも可能である。
【0028】
手技室ディスプレイ5は、例えば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイなどの一般的な表示出力装置により構成される。手技室ディスプレイ5は、処理回路81の制御に従って、透視画像や撮影画像等のX線画像や各種情報を表示する。なお、手技室ディスプレイ5は、表示部の一例である。
【0029】
動作指示装置6は、図示しない処理回路及びメモリを含む。動作指示装置6は、医用情報処理装置8の制御に従って、X線撮影を行うための条件付けを行う制御回路である。
【0030】
手技室入力IF7は、スタッフによって操作が可能な入力デバイスと、入力デバイスからの信号を入力する入力回路とを含む。入力デバイスは、トラックボール、スイッチ、マウス、キーボード、操作面に触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力デバイス、及び音声入力デバイスなどによって実現される。スタッフにより入力デバイスが操作されると、入力回路はその操作に応じた信号を生成して動作指示装置6に出力する。なお、手技室入力IF7は、入力部の一例である。
【0031】
医用情報処理装置8は、コンピュータをベースとして構成されており、X線撮影装置1全体の動作制御や、保持装置2によって取得されたX線画像に関する画像処理等を行なう装置である。医用情報処理装置8は、処理回路81と、メモリ82と、X線画像生成回路83と、X線画像処理回路84と、制御室ディスプレイ85と、制御室入力インターフェース(以下、「制御室入力IF」と呼ぶ)86とを有する。
【0032】
処理回路81は、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processor Unit)などのプロセッサの他、特定用途向け集積回路(ASIC)、及び、プログラマブル論理デバイスなどの処理回路を意味する。プログラマブル論理デバイスとしては、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:Simple Programmable Logic Device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの回路が挙げられる。処理回路81は、メモリ82に記憶された、又は、処理回路81内に直接組み込まれたプログラムを読み出し実行することで、動作指示装置6の動作を制御し、指示に従った撮像を実行してX線画像を生成する機能を実現する。なお、処理回路81は、処理部の一例である。
【0033】
また、処理回路81は、単一の処理回路によって構成されてもよいし、複数の独立した処理回路要素の組み合わせによって構成されてもよい。後者の場合、複数のメモリ82が複数の処理回路要素の機能に対応するプログラムをそれぞれ記憶するものであってもよいし、1個のメモリ82が複数の処理回路要素の機能に対応するプログラムを記憶するものであってもよい。
【0034】
メモリ82は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクなどを備える。メモリ82は、USB(Universal Serial Bus)メモリ及びDVD(Digital Video Disk)などの可搬型メディアを備えてもよい。メモリ82は、処理回路81において用いられる各種処理プログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(Operating System)なども含まれる)や、プログラムの実行に必要なデータや、X線画像を記憶する。また、OSに、スタッフに対する制御室ディスプレイ85への情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作を制御室入力IF86によって行うことができるGUI(Graphical User Interface)を含めることもできる。なお、メモリ82は、記憶部の一例である。
【0035】
X線画像生成回路83は、処理回路81の制御によって、X線検出部28から出力された投影データに対して対数変換処理(LOG処理)行なって必要に応じて加算処理して、X線画像のデータを生成する。X線画像生成回路83は、X線画像生成部の一例である。
【0036】
X線画像処理回路84は、処理回路81の制御によって、X線画像生成回路83によって生成されたX線画像に対して画像処理を施す。画像処理としては、データに対する拡大/階調/空間フィルタ処理や、時系列に蓄積されたデータの最小値/最大値トレース処理、及びノイズを除去するための加算処理などが挙げられる。なお、X線画像処理回路84による画像処理後のデータは、手技室ディスプレイ5(及び/又は制御室ディスプレイ85)に出力されると共に、メモリ82に記憶される。X線画像処理回路84は、X線画像処理部の一例である。
【0037】
制御室ディスプレイ85は、手技室ディスプレイ5と同等の構成を備える。制御室ディスプレイ85は、処理回路の制御によって、X線画像を、種々のパラメータの文字情報や目盛等と共に表示する。
【0038】
制御室入力IF86は、手技室入力IF7と同等の構成を備える。制御室入力IF86は、操作信号を処理回路81に送る。
【0039】
光学カメラCは、像を結ぶための光学系(レンズなど)を持ち、映像を撮影するための装置である。光学カメラCは、手技室内を広く撮影可能な位置、向きで手技室内に設けられる。例えば、光学カメラCは、手技室の天井に設けられる。光学カメラCは、光学画像を、動作指示装置6を介して医用情報処理装置8に出力する。
【0040】
線量計D(図3に図示)は、X線照射の度合いを表す吸収線量又は照射線量を測定して、自身、つまり線量計Dを携帯するスタッフに関する線量情報を取得するための計器である。線量計Dは、線量情報を被ばく線量[μSv/h]として取得することができるし、線量情報を積算値[μSv]として取得することもできる。
【0041】
続いて、X線撮影装置1の機能について図3を用いて説明する。図3は、X線撮影装置1の機能を示すブロック図である。
【0042】
医用情報処理装置8の処理回路81は、メモリ82に記憶された、又は、処理回路81内に直接組み込まれたコンピュータプログラムを読み出して実行することで、図3に示すように、X線撮影制御機能F1と、光学撮影制御機能F2と、位置取得機能F3と、線量取得機能F4と、関連付け機能F5と、表示制御機能F6とを実現する。以下、機能F1~F6がコンピュータプログラムの実行によりソフトウェア的に機能する場合を例に挙げて説明するが、機能F1~F6の全部又は一部は、ASICなどの回路により実現されてもよい。また、処理回路81の機能F1~F6の全部又は一部は、動作指示装置6の処理回路が実現するものであってもよい。
【0043】
X線撮影制御機能F1は、動作指示装置6や、X線画像生成回路83と、X線画像処理回路84などの動作を制御してX線照射部27を使用したX線撮影を実行させることで、X線画像を生成する機能を含む。また、X線撮影制御機能F1は、X線画像をメモリ82に記憶させる機能を含んでもよい。
【0044】
光学撮影制御機能F2は、光学カメラCの動作を制御して光学撮影を実行させることで、手技室内を表示する光学画像を取得する機能を含む。また、光学撮影制御機能F2は、光学画像をメモリ82に記憶させる機能を含んでもよい。
【0045】
位置取得機能F3は、X線照射部27を使用した患者Uに対する手技中において、手技室内に居る各スタッフの位置情報を順次取得する機能を含む。ここで、スタッフは、医師、技師、看護師、記録員などを含む。
【0046】
線量取得機能F4は、手技室内に居る各スタッフの被ばく線量を順次取得する機能を含む。
【0047】
関連付け機能F5は、時間情報に、位置取得機能F3によって取得された各スタッフの位置情報と、線量取得機能F4によって取得された各スタッフの被ばく線量とを関連付けてメモリ82に順次記録する機能を含む。なお、時間情報は、時刻を示す情報であってもよいし、X線照射部27からのX線の照射開始時からの経過時間を示す情報であってもよい。以下、時間情報が時刻を意味するものとして説明する。
【0048】
表示制御機能F6は、各スタッフの位置情報と被ばく線量との関係を示す関係情報を手技室ディスプレイ5(及び/又は制御室ディスプレイ85)に識別可能に表示させる機能を含む。例えば、表示制御機能F6は、光学撮影制御機能F2によって順次取得された光学画像上に関係情報を重畳して重畳画像を順次生成し、それを手技室ディスプレイ5に順次表示させる。又は、例えば、表示制御機能F6は、光学撮影制御機能F2によって過去に静止画像として取得された光学画像上に関係情報を重畳して重畳画像を順次生成し、それを手技室ディスプレイ5に順次表示させる。
【0049】
続いて、X線撮影装置1の動作について図4図5とを用いて説明する。図4は、X線撮影装置1の動作をフローチャートとして示す図である。図4において、「ST」に数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
【0050】
まず、光学撮影制御機能F2は、光学カメラCの動作を制御して光学撮影を開始させることで、手技室内を表示する光学画像の取得を開始させる(ステップST1)。X線撮影制御機能F1は、動作指示装置6と、X線画像生成回路83と、X線画像処理回路84などの動作を制御してX線照射部27を使用したX線撮影、例えば、透視を開始させることで、患者UのX線画像の生成を開始させる(ステップST2)。光学撮影制御機能F2は、ステップST1によって開始された光学撮影により、光学カメラCから時間情報T(例えば、時刻t1)の光学画像を取得する(ステップST3)。位置取得機能F3は、X線照射部27を使用した患者Uに対する手技中における時間情報t1の、手技室内に居る各スタッフの位置情報を取得する(ステップST4)。
【0051】
例えば、ステップST4において、位置取得機能F3は、ステップST3によって取得された時刻t1の光学画像に基づいて、手技室内に居る各スタッフの位置情報を取得する。なお、光学画像に基づかないで各スタッフの位置情報を求める場合については、後述する第1変形例で説明する。
【0052】
図5(A)は、手技室内に6名のスタッフMが居る場合の手技室内の状態の一例を示す図である。図5(A)に示すように、手技室には、X線照射部27を保持するCアーム26と、寝台装置4とを含み、6名のスタッフMが居る。図5(B)は、図5(A)の場合において、光学カメラCによって取得された光学画像を示す。図5(B)に示すように、位置取得機能F3は、光学画像に基づいて、手技室内に居る6名のスタッフMを第1~第6のスタッフm1~m6として識別する。ここで、光学画像に基づく第1~第6のスタッフm1~m6の認識は次の方法で行われる。
【0053】
第1の方法では、第1~第6のスタッフm1~m6に、第1~第6のスタッフm1~m6の顔情報を対応付けた顔情報テーブルを備えておく(図6参照)。そして、位置取得機能F3は、顔情報テーブルを参照して、手技室の出入口を撮影する第2の光学カメラ(図示省略)から取得された第2の光学画像で顔認証処理を行う。位置取得機能F3は、光学カメラCによる光学画像上の出入口から入室したスタッフMを、スタッフm1~m6のいずれかとして認識することができる。なお、光学画像上の出入口付近で認識されたスタッフm1~m6は、手技室内を移動するので、その後の複数フレームの光学画像によりトラッキングされればよい。
【0054】
又は、第2の方法では、位置取得機能F3は、顔情報テーブルを参照して、顔が認識できる程度に斜め上方から手技室内を撮影する第3の光学カメラ(図示省略)から取得された第3の光学画像で顔認証処理を行う。位置取得機能F3は、光学カメラCによる光学画像上で対応する位置に居るスタッフMを、スタッフm1~m6のいずれかとして認識することができる。
【0055】
又は、第3の方法では、スタッフMは自己の識別情報(IDなど)が登録されたICカードを出入口付近のリーダにかざす。そして、位置取得機能F3は、光学画像上で出入口付近に居るスタッフMを、リーダが読み込んだ識別情報に対応する、スタッフm1~m6のいずれかとして認識することができる。なお、光学画像上の出入口付近で認識されたスタッフm1~m6は、手技室内を移動するので、その後の複数フレームの光学画像によりトラッキングされればよい。
【0056】
そして、位置取得機能F3は、図5(B)に示すように、手技室内への入室順に認識された第1~第6のスタッフm1~m6の、光学画像内の位置情報[X,Z]([x1,z1]~[x6,z6])を取得する。
【0057】
図4の説明に戻って、線量取得機能F4は、第1~第6のスタッフm1~m6の被ばく線量を取得する(ステップST5)。関連付け機能F5は、時刻t1に、スタッフm1~m6の位置情報と、スタッフm1~m6の被ばく線量とを関連付けてメモリ82に記録する(ステップST6)。
【0058】
ステップST6において、時刻t1に、スタッフm1~m6の画像内の位置情報[x1,z1]~[x6,z6]と、被ばく線量G(被ばく線量g1,g2,…)とをそれぞれ関連付けて記録する。図5(C)は、時刻t1に関連付けられた第1~第6のスタッフm1~m6の位置情報[x1,z1]~[x6,z6]と、被ばく線量g1~g6とを示す。
【0059】
ここで、第1~第6のスタッフm1~m6はそれぞれ、線量計D(図3に図示)を携帯している。図7は、第1~第6のスタッフm1~m6に、第1~第6のスタッフm1~m6がそれぞれ携帯する線量計Dの識別情報d1~d6を対応付けた線量計テーブルを示す図である。メモリ82は、線量計テーブルを予め記憶する。関連付け機能F5は、線量計テーブルを参照して、線量計Dによって取得された被ばく線量を、識別情報に対応するスタッフに関連付ける。例えば、関連付け機能F5は、線量計テーブルを参照して、識別情報d1の線量計Dによって取得された被ばく線量を、識別情報d1に対応する第1のスタッフm1に関連付ける。
【0060】
このように、線量取得機能F4は、第1~第6のスタッフm1~m6の移動範囲における手技室内の位置において、被ばく線量の情報を取得することができる。なお、手技室内に設置される主要な周辺機器や手技室の床、壁、天井に線量計Dを設置してもよい。この場合、線量取得機能F4は、第1~第6のスタッフm1~m6の移動範囲外における室内位置や、第1~第6のスタッフm1~m6があまり近寄らない手技室内の位置においても、被ばく線量の情報を取得することができる。
【0061】
図4の説明に戻って、表示制御機能F6は、各スタッフの位置情報と被ばく線量との関係を示す関係情報を手技室ディスプレイ5(及び/又は制御室ディスプレイ85)に識別可能に表示させる(ステップST7)。
【0062】
図8は、関係情報の表示例を示す図である。図8(A)は、時刻t1の光学画像上で第1~第6のスタッフm1~m6が居る位置における被ばく線量の大きさを視覚的に分類したものである。図8(A)に示すように、ステップST6によって関連付けられた被ばく線量の大きさにより、第3のスタッフm3の位置情報[x3,z3]と、第6のスタッフm6の位置情報[x6,z6]とを分類する範囲が、被ばく線量が多いエリアEvとされる。また、第1のスタッフm1の位置情報[x1,z1]と、第4のスタッフm4の位置情報[x4,z4]とを分類する範囲が、被ばく線量が少ないエリアEwとされる。表示制御機能F6は、エリアEv,Ewをそれぞれ示すグラフィックを光学画像に重畳し、重畳画像を手技室ディスプレイ5に表示させる。この表示により、スタッフMの被ばく意識を高めることができる。
【0063】
なお、エリアEv,Ewは、互いに異なる色によって表現されてもよい。例えば、エリアEv,Ewは、色相と明度と彩度とのうち少なくとも1つを変化させることで、互いに異なる色によって表現される。
【0064】
図4の説明に戻って、X線撮影機能F1は、ステップST2によって開始されたX線撮影を終了するか否かを判断する(ステップST8)。ステップST8の判断によりYES、つまり、ステップST2によって開始されたX線撮影を終了すると判断された場合、X線撮影機能F1は、ステップST1によって開始された光学撮影と、X線撮影と終了させる(ステップST9)。
【0065】
一方で、ステップST8の判断によりNO、つまり、ステップST2によって開始されたX線撮影を終了しないと判断された場合、X線撮影を継続するとともに、時間情報Tを時刻t1から時刻t2に進め(ステップST10)、時刻t2の光学画像を取得する(ステップST3)。
【0066】
このように、スタッフが手技室ディスプレイ5にてライブで自身の被ばく線量を視認できる環境を作ることで、スタッフMは、自身の被ばく履歴と傾向の確認が可能になる。また、スタッフMは、手技室内の被ばく線量が多いエリアと少ないエリア、どこにいれば被ばく線量が少なくて済むか、といった情報を確認することができる。さらに、図8(A)の画面上に、第1~第6のスタッフm1~m6の被ばく線量(数値)を併せて表示してもよく、被ばく線量の大きさに応じて異なる色で表現してもよい。
【0067】
また、図8(B)は、時刻t1の第1~第6のスタッフm1~m6の被ばく線量の大きさを視覚的に表したものである。表示制御機能F6は、図8(B)に示すように、ステップST6によって関連付けられた被ばく線量の大きさを示すグラフを手技室ディスプレイ5に表示させる。なお、6名分の被ばく線量の大きさに応じた長さの縦棒は、その長さに応じて異なる色によって表現されてもよい。例えば、縦棒は、その長さに応じて、色相と明度と彩度とのうち少なくとも1つを変化させることで、異なる色によって表現される。なお、被ばく線量の閾値を併せて表示してもよい。
【0068】
図4に示すフローチャートの動作によれば、手技中に生成された重畳画像を手技中にライブで表示することができるし、重畳画像を手技後に再生表示することもできる。
【0069】
なお、図8(A)に示す重畳画像と、図8(B)に示す重畳画像とは、同一画面上に表示されてもよい。また、関連付け機能F5により被ばく線量、つまり、重畳画像は時間情報Tに関連付けされているので、各スタッフは、表示する重畳画像の時刻を選択することもできる。その場合、表示制御機能F6は、時間情報Tに基づいて、関係情報が重畳される重畳画像を手技室ディスプレイ5に表示させる。
【0070】
図9は、関係情報の表示例を示す図である。図9(A)は、図8(A)に示す重畳画像と図8(B)に示す重畳画像とが同一画面上でライブ表示される場合の表示例である。図9(A)には、X線撮影の開始時刻から現在時刻までの時間幅を示すシークバーVが示される。各スタッフが手技室IF7(図1に図示)を介してシークバーV上のある時刻を選択すると、又は、シークバーV上のスライダを所定の時刻まで左側に動かすと、当該時刻における被ばく線量を示す重畳画像が上方に表示される。なお、被ばく線量は、積算値であってもよい。また、シークバーVの該当時刻に、被ばく線量の変化量(第4変形例で説明する)が大きい時刻を関連付けてもよい(図中の記号「▼」)。
【0071】
図9(B)は、図8(A)に示す重畳画像と図8(B)に示す重畳画像とが同一画面上で再生表示される場合の表示例である。図9(B)には、X線撮影の開始時刻からX線撮影の終了時刻までの時間幅を示すシークバーVが示される。スタッフMが手技室IF7(図1に図示)を介してシークバーV上のある時刻を選択すると、又は、シークバーV上のスライダを所望の時刻まで左右に動かすと、当該時刻における被ばく線量を示す重畳画像が上方に表示される。
【0072】
なお、医用情報処理装置8の機能F2~F6、特に機能F5,F6は、X線撮影装置1の外部に設けられる第2の医用情報処理装置(例えば、ワークステーション)で実現されるものであってもよい。その場合、第2の医用情報処理装置は、X線撮影装置1とネットワークを介して通信可能に接続され、手技中に記録された情報を手技後に再生表示することもできる。
【0073】
以上のように、X線撮影装置1及び医用情報処理装置8によれば、手技室内に居る第1~第6のスタッフm1~m6の位置情報[x1,z1]~[x6,z6]と、被ばく線量g1~g6とを関連付けて記録することで、手技中に手技室内に居る第1~第6のスタッフm1~m6の被ばく線量を表示することができる。X線撮影装置1及び医用情報処理装置8によれば、手技中に記録された情報を手技中にライブで表示することができるし、手技後に再生表示することもできる。
【0074】
(第1変形例)
【0075】
上述では、位置取得機能F3は、図4に示すステップST4において、ステップST1によって取得された光学画像に基づいて、手技室内に居る各スタッフの位置情報を取得するものとして説明した。しかしながら、各スタッフの位置情報の取得は、光学画像に基づいて求められるものに限定されるものではない。例えば、各スタッフの位置情報の取得は、位置センサを用いて求められてもよい。その場合について説明する。
【0076】
図10は、X線撮影装置1の第1変形例の機能を示すブロック図である。なお、図10において、図3と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0077】
位置取得機能F3は、位置センサPによって取得された位置情報を、スタッフに対応させる。
【0078】
位置センサPは、自身、つまり位置センサPを携帯するスタッフの位置情報[X,Z]を検出する。位置センサPの位置情報は、マルチ衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System Profile)、全地球測位システム(GPS:Global Positioning Satellite)、磁場センサ、Kinect(登録商標)などの画像センサ、又は、それらの組み合わせ等を利用してそれぞれ取得される。マルチGNSSやGPSが利用される場合、位置センサPが、複数の衛星から電波で送信された信号を受信し、その送信時刻を測定することで、位置センサPの位置情報が取得される。
【0079】
位置センサPとして磁場センサが利用される場合、磁場送信器が3軸の磁場を順次送信し、その磁場を位置センサPで受信することにより、位置センサPの位置情報が取得される。
【0080】
メモリ82は、位置テーブルを予め記憶する。図11は、第1~第6のスタッフm1~m6に、第1~第6のスタッフm1~m6がそれぞれ携帯する位置センサPの識別情報p1~p6を対応付けた位置テーブルを示す図である。位置取得機能F3は、位置テーブルを参照して、位置センサによって取得された位置情報を、識別情報に対応するスタッフに対応させる。例えば、位置取得機能F3は、位置テーブルを参照して、位置センサPによって取得された位置情報[x1,z1]を、識別情報p1に対応する第1のスタッフm1に対応させる。
【0081】
表示制御機能F6は、図8(A),(B)に示すように、各スタッフの位置情報と被ばく線量との関係を示す関係情報を手技室ディスプレイ5に識別可能に表示させることができる。なお、図8(A)では、時刻が進むにつれて更新される光学画像にエリアEv,Ewを示すグラフィックを重畳して重畳画像を生成する場合について図示している。しかしながら、その場合に限定されるものではない。X線撮影装置1の第1変形例では、光学画像は位置情報の取得に用いられないため、光学画像を順次取得する必要はない。そのため、スタッフが居ない時に手技室内を撮影して取得された静止画像としての光学画像上に、グラフィックを表示して重畳画像を生成してもよい。その場合の表示例を図12に示す。図12に示す場合、図8(A)とは異なり、重畳画像にスタッフが含まれていない。図12に示す表示であっても、図8(A)の表示と同等の効果がある。
【0082】
以上のように、X線撮影装置1及び医用情報処理装置8の第1変形例によれば、上述したように、手技室内に居る第1~第6のスタッフm1~m6の位置情報[x1,z1]~[x6,z6]と、被ばく線量g1~g6とを関連付けて記録することで、手技中に手技室内に居る第1~第6のスタッフm1~m6の被ばく線量を表示することができる。
【0083】
(第2変形例)
【0084】
関連付け機能F5は、位置情報に関連付けされた被ばく線量が一定期間で閾値以上上昇した場合と、位置情報に関連付けされた被ばく線量の積算値が閾値(任意に設定可能)を超えた場合と、位置情報が示す位置が閾値以上の被ばく線量が見込まれるエリア(例えば、図8に示すエリアEv)に入った場合とのうち少なくとも1つが発生した場合に、ライブで医用情報処理装置8のスピーカ(図示省略)から警告音(例えば、ブザー、アラーム)を出力するように構成してもよい。また、その場合、表示制御機能F6は、手技室ディスプレイ5にライブで警告表示させてもよい。
【0085】
図13(A)は、時刻t0から時刻t1に亘る第6のスタッフm6の移動を示す図である。図13(A)に示すように、時刻t0でエリアEv外に居た第6のスタッフm6が時刻t1でエリアEv内に入ってきた場合、関連付け機能F5は、手技室ディスプレイ5に警告表示させる。図13(B)は、警告の表示例を示す図である。
【0086】
時刻t0から時刻t1に亘り第6のスタッフm6が、エリアEv外からエリアEv内に移動した場合、表示制御機能F6は、図13(B)に示すように、警告表示を行うことができる。例えば、表示制御機能F6は、第6のスタッフm6について、時刻t0の被ばく線量(低被ばく線量)を示す縦棒と、移動後の時刻t1の被ばく線量(高被ばく線量)を示す縦棒とを表示し、かつ、時刻t1の被ばく線量を示す縦棒を強調することで、警告表示を行うことができる。また、表示制御機能F6は、警告メッセージ「警告」をポップアップしてもよい。
【0087】
また、表示制御機能F6は、警告表示の他に、被ばく線量が小さいエリアを手技室ディスプレイにライブ表示することで、当該エリアをスタッフに提供することもできる。メモリ82には、過去の情報として、位置情報[x1,z1]~[x6,z6]と、被ばく線量g1~g6とが関連付けて記録されている。そこで、表示制御機能F6は、被ばく線量が小さい位置を含むエリアを表示することができる。さらに、表示制御機能F6は、X線照射条件(後述する第3変形例参照)の切り替え前に、次のX線照射条件における照射エリアの被ばく線量(分布)を予測して表示してもよい。この分布に基づいて、被ばく線量が高いと予測されるエリアにいるスタッフに、より被ばく線量が低いと予測されるエリアへの移動を促すことができるし、スタッフの立ち位置を提案することもできる。なお、被ばく線量の予測方法として、X線照射条件による散乱線予測情報も使用してもよい。
【0088】
(第3変形例)
【0089】
関連付け機能F5は、時間情報に、さらに照射情報(例えば、撮影方法、X線照射条件)のログ(Log)を関連付けてメモリ82に記録することもできる。その場合、表示制御機能F6は、X線照射情報に基づく被ばく線量の分布を手技室ディスプレイ5(及び/又は制御室ディスプレイ85)に表示させる。例えば、表示制御機能F6は、X線照射情報に基づく被ばく線量の分布を等高線で表示することができる。
【0090】
図14は、照射情報の履歴を示す図である。照射情報としての撮影方法は、撮影対象「Cardiac」を意味する。
【0091】
また、照射情報としてのX線照射条件は、X線照射部27のX線焦点位置[X,Y,Z]、X線照射角度、透視条件、撮影条件などを意味する。関連付け機能F5は、Cアーム26を移動(円弧動及び回転動)するためのローラ(図示省略)に取り付けられるロータリーエンコーダのエンコーダ情報や、鉛直軸回転部23(又は懸垂アーム24)を移動するためのローラ(図示省略)に取り付けられるロータリーエンコーダのエンコーダ情報などに基づいて、X線照射部27のX線焦点位置及びX線照射角度を求めることができる。ロータリーエンコーダは、Cアーム26などを移動させるローラの回転の機械的変位量を電気信号に変換し、その電気信号を処理することで、配置情報の基礎となるエンコーダ情報を検出するセンサである。
【0092】
また、関連付け機能F5は、X線撮影が透視である場合の管電圧、管電流を予め取得することができるし、透視が行われる時間を求められることもできる。同様に、関連付け機能F5は、X線撮影が撮影である場合の管電圧、管電流を予め取得することができるし、撮影が行われる時間を求められることもできる。なお、手技中にX線照射条件が変更されると、新しいログが生成される。
【0093】
図15は、X線撮影装置1の第3変形例において、各スタッフの位置情報と被ばく線量との関係を示す関係情報の表示例を示す図である。図15に示すように、表示制御機能F6は、X線照射情報に基づく被ばく線量の分布を等高線で表示することができる。
【0094】
以上のように、X線撮影装置1及び医用情報処理装置8の第3変形例によれば、手技室内に居る第1~第6のスタッフm1~m6の位置情報[x1,z1]~[x6,z6]と、被ばく線量の分布とを関連付けて記録することで、手技中に手技室内に居る第1~第6のスタッフm1~m6の被ばく線量を表示することができる。
【0095】
(第4変形例)
【0096】
線量取得機能F4は、光学カメラCの撮影で得られた複数の光学画像からなる光学画像セットに基づいて、被ばく線量の変化量を取得してもよい。線量取得機能F4は、光学画像セットに基づいて、直接的に被ばく線量の変化量を取得してもよいが、光学画像セットに基づいて動き情報を生成し、動き情報に基づいて被ばく線量の変化量を取得してもよい。動き情報とは、手技室内におけるスタッフMの移動や、薬品などの物を取るなどの手の動きを示す情報を意味する。以下、線量取得機能F4が、一次的に光学画像セットに基づいて動き情報を生成し(後述する図16図17)、二次的に動き情報に基づいて被ばく線量の変化量を取得する(後述する図18図19)場合について説明する。
【0097】
光学画像セットに基づいて動き情報を生成する処理には、例えば、光学画像セットと動き情報とを関連付けたルックアップテーブル(LUT)が用いられてもよい。また、この処理には、機械学習が用いられてもよい。また、機械学習としてCNN(畳み込みニューラルネットワーク)や畳み込み深層信念ネットワーク(CDBN:Convolutional Deep Belief Network)等の、多層のニューラルネットワークを用いた深層学習が用いられてもよい。
【0098】
ここでは、線量取得機能F4がニューラルネットワークNaを含み、深層学習を用いて、光学画像セットに基づいて、動き情報を生成する場合の例を示す。つまり、線量取得機能F4は、光学画像セットに基づいて動き情報を生成するための学習済みモデルに対して、手技室内の光学画像セットを逐次入力することで、スタッフMの動き情報を生成する。
【0099】
図16は、学習時におけるデータフローの一例を示す説明図である。
【0100】
線量取得機能F4は、トレーニングデータが多数入力されて学習を行うことにより、パラメータデータPaを逐次的に更新する。トレーニングデータは、トレーニング入力データとしての光学画像セットE1,E2,E3,…と、動き情報F1,F2,F3,…との組みからなる。光学画像セットE1,E2,E3,…は、トレーニング入力データ群Eを構成する。動き情報F1,F2,F3,…は、トレーニング出力データ群Fを構成する。動き情報F1,F2,F3,…はそれぞれ、対応する光学画像セットE1,E2,E3,…に関する動き情報であることが好適である。
【0101】
線量取得機能F4は、トレーニングデータが入力されるごとに、光学画像セットE1,E2,E3,…をニューラルネットワークNaで処理した結果が動き情報F1,F2,F3,…に近づくようにパラメータデータPaを更新していく、いわゆる学習を行う。一般に、パラメータデータPaの変化割合が閾値以内に収束すると、学習は終了と判断される。以下、学習後のパラメータデータPaを特に学習済みパラメータデータPa´という。なお、トレーニング入力データの種類と図16に示す運用時の入力データの種類は一致させるべきことに注意する。
【0102】
図17は、運用時におけるデータフローの一例を示す説明図である。
【0103】
運用時には、線量取得機能F4は、光学画像セットE´、例えば、時刻t1~t50の光学画像セットE´を入力し、学習済みパラメータデータPa´を用いて動き情報を出力する。
【0104】
なお、ニューラルネットワークNaと学習済みパラメータデータPa´は、学習済みモデル100を構成する。ニューラルネットワークNaは、プログラムの形態でメモリ82に記憶される。学習済みパラメータデータPa´は、メモリ82に記憶されてもよいし、ネットワーク(図示省略)を介してX線撮影装置1に接続された記憶媒体に記憶されてもよい。この場合、処理回路81のプロセッサにより実現される線量取得機能F4は、メモリ82から学習済みモデル100を読み出して実行することで、光学画像セットE´に基づいて、動き情報F´を生成する。なお、学習済みモデル100は、ASIC、FPGA等の集積回路によって構築されてもよい。
【0105】
また、線量取得機能F4は、スタッフMの動き情報に基づいて、スタッフMの被ばく線量の変化量を生成する。
【0106】
図18は、学習時におけるデータフローの一例を示す説明図である。
【0107】
線量取得機能F4は、トレーニングデータが多数入力されて学習を行うことにより、パラメータデータPbを逐次的に更新する。トレーニングデータは、トレーニング入力データとしての動き情報F1,F2,F3,…と、被ばく線量の変化量G1,G2,G3,…との組みからなる。動き情報F1,F2,F3,…は、トレーニング入力データ群Fを構成する。被ばく線量の変化量G1,G2,G3,…は、トレーニング出力データ群Gを構成する。被ばく線量の変化量G1,G2,G3,…はそれぞれ、対応する動き情報F1,F2,F3,…に関する被ばく線量の変化量であることが好適である。
【0108】
線量取得機能F4は、トレーニングデータが入力されるごとに、動き情報F1,F2,F3,…をニューラルネットワークNbで処理した結果が被ばく線量の変化量G1,G2,G3,…に近づくようにパラメータデータPbを更新していく、いわゆる学習を行う。
【0109】
図19は、運用時におけるデータフローの一例を示す説明図である。
【0110】
運用時には、線量取得機能F4は、動き情報F´を入力し、学習済みパラメータデータPb´を用いて動き情報を出力する。
【0111】
なお、ニューラルネットワークNbと学習済みパラメータデータPb´は、学習済みモデル101を構成する。ニューラルネットワークNbは、プログラムの形態でメモリ82に記憶される。学習済みパラメータデータPb´は、メモリ82に記憶されてもよいし、ネットワーク(図示省略)を介してX線撮影装置1に接続された記憶媒体に記憶されてもよい。この場合、処理回路81のプロセッサにより実現される線量取得機能F4は、メモリ82から学習済みモデル101を読み出して実行することで、動き情報F´に基づいて、被ばく線量の変化量G´を生成する。なお、学習済みモデル101は、ASIC、FPGA等の集積回路によって構築されてもよい。
【0112】
このように、線量取得機能F4は、スタッフMの動き情報と被ばく線量の変化量との関係を学習した学習済モデルの出力に基づいて被ばく線量の変化量を取得する。そして、表示制御機能F6は、被ばく線量の変化量を対応させて手技室ディスプレイ5(及び/又は制御室ディスプレイ85)に表示させる。
【0113】
以上のように、X線撮影装置1及び医用情報処理装置8の第4変形例によれば、手技室内に居る第1~第6のスタッフm1~m6の、被ばく線量の変化量が大きい動作を提供することができる。
【0114】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、手技中に手技室内に居る各医療スタッフの位置に対応した被ばく線量を表示することができる。
【0115】
なお、X線撮影制御機能F1は、X線撮影制御部の一例である。光学撮影制御機能F2は、光学撮影制御部の一例である。位置取得機能F3は、位置取得部の一例である。線量取得機能F4は、線量取得部の一例である。関連付け機能F5は、関連付け部の一例である。表示制御機能F6は、表示制御部の一例である。
【0116】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0117】
以上の実施形態に関し、発明の一側面及び選択的な特徴として以下の付記を開示する。
【0118】
(付記1)
手技室内に配置されるX線照射部と、
前記X線照射部を使用した手技中において、前記手技室内に居る複数のスタッフの各スタッフの位置情報を順次取得する位置取得部と、
線量計から前記各スタッフの被ばく線量を順次取得する線量取得部と、
時間情報に、前記各スタッフの前記位置情報と、前記各スタッフの前記被ばく線量とを関連付けて記憶部に順次記録する関連付け部と、
前記各スタッフの前記位置情報と前記被ばく線量との関係を示す関係情報を表示部に識別可能に表示させる表示制御部と、
を有するX線撮影装置。
【0119】
(付記2)
【0120】
前記位置取得部は、前記手技室の出入口を撮影する第2の光学カメラから取得された第2の光学画像で顔認証処理を行うことで、前記手技室内を撮影する第1の光学カメラによる第1の光学画像上の出入口から入室したスタッフを、前記複数のスタッフのいずれかとして認識する。前記位置取得部は、前記第1の光学画像上の出入口付近で認識されたスタッフを複数フレームの前記第1の光学画像によりトラッキングする。
【0121】
(付記3)
【0122】
前記位置取得部は、斜め上方から手技室内を撮影する第3の光学カメラから取得された第3の光学画像で顔認証処理を行うことで、前記手技室内を撮影する第1の光学カメラによる第1の光学画像上で対応する位置に居るスタッフを、前記複数のスタッフのいずれかとして認識することができる。
【0123】
(付記4)
前記位置取得部は、前記手技室内を撮影する光学画像上で出入口付近に居るスタッフを、識別情報が登録されたICカードからリーダが読み込んだ識別情報に対応する、前記複数のスタッフのいずれかとして認識する。前記位置取得部は、前記光学画像上の出入口付近で認識されたスタッフを複数フレームの前記光学画像によりトラッキングする。
【符号の説明】
【0124】
1…X線撮影装置
5…手技室ディスプレイ
8…医用情報処理装置
27…X線照射部
81…処理回路
82…メモリ
85…制御室ディスプレイ
F1…X線撮影制御機能
F2…光学撮影制御機能
F3…位置取得機能
F4…線量取得機能
F5…関連付け機能
F6…表示制御機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2023-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手技室内に配置されるX線照射部と、
前記X線照射部を使用した手技中において、前記手技室内に居る複数のスタッフの各スタッフの位置情報を順次取得する位置取得部と、
線量計から前記各スタッフの被ばく線量を順次取得する線量取得部と、
時間情報に、前記各スタッフの前記位置情報と、前記各スタッフの前記被ばく線量とを関連付けて記憶部に順次記録する関連付け部と、
前記各スタッフの前記位置情報と前記被ばく線量との関係を示す関係情報を表示部に識別可能に表示させる表示制御部と、
を有するX線撮影装置。
【請求項2】
前記各スタッフに、前記各スタッフが携帯する線量計の識別情報を対応付けた線量計テーブルを記憶する前記記憶部をさらに有し、
前記関連付け部は、前記線量計テーブルを参照して、前記線量計によって取得された被ばく線量を、前記識別情報に対応するスタッフに関連付ける、
請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項3】
前記手技室内を撮影する光学カメラの動作を制御して光学撮影を実行させることで、前記手技室内を表示する光学画像を順次取得する光学撮影制御部をさらに有し、
前記位置取得部は、前記光学画像上で前記各スタッフの位置情報を順次取得する、
請求項2に記載のX線撮影装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記各スタッフに、前記各スタッフが携帯する位置センサの識別情報を対応付けた位置テーブルを記憶し、
前記位置取得部は、前記位置テーブルを参照して、前記位置センサによって取得された位置情報を、前記識別情報に対応するスタッフに対応させる、
請求項2に記載のX線撮影装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記被ばく線量の大きさにより、前記被ばく線量が多いエリアと、前記被ばく線量が少ないエリアとを分類し、前記手技室を撮影した取得された光学画像に、前記被ばく線量が多いエリアと前記被ばく線量が少ないエリアとを重畳して重畳画像を生成し、前記重畳画像を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記重畳画像と、前記被ばく線量の大きさを示すグラフと、時間の進行情報を示すバーとを前記表示部に表示させ、かつ、前記被ばく線量の変化量が大きい時刻を識別可能に前記バーに表示させる、
請求項5に記載のX線撮影装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記バーに表示された前記被ばく線量の変化量が大きい時刻の選択を受け付けると、選択された時刻に対応する重畳画像と、被ばく線量の大きさを示すグラフとを前記表示部に表示させる、
請求項6に記載のX線撮影装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記被ばく線量の大きさを示すグラフを前記表示部にさらに表示させる、
請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記時間情報に基づいて、前記関係情報を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、前記被ばく線量が一定期間で閾値以上上昇した場合と、前記被ばく線量の積算値が閾値を超えた場合と、前記位置情報が示す位置が閾値以上の被ばく線量が見込まれるエリアに入った場合とのうち少なくとも1つが発生した場合に、前記表示部に警告を表示させる、
請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項11】
前記関連付け部は、前記時間情報に、さらにX線照射情報を関連付けて前記記憶部に記録し、
前記表示制御部は、前記X線照射情報に基づく被ばく線量の分布を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項12】
前記線量取得部は、前記手技室を撮影した取得された光学画像とスタッフの動き情報との関係を学習した学習済モデルの出力に基づいて前記各スタッフの動き情報を取得する、
請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項13】
前記線量取得部は、前記スタッフの動き情報と被ばく線量の変化量との関係を学習した学習済モデルの出力に基づいて被ばく線量の変化量を取得し、
前記表示制御部は、取得された前記被ばく線量の変化量を前記各スタッフの前記位置情報に対応させて前記表示部に表示させる、
請求項1ないし12のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項14】
手技室内に配置されるX線照射部を使用した手技中において、前記手技室内に居る複数のスタッフの各スタッフの位置情報を順次取得する位置取得部と、
線量計から前記各スタッフの被ばく線量を順次取得する線量取得部と、
時間情報に、前記各スタッフの前記位置情報と、前記各スタッフの前記被ばく線量とを関連付けて記憶部に順次記録する関連付け部と、
前記各スタッフの前記位置情報と前記被ばく線量との関係を示す関係情報を表示部に識別可能に表示させる表示制御部と、
を有する医用情報処理装置。
【請求項15】
前記各スタッフに、前記各スタッフが携帯する線量計の識別情報を対応付けた線量計テーブルを記憶する前記記憶部をさらに有し、
前記関連付け部は、前記線量計テーブルを参照して、前記線量計によって取得された被ばく線量を、前記識別情報に対応するスタッフに関連付ける、
請求項14に記載の医用情報処理装置。
【請求項16】
前記手技室内を撮影する光学カメラの動作を制御して光学撮影を実行させることで、前記手技室内を表示する光学画像を順次取得する光学撮影制御部をさらに有し、
前記位置取得部は、前記光学画像上で前記各スタッフの位置情報を順次取得する、
請求項14に記載の医用情報処理装置。
【請求項17】
前記表示制御部は、前記被ばく線量の大きさを示すグラフを前記表示部にさらに表示させる、
請求項14に記載の医用情報処理装置。
【請求項18】
前記表示制御部は、前記時間情報に基づいて、前記関係情報を前記表示部に表示させる、
請求項14に記載の医用情報処理装置。
【請求項19】
コンピュータに、
手技室内に配置されるX線照射部を使用した手技中において、前記手技室内に居る複数のスタッフの各スタッフの位置情報を順次取得する機能と、
線量計から前記各スタッフの被ばく線量を順次取得する機能と、
時間情報に、前記各スタッフの前記位置情報と、前記各スタッフの前記被ばく線量とを関連付けて記憶部に順次記録する機能と、
前記各スタッフの前記位置情報と前記被ばく線量との関係を示す関係情報を表示部に識別可能に表示させる機能と、
を実現させる医用情報処理プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
図4の説明に戻って、X線撮影制御機能F1は、ステップST2によって開始されたX線撮影を終了するか否かを判断する(ステップST8)。ステップST8の判断によりYES、つまり、ステップST2によって開始されたX線撮影を終了すると判断された場合、光学撮影制御機能F2は、ステップST1によって開始された光学撮影を終了させX線撮影制御機能F1は、ステップST2によって開始されたX線撮影終了させる(ステップST9)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
図9は、関係情報の表示例を示す図である。図9(A)は、図8(A)に示す重畳画像と図8(B)に示す重畳画像とが同一画面上でライブ表示される場合の表示例である。図9(A)には、X線撮影の開始時刻から現在時刻までの時間幅を示すシークバーVが示される。各スタッフが手技室入力IF7(図1に図示)を介してシークバーV上のある時刻を選択すると、又は、シークバーV上のスライダを所定の時刻まで左側に動かすと、当該時刻における被ばく線量を示す重畳画像が上方に表示される。なお、被ばく線量は、積算値であってもよい。また、シークバーVの該当時刻に、被ばく線量の変化量(第4変形例で説明する)が大きい時刻を関連付けてもよい(図中の記号「▼」)。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
図9(B)は、図8(A)に示す重畳画像と図8(B)に示す重畳画像とが同一画面上で再生表示される場合の表示例である。図9(B)には、X線撮影の開始時刻からX線撮影の終了時刻までの時間幅を示すシークバーVが示される。スタッフMが手技室入力IF7(図1に図示)を介してシークバーV上のある時刻を選択すると、又は、シークバーV上のスライダを所望の時刻まで左右に動かすと、当該時刻における被ばく線量を示す重畳画像が上方に表示される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0110
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0110】
運用時には、線量取得機能F4は、動き情報F´を入力し、学習済みパラメータデータPb´を用いて被ばく線量の変化量を出力する。