(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016282
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】渋滞予測情報提供装置、および、渋滞予測情報提供方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20230126BHJP
【FI】
G08G1/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120499
(22)【出願日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】上野 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】大場 義和
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181DD02
5H181DD03
5H181DD04
5H181EE02
5H181EE12
5H181FF05
5H181FF33
(57)【要約】
【課題】ユーザが渋滞回避のために走行計画の変更を容易に行うための情報提供を行う。
【解決手段】実施形態の渋滞予測情報提供装置は、車両が走行する道路の区間ごとの将来の時間ごとに予測された走行速度である予測走行速度の情報を取得する取得部と、区間ごとの時間ごとに、予測走行速度の情報に基づいて、車両走行の所要時間を算出する所要時間算出部と、所要時間、および、車両のユーザが使用するユーザ装置によって指定された出発地、目的地、出発時刻または到着時刻に基づいて、出発地を出発した車両が将来の時間ごとに走行する区間を示す走行状況を予測する走行状況予測部と、将来の時間と区間を二軸とする平面上において区間ごとの時間ごとの予測走行速度に応じて表示の色および/または模様を異ならせたヒートマップ画面上に、走行状況予測部で予測した走行状況を重畳させた画像を表示させるための情報をユーザ装置に送信する表示制御部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する道路の区間ごとの将来の時間ごとに予測された走行速度である予測走行速度の情報を取得する取得部と、
前記区間ごとの前記時間ごとに、前記予測走行速度の情報に基づいて、車両走行の所要時間を算出する所要時間算出部と、
前記所要時間、および、車両のユーザが使用するユーザ装置によって指定された出発地、目的地、出発時刻または到着時刻に基づいて、前記出発地を出発した車両が将来の時間ごとに走行する区間を示す走行状況を予測する走行状況予測部と、
将来の時間と前記区間を二軸とする平面上において前記区間ごとの前記時間ごとの前記予測走行速度に応じて表示の色および/または模様を異ならせたヒートマップ画面上に、前記走行状況予測部で予測した前記走行状況を重畳させた画像を表示させるための情報を前記ユーザ装置に送信する表示制御部と、
を備える渋滞予測情報提供装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記ヒートマップ画面において前記予測走行速度が遅い部分ほど誘目度の高い色で表示する、
請求項1に記載の渋滞予測情報提供装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記ヒートマップ画面において前記区間ごとの前記時間ごとに前記予測走行速度の情報を重畳させる、
請求項1に記載の渋滞予測情報提供装置。
【請求項4】
前記走行状況予測部は、前記ユーザ装置によって指定された前記出発地、前記目的地、前記出発時刻に基づいて、前記出発時刻に前記出発地を出発した車両が将来の時間ごとに走行する区間を示す前記走行状況を予測する、
請求項1に記載の渋滞予測情報提供装置。
【請求項5】
前記走行状況予測部は、前記ユーザ装置によって指定された休憩場所と休憩場所からの出発時刻に基づいて、前記休憩場所からの出発時刻に前記休憩場所を出発した車両が将来の時間ごとに走行する区間を示す前記走行状況を予測する、
請求項4に記載の渋滞予測情報提供装置。
【請求項6】
前記走行状況予測部は、前記ユーザ装置によって指定された前記出発地、前記目的地、前記到着時刻に基づいて、前記出発地を出発した車両が将来の時間ごとに走行する区間を示す前記走行状況から、指定された前記到着時刻に前記目的地に到着するために必要な前記出発地の出発時刻を予測する、
請求項1に記載の渋滞予測情報提供装置。
【請求項7】
前記走行状況予測部は、前記ユーザ装置によって指定された休憩場所と休憩場所への到着時刻に基づいて、前記出発地を出発した車両が将来の時間ごとに走行する区間を示す前記走行状況から、指定された前記休憩場所への到着時刻に前記休憩場所に到着するために必要な前記出発地の出発時刻を予測する、
請求項6に記載の渋滞予測情報提供装置。
【請求項8】
前記出発地から前記目的地までの道路として複数の路線がある場合に、
前記所要時間算出部は、前記路線ごとに、車両走行の所要時間を算出し、
前記表示制御部は、路線図上に前記路線ごとの前記所要時間を重畳させた画像を表示させるための情報、および、いずれかの前記路線が選択された場合に、選択された前記路線について、前記ヒートマップ画面上に前記走行状況を重畳させた画像を表示させるための情報を前記ユーザ装置に送信する、
請求項1に記載の渋滞予測情報提供装置。
【請求項9】
前記走行状況予測部は、前記所要時間、および、前記出発地、前記目的地に基づいて、現在時刻以降で、渋滞に巻き込まれる時間が最も短い渋滞回避走行予定情報として、出発時刻、SA/PAでの休憩時間を含む前記渋滞回避走行予定情報を算出し、
前記表示制御部は、前記ヒートマップ画面上に前記渋滞回避走行予定情報を重畳させた画像を表示させるための情報を前記ユーザ装置に送信する、
請求項1に記載の渋滞予測情報提供装置。
【請求項10】
車両が走行する道路の区間ごとの将来の時間ごとに予測された走行速度である予測走行速度の情報を取得する取得ステップと、
前記区間ごとの前記時間ごとに、前記予測走行速度の情報に基づいて、車両走行の所要時間を算出する所要時間算出ステップと、
前記所要時間、および、車両のユーザが使用するユーザ装置によって指定された出発地、目的地、出発時刻または到着時刻に基づいて、前記出発地を出発した車両が将来の時間ごとに走行する区間を示す走行状況を予測する走行状況予測ステップと、
将来の時間と前記区間を二軸とする平面上において前記区間ごとの前記時間ごとの前記予測走行速度に応じて表示の色および/または模様を異ならせたヒートマップ画面上に、前記走行状況予測ステップで予測した前記走行状況を重畳させた画像を表示させるための情報を前記ユーザ装置に送信する表示制御ステップと、
を含む渋滞予測情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、渋滞予測情報提供装置、および、渋滞予測情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一般に、高速道路等の道路を走行する車両のドライバーは、なるべく渋滞に巻き込まれたくないと考えている。そして、ドライバーは、渋滞予測情報を取得できれば、なるべく渋滞を回避するように走行経路や走行時間帯を選択することができる。これによって、ひいては、渋滞の緩和や防止も実現することができる。
【0003】
これに関連する従来技術として、例えば、路線図上に渋滞長の予測情報を表示する技術や、渋滞が予測される経路に関する迂回路を案内する技術がある。また、車両の現在地を踏まえて推奨経路を案内する技術もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-135827号公報
【特許文献2】特開2019-200490号公報
【特許文献3】特表2009-529186号公報
【特許文献4】特開2019-185232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、上述のように車両の現在地を踏まえて推奨経路を案内することはできるものの、例えば、ユーザが渋滞回避のために走行計画の変更を容易に行うための情報提供はできていない。
【0006】
そこで、本発明の実施形態は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、ユーザが渋滞回避のために走行計画の変更を容易に行うための情報提供が可能な渋滞予測情報提供装置、および、渋滞予測情報提供方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の渋滞予測情報提供装置は、車両が走行する道路の区間ごとの将来の時間ごとに予測された走行速度である予測走行速度の情報を取得する取得部と、前記区間ごとの前記時間ごとに、前記予測走行速度の情報に基づいて、車両走行の所要時間を算出する所要時間算出部と、前記所要時間、および、車両のユーザが使用するユーザ装置によって指定された出発地、目的地、出発時刻または到着時刻に基づいて、前記出発地を出発した車両が将来の時間ごとに走行する区間を示す走行状況を予測する走行状況予測部と、将来の時間と前記区間を二軸とする平面上において前記区間ごとの前記時間ごとの前記予測走行速度に応じて表示の色および/または模様を異ならせたヒートマップ画面上に、前記走行状況予測部で予測した前記走行状況を重畳させた画像を表示させるための情報を前記ユーザ装置に送信する表示制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態における道路を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の道路管理システムの全体構成を模式的に示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の選択画面例を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の第1のヒートマップ画面例を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態で休憩時間を取る場合の第2のヒートマップ画面例を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態の渋滞予測情報提供装置による処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第1実施形態の変形例において、到着時刻を指定して表示した第3のヒートマップ画面例を模式的に示す図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態の他の変形例において、休憩する休憩場所と休憩場所への到着時刻を指定して表示した第4のヒートマップ画面例を模式的に示す図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態の変形例の渋滞予測情報提供装置による処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、第2実施形態の路線図画面例を模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態の選択画面例を模式的に示す図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態の渋滞予測情報提供装置による処理を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、第2実施形態の変形例の渋滞予測情報提供装置による処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の渋滞予測情報提供装置、および、渋滞予測情報提供方法の実施形態(第1実施形態~第3実施形態、および、各変形例)について、図面を参照して説明する。なお、以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、例であって、本発明は以下の記載内容に限定されない。
【0010】
(第1実施形態)
まず、
図1を参照して、第1実施形態における道路Rについて説明する。
図1は、第1実施形態における道路Rを模式的に示す図である。道路Rは、例えば、高速道路である。道路Rは、管理単位として、区間#1,#2,#3,・・・に分割されている。そして、区間ごとに、車両感知器1(詳細は後述)が設置されている。なお、以下では、道路Rの符号を省略して「道路」と表記する。
【0011】
次に、
図2を参照して、第1実施形態の道路管理システムSの全体構成について説明する。
図2は、第1実施形態の道路管理システムSの全体構成を模式的に示す機能ブロック図である。道路管理システムSは、車両感知器1と、気象データ管理装置2と、交通管制装置3と、大型表示装置4と、情報端末装置5と、渋滞予測情報提供装置6と、VICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)7と、を備える。
【0012】
車両感知器1(
図1参照)は、高速道路に必要に応じて複数が、路側に設置され、交通量[台/h(hour)]、平均速度[km/h]、占有率(オキュパンシー)[%]などの情報(交通状況データ)を収集する感知器である。車両感知器1は、収集した交通状況データを交通管制装置3に送信する。
CCTVカメラ10は、高速道路の路側に設置され、走行する車両等を撮影するカメラである。
【0013】
気象データ管理装置2は、各種センサ等によって収集した気象データ(例えば、気温データ、湿度データ、晴れ/曇り/雨/雪等のデータ)を管理するコンピュータシステムであり、気象データを交通管制装置3に送信する。
【0014】
交通管制装置3は、交通管制センタに設置され、管制対象の道路の実際の交通状況の監視や管理を総合的に行うコンピュータシステムである。交通管制装置3は、車両感知器1から交通状況データを受信し、気象データ管理装置2から気象データを受信する。
【0015】
交通管制装置3は、渋滞判定部31と、所要時間作成処理部32と、走行速度予測部33と、を備える。
渋滞判定部31は、区間ごとに、交通状況データに基づいて、渋滞判定を行う。
【0016】
所要時間作成処理部32は、区間ごとに、交通状況データに基づいて、走行車両の所要時間を作成(算出)する。
走行速度予測部33は、交通状況データ、気象データ、学習モデル等に基づいて、区間ごとの将来の時間ごと(例えば5分ごと、30分ごとなど。以下同様)に走行速度を予測し、予測走行速度の情報を出力する。
【0017】
交通管制装置3は、渋滞判定結果や所要時間の情報(以下、総称して「交通情報」ともいう。)を、大型表示装置4、情報端末装置5、渋滞予測情報提供装置6、VICS7などに送信する。
【0018】
大型表示装置4は、交通管制センタ内に設置され、複数の路線ごとの区間ごとに交通情報を表示する表示装置である。
【0019】
情報端末装置5は、例えば、道路情報板、ハイウェイテレフォン、ハイウェイ情報ターミナルなどである。
【0020】
道路情報板は、例えば、対象道路区間を含む道路の路肩や道路を跨ぐ状態で道路上方に設置され、主に文字表示により交通情報を表示する。
【0021】
ハイウェイテレフォンは、公衆回線により音声情報として提供する音声情報提供部である。ハイウェイテレフォンは、道路利用者(以下、「ユーザ」ともいう。)等が携帯する携帯電話や例えばSAやPA等に設置された公衆電話や専用電話等で発呼することにより、交通情報を音声情報として提供する。
【0022】
ハイウェイ情報ターミナルは、SAやPA等に設けられた情報提供装置であり、例えばSAやPAを中心とした広範囲の交通情報を道路利用者の操作にしたがって表示したり、関連する音声情報を提供したりする。
【0023】
VICS7は、例えば、路側アンテナ等の通信装置を経由してカーナビゲーションシステム8(ユーザ装置)に交通情報を送信する。カーナビゲーションシステム8は、道路利用者が乗車する車両に備えられ、GPS(Global Positioning System)により特定される自車位置に基づき、その周辺の道路に関する交通情報を取得し、道路利用者に提供する。
【0024】
渋滞予測情報提供装置6は、コンピュータ装置であり、交通管制センサ内外のいずれに設置されてもよい。渋滞予測情報提供装置6は、処理部61と、記憶部62と、入力部63と、表示部64と、通信部65と、を備える。
【0025】
処理部61は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、を備え、各種処理を実行する。
【0026】
CPUは、渋滞予測情報提供装置6の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムを一時的に記憶したり、各種データを書き換えたりするための記憶媒体である。
【0027】
そして、MPUは、RAMをワークエリア(作業領域)として、ROM、記憶部62等に格納されたプログラムを実行する。処理部61の詳細については後述する。
【0028】
記憶部62は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置であり、各種情報を記憶する。記憶部62は、例えば、処理部61の動作プログラム、処理部61が演算に使用する各種データ、処理部61による各種演算結果等を記憶する。
【0029】
具体的には、例えば、記憶部62は、道路の区間、車線数、インターチェンジ、SA/PAの場所等の情報である道路情報や、交通管制装置3から受信した予測走行速度の情報などを記憶する。
【0030】
入力部63は、渋滞予測情報提供装置6に対する利用者の操作を受け付ける入力装置であり、例えば、キーボード、マウス等である。
【0031】
表示部64は、例えば、液晶表示装置(LCD(Liquid Crystal Display))、有機EL(Electro-Luminescence)表示装置等である。
【0032】
通信部65は、外部装置(交通管制装置3、ユーザ端末9等)と通信するための通信インタフェースである。
【0033】
処理部61は、機能構成として、取得部611と、所要時間算出部612と、走行状況予測部613と、探索部614と、表示制御部615と、を備える。
【0034】
取得部611は、外部装置から各種情報を取得する。例えば、取得部611は、交通管制装置3から、車両が走行する道路の区間ごとの将来の時間ごとに予測された走行速度である予測走行速度の情報を取得する。
【0035】
所要時間算出部612は、区間ごとの時間ごとに、予測走行速度の情報に基づいて、車両走行の予測所要時間を算出する。具体的には、所要時間算出部612は、区間ごとの時間ごとに、区間の距離を予測走行速度で除算することで予測所要時間を算出する。
【0036】
走行状況予測部613は、予測所要時間、および、車両のユーザが使用するユーザ端末9によって指定された出発地(例えば現在地など)、目的地、出発時刻または到着時刻に基づいて、出発地を出発した車両が将来の時間ごとに走行する区間を示す走行状況を予測する。例えば、走行状況予測部613は、予測所要時間、および、ユーザ端末9によって指定された出発地、目的地、出発時刻に基づいて、出発時刻に出発地を出発した車両が将来の時間ごとに走行する区間を示す走行状況を予測する。
【0037】
なお、ユーザ端末9は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット装置等で、アプリケーション91がインストールされている。アプリケーション91は、ユーザによる出発地、目的地、出発時刻(または到着時刻)などの指定入力を受け付けて渋滞予測情報提供装置6に送信したり、渋滞予測情報提供装置6から受信した情報に基づいて
図4や
図5に示す画面を表示したりすることを可能にするソフトウェアである。また、ユーザ端末9は、GPSなどによる自己位置測位機能を有し、測位結果を現在地として渋滞予測情報提供装置6に送信することができる。
【0038】
探索部614は、走行状況に含まれる区間に渋滞区間がある場合、渋滞回避のために休憩するSA/PAを探索する。
【0039】
表示制御部615は、将来の時間と区間を二軸とする平面上において区間ごとの時間ごとの予測走行速度に応じて表示の色および/または模様を異ならせたヒートマップ画面上に、走行状況、および、探索部614によって探索されたSA/PAを推奨する画像を重畳させた画像を表示させるための情報をユーザ端末9に送信する。また、例えば、表示制御部615は、ヒートマップ画面において予測走行速度が遅い部分ほど誘目度の高い色とする。また、例えば、表示制御部615は、ヒートマップ画面において区間ごとの時間ごとに予測走行速度の情報を重畳させる。
【0040】
図3は、第1実施形態の選択画面例を模式的に示す図である。
ユーザは、
図3に示すようなユーザ端末9の選択画面を用いて、出発地(出発インターチェンジ)(例えばA-IC(
図4))、目的地(到着インターチェンジ)(例えばG-IC(
図4))と、出発時刻または到着時刻を選択して時刻を入力する。ここでは、出発時刻を選択する場合は、デフォルトの時刻としての現在時刻を表示するようにしてもよい。また、出発地は、現在地から最寄りのICをデフォルト表示としてもよい。また、目的地は、地図画面上で目的地を指定すると自動的に最寄りのICをデフォルト表示するようにしてもよいし、あるいは、対象路線の末端のICをデフォルト表示するようにしてもよい。ユーザは、すべての情報の入力が終わったら「OK」のボタンを押す。キャンセルする場合は、「キャンセル」のボタンを押す。
【0041】
ここでは、まず、出発時刻と到着時刻のうち、出発時刻を指定する場合について説明する。
ここで、
図4を参照して第1のヒートマップ画面例について説明する。この第1のヒートマップ画面例はユーザ端末9に表示される。
【0042】
図4は、第1実施形態の第1のヒートマップ画面例を模式的に示す図である。
図4では、縦軸は道路の位置を示し、下から順に、A-IC(インターチェンジ)、B-PA、C-JCT(ジャンクション)、D-SA、E-JCT、F-PA、G-ICの位置を示す。
【0043】
また、横軸は時刻を示す。また、図中の時刻以外の数値は、道路の区間ごとの予測走行速度を示す。ここで、予測走行速度の背景色としては、渋滞箇所の表示を目立たせるため、予測走行速度が遅い部分(言い換えると、渋滞度している区間)の背景色は、誘目度の高い暖色系(例えば赤)の背景色とし、速度が速い区間(言い換えると、渋滞していない区間)の背景色は、誘目度の低い寒色系(例えば、青色)の背景色とする。例えば、渋滞度合の大きいほうから赤、黄色、緑などで分けてもよい。なお、ここでは、背景色は3段階としているが、これに限定されず、4段階以上としてもよい。
【0044】
また、以下の
図4、
図5、
図7、
図8のヒートマップ画面例において、黒丸は、デフォルトとしてユーザが選択画面(
図3)から設定した地点/時刻を示す。また、白丸(白抜きの黒丸)は、ヒートマップ画面上でユーザが入力した変更入力の地点/時刻を示す。
【0045】
図4では、黒丸は、
図3に示す選択画面で選択された出発時刻(12:00)および出発地(A-IC)を示す。この黒丸から走行状態を示す矢印を右上方向に延ばしていく。この矢印の傾きによって、予測走行速度の大きさが一目でわかる。また、矢印の傾きは区間ごとの予測走行速度に応じた傾きで表現している。ここでは、A-ICを12:00に出発した場合、G-ICの到着までの予測所要時間は約1時間半となる。
また、矢印を、予測走行速度に対応させて実線や破線のように表示を変えてもよく、また色(例えば、渋滞度合の大きいほうから赤、黄色、緑など)で分けてもよい。
【0046】
この例では、12:00にA-ICを出発すると、D-SAを過ぎたあたりから混雑、渋滞区間となることが予測されているため、D-SAにて時間調整する(昼休憩を取る)ことで渋滞を回避することを推奨している。
【0047】
ここで、ヒートマップ画面をタップすることで出発時刻を変更することができる。
図4では、出発地はA-ICのままで、出発時刻を12:00から13:00に変更した場合を示す。ヒートマップ画面でタップすることで指定した出発時刻13:00は、白丸で表示される。そして、白丸の13:00のA-ICから区間ごとの予測走行速度に対応させた矢印を表示していく。
【0048】
このため、A-ICの出発時刻を13:00に変更した場合は、G-ICの到着までの予測所要時間は約1時間20分となる。このように、ユーザは、ユーザ端末9を用いて、出発時刻を変更した場合の予測所要時間の大まかな変わり方を一目で把握することができる。
【0049】
次に、渋滞を回避するために、休憩時間を取る場合について、説明する。
図5は、第1実施形態で休憩時間を取る場合の第2のヒートマップ画面例を模式的に示す図である。この時、ユーザはユーザ端末9のヒートマップ画面上で、休憩を取りたい休憩場所(SAまたはPA)と、休憩後の出発時刻をタップすることで入力する。
【0050】
そして、走行状況予測部613は、ユーザ端末9によって指定された休憩場所と休憩場所からの出発時刻に基づいて、休憩場所からの出発時刻に休憩場所を出発した車両が将来の時間ごとに走行する区間を示す走行状況を予測する、以下、具体例について説明する。
【0051】
図5では、D-SAで休憩を取って、13:45にD-SAを出発するものとする。タップで指定した13:45のD-SAは、白丸で示す。この例では、D-SAを出発後、多少の混雑には遭遇するものの、大きな渋滞には巻き込まれることなく目的地であるG-ICに到着することが確認できる。
【0052】
このように、ヒートマップ画面上でタップして、出発時刻の変更や休憩場所と休憩場所の出発時刻を設定することで、それらの設定に応じた走行状況を予測し、矢印で追加表示できる。これにより、渋滞を回避できる走行計画を容易に立てることができる。
【0053】
なお、以上の画面表示等に関し、ユーザ端末9を用いる場合について説明したが、代わりにカーナビゲーションシステム8を用いてもよい。ユーザ端末9を用いる場合、渋滞予測情報提供装置6とユーザ端末9は、例えばインターネット経由で情報を送受信する。カーナビゲーションシステム8を用いる場合、渋滞予測情報提供装置6とカーナビゲーションシステム8は、例えば交通管制装置3とVICS7経由で情報を送受信する。
【0054】
次に、実施形態の渋滞予測情報提供装置6などの動作について、説明する。
【0055】
図6は、第1実施形態の渋滞予測情報提供装置6による処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS1において、取得部611は、交通管制装置3から、各区間の将来の時間ごとの予測走行速度情報を取得する。
【0056】
次に、ステップS2において、表示制御部615は、ヒートマップ情報に予測走行速度情報を反映する。
【0057】
次に、ステップS3において、取得部611は、ユーザ端末9から、ユーザによって指定された出発地、目的地、出発時刻の情報を取得する。
【0058】
次に、ステップS4において、所要時間算出部612は、出発地から目的地までの各区間の予測所要時間を算出する。また、走行状況予測部613は、出発地を出発した車両が将来の時間ごとに走行する区間を示す走行状況を予測する。また、走行状況に含まれる区間に渋滞区間がある場合、探索部614は、渋滞回避のために休憩するSA/PAを探索する。
【0059】
次に、ステップS5において、表示制御部615は、ヒートマップ情報に走行状況を反映し、ヒートマップ画面上に走行状況や推奨SA/PA画像を重畳させた画像(
図4、
図5)を表示させるための情報をユーザ端末9に送信する。これを受けて、ユーザ端末9は、アプリケーション91によって、またユーザによる操作入力情報も用いて、
図4、
図5に示すような画像を表示する。
【0060】
次に、ステップS6において、処理部61は、ユーザ端末9によって出発地、目的地、出発時刻の変更があったか否かを判定し、Yesの場合はステップS4に戻り、Noの場合はステップS7に進む。
【0061】
ステップS7において、処理部61は、各区間の予測走行速度情報の更新(定周期による更新、もしくは手動での更新)があったか否かを判定し、Yesの場合はステップS1に戻り、Noの場合は処理を終了する。
【0062】
このように、第1実施形態の道路管理システムSによれば、渋滞予測情報提供装置6は、
図4や
図5に示すような画面を表示させるための情報をユーザ端末9に送信する。つまり、渋滞予測情報提供装置6は、ユーザが渋滞回避のために走行計画の変更を容易に行うための情報提供を行うことができる。
【0063】
具体的には、例えば、渋滞予測情報提供装置6は、ヒートマップ画面上に、走行状況に加えて、走行状況に含まれる区間に渋滞区間がある場合は渋滞回避のために休憩するSA/PAの推奨画像を重畳させた画像を表示させるための情報をユーザ端末9に送信する。つまり、渋滞予測情報提供装置6は、道路の渋滞予測に関してドライバーごとにSA/PAでの時間調整も含めた情報提供を行うことができる。
【0064】
なお、一般に、渋滞予測情報をドライバーに提供すると、ドライバーは渋滞を避けて走行しようとするため、交通流が分散されて渋滞の発生抑止につながる。このときの交通流分散には空間的分散(走行経路の変更)と時間的分散(出発時刻の変更、もしくは途中のSA/PAでの休憩による時間調整)の2つがある。
【0065】
本実施形態の道路管理システムSによれば、ドライバーは、例えば、ユーザ端末9による
図4に示すような画面を用いて、出発時刻を変更する場合について容易かつ的確に検討することができる。また、ドライバーは、例えば、ユーザ端末9による
図5に示すような画面を用いて、途中のSA/PAでの休憩による時間調整を行う場合について容易かつ的確に検討することができる。これにより、ひいては、高速道路全体の時間的分散につながり、渋滞の抑制や軽減に寄与できる。
【0066】
(第1実施形態の変形例)
次に、第1実施形態の変形例として、選択画面(
図3)で、出発時刻と到着時刻のうち、到着時刻を指定する場合について、説明する。
図7は、第1実施形態の変形例において、到着時刻を指定して表示した第3のヒートマップ画面例を模式的に示す図である。
図4で説明した事項と同様の事項については、説明を適宜省略する。
【0067】
走行状況予測部613は、ユーザ端末9によって指定された出発地、目的地、到着時刻に基づいて、出発地を出発した車両が将来の時間ごとに走行する区間を示す走行状況から、指定された到着時刻に目的地に到着するために必要な出発地の出発時刻を予測する。以下、具体例について説明する。
【0068】
ユーザは、
図3の選択画面において、希望する到着地と到着時刻を指定する。
図7では、到着時刻を13:30に指定した場合を示す。この場合、G-ICの13:30は黒丸で表示される。
【0069】
G-ICの13:30から、ヒートマップ画面の区間ごとの速度に応じた傾きの矢印を表示していくと、出発地のA-ICの出発時刻は12:00となる。このため、A-ICからG-ICの到着までの予測所要時間は、約1時間30分となる。
【0070】
ここでユーザがヒートマップ画面をタップすることで、渋滞を避けるため、到着時刻として14:15を指定したとする。14:15のG-1Cには、白丸が表示される。次に、14:15のG-1Cから、ヒートマップ画面の区間ごとの速度に応じた傾きの矢印を表示していくと、出発地のA-ICの出発時刻は約13:00となる。この場合の予測所要時間は約1時間20分になる。
【0071】
このように到着時刻を変更することで、A-ICからG-ICの到着までの予測所要時間は、約1時間30分から約1時間20分に短縮される。このように、ユーザは、ユーザ端末9を用いて、到着時刻を変更した場合の予測所要時間の大まかな変わり方を一目で把握することができる。
【0072】
次に、第1実施形態の変形例において、目的地の到着時刻を指定した後に、休憩する休憩場所(SAまたはPA)を指定する場合の第4のヒートマップ画面例について説明する。
図8は、第1実施形態の他の変形例において、休憩する休憩場所と休憩場所への到着時刻を指定して表示した第4のヒートマップ画面例を模式的に示す図である。
【0073】
走行状況予測部613は、ユーザ端末9によって指定された休憩場所と休憩場所への到着時刻に基づいて、出発地を出発した車両が将来の時間ごとに走行する区間を示す走行状況から、指定された休憩場所への到着時刻に休憩場所に到着するために必要な出発地の出発時刻を予測する。以下、具体例について説明する。
【0074】
図8では、まず、選択画面(
図3)で、目的地としてG-ICを指定し、到着時刻として14:15を指定したものとする。そうすると、14:15のG-ICに黒丸が表示され、ヒートマップ画面における区間ごとの速度に応じた傾きの矢印を表示していくと、出発地のA-ICの出発時刻は12:45となる。この場合の予測所要時間は、約1時間半となる。
【0075】
ユーザは、このヒートマップ画面を見て、渋滞を避けるためにD-SAで休憩を取ることにし、そのために休憩場所のD-SAの新たな到着時刻(ここでは12:30)を、ヒートマップ画面でタップする。これによって、12:30のD-SAには白丸が表示される。そして、12:30のD-SAから出発地のA-ICに向けて、ヒートマップ画面における区間ごとの速度に応じた傾きの矢印を表示していくと、出発地のA-ICの出発時刻は12:00となる。この例では、A-ICからD-SAまでと、休憩後に出発するD-SAからG-ICまで、後半に多少の混雑に遭遇するものの、大きな渋滞には巻き込まれることなく目的地であるG-ICに到着することが確認できる。
【0076】
このように、到着時刻を指定して走行状況をヒートマップ画面に表示させた後に、休憩する休憩場所と休憩場所への新たな到着時刻をヒートマップ画面上でタップすることで、新たな走行状況を予測し、矢印で追加表示できる。これにより、渋滞を回避できる走行計画を容易に立てることができる。
【0077】
次に、
図9を参照して、第1実施形態の変形例の渋滞予測情報提供装置6による処理について説明する。
図9は、第1実施形態の変形例の渋滞予測情報提供装置6による処理を示すフローチャートである。
【0078】
まず、ステップS1において、取得部611は、交通管制装置3から、各区間の将来の時間ごとの予測走行速度情報を取得する。
【0079】
次に、ステップS2において、表示制御部615は、ヒートマップ情報に予測走行速度情報を反映する。
【0080】
次に、ステップS31において、取得部611は、ユーザ端末9から、ユーザによって指定された出発地、目的地、到着時刻の情報を取得する。
【0081】
次に、ステップS41において、所要時間算出部612は、出発地から目的地までの各区間の予測所要時間を算出する。また、走行状況予測部613は、到着時刻から逆算して算出した出発時刻に出発地を出発した車両が将来の時間ごとに走行する区間を示す走行状況を予測する。また、走行状況に含まれる区間に渋滞区間がある場合、探索部614は、渋滞回避のために休憩するSA/PAを探索する。
【0082】
次に、ステップS5において、表示制御部615は、ヒートマップ情報に走行状況を反映し、ヒートマップ画面上に走行状況や推奨SA/PA画像を重畳させた画像(
図7、
図8)を表示させるための情報をユーザ端末9に送信する。これを受けて、ユーザ端末9は、アプリケーション91によって、またユーザによる操作入力情報も用いて、
図7、
図8に示すような画像を表示する。
【0083】
次に、ステップS61において、処理部61は、ユーザ端末9によって出発地、目的地、到着時刻の変更があったか否かを判定し、Yesの場合はステップS41に戻り、Noの場合はステップS7に進む。
【0084】
ステップS7において、処理部61は、各区間の予測走行速度情報の更新(定周期による更新、もしくは手動での更新)があったか否かを判定し、Yesの場合はステップS1に戻り、Noの場合は処理を終了する。
【0085】
このように、第1実施形態の変形例の道路管理システムSによれば、第1実施形態の場合の効果に加えて、次のような効果を奏する。まず、ユーザは、
図7に示すようなヒートマップ画面において、希望する到着時刻を指定(画面タップなど)することで到着時刻を変更(追加表示)し、その場合の予測所要時間の大まかな変わり方を一目で把握することができる。
【0086】
また、ユーザは、
図8に示すようなヒートマップ画面において、休憩する休憩場所(SAまたはPA)と休憩場所への新たな到着時刻を指定(画面タップなど)することで走行計画を変更(追加表示)し、その場合の予測所要時間の大まかな変わり方を一目で把握することができる。これにより、渋滞を回避できる走行計画を容易に立てることができる。
【0087】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第1実施形態と同様の事項については、説明を適宜省略する。第1実施形態では、JCTなどの分岐がない路線を前提としていた。一方、第2実施形態では、出発地から目的地までの道路として、JCTなどの分岐によって複数の路線が候補となる場合について説明する。その場合、まず経路を選択する必要がある。
【0088】
ここで、
図10は、第2実施形態の路線図画面例を模式的に示す図である。
図11は、第2実施形態の選択画面例を模式的に示す図である。ユーザは、
図11に示すようなユーザ端末9の画面を用いて、経路選択のために必要な出発時刻もしくは到着時刻(例えば、デフォルトは出発時刻としての現在時刻で、選択や入力による変更も可能)、出発地(デフォルトは現在地)、目的地、経由地(任意)の各情報を入力する。
【0089】
具体的には、出発地は、例えば、デフォルトでGPSから得られた現在地の情報としてもよい。また、出発地は、ヒートマップ画面上で直接入力することも可能である。
【0090】
これにより、
図10に示すように、路線図上に複数のジャンクション間の予測所要時間や渋滞度合が表示される。例えば、出発地をI-JCTとし、目的地をN-JCTとする場合、L-JCT経由、もしくは、P-JCT経由の2経路が考えられる。そして、ジャンクション間ごと予測所要時間(符号101~104)を出発時刻に応じて表示する。これにより、経路選択の参考情報を提供できる。なお、
図10では、ジャンクション間ごと予測所要時間を表示しているが、これに限定されず、出発地から目的地までの経路ごとの予測所要時間を表示してもよい。この表示に基づき、経由地を変更する場合は、画面を戻して、
図11の画面により経由地を変更する。
【0091】
このために、
図2の渋滞予測情報提供装置6の所要時間算出部612は、路線ごと(あるいはジャンクション間ごと)に、車両走行の予測所要時間を算出する。そして、表示制御部615は、路線図上に路線ごとの予測所要時間を重畳させた画像を表示させるための情報、および、いずれかの路線が選択された場合に、選択された路線について、ヒートマップ画面上に走行状況を重畳させた画像を表示させるための情報をユーザ端末9に送信する。
【0092】
図12は、第2実施形態の渋滞予測情報提供装置6による処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS11において、取得部611は、交通管制装置3から、各区間の将来の時間ごとの予測走行速度情報を取得する。
【0093】
次に、ステップS12において、所要時間算出部612は、各区間について時間ごとに、予測走行速度情報に基づいて、車両走行の予測所要時間を算出する。
【0094】
次に、ステップS13において、取得部611は、ユーザ端末9から、ユーザによって指定された出発地、目的地、出発時刻の情報を取得する。
【0095】
次に、ステップS14において、所要時間算出部612は、出発地から目的地までの経路ごとの予測所要時間を算出する。
【0096】
次に、ステップS15において、表示制御部615は、路線図情報に経路ごとの予測所要時間を反映し、路線図の経路ごと(あるいはジャンクションごと)の予測所要時間を示す画像(
図10)を表示させるための情報をユーザ端末9に送信する。これを受けて、ユーザ端末9は、アプリケーション91によって、そのような画像(
図10)を表示する。
【0097】
次に、ステップS16において、処理部61は、出発地、目的地、出発時刻の変更があったか否かを判定し、Yesの場合はステップS14に戻り、Noの場合はステップS17に進む。
【0098】
ステップS17において、処理部61は、各区間の予測走行速度情報の更新(定周期による更新、もしくは手動での更新)があったか否かを判定し、Yesの場合はステップS11に戻り、Noの場合は処理を終了する。
【0099】
なお、ユーザ端末9は、
図10に示すような画面を表示している場合に、ユーザによっていずれかの経路が選択されると、画面を切り替えて、その経路に関して
図4、
図5に示すようなヒートマップ画面を表示する。
【0100】
このように、第2実施形態の道路管理システムSによれば、出発地から目的地までの道路として複数の路線がある場合、ユーザ端末9において、まず、
図10に示すような路線図における経路ごとの予測所要時間を示す画面を表示する。その後、経路が選択された場合に、その経路に関して
図4、
図5に示すようなヒートマップ画面が表示される。渋滞予測情報提供装置6は、それらの画面表示に必要な情報をユーザ端末9に送信(提供)する。
【0101】
これにより、出発地から目的地までの道路として複数の路線がある場合でも、ドライバーは、ユーザ端末9を用いて、まず
図10の画面で経路を選択し、その後に、
図4や
図5の画面で、出発時刻を変更する場合や、途中のSA/PAでの休憩による時間調整を行う場合について、容易かつ的確に検討することができる。これにより、ひいては、高速道路全体の時間的分散につながり、渋滞の抑制や軽減に寄与できる。
【0102】
(第2実施形態の変形例)
第2実施形態も第1実施形態と同様に、複数経路が存在する場合に到着時刻を指定して出発時刻を表示するようにしてもよい。
以下、第2実施形態の変形例として、複数経路が存在する場合に到着時刻を指定する場合について、説明する。
【0103】
図13は、第2実施形態の変形例の渋滞予測情報提供装置6による処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS11において、取得部611は、交通管制装置3から、各区間の将来の時間ごとの予測走行速度情報を取得する。
【0104】
次に、ステップS12において、所要時間算出部612は、各区間について時間ごとに、予測走行速度情報に基づいて、車両走行の予測所要時間を算出する。
【0105】
次に、ステップS131において、取得部611は、ユーザ端末9から、ユーザによって指定された出発地、目的地、到着時刻の情報を取得する。
【0106】
次に、ステップS141において、所要時間算出部612は、出発地から目的地までの経路ごとの予測所要時間を算出する。また、走行状況予測部613は、到着時刻から逆算して算出した出発時刻に出発地を出発した車両が将来の時間ごとに走行する区間を示す走行状況を予測する。また、走行状況に含まれる区間に渋滞区間がある場合、探索部614は、渋滞回避のために休憩するSA/PAを探索する。
【0107】
次に、ステップS15において、表示制御部615は、路線図情報に経路ごとの予測所要時間を反映し、路線図の経路ごと(あるいはジャンクションごと)の予測所要時間を示す画像(
図10)を表示させるための情報をユーザ端末9に送信する。これを受けて、ユーザ端末9は、アプリケーション91によって、そのような画像(
図10)を表示する。
【0108】
次に、ステップS161において、処理部61は、出発地、目的地、到着時刻の変更があったか否かを判定し、Yesの場合はステップS141に戻り、Noの場合はステップS17に進む。
【0109】
ステップS17において、処理部61は、各区間の予測走行速度情報の更新(定周期による更新、もしくは手動での更新)があったか否かを判定し、Yesの場合はステップS11に戻り、Noの場合は処理を終了する。
【0110】
なお、ユーザ端末9は、
図10に示すような画面を表示している場合に、ユーザによっていずれかの経路が選択されると、画面を切り替えて、その経路に関して
図7、
図8に示すようなヒートマップ画面を表示する。
【0111】
このように、第2実施形態の変形例の道路管理システムSによれば、第2実施形態の場合の効果に加えて、次のような効果を奏する。ユーザは、
図11に示すような選択画面において、希望する到着時刻を指定(画面タップなど)することで到着時刻を変更(追加表示)し、その場合の予測所要時間の大まかな変わり方を一目で把握することができる。
【0112】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第1実施形態と同様の事項については、説明を適宜省略する。第1実施形態では、出発時刻を変更する場合の変更後の出発時刻や、途中のSA/PAで休憩する場合の再出発の時刻をユーザが指定していた。第3実施形態では、それらの指定を自動化する。
【0113】
図2の渋滞予測情報提供装置6の走行状況予測部613は、各区間の時間ごとの予測所要時間、および、出発地、目的地に基づいて、現在時刻以降で、渋滞に巻き込まれる時間が最も短い、もしくは目的地までの予測所要時間が最も短い渋滞回避走行予定情報として、出発時刻、SA/PAでの休憩時間を含む渋滞回避走行予定情報を算出する。このとき、SA/PAでの休憩時間はユーザが別途指定しても良い。そして、表示制御部615は、ヒートマップ画面上に渋滞回避走行予定情報を重畳させた画像を表示させるための情報をユーザ端末9に送信する。
【0114】
このように、第3実施形態の道路管理システムSによれば、渋滞予測情報提供装置6によって、出発地、目的地に基づいて、現在時刻以降で、渋滞に巻き込まれる時間が最も短い、もしくは目的地までの予測所要時間が最も短い渋滞回避走行予定情報として、出発時刻、SA/PAでの休憩時間を含む渋滞回避走行予定情報を算出し、その渋滞回避走行予定情報をユーザ端末9に送信して表示させる。これにより、ユーザは、渋滞に巻き込まれる時間が最も短い、もしくは目的地までの予測所要時間が最も短い走行計画を容易に立てることができる。
【0115】
本実施形態の渋滞予測情報提供装置6のCPUで実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0116】
さらに、当該プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態で実行される当該プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0117】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、上記実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態およびその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0118】
例えば、対象の道路は、高速道路に限定されず、ほかに、高速道路以外の有料道路や、無料の一般道であってもよい。
【0119】
また、
図4、
図5、
図7、
図8の画面例では、背景に予測走行速度を表示するものとしたが、これに限定されず、表示しなくてもよい。
【符号の説明】
【0120】
1…車両感知器、2…気象データ管理装置、3…交通管制装置、4…大型表示装置、5…情報端末装置、6…渋滞予測情報提供装置、7…VICS、8…カーナビゲーションシステム、9…ユーザ端末、10…CCTVカメラ、31…渋滞判定部、32…所要時間作成処理部、33…走行速度予測部、61…処理部、62…記憶部、63…入力部、64…表示部、65…通信部、611…取得部、612…所要時間算出部、613…走行状況予測部、614…探索部、615…表示制御部、C…車両、R…道路、S…道路管理システム