(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162837
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】充電装置、充電システム、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/34 20060101AFI20231101BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231101BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20231101BHJP
B60L 53/67 20190101ALI20231101BHJP
B60L 53/53 20190101ALI20231101BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20231101BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
H02J7/34 G
H02J7/00 P
H02J7/00 Y
H02J9/06 110
B60L53/67
B60L53/53
H01M10/48 P
H01M10/44 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073508
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】平井 孝資
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ アル タミミ
(72)【発明者】
【氏名】成田 瞳
【テーマコード(参考)】
5G015
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
5G015GB01
5G015GB05
5G015HA02
5G015HA16
5G015JA52
5G015KA12
5G503AA01
5G503AA04
5G503BA04
5G503BB01
5G503BB02
5G503DA16
5G503DA17
5G503DA18
5G503EA08
5G503FA06
5G503GB03
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA04
5H030AS08
5H030BB09
5H030BB21
5H030FF41
5H125AA01
5H125AC11
5H125AC23
5H125BE02
5H125DD02
5H125EE61
(57)【要約】
【課題】一部の機器の動作が停止した場合であっても、効率的に車両を充電することができる充電装置、充電システム、制御方法及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】充電装置1は、AC/DC変換器3と、蓄電部4と、第一DC/DC変換器5と、第二DC/DC変換器6と、第一充電器7と、第二充電器8と、第一通信部9と、第二通信部10と、制御部11と、を備える。制御部11は、AC/DC変換器3、蓄電部4、第一DC/DC変換器5、第二DC/DC変換器6、第一充電器7、第二充電器8、第一通信部9又は第二通信部10のいずれかの機器の動作が停止した場合、動作が停止した機器以外の機器によって車両Vの充電が行われるように当該機器の動作を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を充電する充電装置であって、
電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器と、
直流電力を出力する蓄電部と、
前記AC/DC変換器及び前記蓄電部の少なくとも一方から出力される前記直流電力を電力変換する複数のDC/DC変換器と、
複数の前記DC/DC変換器のそれぞれに対応して設けられ、前記DC/DC変換器から出力される電力で前記車両を充電する複数の充電器と、
複数の前記DC/DC変換器のそれぞれに対応して設けられ、前記DC/DC変換器と前記充電器との間において通信を行う複数の通信部と、
前記AC/DC変換器、前記蓄電部、複数の前記DC/DC変換器、複数の前記充電器及び複数の前記通信部と通信可能に設けられている制御部と、を備え、
前記制御部は、前記AC/DC変換器、前記蓄電部、複数の前記DC/DC変換器、複数の前記充電器又は複数の前記通信部のいずれかの機器の動作が停止した場合、動作が停止した機器以外の機器によって前記車両の充電が行われるように当該機器の動作を制御する、充電装置。
【請求項2】
前記AC/DC変換器、前記蓄電部、複数の前記DC/DC変換器、複数の前記充電器及び複数の前記通信部は、自機の状態を示す状態情報を前記制御部に出力し、
前記制御部は、前記状態情報に基づいて、各機器の動作が停止したか否かを判断する、請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記状態情報に機器の動作が停止したことを示す情報が含まれている場合に、当該機器の動作が停止したと判断する、請求項2に記載の充電装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記AC/DC変換器、前記蓄電部、複数の前記DC/DC変換器、複数の前記充電器又は複数の前記通信部のいずれかの機器から一定期間以上前記状態情報が出力されない場合に、当該機器の動作が停止したと判断する、請求項2又は3に記載の充電装置。
【請求項5】
前記AC/DC変換器、前記蓄電部、複数の前記DC/DC変換器、複数の前記充電器及び複数の前記通信部は、自機の状態を示す状態情報を前記制御部に出力し、
前記制御部は、前記状態情報に機器の動作が停止したことを示す情報が含まれている場合、動作が停止した機器以外の機器によって前記車両の充電が行われるように当該機器の動作を制御する、請求項1に記載の充電装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記電力系統から供給される前記交流電力の供給状態を取得し、前記供給状態が正常ではない場合には、前記蓄電部の前記直流電力によって前記車両の充電が行われるように前記機器の動作を制御する、請求項1又は2に記載の充電装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記AC/DC変換器又は前記蓄電部の動作が停止した場合、複数の前記充電器における動作を制限する、請求項1又は2に記載の充電装置。
【請求項8】
前記制御部は、複数の前記充電器のうちの一つの前記充電器のみを使用して前記車両の充電が行われるように前記機器の動作を制御する、請求項7に記載の充電装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記AC/DC変換器又は前記蓄電部から出力される前記直流電力の範囲内において前記車両の充電が行われるように前記機器の動作を制御する、請求項7に記載の充電装置。
【請求項10】
車両を充電する充電システムであって、
電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器と、
直流電力を出力する蓄電部と、
前記AC/DC変換器及び前記蓄電部の少なくとも一方から出力される前記直流電力を電力変換する複数のDC/DC変換器と、
複数の前記DC/DC変換器のそれぞれに対応して設けられ、前記DC/DC変換器から出力される電力で前記車両を充電する複数の充電器と、
複数の前記DC/DC変換器のそれぞれに対応して設けられ、前記DC/DC変換器と前記充電器との間において通信を行う複数の通信部と、
前記AC/DC変換器、前記蓄電部、複数の前記DC/DC変換器、複数の前記充電器及び複数の前記通信部と通信可能に設けられている制御部と、を備え、
前記制御部は、前記AC/DC変換器、前記蓄電部、複数の前記DC/DC変換器、複数の前記充電器又は複数の前記通信部のいずれかの機器の動作が停止した場合、動作が停止した機器以外の機器によって前記車両の充電が行われるように当該機器の動作を制御する、充電システム。
【請求項11】
電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器と、
直流電力を出力する蓄電部と、
前記AC/DC変換器及び前記蓄電部の少なくとも一方から出力される前記直流電力を電力変換する複数のDC/DC変換器と、
複数の前記DC/DC変換器のそれぞれに対応して設けられ、前記DC/DC変換器から出力される電力で車両を充電する複数の充電器と、
複数の前記DC/DC変換器のそれぞれに対応して設けられ、前記DC/DC変換器と前記充電器との間において通信を行う複数の通信部と、を備える充電装置における制御方法であって、
前記AC/DC変換器、前記蓄電部、複数の前記DC/DC変換器、複数の前記充電器又は複数の前記通信部のいずれかの機器の動作が停止した場合、動作が停止した機器以外の機器によって前記車両の充電が行われるように当該機器の動作を制御する、制御方法。
【請求項12】
電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器と、
直流電力を出力する蓄電部と、
前記AC/DC変換器及び前記蓄電部の少なくとも一方から出力される前記直流電力を電力変換する複数のDC/DC変換器と、
複数の前記DC/DC変換器のそれぞれに対応して設けられ、前記DC/DC変換器から出力される電力で車両を充電する複数の充電器と、
複数の前記DC/DC変換器のそれぞれに対応して設けられ、前記DC/DC変換器と前記充電器との間において通信を行う複数の通信部と、を備える充電装置を制御する制御プログラムであって、
前記AC/DC変換器、前記蓄電部、複数の前記DC/DC変換器、複数の前記充電器又は複数の前記通信部のいずれかの機器の動作が停止した場合、動作が停止した機器以外の機器によって前記車両の充電が行われるように当該機器の動作を制御するステップをコンピュータに実行させる、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電装置、充電システム、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
充電装置として、例えば、特許文献1に記載された装置が知られている。特許文献1に記載の充電装置は、使用権限を認証する急速充電認証部と、電源から供給される電力を用いて、電気自動車に対する、急速充電を制御する急速充電制御部と、急速充電認証部と通信すると共に使用権限を認証する普通充電認証部と、電源から供給される電力を用いて、電気自動車に対する、急速充電よりも充電電圧が低く且つ充電電流が小さい普通充電を制御する普通充電制御部と、を備える。特許文献1に記載の充電装置では、普通充電認証部は、急速充電認証部と通信して、急速充電ができない急速充電不可状態であると判断した場合、使用者の認証の後、普通充電制御部に電気自動車への普通充電を許可し、普通充電制御部は、普通充電の許可に応じて、普通充電用ケーブル及び普通充電用コネクタを介して、電気自動車に対する普通充電を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充電装置では、一部の機器の動作がメンテナンス等によって停止した場合、車両の充電を行うことができない。従来の充電装置では、急速充電器がメンテナンス等において使用できない場合には普通充電を行うことで、急速充電器がメンテナンス等によって停止した場合であっても車両の充電を可能としている。しかしながら、従来の充電装置のように普通充電によって車両を充電する場合、充電に時間を要するため効率的ではない。
【0005】
本発明は、一部の機器の動作が停止した場合であっても、効率的に車両を充電することができる充電装置、充電システム、制御方法及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る充電装置は、車両を充電する充電装置であって、電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器と、直流電力を出力する蓄電部と、AC/DC変換器及び蓄電部の少なくとも一方から出力される直流電力を電力変換する複数のDC/DC変換器と、複数のDC/DC変換器のそれぞれに対応して設けられ、DC/DC変換器から出力される電力で車両を充電する複数の充電器と、複数のDC/DC変換器のそれぞれに対応して設けられ、DC/DC変換器と充電器との間において通信を行う複数の通信部と、AC/DC変換器、蓄電部、複数のDC/DC変換器、複数の充電器及び複数の通信部と通信可能に設けられている制御部と、を備え、制御部は、AC/DC変換器、蓄電部、複数のDC/DC変換器、複数の充電器又は複数の通信部のいずれかの機器の動作が停止した場合、動作が停止した機器以外の機器によって車両の充電が行われるように当該機器の動作を制御する。
【0007】
本発明に係る充電装置では、制御部は、AC/DC変換器、蓄電部、複数のDC/DC変換器、複数の充電器又は複数の通信部のいずれかの機器の動作が停止した場合、動作が停止した機器以外の機器によって車両の充電が行われるように当該機器の動作を制御する。これにより、充電装置では、例えば、一のDC/DC変換器の動作が停止した場合であっても、他のDC/DC変換器を使用して、車両の充電が行われるように機器の動作を制御する。また、充電装置では、例えば、AC/DC変換器が停止した場合、蓄電部を使用して、車両の充電が行われるように機器の動作を制御する。このように、充電装置では、一部の機器の動作が停止した場合であっても、急速充電を行うことができる。したがって、充電装置では、一部の機器の動作が停止した場合であっても、効率的に車両を充電することができる。
【0008】
(2)AC/DC変換器、蓄電部、複数のDC/DC変換器、複数の充電器及び複数の通信部は、自機の状態を示す状態情報を制御部に出力し、制御部は、状態情報に基づいて、各機器の動作が停止したか否かを判断する、(1)に記載の充電装置。この構成では、各機器の動作が停止したか否かを適切に判断することができる。
【0009】
(3)制御部は、状態情報に機器の動作が停止したことを示す情報が含まれている場合に、当該機器の動作が停止したと判断する、(2)に記載の充電装置。この構成では、各機器の動作が停止したか否かをより一層適切に判断することができる。
【0010】
(4)制御部は、AC/DC変換器、蓄電部、複数のDC/DC変換器、複数の充電器又は複数の通信部のいずれかの機器から一定期間以上状態情報が出力されない場合に、当該機器の動作が停止したと判断する、(2)又は(3)に記載の充電装置。この構成では、各機器の動作が停止したか否かをより一層適切に判断することができる。
【0011】
(5)AC/DC変換器、蓄電部、複数のDC/DC変換器、複数の充電器及び複数の通信部は、自機の状態を示す状態情報を制御部に出力し、制御部は、状態情報に機器の動作が停止したことを示す情報が含まれている場合、動作が停止した機器以外の機器によって車両の充電が行われるように当該機器の動作を制御する、(1)に記載の充電装置。この構成では、動作が停止した機器以外の機器によって車両の充電が行われるように当該機器の動作を制御することができる。
【0012】
(6)制御部は、電力系統から供給される交流電力の供給状態を取得し、供給状態が正常ではない場合には、蓄電部の直流電力によって車両の充電が行われるように機器の動作を制御する、請求項(1)から(5)のいずれか一項に記載の充電装置。この構成では、電力系統において停電等が発生し、AC/DC変換器に供給される交流電力の供給状態が正常ではない場合(異常が発生している場合)には、蓄電部の直流電力を使用して車両を充電する。そのため、電力系統の異常に起因してAC/DC変換器の動作が停止した場合であっても、車両を充電することができる。
【0013】
(7)制御部は、AC/DC変換器又は蓄電部の動作が停止した場合、複数の充電器における動作を制限する、(1)から(6)のいずれか一項に記載の充電装置。AC/DC変換器又は蓄電部の動作が停止すると、AC/DC変換器又は蓄電部の一方のみから複数のDC/DC変換器に直流電力を出力する。この構成において、AC/DC変換器又は蓄電部の定格出力を超えるような充電要求を車両から受けると、AC/DC変換器が過負荷状態になったり、蓄電部が過放電状態になったりする。そこで、複数の充電器における動作を制限することによって、AC/DC変換器が過負荷状態になったり、蓄電部が過放電状態になったりすることを回避することができる。
【0014】
(8)制御部は、複数の充電器のうちの一つの充電器のみを使用して車両の充電が行われるように機器の動作を制御する、(7)に記載の充電装置。この構成では、使用する充電器の数が制限されるため、AC/DC変換器が過負荷状態になったり、蓄電部が過放電状態になったりすることを回避することができる。
【0015】
(9)制御部は、AC/DC変換器又は蓄電部から出力される直流電力の範囲内において車両の充電が行われるように機器の動作を制御する、(7)に記載の充電装置。この構成では、AC/DC変換器又は蓄電部から出力される直流電力の範囲内に制限されるため、AC/DC変換器が過負荷状態になったり、蓄電部が過放電状態になったりすることを回避することができる。
【0016】
(10)本発明に係る充電システムは、車両を充電する充電システムであって、電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器と、直流電力を出力する蓄電部と、AC/DC変換器及び蓄電部の少なくとも一方から出力される直流電力を電力変換する複数のDC/DC変換器と、複数のDC/DC変換器のそれぞれに対応して設けられ、DC/DC変換器から出力される電力で車両を充電する複数の充電器と、複数のDC/DC変換器のそれぞれに対応して設けられ、DC/DC変換器と充電器との間において通信を行う複数の通信部と、AC/DC変換器、蓄電部、複数のDC/DC変換器、複数の充電器及び複数の通信部と通信可能に設けられている制御部と、を備え、制御部は、AC/DC変換器、蓄電部、複数のDC/DC変換器、複数の充電器又は複数の通信部のいずれかの機器の動作が停止した場合、動作が停止した機器以外の機器によって車両の充電が行われるように当該機器の動作を制御する。
【0017】
本発明に係る充電システムでは、制御部は、AC/DC変換器、蓄電部、複数のDC/DC変換器、複数の充電器又は複数の通信部のいずれかの機器の動作が停止した場合、動作が停止した機器以外の機器によって車両の充電が行われるように当該機器の動作を制御する。これにより、充電システムでは、例えば、一のDC/DC変換器の動作が停止した場合であっても、他のDC/DC変換器を使用して、車両の充電が行われるように機器の動作を制御する。また、充電システムでは、例えば、AC/DC変換器が停止した場合、蓄電部を使用して、車両の充電が行われるように機器の動作を制御する。このように、充電システムでは、一部の機器の動作が停止した場合であっても、急速充電を行うことができる。したがって、充電システムでは、一部の機器の動作が停止した場合であっても、効率的に車両を充電することができる。
【0018】
(11)本発明に係る制御方法は、電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器と、直流電力を出力する蓄電部と、AC/DC変換器及び蓄電部の少なくとも一方から出力される直流電力を電力変換する複数のDC/DC変換器と、複数のDC/DC変換器のそれぞれに対応して設けられ、DC/DC変換器から出力される電力で車両を充電する複数の充電器と、複数のDC/DC変換器のそれぞれに対応して設けられ、DC/DC変換器と充電器との間において通信を行う複数の通信部と、を備える充電装置における制御方法であって、AC/DC変換器、蓄電部、複数のDC/DC変換器、複数の充電器又は複数の通信部のいずれかの機器の動作が停止した場合、動作が停止した機器以外の機器によって車両の充電が行われるように当該機器の動作を制御する。
【0019】
本発明に係る制御方法では、AC/DC変換器、蓄電部、複数のDC/DC変換器、複数の充電器又は複数の通信部のいずれかの機器の動作が停止した場合、動作が停止した機器以外の機器によって車両の充電が行われるように当該機器の動作を制御する。これにより、制御方法では、例えば、一のDC/DC変換器の動作が停止した場合であっても、他のDC/DC変換器を使用して、車両の充電が行われるように機器の動作を制御する。また、制御方法では、例えば、AC/DC変換器が停止した場合、蓄電部を使用して、車両の充電が行われるように機器の動作を制御する。このように、制御方法では、一部の機器の動作が停止した場合であっても、急速充電を行うことができる。したがって、制御方法では、一部の機器の動作が停止した場合であっても、効率的に車両を充電することができる。
【0020】
(12)本発明に係る制御プログラムは、電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器と、直流電力を出力する蓄電部と、AC/DC変換器及び蓄電部の少なくとも一方から出力される直流電力を電力変換する複数のDC/DC変換器と、複数のDC/DC変換器のそれぞれに対応して設けられ、DC/DC変換器から出力される電力で車両を充電する複数の充電器と、複数のDC/DC変換器のそれぞれに対応して設けられ、DC/DC変換器と充電器との間において通信を行う複数の通信部と、を備える充電装置を制御する制御プログラムであって、AC/DC変換器、蓄電部、複数のDC/DC変換器、複数の充電器又は複数の通信部のいずれかの機器の動作が停止した場合、動作が停止した機器以外の機器によって車両の充電が行われるように当該機器の動作を制御するステップをコンピュータに実行させる。
【0021】
本発明に係る制御プログラムでは、AC/DC変換器、蓄電部、複数のDC/DC変換器、複数の充電器又は複数の通信部のいずれかの機器の動作が停止した場合、動作が停止した機器以外の機器によって車両の充電が行われるように当該機器の動作を制御する。これにより、制御プログラムでは、例えば、一のDC/DC変換器の動作が停止した場合であっても、他のDC/DC変換器を使用して、車両の充電が行われるように機器の動作を制御する。また、制御プログラムでは、例えば、AC/DC変換器が停止した場合、蓄電部を使用して、車両の充電が行われるように機器の動作を制御する。このように、制御プログラムでは、一部の機器の動作が停止した場合であっても、急速充電を行うことができる。したがって、制御プログラムでは、一部の機器の動作が停止した場合であっても、効率的に車両を充電することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、一部の機器の動作が停止した場合であっても、車両を効率的に充電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る充電装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、充電装置の動作を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、充電装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、充電装置の動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、充電装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0025】
図1は、一実施形態に係る充電装置の構成を示す図である。
図1に示される充電装置1は、EV(Electric Vehicle)、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)等の車両Vの蓄電池(図示省略)(以下、単に「車両V」とも称する)を充電する装置である。充電装置1は、車両Vの急速充電を行う急速充電装置である。充電装置1では、一又は複数の車両Vの充電を行う。本実施形態では、充電装置1は、二台の車両Vの充電を行うことができる。充電装置1では、複数の車両Vの充電を同時に行うことができる。
【0026】
図1に示されるように、充電装置1は、AC/DC変換器3と、蓄電部4と、第一DC/DC変換器5と、第二DC/DC変換器6と、第一充電器7と、第二充電器8と、第一通信部9と、第二通信部10と、制御部11と、を備えている。
【0027】
AC/DC変換器3は、電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換する。電力系統は、三相200Vの交流電力を供給する。AC/DC変換器3は、電力系統から交流電力の供給を受けて、交流電力を直流電力に変換する。
【0028】
AC/DC変換器3は、蓄電部4、第一DC/DC変換器5及び第二DC/DC変換器6に接続されている。AC/DC変換器3と蓄電部4とは、充電バスCBによって接続されている。AC/DC変換器3と第一DC/DC変換器5及び第二DC/DC変換器6のそれぞれとは、電源バスB1によって接続されている。AC/DC変換器3は、蓄電部4、第一DC/DC変換器5及び第二DC/DC変換器6に直流電力を出力する。AC/DC変換器3の定格出力は、例えば、50kWである。
【0029】
AC/DC変換器3は、制御部11と通信可能に接続されている。AC/DC変換器3は、自機の状態を示す状態情報(状態信号)を制御部11に出力する。自機の状態とは、AC/DC変換器3の動作状態、電力系統からの電力の供給状態(正常、低電圧、停電)等を含み得る。AC/DC変換器3は、一定の間隔(例えば、0.1~1.0秒)で状態情報を制御部11に出力する。
【0030】
AC/DC変換器3は、制御部11から出力される充電指示に応じて、蓄電池40(後述)に直流電力を出力する。すなわち、AC/DC変換器3は、制御部11からの要求に応じて、蓄電池40を充電する。AC/DC変換器3は、第一充電器7及び第二充電器8において充電が行われていないときに、蓄電池40を充電する。
【0031】
蓄電部4は、第一DC/DC変換器5及び/又は第二DC/DC変換器6に直流電力を出力する。蓄電部4は、蓄電池40と、蓄電池制御部41と、を有している。蓄電池40は、例えば、鉛蓄電池、リチウムイオン電池であり得る。蓄電池40は、複数の電池モジュールを含んで構成されていてもよい。
【0032】
蓄電池40は、第一DC/DC変換器5及び第二DC/DC変換器6に接続されている。蓄電池40と第一DC/DC変換器5及び第二DC/DC変換器6のそれぞれとは、電源バスB2によって接続されている。蓄電池40は、第一DC/DC変換器5及び第二DC/DC変換器6に直流電力を出力する。蓄電池40の定格出力は、例えば、50kWである。蓄電池40は、AC/DC変換器3から直流電力の供給を受けて充電される。
【0033】
蓄電池40は、第一DC/DC変換器5及び/又は第二DC/DC変換器6に単独で直流電力を出力する。また、蓄電池40は、AC/DC変換器3と共に(協働で)第一DC/DC変換器5及び/又は第二DC/DC変換器6に直流電力を出力する。これにより、充電装置1では、第一充電器7及び/又は第二充電器8に接続された車両Vからの充電要求に応じて、AC/DC変換器3及び蓄電池40の両方から電力が供給され得る。
【0034】
蓄電池制御部41は、蓄電池40の充電及び放電を制御する。蓄電池制御部41は、バッテリーマネージメントシステム(BMS:Battery Management System)である。蓄電池制御部41は、集積回路に実装されたコンピュータシステムあるいはプロセッサである。蓄電池制御部41は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等、及び入出力インターフェース等から構成される。ROMには、各種プログラム又はデータが格納されている。
【0035】
蓄電池制御部41は、蓄電池40の状態を示す状態情報を制御部11に出力する。蓄電池40の状態とは、蓄電池40の動作状態、蓄電池40の残容量(充電率)であるSOC(State Of Charge)を含み得る。状態情報には、SOCを示すSOC情報を含む。蓄電池制御部41は、状態情報を一定の間隔で制御部11に出力する。
【0036】
蓄電池制御部41は、蓄電池40の残容量に基づいて、制御部11に充電指示を出力する。蓄電池制御部41は、第一充電器7及び第二充電器8において車両Vの充電が行われていない場合に、制御部11に充電指示を出力する。なお、本実施形態では、蓄電部4が蓄電池40及び蓄電池制御部41を有している形態を一例に説明しているが、蓄電池40及び蓄電池制御部41のそれぞれが個別に設けられていてもよい。
【0037】
第一DC/DC変換器5は、直流電力を電力変換する。第一DC/DC変換器5は、AC/DC変換器3から出力された直流電力の電圧を昇圧する。第一DC/DC変換器5の定格出力は、例えば、100kWである。第一DC/DC変換器5は、第一充電器7に接続されている。第一DC/DC変換器5と第一充電器7とは、電力ラインL1によって接続されている。第一DC/DC変換器5は、第一充電器7に直流電力を出力する。
【0038】
第一DC/DC変換器5は、第一通信部9及び制御部11と通信可能に接続されている。第一DC/DC変換器5は、制御部11から出力された充電指示に基づいて、第一充電器7に出力する電力の電圧、電流を制御する。第一DC/DC変換器5は、自機の状態を示す状態情報を制御部11に出力する。自機の状態とは、第一DC/DC変換器5の動作状態を含み得る。第一DC/DC変換器5は、状態情報を一定の間隔で制御部11に出力する。
【0039】
第二DC/DC変換器6は、直流電力を電力変換する。第二DC/DC変換器6は、AC/DC変換器3から出力された直流電力の電圧を昇圧する。第二DC/DC変換器6の定格出力は、例えば、100kWである。第二DC/DC変換器6は、第二充電器8に接続されている。第二DC/DC変換器6と第二充電器8とは、電力ラインL2によって接続されている。第二DC/DC変換器6は、第二充電器8に直流電力を出力する。
【0040】
第二DC/DC変換器6は、第二通信部10及び制御部11と通信可能に接続されている。第二DC/DC変換器6は、制御部11から出力された充電指示に基づいて、第二充電器8に出力する電力の電圧、電流を制御する。第二DC/DC変換器6は、自機の状態を示す状態情報を制御部11に出力する。自機の状態とは、第二DC/DC変換器6の動作状態を含み得る。第二DC/DC変換器6は、状態情報を一定の間隔で制御部11に出力する。
【0041】
第一充電器7は、車両Vの充電を行う。第一充電器7は、例えば、充電スタンドである。第一充電器7は、第一DC/DC変換器5から出力された電力によって、車両Vを充電する。第一充電器7は、充電ガン(図示省略)を有する充電ケーブルCを有している。第一充電器7と車両Vとは、充電ケーブルCによって接続される。
【0042】
第一充電器7は、制御部11と通信可能に接続されている。第一充電器7は、自機の状態を示す状態情報を制御部11に出力する。自機の状態とは、第一充電器7の動作状態を含み得る。第一充電器7は、状態情報を一定の間隔で制御部11に出力する。
【0043】
第二充電器8は、車両Vの充電を行う。第二充電器8は、例えば、充電スタンドである。第二充電器8は、第二DC/DC変換器6から出力された電力によって、車両Vを充電する。第二充電器8は、充電ガン(図示省略)を有する充電ケーブルCを有している。第二充電器8と車両Vとは、充電ケーブルCによって接続される。
【0044】
第二充電器8は、制御部11と通信可能に接続されている。第二充電器8は、自機の状態を示す状態情報を制御部11に出力する。自機の状態とは、第二充電器8の動作状態を含み得る。第二充電器8は、状態情報を一定の間隔で制御部11に出力する。
【0045】
第一通信部9は、第一DC/DC変換器5と第一充電器7との間で通信を行う。第一通信部9は、CHAdeMOコントローラであり得る。第一通信部9は、第一DC/DC変換器5及び第一充電器7と通信可能に接続されている。第一通信部9は、第一充電器7を介して車両Vの蓄電池の状態及び充電指示値を取得する。第一通信部9は、車両Vの蓄電池の状態及び充電指示値を制御部11に出力する。
【0046】
第一通信部9は、制御部11と通信可能に接続されている。第一通信部9は、自機の状態を示す状態情報を制御部11に出力する。自機の状態とは、第一通信部9の動作状態を含み得る。第一通信部9は、状態情報を一定の間隔で制御部11に出力する。
【0047】
第二通信部10は、第二DC/DC変換器6と第二充電器8との間で通信を行う。第二通信部10は、CHAdeMOコントローラであり得る。第二通信部10は、第二DC/DC変換器6及び第二充電器8と通信可能に接続されている。第二通信部10は、第二充電器8を介して車両Vの蓄電池の状態及び充電指示値を取得する。第二通信部10は、車両Vの蓄電池の状態及び充電指示値を制御部11に出力する。
【0048】
第二通信部10は、制御部11と通信可能に接続されている。第二通信部10は、自機の状態を示す状態情報を制御部11に出力する。自機の状態とは、第二通信部10の動作状態を含み得る。第二通信部10は、状態情報を一定の間隔で制御部11に出力する。
【0049】
制御部11は、充電装置1を統括的に制御する。制御部11は、集積回路に実装されたコンピュータシステムあるいはプロセッサである。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等、及び入出力インターフェース等から構成される。ROMには、各種プログラム又はデータが格納されている。
【0050】
制御部11は、AC/DC変換器3による蓄電池40の充電を制御する。制御部11は、蓄電部4の蓄電池制御部41から出力された充電指示をAC/DC変換器3に出力する。制御部11は、AC/DC変換器3から第一DC/DC変換器5及び/又は第二DC/DC変換器6に対して電力が出力されていないときに、充電指示をAC/DC変換器3に出力する。すなわち、制御部11は、第一充電器7及び/又は第二充電器8によって車両Vが充電されていないときに、AC/DC変換器3により蓄電池40を充電させる。
【0051】
制御部11は、第一充電器7を介して、第一充電器7と車両Vとの接続状態を取得する。制御部11は、第二充電器8を介して、第二充電器8と車両Vとの接続状態を取得する。制御部11は、第一充電器7及び第二充電器8における充電を制御する。制御部11は、第一通信部9及び第二通信部10から出力される車両Vの蓄電池の状態及び充電指示値に基づいて、充電指示を生成する。制御部11は、充電指示を第一充電器7及び第二充電器8に出力する。
【0052】
制御部11は、AC/DC変換器3、蓄電部4、第一DC/DC変換器5、第二DC/DC変換器6、第一充電器7、第二充電器8、第一通信部9及び第二通信部10のいずれかの機器の動作が停止した場合、動作が停止した機器以外の機器によって車両Vの充電が行われるように機器の動作を制御する。制御部11は、車両Vからの充電要求に応じて、動作が停止した機器以外の機器に基づいて最大出力電力を設定する。
【0053】
制御部11には、制御プログラムが記憶されている。制御プログラムは、充電装置1を動作させるためのプログラムであり、制御部11による制御等が実行されるようにコンピュータ等を動作させる。制御プログラムは、AC/DC変換器3、蓄電部4、第一DC/DC変換器5、第二DC/DC変換器6、第一充電器7、第二充電器8、第一通信部9及び第二通信部10のいずれかの機器の動作が停止した場合、動作が停止した機器以外の機器によって車両Vの充電が行われるように機器の動作を制御するステップをコンピュータに実行させる。制御プログラムは、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどの有形の記録媒体に固定的に記録された上で提供されてもよい。あるいは、制御プログラムは、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0054】
制御部11は、AC/DC変換器3、蓄電部4、第一DC/DC変換器5、第二DC/DC変換器6、第一充電器7、第二充電器8、第一通信部9及び第二通信部10(以下、「各機器」とも称する。)から出力される状態情報に基づいて、各機器の動作が停止したか否かを判断する。制御部11は、状態情報に機器の動作が停止したことを示す情報が含まれている場合には、機器の動作が停止したと判断する。また、制御部11は、AC/DC変換器3、蓄電部4、第一DC/DC変換器5、第二DC/DC変換器6、第一充電器7、第二充電器8、第一通信部9又は第二通信部10のいずれかの機器から一定期間以上状態情報が出力されない場合には、機器の動作が停止したと判断する。
【0055】
制御部11は、AC/DC変換器3、蓄電部4、第一DC/DC変換器5、第二DC/DC変換器6、第一充電器7、第二充電器8、第一通信部9又は第二通信部10の動作が停止した場合、動作が停止した機器以外の機器、すなわち正常に動作している機器によって車両Vを充電するための構成を構築する。制御部11は、正常に動作している機器を用いて、車両Vの充電を行うことが可能な充電経路を設定する。
【0056】
制御部11は、例えば、AC/DC変換器3の動作が停止した場合には、蓄電部4、第一DC/DC変換器5、第二DC/DC変換器6、第一充電器7、第二充電器8、第一通信部9及び第二通信部10を用いて、車両Vの充電を行うことが可能な充電経路を設定する。制御部11は、例えば、第一DC/DC変換器5の動作が停止した場合には、AC/DC変換器3、蓄電部4、第二DC/DC変換器6、第二充電器8及び第二通信部10を用いて、車両Vの充電を行うことが可能な充電経路を設定する。
【0057】
制御部11は、電力系統から供給される交流電力の供給状態を取得し、供給状態が正常ではない場合には、蓄電部4の直流電力によって車両Vの充電が行われるように機器の動作を制御する。制御部11は、AC/DC変換器3から出力される状態情報に含まれる、電力系統からの電力の供給状態において、供給状態が停電、低電圧等を示している場合には、蓄電部4の直流電力によって車両Vの充電が行われるように機器の動作を制御する。
【0058】
制御部11は、AC/DC変換器3又は蓄電部4の動作が停止した場合、第一充電器7及び第二充電器8における動作を制限する。制御部11は、動作を制限する一つ目の態様として、第一充電器7及び第二充電器8のうちの一つの充電器のみを使用して車両Vの充電が行われるように機器の動作を制御する。制御部11は、動作を制限する二つ目の態様として、AC/DC変換器3又は蓄電部4から出力される直流電力の範囲内において車両Vの充電が行われるように機器の動作を制御する。
【0059】
続いて、充電装置1の動作(制御方法)について詳細に説明する。以下では、AC/DC変換器3、蓄電部4、第一DC/DC変換器5、第二DC/DC変換器6、第一充電器7、第二充電器8、第一通信部9又は第二通信部10がメンテナンス等により動作が停止した場合について説明する。
【0060】
最初に、
図2を参照して、AC/DC変換器3が停止した場合における動作について説明する。
図2に示されるように、制御部11は、AC/DC変換器3が停止したか否かを判断する(ステップS01)。
【0061】
制御部11は、AC/DC変換器3から一定期間以上状態情報が出力されない場合(制御部11が状態情報を一定期間以上受信しない場合)には、AC/DC変換器3が停止したと判断する。また、制御部11は、AC/DC変換器3から出力された状態情報において、正常に動作していない旨の情報等が含まれている場合には、AC/DC変換器3が停止したと判断する。制御部11は、AC/DC変換器3から出力された状態情報において、交流電力の供給状態が正常ではない場合には、AC/DC変換器3が停止したと判断する。制御部11は、AC/DC変換器3が停止したと判断した場合(ステップS01:YES)には、蓄電池40によって充電を行うモード(蓄電池充電モード)に設定する(ステップS02)。制御部11は、AC/DC変換器3が停止したと判断しなかった場合(ステップS01:NO)には、処理を終了する。
【0062】
なお、ステップ01では、制御部11がAC/DC変換器3が停止したか否かを判断しているが、制御部11は、AC/DC変換器3から出力された状態情報において、正常に動作していない旨の情報等が含まれている場合には、上記判断を行わずにステップS02に進んでもよい。
【0063】
続いて、制御部11は、蓄電部4(蓄電池制御部41)から出力されるSOC情報に基づいて、蓄電池40の残容量(SOC)が閾値よりも多いか否か(SOC>閾値)を判断する(ステップS03)。制御部11は、蓄電池40の残容量が閾値よりも多いと判断した場合(ステップS03:YES)には、ステップS04に進む。制御部11は、蓄電池40の残容量が閾値よりも多いと判断しなかった場合(ステップS03:NO)には、ステップS05に進む。
【0064】
ステップS04では、制御部11は、充電を制限する。制御部11による充電制限としては、二つの態様がある。第一の制限方法では、制御部11は、例えば第一充電器7が車両Vに接続されている場合には、第二充電器8において充電ができない状態とする。この場合、制御部11は、第二充電器8の表示部(ディスプレイ等)に、充電ができない旨(充電停止中等)を表示させる。
【0065】
第二の制限方法では、制御部11は、第一充電器7及び第二充電器8のそれぞれが車両Vに接続される場合には、蓄電池40の放電電力の範囲内において充電が行われるように、第一充電器7及び第二充電器8のそれぞれから出力する電力を制限する。制御部11は、例えば、第一充電器7が車両Vに接続されて充電が開始された後に、第二充電器8が車両Vに接続された場合には、第一充電器7による充電を優先し、第二充電器8から出力する電力を制限する。優先度は、車両Vに充電ケーブルCのガンが接続された順に設定される。
【0066】
ステップS05では、制御部11は、第一充電器7及び第二充電器8において充電を行うことができないことを報知する(ステップS05)。例えば、制御部11は、第一充電器7及び第二充電器8の表示部に、充電ができない旨を表示させる。
【0067】
制御部11は、第一充電器7及び/又は第二充電器8に接続された車両Vを選択し、当該車両Vに対する充電電力の上限を設定する(ステップS06)。制御部11は、第一充電器7及び/又は第二充電器8における充電電力の上限を予め設定された所定値に設定する。これにより、車両Vの要求電力が蓄電池40の最大出力電圧(定格出力)よりも大きい場合であっても、上限よりも大きい電力が出力されない。制御部11は、充電電力の上限を設定した後、第一充電器7及び/又は第二充電器8において充電を開始させる(ステップS07)。
【0068】
続いて、
図3を参照して、蓄電部4が停止した場合における動作について説明する。
図3に示されるように、制御部11は、蓄電部4が停止したか否かを判断する(ステップS11)。
【0069】
制御部11は、蓄電池制御部41から一定期間以上状態情報が出力されない場合には、蓄電部4が停止したと判断する。また、制御部11は、蓄電池制御部41から出力された状態情報において、正常に動作していない旨の情報等が含まれている場合には、蓄電部4が停止したと判断する。また、制御部11は、蓄電池制御部41から出力された状態情報に含まれるSOC情報に基づいて、蓄電池40のSOCが閾値以下である場合には、蓄電部4が停止したと判断する。
【0070】
制御部11は、蓄電部4が停止したと判断した場合(ステップS11:YES)には、ステップS12に進む。制御部11は、蓄電部4が停止したと判断しなかった場合(ステップS11:NO)には、処理を終了する。
【0071】
ステップS12では、制御部11は、電力系統が正常であるか否かを判断する。制御部11は、AC/DC変換器3から出力される状態情報に基づいて、電力系統が正常であるか否かを判断する。具体的には、制御部11は、状態情報に含まれる電力系統の供給状態を示す情報(正常、低電圧、停電中等)に基づいて、電力系統が正常であるか否かを判断する。制御部11は、電力系統が正常であると判断した場合(ステップS12:YES)には、ステップS13に進む。制御部11は、電力系統が正常であると判断しなかった場合(ステップS12:NO)には、ステップS14に進む。
【0072】
ステップS13では、制御部11は、上記の方法により充電を制限する。ステップS14では、制御部11は、第一充電器7及び第二充電器8において充電を行うことができないことを報知する。
【0073】
制御部11は、第一充電器7及び/又は第二充電器8に接続された車両Vを選択し、当該車両Vに対する充電電力の上限を設定する(ステップS15)。制御部11は、充電電力の上限を設定した後、第一充電器7及び/又は第二充電器8において充電を開始させる(ステップS16)。
【0074】
続いて、
図4を参照して、第一DC/DC変換器5、第一充電器7又は第一通信部9が停止した場合における動作について説明する。
図4に示されるように、制御部11は、第一DC/DC変換器5、第一充電器7又は第一通信部9が停止したか否かを判断する(ステップS21)。
【0075】
制御部11は、第一DC/DC変換器5、第一充電器7又は第一通信部9から一定期間以上状態情報が出力されない場合には、第一DC/DC変換器5、第一充電器7又は第一通信部9が停止していると判断する。また、制御部11は、第一DC/DC変換器5、第一充電器7又は第一通信部9から出力された状態情報において、正常に動作していない旨の情報等が含まれている場合には、第一DC/DC変換器5、第一充電器7又は第一通信部9が停止していると判断する。
【0076】
制御部11は、第一DC/DC変換器5、第一充電器7又は第一通信部9が停止したと判断した場合(ステップS21:YES)には、ステップS22に進む。制御部11は、第一DC/DC変換器5、第一充電器7又は第一通信部9が停止したと判断しなかった場合(ステップS21:NO)には、処理を終了する。
【0077】
ステップS22では、制御部11は、電力系統が正常であるか否かを判断する。制御部11は、電力系統が正常であると判断した場合(ステップS22:YES)には、ステップS23に進む。制御部11は、電力系統が正常であると判断しなかった場合(ステップS22:NO)には、ステップS24に進む。
【0078】
ステップS23では、制御部11は、蓄電部4(蓄電池制御部41)から出力されるSOC情報に基づいて、蓄電池40の残容量(SOC)が閾値よりも多いか否か(SOC>閾値)を判断する。制御部11は、蓄電池40の残容量が閾値よりも多いと判断した場合(ステップS23:YES)には、ステップS25に進む。制御部11は、蓄電池40の残容量が閾値よりも多いと判断しなかった場合(ステップS23:NO)には、ステップS27に進む。
【0079】
ステップS24では、制御部11は、蓄電部4(蓄電池制御部41)から出力されるSOC情報に基づいて、蓄電池40の残容量(SOC)が閾値よりも多いか否か(SOC>閾値)を判断する。制御部11は、蓄電池40の残容量が閾値よりも多いと判断した場合(ステップS24:YES)には、ステップS27に進む。ステップS27では、制御部11は、車両Vに対する充電電力の上限を設定し、ステップS25に進む。制御部11は、蓄電池40の残容量が閾値よりも多いと判断しなかった場合(ステップS24:NO)には、第一充電器7及び第二充電器8において充電を行うことができないことを報知する(ステップS28)。
【0080】
ステップS25では、制御部11は、充電可能な充電器として、第二充電器8を設定する。制御部11は、第二充電器8を設定した後、第二充電器8において充電を開始させる(ステップS26)。
【0081】
続いて、
図5を参照して、第二DC/DC変換器6、第二充電器8又は第二通信部10が停止した場合における動作について説明する。
図5に示されるように、制御部11は、第二DC/DC変換器6、第二充電器8又は第二通信部10が停止したか否かを判断する(ステップS31)。
【0082】
制御部11は、第二DC/DC変換器6、第二充電器8又は第二通信部10から一定期間以上状態情報が出力されない場合には、第二DC/DC変換器6、第二充電器8又は第二通信部10が停止していると判断する。また、制御部11は、第二DC/DC変換器6、第二充電器8又は第二通信部10から出力された状態情報において、正常に動作していない旨の情報等が含まれている場合には、第二DC/DC変換器6、第二充電器8又は第二通信部10が停止していると判断する。
【0083】
制御部11は、第二DC/DC変換器6、第二充電器8又は第二通信部10が停止したと判断した場合(ステップS31:YES)には、ステップS32に進む。制御部11は、第二DC/DC変換器6、第二充電器8又は第二通信部10が停止したと判断しなかった場合(ステップS31:NO)には、処理を終了する。
【0084】
ステップS32では、制御部11は、電力系統が正常であるか否かを判断する。制御部11は、電力系統が正常であると判断した場合(ステップS32:YES)には、ステップS33に進む。制御部11は、電力系統が正常であると判断しなかった場合(ステップS32:NO)には、ステップS34に進む。
【0085】
ステップS33では、制御部11は、蓄電部4(蓄電池制御部41)から出力されるSOC情報に基づいて、蓄電池40の残容量(SOC)が閾値よりも多いか否か(SOC>閾値)を判断する。制御部11は、蓄電池40の残容量が閾値よりも多いと判断した場合(ステップS33:YES)には、ステップS35に進む。制御部11は、蓄電池40の残容量が閾値よりも多いと判断しなかった場合(ステップS33:NO)には、ステップS37に進む。
【0086】
ステップS34では、制御部11は、蓄電部4(蓄電池制御部41)から出力されるSOC情報に基づいて、蓄電池40の残容量(SOC)が閾値よりも多いか否か(SOC>閾値)を判断する。制御部11は、蓄電池40の残容量が閾値よりも多いと判断した場合(ステップS34:YES)には、ステップS37に進む。ステップS37では、制御部11は、車両Vに対する充電電力の上限を設定し、ステップS35に進む。制御部11は、蓄電池40の残容量が閾値よりも多いと判断しなかった場合(ステップS34:NO)には、第一充電器7及び第二充電器8において充電を行うことができないことを報知する(ステップS38)。
【0087】
ステップS35では、制御部11は、充電可能な充電器として、第一充電器7を設定する。制御部11は、第一充電器7を設定した後、第一充電器7において充電を開始させる(ステップS36)。
【0088】
以上説明したように、本実施形態に係る充電装置1では、制御部11は、AC/DC変換器3、蓄電部4、第一DC/DC変換器5、第二DC/DC変換器6、第一充電器7、第二充電器8、第一通信部9又は第二通信部10のいずれかの機器の動作が停止した場合、動作が停止した機器以外の機器によって車両の充電が行われるように機器の動作を制御する。これにより、充電装置1では、例えば、第一DC/DC変換器5の動作が停止した場合であっても、第二DC/DC変換器6を使用して、車両Vの充電が行われるように機器の動作を制御する。また、充電装置1では、例えば、AC/DC変換器3が停止した場合、蓄電部4を使用して、車両Vの充電が行われるように機器の動作を制御する。このように、充電装置1では、一部の機器の動作が停止した場合であっても、急速充電を行うことができる。したがって、充電装置1では、一部の機器の動作が停止した場合であっても、効率的に車両Vを充電することができる。
【0089】
本実施形態に係る充電装置1では、AC/DC変換器3、蓄電部4、第一DC/DC変換器5、第二DC/DC変換器6、第一充電器7、第二充電器8、第一通信部9及び第二通信部10は、自機の状態を示す状態情報を制御部に出力する。制御部11は、状態情報に基づいて、各機器の動作が停止したか否かを判断する。この構成では、各機器の動作が停止したか否かを適切に判断することができる。
【0090】
本実施形態に係る充電装置1では、制御部11は、状態情報に機器の動作が停止したことを示す情報が含まれている場合に、当該機器の動作が停止したと判断する。制御部11は、AC/DC変換器3、蓄電部4、第一DC/DC変換器5、第二DC/DC変換器6、第一充電器7、第二充電器8、第一通信部9又は第二通信部10のいずれかの機器から一定期間以上状態情報が出力されない場合に、当該機器の動作が停止したと判断する。この構成では、各機器の動作が停止したか否かをより一層適切に判断することができる。
【0091】
本実施形態に係る充電装置1では、制御部11は、電力系統から供給される交流電力の供給状態を取得し、供給状態が正常ではない場合には、蓄電部4の直流電力によって車両Vの充電が行われるように機器の動作を制御する。この構成では、電力系統において停電等が発生し、AC/DC変換器3に供給される交流電力の供給状態が正常ではない場合(異常が発生している場合)には、蓄電部4の直流電力を使用して車両Vを充電する。そのため、電力系統の異常に起因してAC/DC変換器3の動作が停止した場合であっても、車両Vを充電することができる。
【0092】
本実施形態に係る充電装置1では、制御部11は、AC/DC変換器3又は蓄電部4の動作が停止した場合、第一充電器7及び/又は第二充電器8における動作を制限する。AC/DC変換器3又は蓄電部4の動作が停止すると、AC/DC変換器3又は蓄電部4の一方のみから第一DC/DC変換器5及び/又は第二DC/DC変換器6に直流電力を出力する。この構成において、AC/DC変換器3又は蓄電部4の定格出力を超えるような充電要求を車両から受けると、AC/DC変換器3が過負荷状態になったり、蓄電部4が過放電状態になったりする。そこで、第一充電器7及び/又は第二充電器8における動作を制限することによって、AC/DC変換器3が過負荷状態になったり、蓄電部4が過放電状態になったりすることを回避することができる。
【0093】
本実施形態に係る充電装置1では、制御部11は、第一充電器7及び第二充電器8のうちの一つの充電器のみを使用して車両Vの充電が行われるように機器の動作を制御してもよい。この構成では、使用する充電器の数が制限されるため、AC/DC変換器3が過負荷状態になったり、蓄電部4が過放電状態になったりすることを回避することができる。
【0094】
本実施形態に係る充電装置1では、制御部11は、AC/DC変換器3又は蓄電部4から出力される直流電力の範囲内において車両の充電が行われるように機器の動作を制御してもよい。この構成では、AC/DC変換器3又は蓄電部4から出力される直流電力の範囲内に制限されるため、AC/DC変換器3が過負荷状態になったり、蓄電部4が過放電状態になったりすることを回避することができる。
【0095】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0096】
上記実施形態では、DC/DC変換器として、第一DC/DC変換器5及び第二DC/DC変換器6を備える形態を一例に説明した。しかし、DC/DC変換器を3以上備えていてもよい。これに応じて、充電器及び充電制御部のそれぞれも、3以上備えられていてもよい。
【0097】
上記実施形態では、充電装置1が制御部11を備える形態を一例に説明した。しかし、充電システムにおいては、制御部が外部(例えば、クラウド上のサーバ等)に設けられていてもよい。充電システムにおいては、複数の充電装置に対して一つの制御部が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1…充電装置、3…AC/DC変換器、4…蓄電部、5…第一DC/DC変換器、6…第二DC/DC変換器、7…第一充電器、8…第二充電器、9…第一通信部、10…第二通信部、11…制御部。