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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162823
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】光電子増倍管
(51)【国際特許分類】
   H01J 43/06 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
H01J43/06
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073485
(22)【出願日】2022-04-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】西村 侑記
(72)【発明者】
【氏名】松田 成未
(72)【発明者】
【氏名】彦坂 尚
(72)【発明者】
【氏名】勝山 広太
(57)【要約】
【課題】高電圧化を抑制しつつ高速化を図ることが可能な光電子増倍管を提供する。
【解決手段】光電子増倍管1は、光電面20と、光電子の入射に応じて二次電子を放出すると共に、当該二次電子を増倍する電子増倍部30と、光電面20と電子増倍部30との間に配置され、光電子を加速して電子増倍部30に入射させるための加速電極40と、を備える。管径方向D2からみたとき、光電面20と加速電極40と電子増倍部30とは、加速電極40の管軸方向D1の光電面20側の第1端部40aと光電面20との間、及び、加速電極40の管軸方向D1の電子増倍部30側の第2端部40bと電子増倍部30との間に、他の部材が介在しないように配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光に応じて光電子を放出する光電面と、
前記光電面から放出された前記光電子の入射に応じて二次電子を放出すると共に、当該二次電子を増倍する複数のダイノードを含む電子増倍部と、
前記光電面と前記電子増倍部との間に配置され、前記光電子を加速して前記電子増倍部に入射させるための加速電極と、
前記光電面、前記加速電極、及び、前記電子増倍部を収容する管状の収容容器と、
を備え、
前記収容容器の管軸方向に交差する管径方向からみたとき、前記光電面と前記加速電極と前記電子増倍部とは、前記加速電極の前記管軸方向の前記光電面側の第1端部と前記光電面との間、及び、前記加速電極の前記管軸方向の前記電子増倍部側の第2端部と前記電子増倍部との間に他の部材が介在しないように配置されている、
光電子増倍管。
【請求項2】
前記加速電極は、前記第2端部から前記管径方向に延在するフランジ部を有する、
請求項1に記載の光電子増倍管。
【請求項3】
前記フランジ部は、前記管軸方向からみて前記電子増倍部の外側まで延在している、
請求項2に記載の光電子増倍管。
【請求項4】
前記加速電極は、前記第1端部及び前記第2端部を含むと共に、前記光電子を通過させる貫通孔が形成された筒状部を有し、
前記筒状部の前記管軸方向における長さは、前記貫通孔の半径以上である、
請求項1に記載の光電子増倍管。
【請求項5】
前記光電面から放出された前記光電子を前記電子増倍部に向けて集束させるための集束電極をさらに備え、
前記集束電極は、前記管径方向からみて前記加速電極に重なる範囲に設けられている、
請求項1に記載の光電子増倍管。
【請求項6】
前記集束電極は、前記管軸方向からみて前記電子増倍部の外側まで延在している、
請求項5に記載の光電子増倍管。
【請求項7】
前記光電面から放出された前記光電子を前記電子増倍部に向けて集束させるための集束電極をさらに備え、
前記集束電極は、前記管径方向からみて前記加速電極に重なる範囲に設けられると共に、前記管軸方向からみて前記フランジ部の外側まで延在している、
請求項3に記載の光電子増倍管。
【請求項8】
前記光電面における前記加速電極に入射する前記光電子を放出する有効領域の外側の非有効領域を遮光するための遮光部をさらに備える、
請求項1~7のいずれか一項に記載の光電子増倍管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光電子増倍管に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光電子増倍管が記載されている。この光電子増倍管は、光電子を放出するホトカソードと、ホトカソードから到達した光電子に応答して二次電子を放出し、該二次電子を増倍する複数段のダイノードを含むダイノードユニットと、ホトカソードとダイノードユニットとの間に配置され、ホトカソードからの光電子が通過するための貫通孔を有する集束電極と、集束電極とダイノードユニットの間に配置され、ホトカソードから集束電極を介して到達した光電子を加速するための加速電極と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008-535147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の光電子増倍管では、第1段ダイノード及び第2段ダイノードが、導電性部材が介在することなく加速電極に直接対向した状態とすることにより、電子走行時間のバラつきの低減を図っている。
【0005】
ところで、上記技術分野にあっては、時間分解能の向上のため、さらなる高速化が望まれている。高速化の指標の1つとしては、TTS(Transit Time Spread)を小さくすることがある。TTSは、光電面を単一光子により全面照射した際の単一光電子パルスの走行時間揺らぎである。本発明者の知見によれば、特許文献1に記載された光電子増倍管によって、TTSを一定程度小さくすることが可能である。一方で、本発明者の知見によれば、特許文献1に記載の光電子増倍管においてTTSをより小さくするためには、非常に高い電圧を印加する必要がある。これは、ホトカソードと加速電極と間に集束電極が介在する分だけ長焦点化され、加速電極の電界強度の低下が生じる結果、この電界強度の低下を補うべく加速電極により高い電圧を印加する必要があるためである。そして、そのような高電圧化が進むと、耐圧不良の問題が顕在化し得る。
【0006】
そこで、本開示は、高電圧化を抑制しつつ高速化を図ることが可能な光電子増倍管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る光電子増倍管は、[1]「入射光に応じて光電子を放出する光電面と、前記光電面から放出された前記光電子の入射に応じて二次電子を放出すると共に、当該二次電子を増倍する複数のダイノードを含む電子増倍部と、前記光電面と前記電子増倍部との間に配置され、前記光電子を加速して前記電子増倍部に入射させるための加速電極と、前記光電面、前記加速電極、及び、前記電子増倍部を収容する管状の収容容器と、を備え、前記収容容器の管軸方向に交差する管径方向からみたとき、前記光電面と前記加速電極と前記電子増倍部とは、前記加速電極の前記管軸方向の前記光電面側の第1端部と前記光電面との間、及び、前記加速電極の前記管軸方向の前記電子増倍部側の第2端部と前記電子増倍部との間に他の部材が介在しないように配置されている、光電子増倍管」である。
【0008】
上記[1]の光電子増倍管では、入射光に応じて光電子を放出する光電面と、当該光電子に応じた二次電子を増倍する電子増倍部との間に、光電子を加速して電子増倍部に入射させるための加速電極が設けられている。そして、収容容器の管径方向からみたとき、光電面と加速電極と電子増倍部とは、加速電極の管軸方向の光電面側の第1端部と光電面との間、及び、加速電極の管軸方向の電子増倍部側の第2端部と電子増倍部との間に、例えば集束電極といった他の電極等の他の部材が介在されていない。このため、光電面、加速電極、及び電子増倍部を比較的に近接して配置することによって長焦点化を避け、加速電極の電界強度の低下を抑制可能である。よって、高電圧化を抑制しつつ高速化を図ることが可能である。
【0009】
本開示に係る光電子増倍管は、[2]「前記加速電極は、前記第2端部から前記管径方向に延在するフランジ部を有する、上記[1]に記載の光電子増倍管」であってもよい。当該[2]に係る光電子増倍管によれば、フランジ部によって、光電面の有効領域でない非有効領域から放出された光電子といったTTSを悪化させるような余分な光電子が電子増倍部に入射することが抑制される。
【0010】
本開示に係る光電子増倍管は、[3]「前記フランジ部は、前記管軸方向からみて前記電子増倍部の外側まで延在している、上記[2]に記載の光電子増倍管」であってもよい。当該[3]に係る光電子増倍管によれば、余分な光電子が電子増倍部に入射することが確実に抑制される。
【0011】
本開示に係る光電子増倍管は、[4]「前記加速電極は、前記第1端部及び前記第2端部を含むと共に、前記光電子を通過させる貫通孔が形成された筒状部を有し、前記筒状部の前記管軸方向における長さは、前記貫通孔の半径以上である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の光電子増倍管」であってもよい。当該[4]に係る光電子増倍管によれば、光電面の有効領域から放出された所望の光電子を筒状部に集めつつ、余分な光電子を遮ることが可能となる。
【0012】
本開示に係る光電子増倍管は、[5]「前記光電面から放出された前記光電子を前記電子増倍部に向けて集束させるための集束電極をさらに備え、前記集束電極は、前記管径方向からみて前記加速電極に重なる範囲に設けられている、上記[1]~[4]のいずれかに記載の光電子増倍管」であってもよい。当該[5]に係る光電子増倍管によれば、加速電極が形成する光電子の加速場を微調整して光電子の集束性を向上させることができる。
【0013】
本開示に係る光電子増倍管は、[6]「前記集束電極は、前記管軸方向からみて前記電子増倍部の外側まで延在している、上記[5]に記載の光電子増倍管」であってもよい。当該[6]に記載の光電子増倍管によれば、光電子の集束性を向上させつつ、余分な光電子が電子増倍部に入射することが抑制される。
【0014】
本開示に係る光電子増倍管は、[7]「前記光電面から放出された前記光電子を前記電子増倍部に向けて集束させるための集束電極をさらに備え、前記集束電極は、前記管径方向からみて前記加速電極に重なる範囲に設けられると共に、前記管軸方向からみて前記フランジ部の外側まで延在している、上記[3]に記載の光電子増倍管」であってもよい。当該[7]に係る光電子増倍管によれば、光電子の集束性を向上させつつ、余分な光電子が電子増倍部に入射することが確実に抑制される。
【0015】
本開示に係る光電子増倍管は、[8]「前記光電面における前記加速電極に入射する前記光電子を放出する有効領域の外側の非有効領域を遮光するための遮光部をさらに備える、上記[1]~[7]のいずれかに記載の光電子増倍管」であってもよい。当該[8]に係る光電子増倍管によれば、光電面の非有効領域に光が入射することが抑制されるため、余分な光電子が電子増倍部に入射することがより確実に抑制される。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、高電圧化を抑制しつつ高速化を図ることが可能な光電子増倍管を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、一実施形態に係る光電子増倍管を示す概略断面図である。
図2図2は、光電子増倍管の一方向におけるCTTDを示すグラフである。
図3図3は、光電子増倍管の別の一方向におけるCTTDを示すグラフである。
図4図4は、本実施形態に係る光電子増倍管のTTSを示している。
図5図5は、第1変形例に係る光電子増倍管の概略断面図である。
図6図6は、第1変形例に係る光電子増倍管の特性を示すグラフである。
図7図7は、第2変形例に係る光電子増倍管の概略断面図である。
図8図8は、第2変形例に係る光電子増倍管の特性を示すグラフである。
図9図9は、第3変形例に係る光電子増倍管の概略断面図である。
図10図10は、第3変形例に係る光電子増倍管の特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面の説明において、同一または相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0019】
図1は、一実施形態に係る光電子増倍管を示す概略断面図である。図1に示されるように、光電子増倍管1は、内部が真空引きされた密閉容器である収容容器10を備えている。収容容器10は、両端が封止された円筒管状に形成されている。以下では、収容容器10の管軸AXに沿った方向を管軸方向D1とし、収容容器10の径方向であって管軸方向D1に交差(直交)する方向を管径方向D2とする。
【0020】
光電子増倍管1は、収容容器10に収容された光電面20、電子増倍部30、加速電極40、及び、集束電極50を備えている。さらに、光電子増倍管1は、収容容器10の外部に設けられた遮光部60を備えている。光電面20は、収容容器10の管軸方向D1の一端部の内側に形成されている。光電面20は、入射光に応じて光電子を放出する。光電面20は、加速電極40に対向しており、加速電極40と反対側に凸となる部分的な球面状の曲面形状を有する。光電面20には、収容容器10の内壁面上において光電面20の周縁部を包囲するように周方向に連続的に設けられた導電膜(給電部材)21を介して電圧が印加される。導電膜21は、光電面20の全面にわたって均一に電位を印加することを可能とする。導電膜21は、光電面20に安定した電位を供給することによってTTSの安定性の向上に寄与する。
【0021】
光電面20は、加速電極40に入射する光電子を放出する有効領域20aと、有効領域20aの外側の非有効領域20bと、を含む。有効領域20aは、管軸方向D1からみて、管軸AXを中心とする円形状の領域である。非有効領域20bは、有効領域20aから連続する領域であり、管軸方向D1からみて管軸AXを中心とする円環状の領域である。
【0022】
電子増倍部30は、加速電極40を介して光電面(カソード)20に対向して配置されている。電子増倍部30は、光電面20から放出された光電子の入射に応じて二次電子を放出すると共に、当該二次電子を増倍する複数のダイノードを含む。より具体的には、電子増倍部30は、第1ダイノードDY1、第2ダイノードDY2、第3ダイノードDY3、第4ダイノードDY4、第5ダイノードDY5、第6ダイノードDY6、第7ダイノードDY7、反射型ダイノードDY8、及び、アノード31を含む。
【0023】
第1ダイノードDY1~第7ダイノードDY7は、第1ダイノードDY1に到達した光電子に応答して放出される二次電子を、順次にカスケード増倍する。第1ダイノードDY1~第7ダイノードDY7、及び反射型ダイノードDY8には、光電子或いは二次電子を受け、該電子の入射方向に向かって新たに二次電子を放出する反射型の二次電子放出面が形成されている。アノード31は、第1ダイノードDY1~第7ダイノードDY7により増倍された二次電子を信号として取り出すためのものである。反射型ダイノードDY8は、アノード31を通過した電子を再びアノード31へ反転させる。
【0024】
加速電極40は、光電面20と電子増倍部30との間に配置され、光電面20より放出された光電子を加速して電子増倍部30に入射させる。加速電極40により、光電面20の光電子の放出部位に起因した光電面20から電子増倍部30に至る光電子の走行時間のバラツキが減少される。また、加速電極40は、光電面20及び収容容器10の内壁面(さらには導電膜21)から離間して配置されている。
【0025】
加速電極40は、管軸方向D1における第1端部40aと、第1端部40aの反対側の第2端部40bと、を含む。第1端部40aは光電面20側の端部(光電面20に対する端部)であり、第2端部40bは電子増倍部30側の端部(電子増倍部30に対向する端部)である。光電面20、加速電極40、及び電子増倍部30は、管径方向D2からみたとき、第1端部40aと光電面20との間、及び、第2端部40bと電子増倍部30との間に他の部材が介在しないように配置されている。
【0026】
なお、ここでいう他の部材とは、例えば、集束電極といった他の電極等の導電部材を含む任意の部材である。ただし、ここでいう他の部材は、収容容器10の側壁部や、加速電極40や電子増倍部30等の各種電極を収容容器10内に支持するための支持部材や、各種電極と支持部材とを固定するための固定部材(導電性/絶縁性問わず)や、光電面20や各種電極への給電部材(例えば導電膜21)や、収容容器10の内壁面に設けられる部材(例えば導電膜21)といったように、管軸方向D1からみて光電面20、加速電極40、及び電子増倍部30に重ならない部材を除く。すなわち、ここでの第1端部40aと光電面20の間、及び、第2端部40bと電子増倍部30との間に他の部材が介在しないとは、光電面20、加速電極40、及び、電子増倍部30を管軸方向D1に沿って位置調整する際に(移動させたときに)、干渉する他の部材が存在しないことを意味する。
【0027】
一方、ここでいう他の部材は、光電面20と加速電極40との間、及び、加速電極40と電子増倍部30との間のそれぞれに形成される電界に影響を与え得る部材を含む。換言すれば、他の部材は、光電面20と加速電極40との間においては、光電面20及び加速電極40のいずれとも異なる電位が印加された部材、加速電極40と電子増倍部30との間においては、加速電極40及び第1ダイノードDY1のいずれとも異なる電位が印加された部材を含む。すなわち、一例として、加速電極40を組み付ける際に、金属製の板部材であって加速電極40と同電位となる部材が加速電極40と電子増倍部30との間に配置される場合があるが、この部材は、加速電極40と同電位であるため、加速電極40及び第1ダイノードDY1のいずれとも異なる電位が印加された部材に該当せず、上記の他の部材に含まれない(すなわち介在し得る)。
【0028】
ここで、加速電極40は、筒状部41とフランジ部42とを含む。筒状部41は、管軸方向D1に沿って延びる円筒状を呈しており、第1端部40aと第2端部40bとを含む。筒状部41には、光電子を通過させる貫通孔41hが形成されている。筒状部41及び貫通孔41hは、管軸方向D1からみて、光電面20の有効領域20aよりも小径であり、且つ、管軸AXを中心とする円形状を呈している。この例では、筒状部41の第2端部40b側の端面は管軸AXに直交する面と略平行であるが、筒状部41の第1端部40a側の端面は、第1ダイノードDY1の傾斜に対応するように(同方向に傾斜するように)管軸AXに直交する面に対して傾斜している。この傾斜によって、第1ダイノードDY1までの走行距離が長い電子の加速度を、走行距離が短い電子の加速度よりも上昇させ、走行時間差を小さくさせることができる。
【0029】
フランジ部42は、円環板状を呈しており、筒状部41の第2端部40bから管径方向D2に沿って筒状部41の外側に向けて延在している。フランジ部42は、管軸方向D1からみて電子増倍部30の外側に至るように延在している。すなわち、フランジ部42の管径方向D2の端部は、電子増倍部30の外側に位置している。これにより、加速電極40は、全体として、管軸方向D1からみて電子増倍部30の全体を覆っている。
【0030】
集束電極50は、光電面20から放出された光電子を電子増倍部30に向けて集束させる。すなわち、集束電極50は、光電面20から放出された光電子が電子増倍部30に集束していくように光電子の軌道を調整する機能を有する。集束電極50は、貫通孔50hを有する円環板状に形成されており、当該貫通孔50hの内部に加速電極40(筒状部41)が挿通するように配置されている。集束電極50及び貫通孔50hは、管軸方向D1からみて、管軸AXを中心とする円環状を呈している。
【0031】
集束電極50は、管径方向D2からみて加速電極40に重なる範囲に設けられている。換言すれば、集束電極50は、管径方向D2からみて第1端部40aと第2端部40bとの間に位置しており、加速電極40から突出していない。一方、集束電極50は、管軸方向D1からみて、電子増倍部30の外側に至るように延在している。すなわち、管軸方向D1からみて、集束電極50の外縁が、電子増倍部30の外側に位置している。
【0032】
また、ここでは、管軸方向D1からみて、集束電極50がフランジ部42のさらに外側に至るように延在している。すなわち、ここでは、管軸方向D1からみて、集束電極50の外縁が、フランジ部42の外縁よりもさらに外側に位置している。なお、図示の例では、集束電極50と加速電極40のフランジ部42とは、略平行である。
【0033】
加速電極40及び集束電極50のそれぞれに印加される電圧の大きさは、互いに異なっている。すなわち、加速電極40には、集束電極50よりも大きな電圧が付与されている。一例として、加速電極40には、第1ダイノードDY1に印加される電圧よりも大きな電圧(例えば、第6ダイノードDY6に印加される電圧と同等の電圧)が印加される。一方、集束電極50には、一例として、第1ダイノードDY1に印加される電圧と同等以下の電圧が印加される。
【0034】
遮光部60は、管軸方向D1における収容容器10の一端部の外側に設けられている。遮光部60は、管軸方向D1からみて、管軸AXを中心とする円環状に形成されており、光電面20の非有効領域20bを覆うように収容容器10の外面に設けられている。遮光部60は、非有効領域20bにおいて光電子が放出されないように非有効領域20bを遮光している。
【0035】
ここで、光電面20及び加速電極40のサイズ及び位置関係について説明する。光電面20の有効領域20aは、管軸方向D1からみたときの直径φを有する。光電面20では、遮光部60によって非有効領域20bが遮光されることにより、有効領域20aの直径φが絞られており(全体の直径よりも小さくされており)、この結果、光電子の短焦点化が図られている。
【0036】
一方、加速電極40の筒状部41(貫通孔41h)は、半径rを有する。また、筒状部41は、管軸方向D1における長さdを有する。長さdは、筒状部41における第1端部40aと第2端部40bとの距離でもある。上述したように、筒状部41では、第1端部40a側の端面が管軸AXに直交する面に対して傾斜し、且つ、第2端部40b側の端面が管軸AXに直交する面に対して略平行である。
【0037】
したがって、長さdは、筒状部41の周方向の位置に応じて変化する(図示の断面内では管径方向D2に応じて変化する)。ここでは、長さdは、管軸AX上での値とする。長さdは、半径r以上である。また、光電子増倍管1は、管軸AXにおける筒状部41の第1端部40aと光電面20(有効領域20a)との距離hを有している。長さdを一定程度(半径r)よりも大きくすることは、筒状部41の第1端部40aを距離h程度まで光電面20に近接させることに寄与している。
【0038】
これにより、光電子増倍管1では、加速電極40の筒状部41の第1端部40aを、直径φが絞られて短焦点化された有効領域20aから距離h程度の近傍まで至らせることによって、例えば2000Vといった高電圧を用いることなく(比較的低電圧で)光電子の十分な加速場を形成しつつ、有効領域20aからの光電子を半径rの貫通孔50hに導きながら加速することを可能としている。このように、光電子増倍管1では、距離h、直径φ、及び、半径rは、互いに関連付けられて設定され得る。一例として、距離hは、直径φの0.6倍以上0.8倍以下程度の範囲に設定され得る。また、半径rは、直径φ0.2倍以上0.3倍以下程度の範囲に設定され得る。距離h、直径φ、及び半径rの設定の際に、長さdをさらに考慮することも可能である。この場合、例えば、長さdは、直径φの0.3倍以上0.5倍以下程度の範囲に設定され得る。また、長さdと半径rとの比率(長さd/半径r)は、1.0以上1.6以下程度の範囲に設定され得る。
【0039】
引き続いて、光電子増倍管1の作用・効果について説明する。図2の(a)及び図3の(a)は、比較例に係る光電子増倍管における光電子の走行時間差であるCTTD(Cathode Transit Time Difference)を示し、図2の(b)及び図3の(b)は、本実施形態に係る光電子増倍管1のCTTDを示している。図2では、管径方向Dの一方向であるX方向についてのCTTDが示され、図3では、管径方向の別の方向であるY方向(X方向に直交する方向)についてのCTTDが示されている。図4は、本実施形態に係る光電子増倍管1のTTSを示している。
【0040】
比較例では、遮光部60が設けられておらず、光電面の有効領域が絞られていない(短焦点化されていない)。なお、φaは、比較例の光電面の直径である。また、比較例では、有効領域が短焦点化されていないことに起因して、光電面と加速電極との距離が大きくとられ、それらの間に集束電極が介在されている。比較例のその他の構成については、本実施形態に係る光電子増倍管1と同等である。
【0041】
図2及び図3に示されるように、本実施形態に係る光電子増倍管1では、比較例に係る光電子増倍管と比較して、X方向及びY方向の両方について、CTTDがフラット化されている(走行時間差が低減されている)ことが理解される。また、図4に示されるように、本実施形態に係る光電子増倍管1によれば、1500Vの電圧下において60psのTTSが達成されている。なお、本発明者の知見によれば、比較例に係る光電子増倍管にあっても、100psを下回る90psのTTSを実現し得るものの、その際には2000Vの高電圧が必要となる。
【0042】
以上説明したように、光電子増倍管1では、入射光に応じて光電子を放出する光電面20と、当該光電子に応じた二次電子を増倍する電子増倍部30との間に、光電子を加速して電子増倍部30に入射させるための加速電極40が設けられている。そして、収容容器10の管径方向D2からみたとき、光電面20と加速電極40と電子増倍部30とは、加速電極40の管軸方向D1の光電面20側の第1端部40aと光電面20との間、及び、加速電極40の管軸方向D1の電子増倍部30側の第2端部40bと電子増倍部30との間に、例えば集束電極50といった他の電極等の他の部材が介在されていない。このため、光電面20、加速電極40、及び電子増倍部30を比較的に近接して配置することによって長焦点化を避け、加速電極40の電界強度の低下を抑制可能である。また、光電面20から電子増倍部30に至るまでの光電子の走行距離を短くすることが可能である。よって、高電圧化を抑制しつつ高速化を図ることが可能である。
【0043】
また、光電子増倍管1では、加速電極40は、第2端部40bから管径方向D2に延在するフランジ部42を有する。このため、フランジ部42によって、光電面20の有効領域20aでない非有効領域20bから放出された光電子といったTTSを悪化させるような余分な光電子が電子増倍部30に入射することが抑制される。
【0044】
また、光電子増倍管1では、フランジ部42は、管軸方向D1からみて電子増倍部30の外側まで延在している。このため、余分な光電子が電子増倍部30に入射することが確実に抑制される。
【0045】
また、光電子増倍管1では、加速電極40は、第1端部40a及び第2端部40bを含むと共に、光電子を通過させる貫通孔41hが形成された筒状部41を有し、筒状部41の管軸方向D1における長さdは、貫通孔41hの半径r以上である。このため、筒状部41が、光電面20の有効領域20aから放出された所望の光電子を集めつつ、非有効領域20bから放出された光電子に対して電子増倍部30に入射しないように遮蔽することによって、余分な光電子を遮ることが可能となる。
【0046】
また、光電子増倍管1は、光電面20から放出された光電子を電子増倍部30に向けて集束させるための集束電極50をさらに備える。そして、集束電極50は、管径方向D2からみて加速電極40に重なる範囲に設けられている。このため、加速電極40が形成する光電子の加速場を微調整して光電子の集束性を向上させることができる。
【0047】
この点についてより具体的に説明する。光電子増倍管1では、加速電極40は、筒状部41とフランジ部42とを有する。このように、筒状部41に対して、余分な光電子が電子増倍部30に入射するのを抑制するフランジ部42を追加すると、フランジ部42によって等電位面の形状が変化し、光電面20と加速電極40の間に形成される電子レンズが広がってしまい、光電子の集束性が低下する(有効領域20aが狭くなる)おそれがある。電子レンズの広がりに応じて光電子の集束性が低下するのは、電子が電界の中を等電位面に対して垂直な方向に等加速度運動するためである。これに対して、集束電極50が、例えば加速電極40のフランジ部42を覆うように設けられることで、電子レンズの形状が調整される(広がりが抑えられる)ように、加速場を微調整することが可能である。
【0048】
また、集束電極50は加速電極40のつくる電界(加速場)を阻害しないことが重要であるため、加速電極40よりも光電面20側に突出する(すなわち、光電面20と加速電極40の間に介在する)ように配置されることは望ましくない。つまり、加速電極40の働きを阻害することなく電子の集束性を向上させるためには、集束電極50の位置は管径方向D2からみて加速電極40と重なる位置に配置されることが望ましい。さらに、集束電極50として平板形状を採用すると、上記の加速場の微調整は、集束電極50の開口径や外径、管軸方向D1における位置によって、調整が容易となるメリットが得られる。
【0049】
また、光電子増倍管1では、集束電極50は、管軸方向D1からみて電子増倍部30の外側まで延在している。このため、光電子の集束性を向上させつつ、余分な光電子が電子増倍部30に入射することが抑制される。
【0050】
また、光電子増倍管1では、集束電極50は、管径方向D2からみて加速電極40に重なる範囲に設けられると共に、管軸方向D1からみてフランジ部42の外側まで延在している。このため、上記のように光電子の集束性を向上させつつ、余分な光電子が電子増倍部に入射することが確実に抑制される。
【0051】
また、光電子増倍管1では、加速電極40と集束電極50は互いに異なる電位が印加されるため、互いに所定の隙間をもって離間して配置されている。このため、光電面20からの余分な光電子が上述の隙間を通過して電子増倍部30に入射してしまうおそれがある。しかしながら、加速電極40のフランジ部42が管軸方向D1からみて上述の隙間と重なるように配置されていれば、余分な光電子が電子増倍部30に入射することが抑制される。これによれば、光電子の集束性を向上させつつ、余分な光電子が電子増倍部30に入射することがより確実に抑制される。
【0052】
さらに、光電子増倍管1は、光電面20における加速電極40に入射する光電子を放出する有効領域20aの外側の非有効領域20bを遮光するための遮光部60をさらに備えている。このため、光電面20の非有効領域20bに光が入射することが抑制されるため、余分な光電子が電子増倍部30に入射することがより確実に抑制される。
【0053】
以上の実施形態は、本開示の一側面を説明したものである。したがって、上記実施形態に係る光電子増倍管1は、任意に変形され得る。引き続いて、光電子増倍管の変形例について説明する。
[第1変形例]
【0054】
図5は、第1変形例に係る光電子増倍管の概略断面図である。図5に示されるように、第1変形例に係る光電子増倍管1Aは、集束電極50を有していない点、及び、加速電極40に代えて加速電極40Aを備える点で実施形態に係る光電子増倍管1と相違し、他の点で一致している。加速電極40Aは、筒状部41に代えて筒状部41Aを有している。筒状部41Aは、筒状部41と比較して長さdが小さくされている。この場合、管軸方向D1における加速電極40Aの第2端部40bの位置を、加速電極40の場合に合わせると、筒状部41Aの長さdの減少分だけ距離hが大きくなる。
【0055】
図6は、第1変形例に係る光電子増倍管の特性を示すグラフである。図6の(a)~(c)は、順に、X方向におけるCTTD、Y方向におけるCTTD、及び、TTSを示している。図6に示されるように、光電子増倍管1Aによれば、光電子増倍管1と比較して、CTTDのフラットさではやや劣るものの1500Vの電圧下において79psのTTSが達成され、十分に高速化が図られる。すなわち、光電子増倍管1Aによれば、実施形態に係る光電子増倍管1と同様の効果が奏される。
[第2変形例]
【0056】
図7は、第2変形例に係る光電子増倍管の概略断面図である。図7に示されるように、第2変形例に係る光電子増倍管1Bは、集束電極50を有していない点、及び、加速電極40に代えて加速電極40Bを備える点で実施形態に係る光電子増倍管1と相違し、他の点で一致している。加速電極40Bは、筒状部41に代えて筒状部41Bを有している。筒状部41Bは、筒状部41と比較して第1端部40a側の端面、及び、第2端部40b側の端面の両方が、管軸AXに直交する面に対して略平行である点で相違している。したがって、筒状部41Bでは、筒状部41Bの周方向の位置によらずに(図示の断面内では管径方向D2の位置によらずに)、長さd(ひいては距離h)が一定とされている。
【0057】
図8は、第2変形例に係る光電子増倍管の特性を示すグラフである。図8の(a)~(c)は、順に、X方向におけるCTTD、Y方向におけるCTTD、及び、TTSを示している。図8に示されるように、光電子増倍管1Bによれば、光電子増倍管1と比較して、CTTDのフラットさではやや劣るものの1500Vの電圧下において66psのTTSが達成され、十分に高速化が図られる。すなわち、光電子増倍管1Bによっても、実施形態に係る光電子増倍管1と同様の効果が奏される。
[第3変形例]
【0058】
図9は、第3変形例に係る光電子増倍管の概略断面図である。図9に示されるように、第3変形例に係る光電子増倍管1Cは、集束電極50を有していない点、及び、加速電極40に代えて加速電極40Cを備える点で実施形態に係る光電子増倍管1と相違し、他の点で一致している。加速電極40Cは、筒状部41に代えて筒状部41Cを有している。筒状部41Cでは、筒状部41と比較して第1端部40aに切欠き部43が形成されている点で相違している。より具体的には、筒状部41Cでは、切欠き部43を有することによって、管径方向D2からみたときに長さdで一定である短尺部分と、長さdよりも長い長尺部分とが形成されている。
【0059】
筒状部41Bでは、短尺部分及び長尺部分の両方において、第1端部40a側の端面、及び、第2端部40b側の端面の両方が、管軸AXに直交する面に対して略平行とされている。管径方向D2における長尺部分の位置は、第1ダイノードDY1の傾斜に対応した位置とされている。すなわち、長尺部分は、第1ダイノードDY1のより光電面20側に位置する部分上おいて、筒状部41Cが光電面20側に突出するように配置されている。このように突出部(切欠き部43)を設けることにより、(第1端部40aに傾斜を設ける場合と比較してよりピンポイントで)第1ダイノードDY1までの走行距離が長い電子の加速度を、走行距離が短い電子の加速度よりも上昇させ、走行時間差を小さくさせることができる。
【0060】
図10は、第3変形例に係る光電子増倍管の特性を示すグラフである。図10の(a)~(c)は、順に、X方向におけるCTTD、Y方向におけるCTTD、及び、TTSを示している。図10に示されるように、光電子増倍管1Cによれば、光電子増倍管1と比較して、CTTDのフラットさではやや劣るものの1500Vの電圧下において66psのTTSが達成され、十分に高速化が図られる。すなわち、光電子増倍管1Cによっても、実施形態に係る光電子増倍管1と同様の効果が奏される。
[その他の変形例]
【0061】
以上の光電子増倍管1~1Cは、さらに任意に変形され得る。例えば、光電子増倍管1において集束電極50を省略してもよいし、光電子増倍管1A~1Cにおいて集束電極50を追加してもよい。ただし、後者の場合、集束電極50は、管径方向D2からみて加速電極40に重なる範囲に設けられる。また、集束電極50を設ける場合であっても、集束電極50がフランジ部42や電子増倍部30の外側まで延在する場合に限らず、フランジ部42や電子増倍部30の内側で終端されていてもよい。
【0062】
また、集束電極50の形状は、平板状に限定されず、筒状に形成されたり、平板状の部分の外縁部に傾斜部を設けて、全体として円錐台板状に形成されたり、平板状の部分の外縁部に管軸方向D1に沿って延びる突出部が設けられたりしてもよい。この場合、傾斜部及び突出部は、平板状の部分に対して電子増倍部30側に突出するように設けられてもよいし、光電面20側に突出するようにもうけられてもよい。
【0063】
その他、光電子増倍管1Cにおける切欠き部43を、他の光電子増倍管1~1Bに対して設けてもよい。或いは、光電子増倍管1~1Cにおいて、フランジ部42を省略したり、フランジ部42が電子増倍部30の内側で終端するように短くされたりしてもよい。さらに、遮光部60が省略されてもよい。この場合であっても、距離hや半径rを調整することにより、非有効領域20bからの光電子が加速電極40(貫通孔40h)に入射しないように構成することが可能である。なお、遮光部60を省略する場合には、有効領域20aのみに(有効領域20aのみとなるように)光電面20を形成してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1,1A,1B,1C…光電子増倍管、10…収容容器、20…光電面、20a…有効領域、20b…非有効領域、30…電子増倍部、40,40A,40B,40C…加速電極、40a…第1端部、40b…第2端部、41,41A,41B,41C…筒状部、41h…貫通孔、42…フランジ部、50…集束電極、60…遮光部、d…長さ、r…半径、D1…管軸方向、D2…管径方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-03-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光に応じて光電子を放出する光電面と、
前記光電面から放出された前記光電子の入射に応じて二次電子を放出すると共に、当該二次電子を増倍する複数のダイノードを含む電子増倍部と、
前記光電面と前記電子増倍部との間に配置され、前記光電子を加速して前記電子増倍部に入射させるための加速電極と、
前記光電面、前記加速電極、及び、前記電子増倍部を収容する管状の収容容器と、
前記光電面から放出された前記光電子を前記電子増倍部に向けて集束させるための集束電極と、
を備え、
前記収容容器の管軸方向に交差する管径方向からみたとき、前記光電面と前記加速電極と前記電子増倍部とは、前記加速電極の前記管軸方向の前記光電面側の第1端部と前記光電面との間、及び、前記加速電極の前記管軸方向の前記電子増倍部側の第2端部と前記電子増倍部との間に他の部材が介在しないように配置されており、
前記集束電極は、前記管径方向からみて前記加速電極に重なる範囲に設けられている、
光電子増倍管。
【請求項2】
前記加速電極は、前記第2端部から前記管径方向に延在するフランジ部を有する、
請求項1に記載の光電子増倍管。
【請求項3】
前記フランジ部は、前記管軸方向からみて前記電子増倍部の外側まで延在している、
請求項2に記載の光電子増倍管。
【請求項4】
前記加速電極は、前記第1端部及び前記第2端部を含むと共に、前記光電子を通過させる貫通孔が形成された筒状部を有し、
前記筒状部の前記管軸方向における長さは、前記貫通孔の半径以上である、
請求項1に記載の光電子増倍管。
【請求項5】
前記集束電極は、前記管軸方向からみて前記電子増倍部の外側まで延在している、
請求項1に記載の光電子増倍管。
【請求項6】
前記集束電極は、前記管軸方向からみて前記フランジ部の外側まで延在している、
請求項3に記載の光電子増倍管。
【請求項7】
前記光電面における前記加速電極に入射する前記光電子を放出する有効領域の外側の非有効領域を遮光するための遮光部をさらに備える、
請求項1~6のいずれか一項に記載の光電子増倍管。