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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162824
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】吐出器
(51)【国際特許分類】
   F04B 9/14 20060101AFI20231101BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
F04B9/14 B
B65D47/34 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073486
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】星野 真弥
【テーマコード(参考)】
3E084
3H075
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084DA01
3E084DB12
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084KB01
3E084LC01
3E084LD22
3H075AA01
3H075BB03
3H075CC05
3H075CC16
3H075CC36
3H075DA11
3H075DA20
3H075DB14
3H075DB44
(57)【要約】
【課題】パイプを口部から抜き出したときに、パイプの下端部内から内容液が垂れ落ちることを抑える。
【解決手段】連結部材20は、固定筒21と、可動筒22と、連結部25と、を備え、可動筒は、シリンダ14に上下摺動可能に嵌合された摺動部24を備え、摺動部は、可動筒内と容器本体W内とを連通可能な窓部24aを備え、可動筒は、窓部がシリンダに閉塞される連通位置と、窓部が容器本体内に向けて開口する開放位置と、の間を上下動可能に設けられ、連結部は、上アーム部26と、下アーム部27と、折曲部28と、を備えるとともに、周方向に同等の間隔をあけて複数設けられ、パイプ16を口部W1から抜き出す際に、折曲部が、容器本体の内周面に摺接して、径方向の内側に向けて押し込まれ、可動筒が、連通位置から開放位置に移動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方付勢状態で下方移動可能に設けられたステムと、
前記ステムの上端部に取り付けられ、容器本体内の内容液を吐出する吐出孔を有する押下ヘッドと、
前記ステムの上下動に連係するピストンと、
前記ピストンが上下摺動可能に嵌合されるとともに、前記容器本体の口部内に挿入されたシリンダと、
前記シリンダを前記口部に固定する装着キャップと、
前記シリンダ内と前記容器本体内とを連通するパイプと、
前記パイプおよび前記シリンダを互いに連結する連結部材と、を備え、
前記パイプの下端部は、前記容器本体の底部の内面に突き当たり、
前記連結部材は、
前記シリンダに外嵌され固定された固定筒と、
前記パイプの上端部が固定され、前記パイプ内と前記シリンダ内とを連通する可動筒と、
前記固定筒および前記可動筒を互いに連結する連結部と、を備え、
前記可動筒は、前記シリンダに上下摺動可能に嵌合された摺動部を備え、
前記摺動部は、前記可動筒内と前記容器本体内とを連通可能な窓部を備え、
前記可動筒は、前記窓部が前記シリンダに閉塞される連通位置と、前記連通位置より下方に位置し、前記窓部が前記容器本体内に向けて開口する開放位置と、の間を上下動可能に設けられ、
前記連結部は、前記固定筒から径方向の外側に向けて延びる上アーム部と、前記可動筒から径方向の外側に向けて延びる下アーム部と、前記上アーム部および前記下アーム部それぞれの径方向の外端部同士を互いに連結する折曲変形可能な折曲部と、を備えるとともに、周方向に同等の間隔をあけて複数設けられ、
前記パイプを前記口部から抜き出す際に、前記折曲部が、前記容器本体の内周面に摺接して、径方向の内側に向けて押し込まれ、前記可動筒が、前記連通位置から前記開放位置に移動する、吐出器。
【請求項2】
前記可動筒が前記開放位置に位置したときに、前記摺動部および前記シリンダのうちのいずれか一方は、いずれか他方の内側に挿入されている、請求項1に記載の吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上方付勢状態で下方移動可能に設けられたステムと、ステムの上端部に取り付けられ、容器本体内の内容液を吐出する吐出孔を有する押下ヘッドと、ステムの上下動に連係するピストンと、ピストンが上下摺動可能に嵌合されるとともに、容器本体の口部内に挿入されたシリンダと、シリンダを口部に固定する装着キャップと、シリンダ内と容器本体内とを連通するパイプと、を備える吐出器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-85395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の吐出器では、容器本体内に内容液を詰め替える際、装着キャップを口部から外し、パイプを口部から抜き出したときに、パイプの下端部内から内容液が垂れ落ちるおそれがある。
容器本体内に内容液を詰め替えた後、パイプを容器本体内の内容液中に差し込んだときに、液面が上昇し、内容液が口部から溢れ出るおそれがある。
【0005】
本発明は、パイプを口部から抜き出したときに、パイプの下端部内から内容液が垂れ落ちること、および容器本体内に内容液を詰め替えた後、パイプを容器本体内の内容液中に差し込んだときに、内容液が口部から溢れ出ることをそれぞれ抑えることができる吐出器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る吐出器は、上方付勢状態で下方移動可能に設けられたステムと、前記ステムの上端部に取り付けられ、容器本体内の内容液を吐出する吐出孔を有する押下ヘッドと、前記ステムの上下動に連係するピストンと、前記ピストンが上下摺動可能に嵌合されるとともに、前記容器本体の口部内に挿入されたシリンダと、前記シリンダを前記口部に固定する装着キャップと、前記シリンダ内と前記容器本体内とを連通するパイプと、前記パイプおよび前記シリンダを互いに連結する連結部材と、を備え、前記パイプの下端部は、前記容器本体の底部の内面に突き当たり、前記連結部材は、前記シリンダに外嵌され固定された固定筒と、前記パイプの上端部が固定され、前記パイプ内と前記シリンダ内とを連通する可動筒と、前記固定筒および前記可動筒を互いに連結する連結部と、を備え、前記可動筒は、前記シリンダに上下摺動可能に嵌合された摺動部を備え、前記摺動部は、前記可動筒内と前記容器本体内とを連通可能な窓部を備え、前記可動筒は、前記窓部が前記シリンダに閉塞される連通位置と、前記連通位置より下方に位置し、前記窓部が前記容器本体内に向けて開口する開放位置と、の間を上下動可能に設けられ、前記連結部は、前記固定筒から径方向の外側に向けて延びる上アーム部と、前記可動筒から径方向の外側に向けて延びる下アーム部と、前記上アーム部および前記下アーム部それぞれの径方向の外端部同士を互いに連結する折曲変形可能な折曲部と、を備えるとともに、周方向に同等の間隔をあけて複数設けられ、前記パイプを前記口部から抜き出す際に、前記折曲部が、前記容器本体の内周面に摺接して、径方向の内側に向けて押し込まれ、前記可動筒が、前記連通位置から前記開放位置に移動する。
【0007】
装着キャップを口部から外し、吐出器を容器本体に対して上昇させ、パイプを口部から抜き出す際に、連結部の折曲部が、容器本体の内周面に摺接して、径方向の内側に向けて押し込まれ、可動筒が連通位置から窓部の開放される開放位置に移動する。これにより、窓部および可動筒内を通して、パイプの上端部内に空気を進入させることが可能になり、パイプの下端部を口部から抜き出すまでに、パイプ内の内容液を、パイプの下端部内を通して容器本体内に流下させることができる。したがって、パイプを口部から抜き出したときに、パイプの下端部内から内容液が垂れ落ちるのを抑制することができる。
そして、容器本体内に内容液を詰め替えた後、可動筒を開放位置に位置させたままの状態で、パイプを容器本体内の内容液中に差し込んだときに、パイプ内の空気が、パイプの上端部内から可動筒内および窓部を通して排出されつつ、容器本体内の内容液の一部が、パイプ内にパイプの下端部内から進入することとなり、容器本体内の内容液の液面が上昇するのを抑えることが可能になり、内容液が口部から溢れ出るのを抑制することができる。
このように、吐出器を容器本体に取付けたときに、容器本体内の内容液の一部がパイプ内に進入することから、使用者が購入後、または容器本体内に内容液を詰め替えた後、はじめて内容液を吐出するときに、吐出するまでに要する押下ヘッドの押下回数を抑えることができる。
パイプの下端部が、容器本体の底部の内面に突き当たっているので、吐出器を容器本体に取付けるときに、他の操作をしなくても、可動筒を開放位置から連通位置に移動させることが可能になり、また、パイプを口部から抜き出す際に、折曲部が、容器本体の内周面に摺接して、径方向の内側に向けて押し込まれるので、このときに他の操作をしなくても、可動筒を連通位置から開放位置に移動させることが可能になり、優れた操作性を具備させることができる。
【0008】
前記可動筒が前記開放位置に位置したときに、前記摺動部および前記シリンダのうちのいずれか一方は、いずれか他方の内側に挿入されてもよい。
【0009】
可動筒が開放位置に位置したときに、摺動部およびシリンダのうちのいずれか一方が、いずれか他方の内側に挿入されているので、パイプの下端部を、容器本体の底部の内面に突き当てつつ、吐出器を容器本体に取付けるときに、可動筒を、シリンダに引っ掛けることなく円滑に開放位置から連通位置に移動させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、パイプを口部から抜き出したときに、パイプの下端部内から内容液が垂れ落ちること、および容器本体内に内容液を詰め替えた後、パイプを容器本体内の内容液中に差し込んだときに、内容液が口部から溢れ出ることをそれぞれ抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態の吐出器の縦断面図である。
図2】一実施形態の連結部材の上面図である。
図3図1において、吐出器を容器本体に対して上昇させている途中を示す図である。
図4図1において、パイプを容器本体内の内容液中に差し込んでいる途中を示す図である。
図5A】変形例の連結部材の半縦断面図である。
図5B】変形例の連結部材の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る吐出器を説明する。
本実施形態に係る吐出器1は、図1に示されるように、ステム11と、押下ヘッド12と、ピストン13と、シリンダ14と、装着キャップ15と、パイプ16と、連結部材20と、を備えている。ステム11、ピストン13、シリンダ14、装着キャップ15、およびパイプ16は、共通軸と同軸に配設されている。
【0013】
以下、前記共通軸を中心軸線Oといい、中心軸線Oに沿って押下ヘッド12側を上側、パイプ16側を下側といい、中心軸線Oに沿う方向を上下方向といい、また、上下方向から見て中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0014】
装着キャップ15は、環状の天壁部15aを備える有頂筒状に形成されている。装着キャップ15の内周面に、容器本体Wの口部W1に螺着される雌ねじ部が形成されている。
容器本体Wは、有底筒状に形成され、中心軸線Oと同軸に配設されている。
シリンダ14は、上下方向に延びる有底筒状に形成され、口部W1内に挿入されている。シリンダ14の底壁に、容器本体W内に連通する下端開口が形成されている。シリンダ14には、底壁から下方に向けて延びる装着筒部14cが形成されている。
【0015】
シリンダ14の上部に、径方向の外側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びるフランジ部14aが形成されている。フランジ部14aは、装着キャップ15の上端部内に嵌合されている。フランジ部14aは、容器本体Wの口部W1の上端開口縁と、装着キャップ15の天壁部15aの下面と、により上下方向に挟まれている。これにより、シリンダ14は口部W1に固定されている。シリンダ14のうち、フランジ部14aより上方に位置する上端部は、装着キャップ15の天壁部15aの内側に挿通されている。
【0016】
シリンダ14には、径方向に開口し、容器本体W内とシリンダ14内とを連通する導入孔14bが形成されている。導入孔14bは、フランジ部14aより下方に位置している。導入孔14bは、ステム11および押下ヘッド12が上昇端位置に位置する待機状態で、ピストン13に閉塞される。シリンダ14内に、ステム11を上方付勢する、例えばコイルスプリング等の付勢手段18が設けられている。
【0017】
ステム11は、上方付勢状態で下方移動可能に設けられている。ステム11は、シリンダ14内から上方に突出している。ステム11の下部は、シリンダ14内に挿入されている。
押下ヘッド12は、ステム11の上端部に取り付けられ、容器本体W内の内容液を吐出する吐出孔12aが形成されている。押下ヘッド12は、ステム11に装着された装着筒12bと、装着筒12bから径方向の外側に向けて突出し、その先端に吐出孔12aが形成された吐出筒12cと、を備えている。
【0018】
ピストン13は、筒状に形成され、シリンダ14内に上下摺動可能に嵌合され、ステム11の上下動に連係する。ピストン13の内側には、上下方向に延びるピストンガイド17が挿通されている。
ピストンガイド17の上部は、ステム11の下部内に嵌合されている。ピストンガイド17の下部は、ステム11およびピストン13から下方に突出している。ピストンガイド17の下端部が、付勢手段18の上端部に支持されている。内容液の吐出後、ステム11を上方に復元移動させる際に、ピストンガイド17の下端部が、ピストン13の下端部に係合し、ピストン13を上方に復元移動させる。
【0019】
ここで、シリンダ14内に、シリンダ14の下端開口を開閉する下部弁体19が設けられている。
下部弁体19は、シリンダ14内において、ピストンガイド17の下方に位置する部分に配設されている。下部弁体19は、シリンダ14内の加圧時に、シリンダ14の下端開口を閉塞したままに維持し、シリンダ14内の減圧時に、シリンダ14の下端開口を開放する逆止弁となっている。これにより、シリンダ14内の加圧時に、シリンダ14内の内容液がシリンダ14の下端開口から容器本体W内に戻ることが阻止され、シリンダ14内の減圧時に、容器本体W内の内容液がパイプ16内を通してシリンダ14内に流入する。
【0020】
パイプ16は、上下方向に延び、パイプ16の下端部は、パイプ16の下端部内と、容器本体W内と、を連通させた状態で、容器本体Wの底部の内面W2に突き当たっている。パイプ16の下端部に、容器本体Wの底部の内面W2から上方に離れた面取り部16aが形成されている。パイプ16の下端部内は、面取り部16aと、容器本体Wの底部の内面W2と、の間を通して容器本体W内に連通している。
【0021】
連結部材20は、パイプ16およびシリンダ14を互いに連結している。連結部材20は、固定筒21と、可動筒22と、連結部25と、を備えている。固定筒21、および可動筒22は、中心軸線Oと同軸に配設されている。
【0022】
固定筒21は、シリンダ14の装着筒部14cに外嵌され固定されている。固定筒21の下端部に、径方向の外側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びる突条部が形成されている。
可動筒22には、パイプ16の上端部が固定されている。可動筒22は、パイプ16内とシリンダ14内とを連通する。可動筒22は、嵌合部23および摺動部24を備えている。嵌合部23と摺動部24との接続部分に、径方向の外側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びる突条部が形成されている。この突条部は、シリンダ14の装着筒部14cより下方に位置している。
【0023】
嵌合部23内に、パイプ16の上端部が嵌合されて固定されている。
摺動部24は、嵌合部23の上方に設けられ、シリンダ14の装着筒部14c内に上下摺動可能に嵌合されている。なお、摺動部24は、装着筒部14cに上下摺動可能に外嵌されてもよい。
摺動部24は、可動筒22内と容器本体W内とを連通可能な窓部24aを備えている。窓部24aは、摺動部24の上部を径方向に貫き、上方に向けて開口している。窓部24aは、周方向に間隔をあけて複数設けられている。窓部24aは、パイプ16内を通さず、可動筒22内と容器本体W内とを連通する。
【0024】
可動筒22は、図1に示されるような、窓部24aがシリンダ14に閉塞される連通位置と、図3および図4に示されるような、連通位置より下方に位置し、窓部24aが容器本体W内に向けて開口する開放位置と、の間を上下動可能に設けられている。
【0025】
可動筒22が連通位置に位置しているときに、摺動部24は、シリンダ14の装着筒部14c内に液密に嵌合され、窓部24aは、装着筒部14cの下端開口縁より上方に位置している。この際、摺動部24の上端部は、固定筒21の下端部より上方に位置している。
可動筒22が開放位置に位置したときに、摺動部24はシリンダ14の装着筒部14c内に挿入された状態に維持され、窓部24aのうちの下部が、装着筒部14cの下端開口縁より下方に位置する。これにより、窓部24aを通して、可動筒22内と容器本体W内とが連通する。この際、摺動部24の外周面と、装着筒部14cの内周面と、の間に径方向の隙間が設けられ、摺動部24の上端部は、固定筒21の下端部より下方に位置している。
【0026】
連結部25は、固定筒21および可動筒22を互いに連結している。連結部25は、固定筒21の突条部の下面と、可動筒22の突条部の上面と、を連結している。連結部25は、周方向に同等の間隔をあけて複数設けられている。図2に示されるように、連結部25は、中心軸線Oを中心に窓部24aから約90°離れた位置に設けられている。連結部25および窓部24aはそれぞれ、周方向に間隔をあけて2つずつ設けられ、中心軸線Oを径方向に挟んで互いに対向している。
【0027】
連結部25は、上アーム部26と、下アーム部27と、第1折曲部(折曲部)28と、を備えている。
【0028】
上アーム部26は、固定筒21から径方向の外側に向けて延びている。上アーム部26は、径方向の外側に向かうに従い下方に向けて延びている。上アーム部26は、固定筒21に第2折曲部26aを介して連結されている。
下アーム部27は、可動筒22から径方向の外側に向けて延びている。下アーム部27は、径方向の外側に向かうに従い上方に向けて延びている。下アーム部27は、可動筒22に、第3折曲部27aを介して連結されている。下アーム部27の長さは、上アーム部26の長さより長くなっている。
第1折曲部28は、上アーム部26および下アーム部27それぞれの径方向の外端部同士を互いに連結している。第1折曲部28、第2折曲部26a、および第3折曲部27aは、上アーム部26および下アーム部27より薄肉に形成され、折曲変形可能に形成されている。第1折曲部28と中心軸線Oとの径方向の距離は、口部W1の内周面の半径より大きくなっている。
【0029】
以上説明したように、本実施形態による吐出器1によれば、図3に示されるように、装着キャップ15を口部W1から外し、吐出器1を容器本体Wに対して上昇させ、パイプ16を口部W1から抜き出す際に、連結部25の第1折曲部28が、口部W1の内周面に摺接して、径方向の内側に向けて押し込まれ、可動筒22が連通位置から窓部24aの開放される開放位置に移動する。
これにより、窓部24aおよび可動筒22内を通して、パイプ16の上端部内に空気A1を進入させることが可能になり、パイプ16の下端部を口部W1から抜き出すまでに、パイプ16内の内容液L1を、パイプ16の下端部内を通して容器本体W内に流下させることができる。したがって、パイプ16を口部W1から抜き出したときに、パイプ16の下端部内から内容液が垂れ落ちるのを抑制することができる。
【0030】
そして、図4に示されるように、容器本体W内に内容液を詰め替えた後、可動筒22を開放位置に位置させたままの状態で、パイプ16を容器本体W内の内容液中に差し込んだときに、パイプ16内の空気A2が、パイプ16の上端部内から可動筒22内および窓部24aを通して排出されつつ、容器本体W内の内容液の一部L2が、パイプ16内にパイプ16の下端部内から進入することとなり、容器本体W内の内容液の液面が上昇するのを抑えることが可能になり、内容液が口部W1から溢れ出るのを抑制することができる。
このように、吐出器1を容器本体Wに取付けたときに、容器本体W内の内容液の一部L2がパイプ16内に進入することから、使用者が購入後、または容器本体W内に内容液を詰め替えた後、はじめて内容液を吐出するときに、吐出するまでに要する押下ヘッド12の押下回数を抑えることができる。
【0031】
図1に示されるように、可動筒22が連通位置に位置しているときに、パイプ16の下端部が、容器本体Wの底部の内面W2に突き当たっているので、吐出器1を容器本体Wに取付けるときに、他の操作をしなくても、可動筒22を開放位置から連通位置に移動させることが可能になり、また、パイプ16を口部W1から抜き出す際に、第1折曲部28が、容器本体Wの内周面に摺接して、径方向の内側に向けて押し込まれるので、このときに他の操作をしなくても、可動筒22を連通位置から開放位置に移動させることが可能になり、優れた操作性を具備させることができる。
【0032】
可動筒22が開放位置に位置したときに、摺動部24がシリンダ14内に挿入されているので、パイプ16の下端部を、容器本体Wの底部の内面W2に突き当てつつ、吐出器1を容器本体Wに取付けるときに、可動筒22を、シリンダ14に引っ掛けることなく円滑に開放位置から連通位置に移動させることができる。
【0033】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0034】
例えば、連結部材20に代えて、図5Aおよび図5Bに示されるような連結部材30を採用してもよい。
この連結部材30では、摺動部31が連結部材20の摺動部24と異なり、摺動部31の下部が筒状に形成され、摺動部31の上部が、表裏面が周方向を向く複数の平板31aにより構成されている。複数の平板31aは、中心軸線O上で互いに連結されている。図示の例では、摺動部31の上部は、上面視十字状を呈する。周方向で隣り合う平板31a同士の間が窓部31bとなっている。
この連結部材30では、窓部31bを広く確保することが可能になり、例えばボディソープおよびシャンプー等の比較的高粘度の内容液であっても、前述の作用効果が確実に奏功される。
【0035】
連結部材20、30に、第2折曲部26aおよび第3折曲部27aを設けなくてもよい。
可動筒22が開放位置に位置したときに、摺動部24、31はシリンダ14の装着筒部14cから下方に離れてもよい。
【0036】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記実施形態および前記変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 吐出器
11 ステム
12 押下ヘッド
12a 吐出孔
13 ピストン
14 シリンダ
15 装着キャップ
16 パイプ
20、30 連結部材
21 固定筒
22 可動筒
23 嵌合部
24、31 摺動部
24a、31b 窓部
25 連結部
26 上アーム部
27 下アーム部
28 第1折曲部(折曲部)
W 容器本体
W1 口部
W2 内面
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B