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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162810
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】開梱装置及び開梱方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
B65B69/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073465
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】521067360
【氏名又は名称】株式会社アプコス
(74)【代理人】
【識別番号】100158023
【弁理士】
【氏名又は名称】牛田 竜太
(72)【発明者】
【氏名】間 敏行
【テーマコード(参考)】
3E058
【Fターム(参考)】
3E058AA02
3E058CA01
3E058DA05
3E058EA01
3E058FA04
3E058GA02
3E058GA05
(57)【要約】
【課題】
フラップを有する段ボール箱を開梱する開梱装置及び開梱方法において、段ボールの内容物の損傷を低減することができる開梱装置及び開梱方法を提供する。
【解決手段】
開梱装置は、内フラップ12と、側面に接続されて稜線11Aで折り曲げられ内フラップ12を覆う外フラップ11とを備えた段ボール10を開梱する。切断部3は、外フラップ11と内フラップ12とによって閉じられているフラップ面10Aにおいて、外フラップ12の2つの稜線11Aを全幅で切断し、切断した稜線11Aを結ぶように稜線11Aに交差する方向に外フラップ11を切断する。回転部は、段ボール10を少なくとも90°以上回転させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内フラップと、側面に接続されて稜線で折り曲げられ前記内フラップを覆う外フラップと、を備えた箱体を開梱する開梱装置であって、
前記外フラップと前記内フラップとによって閉じられているフラップ面において、前記外フラップの2つの前記稜線を全幅で切断し、前記切断した前記稜線を結ぶように前記稜線に交差する方向に前記外フラップを切断する切断部と、
前記箱体を少なくとも90°以上回転させる回転部と、を有することを特徴とする開梱装置。
【請求項2】
前記切断部は、前記外フラップと前記内フラップとが重なった領域において、前記稜線を結ぶように前記稜線に直交する方向に前記外フラップを切断し、
前記回転部は、前記箱体を180°回転させて前記箱体の内容物を取り出すことを特徴とする請求項1に記載の開梱装置。
【請求項3】
前記箱体を吸引する箱吸引部をさらに有し、
前記箱吸引部は、前記回転部によって180°回転させた前記箱体を吸引して前記箱体から前記内容物を離間させることにより、前記箱体から前記内容物を取り出すことを特徴とする請求項1に記載の開梱装置。
【請求項4】
前記切断部は、前記外フラップと前記内フラップとが重なった領域において、前記稜線を結ぶように前記稜線に直交する方向に前記外フラップを切断し、
前記フラップ面の反対側の背面を押圧する押圧部をさらに有し、
前記切断部が前記フラップ面を切断し、前記回転部が前記箱体を90°回転させた後、前記押圧部が前記背面を押圧することによって前記箱体の内容物を取り出すことを特徴とする請求項1に記載の開梱装置。
【請求項5】
前記切断部は、前記箱体を切断するための切断刃と、前記稜線を前記切断刃で切断するとき前記フラップ面に当接する当接部と、前記当接部が前記フラップ面に当接する際に縮むことにより衝撃を緩和する緩衝部と、を有し、
前記切断刃の当接部からの前記切断刃の突出量は、前記外フラップの厚さよりも長く、前記外フラップとの厚さと前記内フラップの厚さとの合計よりも短いことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の開梱装置。
【請求項6】
内フラップと、側面に接続されて稜線で折り曲げられ前記内フラップを覆う外フラップと、を備え内容物を収納する箱体を開梱する開梱装置であって、
前記外フラップと前記内フラップとによって閉じられているフラップ面において、前記外フラップの2つの前記稜線を全幅で切断し、前記切断した前記稜線を結ぶように前記稜線に交差する方向に前記外フラップを切断する切断部と、
前記内容物を吸引する吸引部と、を有することを特徴とする開梱装置。
【請求項7】
内フラップと、側面に接続されて稜線で折り曲げられ前記内フラップを覆う外フラップとを備えた箱体を開梱する開梱方法であって、
前記外フラップと前記内フラップとによって閉じられているフラップ面において、前記外フラップの2つの前記稜線を全幅で切断し、前記切断した前記稜線を結ぶように前記稜線に交差する方向に前記外フラップを切断するステップと、
前記箱体を少なくとも90°以上回転させるステップと、から構成されることを特徴とする開梱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は開梱装置及び開梱方法に関し、特にフラップを有する箱体を開梱する開梱装置及び開梱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、外フラップの突合せ部が粘着テープで張り合わされた段ボールを開梱可能な段ボール箱開梱システムが知られている(特許文献1)。段ボール箱開梱システムは、コンベアによって運ばれた段ボールの底面の粘着テープをカッター装置で切断し、底面オープン装置が底面外フラップを開くことにより、段ボールの内容物がトレーに落下する。
【0003】
段ボールの直下にトレーが位置しているため、段ボールの内容物を自動的にトレーに移すことができるとともに、手作業で開梱する場合と比較して効率やコスト、システムスペースについて大幅な利点を有している。
【0004】
他に、フラップを有する箱体を開梱する開梱システム及び開梱方法が知られている(特許文献2)。開梱システムは、フラップが閉じた状態でフラップが互いに近接する近接領域を切り、各フラップを90°以上に開き、フラップの基端を箱体の側面に沿って切断することにより、箱体を開梱する。フラップが90°以上開いた状態で切断されるため、確実にフラップを切断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6647369号
【特許文献2】特開2021-46228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の段ボール箱開梱システムでは、カッター装置で底面の粘着テープを切断するため、切断時に切断刃で内容物を損傷してしまう恐れがあった。粉体や粘性流体、液体等を袋体で収容している段ボールは、僅かに傷が付いただけでも内容物が漏れ出てしまうとともに中身も劣化してしまうため、内容物の損傷による損害が大きかった。
【0007】
粘着テープに替えてホットメルト等の接着剤によって外フラップと内フラップが固定されている場合は、粘着テープのみを切断して開梱することができない。このとき、箱体の側面を上方から見てコ字状にカッターで切断してロボットアームで上面を吸引して持ち上げることにより開き、内容物を取り出す。この方法では、箱体の側面をカッターで切断するときにカッターにより内容物を傷つけることがあった。
【0008】
図12及び図13に示すように、外フラップ11が内フラップ12と接着剤13によって固定されている段ボール10を開梱するとき、段ボール10の側面を切断部103によって上から見て略コ字状にカットする。このとき、確実にカットするために切断刃131の突出量は段ボール10の厚みよりも長く設定される。内容物20が段ボール10の隅々まで充填されている場合は、拡大図に星マークで示すように切断刃131が内容物20と接触して袋が損傷するという問題が起こっていた。
【0009】
特許文献2に記載の開梱システムでは、接着テープによって固定された段ボールの開梱を前提としているため、外フラップと内フラップとが接着剤で固定された段ボールに対応することが難しかった。開梱装置は、多様な封止がされた段ボールが連続的に送られてくるため、どのような段ボールも開梱することができる開梱装置が望まれていた。
【0010】
そこで、本発明はフラップを有する箱体を開梱する開梱装置及び開梱方法において、段ボールの内容物の損傷を低減することができる開梱装置及び開梱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために第1の発明は、内フラップと、側面に接続されて稜線で折り曲げられ前記内フラップを覆う外フラップとを備えた箱体を開梱する開梱装置であって、前記外フラップと前記内フラップとによって閉じられているフラップ面において、前記外フラップの2つの前記稜線を全幅で切断し、前記切断した前記稜線を結ぶように前記稜線に交差する方向に前記外フラップを切断する切断部と、前記箱体を少なくとも90°以上回転させる回転部と、を有することを特徴とする開梱装置を提供している。
【0012】
ここで言う稜線を全幅で切断するとは、フラップ面における稜線の直上を全幅で切断することに加え、稜線から数mmの近傍の領域を全幅で切断することも含む概念である。
【0013】
第2の発明は、第1の発明の開梱装置であって、前記切断部は、前記外フラップと前記内フラップとが重なった領域において、前記稜線を結ぶように前記稜線に直交する方向に前記外フラップを切断し、前記回転部は、前記箱体を180°回転させて前記箱体の内容物を取り出すことを特徴としている。
【0014】
第3の発明は、第2の発明の開梱装置であって、前記箱体を吸引する箱吸引部をさらに有し、前記箱吸引部は、前記回転部によって180°回転させた前記箱体を吸引して前記箱体から前記内容物を離間させることにより、前記箱体から前記内容物を取り出すことを特徴としている。
【0015】
第4の発明は、第1の発明の開梱装置であって、前記切断部は、前記外フラップと前記内フラップとが重なった領域において、前記稜線を結ぶように前記稜線に直交する方向に前記外フラップを切断し、前記フラップ面の反対側の背面を押圧する押圧部をさらに有し、前記切断部が前記フラップ面を切断し、前記回転部が前記箱体を90°回転させた後、前記押圧部が前記背面を押圧することによって前記箱体の内容物を取り出すことを特徴としている。
【0016】
第5の発明は、第1の発明から第4の発明の開梱装置であって、前記切断部は前記箱体を切断するための切断刃と、前記稜線を前記切断刃で切断するとき前記フラップ面に当接する当接部と、前記当接部が前記フラップ面に当接する際に縮むことにより衝撃を緩和する緩衝部と、を有し、前記切断刃の当接部からの前記切断刃の突出量は、前記外フラップの厚さよりも長く、前記外フラップとの厚さと前記内フラップの厚さとの合計よりも短いことを特徴としている。
【0017】
第6の発明は、内フラップと、側面に接続されて稜線で折り曲げられ前記内フラップを覆う外フラップと、を備え内容物を収納する箱体を開梱する開梱装置であって、前記外フラップと前記内フラップとによって閉じられているフラップ面において、前記外フラップの2つの前記稜線を全幅で切断し、前記切断した前記稜線を結ぶように前記稜線に交差する方向に前記外フラップを切断する切断部と、 前記内容物を吸引する吸引部と、を有することを特徴とする開梱装置を提供している。
【0018】
第7の発明は、内フラップと、側面に接続されて稜線で折り曲げられ前記内フラップを覆う外フラップとを備えた箱体を開梱する開梱方法であって、前記外フラップと前記内フラップとによって閉じられているフラップ面において、前記外フラップの2つの前記稜線を全幅で切断し、前記切断した前記稜線を結ぶように前記稜線に交差する方向に前記外フラップを切断するステップと、前記箱体を少なくとも90°以上回転させるステップと、から構成されることを特徴とする開梱方法を提供している。
【発明の効果】
【0019】
第1の発明によると、切断部が2つの稜線を全幅で切断して両者を結ぶように切断するため、外フラップが粘着テープによって封止されていても、外フラップと内フラップとが接着剤によって封止されていても、フラップ面を開封可能に切断できる。換言すると、箱体の封止方法を限定することなく、外フラップ及び内フラップが設けられたあらゆる箱体を開梱できる。また、外フラップ及び内フラップが設けられたフラップ面を切断部が切断するため、内フラップが外フラップと箱体の内容物との間に介在することによって、切断部による内容物の損傷を抑制できる。
【0020】
さらに、回転部が箱体を少なくとも90°以上回転させるため、箱体の内容物の自重によってフラップ面が押されて開き、箱体から内容物を取り出すことができる。また、切断部が外フラップを全幅で切断するため、内容物が箱体から離間するときに外フラップ又は内フラップに引っ掛かることを抑制できる。さらに、切断部がフラップ面の2つの稜線を全幅で切断して両者を結ぶように切断するため、切断された外フラップ及び内フラップは箱体の側面に接続されたままとなる。つまり、外フラップは切断部によって稜線が切断されるため箱体とは離間しているが内フラップは箱体に接続されたままであり、外フラップと内フラップとは接着剤又は接着テープで固定されているため、外フラップ及び内フラップは箱体とは分離していない。これにより、切断された部材を箱体から離間させるプロセスが不要となり、開梱時間を短縮できる。
【0021】
第2の発明によると、切断部は外フラップと内フラップとが重なった領域において稜線に直行する方向に外フラップを切断するため、外フラップの内側に内フラップが存在することによって内容物の損傷を抑制することができる。また、回転部が箱体を180°回転させるため、内容物の重量によってフラップ面が開き内容物を落下させて取り出すことができる。さらに、切断は離間空間において外フラップを切断するため、誤って内フラップを切断して破片が落下することを抑制できる。
【0022】
第3の発明によると、箱体を吸引する箱吸引部によって箱体と内容物とを離間させ、内容物を取り出すことができる。これにより、箱体のみが除去されるため次工程への円滑な移行が可能となる。
【0023】
第4の発明によると、切断部は外フラップと内フラップとが重なった領域において稜線に直行する方向に外フラップを切断するため、外フラップの内側に内フラップが存在することによって内容物の損傷を抑制することができる。また、回転部が箱体を90°回転させた後に押圧部で背面を押圧するため、確実に内容物を箱体から取り出すことができる。
【0024】
第5の発明によると、切断刃の突出量は外フラップの厚みよりも長く外フラップと内フラップの厚みの合計よりも短いため、当接部がフラップ面に当接した状態で切断刃が内容物に接触しない。これにより、切断部での切断時に、切断刃で内容物が損傷することを抑制できる。また、切断部が当接部を有しているため、当接部以上に切断刃が箱体に深く刺さることを防止できる。また、切断部に当接部がフラップ面に当接する際の衝撃を緩和する緩衝部が設けられているため、当接部の当接時に緩衝部が縮むことにより箱体への衝撃を緩和することができる。
【0025】
第6の発明によると、吸引部が内容物を吸引ことによって、箱体から内容物を取り出すことができる。また、外フラップ及び内フラップが設けられたフラップ面を切断部が切断するため、内フラップが外フラップと箱体の内容物との間に介在することによって、切断部による内容物の損傷を抑制できる。
【0026】
第7の発明によると、稜線を全幅で切断して稜線を結ぶように切断するため、外フラップが粘着テープによって封止されていても、外フラップと内フラップとが接着剤によって封止されていても、フラップ面を開くことが可能となる。換言すると、箱体の封止方法を限定することなく、外フラップ及び内フラップが設けられたあらゆる箱体を開梱できる。また、外フラップ及び内フラップが設けられたフラップ面を切断部が切断するため、内フラップが外フラップと内容物との間に位置することによって、切断部による箱体の内容物の損傷を抑制できる。
【0027】
上述の発明によると、フラップを有する段ボール箱を開梱する開梱装置及び開梱方法において、段ボールの内容物の損傷を低減することができる開梱装置及び開梱方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1の実施の形態による開梱装置の平面図。
図2】本発明の第1の実施の形態による開梱装置で開梱される段ボールであって図2(a)は外フラップと内フラップとが接着剤によって固定された段ボール、図2(b)は外フラップが粘着テープによって固定された段ボール。
図3】本発明の第1の実施の形態による開梱装置の段ボールの切断状態を表す図。
図4】本発明の第1の実施の形態による開梱装置の図3におけるA-A’に沿った断面図。
図5】本発明の第1の実施の形態による開梱装置の図3におけるB-B’に沿った断面図。
図6】本発明の第1の実施の形態による開梱装置の回転部で反転された段ボールの内容物が落下する状態を示す図。
図7】本発明の第2の実施の形態による開梱装置の押圧部で段ボールを押圧して内容部が落下する状態を示す図。
図8】本発明の第3の実施の形態による開梱装置の段ボールの切断方法であって、図8(a)は中央からずれた位置を切断した図、図8(b)は斜めに切断した図。
図9】本発明の第3の実施の形態による開梱装置の図8(a)におけるC-C’に沿った断面図。
図10】本発明の第4の実施の形態による開梱装置の内容物を吸引部で取り出す状態を示す図。
図11】本発明の第5の実施の形態による開梱装置の段ボールを吸引部で取り外す状態を示す図。
図12】従来の開梱装置で段ボールの側面を切断したときの断面図。
図13】従来の開梱装置で段ボールを切断したときの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の第1の実施の形態による開梱装置1を図1から図6に基づき説明する。図中に示すように、上下前後左右方向を定義する。開梱装置1は、内容物20を梱包する段ボール10の外フラップ11及び内フラップ12が設けられた上面であるフラップ面10Aを切断し段ボール10を回転させることによって内容物20を取り出す。
【0030】
開梱装置1は、ロボットアーム2の先端に着脱可能に設けられた切断部3と、段ボール10を挟持して反転させる回転部4と、切断部3で切断されている段ボール10を固定する挟持部5と、段ボール10を搬送するコンベア6と、から主に構成される。
【0031】
開梱装置1が開梱可能な段ボール10は、図2(a)に示す外フラップ11と内フラップ12とがホットメルト等の接着剤13によって固定されているものと、図2(b)に示す外フラップ11の付け合わせ部が接着テープ14で固定されているもののいずれも含まれる。外フラップ11は、外フラップ11と側面との接続部分であって前後方向に伸びる稜線11Aで折り曲げられて内フラップ12を覆っている。また、開梱装置1は、フラップ面10Aが側面又は底面に位置している段ボール10、及び接着テープ14が略H字状に貼られている段ボール10、外フラップ11の付け合わせ部がホチキスで固定されている段ボールも開梱可能である。
【0032】
段ボール10は本発明の箱体の一例であるが、これに限定されず、樹脂製、木材、セラミック等の他の素材で形成された箱体にも適用することができる。本実施の形態では、段ボール10に梱包された内容物20は、内袋に入れられた流体、粉体、粒状体、粘性体状の食品、飼料、材料であるが、これに限定されず他の任意の内容物であってもよい。
【0033】
ロボットアーム2には図示せぬ制御盤が接続されていて、図示せぬ3Dカメラによって段ボール10が撮影され、AIの画像解析によって段ボール10の形状、材質等を特定する。これらの情報は制御盤からロボットアーム2に入力され、当該情報に基づいて段ボール10の開梱を行う。ロボットアーム2の先端には、図4の部分拡大図に示すような切断部3が設けられている。切断部3は、切断刃31と、段ボール10のフラップ面10Aに当接する当接部32と、緩衝部33と、支持部34と、を備えている。
【0034】
切断刃31の当接部32からの突出量は、図示せぬ調整機構によって調整可能である。なお、切断刃31の突出量は、制御盤からの段ボール10に関する情報に基づいて自動的に調整してもよい。本実施の形態では、切断刃31の当接部32からの突出量は、外フラップ11の厚みよりも長く、外フラップ11の厚みと内フラップ12の厚みの合計よりも短く設定される。緩衝部33は、上下方向に伸縮可能であって、下端が当接部32に接続されるとともに上端が支持部34に固定されている。緩衝部33は、当接部32が段ボール10に当接したときに縮むことによって衝撃を和らげるとともに、切断刃31が過剰に段ボール10に入り込むことを抑制する。緩衝部33は金属バネによるサスペンション機構を用いるが、これに限定されず、エアシリンダや油圧シリンダ、ダンパ等を用いてもよく、伸縮性を有する機構であればよい。支持部34は、ロボットアーム2と切断部3とを接続している。
【0035】
回転部4は、段ボール10を左右方向から挟んで保持し、180°回転させる1対の回転アーム41を有している。回転アーム41は、制御盤からの段ボール10の形状に関する情報に基づいて段ボール10を挟持して落下位置Rまで移動し、図6に示すように、段ボール10を180°回転させる。落下位置Rには、内容物20を収容するためのケース42が配置される。段ボール10を回転させる機構は、これに限定されず、任意の回転機構を採用することができる。
【0036】
挟持部5は、左右方向に移動可能な第1移動部51及び第2移動部52から構成される。図1に示すように、ロボットアーム2の切断部3によって段ボール10が開梱される切断位置で、第1移動部51及び第2移動部52に挟持されることにより段ボール10の位置が所定の位置に固定される。第1移動部51及び第2移動部52の位置、換言すると段ボール10の形状は、制御盤からの入力情報に基づいて定められる。
【0037】
コンベア6は、所望の速度で段ボール10をロボットアーム2の切断位置、及び切断位置から回転部4まで運搬する。コンベア6には、内容物20が落下する開口6aが形成されている。
【0038】
次に、開梱装置1が段ボール10を開梱するプロセスについて、図1から図6を参照して説明する。
【0039】
コンベア6によって運搬された段ボール10は、ロボットアーム2の切断位置で第1移動部51と第2移動部52とによって挟持され固定される。このとき、第1移動部51及び第2移動部52の位置は、予め制御盤から段ボール10の形状に関する情報が入力されるため、入力情報に基づいて定められる。
【0040】
切断部3は、図3の一点鎖線で示すように、左側の稜線11Aを全幅に亘って前後方向に延びる第1切断線L1に沿って切断し、右側の稜線11Aを全幅に亘って前後方向に延びる第2切断線L2に沿って切断し、一方の稜線11Aと他方の稜線11Aとを結ぶように左右方向に延びる第3切断線L3に沿って切断する。なお、切断する順番はこれに限定されず、任意の順番とすることができる。第1切断線L1及び第2切断線L2は、稜線11A上でなくても、フラップ面10A上であれば稜線11Aから数mmずれた位置であってもよい。ただし、稜線11Aからあまり離れると内容物20の取出時に外フラップ11及び内フラップ12が内容物20に引っ掛かってしまうため、第1切断線L1又は第2切断線L2と稜線11Aとの距離は10mm以内が望ましい。第3切断線L3は、フラップ面10Aの前後方向の中央に位置し第1切断線L1及び第2切断線L2と略直交する。図中の円形の点線は、図4及び図5の断面図における切断部3の位置を示している。
【0041】
切断部3が第1切断線L1又は第3切断線L3に沿って段ボール10を切断しているときの状態を、図4に示す。切断刃31の突出量は、外フラップ11の厚みよりも長く外フラップ11の厚みと内フラップ12の厚みの合計よりも短いため、内フラップ12より下に刃先が飛び出さない。図4の左側の部分拡大図に示すように、切断刃31の先端は内フラップ12から突出していない。これにより、段ボール10の内容物20に切断刃31が接触することを抑制しつつ外フラップ11を切断することができる。図4の右側の部分拡大図に示すように、内フラップ12の位置がずれてしまい外フラップ11の下に内フラップ12が存在していない箇所に切断刃31が位置した場合であっても、内フラップ12の厚み分だけ外フラップ11と内容物20との間にフラップ空間12aができるため、外フラップ11を貫通した切断刃31はフラップ空間12aに位置することとなる。これにより、内容物20と切断刃31との間に空間ができ、内容物20の損傷を抑制できる。
【0042】
切断部3が第3切断線L3に沿って段ボール10をカットしている状態を、図5に示す。内フラップ12は、折り畳まれた状態では端部が前後方向に離間して互いに当接せず離間している。内フラップ12の先端の間には離間空間20aが規定され、当該離間空間20aに切断部3の切断刃31が位置している。切断刃31が外フラップ11の厚みよりも長く外フラップ11の厚みと内フラップ12の厚みの合計よりも短いため、離間空間20aに位置する切断刃31は内容物20との間において上下方向に離間した状態で外フラップ11をカットする。
【0043】
本実施の形態では、フラップ面10Aが上面に位置していたが、フラップ面10Aが側面又は底面に位置している場合は、ロボットアーム2の前段階でフラップ面10Aが上面となるように段ボール10を回転させる。これにより、フラップ面10Aの位置に関わらず段ボール10を開梱することができる。
【0044】
コンベア6は、ロボットアーム2によってフラップ面10Aが略H字状にカットされた段ボール10を回転部4まで運搬する。図1に示すように、段ボール10が把持位置Hまで到達すると、回転アーム41が段ボール10を左右方向から挟持して持ち上げた状態で落下位置Rまで移動し、段ボール10を180°回転させる。
【0045】
図6に示すように、段ボール10が180°回転すると内容物20の重力によって外フラップ11及び内フラップ12が押されて開き、内容物20がケース42に落下する。詳細には、フラップ面10Aが略H字状にカットされているため、内フラップ12と側面との接続部分である稜線で折れ曲がるようにして内フラップ12及び内フラップ12に固定された外フラップ11が開き、内容物20がケース42に落下する。なお、ケース42に替えて新たなコンベアを配置し別の場所に運搬してもよい。
【0046】
このような構成によると、切断部3が2つの稜線11Aを全幅で切断して両者を結ぶように切断するため、外フラップ11が接着テープ14によって封止されていても、内フラップ12と外フラップ11とが接着剤13によって封止されていても、フラップ面10Aを開封可能に切断できる。換言すると、段ボール10の封止方法を限定することなく、外フラップ11及び内フラップ12が設けられたあらゆる段ボール10等の箱体を開梱できる。また、外フラップ11及び内フラップ12が設けられたフラップ面10Aを切断部3が切断するため、内フラップ12が外フラップ11と内容物20との間に介在することによって、切断部3による内容物20の損傷を抑制できる。
【0047】
さらに、回転部4が段ボール10を少なくとも180°回転させるため、段ボール10の内容物20の自重によってフラップ面10Aが開き、段ボール10から内容物20を取り出すことができる。また、切断部3が外フラップ11の稜線11Aを全幅で切断するため、内容物20が段ボール10から離間するときに外フラップ11又は内フラップ12に引っ掛かることを抑制できる。さらに、切断部3がフラップ面10Aの2つの稜線11Aを全幅で切断して両者を結ぶように切断するため、切断された外フラップ11及び内フラップ12は段ボール10の側面に接続されたままとなる。つまり、外フラップ11は切断部3によって稜線11Aが切断されるため段ボール10とは離間しているが内フラップ12は段ボール10に接続されたままであり、外フラップ11と内フラップ12とは接着剤13又は接着テープ14で固定されているため、外フラップ11及び内フラップ12は段ボール10とは分離していない。これにより、切断された部材を段ボール10から離間させるというプロセスが不要となり、開梱時間を短縮できる。
【0048】
このような構成によると、切断部3は離間空間20aにおいて稜線11Aに直行する方向に外フラップ11を切断するため、外フラップ11と内容物20との間に離間空間20aが存在することによって内容物20の損傷を抑制することができる。また、回転部4が段ボール10を180°させるため、内容物20の重量によってフラップ面10Aが開き内容物20を落下させて取り出すことができる。さらに、切断は離間空間20aにおいて外フラップ11を切断するため、誤って内フラップ12を切断して破片が落下することを抑制できる。
【0049】
このような構成によると、切断刃31の突出量は外フラップ11の厚みよりも長く外フラップ11と内フラップ12の厚みの合計よりも短いため、当接部32がフラップ面10Aに当接した状態で切断刃31が内容物20に接触しない。これにより、切断部3での切断時に、切断刃31で内容物20が損傷することを抑制できる。また、切断部3が当接部32を有しているため、当接部32以上に切断刃31が深く段ボール10に刺さることを防止できる。
【0050】
次に本発明の第2の実施の形態について、図7を参照して説明する。第1の実施の形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0051】
第2の実施の形態による開梱装置201は、段ボール10のフラップ面10Aの反対側の面である背面210Aを押圧する押圧部240を有している。回転部4がロボットアーム2によってフラップ面10Aが略H字状にカットされた段ボール10を90°回転させてカットされたフラップ面10Aが側面となるように配置する。さらに、切断部3によって背面210Aをフラップ面10Aと同様に略H字状にカットし、図示せぬ挟持部によって固定する。
【0052】
挟持部によって固定された段ボール10は、押圧部240によって背面210Aが押圧され、内容物20が押されて図中の矢印に示すようにケース42に落下する。段ボール10又は内容物20の重量、形状によっては、押圧部240で押圧することなく内容物20の自重でフラップ面10Aを押圧して開き、ケース42に落下することがある。この場合には、押圧部240による押出プロセスは不要となる。なお、背面210Aの切断部3による略H字状の切断工程を省略してもよい。このときは、押圧部240が背面210Aを突き破ることによって内容物20が押圧されて取り出される。
【0053】
このような構成によると、回転部4が段ボール10を90°回転させた後に押圧部240で背面210Aを押圧するため、確実に内容物20を段ボール10から取り出すことができる。
【0054】
次に本発明の第3の実施の形態について、図8を参照して説明する。第1の実施の形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
第1の実施の形態では、図3に示すように第3切断線L3は段ボール10の略中央であったが、第3の実施の形態では、図8(a)に示すように第3切断線L303が中央からずれた位置であって第1切断線L1と第2切断線L2に直交しており、両者を結んでいる。切断部3が第3切断線L303に沿って段ボール10をカットしている状態を、図9に示す。切断刃31は、外フラップ11と内フラップ12とが重なった領域において稜線11Aを結ぶように切断する。切断刃31の突出量が外フラップ11の厚みよりも長く外フラップ11の厚みと内フラップ12の厚みの合計よりも短いため、切断刃31の先端は内フラップ12から下方に突出しない。これにより、切断刃31は、外フラップ11と内フラップ12とによって内容物20との間に距離を保ったまま外フラップ11をカットする。
【0056】
また、図8(b)に示すように、第3切断線L313が第1切断線L1及び第2切断線L2に交差するように斜めであって、第1切断線L1と第2切断線L2とを結んでもよい。この場合においても、図9に示す状態と同様に、切断刃31は外フラップ11と内フラップ12とによって内容物20との間に距離を保ったまま外フラップ11をカットする。
【0057】
このような構成によると、内容物20の重心が中心からずれた位置にあっても、第3切断線L303及び第3切断線L313が当該重心と重なることにより、内容物20の重みで確実に外フラップ11及び内フラップ12を開くことができる。また、切断部3は外フラップ11と内フラップ12とが重なった領域離間空間において稜線11Aに直行する方向に外フラップ11を切断するため、外フラップ11の内側に内フラップ12が存在することによって内容物20の損傷を抑制することができる。さらに、段ボール10が変形して離間空間20aが押し潰されて存在しない場合であっても、外フラップ11と内フラップ12とによって切断刃31が内容物20と接触するのを抑制できる。
【0058】
次に、第4の実施の形態について、図10を参照して説明する。上述の実施の形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0059】
第4の実施の形態による開梱装置401は、回転部4及び挟持部5が設けられておらず、段ボール10の上面を開封して吸引により内容物20を取り出す。開梱装置401は、内容物20を吸引するための吸引部410を備えている。ロボットアーム2によってフラップ面10Aがカットされた後、図示せぬ吸着部により外フラップ11及び外フラップ11に固定された内フラップ12が吸着され開けられる。吸引部410が、内容物20を吸引により段ボール10から取り出し所定の場所に載置する。なお、吸着部に替えて、プレート差し込み等によって外フラップ11を開いてもよい。
【0060】
このような構成によると、回転部4及び挟持部5を設けることなく、簡易的な構成で切断された後の段ボール10の内容物20を取り出すことができる。
【0061】
次に、第5の実施の形態について、図11を参照して説明する。上述の実施の形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
第5の実施の形態による開梱装置501は、回転部4によって180°回転された段ボール10の上面を吸引して内容物20を取り出す。開梱装置501は、段ボール10を吸引するための箱吸引部510を備えている。ロボットアーム2によってフラップ面10Aがカットされた後、回転部4によって段ボール10が180°回転されフラップ面10Aが下面となる。コンベア6によって所定の位置まで運搬された後、箱吸引部510が段ボール10の上面を吸着して段ボール10を上方に持ち上げることにより、内容物20の重量によって外フラップ11及び内フラップ12が開き、内容物20がコンベア6上に載置される。
【0063】
このような構成によると、簡易的な構成で切断された後の段ボール10の内容物20を取り出すことができる。また、内容物20がコンベア6に載置されるため、連続的に次工程に進むことができる。
【0064】
本発明による開梱装置及び開梱方法は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【0065】
上述の実施の形態では、回転部4によって段ボール10を回転させて内容物20を落下させたが、これに限定されない。内容物20が段ボール10から落下し易いように、フラップ面10Aの反対側の面の一部を切断又は略H字状にカットしてエアー抜きを行ってもよい。このときも、第3切断線L3のように離間空間20aに切断刃31が位置し内容物20と離間していることが望ましい。
【0066】
上述の実施の形態では、ロボットアーム2に切断部3が設けられていたが、これに限定されない。例えば、エアシリンダや油圧シリンダ等のアクチュエータを組み合わせることにより、切断部が実施の形態の動作をすることによって段ボールを開梱する開梱装置であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1、201 開梱装置
2 ロボットアーム
3 切断部
4 回転部
5 挟持部
6 コンベヤ
10 段ボール
10A フラップ面
11 外フラップ
12 内フラップ
13 接着剤
14 接着テープ
31 切断刃
32 当接部
240 押圧部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13