(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162801
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
A47B 96/04 20060101AFI20231101BHJP
A47G 5/00 20060101ALI20231101BHJP
A47B 13/00 20060101ALN20231101BHJP
A47B 17/00 20060101ALN20231101BHJP
【FI】
A47B96/04 Z
A47G5/00 Z
A47B13/00 Z
A47B17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073454
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000109923
【氏名又は名称】トーソー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】武藤 智徳
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NQ02
3B053NQ09
3B053NQ10
3B053SE10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】飛散防止を十分に図りながら音声については遮ることのない意匠性に優れた遮蔽装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の遮蔽装置(1)においては、正面側および背面側に配される2枚の透明板(2,4)と、前記2枚の透明板(2,4)のうち何れか一方または両方の表面に形成された彫刻加工部と、前記2枚の透明板(2,4)の間に配置されたシート状部材(6)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面側および背面側に配される2枚の透明板と、
前記2枚の透明板のうち何れか一方または両方の表面に形成された彫刻加工部と、
前記2枚の透明板の間に配置されたシート状部材と、
を備える遮蔽装置。
【請求項2】
前記彫刻加工部は、貫通孔加工によって形成されている
を備える請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項3】
前記彫刻加工部は、半抜き加工によって形成されている
請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項4】
前記シート状部材は、透明または非透明である
請求項2または3に記載の遮蔽装置。
【請求項5】
前記シート状部材は、前記彫刻加工部の範囲にのみ配置されている
請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項6】
前記透明板は、前記彫刻加工部の近傍に前記シート状部材を差し込み可能なスリットを有する
請求項5に記載の遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽装置に関し、例えば、飛散を防止する遮蔽装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遮蔽装置においては、飛散防止対策としてはアクリル等の透明板や、すりガラス状板、ポリプロピレンを原料としたプラスチック製のダンボールである所謂プラダン等を用いて遮蔽している。
【0003】
また、卓上用パーテイションとして、透明樹脂板の中央に穿設した穴を介して音声を通過させるが飛沫については通過させないフィルタを設置したものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
パーテイションのセットとして、パーテイション主板の下端面に切り欠き開口が設けられ、その切り欠き開口を通じて対面者と資料等のやりとりを可能としているものが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3233267号公報
【特許文献2】実用新案登録第3234079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる特許文献1の卓上用パーテイションにおいては、穴に取り付けられたフィルタが露出しており、使用者や対面者の手が飛沫の付いたフィルタに触れてしまう恐れがあり、間接的に飛沫に接触するという問題があった。
【0007】
また、特許文献2のパーテイションのセットにおいては、パーテイション主板の切り欠き開口を介して対面者の飛沫を遮蔽することができないという問題があった。
【0008】
したがって、本発明は、上記の課題に鑑みて為されたものであり、飛散防止を十分に図りながら音声については遮ることのない意匠性に優れた遮蔽装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、以下の本発明によって達成される。即ち、本発明の遮蔽装置においては、正面側および背面側に配される2枚の透明板と、前記2枚の透明板のうち何れか一方または両方の表面に形成された彫刻加工部と、前記2枚の透明板の間に配置されたシート状部材と、を備える。
【0010】
前記彫刻加工部は、貫通孔加工によって形成されていることが好ましい。
【0011】
前記彫刻加工部は、半抜き加工によって形成されていることが好ましい。
【0012】
前記シート状部材は、透明または非透明であることが好ましい。
【0013】
前記シート状部材は、前記彫刻加工部の範囲にのみ配置されていることが好ましい。
【0014】
前記透明板は、前記彫刻加工部の近傍に前記シート状部材を差し込み可能なスリットを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、飛散防止を十分に図りながら音声については遮ることのない意匠性に優れた遮蔽装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施の形態にかかる遮蔽装置のコンセプトの説明に供する斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態にかかる遮蔽装置の止め具の具体例として蝶番を用いた場合の構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態にかかる遮蔽装置の透明板に貫通孔加工が施された彫刻加工部の構成を示す斜視図(A),(B)である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態において遮蔽装置の透明板に半抜き加工が施された彫刻加工部の構成を示す平面図である。
【
図5】本発明の第2の実施の形態にかかる遮蔽装置の構成を示す斜視図(A)、(B)および断面図(C)である。
【
図6】本発明の第3の実施の形態にかかる遮蔽装置の構成を示す斜視図(A)、(B)および断面図(C)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔実施の形態の概要〕
まず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
【0018】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態にかかる遮蔽装置(1,20,30)においては、正面側および背面側に配される2枚の透明板(2,4,21,22,31,32)と、2枚の透明板(2,4,21,22,31,32)のうち何れか一方または両方の表面に形成された彫刻加工部(3,5,3s,5s,210,220,310,320)と、2枚の透明板(2,4,21,22,31,32)の間に配置されたシート状部材(6,25,35)と、を備える。
【0019】
〔2〕上記遮蔽装置(1,20,30)において、彫刻加工部(3,5,210,220,310,320)は、貫通孔加工によって形成されている。
【0020】
〔3〕上記遮蔽装置(1,20,30)において、彫刻加工部(3s,5s)は、半抜き加工によって形成されていることが好ましい。
【0021】
〔4〕上記遮蔽装置(1,20,30)において、シート状部材(6)は、透明または非透明である。
【0022】
〔5〕上記遮蔽装置(20,30)において、シート状部材(6)は、彫刻加工部(210,220,310,320)の範囲にのみ配置されていることが好ましい。
【0023】
〔6〕上記遮蔽装置(20,30)において、透明板(21,22,31,32)は、彫刻加工部(210,220,310,320)の近傍にシート状部材(25,35)を差し込み可能なスリット(23,33)を有する。
【0024】
〔実施の形態〕
以下、本発明の実施の形態については、第1の実施の形態乃至第3の実施の形態に分けて以下、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0025】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる遮蔽装置のコンセプトの説明に供する斜視図である。
図2は、本発明の第1の実施の形態にかかる遮蔽装置の止め具の具体例として蝶番を用いた場合の構成を示す斜視図である。
図3は、本発明の第1の実施の形態にかかる遮蔽装置の透明板に貫通孔加工が施された彫刻加工部の構成を示す斜視図(A),(B)である。
図4は、本発明の第1の実施の形態において遮蔽装置の透明板に半抜き加工が施された彫刻加工部の構成を示す平面図である。
【0026】
なお、以下の実施の形態において、上下とは、重力方向における上下方向を意味し、「水平」といった場合には、重力方向と直交する水平方向を意味する。また、「手前」および「奥」とは紙面における奥行き方向を意味する。ただし、「水平」については、重力方向に対して正確に垂直である必要は無く、略水平と云える範疇は勿論、ある程度斜めであっても、本発明を実現し得る程度の傾きであれば、そのような傾斜をも含む概念とする。
【0027】
第1の実施の形態にかかる遮蔽装置1においては、
図1(A)に示すように、正面側(図中の手前側)に配置された1枚の透明板2、当該透明板2に対して背面側(図中の奥側)に配置された1枚の透明板4、およびこれら2枚の透明板2,4の間に配置された1枚のシート状部材6によって構成されている。ただし、シート状部材6は、1枚に限るものではなく、2枚の透明板2,4の間に2枚、3枚等の複数枚のシート状部材を配置するようにしてもよい。
【0028】
透明板2,4は、透過性の高いアクリル板やガラス等の薄板状の全面積において完全な透過性を持つ透過性部材である。ここで、透明板2,4としては、完全な透過性を持つ透過性部材を用いるようにしているが、これに限らず、透明度としては曇りガラスのような透過性のレベルのものを含み、対面者の存在を認識できる程度に目視可能な透明度合いを含むものとする。
【0029】
この透明板2,4の四隅には、シート状部材6と共にボルト7等の固定具により供締めするための貫通孔2h,4hが設けられている。また、シート状部材6においても、その四隅に2枚の透明板2,4と共に供締めするための貫通孔6hが四隅に設けられている。すなわち、透明板2,4における4個の貫通孔2h,4hと、シート状部材6における4個の貫通孔6hとは互いに対応した位置に形成されている。
【0030】
透明板2,4の大きさは、シート状部材6よりも全体的に僅かに大きく、当該シート状部材6を挟み付けた際にシート状部材6が透明板2,4からはみ出すことなく全て覆うことが可能なサイズである。したがって、透明板2,4の間にシート状部材6を配置した状態でボルト7等の固定具により三者は一体に固定される。
【0031】
また、
図2に示すように、第1の実施の形態において、遮蔽装置1では、固定具としてボルト7を用いる代わりに、2つの架台8に対して背面側の透明板4が固定された状態であり、正面側の透明板2と背面側の透明板4との間にシート状部材6(図示せず)を挟み付けることも可能であり、据置きタイプとして用いることができる。
【0032】
但し、この遮蔽装置1では、下側端部の左右2ヶ所において透明板2,4およびシート状部材6を挟み付けた状態で開閉可能に保持する蝶番9を有している。蝶番9は、透明板2,4の上側端部の左右2ヶ所に設けられていてもよく、また、左右の2ヶ所において設けられていてもよい。
【0033】
この場合、遮蔽装置1では、蝶番9を介して透明板4に対して透明板2を手前側に開くことができるので、図示しないシート状部材6を自在かつ容易に交換することが可能である。
【0034】
透明板2,4には、多様な絵柄の彫刻加工部3がそれぞれ形成されている。具体的には、透明板2に形成された彫刻加工部3と、透明板4に形成された彫刻加工部5とは、絵柄が同一かつ同一サイズであり、透明板2,4が重ねられた際に彫刻加工部3の絵柄と彫刻加工部5の絵柄とが完全に一致するものである。
【0035】
ここで、
図3(A)および(B)に示すように、彫刻加工部3,5は、透明板2,4に絵柄に沿った貫通孔加工が施されることにより形成されている。この場合、彫刻加工部3,5としては、例えば猫の絵柄に沿った形状の貫通孔が形成されているが、これに限るものではなく、三角形、四角形、六角形などの多角形や、円、楕円、直線などの単純な図形を部品として、それに平行移動、反転、回転、色の変化、拡大・縮小、分割などの操作を加えながら連続して組み合わせ、配列を展開して作成した幾何学模様に沿った形状の貫通孔であってもよい。
【0036】
また、彫刻加工部3,5としては貫通孔に限るものではなく、
図4(A)および(B)に示すように、半抜き加工によって形成された彫刻加工部3s,5sであってもよい。ここで、半抜き加工とは、透明板2,4を完全に貫通するのではなく、透明板2,4の肉厚を半分程度削り取るような加工である。
【0037】
したがって、半抜き加工により形成された彫刻加工部3s,5sの部分では、透明板2,4の肉厚が薄くなっており、音声が通過し易くなっていると共に、貫通していないので飛沫については完全に遮断することができる。
【0038】
透明板2,4の間に配置されるシート状部材6は、例えば薄い生地からなる非透明なシート状の部材である。但し、これに限るものではなく、生地以外にも薄いプラスチック、フィルム等の透明または非透明のシート状の部材や紙であってもよい。
【0039】
透明板2,4の間にシート状部材6を配置する理由は、貫通孔からなる彫刻加工部3により音声を通過させ易くする一方、シート状部材6の存在によって飛沫については遮断することができるからである。
【0040】
ここで、シート状部材6が布地である場合、洗濯して清潔に保つことが容易である。一方、シート状部材6がプラスチックやフィルム等である場合、汚れを拭き取って清潔に保つことが容易である。さらに、シート状部材6が紙である場合、汚れた紙を交換すれば常に清潔に保つことが容易である。
【0041】
なお、シート状部材6の表面には、彫刻加工部3,5と重ならない位置に種々の絵柄のデザインが施されていてもよい。これにより、シート状部材6では、透明板2,4の彫刻加工部3,5以外にも意匠性をもたらすことができる。
【0042】
以上の構成において、遮蔽装置1は、透明板2,4に形成された貫通孔加工または半抜き加工による彫刻加工部3,5,3s,5sの存在によって音声が通過し易くなっているために対面者の声が遮られることがないにも拘わらず、彫刻加工部3,5,3s,5sから飛沫が通過して対面者に到達することをシート状部材6の存在により確実に防止することができる。
【0043】
遮蔽装置1は、透明板2,4の表面を拭き取ることにより飛沫の汚れを除去できるうえ、シート状部材6を洗濯したり、拭き取ったり、交換すれば、常に清潔な状態を維持することができる。
【0044】
また遮蔽装置1では、透明板2,4の彫刻加工部3,5,3s,5sとシート状部材6の材質や色柄との重なり具合によって、風合いや光の透過度合、音声の通過度合に変化を与えることができる。さらに遮蔽装置1では、部分的にシート状部材6の色柄、透光度を変更することにより、風合いや光の透過度合を更に変化させることができる。
【0045】
さらに遮蔽装置1では、透明板2,4の彫刻加工部3を介して正面側および背面側のユーザに意匠を鑑賞させることができると共に、異なるデザインの彫刻加工部3,5,3s,5sが形成された透明板2,4を交換すれば、異なる意匠を楽しませることができる。
【0046】
遮蔽装置1では、2枚の透明板2,4の彫刻加工部3,5,3s,5sを介して音声が通過し易くなっているために、透明板2,4を介して対面者の存在を感じることができる一方、シート状部材6の存在によって対面者の視線を気にせずに済む。
【0047】
また、遮蔽装置1では、シート状部材6の表面および/または裏面、若しくは、透明板2,4のシート状部材6と対向する面に対して、2枚の透明板2,4の間にシート状部材6を挟み付けた状態で維持するための矩形状の枠からなる滑り止めシート(図示せず)を貼り付けておくことができる。
【0048】
滑り止めシートは、シート状部材6との間に生じる摩擦力を介して保持することができる材料からなり、例えばゴムが用いられる。ただし、これに限るものではなく、摩擦力によってシート状部材6の位置がずれることなく保持できれば、樹脂、布、紙等の他の種々の素材であってもよい。なお、滑り止めシートは必ずしも枠である必要はなく、上下に2本だけ貼り付けてもよく、または左右に2本だけ貼り付けるようにしてもよい。さらに、所定の数箇所に点在するように貼り付けても良い。
【0049】
〔第2の実施の形態〕
図5は、本発明の第2の実施の形態にかかる遮蔽装置の構成を示す斜視図(A)、(B)および断面図(C)である。
【0050】
第2の実施の形態において、
図5(A)乃至(C)に示すように、遮蔽装置20は、2つの架台28に対して正面側の透明板21および背面側の透明板22が固定された状態であり、透明板21、透明板22およびシート状部材としてのフィルタ25を有している。
【0051】
正面側の透明板21および背面側の透明板22のいずれにも、ほぼ中央の位置に複数の貫通孔群からなる彫刻加工部210、220が形成されている。透明板21の彫刻加工部210は、複数の貫通孔が全体的に円形になるように散りばめられた貫通孔群として形成されている。同様に、透明板22の彫刻加工部220についても複数の貫通孔が全体的に円形になるように散りばめられた貫通孔群として形成されている。
【0052】
彫刻加工部210を形成している複数の貫通孔と、彫刻加工部220を形成している複数の貫通孔とは互いに対応する位置に形成されており(
図5(C))、音声が遮られにくい状態に設定されている。ただし、これに限るものではなく、彫刻加工部210を形成している複数の貫通孔と、彫刻加工部220を形成している複数の貫通孔とが互いに対応する位置に形成されていなくてもよい。
【0053】
一方の透明板21における彫刻加工部210の近傍である上側(矢印a方向)には、フィルタ25を差し込み可能な細長いスリット23が形成されている。スリット23は水平方向の細長く延びており、その水平方向の幅は、彫刻加工部210、220の全体の外径よりも長い。なお、他方の透明板22にスリットは形成されていないが、透明板21のスリット23と対向する位置にスリット(図示せず)が形成されていてもよい。
【0054】
このスリット23に挿入可能なフィルタ25は、透明板21の彫刻加工部210および透明板22の彫刻加工部220の双方と対向したときに彫刻加工部210,220の範囲のみを塞ぐことが可能な大きさを有している。
【0055】
具体的には、フィルタ25は、スリット23の幅よりも僅かに小さな幅を有すると共に、彫刻加工部210,220の全体の外径よりも長く、彫刻加工部210,220の範囲に対してのみ配置される。
【0056】
また、フィルタ25は、スリット23の隙間よりも直径の大きい円筒状の抜止め部25sと、その抜止め部25sに巻き付けられた矩形状の不織布等からなるフィルタ部25fとからなり、スリット23の隙間に挿入した際に、抜止め部25sがスリット23に係止されるように構成されている。ここで、フィルタ部25fの材料としては、不織布に限るものではなく、紙、生地、フィルム、プラスチック等のその他種々の材料を用いることができる。
【0057】
これにより、フィルタ25は、透明板21の彫刻加工部210および透明板22の彫刻加工部220の双方と対向配置され、彫刻加工部210および彫刻加工部220を介して飛沫が通過することを防止する一方、不織布で構成されているために音声を遮ることなく通過させることができる。
【0058】
以上の構成において、遮蔽装置20は、透明板21,22の彫刻加工部210,220の存在によって音声が通過し易くなっているために対面者の声が遮られることがないにも拘わらず、フィルタ25の存在によって彫刻加工部210,220から飛沫が通過して対面者に到達することを確実に防止することができる。
【0059】
遮蔽装置20は、第1の実施の形態における遮蔽装置1と同様に、透明板21,22の表面を拭き取ることにより飛沫の汚れを除去できるうえ、フィルタ25を洗濯したり、拭き取ったり、交換すれば、常に清潔な状態を維持することができる。
【0060】
また遮蔽装置20では、透明板21,22の彫刻加工部210,220が存在する範囲に対してのみフィルタ25を配置するため、透過度合に優れ、対面者の存在を十分に感じさせることができる。特に、遮蔽装置20は、フィルタ25を対面者の顔と対向する位置に配置すれば、対面者の存在を感じることができる一方、対面者の視線を気にさせずに済む。
【0061】
さらに遮蔽装置20では、透明板21,22の彫刻加工部210,220の代わりに、第1の実施の形態における彫刻加工部3を設ければ、正面側および背面側のユーザに意匠を鑑賞させることができる。この場合も、遮蔽装置20では、彫刻加工部3が存在する範囲に対してのみフィルタ25を配置すればよい。
【0062】
〔第3の実施の形態〕
図6は、本発明の第3の実施の形態にかかる遮蔽装置の構成を示す斜視図(A)、(B)および断面図(C)である。
【0063】
図5との対応部分に同一符号を付した
図6に示すように、第3の実施の形態において、遮蔽装置30は、第2の実施の形態における遮蔽装置20と同様に、2つの架台28に対して正面側の透明板31および背面側の透明板32が固定された状態であり、透明板31、透明板32およびフィルタ35を有している。
【0064】
正面側の透明板31および背面側の透明板32のいずれにも、ほぼ中央の位置に矩形状の貫通孔からなる彫刻加工部310、320がそれぞれ形成されている。透明板31の彫刻加工部310および透明板32の彫刻加工部320は、矩形状に限るものではなく、円形や楕円形、多角形、その他種々の形状からなる貫通孔であればよい。
【0065】
透明板31の彫刻加工部310と、透明板32の彫刻加工部320とは互いに対応する位置に形成されており(
図6(C))、音声が通過し易く遮られ難い状態に設定されている。ただし、これに限るものではなく、透明板31の彫刻加工部310と、透明板32の彫刻加工部320とが互いに対応する位置に形成されていなくてもよい。
【0066】
一方の透明板31における彫刻加工部310の近傍である上側(矢印a方向)には、フィルタ25を差し込み可能な細長いスリット33が形成されている。スリット33は彫刻加工部310と同様に水平方向に沿って細長く延びており、その水平方向の幅は、彫刻加工部310、320よりも長い。なお、他方の透明板32にスリットは形成されていないが、透明板31のスリット33と対向する位置にスリット(図示せず)が形成されていてもよい。
【0067】
このスリット33に挿入可能なフィルタ35は、透明板31の彫刻加工部310および透明板32の彫刻加工部320の双方と対向したときに彫刻加工部310,320を塞ぐことが可能な大きさを有している。
【0068】
具体的には、フィルタ35は、水平方向においてスリット33よりも僅かに小さな幅を有すると共に、彫刻加工部310,320の上下方向の長さと略同一の長さを有し、彫刻加工部310,320の範囲に対してのみ配置される。
【0069】
また、フィルタ35は、スリット33の上下方向における幅よりも直径の大きい円筒状の抜止め部33sと、その抜止め部33sに巻き付けられた不織布からなる矩形状のフィルタ部33fとからなり、スリット33の隙間に挿入した際に、抜止め部33sがスリット33に係止されるように構成されている。
【0070】
これにより、フィルタ35は、透明板31の彫刻加工部310および透明板32の彫刻加工部320の双方と対向配置され、彫刻加工部310および彫刻加工部320を介して飛沫が通過することを防止する一方、不織布で形成されているために音声を遮ることなく通過させることができる。さらにフィルタ35は、フィルタ部33fが彫刻加工部310,320の上下方向の長さと略同一の長さであるため、フィルタ部33fがスイング可能となり、対面者との間で書類等の受け渡しを行うことができる。ただし、これに限るものではなく、フィルタ部33fが彫刻加工部310,320の上下方向の長さよりも長くてもよい。
【0071】
以上の構成において、遮蔽装置30は、透明板31,32の彫刻加工部310,320の存在によって音声が通過し易くなっているために対面者の声が遮られることがないにも拘わらず、フィルタ35の存在によって彫刻加工部310,320から飛沫が通過して対面者に到達することを確実に防止することができる。
【0072】
遮蔽装置30は、第2の実施の形態における遮蔽装置20と同様に、透明板31,32の表面を拭き取ることにより飛沫の汚れを除去できるうえ、フィルタ35を洗濯したり、拭き取ったり、交換すれば、常に清潔な状態を維持することができる。
【0073】
また遮蔽装置30では、透明板31,32の彫刻加工部310,320の範囲に対してのみフィルタ35を配置するため、透過度合に優れ、対面者の存在を十分に感じさせることができる。特に、遮蔽装置30は、フィルタ35を対面者の顔と対向する位置に配置すれば、対面者の存在を感じることができる一方、対面者の視線を気にさせずに済む。
【0074】
さらに遮蔽装置30では、透明板31,32の彫刻加工部310,320の代わりに、第1の実施の形態における彫刻加工部3を設ければ、正面側および背面側のユーザに意匠を鑑賞させることができる。
【0075】
〔本発明の他の実施の形態〕
上述した第1の実施の形態においては、2枚の透明板2,4の間に1枚のシート状部材6を配置するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、2枚の透明板2,4の間に複数種類および複数枚のシート状部材を重ねて配置するようにしてもよい。
【0076】
上述した第2,第3の実施の形態においては、透明板21,31のスリット23,33からフィルタ25、35を差し込むようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、スリット23,33を設けるのではなく、2枚の透明板21,22および2枚の透明板31、32の上側の隙間からフィルタを差し込むようにしてもよい。この場合、2枚の透明板21,22および2枚の透明板31、32の上側の隙間の幅よりも直径の大きな抜止め部25s,35sを用いるようにすれば係止される。
【0077】
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の遮蔽装置1、20及び30を適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0078】
1,20,30…遮蔽装置、2,4,21,22,31,32…透明板、3,5,210,220,310,320…彫刻加工部、6…シート状部材、2h,4h,6h…貫通孔、61…抜き柄、7…ボルト、8,28…架台、9…蝶番、23,33…スリット、25,35…フィルタ。