(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162800
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
A47B 96/04 20060101AFI20231101BHJP
A47G 5/00 20060101ALI20231101BHJP
A47B 13/00 20060101ALN20231101BHJP
A47B 17/00 20060101ALN20231101BHJP
【FI】
A47B96/04 Z
A47G5/00 Z
A47B13/00 Z
A47B17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073453
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000109923
【氏名又は名称】トーソー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】河野 恵美子
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NQ02
3B053NQ07
3B053NQ09
3B053NQ10
3B053SE10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】飛散防止を図りながら意匠性に優れ、調光を可能とした遮蔽装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の遮蔽装置(1)においては、正面側および背面側に配される2枚の透明板(2,4)と、2枚の透明板(2,4)の間に配置され、所定の透過性を有すると共に所定の意匠が施されたシート状部材(6)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面側および背面側に配される2枚の透明板と、
前記2枚の透明板の間に配置され、所定の透過性を有すると共に所定の意匠が施されたシート状部材と、
を備える遮蔽装置。
【請求項2】
前記遮蔽装置は、前記2枚の透明板の間に前記シート状部材を挟み付けた状態で固定する固定具と
を備える請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項3】
前記シート状部材には、抜き柄が形成されている
請求項2に記載の遮蔽装置。
【請求項4】
前記抜き柄は、所定の絵柄、ストライプ柄またはボーダー柄である
請求項3に記載の遮蔽装置。
【請求項5】
前記固定具は、前記2枚の透明板および前記シート状部材を一体に供締めするボルトおよびナット、もしくはネジである
請求項2に記載の遮蔽装置。
【請求項6】
前記固定具は、前記前記2枚の透明板および前記シート状部材を挟み付けた状態で固定する止め具である
請求項2に記載の遮蔽装置。
【請求項7】
前記2枚の透明板は、互いに向き合う面に前記シート状部材を収容する袋構造体を有する
請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項8】
前記2枚の透明板の間に前記シート状部材を挟み付けた状態において、前記シート状部材を保持可能な前記固定具としての滑り止めシートが前記透明板または前記シート状部材に設けられている
請求項2に記載の遮蔽装置。
【請求項9】
前記シート状部材は、複数枚が重ねられた状態で前記2枚の透明板の間に挟み付けられている
請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項10】
前記シート状部材は、1枚が透明部分および非透明部分が交互に形成されたストライブ柄を有する第1のシートと、他の1枚が前記ストライプ柄を有すると共に把持可能なタブを有する第2のシートとからなる
請求項9に記載の遮蔽装置。
【請求項11】
正面側の前記シート状部材と背面側の前記シート状部材との間には、滑りを向上させる滑り促進シートが配置されている
請求項1に記載の遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽装置に関し、例えば、飛散防止かつ透過性を変更可能な遮蔽装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遮蔽装置において、飛散防止対策としてはアクリル等の透明板や、すりガラス状板、ポリプロピレンを原料としたプラスチック製のダンボールである所謂プラダン等を用いて遮蔽するものが一般的に存在する。
【0003】
また、透過性を変更可能な遮蔽装置としては、調光タイプのロールスクリーンや穴空きタイプのロールスクリーン等が存在する。さらに、意匠性を向上させるための遮蔽装置(例えば意匠付きパーテーション)も一般的に存在している。
【0004】
飛散防止および対面認識性を兼ね備えた透明板が必要となる場面もあるが、パーテーションとしては、対面者の視線が気になる等の懸念もある。対面者の視線を和らげるものとしては、すりガラス調板がある。しかしながら、すりガラス調板は、対面者の視線を和らげる機能を満たすことができるものの、単調な意匠となってしまう。
【0005】
その対策として、例えば意匠性を付与したフィルムや生地等をすりガラス調板に貼り付けることが考えられる。また、水平方向に立設した2~3個の木製の架台に対して1~2個の平板状のガラス基板を組み立てることが可能であり、かつ、仕切り間隔の調整を可能にした飛沫飛散防止用遮蔽具において、ガラス基板の表面に装飾模様、並びに、文字標識的表示をプリントしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かかる特許文献1の飛沫飛散防止用遮蔽具においては、ガラス基板の表面のプリントによって意匠性を向上することはできるが、片面に対してのみプリントした場合、両面の意匠が異なってしまう。仮に意匠性が向上したとしても、両面の意匠が異なるために見通し感は悪くなると共に圧迫感をもたらすこともある。また、ガラス基板に直接意匠をプリントしているため、意匠の絵柄を交換することができず、調光することもできなかった。
【0008】
したがって、本発明は、上記の課題に鑑みて為されたものであり、飛散防止を図りながら意匠性に優れ、調光を可能とした遮蔽装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、以下の本発明によって達成される。即ち、本発明の遮蔽装置においては、正面側および背面側に配される2枚の透明板と、前記2枚の透明板の間に配置され、所定の透過性を有すると共に所定の意匠が施されたシート状部材と、を備える。
【0010】
本発明において、前記遮蔽装置は、前記2枚の透明板の間に前記シート状部材を挟み付けた状態で固定する固定具と、を備えることが好ましい。
【0011】
本発明において、前記シート状部材には、抜き柄が形成されていることが好ましい。
【0012】
本発明において、前記抜き柄は、所定の絵柄、ストライプ柄またはボーダー柄であることが好ましい。
【0013】
本発明において、前記固定具は、前記2枚の透明板および前記シート状部材を一体に供締めするボルトおよびナット、もしくはネジであることが好ましい。
【0014】
本発明において、前記固定具は、前記前記2枚の透明板および前記シート状部材を挟み付けた状態で固定する止め具であることが好ましい。
【0015】
本発明において、前記2枚の透明板は、互いに向き合う面に前記シート状部材を収容する袋構造体を有することが好ましい。
【0016】
本発明において、前記2枚の透明板の間に前記シート状部材を挟み付けた状態において、前記シート状部材を保持可能な前記固定具としての滑り止めシートが前記透明板または前記シート状部材に設けられていることが好ましい。
【0017】
本発明において、前記シート状部材は、複数枚が重ねられた状態で前記2枚の透明板の間に挟み付けられていることが好ましい。
【0018】
本発明において、前記シート状部材は、1枚が透明部分および非透明部分が交互に形成されたストライブ柄を有する第1のシートと、他の1枚が前記ストライプ柄を有すると共に把持可能なタブを有する第2のシートとからなることが好ましい。
【0019】
本発明において、正面側の前記シート状部材と背面側の前記シート状部材との間には、滑りを向上させる滑り促進シートが配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、飛散防止を図りながら意匠性に優れ、見通し感を調整できる遮蔽装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の実施の形態にかかる遮蔽装置のコンセプトの説明に供する斜視図(A)、シート状部材のバリエーションを示す平面図(B)、(C)である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態にかかる止め具の具体例として蝶番を用いた場合の構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態にかかる遮蔽装置において滑り止めシートが取り付けられた構成を示す斜視図(A),(B)である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態において2枚の透明板の間にシート状部材を挟み付けて保持する固定具の構成を示す平面図である。
【
図5】本発明の第2の実施の形態において2枚の透明板の間に設けた袋構造体の構成を示す斜視図(A)および平面図(B)である。
【
図6】本発明の第4の実施の形態にかかる遮蔽装置のコンセプトの説明に供する斜視図(A)、部分拡大図(B)および平面図(C)である。
【
図7】本発明の第4の実施の形態にかかる遮蔽装置において調光を行う方法の説明に供する図である。
【
図8】本発明の第4の実施の形態における変形例を示す図である。
【
図9】本発明の第4の実施の形態にかかる遮蔽装置の他の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔実施の形態の概要〕
まず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
【0023】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態にかかる遮蔽装置(1,20,30)においては、正面側および背面側に配される2枚の透明板(2,4)と、2枚の透明板(2,4)の間に配置され、所定の透過性を有すると共に所定の意匠が施されたシート状部材(6,43,44,43s,44s)と、を備える。
【0024】
〔2〕上記遮蔽装置(1,20,30)は、2枚の透明板(2,4)の間にシート状部材(6,43,44,43s,44s)を挟み付けた状態で固定する固定具(7,9,10,11,25,48)と、を備える。
【0025】
〔3〕上記遮蔽装置(1,20,30)において、シート状部材(6,43,44,43s,44s)には、抜き柄(61,43w,44w,43sw,44sw)が形成されている。
【0026】
〔4〕上記遮蔽装置(1,20,30)において、抜き柄(61,43w,44w,43sw,44sw)は、所定の絵柄、ストライプ柄またはボーダー柄である。
【0027】
〔5〕上記遮蔽装置(1)において、固定具(7)は、2枚の透明板(2,4)およびシート状部材(6)を一体に供締めするボルト(7)およびナット、もしくはネジである。
【0028】
〔6〕上記遮蔽装置(1)において、固定具(10)は、2枚の透明板(2,4)およびシート状部材(6)を挟み付けた状態で固定する止め具(10)である。
【0029】
〔7〕上記遮蔽装置(1)において、2枚の透明板(2,4)は、互いに向き合う面にシート状部材(6)を収容する袋構造体(25)を有する。
【0030】
〔8〕上記遮蔽装置(1)において、2枚の透明板(2,4)の間にシート状部材(43,44)を挟み付けた状態において、シート状部材(43)を保持可能な固定具としての滑り止めシート(48)が透明板(2,4)またはシート状部材(6)に設けられている。
【0031】
〔9〕上記遮蔽装置(1)において、シート状部材(43,44,43s,44s)は、複数枚が重ねられた状態で2枚の透明板(2,4)の間に挟み付けられている。
【0032】
〔10〕上記遮蔽装置(1)において、シート状部材(43,44,43s,44s)は、1枚が透明部分(43w,44w,43sw,44sw)および非透明部分(43b,44b,43sb,44sb)が交互に形成されたストライブ柄を有する第1のシート(43,43s)と、他の1枚がストライプ柄を有すると共に把持可能なタブ(44t,44st)を有する第2のシート(44,44s)とからなる。
【0033】
〔11〕上記遮蔽装置(1)において、正面側のシート状部材(44)と背面側のシート状部材(43)との間には、滑りを向上させる滑り促進シート(49)が配置されている。
【0034】
〔実施の形態〕
以下、本発明の実施の形態については、第1の実施の形態乃至第3の実施の形態に分けて以下、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0035】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる遮蔽装置のコンセプトの説明に供する斜視図(A)、シート状部材のバリエーションを示す平面図(B)、(C)である。
図2は、本発明の第1の実施の形態にかかる止め具の具体例として蝶番を用いた場合の構成を示す斜視図である。
図3は、本発明の第1の実施の形態にかかる遮蔽装置において滑り止めシートが取り付けられた構成を示す斜視図(A),(B)である。
図4は、本発明の第1の実施の形態において2枚の透明板の間にシート状部材を挟み付けて保持する固定具の構成を示す平面図である。
【0036】
なお、以下の実施の形態において、上下とは、重力方向における上下方向を意味し、「水平」といった場合には、重力方向と直交する水平方向を意味する。また、「手前」および「奥」とは紙面における奥行き方向を意味する。ただし、「水平」については、重力方向に対して正確に垂直である必要は無く、略水平と云える範疇は勿論、ある程度斜めであっても、本発明を実現し得る程度の傾きであれば、そのような傾斜をも含む概念とする。
【0037】
第1の実施の形態にかかる遮蔽装置1においては、
図1(A)に示すように、正面側(図中の手前側)に配置された1枚の透明板2、当該透明板2に対して背面側(図中の奥側)に配置された1枚の透明板4、およびこれら2枚の透明板2,4の間に配置された1枚のシート状部材6によって構成されている。
【0038】
透明板2,4は、透過性の高いアクリル板やガラス等の薄板状の全面積において完全な透過性を持つ透過性部材である。ここで、透明板2,4としては、完全な透過性を持つ透過性部材を用いるようにしているが、これに限らず、透明度としては曇りガラスのような透過性のレベルのものを含み、対面者の存在を認識できる程度に目視可能な透明度合いを含むものとする。
【0039】
透明板2,4の四隅には、シート状部材6と共に供締めするための貫通孔2h,4hが設けられている。シート状部材6は、例えば薄い生地からなるシート状の部材である。つまりシート状部材6は、生地であるために透明ではなく非透明な状態にある。但し、これに限るものではなく、生地以外にもプラスチック、フィルム等の非透明のシート状の部材であってもよい。
【0040】
シート状部材6の表面には、任意の形状の貫通孔からなる抜き柄61が形成されている。これにより、シート状部材6では、抜き柄61によって意匠性をもたらすと共に抜き柄61によって部分的に透過性を有している。ここで非透明とは、着色されている場合や、すりガラス調の模様が施されている場合を含むものとする。
【0041】
なお、シート状部材6においても、その四隅に2枚の透明板2,4と共に供締めするための貫通孔6hが四隅に設けられている。すなわち、透明板2,4における4個の貫通孔2h,4hと、シート状部材6における4個の貫通孔6hとは互いに対応した位置に形成されている。
【0042】
透明板2,4の大きさは、シート状部材6よりも全体的に大きく、当該シート状部材6を挟み付けた際にシート状部材6が透明板2,4からはみ出すことなく全て覆うことが可能なサイズである。
【0043】
図1(B)に示すように、シート状部材6には、多様なデザインからなる抜き柄61が形成されている。ここで抜き柄61とは、生地であるシート状部材6に対して任意のデザインが施された形状を有する貫通孔である。
【0044】
したがって、シート状部材6は、例えば植物の絵柄のデザインの抜き柄61であったり、三角形、四角形、六角形などの多角形や、円、楕円、直線などの単純な図形を部品として、それに平行移動、反転、回転、色の変化、拡大・縮小、分割などの操作を加えながら連続して組み合わせ、配列を展開して作成した幾何学模様が組み合わされたようなデザインの抜き柄61を有する。
【0045】
また、
図1(C)に示すように、シート状部材6dは、例えば、ストライプ柄のデザインの抜き柄61を有していたり、シート状部材6eはボーダー柄のデザインの抜き柄61を有したいたり、またはシート状部材6fは複数の矩形状孔柄が規則的に並べられて配置されたデザインの抜き柄61を有することが考えられる。抜き柄61を構成する各種の絵柄についても、シート状部材6の上部のみに配置したり、下部にのみ配置したり、多様は配置場所を選定することが可能である。
【0046】
特に、抜き柄61は、正面側から見ても背面側から見ても違和感のない植物や動物の絵柄や左右対称形の図形等の絵柄が好ましい。この場合、シート状部材6を目視する正面側のユーザおよび背面側のユーザの両者にとって違和感のない意匠となる。
【0047】
このような抜き柄61が施されたシート状部材6が正面側の透明板2と背面側の透明板4との間に挟み付けられた状態において、固定具としてのボルト7およびナットあるいはネジやビス等により互いに対向配置された貫通孔2h,4h,6hを介して供締めすることにより、透明板2,4およびシート状部材6の三者が一体化された遮蔽装置1が形成される。
【0048】
以上の構成において、遮蔽装置1は、正面側に配された透明板2および背面側に配された透明板4によって、正面側に存在するユーザや背面側に存在するユーザからの飛沫が飛散することを遮蔽することができる。したがって、飛沫は透明板2,4に対してのみ付着し、シート状部材6を清潔に保つことができる。
【0049】
また、遮蔽装置1では、2枚の透明板2,4に挟み付けられたシート状部材6に対して所定のデザインの抜き柄61が形成されているため、ユーザは抜き柄61の貫通孔を通して対向者の存在を感じる一方、対向者の視線を気にせずに済む。その際、シート状部材6は、2枚の透明板2,4に挟み付けられているため、抜き柄61の貫通孔からユーザの飛沫が飛散することを防止することができる。
【0050】
また、遮蔽装置1では、シート状部材6の抜き柄61を介して正面側および背面側のユーザに意匠を鑑賞させることができると共に、シート状部材6を交換すれば、異なる意匠を楽しませることができる。
【0051】
さらに、遮蔽装置1では、シート状部材6の抜き柄61(貫通孔)を介して外光を取り込むことができるので、適度な明るさを保つことができる。また、遮蔽装置1は、現在のシート状部材6から抜き柄61のデザインおよび大きさが異なる他のシート状部材6に交換すれば、外光の入射光量を変更することができる。
【0052】
この遮蔽装置1においては、特に架台を設けていないので、2つのデスクの間に挟み付けるように取り付けることにより卓上型のパーテーションとして用いることができる。もちろん、遮蔽装置1は、図示しない架台に支持された状態で床置き型のパーテーションとして用いることも可能である。
【0053】
また、
図2に示すように、第1の実施の形態において、遮蔽装置1では、固定具としてボルト7を用いる代わりに、2つの架台8に対して背面側の透明板4を固定すると共に、固定具としての蝶番9を用いるように構成することが可能である。この場合、正面側の透明板2と背面側の透明板4との間にシート状部材6を挟み付けた構造である点は共通である。
【0054】
但し、この遮蔽装置1では、下側端部の左右2ヶ所において透明板2,4およびシート状部材6を挟み付けた状態で開閉可能に保持する蝶番9を有している。蝶番9は、透明板2,4の上側端部の左右2ヶ所に設けられていてもよく、また、左右の2ヶ所において設けられていてもよい。
【0055】
この場合、遮蔽装置1では、蝶番9を介して透明板4に対して透明板2を手前側に開くことができるので、図示しないシート状部材6(6a乃至6f)を自在かつ容易に交換することが可能である。
【0056】
また、遮蔽装置1では、
図3(A)に示すように透明板2,4のシート状部材6と対向する面、または、
図3(B)に示すように、シート状部材6の表面および/または裏面に対して、2枚の透明板2,4の間にシート状部材6を挟み付けた状態で維持するための矩形状の枠からなる固定具としての滑り止めシート11を貼り付けておくことができる。
【0057】
滑り止めシート11は、シート状部材6との間に生じる摩擦力を介して保持することができる材料からなり、例えばゴムが用いられる。ただし、これに限るものではなく、摩擦力によってシート状部材6の位置がずれることなく保持できれば、樹脂、布、紙等の他の種々の素材であってもよい。
【0058】
なお、滑り止めシート11は必ずしも枠である必要はなく、上下に2本だけ貼り付けてもよく、または左右に2本だけ貼り付けるようにしてもよい。さらに、所定の数箇所に点在するように貼り付けても良い。
【0059】
さらに、
図4に示すように、遮蔽装置1では、固定具としてボルト7や蝶番9を用いる代わりに、上側左右端部または中央に断面コの字状止め具10を用い、2枚の透明板2,4の間にシート状部材6を挟み付けた状態で三者を一体に固定することもできる。
【0060】
コの字状止め具10は、板バネ構造であり、2枚の透明板2,4の間にシート状部材6を強固に挟み付けた状態のまま維持する。コの字状止め具10においても、下側左右端部または下側中央に設けられていてもよく、左右2ヶ所に設けられていてもよい。なお、この場合も、遮蔽装置1は、滑り止めシート11を併用することが可能である。
【0061】
〔第2の実施の形態〕
図5は、本発明の第2の実施の形態において2枚の透明板の間に設けた袋構造体の構成を示す斜視図(A)および平面図(B)である。
【0062】
第2の実施の形態において、
図5(A)および(B)に示すように、遮蔽装置20は、2枚の透明板2,4の間にシート状部材6を収容および固定可能な所定の厚さを有する平面視U字状の固定具としての袋構造体25を有している。
【0063】
したがって遮蔽装置20は、2枚の透明板2,4の間に袋構造体25を間に介在した状態で、当該2枚の透明板2,4および袋構造体25に収容したシート状部材6が一体に固定されている。
【0064】
袋構造体25は、2つの互いに対向配置された側壁部25sと、2つの側壁部25sの下側端部を接続するように水平方向に設けられた底壁部25bとを有している。したがって、遮蔽装置20において、袋構造体25は、2つの側壁部25sと、底壁部25bと、透明板2,4との間にシート状部材6を収容可能な空間が形成され、その空間にシート状部材6を収容し、底壁部25bにおいて下方に落下することなく保持することができる。
【0065】
袋構造体25は、例えばプラスチック、樹脂、布等の種々の素材からなり、
図5(B)に示すように、上側が開放された空間を有しているので、シート状部材6を上側から挿入するだけでよく、挟み付けた状態で保持する必要はない。因みに、遮蔽装置20では、架台8(
図2)を用いて立設した状態で使用することも可能である。
【0066】
〔第3の実施の形態〕
図6は、本発明の第3の実施の形態にかかる遮蔽装置のコンセプトの説明に供する斜視図(A)、部分拡大図(B)および平面図(C)である。
【0067】
図6に示すように、第3の実施の形態において、遮蔽装置30は、下側端部に架台41を有し、2枚の透明板2,4と、その2枚の透明板2,4の間に、挟み付けた状態で保持される2枚のシート状部材43、44を有している。
【0068】
この場合、遮蔽装置30において2枚の透明板2,4には、上側端部および下側端部に対して、2枚のシート状部材43,44を2枚の透明板2,4の間に保持することが可能なスペースを形成するためのスペーサ45、46が取り付けられている。
【0069】
スペーサ45,46は、水平方向に延びる樹脂等の棒状部材からなり、透明板2,4の互いに対向する面の上側および下側に平行に貼り付けられている。つまり遮蔽装置40の透明板2,4は、スペーサ45,46を介して一体化され、架台41の腕部41aおよび41bの間に差し込まれることにより保持されている。
【0070】
シート状部材43,44は、上側のスペーサ45と下側のスペーサ46との間の空間に対して左右両側から差し込むことが可能な上下方向の高さを有し、水平方向の長さは2枚の透明板2,4とほぼ同じか僅かに短い。
【0071】
2枚の透明板2,4の何れか一方または両方の互いに向かい合う面には、シート状部材43,44の位置がずれないように固定する所定の大きさの固定具としての滑り止めシート48が貼り付けられている。
【0072】
滑り止めシート48は、透明板2,4においてシート状部材43の四隅と対応する位置に貼り付けられている。ただし、これに限るものではなく、滑り止めシート48は、シート状部材43の位置がずれないように出来れば任意に場所に貼り付けられていてもよい。
【0073】
なお、この場合、透明板4に滑り止めシート48が貼り付けられているが、透明板2に滑り止めシート48が貼り付けられていてもよい。或いは、その逆にシート状部材43に滑り止めシート48が貼り付けられていてもよい。
【0074】
この場合、シート状部材43,44は、縦ストライプ柄の意匠を有するストライプ柄生地からなり、抜き柄としての透明に近いレース生地部分43w、44wと、非透明な遮光性生地部分43b、44bと、が交互に配置されている。この場合、背面側つまり奥側がシート状部材43であり、正面側つまり手前側がシート状部材44とする。
【0075】
シート状部材43は、左側の端部から非透明な遮光性生地部分43b、透明に近いレース生地部分43w、…と交互に配置され、右側の端部に透明に近いレース生地部分43wが配置されている。
【0076】
因みに、レース生地部分43wが透明に近いと称しているが、実際にはレース生地であるため、透明に近いといってもガラスのような透明性ではなく、対面者の存在を認識できる程度の透明具合である。なお、遮光性生地部分43bとしては、高遮蔽性生地を用いることができるが、これに限らず、中遮光性生地が用いられていてもよい。つまり、レース生地部分43wに比べて対面者の存在を認識できない程度の非透明具合であればよい。
【0077】
一方、シート状部材44は、左側の端部から非透明な遮光性生地部分44b、透明に近いレース生地部分44w、…と交互に配置され、右側の端部においても非透明な遮光性生地部分44bが配置されている。
【0078】
すなわち、シート状部材44は、シート状部材43よりも右側の端部において非透明な遮光性生地部分44wが一つ少ない。ただし、シート状部材44は、右側の端部の非透明な遮光性生地部分44bに対してユーザが手で把持可能な所定の長さのタブ44tが取り付けられている。タブ44tの水平方向の長さ44tdは、非透明な遮光性生地部分44bの水平方向の長さ44btよりも少し長くなっている。
【0079】
したがって、2枚の透明板2,4の間に例えば右側の端部から2枚のシート状部材43,44を左側の端部まで差し込むことにより遮蔽装置30が形成される。このとき、
図7(A)に示すように、遮蔽装置30では、正面側すなわち手前側のシート状部材44におけるタブ44tが透明板2,4の右側端部から外側に僅かに飛び出た状態となる。
【0080】
この場合、正面側のシート状部材44と、背面側のシート状部材43とはストライプ柄が完全に重なることになる。すなわち、シート状部材43の非透明な遮光性生地部分43bの上にシート状部材44の非透明な遮光性生地部分44bが完全に重なり、かつ、シート状部材43の透明に近いレース生地部分43wの上にシート状部材44の透明に近いレース生地部分44wが完全に重なる。これはシート状部材43,44による全開状態であり、透明に近いレース生地部分43w、44wを介して外光の入射光量が最大となる透光状態である。
【0081】
図7(B)に示すように、遮蔽装置30は、正面側のユーザがシート状部材44のタブ44tを掴んで右側へ引っ張ると、背面側のシート状部材43は滑り止めシート48によって移動することなく、正面側のシート状部材44だけが右側へ移動する。
【0082】
これにより、背面側のシート状部材43の透明に近いレース生地部分43wと正面側のシート状部材44の非透明な遮光性生地部分44bとが重なり始める。この時点ではシート状部材43,44による全開状態と全閉状態の中間であり、シート状部材44を動かすことにより入射光量を調整することが可能な半透光状態である。
【0083】
さらに、
図7(C)に示すように、遮蔽装置30は、正面側のユーザがシート状部材44のタブ44tを掴んで更に右側へ引っ張ると、背面側のシート状部材43の透明に近いレース生地部分43wと正面側のシート状部材44の非透明な遮光性生地部分44bとが完全に重なる。
【0084】
この場合、ユーザにとっては透明板2,4越しにシート状部材43,44の非透明な遮光性生地部分43w、44wだけが見えることになる。これはシート状部材43,44による全閉状態であり、外光が一切入らない入射光量ゼロの遮光状態である。ただし、遮光性生地部分43w、44wとして、中遮光性生地が用いられた場合、外部からの光を僅かに感じられる低透光状態となる。
【0085】
したがって遮蔽装置30では、タブ44tを引っ張ることによりユーザの希望に合わせてシート状部材43,44のストライプ柄の重なり具合を調整させることができるので、対面者の存在の気になり具合と、入射光量の兼ね合いとを考慮しながら調光することができる。
【0086】
なお、遮蔽装置30では、縦ストライプ柄のシート状部材43,44を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、
図8に示すように、横ストライプ柄の遮光性生地部分43sb、44sb、および、抜き柄としてのレース生地部分43sw、44sw…と交互に配置されたシート状部材43s、44sを用いるようにしてもよい。この場合、正面側のシート状部材44sをタブ44stによって上下方向に移動することにより調光することが可能である。
【0087】
また、遮蔽装置30では、シート状部材43,44を直接重ねるように配置した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、
図9に示すように、背面側のシート状部材43と正面側のシート状部材44との間に滑りを向上させる透明の滑り促進シート49を配置するようにしてもよい。これにより遮蔽装置30では、タブ44tを引っ張った際に正面側のシート状部材44を滑らかにスライドすることができる。
【0088】
〔本発明の他の実施の形態〕
上述した第1乃至第3の実施の形態においては、2枚の透明2,4の間に1枚のシート状部材6又は2枚のシート状部材43,44を配置するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、透明板の間にシート状部材を挟み付ける構造であれば、複数枚の透明板と複数枚のシート状部材の組み合わせであってもよく、枚数に限定されるものではない。
【0089】
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の遮蔽装置1、20及び30を適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0090】
1,20,30…遮蔽装置、2,4…透明板、6(6a,6b,6c,6d,6e,6f),43,44,43s,44s…シート状部材、2h,4h,6h…貫通孔、61…抜き柄、7…ボルト、8,41…架台、9…蝶番、10…コの字状止め具、11,48…滑り止めシート、25…袋構造体、25s…側壁部、25b…底壁部、43w、44w…レース生地部分、43b,44b…遮光性生地部分、44t…タブ、45,46…スペーサ、49…滑り促進シート。